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第4章 全国地熱資源調査

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第4章 全国地熱資源調査

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4-1

第4章 全国地熱資源調査

4.1 73 地熱地域の予備的評価と補足資源調査地域の選定

4.1.1 地熱資源の予備的評価結果

(1) 調査対象地域

予備的評価では、73 地域を対象に既存データの収集および情報の分析を行った。当初対象地

域として予定されていた 70 地域に加えて、第1次現地調査時にインドネシア側から要請された

北スマトラ州 Sipaholon 地域、ジャワ島東部の Iyan Argopuro 地域およびスラウェシ島ゴロンタ

ロ州の Suwawa 地域の 3 地域を加えて、73 地域を調査対象地域とした( Fig. 4.1.1-1 参照)。

(2) データおよび評価方法

73 地域の広域地質・地質構造・坑井に関する地質データ、温泉・噴気ガスや坑井の噴出流体

に関する地化学データ、および地熱概念モデル図は、CGR からの提供および公表文献・報告書

等からの引用により収集・整理した。

地質データに関しては、インドネシア全体の広域地質図、各地熱地域毎の地質図・断面図・

変質帯関連図のデジタルデータで入手した。また、坑井掘削に関する情報は、掘削を実施した

機関から CGR に情報提供が行われたもののみを解析に使用した。各地熱地帯の概念モデル図は

確度が十分評価できるもののみを使用し、精度が不十分なものに対しては地下地熱資源を評価

するために、地表調査結果から作成された地質図もしくは比抵抗探査データの用い、地熱資源

の分布を検討した。

主要化学成分データに関しては、温泉水 196 個、坑井熱水 20 個、噴気ガス 31 個、坑井噴出

ガス 6 個のデータを収集することができた。また、水素および酸素の同位体データに関しては、

温泉水 24 個、坑井熱水 4 個のデータを収集した。なお、温泉水の化学データは、51 地域に関

するデータを取得できたが、その他の 22 地域については収集できなかった。化学・同位体分析

データが得られなかった地域でも、CGR の内部資料に地表地熱徴候の最高温度や地化学温度等

が記載されている地域については、それらのデータも検討・評価に利用した。

(3) 地質

インドネシアは、東西 5,120km、南北 1,760km にわたる大規模な島嶼国家である。合計 13,667

の島が存在(別の統計では 18,000 とも報告されている)し、そのうち、住民が生活している島

は約 6,000 と報告されている。主要なものとして、スマトラ島、ジャワ島、カリマンタン島、

スラウェシ島、およびイリアンジャヤ島の 5 島があり、この他ヌサテンガラ群島、マルク群島

およびその他 60 程度の小群島が存在する。これらの島々のうち、カリマンタン島は世界第 3 位

の面積を有し、マレーシア国とブルネイ国と共有する。イリアンジャヤ島はパプアニューギニ

アと折半している。93,000km2の内湾(海峡、湾、水域)部分を含み、国土面積は全体で1,919,317km2

である。その他、インドネシア政府は排他的経済水域を約 5,000,000km2 としている。

地理的には、大スンダ列島上に、スマトラ島、ジャワ島(マドゥラ島を含む)、カリマンタン

島およびスラウェシ島が分布している。スラウェシ島を除いて、それらの島はマレー半島やイ

ンドシナ半島の延長であるスンダ地塊に属する。インドネシア東部の世界第 2 の面積を有する

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イリアンジャヤ島はサウル楯状地上に位置する。この両楯状地に挟まれて、スラウェシ島、ヌ

サテンガラ群島(小スンダ列島)、およびマルク群島が分布している。

インドネシアは、ジャワ島をはじめとして、地震活動および火山活動が活発な地域である。

国内全体で約 400 の火山があり、その内約 100 が活火山である。1970 年以降、40 回以上の火山

噴出が記録されており、その殆んどがジャワ島である。インドネシアで最近起きた最も激しい

火山活動は、1815 年、西ヌサテンガラ州スンバワ島北岸近くのタンボラ火山による噴火であっ

た。約 92,000 人が被災し、世界中の至るところで“ Year without a Summer(夏の無い年)”が発

生した。1883 年には、ジャワ島とスマトラ島を画するスンダ海峡においてクラカタウ火山が噴

火し、津波による被害で約 36,000 人の死者が西ジャワ州を中心にして発生した。近年では、2006

年 5 月にジョグジャカルタ周辺で起きた地震によって、6,000 人以上が亡くなっている。この地

震に関連して、ジョグジャカルタ北方のメラピ火山では、火砕流活動が活発化している。

スマトラ島、ジャワ島、バリ島、ロンボク島、スラウェシ島およびセラム島にかけての島々

では海抜 3,000~3,800m 程度の山脈が連なっている。一方、イリアンジャヤ島のジャヤウィジ

ャヤおよびスディルマン連峰では、4,700~5,000m 級の山々が続いている。インドネシア最高峰

の山は、同島スディルマン山脈のプンチャックジャヤ山で 5,039m である。

ヌサテンガラ地域においては、バリ島から東方のイリアンジャヤ島にかけて二条の弧状列島

が連なっている。内側の弧状列島は、スマトラ島からジャワ島・バリ島・フローレス島を通っ

てバンダ諸島を終点とする弧形を形成し、山脈や火山が連続している。ヌサテンガラ地域の外

側の弧状列島は、地質的にスマトラ島西方のニアス島・メンタワイ島・エンガノ島を含む弧状

列島の延長部に相当する。このスマトラ西方の弧状列島は、ヌサテンガラにおいて再び海面上

に現れ、断続的にスンバ島やティモール島へと連続している。

マルク諸島は、インドネシア国内の北東部に位置し、北側をフィリピンとの国境で、東側を

イリアンジャヤ島、南側をヌサテンガラと接し、複雑な地質構造を呈している。主要な島とし

てはハルマヘラ島、セラム島やブル島などが存在するが、深海から急峻な山が突き出ており、

そのため、海岸付近の平坦部が極端に少ないのが特徴である。

インドネシアの地質構造区分については、大きく(1)マレー構造帯、(2)スマトラ構造帯、

(3)スンダ構造帯、(4)マルク構造帯、および(5)イリアンジャヤ構造帯の5つに分けら

れている (Fig. 4.1.1-2 参照)。

(a) マレー構造帯

マレー構造帯は、マレー半島からカリマンタン島西部、バンカ島、ビリトン島などを含み、

主として古生代後期~中生代前期の花崗岩類から構成される。堆積岩類はマレー半島中央部

を境として西部と東部で異なり、西部では非火山性の陸源性~浅海性環境下の古期大陸地殻

上に堆積したと推定される。三畳紀の花崗岩類の貫入が知られている。東部には頁岩が多く

分布する。石炭紀以降から三畳紀にかけて広域的な酸性火成活動、花崗岩類の貫入が認めら

れる。ビンタン島・バンカ島・ビリトン島でのスズ硬化作用が知られている。

(b) スマトラ構造帯

スマトラ構造帯は、マレー構造帯の南側を取巻く形で、スマトラ島の大半からジャワ島北

側・カリマンタン島の東南部~東部に至る地域で、古生代~中生代の様々な岩石を基盤とし

ている。スマトラ島は主として古生界および三畳系とこれらを覆う新生代の堆積岩類・火山岩

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類からなる。

(c) スンダ構造帯

スンダ構造帯は、スマトラ構造帯のさらに外側を位置する構造帯で、スマトラ島の西海岸

からジャワ島南側を通り、小スンダ列島から北転してスラウェシ島の南西から北端のミナハ

サ半島へと抜けている。中新世初期に広域的な沈降が始まり、中新世中期に最大の海進を迎

えて頁岩が厚く堆積した。スマトラ島南西部では、流紋岩質~安山岩質火山岩類、同質砕屑

岩類が多く見られる。

スマトラ島、ジャワ島、バリ島、およびヌサテンガラ諸島の地熱地域は全て、このスンダ

構造帯上に存在する。

(d) マルク構造帯

マルク構造帯は、スンダ構造帯の外側に位置し、スマトラ島西沖のムンタワイ諸島から、

チモール島、タニンバール諸島・セラム島・タリアブ島、スラウェシ島東部に至る。超塩基

性岩類によるオフィオライトが分布するが、活火山は見られない。

本調査対象地域の内、アンボン島の Teluhu 地域、スラウェシ島の Lainea 地域、 Marana 地

域、Bora 地域および Bituang 地域などはこの構造帯上に位置する。

(e) イリアンジャヤ構造帯

イリアンジャヤ構造帯はオーストラリアプレートに属し、大陸地殻と呼ばれるプレート張

り出し部の北端に位置する。本構造帯は、東西に走る北部山脈と中央山脈および南部地域に

三つに大別できる。北部山脈は古生代の変成岩・超塩基性岩などを基盤とし、中生代の火山岩

類や新第三紀の堆積岩類が発達する。中央山脈地域では古生代から新生代までの堆積岩類(石

灰岩・砂岩・頁岩等)が厚く堆積し、これに新第三紀の花崗岩類が貫入している。南部地域に

は、中生代の石灰岩類と第四紀堆積岩類が広く発達している。

この他、スラウェシ島北部の Lahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu 地域および Suwawa

地域、ハルマヘラ島の Jailolo 地域、さらにはバカン島の Tonga Wayana 地域は、上述の5つの構

造帯とは異なり、フィリピン国ミンダナウ島から連続する別個の地質構造区分に属する。これ

らの地域は、北部のセレベス海プレートとモラカス海洋プレートの動きの結果、形成されたも

のである。北部および南部からのストレスの影響、さらにはモラカス海洋プレートの西方移動

による衝突などにより、スラウェシ島北部のミナハサ半島は時計回り方向に屈曲し、ハルマヘ

ラ島の K 字型地形を形成したものと考えられている。

(4) 地熱流体の化学特性

収集した地熱水・ガスの化学データの整理・解析および CGR の資料に基づき求められた 73

地熱有望地域に関する各種の流体地化学指標を Table 4.1.1-1 に纏めた。

(a) 地熱流体の概要

地表地熱兆候(温泉・噴気)の測定最高温度は、半数以上の地域で地表での沸点に近い 90℃

以上の高温が確認されている。その他の地域でも、数地域を除いて 50℃以上の最高温度が観

測されている。

ほとんどの地域には複数の温泉・噴気が存在する。温泉水データが最も多い地域(Tulehu)

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では、22 個の泉源に関する温泉水化学データが得られている。自然噴気ガスについては、16

地域に関する主要化学データが得られたが、データが得られた地域以外にも複数の地域で噴

気の存在を示す記録が認められる。自然噴気の存在は、地下浅部に約 100℃以上の地熱流体

が存在することを示唆する。

(b) 地熱流体の起源

温泉水・坑井熱水の起源について、その水素・酸素同位体組成から検討した(App.4.1.1-1)。

温泉水のほとんどは、一般的な天水が示す水素・酸素同位体組成(天水線:Meteoric Water Line)

に近い組成を示しており、主な起源が天水(地下に浸透した降水)であることが示唆される。

天水線から離れた水素・酸素同位体組成をもつ温泉水のうち、Bena-Mataloko などの温泉水

は地表付近での沸騰(蒸気分離)による同位体組成変動を受けていると考えられ、起源とな

る水は基本的には天水であるとみなされる。

Wai Sano の一部の温泉水は「安山岩質マグマ水」が示す水素・酸素同位体組成を示してお

り、マグマから直接発散された水を含有している可能性がある。

Iboih-Jaboi や Lempur/Kerinci の温泉水・坑井熱水は、酸素同位体比(δ18O)が天水線から

1~2‰大きい側にシフトした組成を示す。これは、天水起源の熱水が、酸素同位体比の大き

い造岩鉱物と高温で同位体交換反応を起こしたことを示唆する。したがって、これらの地域

では、十分に岩石と反応した高温の地熱貯留層流体が存在する可能性が高いと言える。

App.4.1.1-1 に示したデータ以外にも、CGR の内部資料には、5 地域(Seulawah Agam、Hu’u

Daha、Marana、Jailolo、Suwawa-Gorontalo)の温泉水等に関する水素・酸素同位体組成図が示

されている。それらの組成図によれば、温泉水の多くは主に天水起源であるとみなされる。

ただし、Hu’u Daha および Jailolo の一部の温泉水には海水が寄与していることを示唆するデ

ータも認められる。熱水への海水の寄与については、後述する熱水の化学成分に基づく検討

においても考察する。

(c) 酸性 SO4型熱水の存在

一般に、酸性 SO4型の熱水は、浅部の地下水や地表水が地下から上昇する H2S ガスを含む

蒸気の混入により加熱されたものであり、H2S の空気酸化により生じた硫酸イオン(SO42-)

を高濃度で含む。したがって、酸性 SO4 型熱水の存在は、地下深部に 100℃以上の温度をも

ち、沸騰している地熱流体の存在を示唆する。

本調査で収集した地熱水化学データを用いて作成した主要陰イオン三成分図と Cl/SO4モル

比-pH 関係図を各々App.4.1.1-2 と App.4.1.1-3 に示す。これらの解析図による分類によれば、

酸性(pH<4)で SO4型に分類される地熱水は、以下の 18 地域において確認される(Table 4.1.1-1

参照)。 Iboih-Jaboi Sarula S. Merapi-Sampuraga

Pusuk Bukit-Danau Toba Simbolon-Samosir Lempur/Kerinci

Air Dikit B. Gedung Hulu Lais Bukit Daun

Lumut Balai Kamojang Darajat

Tangkubanperahu Hu’u Daha Ulumbu

Bena-Mataloko Sokoria-Mutubusa Oka-Larantuka

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すべての地熱水データで最も低い pH(1.9)を示すのは、Sokoria-Mutubusa の温泉水(95℃)

である。また、最も高い SO4 濃度(5,485mg/L)を示すのは、Iboih-Jaboi の温泉水である(96℃、

Cl/SO4モル比:0.004)。

上記地域のうち、S. Merapi-Sampuraga、Pusuk Bukit-Danau Toba、Tangkubanperahu、Hu’u Daha、

Sokoria-Mutubusa の 5 地域の温泉水には、Cl 濃度も比較的高く、Cl/SO4モル比が約 1.0 以上を

示すものが含まれる。これらの温泉水は、マグマ起源の強酸性ガスである HCl や SO2 の混入、

または海水(Cl 濃度が高い)の混入を受けている可能性がある。

(d) 中性 Cl 型熱水の存在と海水の寄与

一般に、地熱発電において利用される地下深部の地熱貯留層熱水は、中性(~弱アルカリ

性)で、主要な陰イオンとしては Cl イオンが卓越する(App.4.1.1-2 では Cl-type、Cl-SO4-type

もしくは Cl-HCO3-type に分類される)。このようなタイプの熱水は、天水起源熱水への岩石

からの Cl の溶解、もしくは Cl に富む酸性マグマ起源熱水の岩石との中和反応により生成さ

れる。このような中性 Cl 型の熱水が、地表の温泉や坑井において確認される地域では、地下

深部に高温の貯留層熱水が存在している可能性が高い。

本調査で収集した地熱水化学データの分類によれば、中性(~弱アルカリ性)で Cl 型の地

熱水は、以下の 25 地域において確認される(App.4.1.1-2、App.4.1.1-3 および Table 4.1.1-1 参

照)。 Iboih-Jaboi Lho Pria Laot Seulawah Agam

G. Kembar Sarula Sibual Buali

S. Merapi-Sampuraga Muaralabuh Sungai Tenang

Sungai Penuh Tambang Sawah Suoh Antatai

G. Sekincau Rajabasa Wai Ratai

Cisolok-Cisukarame Tangkubanperahu Ungaran

Wilis/Ngebel Hu’u Daha Wai Sano

Sokoria-Mutubusa Oka-Larantuka Marana

Tulehu Jailolo Sipaholon-Tarutung

Suwawa-Gorontalo

中性 Cl 型熱水は、深部貯留層熱水に由来するものでない場合でも、海水が混入することに

よって生成する場合があることに留意する必要がある。熱水への海水の混入について、B-

Cl 濃度関係図(App.4.1.1-4)と T-SiO2-Cl 濃度関係図(App.4.1.1-5)に基づき検討した。低

温の海水は一般的な地熱水に比べて B/Cl モル比が非常に低い(約 0.001)。また、低温のまま

の海水は全シリカ(T-SiO2)濃度が低い。それらに加えて、水素・酸素同位体組成からも、

熱水への海水混入の可能性がある地域を抽出した。その結果、上記地域のうち、下線を付記

した 6 地域の温泉水に海水が混入している可能性が示唆される(Table 4.1.1-1 参照)。それら

の地域はすべて、海岸沿いもしくは小離島に位置する地熱地域であり、総じて温泉水の Cl 濃

度は高い。

以上のことから、海水の寄与が想定される 6 地域以外(19 地域)では、主に天水起源の深

部貯留層熱水が存在している可能性が高いと評価される。ただし、それらの地域でも、海水

の混入が完全に否定されたわけではなく、今後さらに詳細な検討が必要と思われる。また、

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海水が混入していると考えられる地域でも、貯留層熱水が存在する可能性は残されており、

必ずしも有望性が低いと評価されるわけではない。

(e) 地化学温度による地熱流体温度の推定

調査・開発の初期段階にある地熱地域では、流体の起源や熱水のタイプにかかわらず、温

泉・噴気の化学データに基づき算出される地化学温度が、その地域の有望性を評価する最も

重要な化学的指標となる。

温泉水・坑井熱水および自然噴気ガス・坑井ガスの化学データから算出した地化学温度を

Table 4.1.1-1 に示す。表中に示した各温度の計算に使用した地化学温度計は以下のとおりであ

る。

熱水シリカ温度

TSiO2: α-クリストバライト温度、カルセドニー温度、石英温度(Fournier, 1977)

熱水アルカリ比温度

Na/K: Na/K 温度(Truesdell, 1976;Fournier, 1979)

dMg: NaKCa-dMg 温度(Fournier and Potter, 1979)

K/Mg: K/Mg 温度(Giggenbach, 1988)

ガス化学温度

Gas Chem. Temp.: CO2-H2S-H2-CH4温度(D’Amor and Panichi, 1980)

温度変化に対する化学的な再平衡に要する時間が短いシリカ濃度をパラメーターとする熱

水シリカ温度は、比較的浅部の温度を反映する。そのため、各地域の温泉水データから計算

されたシリカ温度は、ほとんどが 200℃未満となっている。ただし、Sarula、Sungai Penuh、

Suoh Antatai、G. Sekincau、Wai Ratai、Lahendong の 6 地域では 200℃以上の温度(最高は G.

Sekincau の 257℃)が算出された。これらの地域では、Lahendong を除く全てで中性 Cl 型熱

水が確認されており、深部高温熱水が存在する可能性が高いと言える。

坑井熱水に関するシリカ温度(石英温度)では、Lempur/Kerinci、G. Salak、G. Wayang-Windu、

G. Karaha において 200℃以上の温度が算出された。

熱水アルカリ比温度のうち、Na/K 温度は比較的深部の熱水温度を反映すると考えられてい

る。算出された Na/K 温度の最高は多くの地域で 200℃を上回っている。ただし、Na/K 温度

が深部の熱水温度を反映するのは、対象となる地熱水が深部起源の岩石と十分に反応した熱

水を含む場合に限られる。Na/K 温度の妥当性を評価するために、各地熱水に関する Na-K-Mg

三成分図を作成した(App.4.1.1-6)。同図において、地熱水のデータが「full equilibrium」を示

す曲線の近くにあるほど、Na/K 温度の妥当性は高いとみなされる。Table 4.1.1-1 では、妥当

性が高いと考えられる Na/K 温度の算出値のみを示した。その Na/K 温度の各地域での最高温

度は 170~300℃の範囲にあり、ほとんどの地域で 200℃以上となっている。

ガス化学温度も比較的深部の流体温度を反映すると考えられている。ガス化学データが得

られた地域のほとんどで、ガス化学温度の最高温度は 200℃を上回っている。地下流体の度

指標となる H2/CH4モル比とガス化学温度の関係図を App.4.1.1-7 に示す。

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(5) 地熱概念モデル

地熱構造概念モデルを構築するために、貯留層構造(地下の地質構造)、熱源(地熱活動の変

遷)、熱水(流体特性と流動パターン)に関する主要 3 要素のデータや情報を収集し、解析を行

った。地質解析の作業フローを Fig. 4.1.1-3 に示す。

殆んどの地熱貯留層は、蒸気と高温の熱水から構成され、多くは断裂型の地熱モデルで説明

できた。地熱貯留層を効率的に開発するためには、貯留層の位置を確認し、断裂の分布だけで

はなく、断裂内での地熱流体の挙動も把握することが必要である。地域毎に作成される概念モ

デルは、各地熱貯留層の特徴を出来るだけ明瞭化させた。そのため、モデル構築においては、

地質・水文地質・物理探査・地化学などの各種科学データをできるだけ多く集約した。

地熱開発が可能な深度までの地質・地質構造を 2 次元もしくは 3 次元的に図面上に表現し、重

力や比抵抗などの物理探査データや坑井試験データから地質構造を検討した。可能な場合には、

岩相対比、断裂の傾向および変質帯分布など表現し、坑井掘削の結果を含めて、精緻化された

地質状況を具体化した。

さらに、地熱系内の熱水分布や貯留層構造を明らかにするために、火山活動の歴史に基づい

た熱供給システムやその位置を概略特定し、広域的な地熱活動の中心を解明する努力をした。

可能な場合には深部断裂構造と関連したマグマ溜りからの貫入、伝導熱、対流熱などを例示す

ることによって地熱系への熱の流入をモデル図上に表現した。貫入岩が存在する地域では、貫

入岩周辺の深部断裂構造沿いに貯留層が発達するケースがしばしば見られ、これも考慮した。

このような地域では、構造解析を目的とした調査(重力探査・磁気探査・地震探査)が総合解

析において有効であるが、このような解析ができた地域はほとんどなかった。また、岩石年代

に基づいた火山活動史の考察から、残存マグマの地熱系に対する影響を検討した。

73 調査対象地域の地熱流体特性の検討は、地質構造との関係を考慮して、主に、坑井、温泉、

噴気からの流体地化学データに基づいて実施した。地熱流体の地域特性に関して、流体の特性

や流動パターンについて、以下の点を考慮して検討した。

(a) 地熱貯留層の水平・垂直方向の分布を考慮した温泉や噴気の分類

(b) 噴気や温泉の起源および形成メカニズム

(c) 地熱流体の分布およびその中心

(d) 広域的な流動パターン(地熱流体の通路)

(e) リチャージエリアおよびディスチャージ

(f) 地熱流体の挙動と地質構造との関係

本調査では各調査対象地域の開発可能な地熱資源量(出力)評価を実施する必要があったた

め、可能な限り精度の高い概念モデル図を作成した。モデル作成に用いた資料は、インドネシ

ア側から提供された各地域の既存概念モデル図、論文や公表済みの概念モデル関連資料、西日

本技術開発㈱で過去に調査した際に作成したモデル図等を集約したものである。また、調査が

未だ予備調査段階の地域や情報が少なくモデルの精度が劣ると判断される地域に関しては、地

表地熱徴候図(噴気・温泉・地表変質帯の分布図)と地下浅部の不透水性ゾーン(帽岩)の広がりが

推定できるように低比抵抗分布図(Schulanberger 法もしくは MT 法探査測定結果)を参考とし

て、これらのデータを基に、貯留層の分布域およびその深度を推定し、各地域の地熱系モデル

を検討した。

なお、各地域の調査結果およびモデル図は、インテリムレポート(2007 年 3 月)に詳細を記

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述した。

(6) 資源量(容積法)の算出

Fig. 4.1.1-4 に資源量評価フローを示す。地熱資源量は、地熱概念モデルに基づいて容積法

(Stored Heat Method)を用いて試算した。

初期の調査段階では地熱資源量を評価する手法として一般的に容積法が用いられる。容積法

は地熱貯留層の規模(容積)とその平均的な温度を推定して地熱貯留層内に賦存の熱エネルギ

ーーを試算し、それから回収できる割合を想定して発電出力に換算する手法であり、次式によっ

て地熱資源量を求める。

賦存熱量(Stored Heat)=(Tr-Ta)x{(1-φ)Cprρr+φCpwρw}x V 回収可能熱量(Heat Recovery:H.R)=Stored Heat×Recovery Factor 地熱資源量(Resource Potential)=(H.R. x C.E.)/(Lf x P.L.)

