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BEPS最終報告書後の動向 2017年12月21日 経団連経済基盤本部

BEPS最終報告書後の動向③平衡税(Equalisation Levy)の導入 ・2020年に報告書をまとめることに(その後、2018年に中間報告を作成することとされた)

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BEPS最終報告書後の動向

2017年12月21日

経団連経済基盤本部

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1

Post-BEPSの大枠

年 G20議長国 BEPS勧告の実施 BEPS残された課題 国内法制化等

2015(H27)

トルコ BEPS最終報告書移転価格文書化

2016(H28)

中国 包摂的枠組会合(京都)

MAPピアレビュー開始

利益分割法/PE帰属利得 DD

CFC税制

2017(H29)

ドイツ CbCRピアレビュー開始税の安定性レポート多国間協定(MLI)署名式2017年版OECD移転価格ガイドライン2017年版OECDモデル租税条約公表

評価困難な無形資産 DD利益分割法/PE帰属利得改訂DD

電子経済に関する意見募集/公聴会PEの定義/CFC税制

2018(H30)

アルゼンチン MLI発効ICAPパイロットプログラム始動CbCRの最初の交換

電子経済に関する中間報告MLI批准?所得相応/利子/開示制度?

2019(H31)

日本 日本の条約につきMLI発効?

2020 サウジアラビア CbCR等に関するBEPSレビュー 電子経済に関する最終報告書

Minimum StandardAction 5: Harmful Tax PracticeAction 6: Treaty AbuseAction 13: CbCRAction 14: Dispute Resolution

Update of Existing Standards Actions 8-10: Transfer PricingAction 7: PE recognition

Common ApproachAction 2 : HybridsAction 4: Interest Limitation

Best PracticeAction 3: CFC ruleAction 12: MDR

Timeline

BEPS Final Reports

Action 1: Digital Economy Action 15: MLI

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包摂的枠組 Inclusive Framework on BEPS

OECD加盟国 OECD非加盟国

【従来からBEPSプロジェクトに参加(計35)】

(G20)豪州 カナダ フランス ドイツ イタリア 日本英国 米国 韓国 メキシコ トルコ

(G20以外)ニュージーランド ノルウェー イスラエルベルギー フィンランド オーストリア スペインギリシャ チェコ ポーランド エストニア スイスチリ アイスランド オランダ ルクセンブルクスウェーデン デンマーク ポルトガルアイルランド ハンガリー スロヴァキアスロベニア ラトビア

【従来からBEPSプロジェクトに参加(計11)】

(G20)アルゼンチン インド インドネシア サウジアラビア 南ア ブラジル 中国 ロシア

(OECD加盟申請中)コロンビア、コスタリカ、リトアニア

【京都会合以降の参加(64カ国)】

ベナン ブルガリア カメルーン クロアチア コンゴ民主共和国 ジョージア ハイチマン島 ケニア リヒテンシュタイン モナコ パキスタン パラグアイ サンマリノ

シエラレオネ スリランカ ブルネイ ブルキナファソ コンゴ キュラソー エジプトガボン ガーンジー 香港 ジャージー リベリア マルタ ナイジェリアパプアニューギニア ルーマニア セネガル シンガポール ウルグアイ アンゴラジャマイカ セーシェル アンドラ コートジボワール マカオ マレーシア パナマペルー タイ ベトナム バルバドス、ベリーズ、バミューダ、ボツワナ、英領バージンアイランド、ケイマン諸島、ジブチ、カザフスタン、モーリシャスモンセラット、タークス&カイコス諸島、ウクライナ、オマーン、モルジブ、カタール、セントクリストファーネービス、チュニジア、トリニダード・トバゴ、バハマ、ザンビア

○ BEPSプロジェクトの当初参加国はOECD加盟国(加盟申請中の国を含む)+G20で46○ 包摂的枠組により2017年12月21日現在、参加国・地域は110(2017年12月14日現在)

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3

4

11

43

2014 2015 2016 2017

経団連のBEPSプロジェクトへの関与(棒グラフは意見書本数)

BEPSプロジェクト ポストBEPS

1 2 31 2 3 4 5

OECD-経団連会議(東京)

OECD公聴会(パリ)

移転価

格税制

8

PE課

税 4

租税条

約 2

利子税

制 2

その他

6

意見書22本の内訳 公聴会6回の内訳(いずれも移転価格税制)

