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航空機MSS画像を用いた土浦市域と筑波山における土地被覆と表面温度分布の解析 ―秋季と冬季における夜間の特徴の違い―
ANALYSIS OF SURFACE TEMPERATURE DISTRIBUTION OF MT.TSUKUBA AND ITS SURROUNDING REGIONS USING AIRBORNE MSS DATA ―Difference in Nighttime Features between Autumn and Winter―
○浅輪貴史・ 梅干野晁・萩田和将・押尾晴樹 (東京工業大学大学院 総合理工学研究科)
日本ヒートアイランド学会 第6回全国大会 2011/7/23-24(茨城・筑波大学)
航空機MSSデータの概要
日時: 2010.11.3, 11.5(晴天日)12:30~12:38,16:40~16:48 気温:市街地(アメダス)17.9℃(昼間),14.6℃(日没後) 筑波山頂(筑波大学筑波山気象観測ステーション) 11.5℃(昼間),10.5℃(夜間) センサ:AZM 観測高度:5500m 空間分解能: 6.9m 使用観測波長帯:可視赤(654.5-679.3nm) 近赤外域(825.1-871.5nm) 熱赤外域(10,105-13,525nm)
秋季
日時:2009.12.22(晴天日)11:38~11:48,17:57~18:05 気温:市街地(アメダス)7.0℃(昼間),5.9℃(夜間) 筑波山頂(筑波大学筑波山気象観測ステーション) 3.7℃(昼間),0.4℃(夜間) センサ:AZM 観測高度:5500m 空間分解能: 6.9m 使用観測波長帯:可視赤(654.5-679.3nm) 近赤外域(825.1-871.5nm) 熱赤外域(10,105-13,525nm)
冬季
秋季 冬季
アメダス
筑波山
土浦 市街地
霞ヶ浦
観測コース
大気補正
地上実測の 表面温度と
観測値を対応させた補正式を作成
熱赤外域の観測値から表面温度を算出
表面温度(夜間)
舗装面 樹木
舗装面 その他
土地被覆の違いによる表面温度分布の特徴 二時期の筑波山斜面表面温度の違い
水田 水田(湿潤)
土壌(乾燥)
樹木
0 4 8 12 16 ℃℃ -4 0 4
夜間平均緑被表面温度を基準とした二時期の差画像の三次元化
冬季 ENE 5.8m/s
0
3km
※標高を3倍に強調 ラインプロファイルによる標高・方位と表面温度の関係
夜間緑被表面温度の差画像
:平均緑被表面温度(秋季8.8℃)との温度差
:平均緑被表面温度(冬季3.1℃)との温度差
⊿𝜃𝑊𝑖𝑛𝑡𝑒𝑟 − ⊿𝜃𝐴𝑢𝑡𝑢𝑚𝑛
⊿𝜃𝐴𝑢𝑡𝑢𝑚𝑛 ⊿𝜃𝑊𝑖𝑛𝑡𝑒𝑟
差画像解析の結果
表面温度(℃)
標高
(m)
表面温度(℃)
標高
(m)
表面温度(℃)
標高
(m)
表面温度(℃)
標高
(m)
秋季(東) 冬季(東)
秋季(南) 冬季(南)
土地被覆分類(秋季)
土地被覆分類(冬季)
土地被覆材料の平均表面温度と気温との差
①冬季に風上側の東側・北側斜面では対流熱伝達が卓越,流入風の気温の影響を強く受ける
③東側斜面において ・冬季に相対的に低い表面温度の箇所 ・谷筋に高い表面温度の箇所
局地的な気候現象や地形が影響
大気放射冷却による夜間の冷え方は土地被覆材料によりどの程度異なるのか?
