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Agilent MassHunter BioConfirm ソフトウェアを用いた ペプチドおよびタンパク質特性解析の 効率化と精度の向上 概要 組み換え抗体分析や合成ペプチドの確認などの難問の解決には、信頼性の高い 分析結果を迅速に得ることが求められます。こうした問題を解決するには、高性 LC/MS 機器と、新しい Agilent MassHunter BioConfirm ソフトウェアバージョン B.03.01 などの高度に最適化されたソフトウェアを組み合わせる必要があります。 MassHunter BioConfirm ソフトウェアは、インタクトタンパク質や合成ペプチドの 解析において、以下のことを実現します。 • Agilent TOF データと最大エントロピーデコンボリューション機能による 業界でもっとも正確なタンパク質分子量測定 タンパク質を検出し、分子量を計算する独自の Large Molecule Feature Extraction (LMFE) アルゴリズムにより、複雑なタンパク質混合物分析で 最高の処理スピードを実現 合成ペプチドやタンパク質消化物中ペプチドなどの低分子分析に最適化 された、独自の特徴検出およびデコンボリューションアルゴリズム (MFE) MassHunter BioConfirm ソフトウェアは、ペプチドマッピング用に以下の機能を 搭載しています。 既知の修飾 ( 全体、場所特定、固定、可変 ) の配列や定義を 簡単に設定できる配列エディタ 予想されるタンパク質の確認と未知の配列修飾の特定を加速する 配列マッチング機能 技術概要

Agilent MassHunter BioConfirmAgilent MassHunter BioConfirm ソフトウェアを用いた ペプチドおよびタンパク質特性解析の 効率化と精度の向上 概要 組み換え抗体分析や合成ペプチドの確認などの難問の解決には、信頼性の高い

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  • Agilent MassHunter BioConfirm ソフトウェアを用いた ペプチドおよびタンパク質特性解析の 効率化と精度の向上

    概要

    組み換え抗体分析や合成ペプチドの確認などの難問の解決には、信頼性の高い

    分析結果を迅速に得ることが求められます。こうした問題を解決するには、高性

    能 LC/MS 機器と、新しい Agilent MassHunter BioConfirm ソフトウェアバージョン

    B.03.01 などの高度に最適化されたソフトウェアを組み合わせる必要があります。

    MassHunter BioConfirm ソフトウェアは、インタクトタンパク質や合成ペプチドの解析において、以下のことを実現します。

    • Agilent TOF データと最大エントロピーデコンボリューション機能による 業界でもっとも正確なタンパク質分子量測定

    • タンパク質を検出し、分子量を計算する独自の Large Molecule Feature Extraction (LMFE) アルゴリズムにより、複雑なタンパク質混合物分析で 最高の処理スピードを実現

    • 合成ペプチドやタンパク質消化物中ペプチドなどの低分子分析に最適化 された、独自の特徴検出およびデコンボリューションアルゴリズム (MFE)

    MassHunter BioConfirm ソフトウェアは、ペプチドマッピング用に以下の機能を搭載しています。

    • 既知の修飾 (全体、場所特定、固定、可変 ) の配列や定義を 簡単に設定できる配列エディタ

    • 予想されるタンパク質の確認と未知の配列修飾の特定を加速する 配列マッチング機能

    技術概要

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    内蔵の配列エディタ/マッチャーを使えば、ペプチドやタンパク質 (既知の修飾を含む ) の配列を作成できます。MassHunter BioConfirm ソフトウェアは、これらの配列を用いて、主要配列や予想される修飾を確認し、未知の修飾を特定します。こうした MassHunter BioConfirm ソフトウェアのツールは、組み換えタンパク質や合成ペプチドの分析を加速し、望ましくない不純物や変異型の特定を支援します。

    オプションの Agilent Easy Access ソフトウェアを MassHunter BioConfirm ソフトウェアに組み合わせれば、複数ユーザーのウォークアップ環境での簡単な操作が実現します。

