18
Ⅴ-1-(1)粗飼料の簡易分析 通常、粗飼料の栄養成分は定められた方法(公定法)により分析・評価するが、公定法による分 析は長時間を要する。現地等で短時間で応用可能な簡易分析の概略、分析手法を紹介する。 電子レンジと塩化コバルトⅡ2%水溶液で作成したインジケーターを用いて測定。 分析手順は農業総合研究所ホームページの平成17年度研究成果を参照。 粗蛋白質 濃硫酸と過酸化水素により全窒素を抽出し、RQ フレックスのリフレクトクァントアンモニウ ムテスト(Cat.No.16892)を用いて測定。 換算式:飼料中粗蛋白質(CP)(%)=全窒素含量(%)×6.25 分析手順は「RQフレックスマニュアル」(平成18年9月新潟県農林水産部)を参照。 粗灰分 家庭用ガスコンロを用い、ステンレス灰皿上で灰化させて灰分を測定。 分析手順は農業総合研究所ホームページの平成17年度研究成果を参照。 酸性デタージェント繊維(ADF : Acid Detergent Fiber) 市販の酸性洗剤を AD 液の代わりに使用し、圧力鍋、コーヒーフィルター、ガラス保存瓶な どを用いて酸性デタージェント繊維を測定。 分析手順は農業総合研究所ホームページの平成18年度研究成果を参照。 ADF から飼料の可消化養分総量(TDN)を推定。 イネ科主体の牧乾草及びサイレージに共用の推定式 1) TDN=87.57-0.737×ADF (相関係数=-0.78) 濃硫酸と過酸化水素によりリン酸を抽出し、RQ フレックスのリフレクトクァントプラスリン 酸テスト(Cat.No.17942)を用いて測定。 分析手順は「RQフレックスマニュアル」(平成18年9月新潟県農林水産部)を参照。 カリウム 0.1M の硫酸によりカリウムを抽出し、RQ フレックスのリフレクトクァントカリウムテスト (Cat.No.16992)を用いて測定。 分析手順は「RQフレックスマニュアル」(平成18年9月新潟県農林水産部)を参照。 -42-

Ⅴ-1-(1)粗飼料の簡易分析...Ⅴ-1-(2)β-カロテンについて β-カロテンは、青草、サイレージ、良質乾草などに含まれる色素の一種。主に腸管でビタミン

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Ⅴ-1-(1)粗飼料の簡易分析

通常、粗飼料の栄養成分は定められた方法(公定法)により分析・評価するが、公定法による分

析は長時間を要する。現地等で短時間で応用可能な簡易分析の概略、分析手法を紹介する。

水 分

電子レンジと塩化コバルトⅡ2%水溶液で作成したインジケーターを用いて測定。

分析手順は農業総合研究所ホームページの平成17年度研究成果を参照。

粗蛋白質

濃硫酸と過酸化水素により全窒素を抽出し、RQフレックスのリフレクトクァントアンモニウ

ムテスト(Cat.No.16892)を用いて測定。

換算式:飼料中粗蛋白質(CP)(%)=全窒素含量(%)×6.25

分析手順は「RQフレックスマニュアル」(平成18年9月新潟県農林水産部)を参照。

粗灰分

家庭用ガスコンロを用い、ステンレス灰皿上で灰化させて灰分を測定。

分析手順は農業総合研究所ホームページの平成17年度研究成果を参照。

酸性デタージェント繊維(ADF : Acid Detergent Fiber)

市販の酸性洗剤をAD液の代わりに使用し、圧力鍋、コーヒーフィルター、ガラス保存瓶な

どを用いて酸性デタージェント繊維を測定。

分析手順は農業総合研究所ホームページの平成18年度研究成果を参照。

ADFから飼料の可消化養分総量(TDN)を推定。

イネ科主体の牧乾草及びサイレージに共用の推定式1)

TDN=87.57-0.737×ADF (相関係数=-0.78)

