40
就業形態の多様化は、様々な要因が相互に影響を与えながら進展しており、前節では、産 業構造の変化の側面から就業形態の多様化への影響をみた。本節では、労働力供給構造と勤 労者意識の変化の側面から検討する。 現在、日本社会は人口減少・少子高齢化という人口構造の大きな変化にも直面している。 こうした社会変化の中にあって、勤労者の意識はどのように変化しているのか、人々はどの ような働き方を望んでいるのか、また、それらの結果として就業形態の多様化は今後どのよ うに進展していくと見込まれるのかといったテーマは、今後の経済社会を展望する上で極め て重要なテーマである。 ここでは、特に、意欲と能力の発揮という観点から問題を抱えている若年者や、労働力と しての活躍がさらに期待される高齢者や女性について焦点を絞り、人口減少社会において労 働力供給を促進し高い労働生産性を実現していくという観点から、今後にむけた必要な取組 みを探ることとする。 (高齢化する労働力人口) 人口の高齢化に伴って、労働力人口も高齢化している。労働力人口の年齢階級別の推移を みると、1970 年から 2005 年までの 35 年間で 60 歳以上の労働力人口は 453 万人から 969 万人 へと倍以上に増加しており、労働力人口全体に占める割合も 8.8 %から 14.6 %に上昇してい る。逆に、15 ~ 29 歳層の労働力人口割合は、1970 年の 34.0 %から 2005 年には 20.4 %に低下 している(第 2 -(2)- 1 -①図)。 人口動態統計によれば、2005 年には合計特殊出生率が過去最低の 1.25 となった。また、出 生数が死亡数を下回り、出生数から死亡数を差し引いた自然増加数は減少となった。このよ うに我が国は人口減少社会となったうえ、労働力人口の高齢化も一段と進展し、2007 年以降 には団塊の世代(1947 ~ 1949 年生まれの者)が 60 歳台に到達することになる。 そこで、今後の労働力人口の推移についてみると、労働力人口比率が 2004 年の水準で推 移すると仮定した場合、2000 年から 2010 年にかけて 318 万人減、2010 年から 2020 年にかけ て 411 万人減、2020 年から 2030 年にかけて 440 万人減と見込まれる(第 2 -(2)- 2 図)。 このように、労働力人口比率が 2004 年の水準で推移した場合には、労働力人口の減少率は 次第に大きくなっていくものと見込まれる。また、減少傾向にある 15 ~ 29 歳層は、2030 年 には 971 万人、割合にして 17.3 %と、60 歳以上人口を下回る水準となることが推定されてい る(前掲第 2 -(2)- 1 -①図)。 年齢階級別労働力人口の推移を 10 年ごとの増減でみてみると、80 ~ 90 年代は、高齢化が 進行しつつも 15 ~ 29 歳層の増加もみられた。しかし、若年労働力人口の増加の背景にあっ た団塊二世層(1971 ~ 1974 年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 第2節 勤労者意識の変化と働き方 2 勤労者意識の変化と働き方 第2節 1)近年における労働力供給の特徴

第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

就業形態の多様化は、様々な要因が相互に影響を与えながら進展しており、前節では、産

業構造の変化の側面から就業形態の多様化への影響をみた。本節では、労働力供給構造と勤

労者意識の変化の側面から検討する。

現在、日本社会は人口減少・少子高齢化という人口構造の大きな変化にも直面している。

こうした社会変化の中にあって、勤労者の意識はどのように変化しているのか、人々はどの

ような働き方を望んでいるのか、また、それらの結果として就業形態の多様化は今後どのよ

うに進展していくと見込まれるのかといったテーマは、今後の経済社会を展望する上で極め

て重要なテーマである。

ここでは、特に、意欲と能力の発揮という観点から問題を抱えている若年者や、労働力と

しての活躍がさらに期待される高齢者や女性について焦点を絞り、人口減少社会において労

働力供給を促進し高い労働生産性を実現していくという観点から、今後にむけた必要な取組

みを探ることとする。

(高齢化する労働力人口)

人口の高齢化に伴って、労働力人口も高齢化している。労働力人口の年齢階級別の推移を

みると、1970年から2005年までの35年間で60歳以上の労働力人口は453万人から969万人

へと倍以上に増加しており、労働力人口全体に占める割合も8.8%から14.6%に上昇してい

る。逆に、15~29歳層の労働力人口割合は、1970年の34.0%から2005年には20.4%に低下

している(第2-(2)-1-①図)。

人口動態統計によれば、2005年には合計特殊出生率が過去最低の1.25となった。また、出

生数が死亡数を下回り、出生数から死亡数を差し引いた自然増加数は減少となった。このよ

うに我が国は人口減少社会となったうえ、労働力人口の高齢化も一段と進展し、2007年以降

には団塊の世代(1947~1949年生まれの者)が60歳台に到達することになる。

そこで、今後の労働力人口の推移についてみると、労働力人口比率が2004年の水準で推

移すると仮定した場合、2000年から2010年にかけて318万人減、2010年から2020年にかけ

て411万人減、2020年から2030年にかけて440万人減と見込まれる(第2-(2)-2図)。

このように、労働力人口比率が2004年の水準で推移した場合には、労働力人口の減少率は

次第に大きくなっていくものと見込まれる。また、減少傾向にある15~29歳層は、2030年

には971万人、割合にして17.3%と、60歳以上人口を下回る水準となることが推定されてい

る(前掲第2-(2)-1-①図)。

年齢階級別労働力人口の推移を10年ごとの増減でみてみると、80~90年代は、高齢化が

進行しつつも15~29歳層の増加もみられた。しかし、若年労働力人口の増加の背景にあっ

た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了

101

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

勤労者意識の変化と働き方第 2 節

1)近年における労働力供給の特徴

Page 2: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

したため、若年労働者は減少期に突入し、今後も減少を続けていくことが予想されている。

24歳以下の労働力人口は1995年から減少し始めており、このままの水準で労働力率が推移

した場合、15~29歳層は2000年から2010年の10年間で388万人が減少すると推計されてい

る(前掲第2-(2)-2図)。

また、高年齢労働者の増加も今後一様に進むのではなく、人口構造の影響を受けて波が生

じる。最も大きな影響は、団塊の世代の動向によるものである。団塊の世代はこれまでも我

が国の経済や社会に様々な影響を与えてきたが、2000年から2010年の間にはこの世代が60

歳に達し、労働市場から引退する者も出てくると考えられる。特にその最初の年である2007

年は、生産現場における熟練した技能の継承が十分に行われず、高付加価値製品を生み出す

上で不可欠な「現場力」が失われてしまうのではないかといったことが懸念されている。

一方、女性の職場進出は一層進むと考えられる。男女別、年齢階級別に労働力人口比率の

推移をみると、男性ではどの年齢階級においても横ばいもしくは緩やかな減少傾向で推移し

ているが、女性では、逆にどの年齢階級でも上昇傾向にある。とりわけ15~34歳層では

1976年と比べて14.0%も上昇しており、貴重な「人的資本」として、労働市場に占める重要

性が増してきていることがうかがえる(第2-(2)-3図)。

今後は、若年者や高齢者、女性などにより労働力供給を促進するための仕組みづくりを進

め、労働力人口の減少率の拡大に歯止めをかけていくことが大切である。

平成18年版 労働経済の分析102

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000(万人)

1970 75 80 85 90 95 2000 05 10 15 20 25 30 (年)

推計値実績値

15~29歳

65歳以上

60~64歳

30~59歳

資料出所 2005年までは総務省統計局「労働力調査」、2010年以降は厚生労働省職業安定局推計(2005年7月)  (注) 性、年齢別の労働力人口比率が2004年と同じ水準で推移すると仮定。

第2-(2)-1-①図 労働力人口の推移と見通し(労働市場への参加が進まない場合)

Page 3: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

103

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

1970 75 80 85 90 95 2000 05 10 15 20 25 30 (年)

資料出所 2005年までは総務省統計局「労働力調査」、2010年以降は厚生労働省職業安定局推計(2005年7月)  (注) 1)下記の全ての対策が講じられることを前提としている。

・高齢者の雇用機会が高まるケース・女性の能力活用及び仕事と生活の両立が進むケース・若年の就業が進むケース

2)労働時間については、正社員について2030年に174時間(4分の1の人が160時間に短縮と仮定)、パート労働者について2030年に121時間(現状程度の104.3時間、140時間、120時間という人が同じ割合になると仮定)となるようにして、直線補完を行った。

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000(万人)

推計値実績値65歳以上

60~64歳

15~29歳

30~59歳

第2-(2)-1-②図 労働力人口の推移と見通し(労働市場への参加が進む場合)

1970~80 1980~90 1990~2000 2000~10 2010~20 2020~30 (年)

資料出所 2005年までは総務省統計局「労働力調査」、2010年以降は厚生労働省職業安定局推計(2005年7月)  (注) 性、年齢別の労働力率が2004年と同じ水準で推移すると仮定した場合の増減。

-600

-400

-200

0

200

400

600

800

1,000

15~29歳

60歳以上

30~59歳

総 数

(万人)

第2-(2)-2図 年齢別労働力人口の増減の推移と見通し

Page 4: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(非労働力化し、減少する若年労働力人口)

2005年は、景気が緩やかに回復し失業率や求人倍率の改善もみられたが、若年者の雇用情

勢は、相対的にみて厳しい状況が続いている(第3章参照)。

学校卒業後進学も就職もしていない、いわゆる学卒無業者について1987年から2005年ま

でを概観してみると、バブルが崩壊した1991年以降大きく増加している。無業者比率(卒

業者に占める進学でも就職でもないことが明らかな者の割合)を学歴別にみると、大卒で最

平成18年版 労働経済の分析104

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

50

55

60

65

70

75

80

85

90

95

100

1976 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05(年)

(%)

55歳以上

15~34歳

35~54歳

(男性)

第2-(2)-3図 性、年齢階級別労働力人口比率の推移

1976 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05(年)20

25

30

35

40

45

50

55

60

65

70

15~34歳

35~54歳

55歳以上

資料出所 総務省統計局 「労働力調査」 

(%) (女性)