    これらの機器が備えている高い分解能と質量精度は、翻訳後修飾などのタンパク質構造における微妙な変化の検出を可能にします。また、5 桁以上のダイナミックレンジを備えているため、組み換え体内の微量不純物や、タンパク質消化物中の微量ペプチドの検出も可能です。Agilent 1290 Infinity LC システムと組み合わせれば、LC ピークキャパシティを高めて、分析をスピードアップすることもできます。

    MassHunter BioConfirm ソフトウェアは、 タンパク質や合成ペプチドの高速分析および確認に必要なすべてのツールを搭載しています。これらのツールは、Agilent Accurate-Mass TOF および Q-TOF に合わせて最適化されています。このソフトウェアでは、インタクトタンパク質やペプチドのほか、各種のサンプル混合物に合わせて最適化された複数の質量スペクトルデコンボリューションアルゴリズムを使用できます (図 1)。

    はじめに

    タンパク質や合成ペプチド、予想される修飾および未知の修飾の主要配列の分析は、研究やプロセス開発、品質管理 (QC) できわめて重要となります。 ゲル電気泳動などの従来のタンパク質 QC メソッドでは、分子量を推定することしかできませんが、質量分析 (MS) は、タンパク質やその変異型の分子量を確認できるという点で従来手法よりも優れています。

    Agilent 6200 シリーズ Accurate-Mass TOF LC/MS と Agilent 6500 シリーズ Accurate- Mass Q-TOF LC/MS は、類似する化合物を明確に区別し、偽陽性を最小限に抑えることができるシステムです。生体分子の分析において、こうした正確で信頼性の高い機器が導入されるのに伴い、明白な解析結果を迅速に得られる高度なデータ解析ツールが求められるようになっています。

    インタクトタンパク質

    最大エントロピーデコンボリューション

    Large Molecular FeatureExtraction (LMFE)

    単純なサンプル 複雑

    な混合物

    合成ペプチドおよびタンパク質消化物

    同位体デコンボリューション Molecular Feature Extraction(MFE)

    単純なサンプル 複雑

    な混合物

    タンパク質消化物

    図 1. MassHunter BioConfirm ソフトウェアは、分子量や複雑さが広域に渡るサンプルに応じて最適化された複数の強力なデコンボリューションアルゴリズムを備えています。

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    インタクトタンパク質分析用のツール

    正確なタンパク質分子量

    タンパク質やペプチド分析にエレクトロスプレーイオン化法を用いると、質量スペクトルは多数の多価イオンピークが観察されます (図 2、中段 )。アジレントの最先端のデコンボリューションアルゴリズムは、こうした複雑なスペクトルを、シンプルなゼロ電荷スペクトル (図 2、下段 ) や、タンパク質やその変異型の分子量を示す質量 (図 4) に変換します。

    MassHunter BioConfirm ソフトウェアでは、できるだけ短い時間で最良の結果を得るために、2 つの使いやすい補完的なインタクトタンパク質分析用デコンボリューションアルゴリズムが採用されています。

    単一のタンパク質および 単純なタンパク質混合物の分析

    組み換え抗体など、単一のタンパク質や簡単なタンパク質の混合物で構成されるサンプルについては、最大エントロピーデコンボリューションアルゴリズムにより、タンパク質の分子量を計算します。図 2 に示すように、このアルゴリズムでは、多価状態の複雑な質量スペクトルが処理され、通常は 25 ppm の範囲内で正確な分子量が得られます。タンパク質に不純物や異成分が含まれる場合 (図 3 の例 ) も、混入している成分の分子量が特定されます。

    図 2. ミオグロビン質量スペクトルのデコンボリューションにより、16,951.58 Da の正確な分子量が得られています。

    図 3. A) インタクト抗体の質量スペクトル。 挿入図は、抗体の多価イオンスペクトルを拡大して示しています。B) デコンボリューションされたインタクト抗体のスペクトル。異なる数の結合グリカンを含む複数の形態 が示されています。挿入図は、モノクローナル抗体中の少量の G1F グリカン部位 (G0F グリカン部位にヘキソース部が付加 ) を拡大して示しています。詳細については、アジレント文献 5990-3445EN をご覧ください。