ただし、 Tr,Ta :貯留層温度(℃)、利用限界温度(℃) φ :空隙率(%) ρr,ρw :岩石密度(kg/m3)、流体密度(kg/m3) Cpr,Cpw :岩石比熱(kJ/kg・℃)、流体比熱 (kJ/kg・℃) V :貯留層容積(km3) C.E. :電力変換効率(%) Lf :プラント運転期間(year) P.L. :プラント利用率(%) である。

ここで、容積法における各入力パラメータ値を1つに特定することは困難であるため、各パ

ラメータには通常想定される許容範囲があり、したがって容積法で求められる地熱資源量にも

ある程度の幅がある。また、容積法では地熱資源の特色である再生可能性を考慮しないため、

過小に評価される傾向がある。そこで、想定される地熱資源量の幅の中から統計的に確度の高

い数値を求める手法としてモンテカルロ解析を適用した。

モンテカルロ解析は、容積法に入力する各パラメータ値の想定範囲を設定し、乱数を利用し

てそれらの任意の組み合わせによって算出される地熱資源量を統計処理して確率論で評価する

手法である。本調査では各パラメータの組み合わせを 100,000 ケース抽出し、統計的手法によ

り確度 20~80%の地熱資源量を求めた。

資源量評価は、73 地域の予備的評価の際に最初に実施し、補足資源調査実施後にその結果を

反映させ再度、実施した。その結果、最終的に地熱資源量が評価できるだけのデータが得られ

たのは 39 地域であった。評価結果の一覧を後述する Table 4.7.1-1 に示し、各地域のモンテカル

ロ解析結果を App.4.7.1-1 に添付する。Table 4.7.1-1 に示す計算結果は、補足地熱資源調査結果

を反映させ計算した結果である。

なお、既に開発段階にある地域では、貯留層シミュレーションなど容積法よりも詳細な手法

で地熱資源量が評価されていることから、それらの地域は容積法による評価の対象から除外し、

開発計画規模を採用した。

(7) 簡易経済性評価

データや情報が不十分な状況下での各地域の地熱開発事業の経済評価は、誤差が大きく、精

度の高い評価を得るのは難しい。しかしながら、事業の経済性は資源の規模と同様に事業化の

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4-9

優先順位を決定するのに必要な重要なファクターである。このため、補足調査を選定すること

を目的に、各種の条件を仮定し、簡易経済性評価を実施した。ここでは地熱発電開発を行う場

合の「kW 当たりの初期投資額」を求めた。簡易経済性評価は、資源量評価と同様に、73 地域

の予備的評価に実施し、さらに、補足資源調査の後にその結果を考慮して再度、経済性評価の

見直しを行った。

地熱発電の場合、発電原価を左右するのは主として発電プラント費と坑井掘削費である。米

国地熱エネルギー協会(Geothermal Energy Association)の報告では、一般的な地熱発電コストの内

訳を見ると発電プラント費が 54%、掘削費が 23%を示し、両者の合計が全体の 77%を占めてい

る(Hance、2005)。したがって、これらの費用を算出することで、初期投資額を概算で求めるこ

とができる。そこで、簡易経済性評価では、発電プラント費と掘削費を初期投資額とし、これ

を発電プラント規模で除することにより「kW 当たりの初期投資額」を求めた。なお、発電プ

ラント規模は、各地域の地熱資源量の範囲内で電力需要を考慮して推定した。Fig. 4.1.1-5 に簡

易経済性評価フローを示す。

先ず、発電プラント費は、50MW 以上の発電規模については 1200US$/kW の設備単価とし、

設備単価は規模が小さくなるほど割高になるものと考えた。

次に、坑井掘削費は坑井1本当たりの掘削費×坑井本数により算出した。坑井1本当たりの掘

削費は、想定される掘削深度から掘削単価を乗じて求めた。必要な坑井本数を求めるためには、

坑井 1 本当たりの予想出力が必要である。しかし、坑井の噴出データがある地域は Kamojang

などの開発中の地域に限定され、ほとんどの地域では噴出実績がない。このため、地熱貯留層

の深度、温度および浸透率(kh 値)から坑井シミュレータ WELLFLOW を用いて坑井1本当たり

の予想噴出量(出力)を試算した。ここで、地熱貯留層の深度と温度については、貯留層概念

モデルから推定し、その圧力は深度に基づいて推定した。浸透率については、坑井データが無

かったため、地熱地帯の一般的な数値を参考にして kh=1~5 darcy.m の範囲を設定し、深度が深

くなるにしたがって小さくなるように設定した。以上の仮定を用いて、それぞれの条件におけ

る坑井 1 本当たりの予想噴出量(予想される蒸気量と熱水量、および出力)を坑井シミュレー

タ WELLFLOW で計算した。なお、貯留層温度、生産井の坑口圧力、タービン入口圧力の関係

については、以下のように仮定した。

貯留層温度 生産井の坑口圧力 タービン入口圧力 250℃未満 4 kg/cm2 Abs 2 kg/cm2 Abs

250℃~290℃ 8 kg/cm2 Abs 6 kg/cm2 Abs 290℃以上 12 kg/cm2 Abs 10 kg/cm2 Abs

地熱貯留層の深度と温度および坑井 1 本当たりの予想噴出量との関係を Table 4.7.2-1 に示す。

最終的に、この表を用いて各地域で開発可能な規模の地熱発電所を建設する場合に必要な生

産井と還元井の本数を求めた。坑井掘削の成功率は、生産井、還元井ともに開発中の地域につ

いては 80%、調査段階の地域については 70%とした。還元井1本当たりの処理能力については

一律 200 t/h と仮定し、それぞれの地域で想定される噴出熱水量からそれを処理するのに必要な

還元井本数を算出した。こうして、必要な生産井と還元井の本数を求めた。

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4-10

以上より、発電プラント費と坑井掘削費を合計して初期投資額とした。こうして求めた 49 地

域の「kW 当たりの初期投資額」の一覧を Table 4.7.2-2 に示す。Table 4.7.2-2 に示す計算結果は、

補足地熱資源調査結果を反映させ計算した結果である。本来ならば、アクセス道路工事や基礎

工事などの土木費、配管費、送電線費等も初期投資には含まれるため、実際にはここに示した

数値よりもさらに大きくなるが、各地域の経済性を比較するうえで有効であると判断した。

4.1.2 補足資源調査地域の選定(補足地質・地化学調査)

(1) 補足調査地域の抽出手順

日本国内で収集した資料、第 1 次現地調査においてインドネシア側から提供された資料およ

び各種聞き取り調査から得られた情報を踏まえて、全 73 地域の中から補足調査地域を選定する

ための評価項目を検討した。評価項目策定の基本的な考え方は、インドネシアにおける地熱開

発促進に繋がることを考慮して、下記の点に着目した。

・ 地熱構造や資源量から見て、豊富な地熱資源が期待されること

・ 経済性評価から見て、経済的な開発が可能と判断されること

・ 電力需要や開発政策・方針から地熱開発ニーズがあること

・ 地熱開発の障害となる社会的・環境上の課題が無いこと、もしくは回避できること

補足資源調査地域の選定のために検討した評価項目を Table 4.1.2-1 に添付した。補足調査地域

選定の流れは、評価項目に基づき、次の手順で実施した。

(a) 事業経済性

発電所建設コストおよび地域毎の貯留層の特性(深度、坑井特性(生産・還元量)を考慮

した掘削コストに基づいた簡易経済性評価による初期投資コストのランク付け。

(b) 地域の安全性

現地での調査が安全に実施できない地域に関しては、将来的に地熱開発においても遅れる

ことが考えられることから、外務省のインドネシアに関する海外安全情報の中で、安全が確

保されていない下記の地域に存在する地熱地域は、補足調査候補地から除外した。

・ ナングル・アチェ・ダルサラム州(旧アチェ特別州)

・ マルク州、北マルク州、パプア州、西イリアンジャヤ州、中部スラウェシ州

および東ヌサトゥンガラ州の西ティモール地区

(c) 開発ステージ

既開発地域、JOC 締結済地域、調査が十分に実施され、開発計画が既に確定している地域

(Road Map2025 において開発プログラムが決定している地域。但し、掘削が実施されておら

ず、地熱蒸気が確認されていない地域を除く)、および自然・社会環境上の制約がある地域に

関しては、補足調査候補地から除外した。

(d) 事業目的

電力系統に組み込まれる大規模電源(Gridding)、 および地方電化に貢献し多目的利用等に

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4-11

よる社会開発の政策的要素が加えられた小規模独立電源(Non-Gridding)別に各地熱地域を分

類した。

(e) 事業形態

政府関連機関による ODA 事業、IPP 民間資金による事業、政府関連機関による無償支援事

業別に各地熱地域を分類した。

(f) 開発難易度

インフラ整備状況、現地へのアクセス・立地条件、および周辺地域の開発状況等などから

その必要性を検討した。

(2) 補足資源調査地域

上記の手順に従って、次に示す補足現地調査の実施が臨まれる 16 候補地(18 地熱地域)を選

定し、第2回ワークショップ(2006 年 8 月末開催)において、インドネシア側に説明し、協議

した。本会議において、以下の地域の地質・地化学調査に関する現地補足調査の実施が承認され

た。

Sipaholon-Tarutung(北スマトラ州)、Muara Labuh および G. Talang(西スマトラ州)、Sungai Penuh

(ジャンビ州)、Bukit Gedung Hulu Lais(ベンクール州)、Marga Bayur(南スマトラ州)、Suoh

Antatai および Genung Sekincau(ランプン州)、Cisolok-Cisukarame および Tangkuban Perahu(西

ジャワ州)、 Citamang-G. Karang(バンテン州)、Telomoyo および Ungaran(中部ジャワ州)、

Wilis-Ngebel および Ijen(東ジャワ州)、Sokoria-Mutubusa(東ヌサ・テンガラ州)、Tompaso(北

スラウェシ州)、Suwawa(ゴロンタロ州)

さらに本会議の中でインドネシア側から、次の 5 地域に関しては地熱資源の存在可能性が期

待されることから、補足調査を実施して欲しい旨の要求があり、JICA 調査団は第 2 次現地調査

期間内に追加して実施することに同意した。

Pusuk Bukit-Danau Toba および Simbolon-Samosir(北スマトラ州)、Tambang Sawah(ベンクー

ル州)、Raja Basa(ランプン州)、Kotamobagu(北スラウェシ州)

このように、補足資源調査対象地域として次の 23 地域が選定された。Fig. 4.1.2-1 に現地補足調

査を実施した 23 地域を示す。

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4-12

補足調査対象地域一覧

4.2 補足地質調査結果

4.2.1 調査方法

現地では、地層分布の確認調査を行うと共に、各地域の地熱流体の流動性に影響を与える可能

性のある地質構造を把握するために断裂系調査を実施し、断層に関連する直接的な証拠を収集し

た。また、新期火山岩や貫入岩が存在する場合には、岩質、分布や形状および成因等を調査し、

地熱活動と流体の通路となる断裂・断層構造との関連性を検討した。地表変質帯が見られる地域

に関しては、地熱流体の上昇域(ディスチャージ域)との関連性を検討する変質帯調査を実施し

た。

主な調査項目は以下のとおりである。

(1) 地表地質調査

広域地域および周辺の地質層序、地質構造、基盤岩の構造・岩相、新期火山岩の分布域の抽

出を行った。特に断層の性状や多孔質地層の分布などの透水性に関する情報や水理を規制する

地質構造、深部の火山活動あるいはマグマ活動に起因する熱源そのものの解明に繋がる情報等

に収集した。

Region Field

North Sumatera ・ PUSUK BUKIT - DANAU TOBA (No.11) ・ SIMBOLON – SAMOSIR (No.12) ・ SIPAHOLON – TARUTUNG (No.71)

West Sumatera ・ MUARALABUH (No.13) ・ G. TALANG (No.14)

Jambi ・ SUNGAI PENUH (No.17)

Bengkulu ・ B. GEDUNG HULU LAIS (No.21) ・ TAMBANG SAWAH (No.22)

South Sumatera ・ MARGA BAYUR (No.24)

Lampung ・ SUOH ANTATAI (No.28) ・ G. SEKINCAU (No.29) ・ RAJABASA (No.30)

West Java ・ CISOLOK – CISUKARAME (No.35) ・ TANGKUBANPERAHU (No.40)

Banten ・ CITAMAN - G. KARANG (No.42)

Central Java ・ TELOMOYO (No.46) ・ UNGARAN (No.47)

East Java ・ WILIS / NGEBEL (No.50) ・ IJEN (No.51)

East Nusa Tenggara ・ SOKORIA – MUTUBUSA (No.57)

North Sulawesi ・ KOTAMOBAGU (No.62) ・ TOMPASO (No.63)

Gorontalo ・ SUWAWA-GORONTALO (No.73)

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4-13

(2) 変質帯分布調査

地熱流体の上昇域(ディスチャージ域)との関連性を検討するために、広域地域における地

熱徴候・変質帯分布を抽出した。また、温泉や噴気の分布域とその位置関係(線状配列)から、

それらの分布と断層等の地質構造との関連性を検討した。さらに、入手資料による変質帯分布

(明礬石帯、カオリナイト帯、珪化帯等)を基に、熱水活動を推定した。

(3) 断裂系分布調査

広域地域の地熱流体の流動に密接な関係があると思われる断層抽出をおこなった。地表調査

を実施した地域内には殆んど坑井調査は行われておらず、シュランベルジャー法や初期の MT

探査等が実施されている程度で、低比抵抗部やその急変部に関しては、断層との関連を検討し

た。また、これらデータが全く無い地域に関しては、衛星画像データや相対的に精度が高いと

判断した地形図などからできるだけ構造を推定した。これらの断層や破砕帯の分布状況から、

地熱流体の通路や貯留層分布域の推定に努めた。

この他、新期火山岩や貫入岩の特定、熱水変質および火山・熱水活動の年代の把握を目的に

岩石試料の採取を行った。

試料分析項目および数量は、以下のとおりである

・岩石薄片作成 …………………21 試料

・岩石薄片顕微鏡観察 …………10 試料

・X線回折分析 ………………20 試料;全岩試料調整、全岩測定・解析、

定方位試料調整、定方位測定・解析

・ICP70 成分分析 ………………11 試料

・年代測定 TL 法 ………………18 試料

・年代測定 K-Ar 法 ………………5 試料

なお、年代測定については、既存データや現地野外状況から、より適切な年代測定手法(TL

法もしくは K-Ar 法)を選択した。

4.2.2 調査結果

(1) 地質調査

各地域の地表踏査結果は、第 4.5 章に示す地熱構造集約図(App. 4.5.2-1)および地熱構造評価

表(App. 4.5.2-2)に反映させた。以下に本調査の実施により取得できた主な知見を列記する。

また、App. 4.2.2-1 に地質調査内容を示す。なお、調査結果の詳細はインテリムレポートに記載

した。

スマトラ島の地熱地域は、広域的な断層である NW-SE 系のスマトラ断層に沿って、全島に亘

り分布している。一部の地域(Muara Labuh および Sungai Penuh)を除いて、第四紀の活発な火

山活動を熱源として貯留層が形成されている。概して、大規模な地熱資源量を有する地域が多

く見られるが、(Tambang Sawah、 B. Gedung Hulu Lais、Muara Labuh、Sungai Penuh 地域では、

Pull-Apart 盆状構造によるグラーベン型貯留層が発達している。

ジャワ-バリ地域の地熱地帯は、大局的にはプレートの境界や火山の配列と平行に E-W 方向

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4-14

に広範囲に亘って分布している。Cisolok-Cisukarame を除いて調査を実施した地域は全て第四紀

の火山活動に関係していることが判明したが、広域的な構造から副次的に派生した N-S 系、

NE-SW 系もしくは NW-SE 系の断層に沿って、カルデラ型もしくはドーム型の地熱貯留層を形

成している。

北部スラウェシ島の地熱地帯は、フィリピンのミンダナオ島から連続する火山列の南端に位

置する。NE-SW 系の広域断層が発達しており、Tondano カルデラの南西部や Ambang 火山の周

縁に地熱帯が形成されている。Kotamobagu 地域ではカルデラの一部が崩壊し、グラーベン型の

地熱系(Kopandakan 地区、Bakan 地区)も形成されている。Suwawa-Gorontalo 地域には新規の

火山活動は確認されていない。

フローレス島の地熱地帯は比較的規模は小さいものの、新期火山岩の周辺にカルデラ型もし

くはドーム型の地熱系を形成している。

(2) 採取試料の解析方法・結果

室内分析を実施した結果を以下にまとめる。

各地域で採取した地表に分布する火山岩は、肉眼ではやや新鮮な岩相を示すが、顕微鏡観察

の結果、造岩鉱物が変質鉱物に置換されている場合が多く観察され、地表でもやや熱水変質作

用が進んでいることが明らかになった。

X 線回折分析を実施することにより、各地熱地域に発達する変質帯の変質鉱物種を把握する

ことができた。分析を実施した多くの地域で、温泉・噴気の活発な箇所では、強い酸性変質帯

が分布することが把握された。一部の地域では(Muaralabuh など)では、中性~弱アルカリ性

熱水による変質帯が分布することが明らかになった。これら X 線分析結果と薄片観察結果およ

び地表踏査結果を組み合わせることにより詳細に地表の変質帯分布が把握できた。

Pusuku Bukit-Danau Toba では、地熱貯留層分布深度の基盤岩の観察を行い、基盤岩の一部は化

石片を含む、石灰岩からなることがわかった。

Sungai Penuh では、盆地と丘陵を境する断層の上盤に位置する丘陵を構成する花崗岩の薄片観

察をした。鏡下では、剪断変形構造が観察され、スマトラ断層帯による断層破砕帯が盆地西部

の丘陵に幅広く分布することが把握された。

火山岩の化学分析を実施することにより、熱源と関連性の深い火山層序を検討するための基

礎的データを得ることができた。

各地熱地域に分布する変質岩の TL 年代測定を実施した結果、変質年代として、1.7 Ka~2400

Ka の値が得られ、各地熱地域の変質年代を明らかにすることができた。

Cisolok-Cisukarame 地域で、Cisolok の温泉の南方に火山岩が見いだされた。偏光顕微鏡観察

の結果、安山岩(熱水変質をやや受けている)からなることが明らかになった。また、その K-Ar

年代測定は、測定の結果、10 Ma 程度の年代値が得られた。

以下に分析項目ごとに記載する。App. 4.2.2-2 に室内分析項目を示す。

(a) 岩石薄片作成・顕微鏡観察

偏光顕微鏡観察は、岩石名、岩相および変質状況を明らかにすることを目的として実施し

た。採取された試料のうち、岩種または変質の代表的な部分から薄片を作成し、偏光顕微鏡

下で観察・記載した。鏡下における観察事項は、鉱物組成、組織、共生関係等である。観察・

記載された鉱物組成、組織、共生関係等をもとに、岩相および変質状況を検討した。

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4-15

岩石薄片観察結果一覧表を App. 4.2.2-3 に示す。

(b) X 線回折分析

粉末 X 線回折分析は、変質鉱物を同定することを目的として実施した。X 線回折用全岩粉

末試料は、採取した試料を乳鉢で 50~100 メッシュに粉砕し、さらにメノウ鉢内で指頭に感

じない程度(150~200 メッシュ)まですりつぶし、測定用試料とした。

測定は、X 線回折分析装置を用いて行う。スリット条件、カウント・フルスケール等の測

定条件は、記録紙(X 線チャート)上の各ピークが小さすぎないよう、また、スケールアウ

トするピークが多くならないように設定し、全試料とも同一条件になるように測定した。鉱

物の同定は、X 線チャートのピークと JCPDS (Joint committee on powder diffraction standards

の略称)が刊行している X 線粉末回折データファイルを照合して行った。鉱物の量比は、各

鉱物の最強ピークについて、石英指数(林、1979)を用いて整理した。石英指数は、試料中

のある鉱物の最強X線強度 Im(cps)を同じ実験下で測定した純粋な石英の最強X線強度 Iq

(cps)の百分率で表したものである。同定された変質鉱物種は、変質作用に係わった地熱流

体の温度や pH の推定を行うための基礎資料として利用した。

分析の結果、X 線回折分析により同定された変質鉱物は以下のとおりである。X 線回折分

析一覧表を App. 4.2.2-4 に示す。

珪酸塩鉱物 : トリディマイト・クリストバライト・石英

粘土鉱物

: スメクタイト・緑泥石/スメクタイト混合層鉱物・緑泥石・

イライト・カオリナイト 沸石類 : モルデン沸石 硫酸塩鉱物 : 明ばん石・硬石膏 その他 : 黄鉄鉱・菱鉄鉱・斜長石

(c) ICP70 成分分析

火山岩の化学成分を明らかにするために、ICP70 成分分析装置を用いて行った。火山岩の

主成分・微量元素を分析し、化学成分と鉱物組成を比較・検討することにより、火山の性状・

発達様式を検討した。その結果は、熱源評価や地熱系の評価の基礎資料とした。

(d) 年代測定 TL 年代

熱ルミネッセンス法(TL 法)は、石英や長石などを用いて火山噴出物の年代測定、土器な

どの考古試料の年代測定や堆積物の年代測定に広く用いられている。TL 法では、試料を加熱

すると捕獲電子が伝導帯レベルまで励起され、基底状態に戻るときに光エネルギ-を放出す

る現象を利用する。これを熱蛍光現象あるいはサ-モルミネッセンス(TL)と呼んでいる。

TL値は、対象鉱物が生成してから現在までに受け取った化石線量あるいは等価線量(ED)