リ ン

濃硫酸と過酸化水素によりリン酸を抽出し、RQフレックスのリフレクトクァントプラスリン

酸テスト(Cat.No.17942)を用いて測定。

分析手順は「RQフレックスマニュアル」(平成18年9月新潟県農林水産部)を参照。

カリウム

0.1Mの硫酸によりカリウムを抽出し、RQフレックスのリフレクトクァントカリウムテスト

(Cat.No.16992)を用いて測定。

分析手順は「RQフレックスマニュアル」(平成18年9月新潟県農林水産部)を参照。

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硝酸態窒素

水または0.1Mの硫酸により硝酸態窒素を抽出し、RQフレックスのリフレクトクァント硝酸

テスト(Cat.No.16971)を用いて測定する。

分析手順は「RQフレックスマニュアル」(平成18年9月新潟県農林水産部)を参照。

β-カロテン

家庭用食品ミルサーを用いて β-カロテンを測定。

分析手順は農業総合研究所ホームページの平成18年度研究成果を参照。

β-カロテン含量からのビタミンA含量の換算式2)

ビタミンA量(IU)=β-カロテン含量(mg)×400

【新潟県農業総合研究所ホームページ】

http : //www.ari.pref.niigata.jp/nourinsui/seika_index.html

引用文献

1)自給飼料品質評価研究会編:改訂粗飼料の品質評価ガイドブック,78,日本草地畜産種子協

会,東京(2001)

2)農林水産省農林水産技術会議事務局編:日本飼養標準肉用牛(2000年版),16,中央畜産会,

東京,(2000)

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Ⅴ-1-(2)β-カロテンについて

β-カロテンは、青草、サイレージ、良質乾草などに含まれる色素の一種。主に腸管でビタミン

Aに転換されることから、プロビタミンAとして知られている。

β-カロテンはプロビタミンAとしてばかりでなく、それ自体が正常な繁殖機能、特に黄体機能

の維持に必須である。

特に高産次の牛は β-カロテンの吸収効率が悪く、ビタミンAが欠乏しやすいので、適量の β-

カロテン(300mg/日)を青草、良質サイレージなどで補給することが繁殖成績の改善に有効であ

る。

体重1kg当たり 42.4IU

(妊娠牛や授乳牛では体重1kg当たり76IU)

���� 粗飼料中の β-カロテン含量は変動幅が大きい。

β-カロテンとは?

β-カロテンの生理的役割

ビタミンA必要量

β-カロテンおよびビタミンAの役割

欠乏すると ・食欲低下 ・夜盲症・下痢 ・流産・発情不良 ・虚弱子牛

・上皮組織の保持と免疫機構の維持・動物の成長・正常な視覚

以下の牛はビタミンAの欠乏に注意

・ワラ、購入乾草など β-カロテン含量の低い飼料を給与している乳牛、繁殖牛、肥育中期以降の牛・授乳期の子牛・高産次の牛

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粗飼料からのビタミンA供給量は、粗飼料に含まれる β-カロテン含量から推定する。

(要求量の推算例)

・体重450kg、維持期の繁殖牛の場合。

ビタミンAの要求量は 450kg×42.4IU=19,080IU

・β-カロテンを乾物1kg当たり20mg含む「牧草サイレージ」なら、

19,080IU÷20mg/kg÷400=2.4kgの給与で要求量を満たす。

・β-カロテンを乾物1kg当たり5mgしか含まない「稲ワラ」の場合は、

19,080IU÷5mg/kg÷400=9.5kgの給与が必要。

変換式

1mgの β-カロテンは400IUのビタミンAに相当現物中20mg/kg の β-カロテンを含む飼料を1kg給与すると、「20mg/kg×400IU=8,000IU」(→8,000IUのビタミンA供給に相当する)

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Ⅴ-1-(3)粗飼料利用上の留意点

○ 家畜ふん尿の大量施用や成分の偏った施肥により栽培された牧草・飼料作物は、ミネラルバラ

ンスを欠き、それらを給与した牛の疾病発生原因になるおそれがある。

給与粗飼料については、RQフレックス等により成分を確認し、利用する。

家畜ふん尿や窒素肥料の大量施用は土壌の硝酸塩濃度が高まり、飼料作物中に硝酸態窒素が蓄積

される。硝酸態窒素含量の高い粗飼料を給与すると硝酸塩中毒の恐れがある。

慢性の中毒症は繁殖障害、消化器病、泌乳関連の障害などを引き起こす。

Kが牧草中に一定以上蓄積されると、牧草のMgや Ca の吸収が抑制される。

さらに、家畜の体内でも大量のK摂取は血中のMg低下を招き、グラステタニーが発生しやす

くなる。症状は興奮、けいれんなど神経症状を特徴とし、一般に急性な経過を取ることが多い。

硝酸塩中毒

低マグネシウム(Mg)血症(グラステタニー)

