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島根発 「Rubyで挑む地域産業の成長」 2013年3月13日(水) 島根県 商工労働部 情報産業振興室 杉原健司 1 (c)shimane2013

島根発 「Rubyで挑む地域産業の成長」 - KSK · 島根発 「Rubyで挑む地域産業の成長」 情報産業振興室 2013年3月13日(水) 島根県 商工労働部

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島根発 「Rubyで挑む地域産業の成長」

2013年3月13日(水)

島根県 商工労働部 情報産業振興室

杉原健司 1 (c)shimane2013

5年間を振り返る

(成果検証)

2 (c)shimane2013

これまでの成果 1 島根県情報産業協会調査

■雇用人数 平成 19年

平成 20年

平成 21年

平成 22年

平成 23年

県内 935 1,024 1,055 1,086 1,123

県外 454 513 558 731 765

合計 1,389 1,537 1,613 1,817 1,888

■売上(億円) 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年

120.6 132.4 135.4 165.1 178.3

2 ■Ruby技術者数、Rubyアソシエーション認定技術者数 ( 人 )

3 県把握

■IT産業の立地認定企業数(平成19年4月~平成24年4月)

県外企業等の新規立地 県内企業の業容拡大

14件 5件 3

平成21年 平成22年 平成23年

Rubyエンジニア 138 189 215

Silver認定 29 59 73

Gold認定 0 6 11

20%増

50%増

企業立地実績(H19.4~H24.4)

年度 企 業 名 立地場所 雇用予定数 主要事業

19 (株)MCセキュリティ 松江市 14人 不正侵入防止システムの開発・製造

20 セコム山陰(株) 松江市 10人 データセンター業

20 (株)マツケイ 松江市 10人 データセンター業

20 (株)アイ・コミュニケーション 松江市 30人 放送通信システム開発販売

20 バブ日立ソフト(株) 松江市 9人 Rubyによるソフトウェア開発

20 日立ソフトエンジニアリング(株) 松江市 9人 Rubyによるソフトウェア開発

20 (株)CTU 隠岐の島町 57人 コールセンター業

21 カーディナルシステム(株) 松江市 11人 経営支援ソフトウェアの開発販売

21 (株)ワコムアイティ 松江市 10人 畜産農家支援システムの開発

21 スタジオ和オリエント(株) 松江市 7人 ICT技術開発PJと連携したソフト開発

21 (株)GNS 松江市 7人 画像監視ソフトウェアの開発

22 (株)ナナイロ 出雲市 5人 CGの企画・制作

22 (株)インターネットイニシアティブ 松江市 10人 クラウドサービス向けデータセンター

22 (株)インディソフトウェア 松江市 6人 ゲームソフトの企画・開発・運営など

23 (株)オネスト 松江市 35人 パーケージソフトの開発・販売

23 (株)テクノプロジェクト 松江市 20人 クラウドサービスの構築・提供

23 (株)コミニティ・クリエイション 松江市 5人 Rubyによるソフトウェア開発

24 (株)コプロシステム 松江市 23人 データ処理プログラム開発など

24 (株)エスワイシステム 松江市 10人 原価管理システム開発

‥‥ 県内企業の業容拡大(5) ‥‥県外企業等の新規立地(14) 4

一般財団法人Rubyアソシエーション (理事長:まつもとゆきひろ氏)

◆Rubyの普及と発展のため、 コミュニティとビジネスの 関係を強化することを目指し、島根県内に設立。 ◆Ruby技術者資格認定試験の実施、 RubyWorld Conferenceの開催 など

官 松江市 ◆Ruby City MATSUE プロジェクト 場の創出、人材育成、企業立地優遇制度、Ruby導入

島根県 ◆エンジニア育成、研究開発支援、企業立地優遇制度 県・市町村等でのRuby導入促進

経済産業省 中国経済産業局 ◆Rubyビジネス利用研究会の開催(H21) ◆Rubyビジネス活用フォーラムの開催(H22) ◆Ruby拠点化可能性調査(H22)

(独)情報処理推進機構(IPA) ◆Ruby言語の国際標準(ISO)化、モデル・調査事業 等

コミニティ

しまねOSS協議会 ◆国内のエンジニア、産学官関係者が参加 ◆月1回のサロン開催、 年1回のオープンソース・カンファレンスの開催 等

Matsue.rb ◆県内の若手エンジニアを中心としたRuby勉強会 ◆月1回の開催 年1回の松江Ruby会議の開催 等

しまねソフト産業ビジネス研究会 ◆県内企業40社が参加 ◆主に県外市場での案件獲得を目指す ◆主な実績企業 テクノプロジェクト、ネットワーク応用通信研究所、 プロビズモ、マツケイ、ワコムアイティ、 日立ソリューションズ、バブ日立ビジネス、 オネスト、システム工房エム、和幸情報、 日本ハイソフト、オネスト、マイメディア、 松江情報センター、浜田コンピュータシステム、 IIJ 等