と、試料が1年間に被爆する年間線量(AD)との比で与えられ、これらの値を測定すること

により、年代値を求める。

断層粘土や変質岩の年代測定では、岩石の生成以来蓄積されていたTL信号やESR信号

が、断層運動による摩擦熱や地熱流体の熱により消失(アニーリング、リセット、ゼロイン

グ)し、その後再び蓄積された信号を計測することによって、熱イベント年代が推定される。

これにより、岩石の変質年代を求めることができる。地熱地域の変質年代を求めることは、

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4-16

その地域の地熱系・地熱活動を評価する上で、極めて有用なものであり、本調査では、変質

年代を求めるために、本分析を実施した。

熱ルミネッセンス年代測定結果一覧を App. 4.2.2-5 に示す。表に示すように、今回の石英試

料の TL 年代は 1.7~2400ka(1700 年~240 万年)を示している。TL 信号は耐熱性が低いので、

これらのTL年代は、試料が常温以下に冷却してからの年代を意味している。なお、石英の

TL 年代測定の上限は数百万年であるとされている。今回の試料の一部(200 万年を超える試

料)は限界に近いものであるといえる。

(e) 年代測定 K-Ar 年代

火成岩の絶対年代を明らかにするために、K-Ar 法年代測定を行った。K-Ar 法年代測定は、

40K の壊変により 40Ar が生じるものを利用するもので、火成岩の絶対年代測定に広く用いら

れている方法である。

測定した試料のうち、No.62-1 は、測定した試料は、Danau Mooat 北岸の標高 1、246 m の

円頂丘(Bulud Duluong)を構成する andesite である。

No.62-3 および 62-4 は、Kopondakan の西に見られる火山岩を対象とした。No.62-3 の露頭

は、上位より、礫層(2m)-―火砕流堆積物 or 再堆積物(1m)-礫層(0.6m)―非溶結火砕

流堆積物(7m、下限不明)が観察される。火砕流堆積物の中ほどに細粒になる部分があり、

2つのフローユニットからなる可能性がある.それぞれのフローユニット内では無構造であ

る。石質岩片は最大径 5cm.茶色っぽい風化(角閃石)安山岩が多い。採集した試料は軽石

片、石質岩片である。No62-4 は、Tungoi の道路西側の法面の露頭で、露頭幅 200m、高さ 30-40m.

変質および未変質安山岩.露頭の南端から 50m 地点の幅 10~15m の部分だけが未変質.あと

は白色に変質している。採集した試料は、未変質角閃石安山岩および変質安山岩である。Bakan

および Tungoi の角閃石安山岩は 8-10+mm の大きな角閃石斑晶が特徴的だが、ここの角閃石

斑晶は小さい(~2・3mm)。測定結果一覧表を App. 4.2.2-6 に示す。

4.3 補足地化学調査結果

各地熱地域の貯留層流体特性(起源、加熱機構、温度、混合流動状況等)を把握・推定するた

め、もしくはその確度を向上させるため、既存データでは不足している地熱流体の化学・同位体

データを取得することを目的とし、温泉水および噴気ガスの採取・分析を行った。

4.3.1 調査方法

各対象地域内および周辺地域の温泉水・噴気ガスを現地で採取し、持ち帰った試料の化学・同

位体分析を行った。採取試料の選定は、各地域における既存データの数量・採取位置・分析項目

等とともに、現地での地熱徴候の状況に基づき決定した。

温泉水試料は、水量 0.5~4L をポリエチレン製容器に採取・密栓し持ち帰った。一部の試料に

は、溶存成分の沈殿等を防止するため、採取時に塩酸による酸処理を施した。試料採取時には水

温および気温を測定・記録するとともに、簡易的に pH および電気伝導度を測定した。

噴気ガス試料は、事前にアルカリ溶液(NaOH)を封入した後に真空としたガラス捕集瓶を利用

(Giggenbach 法)し、自然噴気にステンレス製ファネルを被せてシリコンチューブによりガスお

よび蒸気凝縮水を瓶内に導入して採取した。

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4-17

持ち帰った温泉水・噴気ガス試料は日本に送付し、国内の分析所において化学・同位体分析を

行った。分析方法を App. 4.3.1-1 に、分析項目と数量を以下に示す。なお、温泉水の分析は、深部

の地熱貯留層熱水を混入している可能性が高い温泉水、すなわち湧出温度が高く中性で塩濃度(電

気伝導度)が高い試料を主な対象とした。

・温泉水

pH、電気伝導度、T-SiO2、δD(H2O),δ18O(H2O) ………… 18 試料

Cl ………………………………………………………………… 19 試料

Na,K,Ca,Mg,Fe,NH4,SO4,HCO3,B ……………… 10 試料

・噴気ガス

不凝結ガス濃度,CO2,H2S,HCl,H2,N2,CH4,O2,Ar …… 10 試料

δD(H2O),δ18O(H2O)(凝縮水)………………………………… 9 試料

本調査で温泉水もしくは噴気ガスを採取・分析した地域は、今回現地調査を行った 23 地域のう

ちの 16 地域となった。

4.3.2 調査結果

温泉水・噴気ガスの化学・同位体分析結果とその分析データから算出した地化学温度や化学成

分比を App. 4.3.2-1~App. 4.3.2-3 に示す。調査結果の詳細はインテリムレポートに記載した。

温泉水については、ほとんどの試料において、深部の貯留層熱水の混入を示唆する高い Cl 濃度

および T-SiO2濃度が分析された。各々の最高の濃度は、Cl 濃度が Rajabasa(6,830 mg/L)の温泉

水で、T-SiO2濃度が Sungai Penuh(402 mg/L)の温泉水で認められた。

噴気ガスについては、すべての試料の分析データに試料採取時もしくは採取後に混入した大気

に由来すると考えられる O2(酸素)が含まれていたため、解析に際しては大気補正を施したデー

タ(App. 4.3.2-3 下)を使用した(ただし、Muaralabuh の試料には過剰な O2が含まれていたため

補正が不可能であった)。不凝結ガス(NCG:Non-Condensable Gas)の濃度は、Simbolon-Samosir・

B. Gedung Hulu Lais・Ungaran・Wilis/Ngebel の4箇所の試料で 15 mole%以上の高い濃度が認めら

れたが、これは、噴気温度が沸点よりも低いことから、噴気中の蒸気が地表近くで凝結したこと

によりガス成分が濃縮されたことによると考えられる。不凝結ガスの主成分は CO2 であり、H2S

は最高で 14.8 mole%(G. Skencau)含まれていた。マグマから直接的に発散される高温ガスに特徴

的な HCl は、0.1 mole%以下とほとんど含まれていなかった。

4.3.3 データ解析

本調査により得られた温泉水・噴気ガスの化学・同位体データを使用し、下記の項目の解析を

行った(解析結果の詳細はインテリムレポートに記載した)。

・熱水起源の推定(天水・海水等):水素-酸素同位体組成図(App.4.3.3-1)

・熱水タイプの分類、加熱機構推定:

主要陰イオン三成分図(App.4.3.3-2)および Cl/SO4-pH 関係図(Fig.

App.4.3.3-3)

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4-18

・熱水の起源・貯留母岩の推定:温泉水の B-Cl 濃度関係図(App.4.3.3-4)

・熱水化学成分による地下流体温度の推定:

地化学温度計算(App.4.3.2 -3)

T-SiO2-Cl 濃度関係図(App.4.3.3-5)

Na-K-Mg 三成分図(App.4.3.3-6)

地化学温度比較図(App.4.3.3-7)

・噴気蒸気の起源の推定(天水・マグマ水等):水素-酸素同位体組成図(App.4.3.3-8)

・噴気ガス化学成分による地下流体温度の推定:

地化学温度計算(App.4.3.2-3)および噴気ガス地化学温度相関図(App.4.3.3-9)

なお、App.4.3.3-1 および App.4.3.3- 8 の作成に際しては、(独)産業技術総合研究所の高橋正明

氏より提供頂いた未公表のスマトラ島北部の地表水に関する水素・酸素同位体データも使用した。

また、本解析で適用した地化学温度計は以下のとおりである。

熱水シリカ温度

T SiO2: 石英温度、カルセドニー温度、α-クリストバライト温度(Fournier, 1977)

熱水アルカリ比温度

T Na/K(T): Na/K 温度(Truesdell, 1976)

T NaKCa: NaKCa 温度(Fournier and Truesdell, 1973)

T dMg: NaKCa-dMg 温度(Fournier and Potter, 1979)

T K/Mg: K/Mg 温度(Giggenbach, 1988)

ガス化学温度

T D&P: CO2-H2S-H2-CH4 温度(D’Amor and Panichi, 1980)

T CO2/Ar: CO2/Ar 温度(Giggenbach, 1991)

各地域の解析結果については第3章に述べる既存データも併せた解析・考察による地熱資源評

価に反映させるが、本調査の実施により取得できた主な新たな知見や特記すべき解析結果は以下

のとおりである。

・地熱流体の起源に関し、同位体データの取得によって、いくつかの地域について明確にするこ

とができた。G. Sekincau・Ungaran・Wilis/Ngebel の流体にはマグマ起源水が含まれているこ

とが確認できた。 ・高温の深部地熱貯留層熱水では一般的な熱水の岩石との反応による酸素同位体シフトが一部地

域(Muaralabuh・Sungai Penuh・Suoh Antatai・Tompaso)の温泉水において明確に認められ、

貯留層流体存在の可能性が非常に高いことが確認された。 ・温泉水および噴気ガスの化学データ使用に基づく新たな地化学温度データの取得により、地下

地熱流体温度の推定精度の向上に寄与できる。本調査で得られたデータからは、Muaralabuh・

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4-19

Sungai Penuh ・ B. Gedung Hulu Lais ・ Suoh Antatai ・ G. Sekincau ・ Rajabasa ・

Cisolok-Cisukarame・Ungaran・Wilis/Ngebel において 200℃前後もしくはそれ以上の高温流体

が存在することが推定される。 4.4 補足物理探査結果

4.4.1 対象地域の選定

物理探査地域の選定に関しては、2006 年 10 月 17 日に実施された Counterpart Meeting によって

決定された。

本会議において、まず JICA 調査団から、現地補足地質・地化学踏査(23 地域)および既往調

査の結果を踏まえて、資源量および流体化学特性を考慮した MT/TDEM 調査が実施可能な 34 地域

(Table 4.4.1-1 参照)が説明された。

次に、地下資源センター(CGR:バンドン)側から政府管轄地域内での MT/TDEM 探査希望地

域の説明が行われた。CGR が希望した地域の優先順位は以下の通り。

1. Sokoria-Mutubusa(東ヌサテンガラ州)

2. Muala Laboh(西スマトラ州)

さらに、PERTAMINA 鉱区内での MT/TDEM 探査希望地域の説明が PERTAMINA 側から行われ

た。PERTAMINA が希望した地域の優先順位は以下の通り。

1. Kotamobagu(北スラウェシ州)

2. Sungai Penuh(ジャンビ州)

最後に、JICA 調査団と DGMCG を含めたインドネシア側地熱関係者との間で、資源量・社会環

境面・将来の開発計画に関する議論が行われた結果、次の2地域が補足物理探査(MT/TDEM 探

査)候補地として選定された。

1. Sokoria-Mutubusa(東ヌサテンガラ州)

2. Kotamobagu(北スラウェシ州)

4.4.2 データ取得・解析方法の概要

選定された2地域において補足物理探査(電磁探査;MT/TDEM 法)を実施し、調査地域の地

下深部における詳細な比抵抗構造(電気的な構造)の把握に努めた。調査目的は、比抵抗分布の

形状から断裂構造の分布や地下における熱水変質帯の分布状況等を検出し、地熱貯留層の位置・

方向性を検討するとともに、掘削有望地域の選定の基礎資料となることとした。

本調査では、深部までの比抵抗構造の解析が可能な地磁気地電流探査法(MT 法)を実施した。

また、浅部の比抵抗構造を詳細に解析可能な時間領域電磁探査法(TDEM 法)も同時に実施し、

MT 法探査データの浅部構造の補正を行い、地下比抵抗構造の解析精度の向上を図った。

探査測点は、地熱構造、特に地熱流体の通路・貯留域となり得る断裂構造(断層・カルデラ壁

等)の分布位置を詳細に検討するため、間隔を 600~1250mとした概略格子状に設置した。測点

数は1地域につき 35 測点(2地域で合計 70 測点)とした。また、貯留層深度に関する過去の調

査開発経験や経済的に掘削可能な深度から、概略 1000~2500mの貯留層構造が解明できれば良い

ことから、MT 探査においてはこの深度あるいは、さらに深部の比抵抗情報を得ることが可能な

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4-20

360~0.001Hz の周波数範囲において 30 周波数以上のデータ取得を行った。

また、TDEM 法により浅部の比抵抗情報を取得し、その浅部比抵抗情報を基にして、現地で取

得したMT法データ(見掛比抵抗値)の補正(スタティック補正)を実施した。さらに、補正後

の見掛比抵抗値から地下深部までの比抵抗構造を解析するために、2次元比抵抗断面解析(有限要

素法を用いた2次元平滑化拘束付き逆解析)を実施した。

(1) 調査項目

調査方法 : リモートリファレンス方式地磁気地電流探査(MT 探査)および時

間領域電磁法探査(TDEM 探査)

調査面積 : Sokoria 地熱地域 約 9km2、

Kotamobagu 地熱地域 約 37.5 km2

測点数 : Sokoria 地熱地域 35 点、

Kotamobagu 地熱地域 35 点

測定成分(MT) : 磁場 3 成分 (Hx, Hy, Hz)および電場 2 成分 (Ex, Ey)

測定成分(TDEM) : 送信電流遮断後の垂直磁場成分 (Hz)

測定周波数(MT) : 0.00041Hz~360Hz の範囲の 80 周波数

送信周波数(TDEM): 2.5Hz

(2) 現地調査方法

(a) 調査地域および測点配置

Sokoria 地域の MT/TDEM 探査調査位置図を Fig. 4.4.2-1 に、また、Kotamobagu 地域の

MT/TDEM 探査測点位置図を Fig. 4.4.2-2 に示す。測点は比抵抗構造および断裂構造の分布位

置を詳細に把握するために、Fig. 4.4.2-1-Fig. 4.4.2-2 に示すように、測点間隔 600~1250m

(Sokoria 地域:約 600m、Kotamobagu 地域:約 1250m)で、概略格子状に配置した。なお、

本調査で測定を実施した測点数は Sokoria 地域、Kotamobagu 地域とも 35 点であり、測点位置

の座標は GPS を用いた簡易測量によって決定した(Sokoria 地域および Kotamobagu 地域の

MT/TDEM 測点座標一覧図を Table 4.4.2-1 に示す)。現地における測定は PT. ELNUSA

GEOSAINS の技師および西日本技術開発㈱の技師による共同作業により実施された。また

Sokoria 地域においては CGR の技師により、Kotamobagu 地域においては PT. PERTAMINA の

技師により、測定に必要な現地作業の許可取得および現地作業の助勢が行われた。

(b) リモートリファレンス点の選定(MT 探査)

電磁ノイズ除去のために設置するリモートリファレンス点は、調査地域の外に位置し、且

つ電磁ノイズ(電線、パイプライン、民家等)が可能な限り少ない地点を選定する必要があ

る。Sokoria 地域の調査においては調査地域の西約 20km の農地内で、また、Kotamobagu 地域

の調査においては調査地域の北東約 70km に位置する空地で、テスト観測を実施したところ、

電磁ノイズが非常に少なく、本調査のリモートリファレンス点として適当であると判断され

た。このため、この地点に調査期間中、リモートリファレンス点を設置し、観測を行った。

(c) データ取得方法

本調査では、リモートリファレンス点と調査地域内の測点 2~3 点で、同時観測を行うリモ

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4-21

ートリファレンス方式を実施した。観測点においては、電場 2 成分(Ex, Ey)および磁場 3

成分(Hx, Hy, Hz)について時系列データの測定を実施した。なお、電位電極間隔は原則とし

て Ex,Ey ともに 70~100mとして測定を実施した。

電場および磁場データの測定は、主に人工ノイズが少ないと考えられる夜間帯(17 時から

翌朝 8 時まで)に実施した。測定した周波数は 360Hz から 0.00041Hz であり、この周波数帯

において、80 周波数の見掛比抵抗値および位相値を算出した。時系列データの取得は、各測

定点およびリモートリファレンス地点で同時に行い、512MB のフラッシュメモリカードに記

録した。なお、全周波数データは 20 のセグメントに分割して、周波数解析を行い、クロスパ

ワー、インピーダンステンソルを計算した後、最終的に見掛比抵抗値および位相値を算出し

た。この結果、算出された各周波数毎および各セグメント毎の見掛比抵抗値および位相値を

各データの標準偏差によりチェックした。20 のセグメント毎に算出された見掛比抵抗値と位

相値の内、平均値から大きく離れたデータは除外し、その後、除外されなかったデータのみ

を用いて見掛比抵抗値および位相値の再計算を行った。再計算後の見掛比抵抗値および位相

値の周波数毎の連続性がなおも低い場合には、連続性が高くなるまで、この操作を繰り返し

行い、見掛比抵抗値と位相値の最終値を決定した。なお、各測定点において取得されたデー

タは、ノートタイプのパーソナルコンピューターを用いて各観測点で回収し、宿舎にて外付

け型ハードディスクに記録を行った。

時間領域電磁法探査(TDEM 電磁探査)は、地表に設置した正方ループコイルに人工的な

電磁エネルギーを発生させ、この電磁エネルギーにより励起される渦電流をを測定する電磁

法探査である。本調査においては、人工電磁エネルギーを遮断した後に、渦電流により発生

する2次電磁場を送信源となる正方ループコイルの中央に設置した受信コイルをもちいるこ

とにより測定を行った。TDEM 法電磁探査は通常 10-500m程度の地下比抵抗構造を把握す

る手法であるが、今回の調査においては MT 探査のスタティック補正を行う目的で実施した。

なお、MT 探査および TDEM 探査の測定装置配置状況図を Fig. 4.4.2-3 に示す。

(d) 現地データ処理

各測定点およびリモートリファレンス地点において回収された電場および磁場の時系列デ

ータは、宿舎にてリモートリファレンス処理を実施した。リモートリファレンス処理後、以

下に示す MT パラメータの算出を行った。

・周波数毎の見掛比抵抗値(南北方向および東西方向)

・周波数毎の位相値(南北方向および東西方向)

・コヒーレンシー値(Ex-Hy, Ey-Hx, Ex-Hx, Ey-Hy)

・ティッパー値

リモートリファレンス処理により得られるクロスパワーデータの編集後、上記データの連

続性、S/N を確認し、データの品質が悪い場合には、同一測点による再測定を実施した。ま

た、再測定においてもデータ品質の向上が認められない場合には、測定点を若干移動して再

度測定を行った。今回の現地測定においては、幾つかの測点における低周波数のデータにお

いて、標準偏差の比較的大きなデータが認められたものの、解析には充分な精度のデータの

取得を行うことができた。

また、各周波数の 20 クロスパワー毎の見掛比抵抗および位相をコンピューター画面出力す

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4-22

ることにより、時間毎のノイズ状況を把握し、特にノイズが多い(風雨や雷)と考えられる

時間帯のデータを取り除くエディット処理(データ編集作業)を実施した。

(3) 解析方法

データ解析の最終目的は、地下構造の解明に役立つ、調査地域の水平方向および垂直方向の

比抵抗分布を精度良く解析し、比抵抗構造による地下構造解析に役立てることである。

(a) データ解析の概要

1) 見掛比抵抗

MT 法データの解析の基本式はカニヤルの式(Cagniard equation)と呼ばれており、(1)式で

表現される。この式は水平成層大地に平面電磁波が垂直に入射するとして、マックスウエル

の方程式(Maxwell’s equations)により導かれる。

22.0HE

fa =ρ (1)