粗飼料中硝酸態窒素のガイドライン

粗飼料中の硝酸態窒素濃度ppm(乾物換算) 給与上の注意

0-1,000 十分な飼料と水が給与されていれば安全。

1,000-1,500妊娠牛以外は安全。妊娠牛には給与乾物の50%を限度とする。場合によっては摂食を停止したり、生産性が徐々に低下したり、流産が起こったりする。

1,500-2,000全ての牛に対して乾物の50%を限度とする。中毒死を含めて何らかの異常が起こる可能性あり。

2,000-3,500乾物の35-40%を限度とする。妊娠牛には給与しない。

3,500-4,000乾物の20%を限度とする。妊娠牛には給与しない。

4,000以上 有毒であり給与してはいけない。

※:米メリーランド大学のガイドライン

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血中のCa低下は筋肉のし緩を招き、

消化器病や乳熱(起立不能)の発生を引

き起こす。

特に、乳牛の場合は分娩後に大量のCa

を必要とするため、Ca 不足は周産期の

重とくな疾病を引き起こすばかりか、繁

殖障害の要因にもなる。

自給粗飼料中のK濃度を低く保つと

ともに、分娩直後から吸収性の良いカル

シウム剤を補給する。

牛に必要なミネラルは16種類あり、これらは骨や歯の主要構成成分であるとともに、体液の酸-

塩基平衡の保持、蛋白質や脂質の形成に関与している。

牛に必須なミネラル 牛のミネラル欠乏症

低カルシウム(Ca)血症

参考 ~ 牛に必須なミネラル

Ca 低下による乳牛の疾病発生

主要元素

カルシウム(Ca)リン(P)ナトリウム(Na)カリウム(K)マグネシウム(Mg)塩素(Cl)硫黄(S)

微量元素

鉄(Fe)銅(Cu)亜鉛(Zn)コバルト(Co)マンガン(Mn)ヨウ素(I)モリブデン(Mo)セレン(Se)ニッケル(Ni)

元素

CaPNaKMgClSFeCuZnCoMnIMoSeNi

骨軟症発育不良筋痙攣筋力低下神経過敏食欲減退食欲減退貧血食欲減退脱毛食欲減退骨異常甲状腺肥大栄養失調白筋症不詳

主な欠乏症

起立不能骨折傾向被毛粗剛麻痺痙攣成長阻害体重減少

貧血皮膚角化不全体重減少成長阻害胎児発育障害縮毛心筋変性

神経過敏テタニー

下痢

体重減少繁殖障害

下痢

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Ⅴ-2-(1)乳用育成牛への粗飼料給与

育成用配合飼料を1日当

たり現物2.5kgに制限給与

する条件で、TDN52%と

60%の粗飼料を同量摂取し

た場合、日増体量に0.1kg

程度の差が生じ、体重150

kgから350kgまでの到達

日数に置き換えると約2か

月の発育差となる。

育成期の健全な発育を確

保するためには、TDN含量の高い良質な粗飼料給与が重要である。

発育を高めるためには、粗飼料のCP含量についても注意する必要がある。

粗飼料のCP含量が8%を下回るとCPの養分要求量を満たすことができず、エネルギーは満た

されているものの蛋白質が不足するために、育成牛が太ってくることも考えられる。粗飼料の成分

を把握し、適正量を給与することが大切である。

���� ○ 給与する粗飼料の品質によって、発育が左右される。

○ 初産分娩月齢を早めるためには、良質粗飼料給与による発育確保が重要。

粗飼料の栄養価と発育速度

給与する粗飼料の栄養価の把握

TDNの異なる粗飼料を給与した場合の育成牛の発育速度

体重(kg)設定乾物摂取量(kg/日)

粗飼料の摂取DM量(kg/日)

期待される日増体量(kg/日)

TDN60% TDN52%

150200250300350400450

3.794.675.556.447.328.219.00

1.612.493.384.265.156.036.91

0.730.670.650.590.640.650.66

0.660.580.540.480.510.510.51

参考 乳用育成牛の標準発育値

月齢体重(kg) 体高(cm) 胸囲(cm)

