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第4章 数学 第1 教科目標,評価の観点及びその趣旨 数- 第2 各科目の評価の観点の趣旨 数- 第3 必履修科目における内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例 数- 数学基礎 数- 数学 数- 第4 単元の評価に関する事例 数-10 数学基礎 数-10 数学 数-21

第4章 数学...第4章 数学 第1 教科目標,評価の観点及びその趣旨 数- 1 第2 各科目の評価の観点の趣旨 数- 1 第3 必履修科目における内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例

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第4章 数学

第1 教科目標,評価の観点及びその趣旨 数- 1

第2 各科目の評価の観点の趣旨 数- 1

第3 必履修科目における内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例 数- 3

数学基礎 数- 3Ⅰ

数学 数- 6Ⅱ Ⅰ

第4 単元の評価に関する事例 数-10

数学基礎 数-10Ⅰ

数学 数-21Ⅱ Ⅰ

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数-1

第4章 数学

第1 教科目標,評価の観点及びその趣旨1 教科目標

数学における基本的な概念や原理・法則の理解を深め,事象を数学的に考察し処理する能力を高め,数学的活動を通して創造性の基礎を培うとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識し,それらを積極的に活用する態度を育てる。

2 評価の観点及びその趣旨関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

数学的活動を通して, 数学的活動を通して, 事象を数学的に考察し 数学における基本的な,数学の論理や体系に関 数学的な見方や考え方 表現し処理する仕方や 概念,原理・法則,用

, ,心をもつとともに,数 を身に付け,事象を数 推論の方法を身に付け 語・記号などを理解し。学的な見方や考え方の 学的にとらえ,論理的 よりよく問題を解決す 知識を身に付けている

よさを認識し,それら に考えるとともに思考 る。を事象の考察に積極的 の過程を振り返り多面に活用しようとする。 的・発展的に考える。

第2 各科目の評価の観点の趣旨関心・意欲・態度 数学的な見方や 表現・処理 知識・理解

考え方数学基礎 数学的活動を通し 数学的活動を通し 人間の活動の中で 数学と人間のかか

て,数学と人間のか て,人間の活動の 活用されている数 わりや,社会生活かわりや社会生活に 中で活用されてい 学を通して,事象 において数学が果おいて数学が果たし る数学的な見方や を数理的に考察し たしている役割をている役割に関心を 考え方に気付き, たり,推論の過程 理解している。もつとともに,数学 事象を数理的にと を数学的に表現し的な見方や考え方の らえ,論理的に考 処理したりする方よさを認識し,数学 えるとともに思考 法を身に付けていを事象の考察に活用 の過程を振り返り る。しようとする。 多面的・発展的に

考える。数学Ⅰ 数学的活動を通し 数学的活動を通し 方程式と不等式, 方程式と不等式,

て 方程式と不等式 て,方程式と不等 二次関数及び図形 二次関数及び図形, ,二次関数及び図形と 式,二次関数及び と計量において, と計量における基計量における考え方 図形と計量におけ 事象を数学的に考 本的な概念,原理に関心をもつととも る数学的な見方や 察し,表現し処理 ・法則,用語・記に,数学的な見方や 考え方を身に付け する仕方や推論の 号などを理解し,,考え方のよさを認識 事象を数学的にと 方法を身に付け, 基礎的な知識を身し,それらを事象の らえ,論理的に考 的確に問題を解決 に付けている。考察に活用しようと えるとともに思考 する。する。 の過程を振り返り

多面的・発展的に考える。

数学Ⅱ 数学的活動を通し 数学的活動を通し 式と証明・高次方 式と証明・高次方て,式と証明・高次 て,式と証明・高 程式,いろいろな 程式,いろいろな方程式,いろいろな 次方程式,いろい 関数及び微分・積 関数及び微分・積関数及び微分・積分 ろな関数及び微分 分の考えにおいて 分の考えにおける,の考えにおける考え ・積分の考えにお 事象を数学的に考 基本的な概念,原方や体系に関心をも ける数学的な見方 察し,表現し処理 理・法則,用語・

,つとともに,数学的 や考え方を身に付 する仕方や推論の 記号などを理解しな見方や考え方のよ け,事象を数学的 方法を身に付け, 基礎的な知識を身さを認識し,それら にとらえ,論理的 よりよく問題を解 に付けている。を事象の考察に進ん に考えるとともに 決する。で活用しようとす 思考の過程を振りる。 返り多面的・発展

