10
した 150 MHz 帯ノーマルモードヘリカルアンテナ する a) †† ††† An Analysis of the Effective Radiation Efficiency of the Normal Mode Helical Antenna Close to the Human Abdomen at 150 MHz and Consideration of Efficiency Improvement Koichi OGAWA a) , Yoshio KOYANAGI †† , and Koichi ITO ††† あらまし した 150 MHz 帯ノーマルモードヘリカルアンテナについて, づいた たに するこ によって,インピーダンス びアンテナ による した 扱いをし,アンテナ アンテナ によって じるアンテナ 態にお ける めた. に,各 めるこ によって たらしている い, メカニズムを らかにする に,そ づいて について した.そ における -20 dB るこ インピーダンス あるこ 態を つこ によって 10 dB あるこ した. にこれら に確 した. キーワード ノーマルモードヘリカルアンテナ, ,インピーダンス 1. まえがき VHF きょう体に された モノポール ノーマルモードヘリカルアンテナ NHA Normal Mode Helical Antenna)が られている. 1 すように, げに いように, り, ベルトに され, されたマイク イヤホンによって する.こ ,アンテナ して されるこ ,アンテナ (株)デバイス・エンジニアリング センター, Device Engineering Development Center, Matsushita Elec- tric Industrial Co., Ltd., 1006, Kadoma-shi, 571–8501 Japan †† (株)パーソナルコミュニケーション( ), Personal Communication Division, Matsushita Communi- cation Industrial Co., Ltd., 4–3–1, Tsunashima-higashi, Yokohama-shi, 223–8639 Japan ††† 大学 システム学 Department of Urban Environment Systems, Chiba Univer- sity, 1–33, Yayoi-cho, Inage-ku, Chiba-shi, 263–8522 Japan a) E-mail: [email protected] ける. NHA インピーダンス ,これま されている [1][4]NHA によって さを くして ダイポールアンテナ 較して られるこ ある [1].した がって,NHA する パラメータ するこ あり [2]されているアンテナ する いられているこ が多い. された NHA して, いた によ り,ある アンテナ について, アンテナ によるアンテナ について され, しい じるこ らかにされている [5].こ ,アンテナ アンテナ あるい して された みについて されている されておらず,そ メカニズム らか い. に,150 MHz されているよう 902 電子情報通信学会論文誌 B Vol. J84–B No. 5 pp. 902–911 2001 5

Antenna Close to the Human Abdomen at 150MHz …...Antenna Close to the Human Abdomen at 150MHz and Consideration of Efficiency Improvement Koichi OGAWA†a), Yoshio KOYANAGI††,

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Page 1: Antenna Close to the Human Abdomen at 150MHz …...Antenna Close to the Human Abdomen at 150MHz and Consideration of Efficiency Improvement Koichi OGAWA†a), Yoshio KOYANAGI††,

論 文

人体腹部に近接した 150 MHz帯ノーマルモードヘリカルアンテナの

実効放射効率の解析と効率改善に関する検討

小川 晃一†a) 小柳 芳雄†† 伊藤 公一†††

An Analysis of the Effective Radiation Efficiency of the Normal Mode Helical

Antenna Close to the Human Abdomen at 150MHz and Consideration of

Efficiency Improvement

Koichi OGAWA†a), Yoshio KOYANAGI††, and Koichi ITO†††

あらまし 本論文では,人体腹部に近接した 150 MHz 帯ノーマルモードヘリカルアンテナについて,有能電力に基づいた放射効率を新たに定義することによって,インピーダンス不整合及びアンテナ自身の抵抗による電力損失を考慮した取扱いをし,アンテナの長さやアンテナと人体の距離によって生じるアンテナの実用状態における実効的な放射効率の変化を解析的に求めた.更に,各部の損失電力を求めることによって放射効率低下をもたらしている要因分析を行い,効率低下のメカニズムを明らかにするとともに,その結果に基づいて人体近接時の放射効率改善の可能性について検討した.その結果,人体近傍における放射効率は −20 dB 以下になること,その主要な要因はインピーダンス不整合損失であること,人体近接時に常に共役整合の状態を保つことによって10 dB 以上の放射効率の改善が可能であることを示した.更にこれらのことを実験的に確認した.