島根大学 ◆人材育成、Rubyを利用した研究活動 等

松江高専 ◆人材育成、Rubyを利用した研究活動 等

その他 松江商業高校、出雲商業高校、 松江ビジネスカレッジ、 出雲コンピュータ専門学校 等

~ Rubyを軸とした産学官の連携 ~ ビジネス拡大 施策支援

人材育成 技術力向上

島根県内のフォーメーション

5

市・県・国の連携と役割分担

6

◆独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

・Rubyの標準化への取組

平成23年3月・・・日本工業規格(JIS)登録

平成24年3月・・・国際規格ISO/IEC承認

◆島根県(産業振興課)

・企業向けのRuby人材育成

・研究開発支援

・モデル実証事業

・県内市町村へのRuby導入補助

◆経済産業省中国経済産業局

・Ruby拠点化可能性調査(平成22年度)

Rubyアソシエーションの拠点機能強化の

旗振り

◆松江市(産業振興課)

・学生向けのRuby人材育成

・オープンソースラボの設置

・コミュニティ活動支援

・ビジネスプランコンテスト

県 市

基盤づくり

場づくり、街づくり ビジネス環境づくり

(c)Ruby City MATSUE Project

Trigger (H18年度)

7 (c)shimane2013

8

開発プロジェクト

オープンソース関係

Ruby に関する学会を開催 ⇒ 松江市をRuby の中心地

島根大学・松江高専 シンクタンク 若い技術者の育成・技術者のレベルアップ インターンシップ

産学連携コンソーシアム 企業経営者・専門家・金融機関・公的機関

まつもと ゆきひろ

プログラミング言語Ruby開発者。松江市内勤務(玉湯町在住)

中立的な場所を松江駅前に設置 (全国へ情報発信)

松江オープンソースラボ

- 街の「顔」となる場(交流スペース) -

Ruby・0SSの 交流・共同研究の場を提供 Face to Face BtoB

アイディア創出サロン 技術交流(フリーアドレス) ソフトウエア開発 (エクストリームプログラミング)

場 カンファレンス

学術機関

松江市

組 織

ひと・もの

専門家招聘

配 置

開発コミュニティ

産学連携

Ruby City MATSUE プロジェクトの概観

松江市

(c)Ruby City MATSUE Project

9

地方自治体はスクリプト言語を使った産業を速やかに支援すべきではないかと思います。もし、需要から考えて供給が極端に不足している、XML、 Javaスクリプト、PHPやPhythonをまともに扱える技術者が100人、いや、10人いるような地場企業なら、それがどの県の企業であっても、確実に世界中が注目します。Ajaxやオープンソース版.NETであるMonoの技術者が何人かいただけで、MicrosoftやGoogleですら目を向けるでしょう。優秀な技術者を世界中から求めている企業にとって、その場所が青森県であるか鹿児島県であるかなどはさして問題ではないのです。宮城県に PHPの優秀な技術者を多数抱える地場企業があれば、楽天が野球以外で目を向けますよ(笑)。 スクリプト言語が今後向かう道、それをWeb 2.0のような切り口で語るのではなく、オープンソースまたはオープンソースアーキテクチャーといった切り口で考えると、オープンソースの輝ける未来は地方自治体がスクリプト言語を担ぐことです、と言いたいですよ。

オープンソースの輝ける未来は 地方自治体がスクリプト言語を担ぐこと

OSDL平野氏

IT mediaエンタープライズ(2006年4月28日)より引用 http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0604/28/news008.html

1,000人のJavaエンジニアではなく 10人のとんがったRubyエンジニアがいる街 世界から注目してもらえる、とんがった街

松江市

(c)Ruby City MATSUE Project

10

島根・松江といえばRuby

Rubyといえば島根・松江

(c)Ruby City MATSUE Project

11

2006年度 7月 オープンソースラボ(交流拠点)の設置

9月 しまねOSS協議会発足

10月 第1回オープンソースサロン開催

※72回開催(H24.10時点)月1回ペースで開催

松江市

(c)Ruby City MATSUE Project

12

人材育成から企業支援・企業誘致へ

地域で育てた人材を

地域に (c)Ruby City MATSUE Project

13

中学生Ruby教室

【会 場】 ・松江オープンソースラボ 【受講生】 ・受講生は松江市内の中学生。平成20〜23年度で延べ150名が参加。 【講 師】 ・地元Rubyエンジニアによるボランティア(少額予算で継続開催) 【内 容】 ・Rubyと、ゲーム用拡張ライブラリ(DXRuby)を使ったゲーム作成