(参考)○ 移転価格税制(8)に関する意見書の内訳

PS法(利益分割法):3 所得相応性基準:2リスク・資本:1 文書化:1 費用分担取極:1

○ PE課税(4)に関する意見書の内訳PEの定義:2 PE帰属利得:2

6

移転価格

文書化, 3,

50%

移転価格

税制, 3,

50%

経団連のこれまでの取組み

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多国間協定(MLI) マッチングの情況

MLIの発効には、5カ国の批准の寄託が必要金メダリスト:オーストリア、銀メダリスト:マン島、銅メダリスト:ポーラド?4位、5位…

(出所)OECD

○ 全ての対象条約にPPT(主要目的テスト) ○ PEは人気ない? ○ 仲裁は道半ば

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紛争解決メカニズムの効率化

○ BEPS最終報告書でミニマム・スタンダード及びベストプラクティスを勧告

<ミニマムスタンダードの例> ① 平均24ヵ月以内で相互協議事案の解決を図ることを目標化

② 一定の場合に事前確認合意を過年度へ遡及適用することを認める

③ 相互協議の申立ての際に納税者が提出すべき情報及び文書を特定 等

<ベストプラクティスの例> 租税条約の中に対応的調整に関する条項を入れる 等

○ ミニマム・スタンダードついては実施状況をモニタリング

○ 仲裁実施はミニマムスタンダードに含まれず。ただし多国間協定で規定案が提示され、26ヵ国がオプト・イン(日欧の各国の他、シンガポール、フィジー、モーリシャス含む)

(出所)OECD

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移転価格文書化

Tax Authority

Ultimate Parent Company of MNE Group

Tax Authority

Local Subsidiary

CbCR

MF

State A State B

LF LF

〔国別報告事項(CbCR)、事業概況報告事項(MF)〕•平成28年度より導入。3月決算の場合、28年度分のCbCRとMFを平成30年3月31日までに税務署に提供•CbCRは条約方式により各国と交換(平成30年9月までに最初の交換)。MCAA参加は67カ国(米国は不参加)•CbCRのピアレビュー開始。2017年~2019年にかけて段階的に実施

2017年:主として国内法上の措置に関するレビュー →2018年6月までにレポート承認2018年:主として実施状況(適切な利用、機密情報の保護等)のレビュー →2019年6月までにレポート承認2019年:全ての項目について、実施状況をレビュー →2020年6月までにレポート承認2020年:CbCRに関し全体的な見直し

•CbCRに関連し、ICAPのパイロット・プログラムが始動(2018年~)

〔独立企業間価格の算定に必要と認められる書類(LF)〕•平成29年4月1日以後開始事業年度から適用。•同時文書化を義務付け(ただし重要性基準あり)。一定の期日までに文書不提出の場合、推定課税

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ICAP: International Compliance Assurance Programme

MNE compliance frameworks

BEPS Action 14

Benefit to low risk MNEs

International collaboration

forums

BEPS Action 13

多国間の協力的なリスク評価及び保証のための自発的プログラム

パイロット・プログラムの当初参加7ヵ国に日本も加わり、現在8ヵ国→豪州、カナダ、イタリア、オランダ、スペイン、英国、米国、日本

(注)フランスはオブザーバ

(出所)OECD

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電子経済○ BEPS最終報告書・法人課税では特段の勧告なし。ただし以下のオプションが検討された① Significant Economic Presenceに基づく課税② 電子商取引に対する源泉徴収③ 平衡税 (Equalisation Levy)の導入・2020年に報告書をまとめることに(その後、2018年に中間報告を作成することとされた)

○ OECD電子経済タスクフォースでの議論・2017年9月にはステークホルダーに対する意見募集、11月に公聴会

○ 2018年中間報告の方向性 (出所:OECD)

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利子控除制限に関するBEPS勧告

すべての純支払利子

損金不算入額

損金算入限度額

EBITDAの10~30%を超える額は、過大支払利子として損金算入を認めない

EBITDAの10~30%

課税所得

追加の損金算入

損金算入限度額

【グループ比率ルール】【固定比率ルール】

損金不算入額

固定比率ルールによって損金不算入額が生じたとしても、EBITDA×グループ比率(グループ全体の第三者への純支払利子/グループ全体のEBITDA)までは追加的な損金算入が可能。