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    複雑な混合物中のタンパク質の分析

    多数のタンパク質を含むサンプルの場合は、MassHunter 独自の Large Molecule Feature Extraction (LMFE) アルゴリズムを用いて全タンパク質を検出し、スペクトルをデコンボリューションするデータ解析手法がもっとも効果的です。サンプルに数百のタンパク質が含まれている場合は、最大エントロピーデコンボリューションよりも解析スピードが大幅に速くなります。この革新的なアルゴリズムは、低分子用の Molecular Feature Extraction (MFE) アルゴリズム (補足記事参照 ) から生まれたものです。同じタンパク質の異なる価数に対応するイオンは、LC/MS クロマトグラム中の同じ時間に溶出します。LMFE アルゴリズムは、そうした

    図 4. LMFE アルゴリズムでは、複雑な LC/MS 分析において、すべてのタンパク質化合物が自動的に検出され、それぞれの質量がリスト表示されます。これにより、手動データ解析の時間を大幅に短縮できます。

    Molecular Feature ExtractionMolecular Feature Ex traction (MFE) アルゴリズムは、化合物の質量が分離されていない場合でも、複雑なサンプル中の個々の化合物 (分子式 ) を特定できる強力な化合物検出アルゴリズムです。2 次元のクロマトグラフィピーク情報だけをもとに化合物を特定するのではなく、3 次元の LC/MS データセットで共変する (アバンダンスがともに上下動する) イオンや、電荷状態のエンベロープや同位体分布、付加物および二量体の存在をもとに、論理的に関連付けられるイオンを特定します。すべての関連イオンが単一の化合物に割り当てられます。このアプローチを用いる MFE アルゴリズムなら、トータルイオンクロマトグラム中で 1 つのピークとして現れる複数の共溶出化合物を識別することができます。

    イオンの関連性を認識し、単一のタンパク質化合物として一つにまとめ、タンパク質の分子量を計算します。図 4 に、LMFE による解析結果の例を示しています。

    最大エントロピーデコンボリューションと比較した場合の LMFE アルゴリズムの利点は、デコンボリューションする質量スペクトルを前もって選択しなくても、LC/MS クロマトグラム全体に適用できるという点です。最大エントロピーデコンボリューションでは、さまざまなクロマトグラフィピークや時間範囲で平均的な質量スペクトルを作成し、各スペクトルについてアルゴリズムを実行し、予想される質量範囲を特定する必要があります。

    Navigation tree for compounds

    タンパク質の抽出化合物 クロマトグラム (ECC)

    タンパク質化合物のスペクトル

    化合物リスト中のタンパク質の質量

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    図 5. この例で用いている E. coli タンパク質の複雑な混合物の場合、LMFE アルゴリズムでは、最大エントロピーデコンボリューションと比べて、3 倍の数のタンパク質が検出されている一方で、解析時間が 6 分の 1 になっています。

    アルゴリズム 総時間 検出されたタンパク質の数

    最大エントロピー 90 分 (73 のピークスペクトルを積分および抽出し、 各スペクトルをデコンボリューションするまでの時間 )

    192

    LMFE 15 分 597

    表 1. E. coli タンパク質の LC/MS 分析の処理における最大エントロピーデコンボリューションと LMFE の比較

    数百のタンパク質が含まれる場合は、LMFE のパフォーマンスのほうが優れていることがわかります。このサンプルの場合、LMFE アルゴリズムのスピードは最大エントロピーデコンボリューションの約 6 倍です。また、共溶出するすべてのタンパク質が検出されるため、より包括的なサンプル分析が可能です。