ただし、

ρα :見掛比抵抗(ohm-m) f :周波数(Hz)

E :電場(mV/km)の水分成分

H :磁場(nT)の水分成分

2) 透入深度

透入深度は、一般に(2)式に示す表皮深度が用いられている。これは、比抵抗一定の均質媒

質に、平面電磁波が垂直に入射した場合に、電磁波が、地表の 1/e に減衰するまでの距離で

あり、カニヤルの式(Cagniard equation)における見掛比抵抗値の測定対象深度を意味する。

2/1)/(355 fρδ ×= (2)

ただし、

δ :透入深度(表皮深度)(m)

ρ :大地の比抵抗(ohm-m)

f :周波数(Hz)

(2)式から明らかなように、MT 法においては周波数が高くなるにつれ、より浅部の情報が、

逆に周波数が低くなるにつれ、より深部の情報が得られる。これは、各周波数において、直

交する電場および磁場を測定すれば、浅部から深部までの比抵抗の分布が計算できることを

意味している。

3) 電場・磁場の一般関係式

地下の比抵抗構造が 2 次元や 3 次元的に変化する場合には、電場 Ex は、その垂直方向の磁

場 Hy のみならず、磁場 Hx とも関係する。同様に電場 Ey は、磁場 Hx だけでなく、磁場 Hy

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4-23

とも関係する。一般的には、地表で観測される自然電場(Ex および Ey)・磁場成分(Hx およ

び Hy)の間では、以下の関係が成立する。

ZyyHyZyxHxEyZxyHyZxxHxEx

+=+=

(3)

ただし、

Ex :電場の水平成分:通常南北方向 (mV/km)

Ey :電場の水平成分:通常東西方向 (mV/km)

Hx :磁場の水平成分:通常南北方向 (gamma)

Hy :磁場の水平成分:通常東西方向 (gamma)

Z :インピーダンステンソル要素

また、磁場の鉛直成分(Hz)と磁場の水平成分(Hx および Hy)については以下の式で表

すことができる。

HyBHxAHz ⋅+⋅= (4)

ただし、A,Bは係数

上記のうち、Z(インピーダンステンソル)は地下の電気的性質(比抵抗)の指標であり、

これらの値からカニヤルの式を用いて見掛比抵抗値を算出することができる。

4) リモートリファレンス・データ処理

前述してように、本調査においては、時系列データに含まれるノンコヒーレントノイズを

除去するために、リファレンス点を設置し、リファレンス点および測定点で観測された電場・

磁場の時系列を用いてデータリモートリファレンスデータ処理を実施した。

観測点とリモートリファレンス間におけるデータ処理のタイミングは、測定時に時系列デ

ータの各ブロック毎に書き込まれた測定時間、バンド番号等を参照して、両者が一致するデ

ータを自動的に検索して処理され、20個のクロスパワーがクロスファイルとして作成される。

これらのデータ(観測点におけるデータとリファレンス点におけるデータ)を基に以下の式

を用いてリモートリファレンスデータ処理を実施し、インピーダンス(Zxy,Zyx,Zxx,Zyy)

を算出した。

Zxx = (< ExHxr* >< HyHyr* > - < ExHyr* >< HyHxr* >

/< HxHxr* >< HyHyr* > - < HxHyr* >< HyHxr* >

Zxy = (< ExHxr* >< HxHyr* > - < ExHyr* >< HxHxr* >

/< HyHxr* >< HxHyr* > - < HyHyr* >< HxHxr* > (5)

Zyx = (< EyHxr* >< HyHyr* > - < EyHyr* >< HyHxr* >

/< HyHxr* >< HxHyr* > - < HyHyr* >< HxHxr* >

Zyy = (< EyHxr* >< HxHyr* > - < EyHyr* >< HxHxr* >

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4-24

/< HyHxr* >< HxHyr* > - < HyHyr* >< HxHxr* >

ここで、 Ex, Ey :観測点の X 方向、Y 方向の電場

Hx, Hy :観測点の X 方向、Y 方向の磁場

Hxr, Hyr :リファレンス点の X 方向、Y 方向の磁場

* :共役複素数を意味する

互いに直行する見掛比抵抗ρxy、ρyx および位相φxy、φyx は各周波数毎に上記のインピ

ーダンスを用いて、以下の(7)式に基づいて算出した。

))/(Re()(Im(tan

))/(Re()(Im(tan

)5/1(

)5/1(

1

1

2

2

yxyxyx

xyxyxy

ZZ

ZZ

Zyxfyx

Zxyfxy

=

=

=

=

φ

φ

ρ

ρ

(6)

5) 静補正(スタティック補正)

電位電極を設置した周辺に局所的な地下浅部の比抵抗異常体が存在する場合、この局所的

比抵抗異常が測定されたデータの全周波数成分に影響を及ぼし、見掛比抵抗曲線が上下にシ

フトすることがある。この影響は、スタティックシフトと呼ばれ、地下の比抵抗構造を解析

する上でこの影響を取り除くことは重要である。スタティックシフトは、局所的な地下浅部

の比抵抗異常の影響であるため、この影響を受けた測点データは近くに存在するデータとの

整合性に乏しく、このため高周波数域の見掛比抵抗分布において、その分布を乱す様な傾向

を示すことが多い。

今回の解析ではこれらのことを考慮に入れて、以下の方法によりスタティックシフトの除

去を行った。

i) 各測点におけるインバリアントモードの見掛比抵抗値を計算し、高周波数域でのイ

ンバリアントモード見掛比抵抗分布図を作成する。

ii) i)において作成したインバリアントモード見掛比抵抗分布図を基に、周辺の測点の

値と極端に異なる値を示す測点をチェックする。

iii) 周辺の測点におけるインバリアントモード見掛比抵抗値と極端に異なる値を示す

場合には、この値を周辺のインバリアントモード見掛比抵抗値となだらかな変化を

するように補間し、シフトさせる。

iv) 3)においてシフトさせてインバリアントモード見掛比抵抗値と実測インバリアント

見掛比抵抗値との差異から静補正係数(スタティックシフト値)を算出する。

v) シフトさせたインバリアントモード見掛比抵抗値を基に高周波数でのインバリアン

トモード見掛比抵抗分布図を再作成し、測点間におけるインバリアントモード見掛

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4-25

比抵抗値に急激な変化がないか否かのチェックを行う。この際、測点間で急激に変

化する箇所がまだ残っている場合には、ii)からの作業を再度実施する。

上記の方法により算出した静補正係数(スタティックシフト値)を Table 4.4.2-2 に示す。

以後の解析(2次元比抵抗構造解析)においては、静補正後のデータを使用して実施した。

6) 2 次元比抵抗構造解析

i) 2 次元モデリング解析の概要

1 次元比抵抗構造解析では、各測点の解析が深度方向に比抵抗が変化する 1 次元の層構

造を仮定しているのに対して、2 次元比抵抗構造解析(2 次元インバージョン解析)は、深

度方向および測線(断面)方向に比抵抗構造が変化する構造を仮定し、2 次元の比抵抗モ

デルから算出される断面上の各測点における見掛比抵抗値と実際の測定により得られた断

面上の各測点の見掛比抵抗値を数学的にマッチングさせることにより、地下の比抵抗構造

を解析する方法である(Fig. 4.4.2-4 参照)。この 2 次元インバージョン解析により、1 次元

層構造解析から得られる比抵抗構造に比べてより精度の高い地下比抵抗構造が把握できる

ことが期待される。

ii) 2 次元モデリングの基礎理論

大地および大気中の電磁場は、以下のマックスウェルの方程式で表される。

HiE ωμ=×∇ (7)

EH σ=×∇ (8)

ここで、

E : 電場 (mV/km)

H : 磁場 (nT)

ω: 角周波数 (=2πf)

μ: 大地の透磁率 (=4π×10-7)

σ: 大地の電気伝送率 (mho)

ただし、変位電流は無視できるものとしている。上式から

HkEEH 2)( =×∇×=×∇=×∇×∇ σσ (9)

EkHiHiE 2)( =×∇×=×∇=×∇×∇ ωμωμ (10)

となる。ここで ωμσik =2である。H を直交座標系の成分 Hx, Hy, Hz に分解すれば、(9)

式は以下のようになる。

0//// 2222222 =−∂∂∂−∂∂−∂∂+∂∂ HxkzxHzyxHykzHxyHx

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4-26

0//// 2222222 =−∂∂∂−∂∂−∂∂+∂∂ HykzyHzxyHxkzHyxHy (11)

0//// 2222222 =−∂∂∂−∂∂−∂∂+∂∂ HzkyzHzxzHxkyHzxHz

また、E を直交座標系の成分 Ex,Ey,Ez に分解すれば、(10)式は以下のようになる。

0//// 2222222 =−∂∂∂−∂∂−∂∂+∂∂ ExkzxEzyxEykzExyEx

0//// 2222222 =−∂∂∂−∂∂−∂∂+∂∂ EykzyEzxyExkzEyxEy (12)

0//// 2222222 =−∂∂∂−∂∂−∂∂+∂∂ EzkyzEzxzExkyEzxEz

2 次元比抵抗構造を考える場合、TM モードでは(11)式は以下のように簡便化される。

0// 22222 =−∂∂+∂∂ HykzHyxHy (13)

(13)式を有限要素法を用いて解き、Hy を算出すれば、Ex=1/σ・(∂Hy/∂z)により Ex を

求めることができ、見掛比抵抗(ρxy)および位相(φxy)を求めることができる。

)/arg(//1

HyExxyHyExixy

=

⋅=

φωμρ

(14)

また、TE モードでは、(13)式に対応する式は以下のようになる。

0// 22222 =−∂∂+∂∂ EykzEyxEy (15)

TM モード同様、これを有限要素法を用いて解き、Ey を算出すれば、Hx=-1/iωμ・(∂

Ey/∂z)により Hx を求めることができ、見掛比抵抗(ρyx)および位相(φyx)を求め

ることができる。

)/arg(//1

HxEyyxHxEyiyx

=

⋅=

φωμρ

(16)

iii) 有限要素法による 2 次元フォワード計算

解析対象となる断面を、数多くの小さな要素に分割し、要素内における電場成分の近似

解が形状関数 Ni と節点の値との一次結合で表されるものとする。すなわち、以下に示す(17)

式を仮定する。

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4-27

332211 EyNEyNEyNNiEyiHy ++=∑= (17)

ガラーキン法を用いて(18)式を解くには、

0)//( 22222 =−∂∂+∂∂∫∫ dsHykZHyxHyNi (18)

を解くことに帰着する。(18)式は、Green の公式を用いて面積分と線積分の項に分解すれ

ば、線積分の項は要素間の境界部において連続という仮定の基にうち消されるため以下の

式が得られる。

0)//( 22 =−∂∂∂∂−∂∂∂∂∫∫ dxdzHykNiHyxxNiHy zz (19)

この式に、(17)式を代入して解くと、以下の離散化された要素方程式が得られる。

)////( zzx NiNjHyjxNiNjHyj ∂∂⋅∂∂⋅∑+∂∂⋅∂∂⋅∑∫∫

)...3,2,1(0)2 njdxdzNiEyiNik ==∑− (20)

要素方程式(21)をすべての要素について重ね合わせ、境界条件を設置することにより

TM モードの 2 次元比抵抗モデルの計算が可能となる。また、TE モードについても同様の

手続きにより計算することができる。なお、有限要素法を用いた TM モードおよび TE モ

ードの 2 次元比抵抗モデル計算においては以下に示す境界条件を用いて計算を行った。

(TM モード境界条件)

- 断面の底面において Hy=0

- 断面の側面において∂Hy/∂x=0

- 地表面において Hy=1

(TE モード境界条件)

- 断面の底面において Ey=0

- 断面の側面において∂Ey/∂x=0

- 地表面から 100km 上空において Ey=1

iv) 2 次元比抵抗構造インバージョン計算

本解析で用いたインバージョン計算は、平滑化制約付き最小二乗法を用いたものである。

この手法では、以下に示す最小二乗法の目的関数 U を最小にすることにより、非線形方程

式を解くこととなる。

)()()()( mCmCmWAdWmWAdWU TT ΔΔ+Δ−ΔΔ−Δ= α (21)

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4-28

ここで W は各データの重み行列、Δdは実測データとモデル計算値の残差、Δmは比抵

抗モデルパラメータの修正値ベクトル、αは平滑化パラメータ、C はモデルのラフネス行

列である。

関数 U の第1項は実測データと計算データの差異を示し、第 2 項は 2 次元比抵抗モデル

のラフネスを示す。この目的関数 U を最小にするΔmは、以下に示す正規方程式を解くこ

とで求まる。ただし、モデルの比抵抗値と見掛比抵抗、位相は非線形の関係にあるため、

先ず 2 次元比抵抗モデルの初期値を与え、以下の式を用いて反復改良をすることにより、

比抵抗モデル(各比抵抗ブロックの比抵抗値)の修正を実施する。

dWAmCCWAWA TK

TT Δ=Δ+ + )(})(){{( 1α (22)

ここで、Δmは、反復計算 k 回目における比抵抗モデルパラメータの修正値ベクトルで

あり、A はヤコビアン行列(比抵抗モデルパラメーターを変化させた時の見掛比抵抗値お

よび位相値の変化率を示す)を示す。実測データ(見掛比抵抗、位相)と有限要素法によ

る計算データの残差二乗和が十分小さくなるまで、(22)式の繰り返し計算を行えば、2 次元

比抵抗構造モデルの最終解を得ることができる。

なお、今回の解析における 2 次元インバージョンの入力データにおいては、各ブロック

の初期値を均質(見掛比抵抗値の平均値)とし、また、計算上のブロックは地形の影響を

考慮して標高データを加味したブロックとした。

4.4.3 Sokoria 地域調査結果

(1) 解析結果

(a) 見掛比抵抗分布

4.4.2、 (3)、 (a)、 2) で記述したように、MT 法探査における測定周波数は可探深度と密接

な関係があり、高い周波数における見掛比抵抗値は浅部の比抵抗情報を、低い周波数における

見掛比抵抗値は深部までの比抵抗情報を反映している。そこで、Sokoria 調査地域の各測点で得

られた見掛比抵抗値を 3 種類の周波数(100Hz、1Hz、0.01Hz)毎に抽出して、見掛比抵抗分布

平面図を作成した。作成した見掛比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.3-1~Fig. 4.4.3-3 に示す。なお、

これらの見掛比抵抗分布平面図は、平均的な比抵抗情報を反映しているインバリアントモード

の見掛比抵抗データを用いて作成した。

1) 見掛比抵抗分布平面図(100Hz)

周波数 100Hz における見掛比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.3-1 に示す。

本周波数における見掛比抵抗値は、概ね 2.5ohm-m から 70ohm-m の範囲である。本分布図

における表皮深度は、測点により異なるが、深度約 55m から 300m までであり、比較的浅部

の平均的な比抵抗分布を反映したものである。

本分布の特徴は、調査地域の中央部において、10ohm-m 以下の見掛比抵抗値を示す低見掛

比抵抗域が存在することである。この低比抵抗域内には、地表において変質帯(Mutubusa を

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4-29

含む)が認められるため、この低見掛比抵抗域は浅部の流体あるいは変質帯分布による示徴

を反映しているものと考えられる。

これに対して、調査地域の北西部は 32ohm-m 以上の見掛比抵抗値を示す相対的な高見掛比

抵抗域となっている。また、調査地域中央部の低見掛比抵抗域と調査地域北西部の相対的な

高見掛比抵抗域の間には、概略北東-南西方向に延びる比抵抗不連続線(Rs1)が認められる。

2) 見掛比抵抗分布平面図(1Hz)

周波数 1Hz における見掛比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.3-2 に示す。

本周波数における見掛比抵抗値は、概ね 2.5ohm-m から 50ohm-m の範囲である。本分布図

における表皮深度は、測点により異なるが、深度約 560m から 2500m である。本分布図にお

ける見掛比抵抗値分布形状は周波数 100Hz の見掛比抵抗値分布形状と大きく異なる傾向を示

す。本見掛比抵抗分布図においては、4ohm-m 以下の見掛比抵抗値を示す低見掛比抵抗域が調

査地域の西部において広範囲に分布している。この低見掛比抵抗域はスメクタイト等の熱水

変質鉱物を反映したものと考えられる。これに対して、東部は 32ohm-m 以上の見掛比抵抗値

を示す相対的な高見掛比抵抗域となっている。

本見掛比抵抗分布図においては、前述した比抵抗不連続線 Rs1 の示徴は認められない。

3) 見掛比抵抗分布平面図(0.01Hz)

周波数 0.01Hz における見掛比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.3-3 に示す。

本周波数における見掛比抵抗値は、概ね 20ohm-m から 350ohm-m の範囲である。本分布図

における表皮深度は 15000m 以上の大きな値を示す。本分布図の見掛比抵抗値は周波数 1Hz

の見掛比抵抗値に比べて高い値を示している。100ohm-m 以上の見掛比抵抗値を示す相対的な

高見掛比抵抗域が調査地域の東部(測点 26、 27、 34 および 35 周辺)において広範囲に分

布しているが、10ohm-m 以下を示す低見掛比抵抗域は本図面においては認められない。

(b) 2 次元比抵抗構造解析結果

Fig. 4.4.3-4 に示す東西方向の 7 断面(Line-AA、BB、CC、DD、EE、FF および GG)につ

いて平滑化拘束付き 2 次元比抵抗構造インバージョン解析を実施し、各断面における 2 次元

(断面方向および深度方向)の比抵抗構造を解析した。2 次元インバージョン解析には、断

面近傍の各測点における周波数 251Hz~0.01Hz 間のインバリアントモードの見掛比抵抗値お

よび位相値を用いて行った。

2次元比抵抗インバージョン解析の結果得られた 2次元比抵抗分布データを基に、7深度(深

度 200m、深度 500m、深度 750m、深度 1000m、深度 1500m、深度 2000mおよび深度 2500

m)における解析比抵抗分布平面図(Fig. 4.4.3-5~ Fig. 4.4.3-11)および 7 断面における解析

比抵抗分布断面図(Fig. 4.4.3-12~ Fig. 4.4.3-17)を作成した。

2 次元比抵抗構造インバージョン解析の結果、調査地域の比抵抗構造は概略、10ohm-m か

ら 30ohm-m の比抵抗値を示す表層、10ohm-m 以下の低い比抵抗値を示す中間層(低比抵抗層)

および 30ohm-m 以上の比抵抗値を示す最下層(低比抵抗層の下部に分布)の三層に分割され

た。

1) 解析比抵抗分布平面図(深度 200m)

深度 200mの解析比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.3-5 に示す。

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4-30

解析された深度 200mの比抵抗値は、概略 3ohm-m から 40ohm-m の範囲に分布し、また、

本深度における比抵抗値は、各測点において概略最小の値を示す。

深度 200mの解析比抵抗分布図では、5ohm-m 以下の比抵抗値を示す低比抵抗域が調査地域

の中央部において広範囲に分布しており、また、この低見掛比抵抗域は概略北北東-南南西

方向に延びる傾向を示している。深度 200m の解析比抵抗分布図を基にすると、見掛比抵抗

分布図(100Hz)で認められた北東-南西方向に延びる比抵抗不連続線 Rs1 が検出される。

多くの地熱地域では、スメクタイトやゼオライト等の低い比抵抗値を示す熱水変質帯によ

って、地熱貯留層の上部に帽岩が形成されており、電磁探査では低比抵抗域として解析され

る(スメクタイトやゼオライトはおよそ 70oC から 200oC の温度条件で生成される)。このこ

とを考慮すると、調査地域の深度 200m 付近で認められる低比抵抗域はゼオライトやスメク

タイト等の変質鉱物が豊富に存在する箇所を反映しており、これは地熱貯留層の帽岩的な役

割を担っている可能性がある。

2) 解析比抵抗分布平面図(深度 500m、深度 750mおよび深度 1000m)

深度 500m、深度 750mおよび深度 1000mの解析比抵抗分布平面図を、それぞれ Fig. 4.4.3-6、

Fig. 4.4.3-7 および Fig. 4.4.3-8 に示す。

解析された深度 500mの比抵抗値は概略 2ohm-m から 70ohm-m の範囲で、深度 750mの比

抵抗値は概略 4ohm-m から 90ohm-m の範囲、また深度 1000mの比抵抗値は 8ohm-m から

100ohm-m の範囲で分布している。これらの深度の比抵抗値は、深度が増すにつれて比抵抗値

が増大する傾向があるものの、各深度における相対的な比抵抗分布の形状は同様のものとな

っている。

深度 1000mの解析比抵抗分布図においては、32ohm-m 以上の比抵抗値を示す相対的な高比

抵抗域が調査地域の北東部(測点 34 および 35 周辺)から調査地域の南部(測点 17 周辺)に

かけて、概略北北東-西南西方向に延びる傾向で分布する。これに対して、20ohm-m 以下の

比抵抗値を示す相対的な低比抵抗域が調査地域の北西部から西部にかけて認められる。これ

らの相対的な高比抵抗域および相対的な低比抵抗域の境界部には、概略北北東-南南西方向

に延びる比抵抗不連続線 Rs2 が認められる。また、比抵抗不連続線 Rs2 ほど明瞭ではないも

のの、調査地域の南東部には概略北東-南西方向に延びる比抵抗不連続線 Rs3 が認められる。

比抵抗不連続線 Rs2 の位置・方向性は、既に実施されている地質調査から検出された断層

の位置・方向性と概略一致することから、この地質断層を反映している可能性が高い。但し、

深度 200mの解析比抵抗分布平面図において認められた比抵抗不連続線Rs1は深度 750mおよ

び 1000mの解析比抵抗分布平面図においては認められない。

深度 1000mの解析比抵抗分布図においては、比抵抗不連続線 Rs2 周辺域は 25ohm-m 以上

の比較的高い比抵抗値を示すが、この地域の浅部(深度 200m)では、5ohm-m 以下の比抵抗

値を示す低比抵抗域が分布している。このこと(浅部に低比抵抗域が分布し、その下部は相

対的な高比抵抗域となっていること)から、比抵抗不連続線 Rs2 周辺の浅部ではスメクタイ

トやゼオライトのような熱水変質帯(およそ 70oC から 200oC で生成)により低比抵抗域が形

成され、その下部ではクローライト、イライトおよびエピドーテのような更に高温(概略 180

oC 以上)で生成する変質帯が発達することによって相対的な高比抵抗域が形成されているも

のと考えられる。これらのことを考慮すると、比抵抗不連続線 Rs2 周辺の深部(概略深度

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4-31

1000m~1500m)は、地熱流体の流動によって相対的な高温域となっており、その浅部では帽

岩が発達している可能性がある。

3) 解析比抵抗分布平面図(深度 1500m、深度 2000mおよび深度 2500m)

深度1500m、深度2000mおよび深度2500mの解析比抵抗分布平面図をそれぞれFig. 4.4.3-9、

Fig. 4.4.3-10 および Fig. 4.4.3-11 に示す。

解析された深度 1500m、深度 2000mおよび震度 2500mの比抵抗値はそれぞれ概略 20ohm-m

から 180ohm-m、概略 30ohm-m から 250ohm-m および概略 50ohm-m から 350ohm-m である。

これらの解析深度における比抵抗値は深度が増すにつれて比抵抗値が高くなる傾向があるも

のの、相対的な比抵抗分布は同様のものとなっている。

これらの解析深度においては、10ohm-m 以下の比抵抗値を示す低比抵抗域は認められず、

調査地域の東部(測点 27、33、34 周辺)において明瞭な高比抵抗域が認められる。但し、こ

の高比抵抗域(測点 27、33、34 周辺)は上部(浅部)においても 10ohm-m 以下を示す低比

抵抗域は認められないことから、この地域周辺においての熱水変質活動は弱いものと考えら

れる。

4) 解析比抵抗分布断面図

Line-AA、BB、CC、DD、EE、FF および GG に沿った東西方向の解析比抵抗断面図を、Fig.