参加した中学生からは

「難しいけど自分の思い通りにプログラムが動くと

ころが面白かった」、

「自分なりに改造ができて面白かった」、

「もっと色々なプログラミングにも挑戦したい」、

「島根県が主催するRuby合宿(関連記事)にも参加

してみたい」

などの感想が寄せられたという。

※「日経Itpro」記事より抜粋

IT分野に興味のある中学生を発掘

松江市

(c)Ruby City MATSUE Project

14

島根大学・松江高専「Rubyプログラミング講座」

【島根大学】 ◆平成19年度(2007)からスタート ◆4年間で60講義開催、67名の学生が受講 ◆内容 まつもとゆきひろ氏をはじめ、Ruby開発にかかわる全国トップクラスの エンジニアを講師として招き、Rubyプログラミングの習得とRuby関連技術の 今後の発展、活用の方向性を学ぶ。

両学で開催される、Rubyプログラミング講座の開催経費を助成

【松江高専】 ◆平成20年度(2008)からスタート ◆3年間で60講義開催、65名の学生が受講 ◆内容 プログラミング言語Rubyの基本について、第一線のエンジニアによる演習を 交えた集中講義を実施し、受講者自身の考案した初歩のオリジナル作品を作成 できるレベルの習得を目指す。

県内外から、一流のRubyエンジニアを招聘

松江市

(c)Ruby City MATSUE Project

15

松江市オープンソース活用ビジネスプランコンテスト

【コンテスト内容】 応募プランは、ビジネスとして何らかの形でオープンソースを活用したものであり、応募者/グループによって開発、考案されたオリジナルなもの。ビジネス展開の準備中、もしくは、構想段階にあるもの。 【部門】 一般部門と学生部門を設定(地元IT企業と地元学生の交流の場にもなっている)

しまねOSS協議会との共催で平成20年度から開催し、平成23年度で4回目

前回のコンテストでは、立地企業である、(株)インターネットイニシアティブ様の特別協賛。 最終審査会で、(株)インターネットイニシアティブ様から特別賞として、受賞者全員に『クラウドサービス1年間利用権』が贈呈。

Rubyの技術とビジネスアイデア発表の実践の場

松江市

(c)Ruby City MATSUE Project

16

Ruby技術者認定資格取得助成金

松江市内の教育機関に在籍する学生を対象にRuby技術者認定資格試験受験費用の一部を助成。 【Ruby技術者認定試験】 Rubyアソシエーションにより実施される技術試験で、受験者のRuby技術者としての技術力を公正に評価するために実施されている試験。 【助成金交付対象者】 市内の教育機関に在籍する生徒または学生 【補助率】 受験料の2/3(消費税額は除く) Ex) Ruby Association Certified Ruby Programmer Silver : 受験料15,750円 助成額10,000円 当該年度において1回限り。

※平成21年度(2009)〜 現在:25名が利用

学生のRuby資格取得をサポート

松江市

(c)Ruby City MATSUE Project

17

「人づくり」の種まきが 少しずつ芽をだしています

◆松江工業高等専門学校 ・2010年「全国高等専門学校第21回プログラミングコンテスト」においてRubyで開発したWebアプリ「べらぐる」が最優秀賞受賞

・開発の主要メンバー2名は地元IT企業へ

・1名は「松江オープンソース活用ビジネス

プランコンテスト」学生部門で最優秀賞受賞。

平成24年4月から東京大学へ編入。Android

アプリを企業と共同開発中。

・なお、2011年の「全国高専プロコン」でも同校

は特別賞を受賞。

今年度から、受賞作の観光アプリ「MAPHIS」を

PHPからRubyへ置き換えるプロジェクトに取り

組んでいる。

(c)Ruby City MATSUE Project

18

「人づくり」の種まきが 少しずつ芽をだしています

◆松江商業高等学校

・2011年東京都三鷹市で開催された、第1回 「中高生国際Rubyプログラミングコンテスト」 のU-18部門で、同校生徒が最優秀賞を受賞。

島根県が主催する「Ruby合宿」への参加をきっかけ

にRubyに取り組み始める。

・松江市の「Ruby技術者認定資格取得助成金」を

活用して、Ruby認定を取得。

・同校のRuby講座でRubyを学習した生徒が、

市内IT企業へ就職。Rubyを使ったシステム

開発に取り組んでいる。

(c)Ruby City MATSUE Project

19

中学生

松江高専

松江商業高校

島根大学

地元IT企業

Ruby合宿 (高校生以上)