的に考える。数学Ⅲ 数学的活動を通し 数学的活動を通し 極限,微分法及び 極限,微分法及び

て,極限,微分法及 て,極限,微分法 積分法において, 積分法における基

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数-2

び積分法における考 及び積分法におけ 事象を数学的に考 本的な概念,原理え方や体系に関心を る数学的な見方や 察し,表現し処理 ・法則,用語・記もつとともに,数学 考え方を身に付け する仕方や推論の 号などの理解を深,的な見方や考え方の 事象を数学的にと 方法を身に付け, め,知識を身に付よさを認識し,それ らえ,論理的に考 よりよく問題を解 けている。らを事象の考察に積 えるとともに思考 決する。極的に活用しようと の過程を振り返りする。 統合的・発展的に

考える。数学A 数学的活動を通し 数学的活動を通し 平面図形,集合と 平面図形,集合と

て,平面図形,集合 て,平面図形,集 論理及び場合の数 論理及び場合の数と論理及び場合の数 合と論理及び場合 と確率において, と確率における基と確率における考え の数と確率におけ 事象を数学的に考 本的な概念,原理方や体系に関心をも る数学的な見方や 察し,表現し処理 ・法則,用語・記つとともに,数学的 考え方を身に付け する仕方や推論の 号などを理解し,,な見方や考え方のよ 事象を数学的にと 方法を身に付け, 基礎的な知識を身さを認識し,それら らえ,論理的に考 よりよく問題を解 に付けている。を事象の考察に活用 えるとともに思考 決する。しようとする。 の過程を振り返り

多面的・発展的に考える。

数学B 数学的活動を通し 数学的活動を通し 数列,ベクトル, 数列,ベクトル,て 数列 ベクトル て,数列,ベクト 統計又は数値計算 統計又は数値計算, , ,統計又は数値計算に ル,統計又は数値 において,事象を における基本的な

, ,おける考え方に関心 計算における数学 数学的に考察し, 概念 原理・法則をもつとともに,数 的な見方や考え方 表現し処理する仕 用語・記号などを学的な見方や考え方 を身に付け,事象 方や推論の方法を 理解し,基礎的なのよさを認識し,そ を数学的にとらえ 身に付け,よりよ 知識を身に付けて,れらを事象の考察に 論理的に考えると く問題を解決する いる。。進んで活用しようと ともに思考の過程する。 を振り返り多面的

。・発展的に考える数学C 数学的活動を通し 数学的活動を通し 行列とその応用, 行列とその応用,

て 行列とその応用 て,行列とその応 式と曲線,確率分 式と曲線,確率分, ,式と曲線,確率分布 用,式と曲線,確 布又は統計処理に 布又は統計処理に又は統計処理におけ 率分布又は統計処 おいて,事象を数 おける基本的な概る考え方に関心をも 理における数学的 学的に考察し,表 念,原理・法則,つとともに,数学的 な見方や考え方を 現し処理する仕方 用語・記号などをな見方や考え方のよ 身に付け,事象を や推論の方法を身 理解し,知識を身さを認識し,それら 数学的にとらえ, に付け,よりよく に付けている。を事象の考察に積極 論理的に考えると 問題を解決する。的に活用しようとす ともに思考の過程る。 を振り返り多面的

。・発展的に考える

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数-3

第3 必履修科目における内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例Ⅰ 数学基礎1 目標数学と人間とのかかわりや,社会生活において数学が果たしている役割について理解させ,数学に対

, 。する興味・関心を高めるとともに 数学的な見方や考え方のよさを認識し数学を活用する態度を育てる2 評価の観点の趣旨関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

数学的活動を通して, 数学的活動を通して, 人間の活動の中で活用さ 数学と人間のかかわり数学と人間のかかわり 人間の活動の中で活用 れている数学を通して, や,社会生活においてや,社会生活において されている数学的な見 事象を数理的に考察した 数学が果たしている役数学が果たしている役 方や考え方に気付き, り,推論の過程を数学的 割を理解している。割に関心をもつととも 事象を数理的にとらえ に表現し処理したりする,に,数学的な見方や考 論理的に考えるととも 方法を身に付けている。え方のよさを認識し, に思考の過程を振り返数学を事象の考察に活 り多面的・発展的に考用しようとする。 える。

3 学習指導要領の内容,内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例, ( ) ( ) ,数学基礎においては 学習指導要領の内容の 1 や 2 などの大項目を内容のまとまりとして