標準値 範 囲 標準値 範 囲 標準値 範 囲0 40.0 34.2~45.8 75.1 71.4~78.8 78.9 74.9~82.91 56.3 47.1~65.5 80.6 76.9~84.3 87.3 83.3~91.32 76.5 62.5~90.5 86.2 82.5~89.9 96.6 92.5~100.73 98.6 82.6~114.6 91.3 87.5~95.1 106.4 101.2~109.64 122.2 103.2~141.2 96.1 92.3~99.9 113.6 109.3~117.95 146.9 124.9~168.9 100.5 96.7~104.3 121.2 116.9~125.56 172.4 151.2~193.6 104.5 100.7~108.3 128.3 123.9~132.78 224.6 198.1~251.1 111.6 107.8~115.4 141.1 136.5~145.710 276.9 250.3~303.5 117.5 113.6~121.4 152.1 147.4~156.8

12 327.5 296.7~358.3 122.4 118.5~126.3 161.5 156.6~166.414 375.1 342.7~407.5 126.5 122.6~130.4 169.3 164.3~174.3

16 418.8 387.0~450.6 129.8 125.8~133.8 175.9 170.7~181.118 458.0 422.7~493.3 132.5 128.5~136.5 181.3 176.0~186.6

24 540.3 496.4~584.2 137.7 133.6~141.8 191.9 186.1~197.7(社)日本ホルスタイン登録協会(1995年)

※乾物摂取量は日本飼養標準乳牛1999年版に示される育成牛の標準発育値を元に計算し、濃厚飼料を定量(現物2.5kg/日)給与し、粗飼料を自由採食することを想定

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濃硫酸と過酸化水素により全窒素を抽出し、RQフレックスのリフレクトクァントアンモニウム

テスト(Cat.No.16892)を用いて測定。

換算式:飼料中粗蛋白質(CP)(%)=全窒素含量(%)×6.25

分析手順は「RQフレックスマニュアル」(平成18年9月新潟県農林水産部)を参照。

簡易分析による粗飼料の粗蛋白測定

【牧草ロールを採食する乳用育成牛】

【放牧による乳用牛の育成(津南町)】

-49-

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Ⅴ-2-(2)乳用経産牛への粗飼料給与

分離給与では、飼料の乾物摂取量は体

重の4%程度が上限とされる。

粗飼料として体重の1.6%以上を摂取

させながら、養分要求量を充足させるこ

とが基本となる。

消化性の良い粗飼料を給与することに

よって、飼料全体の摂取量が向上し養分

摂取量の増加につながる。

養分摂取量を多くする粗飼料としては、

アルファルファや若刈りのイネ科牧草が

上げられる。

エネルギー含量の高い飼料給与により、

泌乳前期の乳生産が高まる。

泌乳中期は乳量も減少し始め、養分要求量も低下してくる。

一方、乾物摂取量は泌乳中期の前半に最も多くなり、ボディーコンディションの回復にあわせて、

濃厚飼料の給与量を減らす必要がある。

乳量の低下には、牛の個体差があるので、給与粗飼料の種類や量は1頭ごとに対応する必要があ

る。乳量の低下が少ない牛については、泌乳前期と同様に良質な粗飼料を給与する。

乳量の低下が大きい牛は、養分要求量に対して養分摂取量が上回るので、濃厚飼料の給与量を減

らし、粗飼料も良質なものから中程度のものに切り替え、適正なボディコンディションを維持する

必要がある。

���� ○泌乳ステージに応じた粗飼料の選択。し こう

○泌乳前期は、エネルギー含量が高く、嗜好性の良い粗飼料を給与。

○乾乳後期は、カリウム含量の低い粗飼料を給与。

泌 乳 中 期

泌 乳 中 期 ~良質な粗飼料給与が不可欠~

~牛の状態に応じて粗飼料を選択~

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養分要求量より養分摂取量が多くなりがちな時期であり、養分の充足面からは消化性の劣る粗飼