4.4.3-12 から Fig. 4.4.3-17 に示す。なお、それぞれの断面位置は Fig. 4.4.3-4 に示す。

上記の解析比抵抗断面図全てにおいて、5ohm-m 以下の比抵抗値を示す低比抵抗ゾーンが認

められる。このことから、調査地域の比較的浅部にはスメクタイトやゼオライト等から成る

熱水変質帯が広範囲に分布しているものと考えられる。

Line-BB、line-CC および line-DD 沿いの比抵抗断面東部の深部は 80ohm-m 以上の比抵抗値

を示す相対的な高比抵抗域となっており、逆にこれらの断面西部の深部は相対的な低比抵抗

域となっている。これらの相対的な低比抵抗域および高比抵抗域間には比抵抗不連続線 Rs2

が明瞭に認められる。また、この比抵抗不連続線 Rs2 ほどの明瞭な示徴ではないものの、比

抵抗不連続線 Rs1 および Rs3 がそれぞれ、line-DD、EE、FF 沿いの比抵抗断面および line-AA

沿いの比抵抗断面において認められる。

(2) 地熱地域における比抵抗構造

(a) 低比抵抗ゾーン

世界各国の地熱地域のうち、電気探査あるいは電磁探査が実施された地熱地域では、その

ほとんどの地熱地域において 10ohm-m以下の比抵抗値を示す低い比抵抗ゾーンが認められて

いる。この低比抵抗ゾーンの解釈には 2 通りあり、一つは低比抵抗ゾーンが地熱貯留層その

ものを反映している(地熱貯留層内の高温の熱水が化学溶存成分を含み、低い比抵抗を示す)

と考えるものであり(Fig. 4.4.3-18 A 参照)、もう一つは、低比抵抗ゾーンは地熱貯留層その

ものを示すものではなく、地下深部からの高温熱水の上昇に伴って地熱貯留層の上位に形成

される熱水変質帯を反映していると考えるものである(Fig. 4.4.3-18B 参照)。

火山地帯における地熱貯留層は、一般的に断層あるいは断層に沿った破砕帯等に起因する

断裂系に沿って発達している場合が多く、この場合、地熱貯留層の熱水の一部が断裂沿いの

破砕ソーンを上昇し、地熱貯留層の上部にスメクタイトやゼオライト等から成る熱水変質帯

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4-32

を形成することが多い。この熱水変質帯(スメクタイト、ゼオライト等)は概略 70℃から 200℃

の温度条件で生成し、低い比抵抗値を示すため、地熱地帯で得られる低比抵抗ゾーンは Fig.

4.4.3-18 B に示すように、地熱貯留層の上位に位置し、帽岩の役割を担う熱水変質帯を反映し

ているものと考えられる。

上記のことから、比抵抗構造から地熱開発のターゲット地点を選定する場合には、低比抵

抗ゾーンの情報のみでなく、その他、断層等の断裂構造や地質構造、水理構造等を加味して

検討する必要がある。

(b) 地熱貯留層周辺の比抵抗構造

上記の低比抵抗ゾーンの解釈を基にすると、一般に電気探査や電磁探査によって得られる

地熱地域の地下比抵抗構造は、Fig. 4.4.3-19 に示すように三つのゾーンに区分される。それら

は、①通常高い比抵抗値を示す表土層、②表土層の下位に存在し、低い比抵抗値を示す低比

抵抗ゾーンおよび、③最下位に存在し、かつ高い比抵抗値を示す比抵抗基盤域である。ここ

で表土層とは、地表付近の比較的高い比抵抗値を示すゾーンであり、火山灰や未変質の火山

岩を反映していることが多い。この層の情報は低比抵抗ゾーンや比抵抗基盤域に比べれば、

地熱構造を検討する上では、さほど重要でないと考えられる。

地熱地域における低比抵抗ゾーンは、前述のように熱水変質帯(スメクタイト、ゼオライ

ト等)を反映したものと考えられ、通常 5ohm-m 以下の非常に低い比抵抗値を示すことが多

い。また、比抵抗基盤域は低比抵抗ゾーンの下位に存在し、低比抵抗ゾーンと比較して高い

比抵抗値を示す。この深部に分布する比抵抗基盤域は、クローライト、イライト、エピドー

テ等の高温で生成される熱水変質帯を反映しているものと考えられ、この比抵抗基盤層が隆

起構造を呈している場合には、相対的に周辺域よりも高温となっている地域を示している可

能性がある。また、これらの 2 つのゾーン(低比抵抗ゾーン、比抵抗基盤域)は、地層の種

類とは整合性が無い場合が多い。これは、地下に存在する岩石の比抵抗値が岩石の種類より

も、空隙率、変質度合、温度等により強く影響されるためである。

地熱貯留層周辺の比抵抗構造は、以下のような特徴を示す。

(i) 顕著な比抵抗不連続示徴が存在し、この示徴がある方向性を持って連続する。ま

た、比抵抗不連続線周辺で比抵抗基盤域の隆起構造が認められる。このような比

抵抗不連続構造は断層や断層周辺に存在する破砕帯等の断裂構造を反映するこ

とが多い。

(ii) 低比抵抗ゾーンの比抵抗値が、比抵抗不連続構造周辺で特に低い値を示す。こ

の低比抵抗ゾーンは、スメクタイトやゼオライト等の熱水変質帯を反映し、地熱

貯留層の帽岩の役割を果たしていることが多い(Fig. 4.4.3-19 中のραで示す箇所

である)。

(ⅲ) 多くの地熱地域では、深部の高温域は低比抵抗域の下部に位置する相対的な高

比抵抗域内に存在する。また、この箇所(比抵抗基盤内)では、深部高比抵抗域

の隆起構造が認められる。この高比抵抗域の隆起構造は、比較的浅部で生成する

スメクタイトやゼオライト等の変質帯よりも更に高温で生成するイライトやク

ローライト等の変質帯の割合が高くなるために形成されるものと推定される。

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4-33

(3) 調査結果の考察 (Fig. 4.4.3-20 参照)

前述の Sokoria 解析結果および地熱地域における比抵抗構造(4.4.3、 (2)参照)を検討の上、

考察した Sokoria 地域の比抵抗構造を以下に記述する。

(a) 調査地域の比抵抗不連続構造

Sokoria 地域調査結果の各深度における解析比抵抗分布平面図および解析比抵抗分布断面

図により、抽出される比抵抗不連続線は以下に示す Rs1、Rs2 および Rs3 の 3 本である。

1) 比抵抗不連続線 Rs1

Rs1 は、調査地域北部の測点 22 周辺から、調査地域西部の測点 9 周辺にかけて、概略北東

-南西方向に延びる比抵抗不連続線である。

本比抵抗不連続線 Rs1 は、100Hz の見掛比抵抗分布平面図および比較的浅部の解析比抵抗

分布平面図(深度 200m)において認められる。

この比抵抗不連続線 Rs1 は、地質調査により認められているカルデラ壁とその位置および

方向性が概略一致することから、調査地域内に存在するカルデラ壁を反映したものと推定さ

れる。但し、この Rs1 の示徴は、500m 以深の解析比抵抗分布図からは認められないことから、

浅部の熱水流動のみを規制している構造である可能性が高い。

2) 比抵抗不連続線 Rs2

Rs2 は、調査地域北東部の測点 24~35 間から調査地域南部の測点 16~19 間まで、概略北

北東-南南西方向に延びる比抵抗不連続線である。

本比抵抗不連続線 Rk2 は、比較的深部の解析比抵抗分布平面図(深度 500m、750m、1000m

および 1500m)において認められる。

この比抵抗不連続線 Rs2 は、既往の地質調査から推定されている断層とその位置・方向性

が概略一致することから、この地質断層を反映しているものと考えられる。また、この比抵

抗不連続線 Rs2 周辺およびその西側には浅部(深度 200m)において広範囲に分布する低比

抵抗域が認められることから、Sokoria 調査地域の地熱流体の流動・貯留を規制している断層

構造を反映している可能性が高い。

3) 比抵抗不連続線 Rs3

Rs3 は、調査地域東部の測点 32~33 間から調査地域南部の測点 18~25 間を概略北東-南

西方向に延びる比抵抗不連続線である。

本比抵抗不連続線 Rs3 は、見掛比抵抗分布平面図(1Hz および 0.1Hz)および解析比抵抗分

布平面図(深度 500m、深度 750m および 1000m)において認められる。本比抵抗不連続線

Rs3 の南東側地域には浅部において低比抵抗域が認められるものの、比抵抗不連続線 Rs3 の

は調査地域の南東端に位置しており、その示徴も比抵抗不連続線 Rs2 と比較すると弱いため、

この比抵抗不連続線の位置・方向性を明瞭に把握するためには、更なる調査が必要と考えら

れる。

(b) 調査地域の比抵抗構造(Sokoria 地域)

前述した、MT/TDEM 探査データの解析結果から、Sokoria 調査地域においては以下の地熱

構造が推定される。

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4-34

Sokoria 調査地域の北西部、西部および中央部の比較的浅部において、顕著な低比抵抗域が

広範囲に認められる。この低比抵抗域は深度的には、比較的浅部の深度 200m~500m を中心

に分布している。この顕著な低比抵抗域は概略 70℃~200℃で生成するスメクタイトやゼオ

ライト等の変質鉱物から形成された熱水変質帯を反映しているものと推定され、地熱貯留層

の帽岩的な役割を果たしているものと考えられる。

一方、Sokoria 調査地域の東部から北東部にかけての地域では深部(深度 1000m、1500m、

2000mおよび 2500m)において相対的な高比抵抗域となっている。特に測点 27、33 および

34 周辺域は深度 1500m以深において、100ohm-m 以上を示す高比抵抗域が分布している。但

し、この地域は浅部においても低比抵抗域が認められないことから、調査地域の中央部、西

部、北西部と比較すると地下における熱水活動は弱い地域であると推定される。

2 次元比抵抗構造解析結果から得られた調査地域の地下比抵抗分布を検討すると、断層構

造等を反映している可能性の高い比抵抗不連続線が 3 本(Rs1、Rs2 および Rs3)検出された。

既往の地質調査結果を合わせて考察すると、3 本の比抵抗不連続線のうち、Rs1 はカルデラ壁

をまた Rs2 は断層を反映したものと考えられる。比抵抗不連続線 Rs2 の中央部周辺は、浅部

の深度 200mにおいては 5ohm-m 以下の比抵抗値を示す顕著な低比抵抗域となっているが、比

較的深部(深度 1500m、2000mおよび 2500m)においては 30ohm-m 以上の比抵抗値を示す

相対的な高比抵抗域が分布している。地熱地域でこのような比抵抗構造を示す地域は、浅部

の低比抵抗域はスメクタイトやゼオライト等の熱水変質帯を反映しており、比較的深部の相

対的な高比抵抗域はイライトやクローライト等の高温で生成する熱水変質帯を反映している

ものと推定される。これらのことから、比抵抗不連続線 Rs2 は深部熱水の流動・貯留域とな

る断層構造を反映している可能性が高く、Sokoria 調査域の地熱開発において有望な地域と期

待される。

Sokoria 調査地域の北東部には、概略北東-南西方向に延びる比抵抗不連続線 Rs1 が認めら

れ、この比抵抗不連続線 Rs1 周辺および東側には、浅部(深度 200m)において顕著な低比

抵抗域が分布している。但し、この比抵抗不連続線 Rs1 は、比較的浅部の深度 200mで認め

られるものの、500m以深の解析比抵抗分布からは認められないことから、浅部のみで発達し

た断裂構造である可能性が高い。更に、この比抵抗不連続線 Rs1 周辺の深部は、相対的な低

比抵抗域となっており、深部においてもスメクタイト等の比較的低温で生成する熱水変質鉱

物が卓越している可能性が高い。このため、比抵抗不連続線 Rs1 周辺の深部における温度は、

調査地域中央部の比抵抗不連続線 Rs2 周辺の深部における温度と比較すると低い可能性があ

る。

Sokoria調査地域の南東部には断裂構造を反映すると考えられる比抵抗不連続Rs3が認めら

れ、この比抵抗不連続線の南東部の浅部(深度 200mおよび深度 500m)では 10ohm-m 以下

を示す低比抵抗域が分布している。但し、この比抵抗不連続線は Sokoria 調査地域の南東端に

存在しており、また、既往地質調査ではこの比抵抗不連続線周辺には地熱徴候は認められて

いない。この構造の地熱活動上の役割を検討するためには、更に調査が必要である。

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4-35

4.4.4 Kotamobagu 地域調査結果

(1) 解析結果

(a) 見掛比抵抗分布

前述したように、MT 法探査における測定周波数は可探深度と密接な関係があり、高い周波数

における見掛比抵抗値は浅部の比抵抗情報を、低い周波数における見掛比抵抗値は深部までの

比抵抗情報を反映している。そこで、Kotamobagu 調査地域の各測点で得られた見掛比抵抗値を

3 種類の周波数(100Hz、1Hz、0.01Hz)毎に抽出して、見掛比抵抗分布平面図を作成した。作

成した見掛比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.4-1~Fig. 4.4.4-3 に示す。なお、これらの見掛比抵抗分

布平面図は、平均的な比抵抗情報を反映しているインバリアントモードの見掛比抵抗データを

用いて作成した。

1) 見掛比抵抗分布平面図(100Hz)

周波数 100Hz における見掛比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.4-1 に示す。

本周波数における見掛比抵抗値は、概ね 20ohm-m から 100ohm-m の範囲である。本分布図

における表皮深度は、測点により異なるが、深度約 150m から 350m までであり、比較的浅部

の平均的な比抵抗分布を反映したものである。

本見掛比抵抗分布においては、10ohm-m 以下の見掛比抵抗値を示す低見掛比抵抗域が認め

られない。このことから、Kotamobagu の調査地域の浅部(地下 300m 程度まで)の熱水変質

活動は比較的弱いものと考えられる。また、断層構造やカルデラ壁等の地質構造に関連する

ような示徴は本見掛比抵抗分布においては認められない。

2) 見掛比抵抗分布平面図(1Hz)

周波数 1Hz における見掛比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.4-2 に示す。

本周波数における見掛比抵抗値は、概ね 4ohm-m から 200ohm-m の範囲である。本分布図

における表皮深度は、測点により異なるが、深度約 700m から 5000m である。本分布図にお

ける見掛比抵抗値は周波数 100Hz の見掛比抵抗値に比べ、全体的に低くなっている。本見掛

比抵抗分布図においては、6.3ohm-m 以下の見掛比抵抗値を示す低見掛比抵抗域が調査地域の

中央部-北部(測点 11、19、20、21 および 22 周辺)において広範囲に分布している。この低

見掛比抵抗域はスメクタイト等の熱水変質鉱物を反映したものと考えられる。また、調査地

域の南西部には、比抵抗不連続構造 Rk1 が認められ、この比抵抗不連続構造の南側は相対的

な高見掛比抵抗域となっている。

3) 見掛比抵抗分布平面図(0.01Hz)

周波数 0.01Hz における見掛比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.4-3 に示す。

本周波数における見掛比抵抗値は、概ね 5ohm-m から 350ohm-m の範囲である。本分布図

における表皮深度は 8000m 以上の大きな値を示す。本分布図の見掛比抵抗値は周波数 1Hz の

見掛比抵抗値に比べて高くなっているものの、比抵抗分布の特徴は周波数 1Hz のものと概略

同様の傾向を示す。相対的な低見掛比抵抗域が調査地域の中央部-北部(測点 11、19、20、21

および 22 周辺)において広範囲に分布している傾向は、周波数 1Hz における見掛比抵抗分布

平面図と同様である。

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4-36

(b) 2 次元比抵抗構造解析結果

Fig. 4.4.4-4 に示す北北西-南南東方向の 7 断面(Line-A、B、C、D、E、F および G)につ

いて平滑化拘束付き 2 次元比抵抗構造インバージョン解析を実施し、各断面における 2 次元

(断面方向および深度方向)の比抵抗構造を解析した。2 次元インバージョン解析には、断

面近傍の各測点における周波数 251Hz~0.01Hz 間のインバリアントモードの見掛比抵抗値お

よび位相値を用いて行った。

2次元比抵抗インバージョン解析の結果得られた 2次元比抵抗分布データを基に、7深度(深

度 200m、深度 500m、深度 750m、深度 1000m、深度 1500m、深度 2000mおよび深度 2500

m)における解析比抵抗分布平面図(Fig. 4.4.4-5~ Fig. 4.4.4-11)および 7 断面における解析

比抵抗分布断面図(Fig. 4.4.4-12~ Fig. 4.4-4.18)を作成した。

2 次元比抵抗構造インバージョン解析の結果、調査地域の比抵抗構造は概略、10ohm-m か

ら 30ohm-m の比抵抗値を示す表層、10ohm-m 以下の低い比抵抗値を示す中間層(低比抵抗層)

および 30ohm-m 以上の比抵抗値を示す最下層(低比抵抗層の下部に分布)の三層に分割され

た。

1) 解析比抵抗分布平面図(深度 200m)

深度 200mの解析比抵抗分布平面図を Fig. 4.4.4-5 に示す。

解析された深度 200mの比抵抗値は、概略 5ohm-m から 250ohm-m の範囲に分布する。本比

抵抗分布の傾向は、概略見掛比抵抗分布図(100Hz)の見掛比抵抗分布と同様である。本解析

比抵抗分布平面図においては、断層等の特徴的な構造示徴は認められないことから、この深

度における比抵抗構造は、地熱貯留層の帽岩の役割を果たす熱水変質帯よりも更に浅部の未

変質あるいは弱変質部を反映しているものと考えられる。

2) 解析比抵抗分布平面図(深度 500mおよび深度 750m)

深度 500m および深度 750m の解析比抵抗分布平面図を、それぞれ Fig. 4.4.4-6 および Fig.

4.4.4-7 に示す。

解析された深度 500mの比抵抗値は概略 1.5ohm-m から 250ohm-m の範囲で分布しており、

また、深度 750mの比抵抗値は概略 2ohm-m から 350ohm-m の範囲で分布している。これらの

深度の比抵抗値は、各測点において概略最小の値を示す。

これらの解析比抵抗分布図においては、5ohm-m 以下の比抵抗値を示す低比抵抗域が調査地

域の北部域(測点 11、20 および 21 周辺)から調査地域の南東域(測点 35 周辺)にかけて、

概略北西-南東方向に延びる傾向で分布する。これに対して、20ohm-m 以上の比抵抗値を示

す相対的な高比抵抗域が調査地域の南西部に認められる。また、深度 500mの解析比抵抗分

布図から、概略東西方向に延びる比抵抗不連続線 Rk1 が調査地域の南西部に認められる。

多くの地熱地域では、スメクタイトやゼオライト等の低い比抵抗値を示す熱水変質帯によ

って、地熱貯留層の上部に帽岩が形成されており、電磁探査では低比抵抗域として解析され

る(スメクタイトやゼオライトはおよそ 70oC から 200oC の温度条件で生成される)。このこ

とを考慮すると、調査地域の深度 500m~深度 750m で認められる低比抵抗域はゼオライトや

スメクタイト等の変質鉱物が豊富に存在する箇所を反映しており、これは地熱貯留層の帽岩

的な役割を担っている可能性がある。

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4-37

3) 解析比抵抗分布平面図(深度 1000m、深度 1500m)

深度 1000m および深度 1500mの解析比抵抗分布平面図をそれぞれ、Fig. 4.4.4-8 および Fig.