キーワード ノーマルモードヘリカルアンテナ,人体効果,放射効率,有能電力,インピーダンス不整合

1. ま え が き

VHF 帯業務無線機では小形きょう体に装着された

モノポール形状のノーマルモードヘリカルアンテナ

(NHA:Normal Mode Helical Antenna)が広く用い

られている.業務無線では,図 1に示すように,無線

機の使用が業務の妨げにならないように,携帯電話な

どとは異なり,無線機本体は使用者のベルトに常に固

定され,本体と接続されたマイクとイヤホンによって

通話する.この場合,アンテナは人体の腹部に極近接

して使用されることになるので,アンテナ特性は人体

†松下電器産業(株)デバイス・エンジニアリング開発センター,門真市Device Engineering Development Center, Matsushita Elec-

tric Industrial Co., Ltd., 1006, Kadoma-shi, 571–8501 Japan††松下通信工業(株)パーソナルコミュニケーション(事),横浜市

Personal Communication Division, Matsushita Communi-

cation Industrial Co., Ltd., 4–3–1, Tsunashima-higashi,

Yokohama-shi, 223–8639 Japan†††千葉大学工学部都市環境システム学科,千葉市

Department of Urban Environment Systems, Chiba Univer-

sity, 1–33, Yayoi-cho, Inage-ku, Chiba-shi, 263–8522 Japan

a) E-mail: [email protected]

の影響を強く受ける.

自由空間中の NHAのインピーダンス及び放射特性

は,これまで詳細に報告されている [1]~[4].NHAの

特徴はその自己共振特性によって波長に比べて軸方向

長さを短くしても,同じ長さのダイポールアンテナと

比較して高い放射効率が得られることである [1].した

がって,NHAは自己共振する構造パラメータで設計

することが基本であり [2],市販されているアンテナも

自己共振する形状で用いられていることが多い.

一方,業務無線機に装着された NHAと人体の相互

影響に関して,実際の無線機を用いた実験的検討によ

り,ある典型的なアンテナと無線機の構成について,

人体とアンテナの位置関係の変化によるアンテナ特性

の変化について検討され,人体近接時には激しい利得

の劣化が生じることが明らかにされている [5].この場

合,アンテナの放射特性はアンテナ自身あるいは人体

への電磁波吸収の結果として観測された空間への放射

電磁波のみについて議論されているので,利得劣化の

要因分析がなされておらず,そのメカニズムは明らか

でない.特に,150MHz帯で実用化されているような

902 電子情報通信学会論文誌 B Vol. J84–B No. 5 pp. 902–911 2001 年 5 月

Page 2: Antenna Close to the Human Abdomen at 150MHz …...Antenna Close to the Human Abdomen at 150MHz and Consideration of Efficiency Improvement Koichi OGAWA†a), Yoshio KOYANAGI††,

論文/人体腹部に近接した 150 MHz帯ノーマルモードヘリカルアンテナの実効放射効率の解析と効率改善に関する検討

0.1 波長以下に短縮された NHAでは,アンテナ近傍

におけるリアクティブ電力が大きく,人体近接時にお

けるアンテナの入力インピーダンスの変化が激しいた

め,インピーダンス不整合による電力損失について正

しく評価する必要がある.また,このような小形アン

テナでは放射抵抗が小さくなるため,アンテナを構成

している金属線の高周波抵抗や整合回路の損失抵抗に

よる電力損失も考慮する必要がある.すなわち,NHA

の人体への電磁波吸収の問題を取り扱うためには,イ

ンピーダンス不整合損失やアンテナ自身で生じる抵抗

損失を考慮したうえで,それらの総和として観測され

る放射効率低下の問題を考察することが重要であると

考えられる.

そこで本論文では,人体腹部に近接した 150MHz

帯ノーマルモードヘリカルアンテナについて,有能電

力に基づいた放射効率を新たに定義することによって,

インピーダンス不整合及びアンテナ自身の抵抗による

電力損失を考慮した取扱いをし,アンテナの長さやア

ンテナと人体の距離によって生じるアンテナの実用状

態における特性の変化を解析的に求めている.まず,

図 1 業務用無線機の使用状況Fig. 1 Business portable radio under talking

condition.

2.ではアンテナ構成及び人体のモデル化について述べ

る.3.では有能電力に基づいた放射効率を定義し,こ

れにより人体に近接したアンテナに関してインピーダ

ンス不整合損失を含んだ取扱いが容易になることを説

明する.4.ではアンテナの長さや人体とアンテナの位

置関係と放射効率の関係,及び各部の損失電力を求め

ることによってその放射効率をもたらしている要因分

析を行い,効率低下のメカニズムを明らかにしている.

更に,5.では 4.の結果に基づいて人体近接時の放射

効率改善の可能性について検討するとともに,検討結

果を実験的に確認している.

