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第5回
第5章 層流と乱流第5章 層流と乱流
門田 悠希門田 悠希
目次
1:層流、乱流とは?
2:円管路の層流
3:壁面に沿う乱流の流速分布
1:層流、乱流とは?
レイノルズは水槽中のガラス管に細い色素を流し、流速の変化により、流れの状態が変化するのを発見。
流速が小さい
流速が大きい
外的条件を一定に保っても、ある条件を境にして時間的にも空間的にも不規則な変動を伴う流れが発生する。
この流れの状態の相違は、速度U,長さL,動粘性係数ν(μ/ρ)に関連し、この3つの量から作られた無次元数による。
)(zu
yuv
xuu
∂∂
+∂∂
+∂∂
)( 2u∇ν
この比がある限界より大きくなると層流を保てず乱流になる。
慣性項
粘性項=
)/( 2LUν
)( ULU ⋅=
ν
UL= Re
外乱の少ない状態では、遷移レイノルズ数24,000まで高めた例
つまり、限界レイノルズ数とは乱流が存在し得る下の限度!
限界レイノルズ数以下では乱流状態を保持できない!
レイノルズ応力を付加するようにNavier-Stokes方程式を書き換えたReynolds方程式の表す流れが成立
<層流と乱流を表す流れの方程式>
一様な真直ぐな円管路の流れの解は、層流(低いレイノルズ数) :Navier-Stokes方程式の理論解である
ハーゲン・ボアズイユ流れが成立
乱流(高いレイノルズ数) :層流解が成立しない →不規則変動により付加される応力効果(レイノルズ
応力)のため層流の場合と大きく異なる
<バースティング現象>乱流を維持しているのは大規模な組織的運動であり、壁面近傍での乱流運動をバースティングと呼ぶ。
低速流体の吹上げ
壁面上、上方での反射
高速流体の壁方向への進入
これらの運動が、レイノルズ応力の発生、壁面からの熱や物質輸送の効果を高める役割になる!
2:円管路の層流
Navier-Stokesの方程式より、一様な流れであり、外力は無いため
rx
a
0
)(ruu
xpFx
DtDu 21
∇+∂∂
−= νρ
0 0
uxp 210 ∇+∂∂
−= νρ
円筒座標系(r,θ,x)を用いると、
2
2
2
2
22
22 11
xrrrr ∂∂
+∂∂
+∂∂
+∂∂
=∇θ
流れの流速成分はu(x方向成分)のみであり、uはθ、x方向には変化しない。
よって、 Navier-Stokesの方程式は、
)1(10 2
2
drdu
rdrud
dxdp
++−= νρ
ν=μ/ρより、
dxdp
drdu
rdrud
=+ )1( 2
2
μ … (5・2)
あるいは、
dxdp
drdur
drd
r μ
1)(1= … (5・3)
式(5・3)の別の導き方
図5・7の円管路の半径rとδr,幅δxの流体部分について、環状部に働く圧力の差と側面に働くせん断力の差のつり合いより、
))()2(()2)(( xrdr
rdrrxdxdp δδτδδ π
π −=⋅−
圧力差 断面積 せん断力差 幅
0=−dxdpr
drdrτ
drduμ=τ … (5・7)ここで、せん応力とせん断速度の関係
を代入すると、
dxdp
drdur
drd
r μ
1)(1=0)( =−
dxdpr
drdu
drdrμ … (5・3)
この円管路流の力のつり合いからも、式(5・3)を導くことができる。
))()2(2(2)2)(()2( xrdr
rdrxrrrxdxdpprrp δδττδτδδδ π
ππππ +−⋅=⋅+−⋅
次に、式(5・3)をrに関して1回積分する。
1
2
2C
dxdpr
drdur +=
μ… (5・8)
式(5・8)の別の導き方
半径rの円柱部分について、左右の圧力差とせん断力差のつり合いより、
))(2())(( 2 xrrxdxdp δτδ ππ −=−
圧力差 せん断力差
dxdpr
drdur
μ2
2
=
τrdxdpr 22 =
ここで、せん応力とせん断速度の関係式(5・7)代入すると、
この円管路流の力のつり合いからも、式(5・8)を導くことができる。
drduμ=τ
… (5・8)
境界条件は、aを円管の半径とすると、
0:
0:0 max
==
===
,
uardrduUur
式(5・8)の積分定数C1はr=0での境界条件から0となる。
もう一度積分して、
2
2
41 Cr
dxdpu +=
μ
C2はr=aでの境界条件より、2
2 41 a
dxdpC
μ−= となる。
よって、円管路の層流の流速分布として次式を得る。
))((41 22 ra
dxdpu −−=
μ… (5・12)
流速断面を全断面にわたって積分すれば流量Qが得られる。
∫∫ −−==aa
drrradxdpdrrruQ
0
32
0))((
42)(2μ
ππ
μ
π
μ
π
8)()
41
21)((
42 4
0
422 adxdprar
dxdp a
−=⎥⎦⎤
⎢⎣⎡ −−= … (5・13)
AVQ = より、Qを断面積A=πa2で割れば平均流速U0として
μ8)(
2
0a
dxdpU −= … (5・14)
管中心の最大流速Umaxは、式(5・12)においてr=0として得られる。
0
2
max 24
)( UadxdpU =−=μ
平均流速U0の2倍!