料でも支障がない。

粗飼料主体の給与となるが、乳房のはれが退きはじめたら、日量1~2kg程度の濃厚飼料を給

与し、ボディーコンディションの維持を図る。

この時期は、消化性の劣る粗飼料でも良く、ボディーコンディション等により養分の充足状況に

注意する。

分娩予定日の3~4週前は、胎児の発育に必要な養分量が急速に増加する一方、飼料摂取量が徐々

に減少し始める時期である。

この時期は分娩後の飼料の急増に準備する期間でもあり、良質な粗飼料を給与することが重要で

ある。

カリウム含量の高い粗飼料を給与していると、分娩直後の血中カルシウム濃度の低下が顕著とな

り、周産期疾病が懸念されるので、カリウム含量の高い粗飼料の給与は控える必要がある。

特に、ふん尿施用の多いほ場で生産された粗飼料は、カリウム含量が高い傾向にあるので、粗飼

料のカリウム含量を分析し、利用する。

泌 乳 後 期

乾 乳 前 期

乾 乳 後 期

【乳用経産牛への粗飼料給与】

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Ⅴ-2-(3)乳用牛向けの発酵粗飼料用稲

糊熟期から黄熟前期に収穫・調製した良質な稲発酵粗飼料は、イネ科流通乾草と同等の栄養価を

持ち、代替利用が可能である。

糊熟期初期から黄熟期に収穫された稲発酵粗飼料は輸入チモシー乾草と同等の栄養価である。

刈り遅れるとTDNが低く、繊維の消化性が低くなり搾乳牛には不向きになる。

稲発酵粗飼料を良質な繊維の供給源としたい時は、TDN含量はやや低くなるものの、乳熟期か

ら糊熟期での刈り取りが適当である。

粗蛋白質(CP)は発酵粗飼料用稲の登熟が進むにつれ低下する。品種、窒素施肥量の違いによ

る差は小さい。

NDF、NFCは品種による違いはあるが、収穫時期や窒素施用量には影響されない。

β-カロテンは登熟が進むにつれ顕著に低下するが、品種による違いもみられ、窒素施用量が多

いと β-カロテン含量が高まる傾向がある。

不消化物質であるケイ酸は登熟が進むにつれ高まるが、多肥栽培によって低下する。

乳用牛への稲発酵粗飼料給与の考え方

収穫時期と栄養価および成分の消化性

発酵粗飼料用稲の特徴

収穫時期とTDNおよび成分消化率(%)飼料・収穫時期

出穂後日数 TDN 有機物(OM)

中のTDNNDF消化率

NFC消化率 灰分

チモシー糊熟期黄熟期完熟期

152439

59.355.258.950.4

62.764.156.759.4

57.256.849.847.0

72.372.681.073.5

5.713.810.515.2

表 諸要因と成分値およびルーメン内消化性の関係

要因全DM収量kg/10a

ケイ酸

DM%

β-カロテン

DM%

OM消失率%

NDF消失率%

収穫時期 寄与率 40.4* 28.7** 81.6** 49.5** 10.1*

出穂後15日出穂後25日出穂後35日

646C718B762A

4.9Bb5.4Ba6.2A

44.2A20.2B10.4C

42.5A36.0B35.0C

22.3Aa19.7b18.8B

品 種 寄与率 3.8** 8.0* 44.6**

トドロキワセわせじまん夢あおば

21.3B27.0B26.6A

36.4b37.139.3a

22.2A22.4A16.2B

窒素施用量 寄与率 40.4* 28.7** 81.6** 49.5** 10.1*

0kg/10a5kg/10a10kg/10a

621C717B751A

6.0A5.3B5.2B

22.1B23.3B29.5A

※消失率はルーメン内で24時間培養した結果を示した

-52-

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給与試験では、チモシーやスーダングラス等の流通乾草の代わりに稲発酵粗飼料を用いても、概

ね同等の乳生産が得られている。

搾乳牛に対しては、稲発酵粗飼料を飼料全体の30%程度まで給与することに問題はない。

ただし、刈り遅れの稲発酵粗飼料は、子実排せつ量の増加や養分摂取量の低下につながり、泌乳

量の低下も懸念されるので、給与量を控える必要がある。

泌乳牛での試験結果を見る限り、稲発酵粗飼料は乳牛の育成期においてもチモシー等の乾草との

代替利用が可能である。

ただし、育成牛の発育は粗飼料のTDN含量に影響されるので、刈り遅れてTDN含量が低くな

っている稲発酵粗飼料の利用は不適当である。

また、稲発酵粗飼料は、イネ科牧草に比べCP含量が低いので、成分分析を実施し、必要に応じ

て大豆粕等によりCPを補給する。

【稲発酵粗飼料を採食する乳用牛】

泌乳牛への給与

育成牛への給与

表 稲発酵粗飼料を用いた泌乳試験成績乾物摂取量(kg/日) 乳量

(kg/日)乳成分(%) 出 展

粗飼料(%) 飼料全体 脂肪 SNF稲発酵粗飼料輸入スーダン乾草

7.0(26)5.6(21)