2. アンテナ構成と人体のモデル化

図 2 に人体モデルに近接した NHA を示す.図 2

に示すように,図 1 の小形きょう体に装着されたモ

ノポール NHA をダイポール形状の NHA に置き換

え,U バランと整合回路(並列容量 C)を通して同

軸ケーブルによって給電された平衡動作のアンテナ

として解析する.したがって本論文では,きょう体の

影響は考慮しない.なお,実用されている 150MHz

帯業務無線端末用モノポール NHAにおいても,きょ

う体と NHA 間に接続された容量によって整合がと

られている.表 1 に評価した 3 種類のアンテナ形状

(ピッチ P,巻数 N,軸方向長さ L)を示す.巻直径

は 2R = 7.5mm,金属線の直径は 1mmである.こ

れらの形状は 150MHz 帯業務無線端末用として実用

されているモノポール NHAを参考に決定した.表 1

図 2 解析モデルFig. 2 Analytical model.

903

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電子情報通信学会論文誌 2001/5 Vol. J84–B No. 5

表 1 アンテナの形状Table 1 Helical structure.

のパラメータで片方のエレメントの巻線の長さは約

1/2 波長となって,4.1で述べるように NHAはほぼ

150MHzで自己共振する.

人体モデルは,図 2のように平均的 20代日本人男

性の体形 [6]を参考に長軸 28 cm短軸 20 cmの楕円柱

とし,高さは全身長に相当する 170 cmとした.NHA

は実際の無線機の使用状態を想定して縦置きとし,楕

円柱表面と距離 D,高さ 85 cm の位置(中点)に設

置した.人体はモーメント法を適用するため,楕円柱

を 11 個の楕円と 16 本の直線で構成されたワイヤグ

リッドで近似した [7].人体モデルのワイヤ上には人体

の損失性媒質を模擬するためにインピーダンスを装荷

した.人体は損失の大きな誘電体として取り扱うこと

ができ,表面インピーダンス Zs を次式から求めるこ

とができる.

Zs =

rjωµ

σ + jωε(1)

ここで,j =√−1,ω は角周波数,σ,ε,µ はそれぞ

れ人体の等価導電率,誘電率,透磁率であり,本論文

では様々な人体組織の平均値として,σ = 0.514 S/m,

εs = 42.1,µs = 1(εs,µs は比誘電率及び比透磁率)

とした [8].人体に電波を照射した場合,電流は式 (1)

のインピーダンス Zs を有する媒質中を表皮の深さに

集中して流れると考えられる.したがって,ワイヤ上

に装荷する負荷インピーダンス値は,表面インピーダ

ンスから展開関数の置かれている領域の代表値として

求めることができる [9].

3. 有能電力に基づく放射効率の理論式

図 3に人体に近接したNHA(図 2)の等価回路と損

失電力の関係を示す.等価回路は整合回路及びバラン

を含み,内部インピーダンス Zg の電源 Vg によって

励振されているものとする.バランは狭帯域近似とし

て変成比 1:4の理想トランスフォーマとした.NHA

のインピーダンスを Za,整合回路(並列容量 C)の

インピーダンスを Zc とすると,アンテナの入力端子

図 3 人体近接 NHA の等価回路と損失電力の関係Fig. 3 Equivalent circuit of the NHA close to the

human body and the dissipated power

relations.

a-a′ から見た入力インピーダンス Zin は次式で表さ

れる.

Zin =1

4

ZaZc

Za + Zc(2)

人体近接時にはアンテナと人体の相互影響による Za

の変化が式 (2)に従って Zin の変化として実際には観

測されることになる.

いま,自由空間における式 (2)の入力インピーダン

スを Zin とし,Zin が電源の内部インピーダンス Zg

と互いに共役整合しているものとすると

Zin = Z∗g (3)

が成り立つ.ここで,(∗) は複素共役を示す.この状態からアンテナが人体に近づくと,入力インピーダン

スは Z′in に変化する.この状況でアンテナに印加され

る入力電力 Pin は次式で表される.

Pin =1

2ReZ′

inI1I∗1

(4)

ここで,

I1 =Vg

Zg + Z′in

一方,この入力電力は電源 Vg から供給されるので次

式で表される.

Pin =1

2

|Vg |2Re(Z′in)

|Zg + Z′in|2

= Pav · S (5)

ここで,

Pav =|Vg|2

8Re(Zg),

S =4Re(Zg)Re(Z

′in)

|Zg + Z′in|2

≤ 1

904

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論文/人体腹部に近接した 150 MHz帯ノーマルモードヘリカルアンテナの実効放射効率の解析と効率改善に関する検討

Re(X) は X の実部を,Pav は電源の有能電力を表す.

S はアンテナへ供給される電力と電源の有能電力の比

を表す.したがって,共役整合の条件下(自由空間の

状態)では S = 1 である.ここで,有能電力に対する

放射効率 η を次式で定義する.