グループ全体の第三者への純支払利子については、10%のupliftが可能

グループ比率ルールはオプションであり、採用が必須とされているわけではない。

減価償却費

国内関連者

国外関連者

国内非関連者

国外非関連者

(参考)日本の過大支払利子税制(1) 固定比率:調整所得金額(EBITDA)の50%(2) 制限対象利子:実質的に国外関連者向けの純支払利子(3) EBITDA:免税配当(国内・海外)が含まれる(4) グループ比率ルール:なし

EBITDA

損金算入

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過大支払利子税制とBEPS勧告(固定比率ルール)の相違

国外関連者への純支払利子

【過大支払利子税制】調整所得金額

損金算入限度額

調整所得金額の50%

課税所得

減価償却費

受取配当(国内・海外)

益金不算入額

純支払利子

【固定比率ルール】EBITDA

課税所得

減価償却費

EBITDAの10~30%

損金不算入 損金不算入

国内関連者

国外関連者

国内非関連者

国外非関連者

国内関連者

国外関連者

国内非関連者

国外非関連者

②固定比率が異なる

③EBITDAの範囲が異なる

損金不算入額の増大

①損金不算入となる利子の範囲が拡大する。対国内、対非関連者も対象に。一方、EBITDAは、その分増えている

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米国税制改革(未定稿)

米国の現行制度両院協議会案

(2017年12月15日)(参考)

日本の制度 FY30

連邦法人税率(法人実効税率)

35%(40.75%:カリフォルニア州)

21% (27.98%:カリフォルニア州)*2018.1以降開始事業年度~▲1兆3485億ドル

法人税率:23.2%(法人実効税率:29.74%)

減価償却 普通償却+特別償却即時償却*2017.9.28以降取得の一定資産。2023以降、毎年20%ずつ償却率減少▲863億ドル

普通償却+特別償却

利子税制損金算入可

(但しEarnings Stripping Rule等あり)調整所得金額の30%を超える純支払利子は損金不算入+2,534億ドル

損金算入可(但し過大支払利子税制等あり)

欠損金繰越20年、所得制限なし、

繰戻還付あり繰越無期限、所得制限80%、繰戻還付原則廃止+2,011億ドル

繰越10年、所得制限50%、大法人繰戻還付なし

租税特別措置 いろいろあり研究開発税制は維持、その他は廃止・縮減(例:+980億ドル…国内生産控除の廃止)

いろいろあり(研究開発、生産性革命…)

国際課税原則外国子会社配当

ワールド・ワイド課税課税+外国税額控除

テリトリアル課税100%益金不算入(持分割合10%以上株式)▲2,236億ドル

テリトリアル課税95%益金不算入

海外留保利益課税なし

(但しCFC税制の発動余地あり)非流動資産に8%、流動資産に15.5%の一回課税、8年間の分割払可+3,388億ドル

課税なし(但しCFC税制の発動余地あり)

税源浸食防止措置 CFC税制等あり軽課税グローバル無形資産所得(GILTI)の合算 +1,124億ドル国外由来無形資産所得(FDII)に関する控除 ▲638億ドル税源浸食濫用防止税(BEAT) +1,496億ドル

CFC税制等あり

○改正増減収(2018~2027年の10年間の金額)は以下の通り

税制改革全体: ▲1兆4,560億ドル (企業税制:▲6,538億ドル、個人税制:▲1兆1,266億ドル、国際課税:+3,244億ドル)

○利子控除制限

グループ比率ルール(的なもの)は採用見送り。損金不算入額は無期限繰越(日本は7年)。調整所得金額は2018~2021年はEBITDA、

2022年以降はEBITで計算。BEPS対応のようにも見えるがむしろ財源確保策か(企業税制に分類され、国際課税には分類されていない)

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移転価格税制

章 内容 ○改訂内容

1 独立企業原則 ○一部改訂(セクションD 独立企業原則の適用のための指針)・実際の取引の正確な描写(契約を実際の行動で検証)・6つのstepでリスク分析、その際、リスクの支配、リスク引受のための財務能力の検証・商業合理性テストにより例外的に取引を否認(non-recognition)・ロケーションセービング、集合労働力、グループ・シナジーの取扱い 等

2 移転価格算定方法 ○一部改訂(コモディティ取引はCUP(公示価格)で処理)● 取引単位利益分割法(PS法)の改訂ガイダンス

3 比較可能性分析 -

4 紛争の回避・解決 -

5 文書化 ○全面改訂(マスター・ファイル、ローカル・ファイル、国別報告事項)

6 無形資産 ○全面改訂・無形資産の定義・無形資産に関連するリターンの帰属につき改訂第1章Dの分析枠組みを援用(DEMPE)・DCFの容認・評価困難な無形資産●評価困難な無形資産(所得相応性基準)に関する実施ガイダンス

7 IGS ○全面改訂(低付加価値IGSにつき簡素化された計算アプローチ)

8 CCA ○全面改訂(貢献を(特に既存無形資産では)費用ではなく価値で測定)

9 事業再編

●金融取引に関する新章検討?

