1
寿21 尿尿稿姿寿FUN+WALK PROJECT 12 FUN BODY WALKING 稿調20 53 55 % 51 1982年慶應義塾大学卒業。米国ラホヤCancer Research Foundation(現 Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute)留学、同 大学病院婦人科診療科副部長、東邦大学医学 部産婦人科教授、慶應義塾大学医学部客員教 授を経て、2018年4月本会検査研究センター 細胞病理診断部長に就任。婦人科腫瘍専門医、 細胞診専門医、日本女性医学学会ヘルスケア 暫定指導医、日本医師会認定産業医、日本人 間ドック学会遺伝学的検査アドバイザー 本会検査研究センター細胞病理診断部長 東邦大学医学部客員教授 日本産科婦人科学会専門医・指導医 日本医師会認定健康スポーツ医 久布白 兼行 くぶしろ かねゆき 成人のスポーツ実施率の推移 H3 0 10 20 30 40 50 60 (%) 6 12 15 18 21 24 27 30 R1 29 26 23 28 25 22 11.9 26.7 27.8 29.9 34.8 37.2 38.5 44.4 45.3 47.5 29.3 35.2 34.2 36.4 36.6 43.4 46.3 47.9 45.8 43.8 53.0 41.7 44.0 57.6 45.1 42.8 51.5 40.4 42.5 55.1 30.6 29.1 37.9 40.2 45.3 44.5 47.0 44.5 41.9 39.4 41.0 53.0 49.9 51.0 53.6 55.8 13.3 18.3 18.2 20.0 21.7 23.5 24.4 22.8 21.2 19.6 19.7 26.0 27.8 27.0 スポーツ庁「令和元年度スポーツの実施状況等に関する世論調査」より 週1日以上(成人全体) 週1日以上(成人男性) 週1日以上(成人女性) 週3日以上(成人全体) Lancet 2012 ;380 :219-29 (年) 20 21 2020 SUMMER 2020 SUMMER

60 週1日以上(成人全体) 週1日以上(成人男性) …FUN+WALK PROJECT 」と呼ば んでいます。れる官民連携プロジェクトに取り組 本会においても、2019年

  • Upload
    others

  • View
    8

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 60 週1日以上(成人全体) 週1日以上(成人男性) …FUN+WALK PROJECT 」と呼ば んでいます。れる官民連携プロジェクトに取り組 本会においても、2019年

 

今日、健康や健康寿命の延伸、ス

ポーツに対する関心は年々高くなっ

ているようです。厚生労働省の「健

康日本21(第2次)」には、がん、

循環器疾患、糖尿病などの病気の多

くを予防し得る生活習慣の一つとし

て、身体活動の増加が示されていま

す。

 

実際、スポーツの効能の一つとし

て、運動不足を解消すれば、心筋梗

塞や2型糖尿病などの死亡率が減少

することが報告されています※

。そ

率はやや低いようです。

 

こういった状況を踏まえて、スポ

ーツ庁は「スポーツ実施率向上のた

めの行動計画」を策定し、全体に対

する施策に加え、特定の課題を持つ

集団として子供・若者、ビジネスパ

ーソン、高齢者、女性、障害者に分

けて、それぞれのスポーツ実施率を

向上させるための行動計画を示しま

した。

のため、日本人の運動実施率を向上

させようと、厚生労働省とスポーツ

庁は連携して具体的な施策を行って

います。そこで本稿では、運動・ス

ポーツと健康・ヘルスケアについて

考えてみたいと思います。

 

わが国では、医師が関わる健康と

スポーツの取り組みの一つとして、

 

これらの施策によって、生活の中

にスポーツが取り込まれる姿をめざ

し、健康増進、ひいては健康寿命の

延伸を図るという計画です。

 

身体活動とは、運動と生活活動を

すべて包含したものです。つまり、

レジャー、スポーツ(ダンス、ジョ

ギング、テニスなど)といった運動、

そして日常生活を送る上で必要な家

事、通勤、労働などの生活活動から

成ります。

 

スポーツ庁は、これらさまざまな

身体活動の中で、特に身近な「歩く

こと」に着目し、ビジネスパーソン

のスポーツ参画人口の拡大を通じて

国民の健康増進を図る目的で、

「FUN

+WA

LK PRO

JECT

」と呼ば

れる官民連携プロジェクトに取り組

んでいます。

 

本会においても、2019年12月

~2020年1月に「FU

N BO

DY

W

ALK

ING

」という職場内イベン

トを行いました。1日8000歩を

目標にした歩行や運動を毎日記録す

るものです。こういった職場におけ

る取り組みは運動を継続する上でよ

い励みになると考えています。

健康スポーツ医制度があります。

 

健康スポーツ医制度の歴史を顧み

ると、日本体育協会公認スポーツド

クター制度(1982年~)に始ま

り、日本整形外科学会認定スポーツ

医制度(1986年~)、日本医師

会認定健康スポーツ医制度

(1991年~)があります。

 

これら3つのスポーツ医制度の中

で、「健康スポーツ医」の役割は、

日常診療において生活習慣病などの

リスク保有者に対し運動療法やアド

バイスを行うことや、自治体の保健

師や健康運動指導士などと連携して

 

