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32 調査季報 vol.177・2015.12 ■ 90 10 30 55 38 退11 《3》 13 10 使退使

⑬ 「高齢者が高齢者を助けたくなるような仕組みづくりに知 …...調査季報・ 32 用させてもらいます。はそのまま戦力になるので活ての大きいところのリーダー持っています。人間の輪とし

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Page 1: ⑬ 「高齢者が高齢者を助けたくなるような仕組みづくりに知 …...調査季報・ 32 用させてもらいます。はそのまま戦力になるので活ての大きいところのリーダー持っています。人間の輪とし

32 調査季報 vol.177・2015.12 ■

持っています。人間の輪とし

ての大きいところのリーダー

はそのまま戦力になるので活

用させてもらいます。

 

自治会の役員は短いところ

で一年交代で何かと困ること

もありますが、一年交代は素

晴らしい面もあります。ボラ

ンティア活動の実践テストを

毎年、順番にやっていること

になるので、その時の働き具

合をみていれば、地域活動を

真面目に取り組む人か、いい

加減な人か、ということが分

かります。

きちんと説明をして自治会加

入率100%に

 

湘南桂台自体会は加入率ほ

ぼ100%です。転入してき

た方をウェルカムミーティン

グという茶話会に呼んで、お

子さんも一緒にお菓子を食べ

ながら、「この自治会はこう

いうルールがあって、こんな

ことをしています。皆さんに

はここを協力していただきま

す」というPRを90分程です

る。その説明をきちんとする

と、自治会加入に「ノー」と

いう方はめったにいない。さ

らに、今、住んでいない方、

家を建てていなくて敷地だけ

持っている方にも、きちっと

自治会に入ってもらう(会費

は1/2)。だから連絡先も

分かっていて、雑草等の空き

家問題とかが非常に少ない。

100%加入だからみんなが

ルールを守ってくれますが、

入らない人がいたら問題が発

生します。

 

大事なのは、加入のメリッ

トを感じられること。まず、

普段の行事をきちんとやる。

1月はどんど焼き、5月はミ

ニリンピック運動会、7月は

夏祭り、10月は三世代まつ

り、という具合です。それか

ら会報を毎月発行して、情報

共有をしています。会報は脈

拍のように定期的に発行しな

いと“心”が伝わりません。

シニアクラブは世の中に役に

立つ活動を

 

自治会長の折、「桂山クラ

ブ」という老人クラブの立ち

上げも務めさせていただきま

した。当時、実質的な活動を

できる人が100人から30人

位まで減少していたので、ど

うにかしようと有志を集め

ディスカッションをして、呼

称を老人クラブからシニアク

ラブに変え、加入資格を55歳

に下げて間口を広げ、クラブ

の運営をクラブ役員が引受

け、スポーツや趣味のサーク

ル活動はその道の達人・名人

に指導に専念してもらう等、

新しい仕組みを導入したとこ

ろ、若い層の加入が増え、現

在、会員は500人にまで増

えました。

 

今、全国の老人クラブは後

継者がいなくて潰れそうに

なっているところが沢山あり

ますが、それでも日本の中で

は最大の任意団体です。老人

クラブはポリシーを変えな

きゃいけない時代にきている

と思います。昭和38年に老人

福祉法ができた頃とは社会状

況が変わって、今は高齢者が

高齢者を助ける時代。自分た

ちのエネルギーの何パーセン

トかを社会貢献に回せば、そ

れがうまく循環していくはず

です。これに近い考えをもっ

あえて「派閥を活用せよ」

 

会社勤めをしていた頃は、

あまり地域のことは考えてい

ませんでした。定年退職が近

づいていた平成11年に、湘南

桂台自治会の会長が病気で倒

れて、それまで名ばかりの副

会長だった私が、急遽、後任

を引き受けることになりまし

た。地域には各界の専門家が

住んでおられるので自然と謙

虚になる。例えば教育問題に

ついて自分なりに考えていた

ら、文部科学省の審議官の方

が住んでいたりするので、

知ったかぶりしてもすぐに化

けの皮がはがれる。だけど、

そういう方がいるからって、

何もしないで引っ込み思案に

なるのはダメで、少々間違っ

てもいいから自分が正しいと

思うことはやればいいと思い

ます。

 

例えば私は「派閥を活用せ

よ」と言った。その心は、自

治会の中で人材を発掘すると

きに、ゴルフ等、地域の中で

活動しているグループがあれ

ば、そのグループのリーダー

はそれだけ地域の中で力を

特集

《3》 

横浜でつながりを創る人々に伺う

⑬ 

シニアパワーを引き出す地域貢献型老人クラブを栄区から!

  「高齢者が高齢者を助けたくなるような仕組みづくりに知恵を出し合う」

地域の中の「コミュニティデザイナー」はいかに生まれるか

竹谷 

康生

さん

 

栄区シニアクラブ連合会会長、認

定NPO法人市民セクターよこはま

副理事長、横浜市まちづくりコーディ

ネーター。湘南桂台自治会会長とし

て平成13年の地区計画導入などに携

わる。栄区、戸塚区、港南区の3区

に跨ってまちづくりを進める「さか

え住宅環境フォーラム」の会長とし

ても10年以上活動中。

勅使川原 

栄子

栄区高齢・障害支援課高齢・障害係

長田中 

真弓

栄区高齢・障害支援課

聞き手

ているのが、アメリカのAA

RP(全米退職者協会)。そ

のためには自分たちのエネル

ギーをどう使おうかと考えて

いる高齢者に、世の中はこう

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33■ 特集・地域の中の「コミュニティデザイナー」はいかに生まれるか