26.626.7

36.137.5

3.773.87

8.148.23

三重県2001

稲発酵粗飼料輸入チモシー乾草

6.0(29)6.1(29)

20.821.3

30.031.1

4.023.91

8.968.95

新潟県2001

稲発酵粗飼料輸入チモシー乾草

6.1(26)6.3(27)

23.423.0

25.026.7

4.084.12

8.718.79

埼玉県2001

稲発酵粗飼料輸入チモシー乾草

6.6(30)7.1(30)

22.023.5

36.741.9

4.414.01

8.798.80

広島・群馬・新潟2003

※SNF:無脂固形分、( )内の数値は、飼料全体に占める粗飼料の割合

-53-

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Ⅴ-3-(1)繁殖牛への粗飼料給与

反芻胃の発達を促すため、繊維の多い良質粗飼料を多給する。

育成期には体(骨格、筋肉、臓器)の発

達に必要な養分要求量が多く、特に第1胃、

第2胃の発達時期には、良質粗飼料を十分

に給与し必要量を満たすようにする。

育成期に過度な高栄養水準で飼養し過肥になると、繁殖供用時に難産などの分娩事故だけではな

く、分娩後の泌乳能力の低下等を招き、その影響は3産経過後まで残るといわれている。

一方、極端な低栄養水準で飼養し発育が遅延すると、繁殖性、泌乳能力、産子の発育などその後

の生産に悪影響を及ぼす。

育成期に与える粗飼料は良質な牧乾草主体が望ましい。

育成牛への給与

第1胃、第2胃の発育月齢

発 育最大月齢

発育の盛んな月齢

初め 終わり

8.0 3.3 12.6

育成期の雌牛の発育及び飼料給与目安

月齢体高

(cm)

体重

(kg)

DG

(kg)

給与飼料(kg)

配合 牧乾草 稲わら

4 92.5 113.4 0.89 2.4 1.0 0.5*

6 101.1 168.5 0.92 2.4 3.0 0.8*

8 107.7 223.7 0.85 2.4 4.0 0.8*

10 112.8 273.8 0.73 2.4 4.6 0.8

12 116.7 316.4 0.60 2.2 4.0 2.0

14 119.7 350.8 0.47 2.0 4.0 2.5

16 122.0 377.6 0.36 2.0 4.0 2.5

18 123.7 398.0 0.27 2.0 4.0 2.5

* 稲わらは細切したものを用いる。

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維持飼料は良質粗飼料でまかない、ボディコンディションを整える。

繁殖牛の飼養管理は、維持期、

妊娠末期、授乳期の3つに区分

される。

このうち妊娠末期の2か月及

び授乳期の粗飼料としては、良

質な飼料に加え、濃厚飼料によ

り必要養分量を充足させる。

初産分娩時はまだ発育段階に

あるので、維持の他に成長に必要な養分も加える(図1)。

成牛の維持期は養分要求量も少なく、粗飼料のみで十分な要求量を満たすことができるが、栄養

バランスの良い良質粗飼料(TDNと DCPのバランス、ビタミン、ミネラル)を十分に給与し、

適正なボディコンディションを維持することが大切である(図2)。

粗飼料からの養分が不足する場合は、他の粗飼料や濃厚飼料を組み合わせることでバランスをと

る。また、エネルギーとタンパク質のバランスに加え、長い繊維を含んだエサの取り合わせが牛の

健康を保ち、連産性維持のためにも重要である。

繁殖牛は粗飼料主体で飼養するため、給与量の不足や偏った飼料の給与により繁殖成績の不良に

つながりやすいので、注意が必要である。

成牛への給与

図2 「栄養度」判定要領と触診部位

区分やせている 普通 太っている

非常にやせている

やせている

やややせている やせ気味 普通 太り気味やや太っている

太っている

非常に太っている

1 2 3 4 5 6 7 8 9

主 な判定基準

手を当てると直接骨に触れることができる。脂肪及び筋肉の付着が感じられない。

手を軽く圧することによって、骨が識別される。ある程度の脂肪層が感じられる。

相当の圧力なしでは、骨を識別できない。明らかに脂肪の蓄積が認められる。

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Ⅴ-3-(2)肥育牛への粗飼料給与

① 黒毛和種去勢牛(9~14か月齢)