それぞれについて評価規準を作成した。「 1)数学と人間の活動」(1) (

】【学習指導要領の内容数量や図形についての概念等が人間の活動にかかわって発展してきたことを理解し,数学に対する興味・関心を高める。ア 数と人間イ 図形と人間

【 1)数学と人間の活動」の評価規準】「(関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

数量や図形についての概 数学史的な話題を通し 数学史的な話題を通し 数学史的な話題を通し念等が人間の活動にかか て,数量や図形につい て,数量や図形につい て,数量や図形についわって発展してきたこと ての概念等が人間の活 ての概念等が人間の活 ての概念等が人間の活に関心をもつとともに, 動にかかわって発展し 動にかかわって発展し 動にかかわって発展し数学的な見方や考え方の てきたことをとらえ, てきたことをとらえ, てきたことを理解し,よさを認識し,数学を人 その中で用いられてい 数学に対する興味・関 数学に対する興味・関間や文化とのかかわりな る数学的な見方や考え 心を高めるために必要 心を高めるために必要どからとらえようとす 方を知り,多面的・発 な数学的な表現や処理 な数学的概念や知識なる。 展的に考察することが の方法を身に付けてい どを身に付けている。

できる。 る。

【 1)数学と人間の活動」の評価規準の具体例】「(ここでは,高等学校学習指導要領解説 数学編 理数編 にあげられている話題から,記数法に関

する話題と三平方の定理に関する話題を取り上げた。

関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解【 】数と人間・ 進位取り記数法が ・いろいろな記数法の ・古代エジプト,ロー ・いろいろな記数法の10普及するまでの記数法の 特徴を知り, 進位取 マの記数法や漢数字で 特徴を知り, 進位取10 10変遷に関心をもち,調べ り記数法までの変遷を 表現された数を 進 り記数法の有用性を理10ようとする。 発展的に考察すること 法で表現することがで 解している。

ができる。 きる。

・ 進位取り記数法の ・ 進位取り記数法の ・ 進法などで表現さ ・ 進法と 進法など10 10 2 10 2有用性に気付き, 進法 考え方を 進法などに れた数を 進法で表 との違いを知り,活用2 2 10なども考察しようとす も拡張して考察するこ 現することができる。 されている場面についる。 とができる。 て理解している。【 】図形と人間・古くから三平方の定理 ・直角であることを辺 ・身近な事象に三平方 ・三平方の定理が活用

,が活用されてきたことに の長さの計算により判 の定理が活用されてい されている場面を知り

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数-4

関心をもち,調べようと 断できるなど,三平方 ることを読み取り,そ 三平方の定理の有用性する。 の定理の意味を多面的 れを図や式などに表現 を理解している。

に考察することができ することができる。る。

・三平方の定理の有用性 ・身近な事象に,三平 ・三平方の定理を用い ・測量などを通して,に気付き,いろいろな場 方の定理をあてはめて て,測量をしたり,直 三平方の定理が人間の面に活用しようとする。 考察することができる 角をつくったりするこ 活動や文化と深くかか。

となどができる。 わってきたことを理解している。

「 2)社会生活における数理的な考察」(2) (【学習指導要領の内容】社会生活において数学が活用されている場面や身近な事象を数理的に考察することを通して,数学の有用性などを知り,数学的な見方や考え方を豊かにする。ア 社会生活と数学イ 身近な事象の数理的な考察

【 2)社会生活における数理的な考察」の評価規準】「(ここでは,高等学校学習指導要領解説 数学編 理数編 にあげられている話題から,預貯金やロ

ーンに関する話題とロール紙の長さを求める話題を取り上げた。

関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解社会生活において数学が 社会生活において数学 社会生活において数学 社会生活において数学活用されている場面や身 が活用されている場面 が活用されている場面 が活用されている場面近な事象の数理的な考察 や身近な事象を数理的 や身近な事象を,数理 や身近な事象を数理的に関心をもち,数学的な に考察することができ 的に考察するために必 に考察することを通し見方や考え方のよさを認 る。 要な数学的な表現や処 て,数学の有用性など識し 活用しようとする 理をすることができる を理解し,必要な知識, 。 。

を身に付けている。

【 2)社会生活における数理的な考察」の評価規準の具体例】「(関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