η =Pr

Pav=

Pav − Pt

Pav

Pt = Ph + Pa + Pc + Pm

9=; (6)

上式で Pr は空間への放射電力,Pt は損失電力の総

量,Ph は人体への吸収電力である.Pa はアンテナを

構成する金属線の高周波抵抗によって生じる損失電力,

Pc は並列容量 C の損失抵抗 rc によって生じる損失

電力,Pm はインピーダンス不整合による損失電力で

ある.なお,ここではバランは無損失としている.こ

れらの電力の関係は図 3のように描かれ,それぞれ次

式により計算される.

Ph =1

2

XRe(ZLh)|Ih|2 (7)

Pa =1

2

XRe(ZLa)|Ia|2 (8)

Pc =1

2rc|Ic|2 (9)

Pm = (1− S)Pav (10)

ここで,ZLh は表面インピーダンス(式 (1))から求

められるワイヤグリッド上の負荷インピーダンス [9],

Ih は負荷を流れる電流,Ia はヘリカル上の電流であ

る.ZLa はヘリカルを構成する金属線の表面インピー

ダンスに起因する損失抵抗であって次式で表される.

ZLa =1 + j

2πrσads∆ (11)

ds =

r2

ωµ0σa(12)

ここで,ds は表皮抵抗の厚み,σa は金属線の導電率

であり,本論文では σa = 5.7 × 107 S/m(銅)とし

た.∆ はヘリカル上の単位展開関数の長さである.

µ0 は真空中の透磁率で,µ0 = 4× 10−7 H/mである.

式 (9)の Ic は並列容量中の電流,rc は容量の等価直

列抵抗であって,容量の Q 値 (Qc)とは次式の関係が

ある.

rc =1

ωcQc(13)

通常,放射効率は全放射電力とアンテナに入力され

た正味の電力の比 Pr/Pin によって定義される [10].

一方,式 (6)で定義される放射効率は有能電力 Pav が

アンテナによって放射電力 Pr に変換される割合を表

している.この放射効率は回路理論において 2端子回

路網(例えば増幅器)の設計で用いられる変換電力利

得(transducer power gain)[11]に類似しており,イ

ンピーダンス不整合損失 Pm の効果を含んでいるので

使用状態における実効的な放射効率(すなわち,実効

放射効率;Effective Radiation Efficiency)を示して

おり,不整合損を含んだアンテナの実効性能を考察す

るのに有効である.

4. 解 析 結 果

4. 1 インピーダンス特性

図 4は表 1のアンテナタイプ 2の自由空間における

インピーダンス特性である.図には NHAの入力イン

ピーダンス Za 及びアンテナ系の入力インピーダンス

Zin(マッチング回路・バラン・NHAを含む)とともに

Za と Zc の並列インピーダンス Za//Zc も示す.NHA

の入力インピーダンス Za から NHAが 150MHz 付

近で自己共振していることがわかる.Za は 150MHz

においてコンダクタンスが 5mSの等コンダクタンス

円上にあり,並列容量 C (32 pF)によって Za//Zc が

200Ωの純抵抗に変換される.更に,Za//Zc は式 (2)

に従って,バランによって 1/4のアンテナ系の入力イ

ンピーダンス Zin に変換され,50Ωとなる.また,図

には Zin の測定値を示したが計算値とよく一致してい

ることがわかる.表 1のほかのアンテナタイプ 1及び

3 の自由空間中の放射抵抗(NHAの入力インピーダ

ンス Za の実部)Re(Za) はそれぞれ 3.8,12.9Ω で

あるが,バランと並列容量 C により,図 4で示した

同様の整合方法によって,アンテナ系の入力インピー

図 4 自由空間におけるインピーダンス特性Fig. 4 Impedance characteristics in free space.

905

Page 5: Antenna Close to the Human Abdomen at 150MHz …...Antenna Close to the Human Abdomen at 150MHz and Consideration of Efficiency Improvement Koichi OGAWA†a), Yoshio KOYANAGI††,

電子情報通信学会論文誌 2001/5 Vol. J84–B No. 5

図 5 人体近接時のインピーダンス特性Fig. 5 Impedance characteristics close to the human

body.

ダンス Zin を 50Ωにすることができる.なお,上記

の例では並列容量 C の Q 値はすべて Qc = 200 と

した.

図 5はアンテナタイプ 2の人体近接時の人体–アン

テナ間距離 D とインピーダンスの関係である.NHA

の入力インピーダンス Za の計算値( 印)から人体

に近接すると急激に誘導性リアクタンスが大きくなる

様子がわかる.一方,人体に近接したダイポールアン

テナの場合では,人体–アンテナ間距離が小さくなる

と給電点インピーダンスは容量性になることが報告さ

れている [9].このように,アンテナ形式によって人体

との相互影響が異なることは,異なった形式のアンテ

ナを用いることで,アンテナに接続されている高周波

部品(例えば電力増幅器)に与える人体近接時におけ

る負荷インピーダンスの変化が違ってくることを意味

しており,回路設計上考慮すべき問題である.