    複雑な LC/MS サンプルに含まれる全タンパク質の高速検出およびデコンボリューションにおける LMFE の優れたパフォーマンスは、大腸菌 (E. coli) のインタクトタンパク質を 140 分で分析できることからも示されています (図 5)。表 1 では、LMFE と最大エントロピーデコンボリューションのパフォーマンスを比較しています。サンプルに

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    4 GHz データ取り込みが可能な Agilent TOF および Q-TOF 機器なら、分子量が約 8~ 20 kDa までの化合物の同位体を分離することができます。

    MFE による複雑なペプチド混合物の高速解析

    多数の成分を含むペプチド混合物の場合、LC/MS 分析結果の手動解析には時間がかかります。MassHunter Qualitative Analysis では、Molecular Feature Extraction (MFE) アルゴリズム (補足記事参照 ) により、このプロセスが自動化されています。このアルゴ

    合成ペプチド分析および ペプチドマッピング用のツール

    ペプチドの正確な分子量を決定する同位体デコンボリューション

    分子量が 4 kDa 未満のペプチドの場合、MassHunter BioConfirm では、同位体デコンボリューションに最適化したアルゴリズムが使用されます (図 6)。このアルゴリズムでは、化合物の MS および MS/MS データと分離された同位体分布をもとに、ゼロ電荷スペクトルが生成されます。これにより、同位体間の m/z の違いから直接、電荷状態を推論することができます。

    リズムでは、1 回のクリック操作だけで、LC/MS クロマトグラム中のペプチドが検出され、同位体デコンボリューションによりそれぞれの質量が決定されます。MFE は、分離された同位体を用いてペプチドの電荷状態を直接決定するだけでなく、類似する電荷状態の同一ペプチドを表す関連イオンクラスターも見つけだします。複雑な混合物をきわめて高速に解析し、他社のソフトウェアアプリケーションと比べて作業時間を大幅に短縮することができます。

    図 6. 同位体デコンボリューションにより、5729.64 というウシインシュリンのモノアイソトピック質量が得られています。この値は、5729.60 というモノアイソトピック質量の計算値とほぼ一致しています。

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    ペプチドマッピング:配列と化合物を一致させる時間節約ツール

    消化ペプチドレベルのタンパク質の確認および分析には、「ペプチドマッピング」と呼ばれるアプローチが使われます。このソフトウェアでは、まず既知のアミノ酸配列の理論上の消化物から、ペプチドの質量が計算されます。その後、理論上の質量値と、タペプチド消化物の LC/MS 分析で検出された質量を比較します。MassHunter BioConfirm に搭載されている配列エディタ/マッチャーが、タンパク質の確認や、不純物および修飾の同定を支援します。

    ペプチドマッピングでは、まず配列を作成またはエディタ/マッチャーにインポートし、タンパク質の消化に用いられたタンパク質分解酵素を設定します。ソフトウェア上で、理論上の消化が実行されます。消化物の LC/MS 分析後、Molecular Feature Extraction (MFE) アルゴリズムにより生成された化合物リスト中のデコンボリューションされたペプチド質量に照らして、ソフトウェアが配列の予想値を一致させます。

    図 7 と 8 は、Agilent 1290 Infinity LC および Agilent 6540 Accurate-Mass Q-TOF LC/MS で行った免疫グロブリン G (IgG) 消化物のペプチドマッピング結果を示しています。この例では、LC/MS 分析の所要時間は 3 分未満でした。アミノ酸配列が完全に (100 %) カバーされているため、タンパク質のアミノ酸確認が可能になっています。

    図 7. ペプチドマッピングでは、カバー範囲を計算し、サンプルと一致する配列部分を 強調表示します。この例では、アジレントのシステムにより、わずか 3 分の LC/MS 分析で 100 % がカバーされています。