東 南
可視画像
秋季(日没後)
冬季(夜間)
まとめ 参考文献 1) 梅干野晁,内山一雄:航空機MSS熱赤外域データに対する大気補正手法の検討,
日本リモートセンシング学会第9回学術講演会論文集,pp149-152(1989) 2) 渡来靖:筑波山における斜面温暖帯観測,地球環境研究Vol.10,pp79-86(2008)
ENE 5.8m/s
WSW 0.5m/s
1.緑被と緑被以外の判別
2.緑被の細分類
3.緑被以外の細分類
NDVIの閾値を現地調査
結果や航空写真を用いて目視判断により設定(閾値以上:緑被)
緑被に分類された画素をNDVI・昼夜の表面温
度を用いた最尤法で樹木と草地・芝地に分類
土壌の含水状態の違いに応じて教師データを取得、昼夜の表面温度を用いた最尤法で6つのカテゴリーに分類
冬季 ENE 5.8m/s
秋季 WSW 0.5m/s
①両時期ともに南側斜面の表面温度が高い領域がみられる
②東側斜面では標高とともに表面温度は低下する傾向
斜面温暖帯の形成に標高・方位との関係が見られる
・観測時間が1時間程度遅い冬季において 大気放射冷却による表面温度の低下が進行 →市街地気温より8℃以上低い被覆面が存在
その他 土壌3(乾燥) 土壌2 土壌1(湿潤)
はじめに
背景
目的 土浦市を対象として、冬季と秋季の航空機MSS(Multi-Spectral Scanner)データを
用いて、二時期の土地被覆の違いと気象条件(風向・風速条件)の違いから、土地被覆と夜間における表面温度分布との関係を明らかにする
我が国の地方小都市の多くは、その周囲に水田等の自然の土地被覆面を有しているため、特に夜間のヒートアイランド現象の緩和策を議論するうえでは、その土地被覆と、“冷却ポテンシャル”としての大気放射冷却や蒸発冷却等による日没後の表面温度低下との関係を明らかにすることが重要
本発表では以下の3点に注目 (1)土地被覆の違いによる表面温度分布の違い (2)筑波山斜面に着目した標高・方位と表面温度の関係 (3)風向・風速条件と筑波山斜面の表面温度との関係
筑波山斜面の表面温度分布が二時期で何故大きく異なるのか?
緑被表面温度はその周囲の気温や風の影響を強く受ける
・昼間における土地被覆間の表面温度の差が 冬季のほうが大きい →冬季の水田内の土壌含水状態が多様であり 表面温度に大きな分布が生じている
ハス田 ハス田
水田
筑波山 筑波山
二時期における土浦全域の表面温度分布・土地被覆分類
17:57~18:05(夜間) 日時:2009.12.22
樹木 芝地・草地 舗装面 建物 水面 水田(稲有) 水田(稲無) 土壌(乾燥)
凡例 樹木 芝地・草地 舗装面 建物 水面 土壌1 土壌2 土壌3
湿
乾
凡例
土地被覆分類 土地被覆分類
表面温度分布
16:40~16:48(日没後) 日時:2010.11.5
表面温度分布
0 4 8 12 16 ℃℃ -2 2 6 0 4 8 12 16 ℃ ℃ 4 10 16
0
4
8
12
16℃
0
4
8
12
16℃
13
℃
9
5
5
℃
1
-3
航空機から波長帯別に地上からの反射・放射の強さを観測
表面温度分布 (昼間・夜間)
被覆材料(舗装面、土壌、樹木など)の分布
航空機 MSS観測 イメージ
気温との差(℃)
気温との差(℃)
水田 (湿潤)
水田
土壌 (乾燥)
舗装面 土壌 (湿潤)
土壌
土壌 (乾燥)
舗装面
筑波山斜面上の緑被の表面温度分布に見られる 二時期の特徴の違いを差画像解析を用いて確認
筑波山斜面の表面温度は標高・方位でどのように変化するのか?
※標高を3倍に強調
水田
秋季 冬季
秋季 冬季
②風下側の西側・南側斜面では大気放射冷却が卓越し、相対的に表面温度が低下
秋季 冬季
秋季 冬季 抽出した緑被
1.で抽出した二時期ともに存在する緑被に3×3
のローパスフィルターをかけたものを差画像作成に用いた
1.NDVIを用いて二時期ともに存在する緑被部分のみを抽出
2.各時期の平均緑被表面温度を基準とした筑波山の緑被表面温度の 差画像の作成
市街地(アメダス) 17.9℃(昼間) 14.6℃(日没後)
市街地(アメダス) 7.0℃(昼間) 5.9℃(夜間)
筑波山斜面緑被温度において、東側・北側斜面の冬季の緑被表面温度が秋季に比べ、3,4℃程度高い値を示し、西側・南側斜面では3℃程度低い
値を示した。これは冬季に風上側の東側・北側斜面では対流熱伝達が卓越し、流入風の影響を強く受け、風下側である西側・南側斜面では、大気放射冷却が卓越し、相対的に表面温度が低下したためと考えられる。また局所的な気候現象や地形が影響している箇所を確認することができた。