【 】社会生活と数学・預貯金やローンなどの ・預貯金やローンの仕 ・預貯金やローンの仕 ・預貯金やローンの仕仕組みに関心をもち,そ 組みを数理的に考察す 組みを数理的に考察し 組みに,数学的な考え,れらを数理的に考察しよ ることを通して,数学 式や図,表などを用い 方が有効に活用されてうとする。 の有用性や効率性につ て表現することができ いることを理解してい・社会生活を営む上で, いて考察することがで る。 る。人間が作ったいろいろな きる。 ・単利法,複利法など仕組みを数理的に考察す の仕組みを理解していることのよさに気付き調 る。べようとする。・ロール紙の長さを,紙 ・ロール紙の長さを数 ・ロール紙の長さの求 ・ロール紙の長さを求の厚さなどから求める方 理的に考察するなど, め方を適切に表現し, めるために必要な知識法に関心をもち,いろい 身近な事象を数学化し その長さを求めること を身に付け,数学の有,ろな方法で考察しようと 考察することができる ができる。 用性などを理解してい。する。 る。

「 3)身近な統計」(3) (【学習指導要領の内容】目的に応じて資料を収集し,それを表やグラフなどを用いて整理するとともに,資料の傾向を代表値を用いてとらえるなど,統計の考えを理解し,それを活用できるようにする。ア 資料の整理イ 資料の傾向の把握

【 3)身近な統計」の評価規準】「(関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

身近なテーマを取り上げ 目的に応じて資料を収 目的に応じて資料を収 資料を整理するための,目的に応じて資料を収集 集・整理し,それを分 集・整理し,それを表 表やグラフを理解し,・整理し,資料の傾向を 析する活動などを通し やグラフなどを用いて 資料の傾向をとらえる

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数-5

とらえるなど,統計の考 て,資料の傾向をとら 分析して,結果を数学 ための代表値の意味やえに関心をもち,それを えることができる。 的に表現することがで 標本調査の方法などを活用しようとする。 きる。 理解している。

【 3)身近な統計」の評価規準の具体例】「(関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

【 】資料の整理・資料を整理し,度数分 ・目的に応じて資料を ・資料を整理し,度数 ・度数分布表やヒスト布表やヒストグラムなど 整理するための必要な 分布表やヒストグラム グラムなどの意味を理に表現するよさに気付き 方法について考察する などで表現することが 解している。,それらを活用しようとす ことができる。 できる。る。【 】資料の傾向の把握・代表値などを用いて資 ・資料の傾向を考察し ・代表値などを求め, ・代表値などの意味を,料の傾向をとらえようと 代表値などを用いて資 資料の傾向を把握し, 理解している。

。する。 料の傾向をとらえるこ 表現することができるとができる。

・目的に応じて標本調査 ・母集団と標本の関係 ・標本調査の結果を用 ・標本調査の方法を理を活用しようとする。 について考察すること いて,母集団の傾向を 解している。

。ができる。 表現することができる

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数-6

Ⅱ 数学Ⅰ1 目標

方程式と不等式,二次関数及び図形と計量について理解させ,基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り,それらを的確に活用する能力を伸ばすとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにする。

2 評価の観点のその趣旨関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

数学的活動を通して, 数学的活動を通して, 方程式と不等式,二次関 方程式と不等式,二次方程式と不等式,二次 方程式と不等式,二次 数及び図形と計量におい 関数及び図形と計量に関数及び図形と計量に 関数及び図形と計量に て,事象を数学的に考察 おける基本的な概念,おける考え方に関心を おける数学的な見方や し,表現し処理する仕方 原理・法則,用語・記もつとともに,数学的 考え方を身に付け,事 や推論の方法を身に付 号などを理解し,基礎な見方や考え方のよさ 象を数学的にとらえ, け,的確に問題を解決す 的な知識を身に付けてを認識し,それらを事 論理的に考えるととも る。 いる。象の考察に活用しよう に思考の過程を振り返とする。 り多面的・発展的に考

える。

3 学習指導要領の内容,内容のまとまりごとの評価規準及びその具体例, ( ) ( ) ,数学Ⅰにおいては 学習指導要領の内容の 1 や 2 などの大項目を内容のまとまりとして

それぞれについて評価規準を作成した。「 1)方程式と不等式」(1) (

【学習指導要領の内容】数を実数まで拡張することの意義を理解し,式の見方を豊かにするとともに,一次不等式及び二次方程式についての理解を深め,それらを活用できるようにする。ア 数と式(ア) 実数(イ) 式の展開と因数分解

