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見つけよう!今、元気なムラの取組 受け入れ農家が行っている 農業体験(子ども受け入れ) 宿 宿 宿 パリで開かれた展示会でのP Rの様子 使 エコミュージアム施設で食事 をとるイギリス人家族 宿 宿 宿 加工作業の様子 使 西 調 調 宿 10第2877号 種郵便物認2017年(平成29年)1月28日(土曜日)

第3種郵便物認可 見つけよう!今、元気なムラの取組 · 見つけよう!今、元気なムラの取組 教 育 旅 行 や 外 国 人 増 加 農 山 村 に

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Page 1: 第3種郵便物認可 見つけよう!今、元気なムラの取組 · 見つけよう!今、元気なムラの取組 教 育 旅 行 や 外 国 人 増 加 農 山 村 に

見つけよう!今、元気なムラの取組教育旅行や外国人増加

農山村に活気生み出す

特別賞    フレンドシップ賞 仙北市農山村体験推進協議会

■   □

特別賞   チャレンジ賞 木頭ゆずクラスター協議会

需要開拓や販路拡大で

高品質と技術力を証明

■   □

食や観光の魅力を作り

若者定着で交流人口増

特別賞    プロデュース賞 高千穂ムラたび協議会

■   □

特別賞   アクティブ賞 株式会社九神ファームめむろ

地元産野菜を地元加工

担い手は地元の障害者

■   □

ディスカバー農山漁村(むら)の宝

特別賞受賞の4地区の取組を紹介

受け入れ農家が行っている農

業体験(外国人受け入れ)

受け入れ農家が行っている農業体験(子ども受け入れ)

 修学旅行で秋田県仙北市内を

訪れる学校が増える中、農業体

験で生徒を受け入れる農家も増

え、農家民宿の開業につなげる

農家も現れるようになった。仙

北市農山村体験推進協議会は2

009年、農山村体験受け入れ

促進とグリーンツーリズム推進

を目的として発足した。農協や

漁協、観光協会などの団体に加

え、農家民宿が加盟する各地域の受け入れ団体で構成し、それ

までバラバラだった活動の一本

化が図られた。

 同市を訪れる一般観光客は伸

び悩んでいるが、農山村を訪れ

る観光客や教育旅行の生徒数は

増加傾向を見せている。近年で

は、これまで力を入れてきた台

湾からの修学旅行の農山村体験

への取り込みに加え、東南アジ

アからの観光客の増加が見ら

れ、それらの動きが各メディア

に多く取り上げられている。

 教育旅行や農山村体験で観光

客らが農山村を訪れることは、

農山村に活気を生み、地域の活

力向上につながる。

 さらに、外国人との交流も増

加しているため、地域の国際化

や国際理解の進展に役立つだけ

ではなく、高齢化が進む農村社

会に新鮮な空気を吹き込み、子

どもも広い視野を持った将来の

担い手に成長するものと期待さ

れる。

 同協議会の活動は、農家民宿

を中心とした農業体験を行う従

来型のグリーンツーリズムには

収まらず、季節による自然体験

(スキー、トレッキングなど)