いうことを望んでいますから

参加してくださいという具合

にベクトルを示していくこと

が必要です。栄区シニアクラ

ブ連合会の取組例として、高

齢者が振込詐欺などの被害に

合わないように、栄警察署等

と協力して、見守りサポー

ターを育成して世の中のため

に貢献していく取組を行って

います。

 

そもそも横浜市の地域福祉

保健計画では、老人クラブは

計画の担い手ではなくて社会

に扶養されるような扱いに

なっていたので、担い手とし

ての活用も認めてくださいと

お願いをして、昨年3月に策

定された第3期計画では、担

い手を分担する主体として老

人クラブの名前が入るように

なりました。我々も戦力とし

て認められることが、活動の

励みになります。

栄区シニアクラブ連合会役員

の80歳定年制・80歳以上の活

躍の新たな「場」を創る

 

平成26年に栄区シニアクラ

ブ連合の会長になって、役員

の80歳定年制(原則)を作り

ました。無論、会員に定年制

はありません。いつまでも仲

間としてともに楽しみ、支え

合います。しかし、みんなの

お世話をする役員が80歳を超

えていると、一般的には、会

としての活動が低調になり、

マンネリ化に陥って、クラブ

活動の魅力が落ち、若い層の

入会が減り、会員が減少、と

なるのを防ごうという考えで

す。次の「若い人たち」がど

んどん入ってこられるよう

な、魅力ある活動を工夫して

いかなければならないと思っ

ています。

 

私の次の夢は、80歳以上で

元気な人の出場所、活躍の場

としてネットワークを作っ

て、シニアクラブのロータ

リークラブ、つまりプレミア

ム性のある新しい組織を創る

ことです。これを第2のボラ

ンティア団体にまで育てあげ

たい。まだ賛否両論ですが、

こういったことを考えたり、

周りの人と知恵を出し合った

りしながら、行動に移すこと

が大好きなんです。

直ぐには否定しない

 

シニアクラブにしろ自治会

にしろ、団体をまとめていく

のに苦労したのは、会社組織

のような指揮命令系統がはっ

きりしている組織でなく、み

んなが平等の立場である中で

話し合いやお願いをしなけれ

ばならないということ。

 

松下幸之助さんの本の一節

にある、「知っていても直ぐ

には全てを答えず、また欠点

が分かっていても否定せず」

というエピソードは参考にな

ります。ある販売店の社長か

ら提案があったときに、その

提案の欠点を知っていたとし

ても、「ほほう、そこまで考

えていただいているんです

か、わかりました、すぐ会社

に持ち帰って早速試してみま

す。」と一旦置いて帰る。そ

してワンテンポ遅らせて、実

はこれはこうでこういうこと

ですよと後で説明する。その

場で否定してしまうと、次か

らはもうその人は提案出して

くれなくなる。ただ僕がこれ

を真似すると、知ってるくせ

にとすぐばれてしまうけど

(笑)。

マネジメントとスキルを分離

する

 

人をつなぐ技術は、会社員

時代の経験が活きているかも

しれません。商品開発で全国

を廻って、お客様や取扱い商

店の意見を聴きに行くという

仕事をしていた時に、相手に

迷惑がられずに意見を聞くた

めにはどうすればいいのかと

考えました。それで、“コミュ

ニケーションというのはギブ

アンドテイク”だと思い至り、

相手が知りたいことを与えら

れるように勉強しました。

 

サラリーマンとして人と人

との間に立って経験を積まれ

てきた方のうち、どんな方が

地域におけるコーディネー

ター役になるかと聞かれれ

ば、好奇心が強いというか、

なんでもやってみたがる人か

な、という気がします。もう

会社をやめたからあとは自分

の楽しみだけでいいと思って

いるような人はなかなか難し

いかもしれません。でも、そ

ういう人もきっかけをうまく

作れれば変わってくると思い

ます。

 

例えば、自治会やシニアク

ラブに誘う時に、「あなたが

リタイアするのはもったいな

い。その素晴らしいパソコン

の腕が錆びつく前にみんなに

教えてくれませんか?

シニ

栄区シニアクラブ「趣味の作品展」

アクラブに入ると色んなわず

らわしいこともあると思われ

るなら、マネジメントは僕ら

がやるので、あなたはスキル

だけ提供してくればいいで

す。現役時代に培ったスキル

をぜひ地域社会に還元してく

ださい」と口説くんです。そ

うやって1年も経てば、もう

溶け込んでいるから、喜んで

マネジメントもやってくれま

す。今もっている自分の技術

を教えることが嫌いな人はあ

んまりいないんですね。そう

いう部分を引き出せればと

思っています。

【インタビューを終えて】

 

ここでいう「コミュニティ

デザイナー」というのは、ま

さに竹谷様のように人と人を

繋ぎながら地域での暮らしや

すさを高めているような方

で、これまでの御苦労や経験

を培ってこられた部分もお聞

かせいただき、沢山勉強させ

ていただいた感じがしており

ます。(勅使川原)

 

色々なジャンルの本を読む

のが好きで、常に向上心溢れ

る勉強家な方で、冷静な判断

の中にも熱いハートを持つ情

熱的な一面を持っていらっ

しゃる竹谷さんの笑顔が、今

日もきらきらしていて素敵で

した。(田中)