イ 一次不等式ウ 二次方程式

【 1)方程式と不等式」の評価規準】「(関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

数と式,一次不等式, 数の範囲を拡張するとと 簡単な無理数の計算を 数と式,一次不等式,二次方程式に関心をも もに,式の見方を豊かに したり,数量の関係を 二次方程式における基つとともに,それらを し,方程式や不等式につ 式に表現して的確に処 本的な概念,原理・法問題の解決に活用しよ いて数学的に考察するこ 理したりすることがで 則,用語・記号などをうとする。 とができる。 きる。 理解し,基礎的な知識

を身に付けている。

【 1)方程式と不等式」の評価規準の具体例】「(関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

【 】数と式・数の体系を実数まで ・数を拡張してきた過程 ・簡単な無理数につい ・数を実数まで拡張す拡張する意義に気付く を考察することができ ての四則計算ができる ることの意義を理解し。とともに,数を拡張し る。 ている。ていく過程に関心をも ・数の四則演算の可能性 ・実数が直線上の点とち,調べようとする。 について考察することが 1対1に対応している

できる。 ことを理解している。

・式の展開や因数分解 ・一つの文字に着目した ・式を用いて事象を適 ・乗法公式や因数分解などに関心をもち,目 り,一つの文字に置き換 切に表現することがで の公式の意味を理解し的に応じて式の変形を えたりするなどして,い きる。 ている。しようとする。 ろいろな式の見方をする ・見通しをもって式を ・複雑な式が簡単な式

ことができる。 扱うことができる。 に帰着できることを理・具体的な事象の考察 ・目的に応じて,的確に ・乗法公式や因数分解 解している。に式の展開や因数分解 式を変形する方法を考察 の公式などを用いて,などを活用しようとす することができる。 式を目的に応じて変形る。 することができる。

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数-7

【 】一次不等式・数量の関係を不等式 ・一次不等式の解につい ・数量の関係を一次不 ・不等式の中に含まれで表すことのよさをと て 数直線と対比したり 等式で表すことができ ている文字の意味を理, ,らえようとする。 いろいろな数値を代入し る。 解している。

たりして考察することができる。

・不等号の性質を等号の ・不等式の性質を理解性質と対比してとらえる している。ことができる。

・具体的な事象の考察 ・不等式の性質を基にし ・一次不等式とその解に,一次不等式を活用 て,一次不等式の解き方 ・不等式の性質を基に の意味を理解し,解をしようとする。 を考察することができ して,一次不等式を解 求めるための基礎的な

。る。 くことができる。 知識を身に付けている・一次不等式の解を数直線上に表すことができる。

【 】二次方程式・一定の手続きで二次 ・因数分解を利用して ・二次方程式とその解方程式の解を求めるこ 二次方程式を解くこと の意味を理解し,解のとのよさをとらえよう ができる。 求め方についての基礎とする。 的な知識を身に付けて

いる。

・平方根の考えを基に, ・平方の形に変形して二次方程式の解の公式を 二次方程式を解くこと導き出す過程を考察する ができる。ことができる。 ・解の公式を用いて実

・具体的な事象の考察 数解をもつ二次方程式に二次方程式を活用し を解くことができる。ようとする。

「 2)二次関数」(2) (【学習指導要領の内容】

二次関数について理解し,関数を用いて数量の変化を表現することの有用性を認識するとともに,それを具体的な事象の考察や二次不等式を解くことなどに活用できるようにする。ア 二次関数とそのグラフイ 二次関数の値の変化(ア) 二次関数の最大・最小(イ) 二次不等式

【 2)二次関数」の評価規準】「(関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

二次関数とそのグラフ 関数的な見方や考え方を 関数を用いて数量の変 二次関数とそのグラフや値の変化に関心をも 身に付け,具体的な事象 化を表現し,関数の値 及び関数の値の変化につとともに,関数を用 について関数を用いて考 の変化を調べることが おける基本的な概念,いて数量の変化を表現 察することができる。 できる。 原理・法則,用語・記することの有用性を認 号などを理解し,基礎識し,二次関数を活用 的な知識を身に付けてしようとする。 いる。

【 2)二次関数」の評価規準の具体例】「(関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解二次関数とそのグラ【】フ

・具体的な事象の中に ・二つの数量の関係を ・いろいろな事象を表す ・いろいろな事象を表ある二つの数量の関係 表,式,グラフなどを用 関数について,いくつか す関数や二次関数につに関心をもつ。 いて考察することができ の点をとってグラフに表 いて理解し,基礎的な