エンジニア向け IT人材育成支援事業

進学 就職

Ruby教室

Ruby 講座助成

ビジネスプラン コンテスト

Rubyをキーワードにした松江市施策

島根県との 連携&分担

松江市 施策

島根県 施策

Ruby技術者認定 資格取得助成金

松江総合 ビジネスカレッジ

インキュ 家賃補助

出展 補助金

販路拡大 支援制度

松江市

(c)Ruby City MATSUE Project

■Ruby/OSS

■組込み

■デジタルコンテンツ

■パッケージソフト

20 (c)shimane2013

産業界

島根県内におけるOSSに関わる企業、技術者、研究者、そしてユーザが交流することによって、技術開発力

の向上を目指し、またOSS の認知度を高めて普及を目指していくことを目的に、産学官により設立。

(会長 ㈱ネットワーク応用通信研究所 代表取締役 井上 浩氏)

松江市の進めるRuby City MATSUEプロジェクトに積極的に参加し、平成18年7月31日にオープンした「松江

オープンソースラボ」を活用、OSSを通じた技術力・開発力の向上を目指す。

月1回程度、オープンサロンを開催し、最新の動向や会員同士の交流を図り、

地域の企業の競争力向上だけでなく、全国的な市場の創造、拡大を図る。

URL:http://www.shimane-oss.org/

<会員:平成23年7月13日現在>

法人会員32社 個人会員:10名・サポーター会員:29名

オープンソース

サロンの模様

日経ITpro高橋氏 楽天技術研究所 増田氏 Nutter氏(Sun Microsystems・JRuby Engineer)を囲んでJRuby談義

しまねOSS協議会 ~会員のOSSリテラシーの向上

21

コミュニティ

(c)shimane2013

IT産業振興への踏み出し (H19年度)

22

H19年5月 溝口善兵衛 知事就任

23

人口:705,893人 (平成25年2月推計)

24

喫緊の課題は、人口の減 目的は、定住人口の増 施策の軸は、 財政再建と産業振興

25

豊かな自然に恵まれ、 古き良き伝統や文化に彩られた島根

26

若者が、 クリエイティブな仕事をするのに適した環境

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島根総合発展計画における位置づけ (H20年~10年間)

基本目標Ⅰ 『活力あるしまね』 ~ 活発な産業活動が展開され、若者が活き活きと働き、 国内外から多くの人が訪れる、活力ある社会を目指します ~

基本目標Ⅱ 『安心して暮らせるしまね』

基本目標Ⅲ 『心豊かなしまね』

政策Ⅰ-1 『ものづくり・IT産業の振興』 競争力のある裾野の広いものづくり産業を創出するとともに、IT産業の 育成・誘致を戦略的に推進します。

施策 『ソフト系IT産業の振興』 情報産業群の形成に向け、技術者を育成するとともに、大都市から の業務の獲得を支援し、ソフト系IT産業の事業拡大を目指します。

28

29

多重下請

官公需依存

30

そこに未来は あるのか?

ソフト系IT産業の振興

Ruby を軸にした

31

32

プログラミング言語 「Ruby」 ■島根県松江市在住のまつもとゆきひろ氏が1993年に開発した日本発のプログラミング言語。

■特長:人間が理解しやすい文法。少ない記述量でソフトウェアを開発可能。

■日本発のプログラミング言語として世界が注目。米国シリコンバレーでは、 ARC (Agile, Ruby, Cloud)が、今後のIT業のキーワードと言われている。

■Rubyでプログラムされている著名なシステム:

楽天「my Rakuten」、 「Twitter」、「COOKPAD」、 「食べログ」、「グルーポン」など多数

(参考)プログラミング言語とは コンピュータを動作させるための一連の記述(=プログラム)の文法体系のこと。 コンピュータを動かすには機械が理解できる言葉(=機械語)が必要

機械語はコンピュータが理解できる2進数(バイナリコード)で表現されるため、人間が直接記述したり、理解するのは手間がかかりすぎる。そこで、一般にソフトウエアは、人間が理解できる形式(ソースコード)で記述する。

プログラミング言語はソースコードの記述の仕方 とも言え、様々な特徴を持ったものがある。

01001111001010100010011000110010011101010111000011011010100110011100

C言語 #include <stdio.h> #include <stdlib.h> int main (int argc, char **argv) { puts ("Hello, world.") ; return EXIT_SUCCESS ; }

[機械語](バイナリコード)

[プログラミング言語] (ソースコード)

COBOL IDENTIFICATION DIVISION. PROGRAM-ID. HELLO-WORLD. PROCEDURE DIVISION. DISPLAY "Hello, world!". STOP RUN.

