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東京美
學
が洋畵科を置く
になりしは我れに於ける美
中特筆すべき一現象なり一
步なり洋畵界の振
興と共に我が美
なるものを高めたる美學と謂ふべし
特り斯界のみならず世人は其洋畵科の如何なる者なるやに留意するや切なり今同
に於ける洋畵の開拓者黑田
淸輝氏の談話を揭げて之を紹介す
◎美
學
が洋畵科を置きて余が之を擔任する
になりしに就ては余は出來得る限り自由即ち規則などに束
せられない樣な工合にして學生の
學に
する考へ‥‥渾べて自
が此學
に入いろうと思ツたり生徒に爲ツて
勉强して居ると假定めた時は何ふであらうと自
を其
に置いて考へを立てゝ
く積りですいくら入學試驗な
ればとて數學などは餘り嚴しく爲たくない畵を
ふうといふのに數學で入學が出來ぬのも愚な譯畵を
はせ
やうといふ精神にも
ふ譯彼學
に入いるのには中學
以上の學力を有つて居る證明を
するといふので普
の敎育がある
は極つて居ればそれで澤山である‥‥而して入學者の力に依りて二年にも入れ三年にも取る積
りです
◎この洋畵科は都合四年の學期で第一年は石膏物の寫生第二年は人物即ち裸躰等の寫生此二年は木炭で第三年に
至り油繪を
はせ第四年を以て卒業試驗に充てる
第で‥‥勿論繪の
の
ひ方など油繪に掛る仕度とでも云ふ
美
學
と西洋畵(上)
黑田淸輝氏の談話
べき
は一年二年の間に於て
宜に
はせるソコデ
◎美
解剖-
日本の油繪家で眞の人間の死骸を前に置いて解剖を硏究したものは恐らくは無かろう‥‥
り物
の死骸ではあるかも知らぬが‥‥斯る材料は官設の學
になると非常に
利が多い此度美
學
では久米君が
擔當して美
解剖即ち筋と骨に就きて二年三年の洋畵科學生に授けるのです
◎一年二年の間と雖も風景等の畵は其地に臨み寫生で學らせる積りです‥‥總べて繪手本を給がうといふ
はし
ない唯だ美
學
には古畵の印刷畵などがありますから之を給がツて筆の
ひ方を硏究させる積りです
◎繪畵に於ける腦裏の敎育即ち人物の置き方光線の取方色の配合など其想像力を養ひつゝ繪を敎へて
くに
は勢ひ課題が必
殊に歷
畵なる時は其想像力を及ぶ限り廣げる
に
利が多いソコで三年生となれば毎
に一
回位宛歷
畵の課題を與へて腦裏の敎育をする積りです
『毎日新聞』
明治二九年六月七日
美 學 と西洋畵(上)