    図 8. ペプチドのアミノ酸配列で MS クロマトグラムを自動的にラベリングします。

    x106

    00.20.40.60.811.21.41.61.822.22.42.62.833.23.43.6

    WKIDGSER

    カウント vs. 取り込み時間 (分)0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85 0.9 0.95 1 1.05 1.1 1.15 1.2 1.25 1.3 1.35 1.4 1.45 1.5 1.55 1.6 1.65 1.7

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  • 8

    エディタ/マッチャーを使えば、タンパク質や合成ペプチドの修飾の可能性を特定し、LC/MS 分析結果からそうした修飾の証拠を探すことが可能です。消化物の分析では、切断ミスや点変異の可能性を特定し、調べるべき翻訳後修飾を選択することができます。

    配列エディタ/マッチャーでは、適用される各アミノ酸について修飾を調べるべきか、あるいは特定領域に限定

    問題の解決とペプチドおよび タンパク質修飾の分析

    MassHunter BioConfirm ソフトウェアは、プロセス開発や品質管理において、失敗した合成や純度が不十分な合成物の検出を支援します。配列エディタ/マッチャーにより、LC/MS 分析結果と一致するものが見つからない配列部分を提示します。こうした配列は、不適切な配列や変異型、翻訳後修飾の場所である可能性があります。配列

    図 9. 標準的な糖型を自動的に検出できるので、時間をかけてタンパク質配列にグリカン修飾を付加する必要はありません。

    ターゲットタンパク質

    ユーザーの定義したタンパク質修飾候補のリスト

    されるものと見なすべきかを特定することができます。また、任意の修飾が可変のものか否かを特定し、サンプル中のすべてのペプチドやタンパク質分子に存在するものではない事の確認も可能です。図 9 の例は、このソフトウェアにより、インタクトタンパク質レベルにおける主タンパク質のグリコシル化変異型を自動的に検出できることを示しています。

  • 9

    です。図 10 は、こうした全自動分析の例を示しています。

    検索が完了したら、データナビゲータ (Data Navigator) 内の化合物名がペプチド配列に置き換えられます。図 10 右下の化合物リスト (Compound List) には、一致するペプチド、リテンションタイム、ppm 単位での質量差が表示されています。ペプチドの精密質量を含む参照データベースを作成および検索できるこの機能により、ルーチン確認分析の時間を大幅に短縮できます。

    生産性を高めるその他の機能

    自動 QA/QC に最適な ペプチド AM (RT) データベース

    MassHunter Qualitative Analysis ソフトウェアでは、ユーザーの作成した精密質量 (AM) データベースにオプションとしてリテンションタイムを追加し、ペプチドとマッチングさせることが可能です。AM (RT) データベースは、コンマ区切り (.csv) フォーマットで使用できます。各ペプチドのアミノ酸配列、理論上の精密質量、オプションのリテンションタイムが収録されています。標準化したクロマトグラフィメソッドを使用する場合、リテンションタイムを追

    図 10. MassHunter Qualitative Analysis ソフトウェアでは、カスタムのペプチドデータベースの作成が可能です。LC/MS 分析で検出されたペプチドの質量と一致するものを検索できます。

    加すれば、分子式やアミノ酸成分が同じで、アミノ酸配列が異なるペプチドを明確に区別することができます。

    ペプチドデータベースマッチングは、組み換えタンパク質の消化物など、同じタンパク質の繰り返し分析における優れた QA/QC ツールとなります。自動 Molecular Feature Extraction (MFE) により、タンパク質消化物の LC/MS 分析に関連するすべてのペプチドを迅速に検出できます。その後、カスタムデータベースをもとに、MFE の化合物リストの精密質量を検索し、一致するペプチド配列を見つけだすことが可能

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    単純で自動のウォークアップ操作を実現する Easy Access ソフトウェア

    Agilent Easy Access ソフトウェアは、タンパク質およびペプチドの確認や同定に関するサンプル測定のための使いやすいユーザーインターフェースを提供します。ログインして、サンプル情報を入力し、あらかじめ定義された取り込みおよびデータ処理メソッドのリストから任意のものを選択するだけで、ソフトウェアがサンプルを配置すべき場所や、おおよその分析完了日を提示します。また、ハードコピーや Web ページ、E メールによる詳細な確認レポートも作成できます。