○ BEPS最終報告書(行動8~10及び13)を踏まえ、移転価格ガイドラインが改訂されている。

● 残された課題について継続議論中

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所得相応性基準

○ 評価困難な無形資産の定義・特徴、所得相応性基準の免除要件 (改定移転価格ガイドライン第6章)

6.189 評価困難な無形資産(HTVI)とは、関連者間での移転の際に、①十分に信頼できるコンパラが存在せず、②取引時点で当該移転無形資産から得られる将来キャッシュフロー又は所得に関する予測、又は当該無形資産の評価の際に使用される前提が極めて不確かであり、移転時に当該無形資産の最終的な成功レベルを予測することが困難な場合における無形資産(無形資産に係る権利を含む)をカバーする用語である。

6.190 HTVIの移転又は使用を伴う取引は以下に掲げるうち一以上の特徴を示すかもしれない。・移転時においてごく部分的にしか開発されていない無形資産・取引後数年経つまでは商業利用が予期されない無形資産・それ自体はHTVIでないがHTVIの定義に該当する他の無形資産の開発・改善と一体である無形資産・移転時においてその利用が新規(novel)であることが予期される無形資産。類似無形資産の開発・活用に係る記録の不在のため予測が極めて不確かとなる・関連者に一括払いで譲渡されたHTVIの定義に該当する無形資産・CCA又は類似の取決めと関連して使用される又はそれらのもとで開発される無形資産

6.193 以下に掲げる要件のうち少なくとも1つを満たす場合、所得相応性基準は適用されない。(1) 納税者が以下の①及び②を提供する場合① 価格取決めの決定のため移転時に使用した事前の予測(価格決定の計算の際にリスクをどのように考慮したかという点(例:確率加重平均)及び合理的に予見可能な事象その他のリスクに関する考慮の適切性を含む)及び、その発生可能性についての詳細

② 財務上の予測と実際の結果の重大な乖離がa) 取引時点では関連者が予測することは不可能であった価格決定後に生じた予見できない進展や出来事によるものであること、又はb) 予見可能な結果の発生確率が実現し、その確率が取引時点で重大な過大評価も過少評価もされなかったことについての信頼に足る証拠

(2) HTVIの移転がバイ又はマルチの事前確認(APA)の対象である場合(3) (1)②における財務上の予測と実際の結果の大きな乖離が取引時点の価格の20%以下である場合(4) 当該無形資産が非関連者収益を初めて生み出してから、(3)の要件を満たしたまま5年間の商業期間が経過した場合

取引の時点で評価困難な一定の無形資産については、予測便益(ex-ante)と実際の利益(ex-post)とが

一定以上乖離した場合、 実現値に基づいて独立企業間価格を評価することが可能

Page 15: BEPS最終報告書後の動向③平衡税(Equalisation Levy)の導入 ・2020年に報告書をまとめることに(その後、2018年に中間報告を作成することとされた)

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所得相応性基準の発動例

Company A Company S

前臨床試験

臨床試験Phase Ⅰ

臨床試験Phase Ⅱ

医薬化合物特許権

臨床試験Phase Ⅲ

譲渡価格700第0年度に一括払い

* Sales would not exceed 1,000 a year

【予測】

Year 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 …

Sales a b

【結果】調査対象期間

調査

第0年度の譲渡価格一括払い700

第0年度の譲渡価格一括払い 1,000

300増額

Year 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 … NPV

Sales a b c d … z

Income/CF a’ b’ c’ d’ … z’

商業化

商業化

【所得相応性基準DD要旨】○時効ルールに関する問題提起(ただし具体的な勧告はなし)○ 発動を前提に3つの事例・当初譲渡価額の更正(左図)・後年度の所得の増額・ロイヤルティ調整【経済界の問題意識】○時効期間との関係(日本の移転価格税制の更正期間6年)○ 詳細かつ明確な適用除外基準・事前の予測の詳細・信頼に足る証拠の詳細 とは何か?○確実な二重課税排除