FORTRAN WRITE(*,10) 10 FORMAT('Hello, world!') STOP END

Java public class Hello{ public static void main(String[] args){ System.out.println("Hello,world!"); } }

Ruby puts "Hello, world!"

実行するために翻訳

Hello, worlld!

[実行]

画面に Hello,world!

と表示

■プログラム言語としての強みがある

●生産性が高く、少ない記述数でプログラミングできる。

●ソフトウェア仕様の変更に容易に対応できる。

●現在の潮流である「サプライサイド」から「ディマンドサイド」の

ビジネスのシステム開発に適している。

■開発者の存在を梃子に高度技術人材を育成・集積させる戦略が可能

●開発者が松江市に在住し、少数ながら全国でトップクラスの人材、

企業が存在している。

●Ruby人材を育成し、Rubyを使用言語とする高い開発力を持つ

企業を集積させれば、過度に首都圏に集中するIT市場の中

で、首都圏・他地域にない強みを作れる可能性がある。

島根県がRubyに取り組む理由

33

付加価値変化への対応

商品企画・開発

最終製品

加工・組立

部品

アフター

サービス

運営

システム提供

課題解決

付加価値

「日本の産業を巡る現状と課題(平成22年2月 経済産業省)」より加筆

素材

Rubyを中心とするOSS技術 高度IT人材育成

自社固有の商品・サービス ・得意業務分野の開発力 (システム受託 ・ オリジナルソフト)

・Rubyを活かした新開発手法

実行力

高品質

スピード

提案力

で引き上げる

34

技術力・商品力強化に よる競争力の向上支援

H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

人材育成支援

Rubyビジネス モデル研究実証 (Rubyの特徴を活かした 開発手法を詳らかにする)

情報発信・市場開拓支援

フェーズ: 産業基盤構築

フェーズ:収益率の高い産業構造への転換 (サービスモデルの構築)

県施策のステップ

Rubyビジネスモデル 普及啓発

自社固有サービスの 確立を支援

平成23年度に取り組んだ収益率の高い産業構造への転換をユーザ企業と一体となったサービスの創造によりいっそう進める

予算額:(43,125) (68,052) ( 159,256) (155,303) (170,632) (150,000) 単位:千円 <補正額込み>

⑦ 新ビジネスモデル 構 築支援 (新たな分野への進出支援)

35

IT産業 新技術研究開発助成

ITサービス開発助成 (新サービス開発・クラウド等対応)

⑤ Rubyビジネスモデル創出支援

⑥ 新技術・サービスモデル開発支援 (新サービス開発・クラウド等対応+競争力強化)

④ パートナー型ビジネス創出支援

⑧ Ruby技術会議開催(RubyWorld Conference)

Ruby利用開発促進(県導入)

⑨ しまねITビジネス拡大支援

⑩ 開発ソフトウェア・ サービス販路拡大支援

③ Ruby導入促進支援(市町村補助)

② Ruby合宿

① IT人材育成支援

ユーザ企業と一体となったサービスの創造

H19年度~ Ruby関連施策展開の流れ

36

Rubyの特徴を活かしたビジネス創出

ギャップの存在

(c)shimane2013

■Ruby利用開発促進事業 ~県システムへのRuby利用促進~ 県の業務システムでRubyによる研究開発し、開発実績とノウハ

ウを県内に蓄積させ、県外市場でのRubyの大型案件獲得を目指す。

■Ruby導入促進支援事業 ~市町村等システムへのRuby導入支援~

(Rubyに係る開発費の1/2、500万円上限に補助)

市町村等の情報システムにRuby導入を促進し、公共部門によるRuby利用の信頼性の向上と、導入メリットの普及につなげ、県内企業が開発実績を蓄積することによる技術力の向上を図る。

37

◆ 行政系基幹業務へのRuby導入支援

(c)shimane2013

H21年 iOFW事業 = 県システムへのRuby導入の布石

データベース OS サーバ 標準規約 共通ライブラリ

Rubyを摘要

情報システムの共通基盤

商工労働部予算(実証開発)