また、筆者が本稿を執筆中に、新

型コロナウイルス感染の拡大によっ

て国から緊急事態宣言が発出されま

した。これまでの日常とは異なる“S

TAY

HOME”の状況下で、運

動不足を解消するためにYouTu

be等でさまざまな運動が紹介、発

信されています。今後、自宅で行う

運動は、健康増進のために、今まで

以上に重要になっていくかもしれま

せん。

 

先に述べたスポーツ庁による「ス

ポーツ実施率向上のための行動計画」

では、男性と比較して女性のスポー

ツ実施率が低いことから、女性に関

して、①スポーツを実施しない要因

を考慮したアプローチを進める②無

理なく体を動かせるプログラム開発

や気軽に実施できる環境整備を支援

③食べない・運動しないことによる

やせすぎ等も懸念されており、スポ

ーツをすることの効果を打ち出しつ

つ、「女性のスポーツ促進キャンペ

ーン(仮称)」を実施する――こと

が提示されています。

 

ただし、女性の場合、運動に際し

ては男性との骨格の性差、生涯にお

リスク保有者を運動の場につなげる

こと、産業医・学校医として助言を

行うこと、地域スポーツの振興に貢

献すること、などです。

 

では、わが国では運動はどの程度

実施されているでしょうか。

「スポーツの実施状況等に関する世

論調査」によると、週1日以上運動・

スポーツをする者の割合は、20歳以

上男女の平均で53・6%、性別では

男性55・8%、女性51・0%でした

(図)。年次推移をみると、全体にス

ポーツ実施率は上昇傾向を認めます

が、世界的にみると日本の運動実施

けるホルモンの変化などにも留意す

ることが必要です。女性の生涯では、

思春期―性成熟期―閉経期と年齢に

伴ってホルモン環境が変化します。

特に閉経以降は女性ホルモンの低下

によって骨密度が低下し、ひいては

骨粗鬆症の原因となります。

 

また女性アスリートに対しアメリ

カスポーツ医学会は、彼女たちの健

康管理上の問題点として「利用可能

なエネルギー不足」、「視床下部性無

月経」、「骨粗鬆症」を「女性アスリ

ートの3主徴」と呼び、警鐘を鳴ら

しています。女性アスリートの3主

徴は激しいトレーニングが誘因とな

って発症するもので、なってはいけ

ない状態とされています。生涯の健

康のために、ぜひ気をつけていただ

きたいと思います。

 

今回は運動・スポーツとヘルスケ

アに関して、健康スポーツ医の運動

指導における役割、スポーツ庁が取

り組んでいる官民連携プロジェクト、

さらに女性が運動する際に留意する

べきホルモンとの関係などについて

紹介しました。わが国でスポーツ実

施率が上昇し、ひいてはヘルスケア

が向上することを期待したいと思い

ます。

運動・スポーツと

ヘルスケア

生活習慣病対策や

健康増進のための

運動指導を行うのが

健康スポーツ医

身体活動とは

「運動+生活活動」

身近な行動の促進を

女性の運動では

ホルモンの状態や

変化に配慮を

はじめに

おわりに

身体活動や運動は、心身の健康維持や生活の質の改善において重要な役割を果たしています。

しかしこのところ、新型コロナウイルスの感染防止対策に伴う外出自粛などで、

身体活動量が減少しがちになっている人も少なくありません。

今号では、日本医師会認定健康スポーツ医でもある本会の久布白兼行医師が、

運動・スポーツの重要性について、スポーツ庁の取り組みを中心に解説します。

1982年慶應義塾大学卒業。米国ラホヤCancer Research Foundation(現Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute)留学、同大学病院婦人科診療科副部長、東邦大学医学部産婦人科教授、慶應義塾大学医学部客員教授を経て、2018年4月本会検査研究センター細胞病理診断部長に就任。婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、日本女性医学学会ヘルスケア暫定指導医、日本医師会認定産業医、日本人間ドック学会遺伝学的検査アドバイザー

本会検査研究センター細胞病理診断部長東邦大学医学部客員教授日本産科婦人科学会専門医・指導医日本医師会認定健康スポーツ医

久布白 兼行くぶしろ かねゆき

成人のスポーツ実施率の推移図

H30

10

20

30

40

50

60(%)

6 9 12 15 18 21 24 27 30 R1292623 282522

11.9

26.727.8

29.9

34.8

37.238.5

44.445.3

47.5

29.3

35.2

34.2 36.4 36.6

43.4

46.347.9

45.843.8

53.0

41.7

44.0

57.645.1

42.8

51.5

40.4

42.5

55.1

30.629.1

37.940.2

45.3

44.547.0

44.541.9

39.4

41.0

53.0

49.9 51.053.655.8

13.3

18.3 18.220.0

21.723.5

24.422.8

21.2

19.6 19.7

26.027.8

27.0

スポーツ庁「令和元年度スポーツの実施状況等に関する世論調査」より

週1日以上(成人全体)週1日以上(成人男性)週1日以上(成人女性)週3日以上(成人全体)

※Lancet 2012 ;380 :219-29

(年)

2021 2020 SUMMER 2020 SUMMER