Page 5: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

も高く、2005年で17.8%、高卒では6.6%となっており、学歴計(高卒、高専卒、短大卒、

大卒及び大学院卒の計)の学卒無業者数は22.8万人となっている。

近年では、雇用環境が改善し就職内定率も上昇していることから、学卒無業者比率は下落

しているが、なお高い水準にある(第2-(2)-4図)。このような学卒無業者比率の長期

的な上昇傾向には、雇用情勢だけでなく、後述するような若年者自身の意識の変化等も影響

していると考えられる。

105

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0.00.51.01.52.02.53.03.5(倍)

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

1987 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05

(%)

高卒無業者比率

高専卒無業者比率

大卒無業者比率

短大卒無業者比率

(年)

高卒求人倍率

85.0

87.5

90.0

92.5

95.0

97.5

100.0(%)

高卒就職(内定)率

大卒求人倍率

大卒就職(内定)率

資料出所 求人倍率:厚生労働省「新規学卒者(高校、中学)の職業紹介状況」、(株)リクルートワークス「大卒求人倍率」

就職内定率:文部科学省「高等学校卒業(予定)者の就職(内定)状況に関する調査、文部科学省・厚生労働省「大学、短期大学及び高等専門学校卒業予定者の就職内定状況調査」

無業者比率:文部科学省「学校基本調査」  (注) 1)数値は、各年の3月卒の卒業生によるものである。

2)内定率は、高卒については3月末時点、大卒については4月1日時点の調査結果。3)無業者比率は、卒業者に占める進学でも就職でもないことが明らかな者の割合。4)高卒無業者は「学校基本調査」における「左記以外の者(家事手伝いをしている者、外国の大学等に入学した者、又は大学等進学者、専修学校(専門課程)入学者、専修学校(一般課程)等入学者、公共職業能力開発施設等入学者、就職者及び一時的な仕事に就いた者に該当しない者で進路が未定であることが明らかな者)」である。2003年以前の「左記以外の者」には、「一時的な仕事に就いた者」が含まれている。

5)高専卒、短大卒、大卒無業者は「学校基本調査」における「左記以外の者(家事の手伝いなど就職でも「大学院等への進学者」や「専修学校・外国の学校等入学者」等でもないことが明らかな者)」である。1988年以前の大卒及び2003年以前の高専卒の「左記以外の者」には、「一時的な仕事に就いた者」が含まれている。

第2-(2)-4図 求人倍率、就職(内定)率、無業者比率の推移

Page 6: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

若年失業率については、近年低下しているものの、なお高い水準にあり、失業者の内訳を

求職理由別にみると、中高年の失業に比べ非自発的離職による者の割合は小さいが、90年代

後半以降、その割合も大きくなっている。ただし、最も割合が大きいのは自発的離職による

失業であり、その構成比は4割を超えている。また、前掲第2-(2)-4図でみたような学

卒無業者の増加もあることから、学卒未就職による失業は増加しており、全体に占める割合

は1割を超えている。「その他の者」も高い割合で推移しているが、これには、厳しい雇用

環境や若年者自身の意識の変化を背景に、学卒後仕事を持たずに無業者となった後に労働市

場に参入してきたり、仕事と無業を繰り返し、断続的に求職活動をする者が増加しているこ

との影響があると考えられる(第2-(2)-5図)。

このような問題を抱える若年層には、その自立を促していくことが課題となっている。ま

た、進路未定の学卒者には、実務・教育連結型人材育成システム(日本型デュアルシステム)

の受講促進、若年者トライアル雇用事業の拡充などが図られており、無業者には「若者自立

塾」の創設、フリーターに対しては「フリーター20万人常用雇用化プラン」が策定され、

ジョブ・カフェやハローワークによる就職支援の取組みが強化されているところである。さ

らに、在学中の早い段階から職業意識を形成し、若者の適切な職業選択の確保や安易な離転

職の防止を図ることが重要である。これらの取組みの効果により、労働市場への参加が進ん

だ場合、労働市場への参加が進まない場合と比べ、2030年の時点で129万人増加することが

見込まれている(第2-(2)-1-②図、付2-(2)-1表)。このことからも、若年層の

平成18年版 労働経済の分析106

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0

1

2

3

4

5

6

7

8

1990 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05

その他の者

自発的離職者

学卒未就職者

非自発的離職者

(%)

(年)

資料出所 総務省統計局「労働力調査」より厚生労働省労働政策担当参事官室にて試算  (注) 求職理由別若年失業率(男女計、15~34歳)=求職理由別若年失業率/若年労働力人口

第2-(2)-5図 求職理由別若年失業率の推移

Page 7: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

就業に対する意識や希望を把握し、さらなる取組みを強化していくことが求められる。

(労働力人口の高齢化)

人口構造の高齢化を受け、60歳以上の高年齢就業者数は近年大きく増加している。これを

人口寄与、労働力率寄与、労働市場状態寄与に分けると、最近10年間は各年齢階級ともに

人口寄与が大きくプラスとなっている。一方で、1985年から1995年にはすべての年齢階級

でプラスに寄与していた労働力率寄与が1995年以降55~59歳層ではプラス幅を縮小し、60

歳以上層ではマイナスに転じている。これは、厳しい雇用失業情勢が続いたため、高年齢層

の就業意欲を維持することが難しかったことに加え、経済的ゆとりのある高年齢者が増えた

ことや農林業従事者が減少したことなども作用していると考えられる(第2-(2)-6図)。

高年齢労働力人口比率を国際比較してみると、我が国は1990年代後半以降、その伸びが

停滞し、一方でアメリカやイギリス、フランスなどが徐々に改善してきたため、これらの国

国との差は近年縮小傾向にあるが、その水準でみると比較対象国内では最も高い水準で推移

している。労働力率を規定する要因としては国ごとの社会構造や勤労観などの違いがあると

考えられるが、我が国の高齢者の就業意欲は国際的にみて高い水準にあるものと考えられる

(第2-(2)-7図)。

その高い意欲に応えるために、2004年に高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下、

「高年齢者雇用安定法」という。)が改正され、2006年4月より段階的に65歳までの雇用機

会を確保するための措置が事業主に義務づけられ、各企業において雇用確保措置の導入が行

われているところである。このような対策を講じたことにより高年齢層の労働市場への参加

が進んだ場合の60歳以上の労働力人口は、労働市場への参加が進まない場合と比べ、2030

年の時点で75万人増加することが見込まれている(前掲第2-(2)-1-②図、前掲付

2-(2)-1表)。

107

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

Page 8: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

平成18年版 労働経済の分析108

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

100

120

1985~90年 1990~95年 1995~2000年 2000~05年

1985~90年 1990~95年 1995~2000年 2000~05年

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

100

1201985~90年 1990~95年 1995~2000年 2000~05年

労働市場状態寄与

労働力率寄与

就業者数の変化

65歳以上

55~59歳

60~64歳

人口寄与

(万人)

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

100

120

資料出所 総務省統計局「労働力調査」より厚生労働省労働政策担当参事官室にて試算  (注) 要因分解については以下のとおり。

S=N・r・(1-u)より

S:就業者数  N:年齢階級別人口  r:労働力率  u:完全失業率  △:増減差-:当該年と比較年の平均(例:2000~2005年の変化の場合、2000年と2005年の数値の平均)

△S=△N・r・(1-u) + N・△r・(1-u) + N・r・△(1-u)

人口寄与 労働力率寄与 労働市場状態寄与

第2-(2)-6図 高年齢就業者数変化の要因分解

Page 9: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(増加する女子労働力供給)

我が国の労働力人口は全体としては減少期に入っているが、女性については、労働力率の

向上を通じて今後も労働力供給を高めていくことが期待される。総務省統計局「労働力調査」

によると、2005年の労働力人口は6,650万人で、1970年の5,153万人から29.1%増加してい

る。うち男性が3,901万人で24.7%の増加だったのに対し、女性は2,750万人で35.9%増加と

なっている。また、2005年の女性の労働力人口比率は48.4%となり、男性の労働力人口比率

(73.3%)と比較すると依然差は大きいものの、その差は5年前に比べて縮小している(第

2-(2)-8図)。

次に、女性の労働力率を年齢階級別に1995年と比較する。2005年の年齢階級別労働力人

口比率は、25~29歳層(74.9%)と45~49歳層(73.9%)を左右のピークとし、30~34歳

層(62.7%)をボトムとするM字型カーブを描いている。1995年と比較すると、20~24歳

層と65歳以上層でその比率がやや低下したものの、その他の年齢階級では比率が高まった。

中でも25~29歳層(8.5ポイント上昇)、30~34歳層(9.0ポイント上昇)では大きく比率

が上昇したため、いわゆるM字型カーブは底上げされる傾向がみられる。20~24歳層の労

働力人口比率の低下と25~29歳層の労働力人口比率の上昇は、このところ傾向的に続いて

いるが、前者については主に四年制大学進学率の上昇、後者については未婚者の割合の高ま

りと既婚者の労働力人口比率の上昇の影響があると考えられる(第2-(2)-9図)。

また、後者の要因を確認するため、さらにこれを未婚者と既婚者の別で見てみると、2005

年においては、未婚者では25~29歳層で91.4%、30~34歳層で89.6%と高い労働力人口比

率となっている。一方、既婚者ではそれぞれ49.7%、48.1%となっているが、年齢層が上が

るに従い労働力人口比率が上昇し、45~49歳層で最も高い71.9%となる。このように、結

109

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0

10

20

30

40

50

60

70

80

1990 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04

(%)

資料出所 OECD online database “Labour Market Statistics - Indicators”   (注) 55~64歳の男女計。

イギリス

イタリア

日本

ドイツ

フランス

韓国アメリカ

(年)

第2-(2)-7図 高齢者労働力人口の国際比較

Page 10: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

婚後の出産・育児期であると考えられる25~39歳層で未婚者と既婚者の労働力人口比率に

大きな差がみられる。未婚者では、1995年と比較すると、30~49歳層で労働力人口比率が

平成18年版 労働経済の分析110

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

1970 75 80 85 90 95 2000 05 (年)

(万人)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90(%)

資料出所 総務省統計局「労働力調査」

女性労働力人口(左目盛)

女性労働力人口比率(右目盛)

男性労働力人口(左目盛)

男性労働力人口比率(右目盛)