H22年 iOFW事業 ⇒ 個別システム発注 各担当課(、情報政策課) が発注

iOFW = integrated Open FrameWork (業務統合型共通基盤) 38

■Ruby利用開発促進事業 ~県システムへのRuby利用促進~

(c)shimane2013

■Rubyの標準規約 ・アプリケーション命名規則

・コーディング規約

・コメント記述

・ソースコードの整形

・構文(require文、if/unless文、クラス・メソッド定義、型変換など)

・Rails開発規約

・セキュリティ(サーバ・クライアント側の入力チェック、SQLインジェクショ

ン対策など)

(c)shimane2013 39

■Rubyのライブラリ(共通部品) ・データベースアクセス管理用クラス

・チェックデジット算出用クラス

・和歴対応の日付管理クラス

・共通の文字列操作用クラス

・Railsアプリケーション用日付ピックアップ部品

・共通のメッセージ管理クラス

・共通のエラー処理用モジュール

・帳票印刷用クラス

・Railsアプリケーション用住所ピックアップ部品

※いずれもAPI公開

(c)shimane2013 40

所属名 システム名 開発言語

統計調査課 人口移動調査システム Ruby

人事課 恩給システム Ruby

市町村課 市町村振興資金システム Ruby

医療政策課 医療施設管理システム Java

健康推進課 原爆手当システム Ruby

健康推進課 調理師試験システム Ruby

青少年家庭課 母子寡婦福祉資金システム Ruby

障がい福祉課 心身障害者扶養共済システム Ruby

薬事衛生課 麻薬免許システム Ruby

農業経営課 農業近代化資金利子補給管理システム Ruby

林業課 林業・木材産業改善資金システム Ruby

森林整備課 造林補助金システム Ruby

人権同和教育課 奨学資金債権管理システム Ruby

41

島根県 平成22年度 iOFW業務システム開発におけるRubyの利用状況

(c)shimane2013

※平成23年~24年度:島根県予算編成システムを 県内3社のJVがRubyで開発・納品。

H19年度~ Ruby関連施策展開の流れ

42

Rubyの特徴を活かしたビジネス創出

(c)shimane2013

付加価値変化への対応

商品企画・開発

最終製品

加工・組立

部品

アフター

サービス

運営

システム提供

課題解決

付加価値

「日本の産業を巡る現状と課題(平成22年2月 経済産業省)」より加筆

素材

Rubyを中心とする

OSS技術

自社固有の商品・サービス ・得意業務分野の開発力 (システム受託 ・ オリジナルソフト)

・Rubyを活かした新開発手法

実行力

高品質

スピード

提案力

で引き上げる

43 (c)shimane2013

☆スピード重視 早期のサービス開始

☆スモールスタート 初期投資の抑制

☆フィードバック 市場動向などから変更

☆スケールアウト 事業判断し、規模拡大

44 (c)shimane2013

(c)shimane2013 45

Rubyの特徴

オブジェクト指向 インタプリタ型 シンプルな文法

Webアプリケーションフレームワーク

デプロイメントツール

テスト駆動開発フレームワーク

テスト駆動開発フレームワーク

RSpec

46 (c)shimane2013

(c)shimane2013 47

アジャイルプロセス開発とは

計画

テスト・実装

導入(確認) ・評価

1stリリース

2ndリリース

3rdリリース

フィードバック ループ

店舗紹介サイト

+ SNS機能

+ クーポン機能

■ スモールスタートで、市場の反応を見ながら必要機能だけを追加、 又はシステム規模を拡大する。 ⇒ 無駄をなくす

■ 「計画 → 実装・テスト → 導入(確認)・評価」の フィードバック・ループを素早く繰り返すことが出来るのか、が重要。 ⇒ 実現するための技術力

開発の流れ(Scrum)

48

ビジネス要件と要望

プロダクトオーナー (お客様) ・要求を取りまとめて計画する

開発チーム ・システムを開発する

スクラムマスター ・円滑に進むよう支援する

1週間~数週間の サイクルで、 “計画~レビュ~ ふりかえり“ を繰り返す。

・タスクボードの利用 ・バーンダウン チャートの利用 ⇒ 進捗の見える化 ・日次ミーティング ・ペアワーク ・テスト駆動開発 ・リファクタリング ・自動ビルド

■ゴールの共有 ・システムで実現する価値、プロジェクトの目的を明確 にし、共有する。

■プロダクトバックログ ・システムを実現するために必要なすべての機能、成果 物の一覧。

■スプリント計画 ・スプリントの目標を決定。 ・スプリントで実現するストーリーをプロジェクトチームで 選択し、リスト化(スプリントバックログ)。 ・開発チームがストーリーをタスクに分解し、作業時間を 見積もる。 ・プロダクトオーナーによって優先順位付け。