    Easy Access ソフトウェアでは、アジレントの提供する設定済みのデータ採取および分析メソッドや、経験豊富なユーザーが作成したカスタムメソッドを使用することができます。MassHunter Easy Access と BioConfirm ソフトウェアを組み合わせれば、経験の少ないユーザーでも、組み換えタンパク質や合成ペプチドのルーチン分析において、TOF-MS の威力を十分に活用できるようになります。

    結果の検証を高速化する 化合物ベースのナビゲーション

    MassHunter BioConfirm は Agilent MassHunter Qualitative Analysis ソフト ウェアの機能拡張モジュールです。そのため、ペプチドやタンパク質の解析結果の検証を高速化する化合物ベースのナビゲーションも引き継がれています (図 4)。たとえば、LMFE がタンパク質を検出したら、そのタンパク質は Data Navigator 画面のナビゲーションツリーに化合物として表示されます。各化合物のノードからは、1 ク リックで以下のものを閲覧することができます。

    • タンパク質の証拠となるイオンスペクトル

    • 化合物の溶出範囲内において、 セット内のすべてのイオンから作成された抽出化合物クロマトグラム (ECC)

    • デコンボリューションされた スペクトル

    • 該当する化合物に関するすべての 処理結果を表示する化合物リストの行 (図 4 の下部参照 )

  • 11

    • 最高の生産性

    1. ペプチドとタンパク質のスペクトルを迅速に簡略化する MFE と LMFE

    2. 化合物質量スペクトル、クロマトグラム、分析結果の動的リンクによる化合物ベースの高速ナビゲーション

    3. AM (RT) データベース検索による QA/ QC におけるペプチド同定 (オプション )

    4. ペプチドおよびタンパク質の分子量確認において、全自動の使いやすいウォークアップ操作を実現する Easy Access ソフトウェア

    これらのアジレント製品を組み合わせれば、生物医薬品業界の分析における生産性が大幅に高まります。短い時間で確実に、より多くのタンパク質やペプチドを解析する多忙な科学者を支援します。

    • 組み換えタンパク質や合成ペプチドの分子量決定に最適化された強力なデコンボリューションアルゴリズムを備えています。単純なサンプルにも複雑なサンプルにも対応できます。

    1. 最大エントロピーデコンボリューションは、インタクトタンパク質用のアルゴリズムで、優れた質量 精度が得られます。

    2. MassHunter 独自の LMFE アルゴリズムは、複雑なサンプルに含まれるインタクトタンパク質やその変異型を自動的かつ迅速に検出し、それぞれのスペクトルをデコンボリューションします。

    3. 同位体デコンボリューションアルゴリズムは、ペプチドの分子量を決定します。

    まとめ

    • 完全に自動化された包括的なデータ処理Agilent TOF および Q-TOF システムは、比類のない質量精度、分解能、感度、ダイナミックレンジを兼ね備えています。MassHunter BioConfirm ソフトウェアは、これらの機器が生み出す高品質データを補完し、こうしたアプリケーションにおいて完全に自動化された包括的なデータ処理を実現します。インタクトレベルや消化物レベルのタンパク質の確認および同定のワークフローに対応しています。

    • ペプチドマッピングMassHunter BioConfirm では、複数のタンパク質や合成ペプチドの配列の設定や、修飾 (全体または領域限定 ) の定義が可能です。また、修飾を含む一致配列範囲の視覚化など、幅広いペプチドマッピング機能を備えています。

  • www.agilent.com/chem/jp

    本製品は薬事法に基づく医療機器の登録を行っておりません。

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    アジレント・テクノロジー株式会社© Agilent Technologies, Inc. 2010Printed in Japan. April 27, 20105990-5096JAJP