第2-(2)-8図 男女別労働力率の推移

0

10

20

30

40

50

60

70

80

15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65歳以上

(%)

資料出所 総務省統計局「労働力調査」

2005年

1995年

第2-(2)-9図 年齢階級別女性労働力人口比率の推移

Page 11: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

上昇しており、中でも上昇幅が大きいのが40~44歳層で、この層が近年の女性労働力率を

押し上げていると考えられる。一方、既婚者では1995年と比較して35~44歳層で低下して

いるが、25~34歳層で上昇しており、特に25~29歳層で上昇幅が大きくなっている。この

ように、男女雇用機会均等の考え方が社会に浸透し、加えて、結婚後も働く女性が増えたこ

とが、これらの層の労働力の向上に作用したものと推察される(第2-(2)-10図、付

2-(2)-2表)。

学歴別に女性の労働力率をみると、若年者においては、中学・高校卒の労働力率よりも大

学・大学院卒の労働力率が高いが、35歳以上の層ではほとんど変わらない。一方、非労働力

化している者のうち就業を希望している者を労働力人口に加えて算出した潜在的労働力率を

みると、35歳以上の層で学歴間格差が小さくなる点は変わらないが、実際の労働力率の場合

と異なり、右肩下がりの緩やかなカーブとなり、実際の労働力率をかなり上回る(第2-

(2)-11図)。これは、15~24歳層など若年者については厳しさが残る雇用情勢を反映し

た結果だと考えられるが、特に開きのある35~44歳層などについては、結婚・出産・育児

期にいったん労働市場から退出した後、子育てが一段落しても労働市場に再参入せずに非労

働力化している者が多いことが要因と考えられ、出産・育児後の再就職時期にあたる年齢層

を中心に、就職ニーズにあった雇用機会が少ないことがわかる。いずれの学歴においても潜

在的労働力率と労働力率との間には開きがあり、就業を希望している者が就職することがで

きれば労働力人口の増加にかなり寄与できるものと考えられる。

111

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~64歳 65歳以上

(%)

資料出所 総務省統計局「労働力調査」   (注) 15~19歳層の有配偶者の労働力人口比率は、サンプル数が小さいため計算されていない。

未婚(1995年)

有配偶(1995年)

未婚(2005年)

有配偶(2005年)

第2-(2)-10図 配偶関係・年齢階級別労働力人口比率(女性)

Page 12: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

仮に雇用対策の効果によって労働市場への参加が進んだ場合、2030年の女性の労働力人口

は、労働市場への参加が進まない場合と比べて、15~29歳層で73万人増、30~59歳層で

273万人増、60歳以上層で9万人増と見込まれ、出産、育児期を含む30~59歳層がとりわ

け大幅に増加する見込みであることからも、出産、育児期の女性の就業に関する意識や希望

をくみ取ったうえで、保育の充実とともに、男女雇用機会均等のさらなる促進や勤務時間の

柔軟化・短縮化などの仕事と家庭を両立しやすい多様な働き方、パートタイム労働者の均衡

処遇などを推進させる必要がある(前掲付2-(2)-1表)。

(若年者の正社員希望割合は高い)

前項で労働力供給の現状と特徴をみてきたが、依然厳しい状況にある若年の労働市場にお

いて、若年者自身が自分の就職活動結果についてどのように考えているかを(財)雇用開発

センター「新世代の職業観とキャリア」によってみると、正社員として就職した者の75.5%

が「希望どおり」「まあ希望どおり」としているのに対し、非正社員では不本意な者(「やや

不本意」、「かなり不本意」)や「就職を諦めた」者があわせて45%近くにものぼる(第2-

(2)-12図)。また、現在の就業形態を選択した理由を(独)労働政策研究・研修機構「多

様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」によってみると、正社員

平成18年版 労働経済の分析112

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

15~24歳 25~34歳 35~44歳 45~54歳 55~64歳 65歳以上

(%)

大学・大学院労働力人口比率

大学・大学院卒潜在的労働力人口比率

小学・中学・高校・旧中卒労働力人口比率

小学・中学・高校・旧中卒潜在的労働力人口比率

資料出所 総務省統計局「労働力調査」(2005年)より、厚生労働省労働政策担当参事官室にて試算  (注) 1)潜在的労働力率は、非労働力人口のうち、就業を希望している者を労働力人口に加算し、算出した。

2)就業を希望している者の中には、就業内定者が含まれる。

第2-(2)-11図 女性の労働力人口比率および潜在的労働力人口比率(学歴、年齢階級別)

2)勤労者意識の変化と働き方の選択

Page 13: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

になった者の58.1%が正社員として働くことを当然と考え、非正社員になった者も「正社員

にはなれなかったから」と不本意ながら非正社員になったとする割合が33.0%となった(第

2-(2)-13図)。このように、若年者の多くは正社員になることを希望しており、近年、

非正規的な働き方をする若年者が増えているのは、必ずしも若年者の就業意識のみによるの

ではないことがうかがえる。

他方、男性非正社員で「専門的な知識・技術を生かせるから」が 2番目に高い割合

(25.0%)となっているなど、非正社員という就業形態を自らの能力を生かし、伸ばすため

に選択している者や、「通勤が容易だから」、「自分の都合のよい時間に働きたいから」と

いった自己都合で非正社員を選んだと思われる者も多くおり、若年者の就業意識は多様であ

ることがうかがえる。就業形態の多様化の進展によって就職の際の選択肢に「非正規」とい

う雇用形態が加わったことにより、職業選択の場面における働き方の自己決定の重要性が増

してきているが、ただ、後にみるように、男性フリーターは年齢が長じるに従い正社員希望

が高くなる一方で、企業は年齢の高いフリーターを正社員として採用することに消極的であ

る。職業選択の場面で若年者がどのような働き方を選択するにせよ、その選択に際し、若年

者自身が今後のキャリア形成に係る認識を深める必要が出てきていることがうかがえる。

113

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

正社員

非正社員

希望どおり まあ希望どおり やや不本意

就職を諦めたかなり不本意 無回答

資料出所 (財)雇用開発センター「新世代の職業観とキャリア」(2002年)  (注) 1)首都圏に勤務しているか、首都圏に在住している34歳以下の男女。

2)非正社員にはパートタイマー、アルバイト、契約社員、派遣社員、いわゆるフリーターが含まれる。

第2-(2)-12図 若年者の自分の就職活動結果についての意識

Page 14: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(「就社」より「就職」に変化する若年者の就業意識)

次に、(財)社会経済生産性本部「働くことの意識」調査により、若年者の勤労に関する

意識はどのように変化したのかをみると、正社員として就業している若年者が「初めての会

社」を選ぶときに重視した理由については、次のような変化がみられる。

2005年の調査で最も多かった回答は「自分の能力、個性が活かせるから」で、全体の

31.3%となっており、他に「仕事が面白い」など個人の能力、技能ないし興味に関連する項

目が上位を占めた。一方、1985年には19.0%で2番目に挙げられていた「会社の将来性」が

2005年には8.3%に落ち込んでおり、勤務先企業に関連する項目は低い数字となった(第

2-(2)-14図)。これは、終身雇用制的な考え方が後退してきている現状において、「寄

らば大樹」的な思考が廃れ、一方で、個々人の技能や能力がより重要な意味をもつ成果主義

的なシステムを採用する企業の増加に伴い、個人の意識もこれに対応したものに変化してき

ていることを物語っているものと思われる。仕事の内容を重視する一方で、企業とは一定の

距離をおく「就社」より「就職」という若年層の姿が浮かび上がってくる。

若年者のこうした意識の変化について、職業意識の形成過程にある高校生の時点で価値観

がどのように変化してきているのかを(株)ベネッセコーポレーション「高等学校の進路指

平成18年版 労働経済の分析114

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0 10 20 30 40 50 60 70

正社員として就職するのが当たり前だと思ったから

長期間働き続けることができるから

責任のある仕事を担えるから

仕事を通じて職業能力を高めることができるから

高い賃金が得られるから

正社員以外の職を希望したが、周囲の反対があったから

正社員になれなかったから

通勤が容易だから

自分の都合のよい時間に働きたいから

家事・育児等の事情で正社員として働けないから

専門的な知識・技術を生かせるから

組織に縛られないから

勤務時間・日数が短いから

正社員として働くのは体力的に困難だから

(%)

男女計

女性

男性

正 社 員

非 正 社 員

資料出所 (独)労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査(従業員調査)」(2005年)

  (注) 集計対象は15~34歳の男女。複数回答。その他、無回答を除く。

第2-(2)-13図 若年層の現在の就業形態選択理由

Page 15: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

導に関する意識調査」により高校教師の視点からみると、「資格や免許、検定をとりたい」、

「専門的な知識や技術を身につけたい」など、実用志向が最も高まっていると認識されてい

る。また、「自分に合わない仕事はしたくない」、「自分の趣味や自由な時間を大切に暮らし

たい」などが増えてきたと認識されており、近年の若年者は高校生の段階から個人の能力、

技能や興味を重視し、居心地の良さや個性を伸ばすことを求める気持ちが強いことがうかが

える(第2-(2)-15図)。しかし、同調査により、高校生自身の将来展望に関する意識を

みると、「将来に希望を持っている」や「つきたい職業がある」生徒は1997年より増えてい

るが、「将来のはっきりした目標がある」生徒は減っている上、進路選択上重視することや

自分の能力・適性を把握できていない生徒が増えている。また、情報の調べ方は知っている

ものの、自分の希望に添った実社会で必要な要件などについて理解が得られておらず、情報

を取捨選択する知識やスキルが不足していることが考えられる(第2-(2)-16図)。

115

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0 5 10 15 20 25 30 35

自分の能力、個性を生かせるから

会社の将来性を考えて

技術が覚えられるから

仕事が面白いから

実力主義の会社だから

給料が高いから

どこへも行くところがなくやむなく

一流会社だから

地理的条件がいいから

経営者に魅力を感じたから

労働時間が短く、休日が多いから

寮・グランドなど福利厚生施設が充実しているから

(%)

1985年

1995年

2005年

資料出所 (財)社会経済生産性本部「働くことの意識」調査  (注) 1)複数回答。

2)その他の項目に「先輩が多いから」、「その他」があるが、前者については回答者が1%に満たないため、後者については2005年に選択項目から除外されたため、グラフから除外した。