図 5の印は並列容量 C とバランを通して見たア

ンテナ系の入力インピーダンス Zin(式 (2))である.

NHA の誘導性インピーダンス Za( 印)がアンテ

ナ系の入力端子からは,容量 C とバランによって容

量性インピーダンス Zin として観測されている.図中

の測定値(印)は人体(男性,30歳,身長 171 cm,

体重 75 kg)の腹部にアンテナを近接させ,距離 D を

変化させたときの測定値で,計算値とおおむね一致し

ている.

4. 2 放 射 特 性

人体近接時の放射特性を調べるためには,まず自由

空間中における特性を把握しておくことが人体による

特性劣化の問題を定量的に議論するために重要である.

特に,本論文で対象にしているような電気的な小形ア

図 6 自由空間における整合回路の Q と損失電力の関係Fig. 6 Dissipated powers vs. Qc in free space.

ンテナでは,アンテナを構成している導体の抵抗損や

整合回路の Q 値に起因する損失に対する考察が重要

である.図 6は,自由空間中における並列容量 C の

Q 値と損失電力の関係である.アンテナの軸長が短く

なると導体損 Pa が大きくなり,軸長 L が 59mmの

アンテナタイプ 1 では 40%近くの電力がアンテナ自

身によって消費される.容量 C による損失は Qc が

100以下で現れるようになる.しかし,その寄与は小

さく Qc = 50 としても損失電力は 2%以下である.こ

れは NHAでは 4.1で述べたように,自己共振特性を

有するため整合に要するリアクタンスが小さく,容量

C を流れる電流が小さくなるためである.この結果は

文献 [1] の検討結果と一致している.本論文で考察し

ている周波数帯における容量の Q 値は通常 200以上

得られるから,図 6の結果から,対象としている形状

の NHAでは整合回路による損失は無視することがで

きることがわかった.

次に人体近接時の特性を調べた.図 7はアンテナタ

イプ 2の人体–アンテナ間距離 D による水平面指向性

(Eθ 成分)の変化である.測定値はインピーダンス測

定と同じ被験者によるもので計算値とよく一致してい

る.図中には自由空間中の指向性を破線で示している.

なお,自由空間における垂直面指向性はダイポールア

ンテナのような 8の字形である.図 7より,自由空間

では無指向性であるが,人体に近接することによって

人体前方(X 方向)に強く放射される様子がわかる.

特に,D = 20 cmでは X 方向に指向性利得が得られ

ている.しかし,D = 10 cmでは指向性が全体に縮ん

でおり,放射効率の低下が予想される.

906

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論文/人体腹部に近接した 150 MHz帯ノーマルモードヘリカルアンテナの実効放射効率の解析と効率改善に関する検討

図 7 人体近接時と自由空間中の放射特性(Qc = 200)Fig. 7 Radiation patterns in free space and close to

the human body (Qc = 200).

4. 3 実効放射効率及び損失電力

図 8に式 (6)によって計算した実効放射効率と距離

D の関係を示す.人体に近接すると極端に効率が劣

化することがわかる.人体近傍(D = 2 cm)におけ

る実効放射効率は,800MHz帯携帯電話用ホイップア

ンテナの実効放射効率(約 −3 dB)[12]と比較すると,

20 dB以上小さな値である.また,電気的に 800MHz

の D = 2 cmと同じ距離に相当する D = 10 cmで比

較しても,ホイップアンテナよりも 3~7 dB低い値で

ある.このように人体近接時の急激な実効放射効率低

下のメカニズムを考察するため,損失電力の内訳を求

めた.

図 9 はアンテナ 1~3 における人体への吸収電力

Ph,アンテナの導体損による損失電力 Pa,インピー

ダンス不整合損失 Pm,及び損失電力の総量 Pt であ

る.図 9 の電力はすべて有能電力 Pav によって規格

化した値である.なお,並列容量 C による損失 Pc は

1%以下であるので図中にはプロットしていない.い

ずれのアンテナも,D < 10 cm の人体近傍では損失

電力の総量 Pt に対する不整合損失 Pm の占める割

合が人体への吸収電力 Ph 及びアンテナの導体損に

よる損失電力 Pa と比較して極めて大きく,Pm が電

力損失の主要な要因になっていることがわかる.特に

D = 2 cm付近のアンテナが人体に極近接した状態で

は Pm が 95%以上となり,損失電力の総量 Pt のほと

んどは不整合損失 Pm によるものとみなせるようにな

る.この結果,人体近接時の Pt に対する Ph の寄与

は小さくなる.図 9で,アンテナが人体に近づいてい

るにもかかわらず Ph が減少しているのは,このよう

図 8 実効放射効率と距離 D

Fig. 8 Effective radiation efficiency vs. distance D.