円管内の流れ ハーゲン・ボアズイユ流れ
流量と管径・圧力勾配・粘性係数の間の関係 ボアズイユの法則
<摩擦損失係数f>
管壁における摩擦抵抗に抗して圧力勾配 により管路に流体が流れる。
→ 管路の摩擦抵抗は圧力損失となる。
2)(
20U
df
dxdp ρ
=−2)
2(
202 Uxdpd ρ
ππ ⋅∆∝∆
)(dxdp
−
… (5・16)圧力損失 面積 運動エネルギー
あるいは、長さdx間の損失水頭dhlで表わすと、
dxdhg
dxdp lρ=−
gU
df
dxdhl
2
20=
上式による管路の摩擦損失の表現を、
Darcy-Weisbachの式
円管に沿う圧力勾配は管壁に働く摩擦応力τoとつり合っている。
)(40 dx
dpd−=τxax
dxdpa δτδ 0
2 2)( ππ =− … (5・17)
式(5・16)に式(5・17)を代入し、摩擦速度 に関して次のように表す。 ρ
*0τ=U
24
20
0Ufρ
=τ 2
0
*2
0
0 )(88UU
Uf ==ρ
τ
20
)(2
Udxdpd
fρ
−=
また、式(5・16)を書き直すと、
208)(
aU
dxdp μ
=−式(5・14)より を代入
Re64
=f レイノルズ数Reに反比例する!
3.壁面に沿う乱流の流速分布
x
y
uu ′+ v′
vm ′=ρ
下から上へ質量 が通過する
)()( mvuuv =′+′ ρ
vm ′=ρ
ρ )( uuv ′+′−
X方向の運動量
運動量則により、
ρ )( uuv ′+′−
ρ )( uuv ′+′
作用する応力
ρ )( uuv ′+′
(表面)
(裏面)
このアンサンブル平均をとれば、 であることを考慮して、0=′ v
vu ′′−= ρτX方向の変動量u’とy方向の変動量v’の相関が負の相関をもつため、平均すればx方向のせん断応力が生じる。→レイノルズ応力
pppwww
vvvuuu′+=′+=
′+=′+=
,
,,
)(1 22
ywu
yvu
xuu
xpFx
zuw
yuv
xuu
tu
∂′′∂
+∂
′′∂+
∂′∂
−∇+∂∂
−=
∂∂
+∂∂
+∂∂
+∂∂
νρ
次に、乱流の瞬間速度はある平均速度に不規則な変動速度が足し合わされたとして、 Navier-Stokes方程式を書き直すと、
レイノルズ応力により作用する力の成分
下~上へ移動する場合:v’>0 , u’<0上~下へ移動する場合:v’<0 , u’>0
→壁面に近づくほど平均流速は大きくなるため
よって、レイノルズ応力はこの場合正となる。 )0( >′′− vuρ
<混合距離理論>
流速の変動の大きさは平均流速の空間的な購買に比例するので、
dyudlv
dyudlu 21 , ~ ~ ′′ … (5・25)
dyud
dyudlvu 2ρρ =′′− l :混合距離 … (5・26)
dyud
dyud ετητ ρ == ,
dydu
dydu
ρν μ == ττ ,
… (5・27)
ここで、渦動粘性係数は dyudl 2=ε … (5・28)
混合距離lは壁面からの距離yに比例するので、
kは定数で、Karman定数と呼ばれ、kは実験的にk=0.4と与えられる。
kyl = … (5・29)
<対数分布則>
開水路の一様流に対してレイノルズ方程式は、
)()(2
2
dyd
dyvud
dyud
xpd τ
=′′−
+=ρ