第2-(2)-14図 新入社員の会社の選択理由

Page 16: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

平成18年版 労働経済の分析116

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

増えてきた

(4.01) 資格や免許、検定をとりたい

(3.86) 自分に合わない仕事はしたくない

(3.72) 自分の趣味や自由な時間を大切に暮らしたい

(3.71) 先のことを考えるより、今を楽しく生きたい

(3.70) 専門的な知識や技術を身につけたい

(3.60) 実社会で役立つことを学びたい

(3.48) 頑張って苦労や挑戦をせずとも人並みに暮らせればいい

(3.47) 納得のいかない進路選択はしたくない

(3.46) 将来について真剣に考えるのはまだ先でいい

今の世の中、定職に就かなくても暮らしていける

(3.45) 仕事で自分の個性や能力を活かしたい

(3.43) 自分が世の中や他人の役に立てるイメージが持てない

(3.37) 努力してみても大したことはできない

経済的な自立はいそがなくてよい

(3.36) 自分が興味のあることについて、もっと勉強したい

(3.27) 仕事から多くの収入を得られるかどうかは非常に重要だ

(3.19) 人よりも高い収入を得たい

(2.91) 仕事を通じ、人の役に立ったり、世の中に貢献したい

(2.84) 仕事を通じて自分自身を成長させていきたい

減ってきた

3.50

4.00

3.00(以前と変わらない)

資料出所 (株)ベネッセコーポレーション「高等学校の進路指導に関する意識調査」(2004年)  (注) 1)指導をしていて感じる最近の生徒の価値観/「当てはまる生徒が増えてきたか」に

ついて5件法で回答。2)数値は「とても減ってきた」を1、「とても増えてきた」を5とした平均値(3.00が基準値)。

第2-(2)-15図 高校教師が感じる生徒の価値観の変化

Page 17: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(若年者の希望と需要とのミスマッチ)

若年者の就職に関する希望が、実際の労働市場における需要と合致しているのかを新規高

卒者についてみると、実際の就職活動を開始する前の時点では、2000年以前はどの職種でも

求職者数に比べて求人数が大きく、2000年以降になると、求人数が減少した結果、生産工

程・労務等以外では求人と求職がほぼ合っている(第2-(2)-17図)。2005年3月卒の新

規高卒者の求人・求職者数をみても、その他を除くどの職種でも求人数が求職者数を上回っ

ているものの、生産工程・労務等では求人数に対する求職者数が大幅に少なくなっている。

また、構成比でみても、求人数の5割近くを占める生産工程・労務等に対し求職者数の構成

比は小さく、就職希望者が専門・技術、管理・事務や販売に偏っていることがみてとれる。

一方、実際の就職者数については生産工程・労務等に就職した者の数は求職者数より多く、

求人数との差が縮まっており、実際に職業を選択する場面において初めて職業の内容や労働

市場の状況を認識し、求職活動を行っている者もいることが推察される(付2-(2)-3表)。

117

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

19972004

19972004

19972004

19972004

19972004

19972004

1997

2004

1997

2004

1997

2004

全くあてはまらない+あまりあてはまらない

つきたい職業がある

将来に希望をもっている

努力をしてやり遂げるような 仕事をしたい

将来のはっきりした目標がある

進路選択上重視することが分かる

自分にはどのような能力・適性が あるのか知っている

希望する職業の知識を持っている

最近の産業・職業の知識を 持っている

進路選択上必要な情報の調べ方を 知っている

とてもあてはまる+まああてはまる

普通�専門普通�

普通�

普通�

普通�

普通�

専門

専門

専門

専門

専門

(年)

資料出所 (株)ベネッセコーポレーション「高等学校の進路指導に関する意識調査」(2004年)  (注) 1)高校2年生対象。

2)2004年の数値については、一部2003年のデータが含まれる。3)データが「普通�」、「専門」と分かれていない項目については、普通�、普通�、専門を合算集計した値。

4)学校類型区分は、次のとおり。普通科�:普通科・英語科・理数科等を主体とし(定員の6割以上)、ほとんど全員が4年制大学へ進

学する学校。普通科�:普通科・英語科・理数科等を主体とし(定員の6割以上)、4年制大学進学者が半数程度以

上あるいは半数程度以下の学校。専門学科:専門学科が主体の学校(定員の6割以上)。

70 60 50 40 30 20 10 0

(%)10 20 30 40 50 60 70

第2-(2)-16図 高校生の将来展望に関する自己概念

Page 18: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

また、求人数に占める就職者数の割合を事業所規模別にみると、事業所規模が小さくなるほ

ど充足率が低くなっている。特に、今回の景気回復期である2002年以降をみると、1,000人

以上規模では充足率が100%を超えて上昇傾向にあるのに対し、29人以下規模では下落傾向

にある(第2-(2)-18図)。

平成18年版 労働経済の分析118

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節 -28

-26-24-22-20-18-16-14-12-10-8-6-4-202468

1997 98 99 2000 01 02 03 04 05 (年)

(万人)

その他

生産工程・労務等

サービス販売

(求人超過)

専門・技術、管理・事務

希望職種未定(求職超過)

資料出所 厚生労働省「新規学卒者の労働市場」、「職業安定業務統計」  (注) 数値については、各職種別に「求職-求人」の差である。希望職種未定の者について

は、求人数との差ではなく求職者数そのものである。

第2-(2)-17図 職種別新規高卒者の「求職-求人」数の推移

0

20

40

60

80

100

120

140

1990 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 (年)

(%)

29人以下30~99人

100~299人

300~499人

500~999人

1000人以上

資料出所 厚生労働省「新規学卒者の労働市場」  (注) 充足率は、求人数に占める就職者件数の割合。

第2-(2)-18図 事業所規模別新規高卒者の充足率の推移

Page 19: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

このように、求職職種の偏りや事業所規模の違いによる充足率の差が生じていることの背

景には、前掲第2-(2)-16図でみたように、若年者は産業や職業に関する知識不足もあ

り求人の実態等に即した幅広い視点からの求職活動を行うことができず、希望する会社や職

種に偏りが生じてしまっていることも一因にあると考えられる。職業の内容や労働市場の状

況の理解が足らず、適切な職業選択を行うことができないまま就職した場合、早期の離転職

にもつながりかねないことから、より早い段階から若年者の就業意識を涵養していくことが

重要である。

(望まれるキャリア教育)

若年者が不足している知識を補い、しっかりとした就業意識を形成するためには、学校等

教育機関においてその基礎を作り上げておく必要があるが、18~24歳の者に学校に通うこ

との意義について内閣府「世界青年意識調査」によってみると、「職業的技能を身につける」

ためと答えた者の割合は22.2%にすぎず、各国と比べて最低水準となっている。日本の若年

者の学校に対して取組む姿勢が、必ずしも職業的な意義と結びついていないことがうかがえ

る(第2-(2)-19図、付2-(2)-4表)。

119

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0

10

20

30

40

50

60

1983 88 93 98 2003 (年)

(%)

ドイツ

アメリカ

日本

スウェーデン

韓国

資料出所 内閣府「世界青年意識調査」  (注) 1) 1993年調査までは、「学校でどのようなことを学んだり、経験したりしたと思いますか」と

いう問い、それ以降は在学者、非在学者両方に「学校に通うことはどのような意義がありますか」という問いの選択肢のひとつとして挙げたもの。複数回答。

2)調査時点で18~24歳の青少年が対象。

第2-(2)-19図 学校に通う意義を「職業的技能を身につける」ためと思う者の割合の国際比較

Page 20: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

一方、(株)リクルート「高校進路担当者の「キャリア教育」に関する意識調査」により、

高校進路担当者が「キャリア教育」が与える影響についてどのように考えているかをみると、

どの分類でみても「生徒にとって有意義だと思う」とする者の割合が最も高くなっている。

また、「望ましい進路指導が実現できそうな期待がある」も高い割合となっており、教育現

場においては「キャリア教育」の有効性を感じていることがうかがえる(第2-(2)-20

図)。

また、内閣府「青少年の社会的自立に関する意識調査」によると、調査対象となった15

~29歳の青少年の父親若しくは母親の70.2%が、子どもの今後の職業生活について「働い

てほしい」(「多少希望と違う仕事であっても,働いてほしい(働き続けてほしい)」、「希望

の仕事があれば,働いてほしい(働き続けてほしい)」の合計)と答えており、親の半数近

くが「多少希望と違う仕事であっても,働いて欲しい(働き続けてほしい)」と考えている

のに対し、子ども(調査対象の青少年のうち、調査時に学生・生徒又は無業者であった者)

は「働いても働かなくてもどちらでもよい」、「働きたくない」と答えた者が合計で1割近く

もおり、親と子との意識には違いがある。とはいえ、「本人の選択に任せたい」とする親も

平成18年版 労働経済の分析120

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

生徒にとって有意義だと思う

提唱されている内容どおりに現場が取り組む としたら教員の負担は相当大きくなりそう

学校現場で浸透するかは未知数

望ましい進路指導が実現できそうな期待がある

進路指導や職業教育と「キャリア教育」の 違いがわからず主旨が見えない

「キャリア教育」において教員が果たすべき 役割が見えない

今は注目されているが、「キャリア教育」という 言葉も内容もいずれ忘れ去られると思う

「キャリア」の意味がわからない

普通科

総合学科

専門高校

資料出所 (株)リクルート「高校進路担当者の「キャリア教育」に関する意識調査」(2005年)  (注) 1)複数回答。

2)普通科単独もしくは中心校を「普通科」、総合学科単独もしくは併設校を「総合学科」、工業・商業・家政・農業を中心とする高校を「専門高校」と表記した。

0 10 20 30 40 50 60 70 80(%)第2-(2)-20図 「キャリア教育」の影響についての考え

Page 21: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

26.1%おり、職業をめぐる価値観が大きく変化する中で、子どもに対し必ずしも十分な規範

性を示せていない状況も見受けられ、今後キャリア教育の必要性がますます高まってくるも

のと考えられる(第2-(2)-21図)。

(若年者間でも異なる就業意識)