に D < 10 cmでは Pm の増加によって損失電力の総

量 Pt に対する Ph の寄与分が相対的に薄まるからで

ある.以上の考察から,図 8の人体近接時における実

効放射効率の急激な低下は不整合損失の著しい増加に

よるものであることがわかった.

しかし図 8から,D = 2 cmにおいてアンテナ 3で

はアンテナ 1と比較して 10 dB以上の効率改善が見ら

れる.これは,図 9からわかるように,D = 2 cmに

おける不整合損失 Pm の値がアンテナ 3ではアンテナ

1あるいは 2と比較して小さいからである.すなわち,

アンテナ 3では人体近接時のインピーダンス変化が軸

方向長さ L の短いアンテナ 1 あるいは 2 と比較して

小さく,このことが不整合損失の緩和をまねき,効率

改善につながる.

一方,D > 10 cmの領域では,損失電力の総量 Pt

に対する不整合損失 Pm の占める割合が急速に減少す

る.その結果,人体への吸収電力 Ph 及びアンテナの

導体損による損失電力 Pa の影響が強くなる.しかし

Ph は D の増加とともに小さくなるから,上記した

D < 10 cmにおける振舞い(Pm の増加による Ph 寄

与分の減少)と考え合わせると,Ph は図 9に示したよ

うに D = 10~20 cmで最大値を示すようになる.ま

た D > 10 cmでは,軸長が短いアンテナ 1(図 9 (a))

で Pa の影響が著しいことがわかる.特に D = 20 cm

付近では Pa の値は図 6に示した自由空間中の値に近

くなっており,このことからアンテナが人体から遠く

離れた状態では,全損失はアンテナの導体損によって

ほぼ決まることが理解される.

以上のことから,人体に近接したヘリカルアンテナ

に関し,人体との距離による実効放射効率の低下量,

907

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電子情報通信学会論文誌 2001/5 Vol. J84–B No. 5

図 9 損失電力と距離 D(Qc = 200)Fig. 9 Dissipated powers vs. distance D (Qc = 200).

並びにアンテナ長によるその改善量が定量的に把握さ

れたとともに,放射効率低下のメカニズムが明らかに

なった.

4. 4 電 流 分 布

4.1~4.3で述べたアンテナ特性の挙動はアンテナと

人体の相互影響によるものである.900MHz帯携帯電

話用アンテナでは,アンテナと人体の相互影響によっ

て生じる人体内の電磁界分布はアンテナに対向した人

体の局所部分に集中していることが知られている [13].

しかし,本論文で扱っている 150MHz帯では波長が

図 10 電流分布(人体と ANT3)Fig. 10 Current distributions (Human body and

ANT3).

長いことから,900MHz 帯と比較して人体の広範囲

にわたって電磁界が分布している可能性がある.今後,

より人体の影響が小さいアンテナを開発するためには,

アンテナと人体の空間的な電磁結合の状況を把握して

おくことが重要である.また,人体上の電流分布の広

がりに対する検討は,人体全身に等価な実験用ファン

トムを製作する際,ファントムに必要な高さを考察す

る場合の基礎的なデータとなる [14].そこで人体表面

の電流分布を調べた.

図 10はアンテナ 3において D = 5 cm及び 10 cm

としたときに,アンテナ上と人体に誘起される電流を

示したものである.アンテナ 3を選んだ理由は,アン

テナ 3が表 1 のなかで最も軸方向長さ L が長く,最

も広範囲に電流が分布することが予想されるからであ

る.なお,アンテナ上の電流は巻きをほどいたときの

分布を示した(表示は軸方向長さ L にスケーリング

されている).また図 10 では,電流分布の空間的な

広がりを求めることが目的であるので,人体の電流は

NHA上の電流の最大値で規格化し,10倍に拡大して

示した.図 10より,いずれの距離 D においても人体

表面の電流はほぼ NHAに対向した部分に集中して分

布しており人体の上下部分では急激に減衰することが

わかる.これより,150MHz 帯においても 900MHz

帯と同様にアンテナと人体の電磁結合はアンテナに対

向した人体の局所に集中していることがわかった.