る。 すことができる。 知識を身に付けてい

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数-8

る。

y=ax +bx+c・二次関数とそのグラ ・二次関数2

フについて関心をもち のグラフと のグラ, y=ax2

調べようとする。 フの位置関係を調べることができる。

【 】二次関数の値の変化・二次関数の値の変化 ・二次関数の値の変化の ・二次関数のグラフや式 ・二次関数の最大値・に関心をもち,具体的 様子について,グラフを を用いて,二次関数の最 最小値とその求め方にな事象の考察に二次関 用いて考察することがで 大値・最小値を求めるこ ついて理解し,基礎的数の最大・最小を活用 きる。 とができる。 な知識を身に付けていしようとする。 る。

・二次不等式の解に関 ・二次不等式の解を二次 ・二次関数のグラフを活 ・二次不等式の解の意心をもち,二次関数の 関数のグラフを用いて考 用して二次不等式の解を 味を二次関数のグラフグラフを活用して二次 察することができる。 求めることができる。 との関係から理解して不等式の解を求めよう いる。とする。

「 3)図形と計量」(3) (【学習指導要領の内容】直角三角形における三角比の意味,それを鈍角まで拡張する意義及び図形の計量の基本的な性質に

ついて理解し,角の大きさなどを用いた計量の考えの有用性を認識するとともに,それらを具体的な事象の考察に活用できるようにする。ア 三角比(ア) 正弦,余弦,正接(イ) 三角比の相互関係イ 三角比と図形(ア) 正弦定理,余弦定理(イ) 図形の計量

【 3)図形と計量」の評価規準】「(関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

角の大きさなどを用い 角の大きさなどを用いた 具体的な事象の数量の関 直角三角形における三た計量に関心をもつと 計量を行うための数学的 係を三角比などを用いて 角比の意味,三角比をともに,それらの有用 な見方や考え方を身に付 表現し,図形の様々な計 鈍角まで拡張する意義性を認識し,具体的な け,具体的な事象を考察 量を行うことができる。 及び図形の計量の基本事象の考察に活用しよ することができる。 的な性質を理解し,基うとする。 礎的な知識を身に付け

ている。

【 3 「図形と計量」の評価規準の具体例】( )関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解

【 】三角比・三角比に関心をもち ・図形の相似の考え方を ・直角三角形を用いて考 ・正弦,余弦および正,直角三角形の計量に用 用いて,直角三角形の辺 えられる計量の問題を, 接を直角三角形の辺のいようとする。 の比を角との関係でとら 三角比の記号を用いて表 比と角との関係として

えることができる。 現し処理することができ 理解し,基礎的な知識る。 を身に付けている。

・鈍角まで拡張した三角比について考察すること ・ ゚までの三角比の表 ・鈍角まで拡張した三90ができる。 を用いて鈍角の三角比の 角比の意義を理解して

値を求めることができ いる。る。

・三角比の相互関係につ・三角比の相互関係に いて考察することができ ・三角比の相互関係を用 ・三角比の相互関係に関心をもち,図や表を る。 い,与えられた三角比の ついて理解し,基礎的用いて調べようとする 値から残りの三角比の値 な知識を身に付けてい。

を求めることができる。 る。

【 】三角比と図形

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数-9

・正弦定理・余弦定理 ・正弦定理・余弦定理を ・三角形の決定条件が与 ・正弦定理・余弦定理などが図形の計量の考 導く過程を考察すること えられたとき,三角形の を三角形の決定条件と察に有用であることに ができる。 残りの要素を求めること 関連付けて理解し,基気付き,活用しようと ができる。 礎的な知識を身に付けする。 ている。

・相似形の相似比と面 ・相似形の性質や球の表 ・相似形の面積比・体積比・体積比の関係に 面積,体積をいろいろな 積比について理解し,気付き,図形の計量に 方法で考察することがで 基礎的な知識を身に付活用しようとする。 きる。 けている。

・球の表面積や体積が ・三角比や正弦定理・余 ・球の表面積・体積のいろいろな方法で求め 弦定理,相似形の性質及 公式について理解し,られることに関心をも び球の表面積や体積の公 基礎的な知識を身に付ち,調べようとする。 式などを用いて平面図形 けている。