■レビュー(リリース)とふりかえり ・デモを実施し、プロダクトオーナーが評価する。 その結果を開発チームにフィードバック。 ・ともにスプリントを振り返る。 ⇒ 継続すること/課題/次回チャレンジすること

(c)shimane2013

支援 支援

委託企業 内 容

株式会社テクノプロジェクト

顧客(県内企業、製造業)が、現在は紙ベースで行っている製造現場の業務をシステム化した。開発者は、1~2週間ごとに顧客と打ち合わせを行い、顧客価値の高い

機能から順次開発した。その開発プロセスは随時カイゼンを図り、顧客・開発者ともに成長をしていくことで、ソフトウェア価値および品質を高めていった。

株式会社ネットワーク応用通信研究所

診療所で利用される診療情報分析システムの開発に取り組んだ。県内複数の診療所からシステムへのニーズを聞き、開発途中でデモンストレーションを行いながら、実際の開発は遠隔地にある他企業と分業して取り組んだ。

株式会社日本ハイソフト 複数の企業が協業し開発するアジャイルプロセスでは例のない開発パターン。開発企業と顧客(県内企業)は毎週打ち合わせを行い、開発、実装、リリース、評価、次の開発に関する打ち合わせを繰り返した。

株式会社プロビズモ 開発側2社と顧客(県内教育機関)がいずれも遠隔地にある中で開発するアジャイ

ルプロセスでは例のない開発パターン。物理的に離れた環境で、テレビ会議システム、情報共有ツールを利用するなどして開発側と顧客の意思疎通を図った。

Ruby×アジャイルのビジネスモデル構築

Rubyビジネスモデル研究実証事業(平成22年度実施事業)

※平成23年度以降は補助事業として実施

島根県では、平成22年度、県内IT企業を対象に、プログラミング言語「Ruby」の特徴を活かした「アジャイルプロセ

ス開発」を県内IT企業とユーザ事業者が実ビジネスで取り組むことで、その有用性を実証するため、県内4企業を

モデル事業として委託(それぞれ700万円~1,000万円)し、実システムの開発に取り組みました。

研究実証事業成果報告書 ◆Rubyの特徴を活かした開発手法 ◆顧客満足度の向上への影響 ◆今後のビジネス展開の可能性 ◆課題(人材、顧客理解、契約・見積 等)

報告書、ソースコードは全て公開

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Ruby/ビジネスモデル/成果報告で検索

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IT産業 新技術研究開発助成事業 採択事業一覧 (平成22年度)

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これからの施策

(共通施策)

(個別施策)

請負・下請 パートナー型 ビジネス

大手IT企業の動向セミナーの開催、職員が県外有力企業を紹介する等で支援

・官公需受注 ・県外大手からの下請 ・県内大手からの二次下請

支援概要

事例

固有サービス提供

パッケージ製品、又はクラウドを利用したサービス創出を1/2補助事業で支援

・電子商取引ソフト ・診療所向け電子カルテソフト ・教育分野における教務支援ソフト ・畜産の遠隔見守りシステムなど

支援概要

県内事例

IT企業とサービス事業者が相互の強みを活かす、新たなサービス創出を1/2補助事業で支援

小売業、農林水産、観光、医療 など

支援概要

県内での可能性分野

縮小傾向 ・依然、市場規模は大きい。 ・官公需は今後減少。 ・大手 ITは、外国へのオフショア や低価格化を志向。 ・民需は、右の固有サービス、 にシフト。

拡大傾向 ・クラウドの台頭により現在、 急速に拡大してる市場。 ・地方企業も地理的ハンディなく 参入可能。 ・将来は、競争激化。寡占化の 可能性もあり。

新たな成長機会 ・首都圏を中心に取り組みが進む ビジネスモデル。 ・IT企業と、サービス事業者(ユー ザ企業)が一体となり、事業創出。

市場変化

IT産業の業態

県の支援施策

H24年度

新技術・サービスモデル開発支援事業 (新)パートナー型ビジネス 創出支援事業

IT人材育成支援事業(28,000千円)、 Rubyビジネスモデル創出支援事業(20,000千円) 、 新ビジネスモデル連携構築支援事業(8,000千円)、 しまねITビジネス拡大支援事業(12,000千円) など

※ビジネスセミナー開催、県外企業の紹介等

(ビジネスマッチング) (30,000千円)

(20,000千円)

(予算額:150,000千円)

市場変化と支援施策

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納めて終わりのビジネスからの脱却

① IT人材育成支援事業(対象:企業エンジニア)