就業意識に限らず、若年者の自分や仕事に対する考え方を内閣府「若年層の意識実態調査」

によってみると、「自分は幸せだと思う」、「仕事より自分の生活を大事にしたい」、「将来へ

の不安がある」、「豊かでなくても気ままに暮らしたい」という項目が正社員、フリーターと

も高い割合を占めている。将来へ不安があっても、自分の幸福観や生活、心の安定を重視す

る傾向が若者に共通した気質としてあり、正社員とフリーターの境目はあまりないことがう

かがえる。ただし、「より専門的・高度な仕事がしたい」、「より責任のある仕事がしたい」

では正社員の方が多い一方、「仕事が面白くなければやめればよい」という考え方について

はフリーターが多くなっている。このように、フリーターの方が専門性の高い職務や高度な

仕事に就くことや、仕事を継続することに執着しない者が多くなっており、この点では正社

員とフリーターの間に一定の違いがみられる(第2-(2)-22図)。

さらに、フリーター自身に「なぜフリーターという職業を選択したのか」を訊いたところ、

定職希望のフリーターでは前向きな理由をあげる割合が高く、将来に対して何らかの目標を

121

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

青少年

希望と違う仕事であっても,働きたい

希望の仕事があれば働きたい 働きたくない わからない

その他働いても働かなくてもどちらでもよい

『働きたい』計

76.3%

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

多少希望と違う仕事であっても,働いてほしい(働き続けてほしい)

希望の仕事があれば,働いてほしい(働き続けてほしい) 働かないでほしい 特に希望はない

その他

働いても働かなくてもどちらでもよい

『働いてほしい』計

70.2%

本人の選択に任せたい

無回答

資料出所 内閣府「青少年の社会的自立に関する意識調査」(2005年)(注) 調査対象は、調査時に15~29歳の者とその父親もしくは母親(ただし、上記図の青少年に対する

問は、調査時に学生・生徒又は無業者であった者に質問している。)。

第2-(2)-21図 親と子の就労意識

Page 22: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

持ち、とりあえずの選択肢としてフリーターという就業形態を選択した者が多いと考えられ

る。一方、フリーター継続希望の者では、「アルバイトの方が働く時間を自由に決められる

から」、「定職だと会社に拘束されることが多くなるから」、「定職に就かなくても生活できる

から」などが高い割合となり、定職希望の者との差も大きくなっている(第2-(2)-23

図)。定職希望の者とフリーター継続希望の者とでは、就業意識に大きな違いがある。

就業形態の選択や就労において、自分の能力や価値観を重視する若年者が多いが、彼らは

社会人として我が国の経済社会を担っていく上で重要な過渡期にあり、また、彼らの意識が

社会の変化を反映したものであることを鑑みても、行政をはじめ、企業や地域が連携しなが

ら若年者の希望する働き方を理解し安定的な雇用につなげるように努めることが重要である

といえる。

平成18年版 労働経済の分析122

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

自分は幸せだと思う

仕事より自分の生活を

大事にしたい

将来への不安がある

豊かでなくても

気ままに暮らしたい

仕事のための勉強は

積極的に行いたい

より専門的・高度な

仕事をしたい

より責任のある

仕事をしたい

仕事が面白くなければ

辞めればよい

無理と思われるくらいの

目標を立てる

(%)

正社員フリーター

資料出所 内閣府「若年層の意識実態調査」(2003年)(注)1)「あなたは自分や仕事に関する考え方についてどのように思いますか。ひとつひとつにつ

いてあなたの考え方に近いものをお答えください。」という問に対し、「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答した者の割合。他の選択肢に「どちらかといえばあてはまらない」「あてはまらない」がある。

2)「フリーター」は、学生と主婦を除く若年のうち、パート・アルバイト(派遣等含む)および働く意志のある無職の人。

3)調査対象は全国の20~34歳の男女。

第2-(2)-22図 若年の自分や仕事に対する考え方

Page 23: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(高齢者の高い就業意欲の背景)

前項でみたような我が国の労働力人口の高齢化の中では、労働市場における高齢者の有効

な活用が重要になってくる。高年齢者雇用安定法が改正され、企業は65歳までの雇用機会

確保を段階的に行うことが義務づけられたが、どのような雇用機会の提供が高齢者自身の就

業意欲や希望に応えることができるのか、高齢者の勤労に関する意識についてみることとす

る。

我が国の高齢者の就業意欲が高いことはすでに述べたとおりであるが、厚生労働省「高年

齢者就業実態調査」でその要因をみると、調査対象のすべての年齢階層において「経済上の

理由」が最も高い就業理由となっている。ただし、年齢を経るごとにその割合は減少し、代

わりに健康上の理由や生きがい、社会参加のため等といった生計目的以外の理由が増加して

いる。次に、2000年と2004年を比較してみると、男性では経済上の理由は減少しているも

のの、女性では増加している(第2-(2)-24図)。しかしながら、女性で増加したことに

ついて内訳をみると、「生活維持のため」ではなく、「生活水準を上げるため」が上昇してい

る。また、高年齢女性の配偶者なしの人口は2000年と比べてあまり変化はなく、また、労

働力人口も同様となっている(付2-(2)-5表)。これらのことから、高齢者の就業は現

123

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

資料出所 (株)リクルートワークス研究所「アルバイターの就労等に関する調査」(2000年)   (注) 複数回答(該当するものすべて)。無回答を除く。

0

10

20

30

40

50

60

70

アルバイトの方が働く時間を

自由に決められるから

定職だと会社に

拘束されることが多いから

定職に就かなくても生活できるから

仕事以外のやりたいことと

両立しやすいから

色々な仕事や人間関係を

経験できるから

自分をまだ一定の枠に

はめたくないから

定職より時間あたり

賃金が高いから

何となく

自分の能力、

専門性を生かしたいから

正社員としての就職を諦めたから

正社員として採用されなかったから

将来の夢、希望を実現するため

自分に合う仕事を

見つけるまではアルバイト

将来的に独立した

プロとして活動したいから

専門的な技術、

知識を身につけるため

定職についても結婚後状況が

変わると思うから

家庭の事情等で定職で

働くことができないから

その他

(%)

定職希望の者

フリーター継続希望の者

第2-(2)-23図 フリーターの動機、理由

Page 24: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

役時代のように生計を主たる目的とした就労が多いものの、余暇を楽しむため等ある程度ゆ

とりをもった状況の下での就労に変化してきている様子もうかがえる。

(年齢とともに多様化する高齢者の就業形態)

このような状況の変化は働き方に変化をもたらす。まず、地域の中での働き方である。

2000年調査に比べて任意就業や自営業希望が増えていることからも、その広がりがわかる。

これまでは「社縁」を中心とした生活を送ってきたサラリーマンにとって、農業などの自営

業やシルバー人材センター等での任意就業などの形で地域社会と関わることは、地域におけ

平成18年版 労働経済の分析124

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2000 2004 2000 2004 2000 2004 (年)55~59歳 65~69歳60~64歳

頼まれたから、 時間に余裕が あるから

経済上の理由

生きがい・ 社会参加のため

健康上の理由

その他・

不明

(男性)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2000 2004 2000 2004 2000 2004 (年)55~59歳 65~69歳60~64歳

(女性)

頼まれたから、 時間に余裕が あるから

経済上の理由

生きがい・ 社会参加のため

健康上の理由

その他・

不明

資料出所 厚生労働省「高年齢者就業実態調査」

(%)

(%)

第2-(2)-24図 年齢階級別高年齢者の就業理由別割合

Page 25: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

る新たな人とのつながりを形成するきっかけともなり、有意義な引退生活を送る上での貴重

な財産となる。

もうひとつは、短時間勤務の広がりである。前回調査と比べると短時間勤務希望者の割合

は減少しているが、それでも男性では36.9%の者が希望している(第2-(2)-25図)。年

齢階級別にみて、60歳以上で短時間勤務希望者の割合が急激に上昇していることからも(第

2-(2)-26図)、高齢者の重要な就業機会となっていることがわかる。

125

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1992 1996 2000 2004 (年)

自営業主希望

普通勤務希望

任意就業希望

短時間勤務希望

その他

内職希望

(男性)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

1992 1996 2000 2004 (年)

(女性)

自営業主希望

普通勤務希望

任意就業希望

短時間勤務希望

その他

内職希望

資料出所 厚生労働省「高年齢者就業実態調査」  (注) 「任意就業」とは、近所の人や会社などに頼まれて、任意に行う仕事をいう。

(%)

(%)

第2-(2)-25図 高年齢就業希望者の希望する勤務形態別割合の推移

Page 26: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

一方、高齢者の健康状態についてみると、現在の健康状態について「元気である」とする

労働者の割合は65歳以上でも66.0%となっており、元気な高齢者が多い。また、引退時期

については年齢が高まるほど仕事から引退する者も増えてくるが、3割~4割の者が「年齢

に関係なくいつまでも働きたい」とし、年齢階級にかかわらず就業意欲の高い者が一定数存

在することがうかがえる。

とはいえ、実際の就業形態は、60歳以上になると急に非正規従業員の割合が高まり、その

雇用形態もパートやアルバイト、契約社員など多様化してくる(前掲第2-(2)-26図)。

これは、元気で就業意欲の高い高齢者が多いとはいえ、高齢期にはいるとその体力、就業動

機や意欲などの個人差が大きくなることが背景として考えられる。そのような高年齢者の能

力を発揮するための環境整備としては、まず、こうした多様性に対応しうる雇用機会の確保

が必要である。

また、職業生活がますます長期化する中で、能力発揮の基本的な条件としてあげられるの

は心身の健康確保である。とりわけ労働力人口が高齢化している昨今においては、健康診断

の実施などの産業保健サービスがあらゆる労働者に的確に提供されることが労働者の活力の

平成18年版 労働経済の分析126

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

短時間勤務希望者の割合

05101520253035404550

55~59歳 60~64歳 65歳以上

(%)