や空間図形を計量することができる。

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数-10

第4 単元の評価に関する事例ここでは,指導と評価の工夫を行なった事例として,数学基礎,数学Ⅰの2科目について,各1事例ずつを紹介する。

Ⅰ 数学基礎ここでは 「(2)社会生活における数理的な考察」で,預貯金やローンなどを扱う場合(6時間)を事例,

として紹介する。

(2)社会生活における数理的な考察単元名

単元についてこの科目は,数学に対する興味・関心を高め,数学的な見方や考え方のよさを認識し,数学を活用する

態度を育てることを目標としている。預貯金の利息については現在低金利が続いており,生徒があまり関心がもてないということも考えられ

るので,ここではローンを取り上げることにした。ローンの仕組みを取り上げる場合,しばしば報道されているように,借りる金額やローンの方法によっては返済が大変になり生活に支障をきたす場合もある。そこで,本事例では返済総額を計算することによってローンの仕組みを実感できるよう指導を工夫した。具体的には,返済総額を予想しその結果を確認する,調べるなどの活動を用意した。このような活動を通して,生徒に健全な経済生活をおくるために数学が活用できることを感じ取らせたいと考えた。また,指導に当たっては関数電卓やコンピュータの活用も積極的に考えたいが,その際,生徒の実態に

応じ適切なアプリケーションを使用するなどの配慮が必要である。

1 単元の目標社会生活において数学が活用されている場面や身近な事象を数理的に考察することを通して,数学の有

用性などを知り,数学的な見方や考え方を豊かにする。

2 【 2)社会生活における数理的な考察」の評価規準】「(この事例では,内容のまとまりと単元を同じものと考えていた。したがって,次の内容のまとまり

ごとの評価規準が同時に単元の評価規準でもある。

関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解社会生活において数学が 社会生活において数学が 社会生活において数学が 社会生活において数学が活用されている場面や身 活用されている場面や身 活用されている場面や身 活用されている場面や身近な事象の数理的な考察 近な事象を数理的に考察 近な事象を,数理的に考 近な事象を数理的に考察に関心をもち,数学的な することができる。 察するために必要な数学 することを通して,数学見方や考え方のよさを認 的な表現や処理をするこ の有用性などを理解し,識し 活用しようとする とができる。 必要な知識を身に付けて, 。

いる。

学習活動における具体の評価規準

関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解・預貯金やローンなどの ・預貯金やローンの仕組 ・預貯金やローンの仕組 ・預貯金やローンの仕組仕組みに関心をもち,そ みを数理的に考察するこ みを数理的に考察し,式 みに,数学的な考え方がれらを数理的に考察しよ とを通して,数学の有用 や図,表などを用いて表 有効に活用されているこうとする。 性や効率性について考察 現することができる。 とを理解している。・社会生活を営む上で, することができる。 ・単利法,複利法などの人間が作ったいろいろな 仕組みを理解している。仕組みを数理的に考察することのよさに気付き,調べようとする。

3 指導と評価の計画(1)評価に関する基本的な考え方それぞれの観点については,評価規準の具体例を基に次のように計画する。

・関心・意欲・態度については,預貯金やローンの仕組みに関心をもち,それらを数理的に考察しようとする心の構えができたかを,授業中の活動の状況,調べた結果のレポートとその発表の状況によって評価する。・数学的な見方や考え方については,数学の有用性や効率性について考察することができるかを,授業中の発言内容,ワークシートでの取組状況によって評価する。その際,数学的なアイデアに関する相互評

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価などを併用することも考えられる。・表現・処理については,数理的に考察し,式や図・表などを用いて表現することができるかを,レポートや発表のために作成した資料などによって評価する。・知識・理解については,数学的な考え方が有効に活用されていることを理解しているかを,ワークシートやレポートによって評価する。なお,表現・処理や知識・理解については,小テストで行うことも考えられる。

(2)指導と評価の計画(全20時間)ア 社会生活と数学 12時間イ 身近な事象の数理的な考察 8時間

ア 社会生活と数学 において,預貯金やローンなどを12時間のうちの6時間で扱う場合の指導と評価の計画を以下に述べる。ア 社会生活と数学 の残りの6時間は,例えば公共料金の仕組みなどを扱うことが考えられるが,以下を参考に指導と評価の計画を作成していただきたい。イ 身近な事象の数理的な考察 についても同様である。

時間 授業内容 学習活動における具体の評価規準 評価方法・身近な資料を持ち寄り, ・預貯金やローンなどの仕組みに関 観察第1時

預貯金やローンについて検 心をもち,それらを数理的に考察し

。 ( )第2時 討し,興味のもてる課題を ようとする 関心・意欲・態度設定する。・単利法と複利法について ・単利法,複利法の仕組みを理解し ワ ー ク シ ー調べる。 ている。 (知識・理解) ト・ローンの仕組みを数理的に ・社会生活を営む上で,人間が作っ 観察第3時