や伝統工芸体験、郷土料理体験、

文化体験など、受け入れ窓口が

広く、さらにいろいろな組み合

わせで体験できるのが特徴。

 外国人の受け入れにも力を入

れており、前述のような交流人

口の増加、国際理解の進展とい

った成果を挙げている。具体的

には、外国人向けセミナーやト

ラブルシューティングに関する

勉強会の開催、フェイスブック

などを利用した活動内容の積極

的な発信も行っている。受け入

れ農家とそこで農業体験を行っ

た外国人旅行者などがSNSで

つながっていることも多く、そ

の後のリピートや受け入れ拡大

につながっている。

木頭ゆず6次産業化商品

パリで開かれた展示会でのPRの様子

 徳島県那賀町の6次産業化に

取り組む企業と農協を核として

2014年に設立された組織。

地域の宝「木頭ゆず」の6次産

業化や輸出などの新たな取り組

みを促進し、鳥獣害対策、担い

手育成といった地域課題の解決

にも取り組んでいる。

 木頭ゆずの産地でも、他の農

産地域で同様に見られる、担い

手の高齢化や現象、価格低迷、

鳥獣害による生産力の低下に悩

まされてきた。

 同協議会では、全国の商談会

へ積極的に出展して、地域一体

となったPR活動を推進。産地

の訴求力や販売力向上につなげ

ている。さらに、加工所やゆず

カフェの新設、ハラール認証取

得といった新たな事業展開を加

速し、市場拡大を図っている。

 大手スーパー、イオン(千葉

市)と連携し、木頭ゆずの缶チ

ューハイやポン酢などのプライ

ベートブランド(PB)商品を開

発。同社の全国ネットワークを

活用した販売により、販路拡大

を実現した。昨年は木頭ゆずを

使ったクリスマスケーキを開発

し、木頭ゆずの知名度アップと

全国展開を強力に後押しした。

 欧州でのゆず人気を受けて2

013年から、フランスの外食

産業をターゲットにした輸出に

取り組んでいる。EU向け輸出

に必要な検疫、残留農薬の検査、

通関手続き、輸送ルートなどの

課題に対して、それぞれの関係

機関と連携を取りながら、生産

・出荷体制、物流チェーンの構

築を行った。昨年はドイツで開

かれた国際食品見本市に出展す

るなどPRを強化し、一昨年の

輸出実績240㌔を大きく上回

る1500㌔を達成した。

 これらの需要開拓や販路拡大

の取り組みで大きな成果を得た

ことは、木頭ゆずの高い品質と

産地の技術力が証明された結果

といえる。それが、地元JAに

よる加工原料の全量買い上げと

加工単価の上昇につながり、生

産者の意欲がますます醸成され

るようになった。

 今後はゆずを取り扱う企業の

経営基盤を強化し、新たな雇用

を生み出して山間部の人口減少

に少しでも歯止めをかけたい。

さらに、U・Iターンなどによ

る新たな担い手確保、次世代へ

の経営継承を進め、山間部での

「もうかる農業」の成功モデル

として事業を育成したい。

6次産業化原料の栽培で

景観を保全する棚田

エコミュージアム施設で食事をとるイギリス人家族

 2009年設立の高千穂ムラ

たび協議会の活動拠点、秋元集

落(宮崎県高千穂町)は、戸数

戸、人口102人で過疎化、

少子高齢化が進む山間地。「こ

のままでは集落が途絶えてしま

う」との危機感から、ここしかな

い宝を磨く交流・物流によるム

ラおこしのため活動している。

 次代の担い手となる若者を起

業者として受け入れ「農業の6

次産業化」「食事と宿泊施設の整備」「エコミュージアムによ

る誘客」の3部門を一体化した

新しい農村産業づくりを行う。

 6次化の主力産業は「あまざ

け」などの発酵食品。特徴は若者

中心の事業体制▽麹研究所や製

薬会社などの活用▽デザイン、

情報化分野の高度化▽こだわり

商品として営業展開―など。現

在、正社員5人、アルバイト4

人の雇用を生み出し、どぶろく

醸造年間2千㍑、あまざけ出荷

本数月間3万本に拡大した。

 観光分野にも力を入れる。農

産物直売組織「いろはや」を中

心に、山間地域の不利な栽培環

境を逆手にとった「手作り産品」

として多くのファンを獲得。さ

らに、この集落でしか味わえな

い食材や料理を、農家民宿2軒

と古民家食堂で提供している。

 美しい農業景観、秋元神社に

代表される神話史跡などのスピ

リチュアルスポットを生かした

農村観光開発を目的としたエコ

ミュージアムの取り組みは、メ

ディア連携やSNSでの情報発

信効果もあり、年間3万人近い

交流人口を生み出し、インバウ

ンド旅行者も訪れる新しい動き

も見られるようになった。

 そこにいかなければ味わえな

い「食や観光」の魅力作りなど

を基本理念に据えた多面的事業

は、未来に向けたムラづくりへ

の住民意欲を喚起し、産業刷新、

若者の参入・定着、交流人口増

大をもたらした。

 6次産業化の本格稼動を軸

に、農家民宿やレストランの開

業、直売所の立ち上げ、旅行散

策のための「ムラごとミュージ

アム」の開設につながった。今

後は、実践者の立場から他地域

に対してコンサルティングが行

える組織にして、そのための人

材育成にも取り組んでいく。

加工作業の様子

定食屋「ばぁばのお昼ごはん」

 「障害のある子どもたちの働

く場」と「十勝ブランドのおいし

い野菜を使った惣菜提供」を両

立するために設立された会社。

 北海道芽室町で採れる野菜を

加工する1次加工場を設置し、

町内の障害者や高齢者、若者の

雇用の場を創出。1次加工した

製品は、西日本を中心に惣菜店

を展開している関連会社の工場

(愛媛、福岡県)で惣菜に加工

し、「十勝ブランド」を前面に

出して販売している。

 さらに、町内に開店した定食

屋「ばぁばのお昼ごはん」では、

障害者が調理・接客を担当し、

地域のコミュニティーレストラ

ンの役割を果たすとともに「働

く障害者」の情報も同時に発信

している。

 取り組みは2013年4月、

スタッフ3人(うち1人は高齢

者の農業指導員)、福祉サービ

スを利用している障害者9人で

始まった。3㌶の農場で、メー

クイン(ジャガイモ)、小豆、

カボチャを栽培。農業従事者と

して、地元の経験豊富な元農業

従事者を雇用。加えて高齢者2

人に、農場の運営管理や農作業

の指導を委託した。つまり、農

産物の生産から1次加工、2次

加工、調理、接客、販売と、食

に関する一連の流れに、障害者

と高齢者が関わる仕組みを構築

した。

 2015年1月には新加工場

を設置。現在スタッフ人(う

ち障害者4人、高齢者2人)、

障害者従業員人、委託のバス

運転手1人(高齢者)と、年々

雇用を増やしている。新加工場

では惣菜加工もできるようにな

り、芽室産のゴボウや長イモを

地元で惣菜に加工し、全国の消

費者に届けている。農場での栽

培作物も増やしている。

 今後は、体験圃場を整備し、

近くの国民宿舎と連携して全国

の特別支援学校の修学旅行を誘

致。生徒に、食に関する一連の

流れを体験してもらい「働く障

害者」から「未来の働く障害者」

へ、働く喜びを継承していきた

い。芽室町の障害者には、ここ

での経験を財産にして、町内の

一般企業に就職してもらい、よ

り本人の望む働く環境を得られ

るようサポートしていく。

(10)第2877号 第3種郵便物認可 2017年(平成29年)1月28日(土曜日)

 「強い農林水産業」「美しく活力ある農山漁村」の実現のため、農山漁村の有するポテンシャルを引き出すこ

とにより、地域の活性化、所得向上に取り組んでいる優良事例を選定し、全国に発信する内閣官房および農林水

産省共催の「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」。昨年(第3回選定)は応募769地区のうち、地区が選

定され、昨年月2日にグランプリと特別賞が決定した。

 本紙では4回にわたり、グランプリと特別賞、観光分野に注力している選定地区を紹介する。今週号では、特

別賞を受賞した4地区の取り組みを紹介する。