4.4.4-9 に示す。

解析された深度 1000m および深度 1500m の比抵抗値は、それぞれ概略 3ohm-m から

800ohm-m、6ohm-m から 800ohm-m の範囲で分布している。これらの深度の解析比抵抗分布

は、深度が増すにつれて比抵抗値が増加しているものの、その水平方向の相対的な分布傾向

は深度 750mの解析比抵抗分布平面図と同様の傾向を示している。

これらの解析比抵抗分布では、相対的な低比抵抗域が調査地域北部の測点 11、20、21 周辺

から、調査地域南東部の測点 35 周辺まで、概略北西-南東方向に延びる形状で分布する。

また、深度 1500mの解析比抵抗分布から、測点 22~24 間から測点 8 周辺にかけて概略北

東-南西方向に延びる比抵抗不連続線 Rk2 が認められる。

4) 解析比抵抗分布平面図(深度 2000mおよび深度 2500m)

深度 2000mおよび深度 2500mの解析比抵抗分布平面図をそれぞれ Fig. 4.4.4-10 および Fig.

4.4.4-11 に示す。

解析された深度 2000mの比抵抗値は概略 8ohm-m から 800ohm-m であり、深度 2500mの比

抵抗値は、概略 8ohm-m から 1000ohm-m である。

深度 2000mの解析比抵抗分布において、20ohm-m 以下の比抵抗値を示す相対的な低比抵抗

域が調査地域の北中央部から南東部にかけて広い範囲で明瞭に認められ、 30ohm-m 以上の比

抵抗値を示す相対的な高比抵抗域が調査地域の西部および北西部に広範囲に分布している。

また、深度 2000mの解析比抵抗分布から、調査地域の中央部を概略北北西-南南東方向に延

びる比抵抗不連続線 Rk3 が検出された。

更に、深度 2000mの解析比抵抗分布図においては、測点 9、10、12 および 13 周辺の地域

は 30ohm-m 以上の比較的高い比抵抗値を示すが、この地域の浅部(深度 500m)には、5ohm-m

以下の比抵抗値を示す低比抵抗域が分布している。このこと(浅部に低比抵抗域が分布し、

その下部は逆に相対的な高比抵抗域となっていること)は、浅部ではスメクタイトやゼオラ

イトのような熱水変質帯(およそ 70oC から 200oC で生成)により低比抵抗域が形成され、そ

の下部ではクローライト、イライトおよびエピドーテのような更に高温で生成する変質帯が

発達することによって相対的な高比抵抗域が形成されているものと考えられる(クローライ

ト、イライトおよびエピドーテは概略 180oC 以上の比較的高温で生成され、比抵抗値はスメ

クタイトやゼオライトと比較して高い値を示す)。これらのことを考慮すると、浅部(深度

500m)の解析比抵抗分布平面図において低比抵抗を示し、深部(深度 2000m)の解析比抵抗

分布平面図において相対的な高比抵抗域を示す測点 9、10、12 および 13 周辺の地域の地下深

部は、地熱流体の流動によって相対的な高温域となっている可能性がある。

5) 解析比抵抗分布断面図

Line-A、B、C、D、E、F および G に沿った北北西-南南東方向の解析比抵抗断面図を、Fig.

4.4.4-12 から Fig. 4.4.4-18 に示す。なお、それぞれの断面位置は Fig. 4.4.4-4 に示す。

上記の解析比抵抗断面図全てにおいて、10ohm-m 以下の比抵抗値を示す低比抵抗ゾーンが

認められる。このことから、調査地域にはスメクタイトやゼオライトから成る熱水変質帯が

広範囲に分布しているものと考えられる。

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4-38

但し、line-A、B、C および D 沿いの比抵抗断面南部は、比抵抗値が高く、10ohm-m 以下の

比抵抗値を示す低比抵抗域が認められないことから、この地域では熱水変質活動が弱く、地

熱地域としての有望度は低いものと考えられる。

比抵抗不連続線 Rk1 は line-A、B、C および D 沿いの比抵抗断面において明瞭に認められ

る。また、比抵抗不連続線 Rk1 ほどの明瞭な示徴は認められないものの、比抵抗不連続線 Rk2

および Rk3 が、それぞれ line-C、D、E 沿いの比抵抗断面および line-D、E 沿いの比抵抗断面

において認められる。

(2) 調査結果の考察 (Fig. 4.4.4-19 参照)

前述の Kotamobagu 解析結果および地熱地域における比抵抗構造(4-4-3、 (2)参照)を検討の

上、考察した Kotamobagu 地域の比抵抗構造を以下に記述する。

(a) 調査地域の比抵抗不連続構造

比抵抗不連続構造とは、前述したように、比抵抗分布から認められる比抵抗構造上の不連

続が存在する箇所であり、このような構造がある方向性をもって連続している場合には、そ

の周辺には断層あるいは断層周辺に存在する破砕帯の存在が期待される。

一般に地熱地帯の地下に存在する地熱流体は、断層あるいは断層周辺に存在する破砕帯に

貯留されていることが多いと考えられている。このため、比抵抗不連続線を抽出し、断裂構

造を推定することは、調査地域の地熱構造を考察する上で重要である。

Kotamobagu 地域調査結果の各深度における解析比抵抗分布平面図および解析比抵抗分布

断面図により、抽出された比抵抗不連続線は以下に示す Rk1、Rk2 および Rk3 の 3 本である。

1) 比抵抗不連続線 Rk1

Rk1 は、調査地域西部の測点 3 周辺から、調査地域中央部の測点 17 周辺にかけて、概略東

西方向に延びる比抵抗不連続線である。

本比抵抗不連続線 Rk1 は、見掛比抵抗分布平面図(100Hz、1Hz および 0.01Hz)および比

較的浅部の解析比抵抗分布平面図(深度 500m、750m および 1000m)において認められる。

この比抵抗不連続線 Rk1 を境界として、その南側地域では 10ohm-m 以下を示す低比抵抗域

が全く認められないことから、この比抵抗不連続線は調査地域の地熱システムの境界を反映

しているものと考えられる。

2) 比抵抗不連続線 Rk2

Rk2 は、調査地域北東部の測点 30 周辺から調査地域西部の測点 8 周辺まで、概略北東-南

西方向に延びる比抵抗不連続線である。

本比抵抗不連続線 Rk2 は、比較的深部の解析比抵抗分布平面図(深度 1500m および 2000m)

において認められる。

この比抵抗不連続線 Rk2 の中央部には、浅部において熱水変質帯を反映しているものと推

定される明瞭な低比抵抗域が分布することから、本比抵抗不連続線 Rk2 は地熱流体の流動・

貯留を規制している断裂構造を反映している可能性が高い。

3) 比抵抗不連続線 Rk3

Rk3 は、調査地域北西部の測点 11 周辺から調査地域南東部の測点 25~26 間を概略北西-

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4-39

南東方向に延びる比抵抗不連続線である。

本比抵抗不連続線 Rk3 は、比較的深部の解析比抵抗分布平面図(深度 1000m、深度 1500m

および 2000m)において認められるが、本不連続線の中央部では浅部において熱水変質帯を

反映していると推定される低比抵抗域が分布していることから、比抵抗不連続線 Rk2 同様、

地熱流体の流動・貯留を規制している断裂構造を反映している可能性が高いものと考えられ

る。

(b) 調査地域の比抵抗構造(Kotamobagu 地域)

前述した、MT/TDEM 探査データの解析結果から、Kotamobagu 調査地域においては以下の

地熱構造が推定される。

Kotamobagu 調査地域の北西部、中央部および南東部の比較的浅部において、顕著な低比抵

抗域が広範囲に認められる。この低比抵抗域は深度的には、比較的浅部の深度 500m から 750m

を中心に分布している。この顕著な低比抵抗域は概略 70℃~200℃で生成するスメクタイト

やゼオライト等の変質鉱物から形成された熱水変質帯を反映しているものと推定され、地熱

貯留層の帽岩的な役割を果たしているものと考えられる。

一方、Kotamobagu 調査地域の西部から南西部にかけての地域および北東部の深部(深度

2000mおよび 2500m)は、比較的広範囲に渡って、相対的な高比抵抗域となっている。この

うち、測点 9、10、12 および 13 周辺域は深部においては 30ohm-m 以上を示す相対的な高比

抵抗域となっているものの、比較的浅部の深度 500m~750mにおいては、5ohm-m 以下を示

す低比抵抗域が分布している。このように、比較的浅部で顕著な低比抵抗が分布しており、

その下位に相対的な高比抵抗域が存在する場合は、この相対的な深部高比抵抗域は、イライ

トやクローライト等の高温で生成する変質鉱物から形成された熱水変質帯を反映しているも

のと考えられる。このことは、測点 9、10、12 および 13 周辺域の深部で認められる高比抵抗

域が相対的な高温度域を示している可能性を示唆している。更に、この深部における相対的

な高比抵抗域の東端には断層構造を反映している可能性が高い比抵抗不連続線 Rk3 が認めら

れ、この不連続線を境としてその西側に深部高比抵抗域の隆起構造が認められる。これらの

ことから、比抵抗不連続線 Rk3 は、Kotamobagu 地熱地域の地熱流体の貯留・流動を規制して

いる重要な断裂構造を反映している可能性が高い。

概略北西-南東方向に延びる比抵抗不連続線 Rk2 は、低比抵抗域が分布し、その下位に相

対的な高比抵抗域が分布測点 9、10、12 および 13 周辺域の南端に位置している。この比抵抗

不連続線中央部~西部周辺においても、比較的浅部(深度 500mおよび 750m)において、ス

メクタイトやゼオライトを反映し、地熱貯留層の帽岩的役割を果たしている可能性が高い低

比抵抗域が広範囲に認められる。このことから、比抵抗不連続線 Rk2 の中央部~西部域も、

比抵抗不連続線 Rk3 同様、地熱流体の貯留・流動を規制している重要な断裂構造を反映して

いるものと推定される。

これらの比抵抗構造を考慮すると、比抵抗不連続線 Rk2 と Rk3 の交点を含む測点 9、10、

12 および 13 周辺域は Kotamobagu 地熱地域開発上、有望な地域と期待される。

Kotamobagu 調査地域の中央部および東部地域には比較的浅部の深度 500m、750mおよび

1000mにおいて、10ohm-m 以下を示す低比抵抗域が広範囲に分布しているが、これらの地域

の深部(深度 2000mおよび 2500m)は、20ohm-m 以下の相対的な低比抵抗域となっている。

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4-40

このことは、この地域深度 2000m~2500mでは、200℃以上の高温で生成するイライトやク

ローライトがあまり生成されておらず、高温の熱水変質活動が発達していない可能性を示唆

している。このため、比抵抗構造から検討すれば、Kotamobagu 調査地域中央部~東部にかけ

ての浅部から深部まで低い比抵抗値を示す地域は、測点 9、10、12 および 13 周辺域と比較す

ると開発有望性は劣るものと考えられるが、その他の地球科学的なデータを踏まえた更なる

検討が必要である。

Kotamobagu 調査地域の南東部には、比較的浅部の解析比抵抗分布平面図(深度 500mおよ

び 750m)から比抵抗不連続線 Rk1 が認められる。但し、この比抵抗不連続線 Rk1 の南側地

域では、全解析深度(200mから 2500m)において熱水変質帯を示すと考えられる低比抵抗

域が認められないことから、この地域(比抵抗不連続線 Rk1 の南側)は、地熱開発地域とし

ての有望性は低いものと考えられる。

4.5 各地域の資源特性と地熱系モデル

4.5.1 検討方法

地熱系モデルを構築するためには、貯留層構造(深部地質構造)、熱源(火山活動・熱水活動史)、

流体特性(貯留層流体の特性・挙動)に関するデータ・情報を収集し、総合的にまとめる必要があ

る。さらに、各種集約したデータを基に対象となる地熱貯留層の広がりを推定し、資源量算出に

繋げることが必要である。

断裂型の貯留層構造の場合、高温熱水が流入・貯留される破砕帯を特定することによってその

構造を評価することが出来る。この構造評価は、断層、割れ目および変質帯の位置・配列などの地

質構造的要素を調査することによって実施可能となる。ただし、高透水性層に水平的に広がる貯

留層の場合、この方法では貯留層構造のすべてを把握することはできない。熱源の評価に関して

は、火山活動や熱水活動の変遷をたどっていくことにより、現在の活動の中心を推定することが

可能となる場合がある。また、火山地質および構造地質の関連性に着目することによって、対象

地域内の高温地熱流体の流動範囲が推定できることもある。これらは、水文地質や変質鉱物の情

報や地化学解析の結果から把握されるのが普通である。

地熱資源を効率的に開発するには、貯留層の位置を確認し、断裂等の高透水性ゾーンの分布だ

けではなく、地熱貯留層内の地熱流体の挙動を把握することも必要である。地域毎に作成される

概念モデルは、各地熱貯留層の特徴を出来るだけ明瞭化させることが望まれる。そのため、モデ

ル構築においては、地質・水文水理・物理探査・地化学などの各種科学データの集約が必要である。

(1) 地質構造

第 2 次現地調査において地表踏査を実施した 23 地域に対しては、事前に入手した地質図や地

質構造図を基に、広域地域および周辺の地質層序、地質構造、基盤構造、新期火山岩の分布域

を野外にて確認した。資源量および流体化学特性を考慮した MT/TDEM 調査が実施可能な 11

地域に関しては、特に断層の性状や多孔質地層の分布などの透水性に関する情報や水理を規制

する地質構造に留意した。

断裂系解析では、広域地域の地熱流体の流動に密接な関係があると思われる断層を抽出した。

坑井調査等の詳細な調査が実施されている地域に関しては、断層などの断裂構造が細部にわた

って報告されている場合が多いことから、小規模な断層まで検討した。また、データが十分で

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4-41

ないような地域に関しては、物理探査データなどから出来るだけ構造を推定し、断層や破砕帯

の分布状況から地熱流体の通路や貯留層分布域の推定に努めた。

(2) 熱源

火山活動や熱水活動史を解明し、現在の活動の中心を推定することを目的に、広域地域内の

火山岩の分布および岩石年代などの資料から、熱源に関するデータを集約した。熱源は、火山

活動時代、マグマ溜りの位置、規模、性状などによって評価されることから、現地踏査におい

て採取した岩石試料の地域毎により適切な年代測定手法を選択した。

変質帯分布状況に関しては、地熱流体の上昇域(ディスチャージ域)との関連性を検討する

ために、広域地域における地熱徴候・変質帯分布を抽出した。また、温泉や噴気の分布域とそ

の位置関係(線状配列)から、それらの分布と断層等の地質構造との関連性も検討した。さら

に、入手資料による変質帯分布(明礬石帯、カオリナイト帯、珪化帯等)を基に、熱水活動を推定に

試みた。これらの情報を基に、特に、深部の火山活動あるいはマグマ活動に起因する熱源その

ものの解明に繋がる情報等に留意した。

(3) 貯留層流体の特性・挙動

貯留層流体の特性・挙動についての考察・評価は、主に流体地化学解析の結果や地表地熱徴

候(温泉・噴気等)の分布状態に基づくものである。

本調査により新たに得られた温泉水・噴気ガスに関する化学・同位体データと既存データを

用いて作成した各地域に関する地化学解析図を App.4.5.1-1~15 に示す。なお、解析図の作成に

利用した既存データについては、第2次現地調査において新たに PERTAMINA 地熱エネルギー

から提供された既存化学・同位体データや、CGR での詳細な資料収集により得られた既存デー

タも加えた。また、地熱水の水素・酸素同位体組成データには、(独)産業技術総合研究所の高

橋正明氏より提供頂いた未公表の温泉水データも加えた。

上述のように作成した地化学解析図からは、主に以下の事項に関する考察を行い、地熱貯留

層流体の特性・挙動を評価した。

・水素・酸素同位体組成に基づく流体の起源:天水・海水・マグマ水の寄与

・典型的な地熱貯留層熱水の存在:中性 Cl タイプの温泉水・熱水の存在、水-岩石反応

による酸素同位体シフト、Na-K-Mg 三成分組成に基づく化学平衡状態

・貯留層熱水の流動・分布状態:高温・高地化学温度の温泉・噴気等の分布

・貯留層流体温度の推定:熱水およびガス地化学温度

・発電用地熱流体としての適性:腐食性流体の存在、不凝結ガス濃度の推定

解析およびその考察の結果に基づく 34 地域の流体地化学指標等の一覧を App.4.5.1 -1 に示す。

現時点で得られているデータから、中性 Cl タイプの温泉水の存在や高い地化学温度に基づき、

地化学的見地から開発可能な高温の地熱流体がほぼ確実に存在すると考えられる地域としては、

Muaralabuh・Lempur/Kerinci・Sungai Penuh・B. Gedung Hulu Lais・Suoh Antatai・G. Sekincau・

Kotamobagu・Tompaso が挙げられる。なお、各種地化学温度から推定される地熱貯留層温度は、

後述する資源量推定のための容積法計算で想定される貯留層温度に反映させた。

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4-42

(4) 地熱貯留層の広がり

容積法により計算する地熱資源量の各パラメータのうち、貯留層の広がりは次のように推定

した。

探査や開発が進み、各種地球科学データや坑井掘削結果が豊富な地域ではそれらのデータに

基づきその広がりを比較的精度よく推定できる。しかし、本調査で対象とする地域は、地表探

査データはあるものの、調査井が掘削されている地域は多くない。そのため本調査では、地熱

流体の流動を規制している可能性のある断裂構造や、地熱流体の上昇域を示している可能性の

ある比抵抗分布、土壌ガス高濃度異常および温泉・噴気の地化学的データに基づき、地熱貯留

層の広がりを推定した。

地熱流体の流動を規制している可能性のある断裂構造は、地質構造図等に示される断層や地

表地熱徴候の分布、重力探査、電気探査や電磁探査から把握される不連続線を検討した。地熱

流体の上昇域は、地表地熱徴候の分布、基盤岩の隆起・陥没構造、電気探査・電磁探査に示さ

れる低比抵抗域の広がりや土壌ガス高濃度異常を検討した。これらの検討に基づき、地熱構造

モデルを検討し、地熱貯留層の広がりを平面的に推定した。

検討に用いたデータは、AG(CGR)および PERTAMINA 地熱エネルギーから提供された報告

書類、地質図、物理探査結果集約図、地質断面図、地熱構造モデル図などである。本調査の補

足調査対象地域は、それにより得られた結果も検討に加えた。

なお、PERTAINA 地熱エネルギー等により、Prospect area などの表現で地熱貯留層の範囲が示

されている地域は、これに基づいた。

4.5.2 地熱構造要素の集約

上記の解析方法に基づき、各地域の貯留層構造(深部地質構造)、熱源(火山活動や熱水活動の

歴史)、貯留層の広がり、貯留層流体(貯留層流体の特性・挙動)、および推定資源量について、地

熱構造集約図に App.4.5.2-1 に、集約表を App.4.5.2-2 にそれぞれまとめた。App.4.5.2-2 には、補足

資源調査もしくは詳細な既存データ収集により、地熱構造モデル評価が可能であった 34 地域につ

いてとりまとめを行った。

4.6 地熱資源データベース

4.6.1 データベースの設計と構築方針

地熱資源データベースについては、調査開始時にカウンターパートの GA(CGR)と打ち合わせた

結果、CGR でもオリジナルのデータベースを構築しつつあることから、利便性を考慮すれば、共

通のデータベースソフトを用い、基本的には CGR データベースの再構築または本プロジェクトの

データベースと既存 CGR データベースとの結合が望ましい旨の要望が CGR から出された。CGR

が構築中のオリジナルデータベースを確認したところ、データベースの枠組みは本プロジェクト

のものとほぼ同じであることが判明した。そこで、CGRのオリジナルデータベースを土台として、

新たに追加した方がよいと判断される情報を格納できるように機能を拡張することで地熱資源デ

ータベースを完成する方針とした。

4.6.2 データベースの拡張・更新

地熱資源データベースについては、カウンターパートの GA(CGR)が構築しているオリジナルの

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4-43

データベースを利用し、地熱資源データベースを構築した。地熱資源データベースの入力ウイン

ドウの例を Fig. 4.6.2-1 6 に示す。また、CGR と検討の結果、新たに「地熱貯留層の特性および資

源量評価」と「坑井の生産データ」に関するデータが整理できる機能を追加することにした。追

加した機能のウインドウを Fig. 4.6.2-7 および Fig. 4.6.2-8 に示す。

第2次現地調査で得られた各種データを地熱資源データベースに入力し、データベースを更新

した。更新された地熱資源データベースを利用して資源量評価を用いた。なお、作成した資源デ

ータベースは、マスタープラン作成の作業用データベースであること、さらにはこのデータベー

スに含まれる情報はすべて地熱開発データベースに含まれることから本データベースは本報告書

には掲載しなかった。詳細内容については後述する地熱開発データベースを参照して頂きたい。

4.7 資源量の推定と簡易経済性評価

4.7.1 資源量の推定(容積法)