13か月齢までは内臓、骨格の成長期に当たるため、導入後4から5か月間、粗飼料は稲ワラ1

kg程度と良質粗飼料を合わせて風乾物で4kg程度給与する。

肥育中期のビタミンA制限時期に欠乏症が出ないよう、β-カロテンを適度に含む良質な粗飼

料を給与する。

② 乳用種去勢牛(7~11か月齢)

肥育期間が短いことから、11か月齢くらいまでに粗飼料を風乾物で2kg前後給与して腹づく

りをしながら、基準値以上のDGを確保する飼料組合せとする。

肥育前期の粗飼料

第1胃を主体とする消化器官及び骨格の発達に対しては、蛋白質やエネルギーのほかにビタミン

やミネラルが総合的に含まれる良質粗飼料の効果が高い。特に、肥育中期のビタミンA制限時期

に欠乏症が出ないよう、β-カロテンを適度に含む良質粗飼料の給与が望ましい。

稲わらなどの粗剛性のある粗飼料は、消化管の運動や健全な発達を促す効果が高いので、粗剛性

のある粗飼料と栄養成分に富む飼料を組合せて給与することが大切である。

���� ○ 肥育前期は体づくりの飼料給与。

○ 肥育中期は筋肉量の増加とビタミンAコントロール。

○ 肥育後期は筋内脂肪を増加させる飼料給与。

肥 育 前 期 ~ 肥育に耐える丈夫な骨格、消化器を作る時期 ~

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前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を促進するためのビタミンA制限時期。

① 黒毛和種去勢牛(14~21か月齢)

粗飼料は風乾物で1日当たり2.5kgから1.5kg程度に漸減し、濃厚飼料をできるだけ多く食い

込ませるようにする。

② 乳用種去勢牛(11~15か月齢)

十分な肉量をつけるために、粗飼料を1日当たり1kg前後に制限し、濃厚飼料の摂取量を多

くする。

肥育中期の粗飼料

肥育中期以降は粗飼料の給与量は少ないが、粗飼料は正常な第1胃機能を維持するために重要な

役割を果たす。特に肥育中期はビタミンA制限時期に当たるので、稲わらなど物理性に富み、β-

カロテン含量の低い粗飼料を給与する。

① 黒毛和種去勢牛(21~29か月齢)

前期に十分な粗飼料を給与し、第1胃がしっかり発達した牛は仕上げ期には粗飼料を最小限度

に抑え、濃厚飼料摂取量を高めることにより、第1胃内のプロピオン酸の比率が高まって脂肪の

合成・蓄積が起こり、筋内脂肪(サシ)が増加する。

粗飼料の給与量は稲わらを1日当たり1~1.2kg程度とする。

② 乳用種去勢牛(15~21か月齢)