雇用形態別就業者数の構成

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

55~59歳

60~64歳

65歳以上

正規の職員・従業員 契約社員

派遣社員

パート

ふだんの健康状態

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

55~59歳

60~64歳

65歳以上

元気

あまり元気でない

病気がち・病気

就業についての引退時期

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

55~59歳

60~64歳

65歳以上

引退を考えたことがある

年齢に関係なくいつまでも働きたい

すでに仕事を辞めているその他アルバイト

資料出所 厚生労働省「高年齢者就業実態調査」(2004年)(注) 男性についてみている。

資料出所 厚生労働省「高年齢者就業実態調査」(2004年)(注) 1)「適当な仕事が見つからなかった」男性就業

希望者についてみている。2)ほかに「普通勤務」、「任意就業」、「内職」、「自営業主」、「その他」の項目がある。

資料出所 厚生労働省「高年齢者就業実態調査」(2004年)(注) 男性についてみている。

資料出所 総務省統計局「就業構造基本調査」(2002年)(注) 男性についてみている。

(%) (%)

(%)

第2-(2)-26図 高年齢者の就業実態

Page 27: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

基盤をなすものとして期待される。

(女性の就業希望の変化と我が国の特徴)

我が国全体の労働力人口が減少している中にあっても増加傾向にある女性の労働力は、今

後の我が国の経済社会を支える貴重な戦力となりうる。女性がどのような勤労意識を持ち、

どのような就業形態を希望しているのかについてみることとする。

まず、女性自身からみた就職意識の推移をみると、出産後も就業を続ける「就業継続型」

の割合が増えてきており、2004年には、結婚や出産等により一時労働市場から退出した後再

び就職する「再就職型」希望の割合を超えている。このように、子どもができても就業継続

することを是とする意識が徐々に一般的なものとなってきた様子がうかがえる(第2-

(2)-27図)。これを国際比較してみると、日本を含めたアジア3カ国は欧米4カ国に比べ

て女性は職業より家庭を優先するべきとする考え(家庭優先規範。「女性は職業をもたない

方がよい」、「結婚までは職業をもつ方がよい」、「子どもができるまでは職業をもつ方がよい」

の3つ。)が強く、特にフィリピンではこの3つの合計が46.2%と突出している。類似してい

る韓国と日本で比べてみると、日本は3つの合計が18.3%、韓国が12.1%と、日本の方が韓

国よりも家庭優先規範が強く、調査対象国の中ではフィリピンに次いで2番目に高い割合と

なっている。「子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつのがよい」と

いう再就職型を理想とする考えは、日本・韓国・ドイツで高く、約3分の1の支持を得てい

る(第2-(2)-28図)。

127

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

1992年

1995年

2000年

2002年

2004年

子どもができてもずっと仕事を続ける

子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい

子どもができるまでは職業をもつ方がよい

結婚するまでは職業をもつ方がよい

女性は職業を持たない方がよい

資料出所 内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」

わからない

第2-(2)-27図 女性の就職意識の推移

Page 28: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(女性が希望する就業形態と職場環境)

次に、現在の就業形態を選択した理由を、(独)労働政策研究・研修機構「多様化する就

業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」によって、年齢階級別にみると、正

社員では各年齢層とも長期間働くことや仕事のやりがいを重視している。一方、非正社員で

は通勤や勤務時間など、自己都合を重視した結果として非正社員を選択した者の割合が高い。

特に35~54歳層では「家事・育児の事情で正社員として働けないから」とした割合が高く、

育児や家事を優先させたためにやむを得ず非正社員を選択した者が多いことがうかがえる

(第2-(2)-29図)。また、(財)21世紀職業財団「女性労働者の処遇等に関する調査」

によると、就業継続を困難にする理由の上位に「育児」、「介護」、「家事」が並んでおり、こ

のことからも仕事と家庭の両立の困難さが女性の非正規的な働き方を促進させていることが

うかがえる(第2-(2)-30図)。

なお、家事・育児の事情以外の理由で、正社員としての就職が叶わず、非正規的な働き方

を選択している者が多く存在することにも留意する必要がある。

働き続けていく上で必要なことは何かを前出「女性労働者の処遇等に関する調査」でみる

と、最も高いのが「子育てしながらでも働き続けられる制度や職場環境」であり、ついで

「やりがいが感じられる仕事の内容」、「育児や介護のための労働時間面での配慮」となって

おり、女性が継続して就業できるための企業の環境面での整備が求められていることがうか

がえる(第2-(2)-31図)。

末子の年齢別に女性の有業率をみると、末子の年齢が低いほど女性の有業率は低く、子ど

もが小学校に入学する6歳までは、有業率は50%に満たない(第2-(2)-32図)。しか

しながら、末子の年齢が低いほど、女性の非労働力人口のうちの就業希望者の割合は高い

(第2-(2)-33図)。このことから、高い就業意欲をもちながらも実際は育児などにより

平成18年版 労働経済の分析128

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0 20 40 60 80 100(%)

日本

韓国

フィリピン

アメリカ

スウェーデン

ドイツ

イギリス

子どもができてもずっと仕事を続ける

子どもができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業をもつ方がよい

子どもができるまでは職業をもつ方がよい

結婚するまでは職業をもつ方がよい

女性は職業を持たない方がよい

その他

わからない

資料出所 内閣府「男女共同参画社会に関する国際比較調査」(2002年)

第2-(2)-28図 女性が職業をもつことについての国際比較

Page 29: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

働くことができないでいる女性が多いことがうかがえる。また、末子が成長するにつれ就業

を希望する者は就業し、非労働力人口に残る女性は就業を希望しない専業主婦等が多くなっ

てくるものと考えられる。

さらに、このような就業を希望しているが育児や家事のために就業が困難となっている就

学前の子供を持つ女性について、再就職のために希望する支援策は何かを日本労働研究機構

(現(独)労働政策研究・研修機構)「育児や介護と仕事の両立に関する調査報告書」によっ

てみると、保育施設等子どもを預けられる場所の充実が高い割合で挙げられるとともに、再

就職のための情報や訓練も高い割合となっている(第2-(2)-34図)。

このように、女性が希望する就業形態は、子の成長段階や家事などの状況により様々であ

る。女性が仕事と育児の両立をするためには、保育の充実とともに、企業における柔軟な両

立支援の取組みが重要であるといえる。

129

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0 10 20 30 40 50 60 70

正社員として就職するのがあたりまえだと思ったから

長期間働き続けることができるから

仕事を通じて職業能力を高めることができるから

責任のある仕事を担えるから

高い賃金が得られるから

正社員以外の職を希望したが、周囲の反対があったから

正社員にはなれなかったから

通勤が容易だから

自分の都合の良い時間に働きたいから

家事・育児等の事情で正社員としては働けないから

組織に縛られないから

勤務時間・日数が短いから

専門的な知識・技術を活かせるから

正社員として働くのは体力的に困難だから

(%)

非 正 社 員

正 社 員

55歳以上

35~54歳

15~34歳

資料出所 (独)労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査(従業員調査)」(2005年)

  (注) 複数回答。その他、無回答を除く。

第2-(2)-29図 女性の年齢階級別現在の就業形態選択理由

Page 30: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

平成18年版 労働経済の分析130

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

資料出所 (財)21世紀職業財団「女性労働者の処遇等に関する調査」(2005年)  (注) 複数回答。

0 10 20 30 40 50 60

子育てしながらでも働き続けられる制度や職場環境

やりがいが感じられる仕事の内容

育児や介護のための労働時間での配慮

相談できる同僚や先輩がいること

結婚や出産、育児で女性社員が差別されない職場風土、環境

男女均等な待遇と公正な人事評価

残業があまり多くないこと

勤務時間が柔軟であること

女性を一人前に扱う企業風土

その他

不明

(%)第2-(2)-31図 就業継続に必要な事項

資料出所 (財)21世紀職業財団「女性労働者の処遇等に関する調査」(2005年)  (注) 複数回答。

0 10 20 30 40 50 60 70 80

育児

介護

家事

家族の理解のなさや反対

夫の転勤

女性に対する職場の理解のなさ

男性優位の職場風土

男女均等な職場でないこと

女性の意欲や能力が劣っているという偏見

その他

不明

(%)第2-(2)-30図 就業継続を困難にする理由

Page 31: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

131

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

総数

0歳

1歳

2歳

3歳

4歳

5歳

6歳

7~8歳

9~11歳

12~14歳

15~17歳

(%)

自営・家族・役員等

仕事あり

一般常雇者

仕事なし

その他

1年未満契約

仕事なし

資料出所 厚生労働省「平成13年国民生活基礎調査 特殊報告「世帯にみる女性の就業」」(2004年)

第2-(2)-32図 末子の年齢階級別にみた女性の有業率

資料出所 総務省統計局「労働力調査(詳細結果)」(2005年)(注) 1)子供のいる世帯総数を100とした、非労働力人口のうちの

就業希望者の割合。2)子供のいる世帯とは、夫婦と子供からなる世帯数と、夫婦、子供と親からなる世帯数の合計。

0

5

10

15

20

25

30

0~3歳 4~6歳 7~9歳 10~12歳 13~14歳 15~17歳 18歳以上

(%)

第2-(2)-33図 末子の年齢別妻の就業希望者割合

Page 32: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(フリーターの正社員化への希望は高い)

若年層は今までと比べ自由や自己実現を重視して就業形態を選択しているようにみえる

が、現在の職業生活に対する満足度について見てみる。

まず、フリーターが今後希望する就業形態をみると、正社員を希望する割合は、男性では

最も低い20歳未満男性でも60.7%にのぼっており、年齢が長じるに従い正社員化への希望

が強くなっていく。女性では、20歳未満と30~34歳でそれぞれ32.4%、32.0%とやや低い

ものの、20~30歳では高い割合で正社員希望となっている(第2-(2)-35図)。

さらに、なぜ正社員化を希望するのかを探るため、フリーターの意識を定職希望の者とフ

リーター継続希望の者に分けて考える。(株)リクルートワークス研究所「アルバイターの

就労等に関する調査」によると、定職希望、フリーター継続希望において差はあるものの、

「いざというときの保証がない」、「生活が安定しない」、「病気したときに収入がなくて困る」、

「将来に不安」といった項目が高い割合で挙げられている。同時に、「自由な時間を多くとれ

平成18年版 労働経済の分析132

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0 10 20 30 40 50 60 70 80

保育施設の充実

仕事と子育ての両立や再就職の準備に役立つ情報の提供

再就職活動(訓練などの準備活動を含む)のための一時的保育

放課後児童クラブ等の学童保育の充実

再雇用制度

職業能力開発のための訓練に対する経済的支援

試行的な雇用の場

子育てを含めた生涯にわたるキャリア相談

自分に適した訓練の選定のアドバイス

働く事への不安感を払拭するためのセミナーや個別相談

特にない

(%)