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PS法(取引単位利益分割法)議論の変遷

(現行)

2章 第3部 C 取引単位利益分割法

C.1 総論

C.2 長所と短所

C.3 適用のための指針C.3.1 総論C.3.2 利益分割の様々なアプローチC.3.2.1 寄与度分析C.3.2.2 残余分析

C.3.3 分割すべき合算利益の決定C.3.3.1 実際利益又は予測利益C.3.3.2 利益についての異なる測定

C.3.4 合算利益の分割方法C.3.4.1 総論C.3.4.2 比較可能な非関連者間

取引のデータへの依拠C.3.4.3. 配分キー資産ベースの配分キー原価ベースの配分キータイミングの問題

C.3.4.4 納税者自身の活動のデータへの依拠

D PS法に関する結論

(2016年7月第一次DD)

2章 第3部 C 取引単位利益分割法

C.1 総論(実際利益と予測利益)

C.2 長所と短所の要約

C.3 最適手法C.3.1 高度に統合された活動C.3.2 ユニークで価値ある貢献C.3.3 グループ・シナジーC.3.4 バリュー・チェーン分析

C.4 適用のための指針C.4.1 利益分割の様々なアプローチ

C.4.1.1 寄与度分析C.4.1.2 残余分析

C.4.2 分割すべき合算利益の決定C.4.3 利益についての異なる測定C.4.4 利益の分割C.4.5 利益分割ファクター

C.4.5.1 利益分割ファクターの例資産ベースのファクター原価ベースのファクタータイミングの問題

C.5 納税者自身の活動のデータへの依拠

(2017年6月改訂DD)

2章 第3部 C 取引単位利益分割法

C.1 総論

C.2 PS法が最適手法と考えられる局面C.2.1 PS法の長所と短所C.2.2 取引の性質

C.2.2.1 取引の各当事者によるユニークで価値ある貢献ユニークで価値ある無形資産を含む取引

C.2.2.2 高度に統合された事業活動C.2.2.3 経済的に重要なリスクの引受けのシェア、

緊密に関連するリスクの別々の引受け

C2.3 信頼できる情報の利用可能性C.2.4 結論

C.3 適用のための指針-総論-

C.3.1 利益分割のアプローチC.3.1.1 寄与度分析C.3.1.2 残余分析

C.4 適用のための指針-分割すべき利益の決定C.4.1 実際又は予測利益の分割C.4.2 利益についての異なる測定

C.5 利益の分割C.5.1 利益分割ファクターC.5.2 納税者自身の活動のデータへの依拠C.5.3 利益分割ファクターの例資産ベースのファクター原価ベースのファクター

事例1~10

改訂DDから並行統合・連続統合との文言が消える

リスクのシェアがある場合は実際利益の分割、ない場合は予測利益の分割

PS法が最適手法かもしれない指標

資本・従業員数・購買力平価調整に関する問いかけあり 事例の大幅拡充改訂DDで記述が消える

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議論の変遷(PS法が最適手法となり得る場合)Unique & Valuable

Contributions

Sharing of Economically Significant Risks

Highly IntegratedOperations

【現行】

• 「PS法の長所は高度に統合された事業活動に対する解決策となり得る」「取引の双方の当事者が当該取引に対してユニークで価値ある貢献をしている場合PS法が最も適切な方法かもしれない」(パラ2.109)

【第一次DD】

Unique & ValuableContributions

Highly IntegratedOperations

• 実際利益の分割の強みは、二以上の関連者が経済的に重要なリスクのシェアを行っている場合、解決策を提供することである。このこ

とは、高度に統合された事業活動、また、取引の双方の当事者がユニークで価値ある貢献を行っている場合、生じるかもしれない。

Unique & ValuableContributions

【改訂DD】

Highly IntegratedOperations

Sharing of Economically

Significant Risks

• 各当事者によるユニークで価値ある貢献の存在が、PS法が適切かもしれないことの最も明確な指標となろう。他の指標として、事業活動における高水準の統合、或いは取引の当事者による経済的に重要なリスクの引き受けのシェアが含まれるかもしれない。これらの指標は相互に排他的ではなく、逆に、1つの事例において共に見られるかもしれない。(パラ13)