粗飼料は稲わらを主体に1日当たり0.7~0.9kgとする。筋内脂肪の蓄積を図るため、濃厚飼

料中心の給与とする。基準以上の粗飼料の給与は赤肉生産には向くが、濃厚飼料の摂取を抑制し

脂肪蓄積の阻害要因となる。

肥育後期の粗飼料

肥育後期は、極端なビタミンAの制限は必要ない。むしろ肥育中期に低下した体内のビタミン

Aを回復させ、正常な食欲や消化吸収機能を維持し、脂肪蓄積及び増体を確保したい。肥育後期

の粗飼料は稲わらを主体とするが、β-カロテンを多く含む粗飼料(サイレージ、ヘイキューブな

ど)を適量給与することにより、ビタミンA欠乏症を防ぐ必要がある。

肥 育 中 期

肥育後期から仕上げ期

~ 飼料の摂取量を高め筋肉量を増加させる時期 ~

~ 肥育中期に増やした脂肪細胞に脂肪を蓄積し、肉質を向上させる時期 ~

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Ⅴ-3-(3)肉用牛への稲発酵粗飼料の給与

・ 稲発酵粗飼料は牧草に比べ粗蛋白質含量が少ない。

・ β-カロテン含量は稲の品種や刈取り時期、収穫・調製体系、保存日数により異なる。

稲発酵粗飼料はイネ科牧草と同等の飼料価値を持つが、やや蛋白質含量が少ないので、妊娠末期

や授乳期には配合飼料やヘイキューブなどの蛋白質飼料による増し飼いが必要となる。

稲発酵粗飼料は肥育前期、後期に牧草や稲わらの代替飼料として利用可能であり、給与による肉

質、脂肪色への影響はない。ビタミンAコントロールのためには、簡易分析により β-カロテン

含有量を把握した稲発酵粗飼料を用いる。

肥育の全期間に給与する場合は、黄熟期以降に刈り取り、48時間以上の予乾により β-カロテン

含有量を低減させ、含有量を把握した上で、給与量を調整する。

���� ○ 繁殖牛への給与には蛋白質の補給が必要。

○ 肥育牛への給与は、肥育前期、肥育後期で可能。

○ 稲わらの代替としては、黄熟期以降に刈り取り、強く予乾したものを利用。

稲発酵粗飼料の栄養価の特徴

繁殖牛への利用

肥育牛への利用

稲発酵粗飼料の栄養価

収穫時生育ステージ

TDN(DM%)

粗蛋白質(DM%)

β-カロテン(mg/kgDM)

水分% 備 考

稲発酵粗飼料 黄熟期 55.9 7.0 62.7 日本標準飼料成分表(2001)

(乳熟期) (45.9~100) ( )内は新潟畜研(2004~2005)

黄熟期 48.2 7.3 2.7 57.0 畜草研(2004)1日予乾現物0.5%尿素加

チモシー乾草 1番草出穂期 62.6 10.1 66~140 14.1 日本標準飼料成分表(2001)

稲発酵粗飼料を給与した繁殖和牛の繁殖成績(長野畜試2005)

初回発情までの分娩後日数

受胎までの分娩後日数

平均授精回数 分娩間隔 妊娠期間 給与粗飼料(原物 kg)

(他に配合飼料給与)

試験区(n=4) 54.3 81.5 1.8 367 293 稲発酵粗飼料10kg+チモシー乾草1.5kg

対照区(n=4) 42.3 67.0 1.3 352 28 チモシー乾草4~6kg+稲ワラ1.5~2kg

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稲発酵粗飼料を全期間給与した試験の枝肉格付

一日予乾後、2%尿素処理を行ない、β-カロテン含量を稲わら並み(2.7mg/kg)に低減さ

せた稲発酵粗飼料を黒毛和牛去勢肥育牛に全期間給与し、良好な肥育成績が得られている(畜草

研2004)。

稲発酵粗飼料にはビタミンEが豊富に含まれており、肉色保持や肉の脂質酸化防止に効果が

ある。ただし、強い予乾やアルカリ処理した稲発酵粗飼料はビタミンE含量が低下しているの

で、ビタミンEにより肉色保持等を図るには、黄熟期以降に予乾せずに収穫した稲発酵粗飼料

の利用が適当である。

稲発酵粗飼料を肥育前期、後期に給与した肥育牛の枝肉格付(新潟県2006)

枝肉重量kg

ロース芯面積C㎡

バラの厚さcm BMSNo. 格付

試験区(前期、後期給与) 475 53.0 8.3 5.7 A5,A4,A3

対照区(後期のみ給与) 461 54.0 8.5 5.0 A4,A3,A3,A3

牛肉の品質向上効果

半丸枝肉 重kg

ロース芯面 積Cm2

バラ厚

cm

皮 下脂肪厚cm

歩 留基準値

BMS

No.

BCS

No.

BFS

No.枝肉格付

ロース脂肪含量%

交 雑 種 219.9 56.2 7.3 2.4 71.9 4.0 3.0 2.5 A3 B3 22.9

黒毛和種 197.1 52.2 7.5 1.6 74.8 6.5 2.5 3.0 A4A4 33.9

【稲発酵粗飼料を採食する黒毛和種肥育牛】

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