908

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論文/人体腹部に近接した 150 MHz帯ノーマルモードヘリカルアンテナの実効放射効率の解析と効率改善に関する検討

5. インピーダンス整合による効率改善効果

4.3で,人体近傍ではインピーダンス不整合による

損失が支配的であることを述べた.そこで,人体に

近接したときに常に式 (3)の共役整合の状態を保った

とき(すなわち不整合損失を取り除いたとき)の効

率改善効果について検討した.図 11は不整合損失を

含まないときの実効放射効率の計算値である.不整

合損失を含んだ場合(図 8)と比較して,D < 10 cm

の領域において効率は大幅に改善されている.例え

ば,D = 5 cmのとき,人体近接時で共役整合とする

(図 11)ことによってアンテナ 1,2 及び 3における

実効放射効率はそれぞれ 12,10.5 dB及び 8 dBだけ

自由空間で共役整合としたアンテナ(図 8)よりも大

きくなることがわかる.図 12は人体近接共役整合時

の損失電力の内訳である.図 12から,不整合損失を

取り除くことによっていずれのアンテナも D < 10 cm

の領域では人体への吸収電力 Ph が支配的になること

がわかる.一方,D > 10 cmの領域では人体への吸収

電力が減少し,相対的にアンテナの導体損による損失

電力 Pa が目立つようになり,特に軸長が短いアンテ

ナ 1及び 2では Pa が Ph よりも大きくなっている.

以上のことを確認するため実験を行った.実験は

図 13に示すように,電波暗室内で被験者(男性,30

歳,身長 171 cm,体重 75 kg)にアンテナ 1~3 を近

接させ,自由空間と人体近接時の 2通りの整合状態に

おける放射特性を測定することにより行った.人体近

接時において整合状態にするのは,4.1で述べた自由

空間における方法と同様にして行うことができる.す

なわち,表 1 のアンテナ形状においてピッチ P はそ

図 11 実効放射効率と距離 D(共役整合時)Fig. 11 Effective radiation efficiency vs. distance D

in case of conjugate match.

のままにして,軸方向長さ L をわずかに短くする(巻

数 N を少なくする)ことによって,人体近接時におい

て 150MHzにおける NHAの入力インピーダンス Za

をコンダクタンスが 5mS の等コンダクタンス円上に

くるようにする.次に,並列容量 C によって Za//Zc

を 200Ωの純抵抗に変換する.すると,バランによっ

てアンテナ系の入力インピーダンス Zin は 50Ω に

変換される.例えば,アンテナ 2 では人体–アンテナ

間距離 D = 5 cmにおいて,軸方向長さ L = 91mm

図 12 損失電力と距離 D(人体近接共役整合時)Fig. 12 Dissipated powers vs. distance D in case of

conjugate match (Qc = 200)

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電子情報通信学会論文誌 2001/5 Vol. J84–B No. 5

図 13 人体近接時の測定の様子Fig. 13 Photograph of measurement.

図 14 整合状態による水平面放射指向性変化の測定結果(D = 5 cm,ANT1)

Fig. 14 Measured results for the radiation pattern

changes in the horizontal plane due to match-

ing condition (D = 5 cm, ANT1).

(N = 48),並列容量 C = 28 pFの条件で人体近接時

に整合状態にすることができる.なお,同軸ケーブル

の影響を避けるためアンテナには小形発振器を接続

した.その際,発振器の出力にはアンテナの入力イン

ピーダンスの変化による発振器の出力電力の変動を抑

圧するため,SMAコネクタタイプの 10 dBの固定減

衰器を装着した.

図 14にアンテナ 1において D = 5 cmとしたとき

の水平面(X-Y 面)放射指向性の整合状態による変化

を示す.整合状態によって指向性の形に変化はないが,

動作利得が大幅に向上することがわかる.表 2はアン

表 2 人体近接時にインピーダンス整合させたときの水平面利得改善効果の測定結果

Table 2 Measured gain enhancement in the horizon-

tal plane in case of conjugate match (D =

5 cm).

テナ 1~3での整合状態による水平面における最大利

得の比較を示したものである.最大利得は図 14で示

したように人体の正面方向(X 方向)で生じる.表 2

から,人体近接時に整合させることによって 10 dB以

上の大幅な利得の向上が可能であること,その効果は

軸方向長さの短いアンテナほど顕著であることがわか

る.この結果は,4.の解析結果と一致しており,これ

により本論文の解析結果の妥当性が示された.

6. む す び

本論文では,人体腹部に近接した 150MHz帯ノー

マルモードヘリカルアンテナについて,有能電力に基

づいた放射効率(実効放射効率)を新たに定義するこ

とによって,インピーダンス不整合及びアンテナ自身

の抵抗による電力損失を考慮した取扱いをし,アンテ

ナの長さやアンテナと人体の距離によって生じるアン

テナの実用状態における性能の変化を解析的に求めた.