μd dy
vudxpd )( ′′−≅
ρ
d
))(( yhdx
pdvu −=′′−ρ
上式を積分して、
h:水深、又は円管路の半径
… (5・32)
一方、式(5・32)の左辺は式(5・26)より、
dyud
dyudlvu 2ρρ =′′−=τ
consthdx
pd=⋅−= )(0τ
壁面近くを考えれば、レイノルズ応力は壁面せん断応力に等しく、
かつ式(5・32)から
kyU
dyud *=
摩擦速度 、さらに であるため絶対値記号をはず
すと、
ρ*
0τ=U odyud>
… (5・34) これを積分すると、
( ) CyykUyu o += )/ln(/1/)( *… (5・35)
*0 /Uy ν= とすると、式(5・35)は
sAyUkU
yu+=
ν*
*
ln1)((滑面) … (5・37)
Asは実験値よりAs=5.5となる。
壁面が粗面ならば、長さの代表値として壁面粗度ksをとりy0=ksとすれば、式(5・35)は、
rAksy
kUyu
+= ln1)(
*
(粗面) … (5・39)
Arは実験値よりAr=8.5となる。
式(5・37,38)が対数分布則であり、壁面近傍という条件を越えて、管路または開水路全体にわたる流速分布を極めてよく表す。
乱流の流速分布を粗度係数ksを代表長さとして、
Aksy
kUyu
+= ln1)(
*… (5・40)
)4/( * <νskU
=)( *
νskUA
νskU
kAs *ln1
+
)/( * νsn kUf
)5.8(=rA
(水理額的滑面)
)70/4( * << νskU(遷移領域)
)70/( * <νskU(完全粗面)
… (5・41)
流速Umaxと各点の流速との差で表すと、壁面の粗度に関わりなく
ya
kUyuU ln1)(
*
max =−
… (5・42)
(速度欠損則という)
<粘性底層>
壁面に近づくと、乱れは減衰し分子粘性によるせん断応力項が重要になる。
壁面が粗面の場合、壁のごく近傍でせん断応力は、すなわち、
yu∂∂μ
yu
o ∂∂
=μτ
ν
1 *
*
Udyud
U= ),0
ρ
μν
ρ( * ==
τU… (5・44)
上式を積分し、y=0においてu=0を考慮すると、直線流速分布の管径が得られる。
ν
yUU
yu *
*
)(= … (5・45)
壁面のごく近傍で分子粘性の作用が卓越する薄い層を粘性底層と呼ぶ。
壁からの距離y=δsにおいて、粘性底層 式(5・45)から滑面対数分布則 式(5・37)に移るとすれば、 y=δsで二つの領域の流速を等しいと置いて、
sss AU
kU
+=ν
δ
ν
δ ** ln1… (5・46)
これより、粘性底層の厚さは次のようになる。
6.11* =ν
yU
実際には、式(5・45)で表される粘性底層での直線分布から中間層(バッファー域)を経て、対数分布則 式(5・37)へと滑らかに移っていく。
ν
yUU
yu *
*
)(= )40( * <
ν≦
yU粘性底層:
ν
yUU
yu *
*
)(= )70304( *
~ν
≦ <yUバッファー域:
sss AU
kU
+=ν
δ
ν
δ ** ln1)10030( *
ν~
yU<乱流域:
壁面が滑らかか粗いは、壁面の粗さksが粘性底層の厚さδsに比べて相対的に厚いか薄いかによる。
)3/( >kssδ 水理学的滑面
)6.1/( <kssδ 完全粗面