73 地域を対象に実施した資源量評価結果について補足資源調査結果を反映させるために、資源

量評価を再度実施した。最終的に地熱資源量が評価できるだけのデータが得られたのは 39 地域で

あった。評価結果の一覧を Table 4.7.1-1 に示し、各地域のモンテカルロ解析結果を巻末に添付し

た。

なお、既に開発段階にある地域では、貯留層シミュレーションなど容積法よりも詳細な手法で

地熱資源量が評価されていることから、それらの地域は容積法による評価の対象から除外し、開

発計画規模を採用した。

4.7.2 簡易経済性評価

73 地域を対象に実施した資源量評価結果について補足資源調査結果を反映させるために、簡易

経済性評価を再度実施した。地熱貯留層の深度と温度および坑井 1 本当たりの予想噴出量との関

係を Table 4.7.2-1 に示す。有効なデータが得られた 38 地域と既開発地域および調査レベルが進ん

でいる 11 地域の合計 49 地域を対象に、地熱発電開発を行う場合に推定される「kW 当たりの初期

投資額」を計算した。その結果を Table 4.7.2-2 に示す。試算結果は、約 1500~2、300 US$/kW の

範囲となった。本来ならば、アクセス道路工事や基礎工事などの土木費、配管費、送電線費等も

初期投資には含まれるため、実際にはここに示した数値よりもさらに大きくなるが、各地域の経

済性を比較するうえで有効であると判断した。

4.8 資源評価にもとづく開発有望地域の抽出

4.8.1 検討方法

地熱資源開発マスタープラン計画を作成するためには、各地域の地熱資源開発の現状を把握す

ることが必要である。データベース構築を通して、将来の開発方針決定に繋がる各地熱地域のデ

ータが本プロジェクトで整理された。これらのデータの中から、地域毎の資源量、化学特性およ

び調査開発段階を考慮して、インドネシアにおける将来の電源開発に資する可能性のある地域を

評価・抽出した。

当初、地熱地域において十分な量の情報があることが期待された。しかしながら、対象地域の

資源データ情報は必ずしも十分ではなかったために、以下に示す開発段階のレベルに従って分類

し、評価を行った(Table 4.8.1-1 を参照)。調査・開発が初期のレベルでデータ情報が不十分な地

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4-44

域の評価の精度は低いことを留意願いたい。

1) RE: 未調査もしくは広域地表踏査の段階

2) S1: 概略地表調査-地表地質調査および地表地化学調査は実施されているもの

の、地下の地質構造や比抵抗分布に関する情報は得られていない。

3) S2: 詳細地表調査-地質、地化学、物理探査(重力探査、比抵抗探査、ほか)、

さらに、もし可能であれば、温度観測井掘削が実施されている段階

4) F1: 予備 FS調査段階-深部調査井もしくは科学的な根拠のある情報によって開

発対象となる地熱貯留層の存在が確認もしくは高い確度で期待される段

5) F2: FS 調査段階-結果から、商業的に開発可能な発電規模を確認するための複

数の深部地熱井掘削および蒸気噴出試験が実施されている段階

6) OP: 地熱発電所の運転段階

4.8.2 検討結果

インドネシア国内の各地熱地域の分類・評価結果を Table 4.8.2-1~3 に示す。本表は、貯留層の体

積・温度・化学的特性および資源量が地域毎にまとめられている。

まず、貯留層体積の大きな地域(Most Likely)としては、B. Gedung Hulu Lais(ベンクール州)、

Seulawah Agam(アチェ州)、S. Merapi-Sampuraga(北スマトラ州)、 Muaralabuh(西スマトラ州)、

G. Karaha(西ジャワ州)、Suoh Antatai(ランプン州)、 Lumut Balai(南スマトラ州)および Sungai

Penuh(ジャンビ州)であり、これらの地域は 100 立方 km 以上の資源の賦存が推定されている。

しかし、G. Karaha を除く全ての地域では調査がまだ十分に行われておらず、より正確な貯留層範

囲を確認するための比抵抗探査や貯留層深度を確認するための調査井掘削が望まれる。

貯留層温度に関しては、Lau Debuk-Debuk/Sibayak(北スマトラ州)、Sarulla および Sibual Buali

(北スマトラ州)、Kamojang、G. Salak、Darajat、G. Patuha および Wayang-Windu(西ジャワ州)、

Dieng(中部ジャワ州)、Bedugul(バリ州)、Ulumbu(東ヌサテンガラ州)および Lahendong(北

スラウェシ州)においては、深部地熱井によって電源開発に適した 240℃以上の貯留層温度が確

認されている。また、Iboi-Jaboi および Seulawah Agam(アチェ州)、S. Merapi-Sampuraga(北スマ

トラ州)、Muara Labuh(西スマトラ州)、Lempur/Kerinci(ジャンビ州)、B. Gedung Hulu Lais および

Tambang Sawah(ベンクール州)、Suoh Antatai、G. Sekincau、Raja Basa および Wai Ratai(ランプン

州)、Ungaran(中部ジャワ州)、Bena Mataloko および Sokoria-Mutubusa(東ヌサテンガラ州)、

Kotamobagu(北スラウェシ州)の地域では、地化学温度で 270℃以上が推定されている。

600MW 以上の大規模な地熱資源量が見込まれている地域は、B. Gedung Hulu Lais、 Suoh Antatai、

Seulawah Agam、Sungai Penuh、Lumut Balai、S. Merapi-Sampuraga、Bedugul および Salak である。

これら地域の資源量は、確度の高い資源量の一部(Possible 以上)から算出したものであるが、イ

ンドネシア全体では表に示されているように 14,000MW 以上の資源量が推定されている。未開発

の地域も多数存在し、貯留層(範囲、深度、温度および透水性等)に関するデータもが十分ではない

ことから、インドネシア国全体の地熱資源ポテンシャルは、本調査で計算された値よりもさらに

大きくなることが予想される。

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4-45

地熱資源の評価結果だけから見れば、上記に述べた大規模地熱地帯は、高い優先順位で開発が

進められることが期待される。現在の地熱開発調査状況も併せて考慮すれば、将来的に開発が有

望な地域は以下のように列挙される。

(1) スマトラ地域

- Iboih-Jaboi (アチェ州)

- Seulawah Agam (アチェ州)

- Lau Debuk-Debuk/Sibayak (北スマトラ州)

- Sarulla (北スマトラ州)

- Sibual Buali (北スマトラ州)

- S. Merapi-Sampuraga (北スマトラ州)

- Muaralabuh (西スマトラ州)

- Lempur/Kerinci (ジャンビ州)

- Sungai Penuh (ジャンビ州)

- B. Gedung Hulu Lais (ベンクール州)

- Tambang Sawah (ベンクール州)

- Marga Bayur (南スマトラ州)

- Lumut Balai (南スマトラ州)

- Ulubelu (ランプン州)

- Suoh Antatai (ランプン州)

-G. Sekincau (ランプン州)

- Rajabasa (ランプン州)

- Wai Ratai (ランプン州)

スマトラは、インドネシアの中でも最も地熱資源に恵まれている地域であるが、ジャワ島の

地熱地帯に比べて地熱開発が遅れている。これらの内、Sibayak において 2000 年 10 月から発電

所が運転開始しているが、その他の地域での開発は、長い間、進展が見られていない。Sibayak

地域の地熱貯留層は、深度 1,500m~2,200m 付近に分布し、温度も高く(地化学温度 270°C)、

相対的に開発リスクは低いことが予想される。PERTAMINA が過去に実施した資源量算出結果

では、確定(Proven)資源量 39MW、確認(Possible)資源量 131MW とそれぞれ報告されてい

るが、本調査において実施した地熱資源量は 170MW となっており、これらの数値は既開発発

電容量よりもはるかに大きい。既存発電所の出力を確保し、将来の発電設備拡張のためにも、

追加の開発計画が作成されることが望ましい。

スマトラ地域で、次に開発が進んでいる地域が Sarulla である。資源開発のため FS 調査はほ

ぼ完了しており、貯留層の深度、温度、化学特性などは把握されている。地熱資源の観点から

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4-46

見れば、本地域の開発は早期に実施可能と考えられる。深部地熱井掘削によって、貯留層の存

在が確認されており、流体の化学特性も電源開発に適していることが判明している。1990 年代

に掘削された 13 本の坑井結果から、330MW の発電出力で 30 年間運転可能であることが報告さ

れている。最近の報告では、IPP 企業によって、発電所建設が開始される予定である。Sarulla

地域内は、Silangkitang、Namora-I-Langit、Sibualbuali と Donotasik からなる 4 つの地熱地帯から

構成されている。Silangkitang は、大スマトラ断層の主要構造に沿った Sarulla 地溝中に位置し、

5 本の地熱井が掘削されている。この内、2 本の坑井から、温度 310oC 以上の貯留層温度が記録

されている。広範囲にわたって地表地熱徴候が見られる Namora-I-Langit では 4 本の坑井が掘削

されている。本地域の坑井は全て高い生産性を有し、260℃以上の流体温度を有する高透水性の

地熱貯留層が広く分布しているとされている。この内、3 本の坑井からは中性 Na-Cl タイプの

熱水が、残りの 1 本からは低 pH の Na-Cl-SO4 の流体が噴出していることが報告されている。過

去に安山岩質複合火山によって形成された地域とされている Sibualbuali 地区には、生産性が期

待される 4 本の坑井が掘削されている。地熱貯留層の存在も確認されており、最高温度 267 ℃

も記録している。側方方向および鉛直方向の温度勾配が顕著であることから、広域的な断層構

造に沿って、地熱流体の通路が形成されていることが考えられる。Donotasik では掘削は行われ

ていないが、他の 3 地区と同様、大スマトラ断層によって構造的に規制されていることから、

高い透水性の地熱貯留層が期待されている。

その他 3 地域の Ulubelu、Lumut Balai および B. Gedung Hulu Lais の開発を進めるためには、詳

細な地表調査と調査井の掘削が必要である。地熱構造モデルを構築し、調査井を掘削すること

によって、地熱貯留層の存在が確認できれば、その後の地熱生産井の成功率が上昇することか

ら、これらを実施が望ましい。貯留層賦存の確認およびモデル構築が完了すれば、FS 調査のた

めの資源量シミュレーションができ、発電規模の決定、プラントの設計が可能となる。現在、

地熱貯留層の深度、温度、特性(主に化学特性)が予備的な調査(地表調査)結果から推定さ

れている。本調査において実施した資源量算出結果では、3 地域とも膨大な資源量(580-1,220

MW)を有し、地熱流体は、高温(250-290°C 程度)で、化学特性も主に中性 Cl タイプと発電

所建設に適したデータが得られている。

この他、スマトラでは 7 地域(Muaralabuh、Sungai Penuh、Lempur/Kerinci、Tambang Sawah、

Rajabasa、Suoh Antatai、G. Sekincau および Wai Ratai)が地熱電源開発において高いランクに位

置付けられている。貯留層の温度も高温(240-270°C)で、流体の化学特性も開発に適したもの

(中性もしくは弱アルカリ性の Cl タイプ)であり、相対的に広範囲にわたって地熱貯留層が広

がっていると期待される。これらの地域の対しても開発が行われ、近い将来、PLN のスマトラ

電力送電網を通して、電力が広く供給されることが望まれる。

これら 7 地域の他にも、Seulawah Agam と S. Merapi-Sampuraga の 2 地域は、地化学温度によ

って高い流体温度(>230°C)が推定され、化学的性状も良好なことから、地熱開発の候補とな

りうる地域である。

Iboih-Jaboi および Marga Bayur の 2 地域は、上記で述べた地域に準じて調査・開発が望まれる

地域である。これらの地域もまた、地表調査の後に調査井掘削が実施されることが望まれる。

スマトラ全体の地熱資源量は 7,500MW を越えるものと推定される。本地域の特徴として、そ

の殆んどで大規模電源開発(100MW 以上)が期待される地域である。これらの地域の開発は将

来的には、北部・中部・南部のスマトラ電力送電網への電力供給に資することが期待される。

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4-47

(2) ジャワ-バリ地域

- Kamojang (西ジャワ州)

- G. Salak (西ジャワ州)

- Darajat (西ジャワ州)

- Cisolok-Cisukarame (西ジャワ州)

- G. Patuha (西ジャワ州)

- G. Wayang-Windu (西ジャワ州)

- G. Karaha (西ジャワ州)

- G. Telagabodas (西ジャワ州)

- Dieng (中部ジャワ州)

- Ungaran (中部ジャワ州)

- Wilis-Ngebel (東ジャワ州)

- Bedugul (バリ州)

ジャワーバリ地域では電源開発に有望な地熱地域が多数存在している。Kamojang、Salak、

Darajat、Wayang Windu および Dieng では既に開発され、発電所の建設・運転が行われている。

PERTAMINA 他によって算出された地熱資源量は、現在の発電量や計画されているものよりも

大きくなっている。送電網が既に整備されており、これらの地域の開発は、近い将来の電源供

給計画に含めることが可能であることから、開発可能な資源量をより正確に算出することが重

要である。

既設発電容量のほかに、Kamojang や Dieng では更なる拡張が可能である。Kamojang では現在

運転中の 140MW プラントや計画中の増設 60MW の他にも、JETRO の FS 調査では、40-60MW

の拡張が可能との報告がある。Diegnでは 1998年に 60MWの 1号機が運転開始したが、Road Map

2025 にも示されているように、新たに 240MW 増設が計画されている。

Patuha、G. Karaha、G. Telagabodas および Bedugul でも、豊富な地熱資源量が存在していると

評価されている。これらの地域では、245-285℃の貯留層温度が確認されており、総合的な解析

結果から 200-600MW の資源量が推定されている。

Cisolok-Cisukarame、Ungaran および Wilis-Ngebel に関しては、地熱貯留層の体積、地化学温度

および流体化学特性が地熱開発に適しているデータが得られていることから、将来の開発に繋

がる調査を実施する価値がある。この 3 地域に関しては、FS を実施する以前の地熱資源調査デ

ータが十分ではなく、資源の確認および地熱資源量の算出等が必要である。

ジャワ-バリ地域内の地熱資源量は、本調査においても 4,500MW 以上存在することが認めら

れた。本地域内で取り上げた各地域には、豊富な資源量が見込まれることから、系統的な調査

や開発計画を作成し、地熱井の掘削や噴出試験を実施することが望まれる。

(3) スラウェシ地域および東部インドネシア

- Hu’u Daha (西ヌサテンガラ州)

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4-48

- Wai Sano (東ヌサテンガラ州)

- Ulumbu (東ヌサテンガラ州)

- Bena-Mataloko (東ヌサテンガラ州)

- Sokoria-Mutubusa (東ヌサテンガラ州)

- Oka-Larantuka (東ヌサテンガラ州)

- Atadei (東ヌサテンガラ州)

- Lahendong (北スラウェシ州)

- Kotamobagu (北スラウェシ州)

- Tompaso (北スラウェシ州)

-Tulehu (マルク州)

- Jailolo (北マルク州)

本地域内で地熱開発が最も有望と判断される地域としては、スラウェシ島北部の Lahendong、

Tompaso および Kotamobagu、フローレス島の Ulumbu、Bena-Mataloko および Sokoria-Mutubusa

が挙げられる。

これらの中で、Lahendong は PERTAMINAによって 1984年から調査が開始され、1号機(20MW)

は、2002 年 8 月に商業運転を開始している。北スラウェシ州の電力需要増大に合わせて、現在、

2 号機および 3 号機(各 20MW)の建設が PLN によって行われている。16 本以上の深部地熱井

が掘削されており、PERTAMINA の試算で 80MW の確認(Proven)埋蔵量が報告されている(本

調査で推定した Lahendong の資源量は 175MW)。既開発地域および増設計画地域の周辺地域に

は、まだ多くの活発な地熱徴候地が存在することから、Lahendong 地域内で更なる拡張の可能

性が期待できる。

北スラウェシ州内の残りの 2 地域(Tompaso および Kotamobagu)に関しては、詳細な地表調

査に基づいた調査井掘削等の資源調査が必要である。現在、地熱貯留層の深度、温度、化学特

性が地表調査結果から推定されている。本調査で実施した地熱資源量算出結果からは

240-460MW 程度、地化学温度からは 250-260 oC が推定されており、地熱開発に十分に適してい

る。本プロジェクトで実施された MT/TDEM 法探査の比抵抗構造をもとに地熱構造モデルを作

成し、再評価することが必要である。

フローレス島では、Ulumbu において 5 本、Bena-Mataloko において 2 本の調査井が掘削され

ている。さらに、本調査では Sokoria-Mutubusa において MT/TDEM 法による物理探査が実施さ

れた。これら 3 地域内で確認(もしくは推定)されている貯留層温度は 230-250℃である。規模

の大きな地熱資源が賦存すると評価される。

この他、Hu’u Daha、Wai Sano、Oka-Larantuka、Atadei、Tulehu および Jailolo の 6 地区に関し

ては、将来の電源開発のために詳細な調査を実施する必要がある。これらの地域は地熱電源開

発可能な 200℃以上の温度が推定されており、温泉水の性状は中性を示している。データは十

分には得られていないが、地表徴候から地熱貯留層が存在する可能性がある。

本調査結果から推定されたスラウェシおよび東部インドネシア地域全体の資源量は 2,000MW

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4-49

以上になる。地熱資源から見ればこれらの地域の地熱資源は各地域の電源とするには十分なも

のがあると評価される。

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4-50

Fig. 4.1.1-1(1) Study Area (Sumatra)

Fig. 4.1.1-1(2) Study Area (Java)

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4-51

Fig. 4.1.1-1 (3) Study Area (Sulawesi & Maluku)

Fig. 4.1.1-1 (4) Study Area (Nusa Tenggara)

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4-52

Fig. 4.1.1-2 Regional Geology of Indonesia

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4-53

Table 4.1.1-1 Hydro-geochemical Parameters of the 73 Geothermal Fields.

Surface Acid Sulfate Neutral Chloride SeawaterTmax(℃) pH Major Anion Cl max (ppm) Spring Spring Contribution

1 IBOIH - JABOI 100 2.4-7.1 SO4, HCO3, Cl-HCO3 1353 present present possible2 LHO PRIA LAOT 101 6.5 Cl 5312 present none3 SEULAWAH AGAM 89 7 Cl-SO4 2399 present none?4 G. GEUREUDONG 695 G. KEMBAR 89 7.8 Cl-SO4 828 present none6 G. SINABUNG7 LAU DEBUK-DEBUK / SIBAYAK 116 6.7 HCO3 1108 SARULA 101 3.1-9.3 SO4, HCO3, Cl-HCO3, Cl-SO4 1310 present present none9 SIBUAL BUALI 72 7.5-7.9 HCO3, Cl-HCO3 288 present none10 S. MERAPI - SAMPURAGA 99 2.5-7.4 SO4, Cl-HCO3 503 present present none11 PUSUK BUKIT - DANAU TOBA 90 2.5-3.4 SO4 394 present12 SIMBOLON - SAMOSIR 43 3.4 SO4 24 present13 MUARALABUH 104 6.75-8 SO4, Cl 1200 present none14 G. TALANG 98 8.2 HCO3 1015 LEMPUR / KERINCI 97 2.8-7.2 SO4, HCO3 9 present16 SUNGAI TENANG 96 8.0 Cl-SO4 392 present none17 SUNGAI PENUH 102 7.0 579 present none18 SUNGAI BETUNG 3019 AIR DIKIT 98 2.5 SO4 3 present20 G. KACA 4121 B. GEDUNG HULU LAIS 95 2.1 SO4 3 present22 TAMBANG SAWAH 95 8.0 Cl 2557 present none23 BUKIT DAUN 95 2.3 SO4 47 present24 MARGA BAYUR 96 6.7 SO4 525 LUMUT BALAI 98 2.5 SO4 80 present26 RANTAU DADAP - SEGAMIT 9627 ULUBELU 99 2-neutral 90028 SUOH ANTATAI 99 7.2 Cl 1326 present none29 G. SEKINCAU 98 7.5 Cl 1370 present none30 RAJABASA 99 6.0-6.5 HCO3, Cl 5570 present none?31 WAI RATAI 92 7.4 Cl 1939 present none?32 KAMOJANG 96 2.9-8.2 SO4, HCO3 17 present33 G. SALAK34 DARAJAT 77 3.0-5.0 SO4 14 present35 CISOLOK - CISUKARAME 98 7.9-8.7 Cl-HCO3, Cl-SO4 405 present none36 G. PATUHA 8937 G. WAYANG - WINDU 5038 G. KARAHA 95 6.6 SO4 1139 G. TELAGABODAS 9240 TANGKUBANPERAHU 96 2.5-7.4 SO4, HCO3, Cl-HCO3, Cl-SO4, Cl 879 present present none41 BATUKUWUNG 5242 CITAMAN - G. KARANG 9443 G. ENDUT 84

Bengkulu

South Sumatera

Lampung

Nangroe AcehDarussalam

North Sumatera

West Sumatera

Jambi

West Java

Banten

Names of the 73 fields in this SurveyNoSurface Water Type (Hot Spring)

Region HS-TSiO2 HS-Na/K HS-dMg,K/Mg Well-TSiO2 Fumarole Well94-162 217-300 34-149 - 277-286 -

137-166 190-219 122-215 - - -- 178-209 101 - - -

77-100 333-347 163-191 - - -

51-71 - 42-75 - - -99-228 140-280 132-271 - 275-300 -95-138 156-230 90-160 - 250-310 -

- 189-218 134-144 99-127 - -- - - - 237 -- - - - 152 -

153-184 185-215 194-215 - - -- - - - - -- - - 192-224 167-285 250-307

123-151 178-209 176 - - -198-243 - 288 - - -

- - - - - -

- - - - 272-292 -108-134 191-219 167-203 - - -

- - - - - -176 - - - - -

- - - - - -

240-250215-228 249-264 - - - -251-257 236-254 228-240 - - -114-149 148-185 113-195 - - -207-221 189-218 114-134 - - -

- - - - - -225

- - - - - -109-159 96-190 88-117 - - -

203-262- - - 264 - -

127-165 124-222 65-169 - - -

Water Chemical Temperature (℃) Gas Chem. Temp.(℃)

44 DIENG 9445 MANGUNAN 4646 TELOMOYO47 UNGARAN 86 6.0-8.0 HCO3, Cl-HCO3 870 present none?48 G. SLAMET 51 7.9 HCO3 2649 G. ARJUNO - WELIRANG 70 6.7 HCO3 33450 WILIS / NGEBEL 93 6.6 Cl 4627 present none51 IJEN 57 6.5-8.3 HCO3 152

Bali 52 BEDUGUL 32West Nusa Tenggara 53 HU'U DAHA 86 2.2-6.7 SO4, HCO3, Cl-SO4 1555 present present possible

54 WAI SANO 92 5.7-7.1 SO4, HCO3, Cl-HCO3, Cl 20000 present none?55 ULUMBU 96 3.0-4.4 SO4 36 present56 BENA - MATALOKO 95 2.5-6.4 SO4 36 present57 SOKORIA - MUTUBUSA 97 1.9-8.0 SO4, HCO3, Cl-HCO3, Cl-SO4 1384 present present none58 OKA - LARANTUKA 90 2.6-8.6 SO4, HCO3, Cl-HCO3, Cl-SO4, Cl 4994 present present possible59 ILI LABALEKEN60 ATADEI 97 8.1 HCO3 1061 LAHENDONG 99 8.7 mixed 29062 KOTAMOBAGU 98 7.8 SO4 38063 TOMPASO 9864 BORA 8165 MARANA 90 6.8-8.8 HCO3, mixed, Cl-HCO3, Cl-SO4, Cl 3569 present possible

South Sulawesi 66 BITUANG 98Southeast Sulawesi 67 LAINEA 85

68 TONGA WAYANA 6069 TULEHU 92 6.5-7.7 HCO3, Cl-HCO3, Cl-SO4, Cl 14300 present present70 JAILOLO 97 7.2-7.8 HCO3, Cl-HCO3, Cl-SO4, Cl 6954 present possible

North Sumatera 71 SIPAHOLON-TARUTUNG 65 6.2-7.2 SO4, HCO3, mixed, Cl-HCO3 277 present noneEast Java 72 ARGOPURO 47 7.4 HCO3 26Gorontalo 73 SUWAWA-GORONTALO 83 7.4-7.8 SO4, Cl-SO4 923 present none?