• リスクの引き受けが生じるのは、事業活動が高度に統合しているシナリオ、及び(又は)それぞれの当事者がユニークで価値ある貢献を行っているシナリオかもしれない(パラ44)。

「緊密に関係する経済的に重要な

リスクの別々の引き受け」を含む

実際利益の分割

実際利益の分割

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PE認定の人為的回避の防止

【BEPS最終報告書の概要】• 代理人PE(OECDモデル租税条約5条5項)について、「企業の名」による契約に加え、その企業による「財の移転、役務の提供」に結びつ

く契約についてもPE判定の対象とする。また、「契約を締結する」場合に加え、「企業による重要な修正が行われることなくルーティンに締

結される契約の締結に繋がる主要な役割を果たす」場合もPEに該当することとする

• 独立代理人(5条6項)の要件を厳格化し、専属的に親会社等のための業務を行う代理人は独立代理人に当たらないこととする

• PEに該当しない活動(5条4項)について、従来は「引渡し」、「展示」、「保管」、「情報収集」など、活動の類型に従って外形的に判断して

いたところ、今後はそれぞれの活動の性質が準備的・補助的か否かを実質判定することとする。但し、特定の活動についてのみ準備的・

補助的でない場合にPE認定の例外としないことも可能、とされている

• 2以上の活動が個別には準備的・補助的であっても、一体として運営される事業であり、あわせてみれば準備的・補助的といえない場合

には、PEに該当することとする(5条4.1項を新設)

• 建築工事に関する契約期間を分割することで建設PEの認定を回避する事案に対処する(行動6のPPTで対応等)

• 帰属利得ガイダンスを2016年中に策定する

【帰属利得に関する第一次DD~改訂DD】・2016年7月に第一次DD公表。代理人PE、倉庫PEの帰属利得について、PLを用いながら計算例を提供。

・2017年6月に改訂DD公表。代理人PE、一体的活動PE(倉庫+事務所)について、概念的に計算例を提供

【多国間協定】○日本が適用することを選択している規定

・コミッショネア契約を通じた恒久的施設の地位の人為的な回避に関する規定(多国間協定第12条) ⇒上記、5条5項・6項関連

・特定活動の除外を利用した恒久的施設の地位の人為的な回避に関する規定(多国間協定第13条) ⇒上記、5条4項、4.1項関連

○日本が適用しないことを選択している規定

・契約の分割による恒久的施設の地位の人為的な回避に関する規定(多国間協定第14条) ⇒上記、契約「期間」分割関連

【国内法の整備】・平成30年度税制改正でPEの定義規定をMLIや新OECDモデル条約に即して改正(平成31年1月1日以後開始事業年度から施行)

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TradeCo

SellcoPE

B国

A国

顧客

商品

収入

PE帰属利得の計算例(改訂DD)

〔PE帰属利得の計算〕Revenue S国顧客への製品販売から得られるTradeCoの収入金額

-(1) S国でSellCoがTradeCoのため行う活動と同一又は類似の条件で同一又は類似の活動を行う非関連当事者に

TradeCoが製品を販売したとするならばTradeCoが得ると見られる金額

-(2) PEのため生じた他の費用(発生する場合)

-(3) SellCoに対する独立企業間の報酬

〔事例の前提〕R国の法人居住者であるTradeCoは製品を購入・販売する。S国の法人居住者であるSellCoは、S国でTradeCoの代わりにコミッショネアとしてマーケティング・販売活動を行う。すなわち、SellCoはS国で自らの名においてバイヤーに製品を販売するが、その配送に関する義務の履行はコミッショネア契約の下でTradeCoが行う。SellCoはどの時点でも製品を所有せず、バイヤーからの支払を受け取る資格もない(当該支払額はTradeCoに帰属する)。ここでは、SellCoがTradeCoのためS国で行った販売に起因するTradeCoの収入金額の一定割合を、コミッションとしてTradeCoがSellCoに支払うものと仮定する。

Page 20: BEPS最終報告書後の動向③平衡税(Equalisation Levy)の導入 ・2020年に報告書をまとめることに(その後、2018年に中間報告を作成することとされた)

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【BEPS最終報告書の概要】報告対象の範囲、報告義務者、報告時期、報告すべき情報、報告義務の遵守・不遵守の効果、の各構成要素についてそれぞれ選択肢を提示し、各国の実情に合った制度を組み立てていく方式(モジュラー方式)を勧告。

義務的開示制度