更に,各部の損失電力を求めることによって放射効率

をもたらしている要因分析を行い,効率低下のメカニ

ズムを明らかにするとともに,その結果に基づいて人

体近接時の放射効率改善の可能性について検討した.

以下,本論文で得られた結果をまとめて示す.

( 1) 人体に近接すると極端に効率が劣化し,人体

近傍(D = 2 cm)における実効放射効率は 800MHz

帯携帯電話用ホイップアンテナの実効放射効率(約

−3 dB)と比較すると 20 dB以上小さな値になる.

( 2) D < 10 cm の人体近傍では損失電力の総量

Pt に対する不整合損失 Pm の占める割合が人体への

吸収電力 Ph と比較して極めて大きく,Pm が電力損

失の主要な要因になっている.

( 3) 軸長 L が短いアンテナではその傾向が更に

助長されている.

( 4) しかし,D > 10 cmの領域では導体損の割合

が大きくなり,軸長 L が短いアンテナでは人体の吸収

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論文/人体腹部に近接した 150 MHz帯ノーマルモードヘリカルアンテナの実効放射効率の解析と効率改善に関する検討

電力よりも導体損が主要な要因になっている.

( 5) 人体に近接したときに常に共役整合の状態を

保つことによって 10 dB以上の放射効率の改善が可能

である.

謝辞 本研究をサポートして頂きました松下通信工

業(株)コミュニケーションシステム(事)佐々木実

知夫部長,並びに長尾和男部長に感謝致します.また,

本研究に関して有益は意見や助言を頂きました千葉大

学工学部吉村博幸助教授に感謝致します.文 献

[1] Y. Hiroi and K. Fujimoto, “Practical usefulness of

normal mode helical antenna,” IEEE AP-S Interna-

tional Symposium, pp.238–241, 1976.

[2] 稲垣直樹,田村克彦,藤本京平,“垂直姿態ヘリカルアンテナの共振長に関する理論的検討,” 名工大学報,vol.23,

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[3] 長 敬三,山田吉英,“ノーマルモードヘリカルアンテナの相互インピーダンス解析,” 信学技報,AP89-1, pp.1–8,

April 1989.

[4] J.D. Kraus, Antennas, McGraw-Hill Book Company,

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[5] C. Hill and T. Kneisel, “Portable radio antenna per-

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[6] 工学技術院 生命工学工業技術研究所,“設計のための人体寸法データ集,” 生命工学工業技術研研報,1994.

[7] 小柳芳雄,小川晃一,“人体近傍におかれたダイポールアンテナの解析,” 1996 信学秋季全大,no.B-80, Sept. 1996.

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SAR and SAR distributions in man exposed to 450-

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[9] 小川晃一,松吉俊満,門間健志,“人体頭部に近接したダイポールアンテナの多重波中実効利得特性に与える肩の影響に関する基礎的検討,” 信学論(B),vol.J82-B, no.10,

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[13] 岡野好伸,長谷篤志,伊藤公一,“脳等価固体ファントムを用いたサーモグラフィ法による SAR 測定法に関する基礎検討,” 信学論(B),vol.J82-B, no.1, pp.167–176, Jan.

1999.

[14] 小柳芳雄,朝比奈敏寛,小川晃一,伊藤公一,“150 MHz

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2001.

(平成 12 年 9 月 6 日受付,12 月 4 日再受付)

小川 晃一 (正員)

昭 54 静岡大・工・電気卒.昭 56 同大大学院修士課程了.同年松下電器産業(株)入社.以来,研究開発部門において,マイクロ波・ミリ波機器,衛星通信無線システム,移動体通信用アンテナ・高周波部品の研究に従事.現在,松下電器産業(株)デ

バイス・エンジニアリング開発センター通信デバイスグループチームリーダ.工博(東工大).平 2 オーム技術賞受賞.IEEE

会員.

小柳 芳雄 (正員)

平 1 電通大・電気通信・応用電子卒.同年松下通信工業(株)入社.以来,ディジタル携帯電話を中心とした移動無線通信機用小形アンテナの研究開発に従事.現在,パーソナルコミュニケーション事業部主任技師.千葉大大学院博士後期課程在学中.

伊藤 公一 (正員)

昭 49 千葉大・工・電子卒.昭 51 同大大学院修士課程了.同年東工大・工・助手.昭54 千葉大・工・助手,平 1 同助教授,平 9

同教授となり,現在に至る.主として,プリントアンテナ,小形アンテナ,ハイパーサーミア用アプリケータ等アンテナの医療

応用,人体と電磁波との相互影響の研究に従事.工博.IEEE,AAAS,映像情報メディア学会,日本ハイパーサーミア学会各会員.

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