資料出所 日本労働研究機構(現(独)労働政策研究・研修機構)「育児や介護と仕事の両立に関する調査報告書」(2003年)

  (注) 1)複数回答。2)「出産1年前には雇用者で現在は無職」かつ「就学前の子供がいる女性」が対象。 (「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさでやめた」とする者が回答している。)

第2-(2)-34図 円滑な再就職のために必要な支援策

3)仕事に対する満足感とその行方

Page 33: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

る」、「好きな時間に働ける」といった項目も高い割合で挙げられており、これは、フリー

ターは現時点における満足感はあるが、将来的に自分の生活を概観すると不安要素が多いこ

とを意識した結果であると考えられる。また、定職希望、フリーター継続希望を比較すると、

定職希望の者の方が将来への不安を感じている者の割合が高い(第2-(2)-36図)。

133

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

20歳未満

20~24歳

25~29歳

30~34歳

20歳未満

20~24歳

25~29歳

30~34歳

正社員パート・アルバイト・フリーター

その他

特に希望する働き方はない

契約社員・嘱託

(男性)

(女性)

無回答

(%)

資料出所 (株)リクルートワークス研究所「非典型雇用労働者調査」(2001年)[フリーター編]  (注) 1)就業継続の意向があるフリーターが対象。単一回答。

2)「その他」には派遣、業務請負、その他が含まれる。

第2-(2)-35図 フリーターが希望する就業形態(性、年齢階級別)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

いざという時の保証がない

自由な時間を多く取れる

生活が安定しない

病気した時に

収入がなくて困る

将来に不安がある

好きな時に働ける

色々な世界を

覗くことができる

仕事の割に収入が低い

多くの貴重な経験がある

自分の本当にやりたい

ことができる

好きな場所で働ける

現在の生活から

抜けられなくて困っている

いつまでたっても

仕事の質が上がらない

責任のある仕事につけない

自分の個性を生かせる

結婚の障害になる

正社員では得られない

高収入が得られる

(%)

定職希望の者

フリーター継続希望の者

資料出所 (株)リクルートワークス研究所「アルバイターの就労等に関する調査」(2000年)  (注) 複数回答。その他、無回答を除く。

第2-(2)-36図 フリーターのメリット、デメリット

Page 34: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(若年非正社員の満足度は減少)

では、フリーターに限らず、若年者は現在の就業形態や仕事に関しどの程度満足している

のだろうか。厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」により職業生活全体に

対する満足度をみると、1999年は男女とも非正社員の方が満足度が高かったのに対し、2003

年は正社員の方が満足度が高くなっている。非正社員の満足度は1999年に比べて大きく落

ち込み、特に男性パートタイム労働者の満足度が大きく低下している(第2-(2)-37図)。

差が生じた背景には、正社員に就けないためにやむをえず非正社員になったとする者の大幅

な増加があると考えられる(前掲第2-(2)-13図、付2-(2)-6表①、②参照)。

前出「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」により、若年

者が現在の仕事について満足している理由をみると、正社員、非正社員とも「仕事にやりが

いがあるから」、「人間関係がよいから」、「自分の能力が生かせるから」が高い割合となった。

また、女性では「希望の労働時間で働くことができるから」が36.3%と高割合となった。逆

に、不満である理由をみると正社員、非正社員とも「賃金が安い」を挙げる者の割合が最も

高くなっており、特に非正社員では71.4%の者が不満とした。その他としては「有給休暇が

平成18年版 労働経済の分析134

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

(男性 2003年)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

年齢計 15~34歳 35~54歳 55歳以上

(男性 1999年)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

年齢計 15~34歳 35~54歳 55歳以上

(女性 2003年)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

年齢計 15~34歳 35~54歳 55歳以上

(女性 1999年)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

年齢計 15~34歳 35~54歳 55歳以上

正社員非正社員

資料出所 厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」を(独)労働政策研究・研修機構にて特別集計。

  (注) 満足度指数は、「満足」(%)×2+「まあ満足」(%)×1+「やや不満」(%)×(-1)+「不満」

第2-(2)-37図 満足度指数(性、年齢、就業形態別)

Page 35: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

とりにくい」、「労働時間が長いまたは希望に合わない」等の労働環境の厳しさに対しての不

満のほか、「仕事にやりがいがない」、「会社の考え方に共感できない」などが高い割合で挙

げられた(第2-(2)-38表)。

若年期は、将来に向けて職業能力を形成していく上で重要な時期であるといえる。こうし

た時期に労働市場に参加しなかったり、非正規での働き方を選択したために十分な職業能力

開発が図れなかったりした場合には、今後の労働市場、ひいては我が国の経済活動にも大き

な支障をきたすことになろう。若年者の労働意欲を引き出し、高い生産性を実現していくた

めには、現実を見据えた職業生活設計と職業選択を自ら行うことができるように導くととも

に、彼らのニーズに沿った働き方を可能にするような職場環境を作り出していくことが重要

である。

135

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

男性

合計

正社員

非正社員

女性

合計

正社員

非正社員

20.7

20.5

22.9

19.4

19.2

19.6

12.2

12.6

8.6

12.8

10.7

16.1

自分の能力が活かせない

経験が評価されない

21.6

22.7

11.4

20.1

19.8

20.5

昇進機会が少ない

64.8

64.7

65.7

59.2

50.3

73.2

賃金が安い

40.3

41.3

31.4

18.7

22.6

12.5

労働時間が長いまたは希望に

合わない

41.5

44.2

17.1

32.5

42.4

17.0

有給休暇がとりにくい

15.6

16.1

11.4

14.9

16.4

12.5

職業能力開発機会が充分でな

16.8

17.0

14.3

13.8

16.4

9.8

福利厚生が充実していない

6.5

4.7

22.9

13.8

4.5

28.6

雇用が不安定

29.5

31.2

14.3

40.8

46.3

32.1

仕事にやりがいがない

37.2

36.9

40.0

29.1

35.0

19.6

仕事が精神的・身体的にきつ

7.7

8.2

2.9

4.5

5.6

2.7

労働安全衛生面での不安があ

21.9

20.5

34.3

26.0

30.5

18.8

人間関係が悪い

39.8

40.4

34.3

31.1

35.6

24.1

会社の考え方に共感できない

5.4

5.7

2.9

8.3

10.7

4.5

その他

0.3

0.3

0.3

0.9

無 回 答

(不満足である理由)

男性

合計

正社員

非正社員

46.8

46.3

50.0

女性

合計

正社員

非正社員

31.5

31.4

32.3

11.7

11.6

12.5

10.4

12.1

7.1

自分の能力を活かせるから

経験が評価されるから

7.8

8.3

5.0

2.7

3.9

0.8

昇進機会が公平に開かれてい

るから

13.8

13.2

17.5

11.0

11.6

9.4

賃金水準が満足できるから

12.4

10.3

25.0

36.3

30.4

44.9

希望の労働時間で働くことが

出来るから

14.9

14.9

15.0

28.9

28.5

29.9

有給休暇が取りやすいから

8.9

7.9

15.0

1.8

2.4

0.8

職業能力開発機会が充分にあ

るから

13.5

13.6

12.5

13.1

14.5

11.0

福利厚生が充実しているから

27.3

28.1

22.5

28.3

36.2

15.7

雇用が安定しているから

63.1

63.2

62.5

45.2

49.8

38.6

仕事にやりがいがあるから

8.2

7.9

10.0

10.4

7.7

15.0

仕事が楽であるから

3.5

3.3

5.0

4.2

3.9

4.7

労働安全衛生面での配慮があ

るから

44.3

41.3

62.5

58.9

58.0

61.4

人間関係がよいから

9.9

10.3

7.5

2.4

3.4

0.8

会社の考え方に共感している

から

3.9

3.7

5.0

4.2

2.4

7.1

その他

0.6

0.5

0.8

無 回 答

(満足している理由)

資料出所 (独)労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査(従業員調査)」(2005年)

  (注) 15~34歳の男女の回答(複数回答)。

(単位 %)

第2-(2)-38表 現在の仕事に満足、不満足な理由(若年者)

Page 36: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(高齢者は仕事に対する満足感が高い)

高齢者の高い就業意欲は、生活維持等必要に迫られたものもあるが、ある程度ゆとりを

もった状況下で就業を求めることからも生じている。また、高齢者の仕事に対する満足感は、

他の年齢階級に比べてかなり高い(前掲第2-(2)-37図)。満足している理由としては、

正社員、非正社員とも「自分の能力を生かせるから」、「仕事にやりがいがあるから」、「経験

が評価されるから」が高くなっており、経験に即した仕事の内容とこれまで培ってきた自分

の能力のマッチングがとれていることから、満足感を感じていることがわかる。また、非正

社員では「希望の勤務時間で働くことができるから」(31.6%)、「人間関係がよいから」

(42.3%)、「仕事が楽であるから」(8.7%)などが正社員と比べて高くなっており、正社員よ

りも身体的、精神的にゆとりを持って働けることが満足度につながっていると考えられる

(第2-(2)-39図)。

このように、高齢者はこれまでの経験と能力を活かした職業に就くことで高い満足感を得

ているが、求めている働き方は個々人の状況に応じて様々である。豊富な経験と高い技能を

もつ高齢労働者を有効に活用するためには、個々人の能力や希望、健康状況に見合った職務

を与えることが重要である。

平成18年版 労働経済の分析136

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

0 10 20 30 40 50 60 70

自分の能力が生かせるから

仕事にやりがいがあるから

経験が評価されるから

雇用が安定しているから

人間関係がよいから

有給休暇が取りやすいから

希望の労働時間で働くことができるから

会社の考え方に共感しているから

労働衛生面での配慮があるから

福利厚生が充実しているから

賃金水準が満足できるから

昇進機会が公平に開かれているから

仕事が楽であるから

職業能力開発機会が十分にあるから

その他

非正社員

正社員

資料出所 (独)労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査(従業員調査)」(2005年)