Ruby、OSSなどの人材育成講座の開催

■財団実施:政策誘導型 ■情報産業協会補助:産業界ニーズ型

② Ruby合宿(対象:大学生・高専生)

IT産業に関心を持つ学生を対象に、Ruby習得の講座を合宿形式で開催するとともに、将来の県内企業就職へつなぐ。

◆ 人材育成支援

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H25年度から

中・高校生Ruby教室を検討中

強みである

Rubyを さらに磨く施策

総合的 IT施策

新しい

ITビジネスを 模索する施策

商品化・事業化可能性調査

新技術開発

商品開発

実証・評価 市場開拓 (拡販)

業態変化を促す各補助事業の位置づけ

⑥ パートナー型ビジネス創出支援

④ Rubyビジネスモデル創出支援

⑨ Ruby導入促進支援 (市町村等補助)

⑤ 新技術・サービスモデル開発支援

③ 新 ビ ジネ ス モ デル 構 築 支援

⑩ 開発ソフトウェア・サ ー ビ ス販 路 拡 大支 援

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平成24年度 パートナー型ビジネス創出支援事業

サービス重視

IT技術重視

・業務プロセス、 顧客ニーズを理解

強み

・ITの幅広い技術と 利活用方法の 理解不足

弱み

・優れた IT技術を有し、 応用方法を理解

強み ・サービス事業者の業務プロセス、 顧客ニーズの理解不足

弱み

県内 ユーザ企業

例)医療機関、小売業、 教育機関、 農林水産事業者、 観光業 など

県内IT企業

単独実施型 クックパット

パートナー型 ソニックガーデン、 永和システムマネジメント

ユーザ企業とIT企業が 相互の強みを活かし、 弱みを補完しあい、 新たなサービスを創出する パートナー型を目指す

顧客もIT技術を利用した、より付加価値の高いサービスを求める傾向にある。

収益の源泉となる顧客に向けた 高品質のサービスを新たに創出し、 顧客獲得を目指す。

顧客

顧客

初期の検証 (可能性調査)

市場投入

検証

市場開拓

事業拡大 (再投資)

システム開発は、ビジネス構築のステップに合わせて、必要最小限の機能を 繰り返し改良(開発)することで、使い勝手を良くし、サービスの質を高めていく

・システム開発側

・ビジネス提供側

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市 場

仮説 ビジネスモデル ビ

ジネス構築のステップ

サービス型ビジネスでの例示 (not 内部システム)

組織拡大 再投資

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一般財団法人Rubyアソシエーション (理事長:まつもとゆきひろ氏)

◆Rubyの普及と発展のため、 コミュニティとビジネスの 関係を強化することを目指し、島根県内に設立。 ◆Ruby技術者資格認定試験の実施、 RubyWorld Conferenceの開催 など

官 島根県 ◆エンジニア育成、研究開発支援、企業立地優遇制度 県・市町村等でのRuby導入促進 等

松江市 ◆Ruby City MATSUE プロジェクト 場の創出、人材育成、企業立地優遇制度、Ruby導入 等

経済産業省 中国経済産業局 ◆Rubyビジネス利用研究会の開催(H21) ◆Rubyビジネス活用フォーラムの開催(H22) ◆Ruby拠点化可能性調査(H22)

(独)情報処理推進機構(IPA) ◆Ruby言語の国際標準(ISO)化、モデル・調査事業 等

コミニティ

しまねOSS協議会 ◆国内のエンジニア、産学官関係者が参加 ◆月1回のサロン開催、 年1回のオープンソース・カンファレンスの開催 等

Matsue.rb ◆県内の若手エンジニアを中心としたRuby勉強会 ◆月1回の開催 年1回の松江Ruby会議の開催 等

しまねソフト産業ビジネス研究会 ◆県内企業40社が参加 ◆主に県外市場での案件獲得を目指す ◆主な実績企業 テクノプロジェクト、ネットワーク応用通信研究所、 マツケイ、ワコムアイティ、オネスト、プロビズモ、 日立ソリューションズ、バブ日立ビジネス、 システム工房エム、和幸情報、松江情報センター、 日本ハイソフト、オネスト、マイメディア、 浜田コンピュータシステム、IIJ 等

島根大学 ◆人材育成、Rubyを利用した研究活動 等

松江高専 ◆人材育成、Rubyを利用した研究活動 等

その他 松江商業高校、出雲商業高校、 松江ビジネスカレッジ、 出雲コンピュータ専門学校 等

~ Rubyを軸とした産学官の連携 ~ ビジネス拡大 施策支援

人材育成 技術力向上

島根県内のフォーメーション

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