Water/Gas Chemical Temperature : HS=Hot Spring Water, Well=Well Water/Gas

Maluku

East Nusa Tenggara

Central Sulawesi

Central Java

East Java

North Sulawesi

100-147 130-170 68-161 - 180-279 -- - - - - -

102 - 88-135 - - -74-97 191-219 115 122-150 - -115 - 88-131 - - -

- - - - - -56-113 150-286 53-257 - - -

- - - - - 245-249- - - - 212-256 270-273

71-122 99-193 88-175 - 230-323 -92-156 177-246 70-243 - - -

- - - - 175 -198-213 - 141 - - -86-110 212-236 101-110 - 286 -

75-129 86-222 48-126 - - -

34-169 130-239 43-225 - 166 -59-131 112-171 81-190 - - -77-138 - 50-95 - - -

- - - - - -50-122 130-170 44-126 - - -

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4-54

Fig. 4.1.1-3 Schematic Process for Conceptual Model Construction

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4-55

Fig. 4.1.1-4 Flow Chart of the Resource Evaluation

NO        YES

Construction of the conceptual models ofthe 16 prospective survey fields

Estimation of the reservoir volumes

Estimation of the reservoir temperatures

Is there any nearfield where theresource capacitywas alreadyevaluated?

The equivalent recovery factor(Rf) should be used.

Following relationship betweenrecovery factor (Rf) and porosity (φ)should be used if porosity data isaavailable. Rf=2.5φOtherwise, Rf = 15~25%.

The range and most likelyvalue of ecah parameter isdiscussed.

Most likely resource capacitytogether with around 20-80%probability resource capacityare calculated by the MonteCarlo Analysis.

The initial capital investment perkW

  Geothermal Resource Database

0%

10%

20%

30%

15 20 25 30 35 40 45 50 55

Power(MWe)

Fre

quency

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%

100%

0 10 20 30 40 50 60

Power(MWe)

Cum

ula

tive

Fre

quen

cy(%)

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4-56

Fig. 4.1.1-5 Flow Chart of the Simplified Economical Evaluation

Data input(Dr,Tr,kh)

Drilling depth, reservoir pressire, temperatureand kh (permeability-thickness products)

Calculation of a well productivity

Flow rate and equivalent power output of a wellis predicted using a wellbore simulator.

Calculation of number of start-up prodution wells

The number of start-up production wells iscalculated based on the plant power output andwell productivity.

Calculation of number of start-up reinjectionThe number of start-up reinjection well iscalculated based on the expected total waterdischarge and assumed reinjection capacity of areinjection well.

Total number of wells

Reservoir ConceptualModel and Database

Calculation of the initial capitalinvestment basd on the drilling cost

and plant construction cost.

Initial capital investment per kW

 Wellbore SimulatorWELLFLOW

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4-57

Table 4.1.2-1 Item for Evaluation of Each Geothermal Field

① EconomySimplified Economic Evaluation: Cost ranking on the simplified economic evaluation based on the initial investment cost per

kW (US$/kW) and characteristics of each geothermal reservoir (drilling depth, productivityand reinjectivity)

② SecuritySafety Instruction: Following to the safety instruction of Foreign Ministry of Japan, geothermal areas situated

in the following provinces are prohibited to visit. - Nanggroe Aceh Darussalam - Central Sulawesi, West Timor of East Nusa Tenggara - Maruku, North Maruku, Papua

③ Development StageAlready Installed: Areas already installed the generating facilities.

JOC: Joint Operation Contract areas.WKP: Detailed-explored areas with the development plan (on the Road Map 2025).

Protection Area: Areas with natural/social/environmental problems and the restriced areas on regulation④ Purpose of Development

Regional Electricity Gridding: large-scale power plant connecting regional power gridIsolated Gridding: Independent power plants for rural electrification (small-scale power plant in multipurpose

utilization)⑤ Development Scheme

ODA: IPP by private investorsIPP: Government developer financially supported by ODA (ex. Soft-Loan)

Small-scale Generating: Government developer by public support and/or local government⑥ Difficulty in Develoment

Infrastructure/Accessibility/Regulation: Necessity of supplemental field survey was finally considered on condition of infrastructureconstruction, power demand, access to the site, distance to the grid-line, developmentcondition of surrounding areas, etc.

Evaluation Criteria

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4-58

Fig. 4.1.2-1 Location of Supplementary Survey Fields

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4-59

Table. 4.4.1-1 List of 34 Geothermal Fields

Region Field

Aceh IBOIH-JABOI (No.1) LHO PRIA LAOT (No.2) SEULAWAH AGAM (No.3) G. KEMBAR (No.5)

North Sumatera S. MERAPI-SAMPURAGA (No.10) PUSUK BUKIT - DANAU TOBA (No.11) SIMBOLON – SAMOSIR (No.12) SIPAHOLON – TARUTUNG (No.71)

West Sumatera MUARALABUH (No.13) G. TALANG (No.14)

Jambi LEMPUR / KERINCI (No.15) SUNGAI PENUH (No.17) AIR DIKIT (No.19)

Bengkulu B. GEDUNG HULU LAIS (No.21) TAMBANG SAWAH (No.22)

South Sumatera MARGA BAYUR (No.24)

Lampung SUOH ANTATAI (No.28) G. SEKINCAU (No.29) RAJABASA (No.30) WAI RATAI (No.31)

West Java CISOLOK – CISUKARAME (No.35) TANGKUBANPERAHU (No.40)

Banten CITAMAN - G. KARANG (No.42)

Central Java TELOMOYO (No.46) UNGARAN (No.47)

East Java WILIS / NGEBEL (No.50) IJEN (No.51)

East Nusa Tenggara WAI SANO (No.54) BENA-MATALOKO (No.56) SOKORIA – MUTUBUSA (No.57)

North Sulawesi KOTAMOBAGU (No.62) TOMPASO (No.63)

Maluku TULEHU

Gorontalo SUWAWA-GORONTALO (No.73)

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4-60

Fig. 4.4.2-1 Station Location Map (Sokoria MT/TDEM survey)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

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4-61

Fig. 4.4.2-2 Station Location Map (Kotamobagu MT/TDEM survey)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

2021

22

23

24

2526

27

28

29

30

31

32

33

34

35

649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

MT/TDEM station

Legend

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4-62

Table 4.4.2-1 Locations of MT/TDEM stations (Kotamobagu and Sokoria fields)

Coordinat Survey MT & TDEM Coordinat Survey MT & TDEM Sokoria, East Nusa Tenggara Kotamobagu, North Sulawesi

MT Site Long (m) Lat (m) Elev (m) MT Site Long (m) Lat (m) Elev (m)MTSC01 363136 9029305 1196 MTKB01 651335 80847 483 MTSC02 363150 9028792 1317 MTKB02 651589 79444 454 MTSC03 363367 9027237 970 MTKB03 652282 78433 457 MTSC04 363188 9026872 950 MTKB04 652739 77313 609 MTSC05 363124 9026480 831 MTKB05 653214 76100 896 MTSC06 363588 9026292 775 MTKB06 654523 76679 760 MTSC07 363682 9026914 871 MTKB07 653937 77705 511 MTSC08 363579 9027553 1079 MTKB08 653476 79054 535 MTSC09 363557 9027933 1243 MTKB09 653061 80302 563 MTSC10 363697 9028721 1414 MTKB10 652405 81236 594 MTSC11 363701 9029300 1338 MTKB11 653523 81789 732 MTSC12 364240 9029496 1493 MTKB12 654060 80666 639 MTSC13 364331 9028741 1230 MTKB13 654574 79636 624 MTSC14 364313 9028134 1092 MTKB14 655087 78284 585 MTSC15 364234 9027497 1061 MTKB15 655539 77054 712 MTSC16 364314 9026981 895 MTKB16 656914 77759 718 MTSC17 364208 9026290 690 MTKB17 656250 78640 663 MTSC18 364956 9026287 826 MTKB18 655930 80094 736 MTSC19 364908 9026892 856 MTKB19 655052 81069 750 MTSC20 364957 9027472 872 MTKB20 654645 82283 916 MTSC21 364917 9028120 996 MTKB21 655879 82661 1201 MTSC22 364815 9028742 1197 MTKB22 656396 81620 956 MTSC23 364876 9029327 1307 MTKB23 656907 80474 824 MTSC24 365530 9029332 1256 MTKB24 657438 79533 810 MTSC25 365530 9028782 1113 MTKB25 658053 78284 789 MTSC26 365491 9028148 1102 MTKB26 659088 78686 973 MTSC27 365579 9027525 974 MTKB27 658334 79727 921 MTSC28 365522 9026990 1018 MTKB28 658146 80901 1150 MTSC29 365521 9026348 1067 MTKB29 657261 82172 1125 MTSC30 366247 9026277 1009 MTKB30 657153 82802 1344 MTSC31 366429 9027019 1138 MTKB31 658211 83619 1450 MTSC32 366152 9027431 1189 MTKB32 658734 82579 1439 MTSC33 366152 9028113 1196 MTKB33 659000 81712 1581 MTSC34 366160 9028670 1300 MTKB34 659821 80379 1171 MTSC35 366092 9029286 1407 MTKB35 659976 79121 972

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4-63

MT layout

TDEM layout

Fig. 4.4.2-3 MT and TDEM layout Sketches

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4-64

Table 4.4.2-2 Static Shift values for Kotamobagu and Sokoria MT surveys

SITE for Rhoxy for Rhoyx SITE for Rhoxy for RhoyxMTSC01 -0.066 0.066 MTKB01 0.133 -0.026MTSC02 0.459 1.029 MTKB02 -0.098 -0.050MTSC03 -0.329 -0.236 MTKB03 0.075 0.000MTSC04 -0.352 -0.287 MTKB04 0.634 0.623MTSC05 -0.085 0.171 MTKB05 0.008 0.614MTSC06 -0.168 -0.077 MTKB06 -0.002 0.092MTSC07 -0.224 -0.170 MTKB07 0.116 0.163MTSC08 -0.473 -0.017 MTKB08 -0.156 -0.103MTSC09 -0.602 -0.099 MTKB09 0.144 -0.034MTSC10 0.465 0.705 MTKB10 -0.137 -0.085MTSC11 0.519 -0.450 MTKB11 -0.256 -0.159MTSC12 1.084 0.218 MTKB12 -0.035 0.009MTSC13 -0.494 -0.305 MTKB13 -0.011 -0.052MTSC14 -0.134 -0.119 MTKB14 -0.064 -0.221MTSC15 0.098 0.549 MTKB15 0.611 -0.138MTSC16 -0.187 -0.061 MTKB16 -0.181 0.199MTSC17 -0.160 0.291 MTKB17 -0.074 -0.035MTSC18 -0.133 0.053 MTKB18 -0.077 0.068MTSC19 -0.240 -0.077 MTKB19 -0.048 -0.002MTSC20 -0.115 -0.132 MTKB20 0.013 -0.091MTSC21 0.042 0.012 MTKB21 -0.035 -0.067MTSC22 0.687 0.585 MTKB22 0.010 0.112MTSC23 0.293 0.106 MTKB23 -0.269 0.124MTSC24 0.496 0.185 MTKB24 -0.114 -0.192MTSC25 -0.037 -0.126 MTKB25 -0.074 -0.093MTSC26 0.459 0.122 MTKB26 0.047 -0.075MTSC27 0.007 -0.117 MTKB27 -0.231 -0.307MTSC28 -0.079 -0.025 MTKB28 0.080 -0.183MTSC29 0.025 0.016 MTKB29 -0.044 0.235MTSC30 0.136 -0.065 MTKB30 0.552 0.724MTSC31 0.082 0.336 MTKB31 -0.155 -0.066MTSC32 -0.202 -0.147 MTKB32 -0.104 -0.086MTSC33 0.170 0.197 MTKB33 0.266 0.185MTSC34 0.385 0.438 MTKB34 -0.135 0.103MTSC35 0.670 0.037 MTKB35 -0.143 -0.124

Sokoria Kotamobagu

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4-65

Fig. 4.4.2-4 Conceptual Illustration of 2D Resistivity Modeling

Page 67: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-66

Fig. 4.4.3-1 Apparent Resistivity Map at 100Hz (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

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14

15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Rs1

Resistivity discontinuity

Contour Line of Apparent Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

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4-67

Fig. 4.4.3-2 Apparent Resistivity Map at 1Hz (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

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15

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17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Contour Line of Apparent Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Page 69: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-68

Fig. 4.4.3-3 Apparent Resistivity Map at 0.1Hz (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

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15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Contour Line of Apparent Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Page 70: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-69

Fig. 4.4.3-4 Location of Section Lines (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

AA

BB

CC

DD

EE

FF

Section Line

Page 71: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-70

Fig. 4.4.3-5 Resistivity Map at a depth of 200m (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Rs1

Resistivity discontinuity

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Page 72: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-71

Fig. 4.4.3-6 Resistivity Map at a depth of 500m (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Page 73: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-72

Fig. 4.4.3-7 Resistivity Map at a depth of 750m (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Rs3

Rs2

Resistivity discontinuity

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Page 74: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-73

Fig. 4.4.3-8 Resistivity Map at a depth of 1000m (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Rs3

Rs2

Resistivity discontinuity

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Page 75: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-74

Fig. 4.4.3-9 Resistivity Map at a depth of 1500m (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Rs3

Rs2

Resistivity discontinuity

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Page 76: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-75

Fig. 4.4.3-10 Resistivity Map at a depth of 2000m (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 18

19

20

21

22

23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Rs2

Resistivity discontinuity

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Page 77: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-76

Fig. 4.4.3-11 Resistivity Map at a depth of 2500m (Sokoria field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

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16

17 18

19

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21

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23 24

25

26

27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Page 78: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-77

Fig. 4.4.3-12 Resistivity Section Map along line-AA (Sokoria field)

Fig. 4.4.3-13 Resistivity Section Map along line-BB (Sokoria field)

0 500 1000 1500 2000 2500-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

W E

S.L. (m)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

W E

S.L. (m)

Rs2Rs1

Page 79: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-78

Fig. 4.4.3-14 Resistivity Section Map along line-CC (Sokoria field)

Fig. 4.4.3-15 Resistivity Section Map along line-DD (Sokoria field)

0 500 1000 1500 2000 2500-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

W E

S.L. (m)

Rs2

0 500 1000 1500 2000 2500-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

W E

S.L. (m)

Rs3

Rs2

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4-79

Fig. 4.4.3-16 Resistivity Section Map along line-EE (Sokoria field)

Fig. 4.4.3-17 Resistivity Section Map along line-FF (Sokoria field)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

W E

S.L. (m)

Rs3Rs2

0 500 1000 1500 2000 2500 3000-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

W E

S.L. (m)

Rs3Rs2

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4-80

Fig. 4.4.3-18 Conceptual Model of Low Resistivity Zone in Geothermal Field

Fig. 4.4.3-19 Conceptual Model of Resistivity Structure in and around

Geothermal Reservoir

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4-81

Fig. 4.4.3-20 Synthetic Resistivity Structure Map in the Sokoria geothermal field

1

2

3

4

5

6

7

8

9

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27

28

29 30

31

32

33

34

35

SK-1

SK-2

SR-1

363000 364000 365000 366000 367000

9026000

9027000

9028000

9029000

9030000

Rs3

Rs2Rs1

Resistivity discontinuity

MT/TDEM station

Legend

Estimated fault

Caldera Rim

Well Locations

Low Resistivity zone of less than 10ohm-m at a depth of 200m

High Resistivity zone of greater than 40ohm-m at a depth of 1500m

Promising Zone

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4-82

Fig. 4.4.4-1 Apparent Resistivity Map at 100Hz (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

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18

19

2021

22

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33

34

35

649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Apparent Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 84: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-83

Fig. 4.4.4-2 Apparent Resistivity Map at 1Hz (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

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34

35

649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

Rk1

Resistivity discontinuity

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Apparent Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 85: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-84

Fig. 4.4.4-3 Apparent Resistivity Map at 0.01Hz (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

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14

15

16

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18

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2021

22

23

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2526

27

28

29

30

31

32

33

34

35

649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Apparent Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 86: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-85

Fig. 4.4.4-4 Location of Section Lines (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

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2021

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2526

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649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

MT/TDEM station

Legend

Section Line

A

BC

DE F

G

Page 87: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-86

Fig. 4.4.4-5 Resistivity Map at a depth of 200m (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

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649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 88: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-87

Fig. 4.4.4-6 Resistivity Map at a depth of 500m (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

8

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16

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2021

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2526

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34

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649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

Rk1

Resistivity discontinuity

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 89: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-88

Fig. 4.4.4-7 Resistivity Map at a depth of 750m (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

8

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12

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2526

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34

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649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

Rk1

Resistivity discontinuity

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 90: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-89

Fig. 4.4.4-8 Resistivity Map at a depth of 1000m (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

8

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10

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18

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2526

27

28

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30

31

32

33

34

35

649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

Rk1

Resistivity discontinuity

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 91: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-90

Fig. 4.4.4-9 Resistivity Map at a depth of 1500m (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

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17

18

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34

35

649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

Rk2

Rk1

Resistivity discontinuity

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 92: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-91

Fig. 4.4.4-10 Resistivity Map at a depth of 2000m (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

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17

18

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2526

27

28

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649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

Rk2

Rk1

Resistivity discontinuity

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 93: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-92

Fig. 4.4.4-11 Resistivity Map at a depth of 2500m (Kotamobagu field)

1

2

3

4

5

6

7

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2526

27

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649000 650000 651000 652000 653000 654000 655000 656000 657000 658000 659000 660000 661000 66200075000

76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

Rk2

Rk1

Resistivity discontinuity

MT/TDEM station

Legend

Contour Line of Resistivity (ohm-m)

3.2

Page 94: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-93

Fig. 4.4.4-12 Resistivity Section Map along line-A (Kotamobagu field)

Fig. 4.4.4-13 Resistivity Section Map along line-B (Kotamobagu field)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000-2000

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

NNW SSE

S.L. (m)

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

Rk1

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000-2000

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

NNW SSE

S.L. (m)

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

Rk1

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4-94

Fig. 4.4.4-14 Resistivity Section Map along line-C (Kotamobagu field)

Fig. 4.4.4-15 Resistivity Section Map along line-D (Kotamobagu field)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000-2000

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

NNW SSE

S.L. (m)

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

Rk2

Rk1

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000-2000

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

NNW SSE

S.L. (m)

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

Rk2Rk3

Rk1

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4-95

Fig. 4.4.4-16 Resistivity Section Map along line-E (Kotamobagu field)

Fig. 4.4.4-17 Resistivity Section Map along line-F (Kotamobagu field)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500-2000

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

NNW SSE

S.L. (m)

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

Rk3

Rk2

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500-2000

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

NNW SSE

S.L. (m)

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

Page 97: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-96

Fig. 4.4.4-18 Resistivity Section Map along line-G (Kotamobagu field)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500-2000

-1500

-1000

-500

0

500

1000

1500

NNW SSE

S.L. (m)

-100123.25812.52032508012520032050080012502000

ohm-m

Page 98: 第4章 全国地熱資源調査 - JICA報告書PDF版(JICA …open_jicareport.jica.go.jp/pdf/11864535_02.pdfこの他、スラウェシ島北部のLahendong 地域、Tompaso 地域、Kotamobagu

4-97

Fig. 4.4.4-19 Synthetic Resistivity Structure Map in the Kotamobagu geothermal field

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

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15

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76000

77000

78000

79000

80000

81000

82000

83000

84000

85000

86000

87000

Rk3

Rk2

Rk1

Resistivity discontinuity

MT/TDEM station

Legend

Low Resistivity zone of less than 10ohm-m at a depth of 500m

High Resistivity zone of greater than 25ohm-m at a depth of 2000m

Promising Zone