  (注) 1)現在の仕事に満足している理由に対する55歳以上の男女の回答結果(複数回答)。2)無回答を除く。

(%)

第2-(2)-39図 高年齢者が仕事に満足している理由

Page 37: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(女性の満足度と仕事と育児の両立)

女性は、出産・育児期の就労に困難を抱え、就労できたとしても家事との両立などの問題

を抱えているが、それら女性の満足度を前出「就業形態の多様化に関する総合実態調査」で

みると、2003年では1999年に比べて正社員の満足度が高くなっているが、正社員、非正社

員の満足度の格差は小さく、どちらもある程度の満足感を得られていることがみてとれる

(前掲第2-(2)-37図)。これを、前出「育児や介護と仕事の両立に関する調査報告書」

により仕事と育児の両立の観点からみてみると、「仕事と育児をうまく両立できている」と

する者は全体で3割に満たない数字となった。正社員と非正社員で比べると、「仕事に満足

していない」とする正社員の割合は15.9%にとどまったが、「育児に満足していない」とす

る者が17.9%と高く、非正社員に比べ7.1%高くなった。また、「仕事と育児のどちらも中途

半端で不満がある」とする者の割合が非正社員に比べて低い。このように、正社員の女性は

ある程度仕事に満足しているが、育児には不満を抱えている。逆に、非正社員では、うまく

両立できているとする者や育児にはある程度満足している者が多いが、仕事に対して満足し

ていない者が多くなっている(第2-(2)-40図)。

女性の就業意識は高いが、出産・育児期という仕事との両立が困難な時期があるために、

就業と育児の両方に満足することは難しい状況がみられる。女性が子育てについてもしっか

り力を注ぎながら満足のいく就業をするためには、家族や企業の理解と柔軟な対応が求めら

れている。

137

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

雇用者女性計

正社員

正社員以外(パート等)

育児の影響があり仕事に満足していない

どちらともいえない仕事と育児をうまく両立できている仕事の影響があり育児に満足していない

仕事と育児のどちらも中途半端で不満がある

資料出所 日本労働研究機構(現(独)労働政策研究・研修機構)「育児や介護と仕事の両立に関する調査報告書」(2003年)

  (注) 女性の雇用形態にかかわらず、夫と共働きで、就学前の子どもがいる女性が対象。

(%)第2-(2)-40図 仕事と育児の両立に対する満足度

Page 38: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(女性の満足度を高めるために求められるもの)

前出「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査」により正社員

女性が現在の仕事に満足している理由をみると、15~34歳では「人間関係がよいから」を

挙げる者が最も多く、次に、「仕事にやりがいがあるから」となっており、35~54歳、55歳

以上でもこのふたつが高い割合で挙げられている。また、非正社員女性では「希望の労働時

間で働くことができるから」を上位に挙げている。一方で、不満である理由としては、「賃

金が安い」、「仕事にやりがいがない」など、正社員、非正社員を問わず高い割合となってい

る項目もあるが、就業形態間で特徴的な点を挙げると、「有給休暇がとりにくい」、「仕事が

精神的・身体的にきつい」などでは正社員の不満が大きく、非正社員では、「雇用が不安定」

とする者の割合が大きい(第2-(2)-41表)。

平成18年版 労働経済の分析138

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節

自分の能力を活かせるから

経験が評価されるから

昇進機会が公平に開かれているから

賃金水準が満足できるから

希望の労働時間で働くことが出来るから

有給休暇が取りやすいから

職業能力開発機会が充分にあるから

福利厚生が充実しているから

雇用が安定しているから

仕事にやりがいがあるから

仕事が楽であるから

労働安全衛生面での配慮があるから

人間関係がよいから

会社の考え方に共感しているから

その他

無 回 答

正社員 15~34歳

35~54歳

55歳以上

31.4

44.0

37.7

12.1

18.9

28.3

3.9

5.0

3.8

11.6

11.3

11.3

30.4

15.7

28.3

28.5

22.6

28.3

2.4

1.9

1.9

14.5

10.7

11.3

36.2

34.6

34.0

49.8

48.4

64.2

7.7

7.5

3.8

3.9

5.0

13.2

58.0

36.5

32.1

3.4

5.0

5.7

2.4

2.5

3.8

0.5

0.6

非正社員計 15~34歳

35~54歳

55歳以上

32.3

32.0

23.5

7.1

14.5

22.1

0.8

1.8

9.4

8.3

10.3

44.9

53.5

47.1

29.9

32.9

25.0

0.8

0.9

1.5

11.0

4.8

8.8

15.7

30.7

33.8

38.6

32.0

32.4

15.0

11.0

7.4

4.7

5.3

4.4

61.4

50.4

58.8

0.8

2.6

7.4

7.1

1.8

4.4

0.8

0.9

自分の能力が活かせない

経験が評価されない

昇進機会が少ない

賃金が安い

労働時間が長いまたは希望に合わない

有給休暇がとりにくい

職業能力開発機会が充分でない

福利厚生が充実していない

雇用が不安定

仕事にやりがいがない

仕事が精神的・身体的にきつい

労働安全衛生面での不安がある

人間関係が悪い

会社の考え方に共感できない

その他

無 回 答

正社員 15~34歳

35~54歳

55歳以上

19.2

17.7

40.0

10.7

18.4

45.0

19.8

20.6

50.3

53.2

35.0

22.6

23.4

20.0

42.4

36.9

55.0

16.4

9.2

5.0

16.4

22.0

20.0

4.5

6.4

5.0

46.3

22.0

35.0

35.0

36.2

40.0

5.6

7.1

5.0

30.5

22.0

20.0

35.6

36.2

40.0

10.7

11.3

5.0

非正社員計 15~34歳

35~54歳

55歳以上

19.6

14.6

3.2

16.1

23.2

19.4

20.5

17.1

6.5

73.2

70.1

51.6

12.5

16.5

17.0

23.2

22.6

12.5

15.9

12.9

9.8

14.6

28.6

23.2

19.4

32.1

17.7

22.6

19.6

30.5

16.1

2.7

6.7

3.2

18.8

26.2

25.8

24.1

22.6

35.5

4.5

4.9

0.9

1.2

(満足している理由)

(不満足である理由)

資料出所 (独)労働政策研究・研修機構「多様化する就業形態の下での人事戦略と労働者の意識に関する調査(従業員調査)」(2005年)

(注) 複数回答。

(単位 %)

第2-(2)-41表 現在の仕事に満足、不満足な理由(女性)

Page 39: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

(今後も上昇が見込まれる非正規雇用比率)

人口減少社会においては、高齢者や女性といった層が、これまで以上に労働市場に参加し、

持続的な成長を可能にするために不可欠な労働力供給を支えていく必要が生じてくる。これ

までみてきたように、若年者、高齢者及び女性については、その希望する働き方には多様な

ものがあり、特に高齢者や女性については、様々な事情により非正規的な働き方を望む者も

多い。

仮に、性・年齢階級別の非正規雇用比率が2004年の時点と変化がなかった場合であって

も、高齢者の雇用機会の確保、仕事と家庭の両立支援等の政策によってこれらの層の就業を

促進していくと、非正規的な就業形態を選択する者の割合が高い高齢者や女性の労働力人口

比率の上昇に伴って今後も非正規雇用比率は上昇していくことが見込まれる(第 2-

(2)-42図)。

139

第2節勤労者意識の変化と働き方

第2節

4)一人ひとりの希望に応えていくために

(労働市場への参加が進む場合)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

2005 10 15 20 25 30

(万人)

24

25

26

27

28

29

30

31

32(%)

非正規雇用比率

非正規従業員 役員・正規従業員

(労働市場への参加が進まない場合)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

2005 10 15 20 25 30

(万人)

24

25

26

27

28

29

30

31

32(%)

非正規雇用比率(右目盛)

非正規従業員(左目盛)

役員・正規従業員(左目盛)

資料出所 (独)労働政策研究・研修機構「労働力需給の推計」(2005年)、総務省統計局「労働力調査(詳細結果)」をもとに、厚生労働省労働政策担当参事官室にて推計

(注) 推計は、「労働力需給の推計」に基づく性・年齢階級別就業者の変化と同じ比率で雇用者が変化するものとし、2004年労働力調査詳細結果による、性・年齢階級別非正規雇用比率(雇用者数に占める非正規職員・従業員の割合)によって、雇用者全体での非正規雇用者数及び非正規雇用比率を計算した。

(年)

(年)

第2-(2)-42図 雇用者数の見通し

Page 40: 第2節 勤労者意識の変化と働き方 - mhlw · た団塊二世層(1971~1974年生まれの者を中心とした年齢層)の労働市場への流入が終了 101 勤労者意識の変化と働き方

このように、今後もある程度まで就業形態の多様化が進展していくことは、労働力供給の

制約を乗り越えていく上での就業機会拡大に資するものと考えられる。

(求められる対応)

これまでみてきたように、勤労者の意識は時代とともに変化しており、また、勤労者一人

ひとりのおかれている状況でその希望する就業形態は異なっているが、人口減少社会におい

ては、個々の能力を有効に活用し発揮させることがますます重要な課題となってくる。企業

は、変化する勤労者のニーズを的確に捉え、正規従業員の働き方の見直しや一人ひとりの希

望に沿うような多様な就業形態を用意していくことなど、それに応えることができるよう努

力していくことが重要である。

政策面においても、若年者については、学校段階からの職業意識の啓発等を通じ、適切な

職業選択に向けた情報提供や相談機能の強化、正社員としての就業を希望する若年失業者へ

の支援の充実を図っていくこと、女性については、継続的な就業が可能となるよう企業の取

組みを促していき、加えて保育施設の充実等を一層推進していくことが求められている。さ

らに、子育て後に再就職を希望する者については、これらに加えて職業能力開発の機会を用

意していくことなどが求められている。高齢者についても、人口減少社会にあって、これま

で培ってきた技能を継承し、高い生産性を維持していくためにも、その高い就業意欲に応え

られるよう、多様な働き方が可能となるような社会環境を整備していくことが求められる。

平成18年版 労働経済の分析140

第2章 就業形態の多様化とその背景

第2節