考察する。 たいろいろな仕組みを数理的に考察

することのよさに気付き,調べよう第4時

とする。 (関心・意欲・態度)・ローンの仕組みを式や図, ・預貯金やローンの仕組みを数理的 レポート表などを用いて表現する。 に考察し,式や図,表などを用いて

表現することができる。(表現・処理)

まとめ第5時

・単元を通して学んだ数学の ・預貯金やローンの仕組みに,数学 レポート

有用性や効率性を具体的にま 的な考え方が有効に活用されている第6時

。( )とめる。 ことを理解している 知識・理解

・預貯金やローンの仕組みを数理的 レポートに考察することを通して,数学の有用性や効率性について考察すること

。( )ができる 数学的な見方や考え方発展と補充

(発展 )コンピュータを利用す 評価規準については,上記の評価規るなどして,ローンの仕組み 準のうち,扱う内容と関連するものの考察をより深めたり,様々 を用いる。なローン返済の方法をさらに探ったりする。(補充 )様々なローンの仕組みを,式や図,表などを用いて考察する。

(3)授業展開例第1時~第2時① 第1時~第2時の目標預貯金やローンなどの仕組みに関心をもち,それらを数理的に考察し,単利法や複利法などの仕組みを

理解する。

グループ分けは生徒の希望による

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② 第1時~第2時の評価規準

ア 預貯金やローンなどの仕組みに関心をもち,それらを数理的に考察しようとする。(関心・意欲・態度)

イ 単利法,複利法などの仕組みを理解している。 (知識・理解)

④に補足説明「十分満足できると判断される」状況( )と評価する具体例aア ローンの仕組みに関心をもち,解決の方向が分かりやすい形で課題を考えようとする。また,考えた課題を基に積極的に考察しようとする。

イ 単利法,複利法の仕組みについて他者に分かるように説明することができる。

「努力を要すると判断される」状況( )と評価される生徒への手だてc③指導過程の中に*で簡単に記述している。

ア 生徒が興味を持ちそうなものについて例をあげ,ローンを返済する課題をつくらせる。イ 生徒に応じ図や表,コンピュータ(表計算ソフト)などの教具を利用して,理解を促す。③ 指導過程指導のねらい 指導過程・学習活動 指導上の留意点・評

○発問など ●予想される生徒の反応 価「 」1.導入 ・ 預貯金とローン

「預貯金とロ (導入課題)持ち寄った「預貯金とローン」に関する に関する広告などをーン」につい 広告などから,ローンやローンの仕組みについてど 持ってくるよう事前て興味がもて んなところに興味がもてるかを話し合ってみよう。 に指示しておく。ることを話し ワークシート1合 っ て み よ 注)⑤指導上の配慮う。 事項ア参照

●住宅ローン,自動車ローン,教育ローンなどの種 ・班ごとにまとめて類がある。 発表させることも考●金利,利息,元金,元利,複利などの言葉の意味 える。が分からない。 ・簡単に意味が理解●元利均等返済,元金均等返済などの返済方法があ できるものは直ちにる。 整理し,探究の必要

なものは課題として2.展開 残す。

関心・意欲・態度( )課題の把 (課題 )何かを購入してローンを組む場合,返済1握 方法によってローンの返済総額は異なる。 (観察)ローンの課題 金利を10%,毎年末に返済をすることとして, 意欲的に課題を作ろを 各 自 で 作 各自でローンの返済に関係する課題を作ってみよ うとしたか。る。 う。 ワークシート2 *生徒が興味をもち

そうな例をあげる。

●課題例: 万円のピアノを頭金なしのローンを ・各自で課題を作る100組んで購入するとき,返済方法によってローンの返 ことが難しいときに済総額の違いがどうなるかを調べる。 は,班で相談しなが●課題例:35万円のパソコンを頭金 万円でローン ら 作 る こ と も 考 え5を組んで購入するとき,返済方法によってローンの る。返済総額の違いがどうなるかを調べる。

( 2 ) 返 済 総 額の予想 (予想)返済総額を予想してみよう。 注)⑤指導上の配慮返済方法を決 ワークシート3 事項イ参照めて返済総額を予想する。 ●100万円の10%は10万円だから,1年経つごとに10 ・年利 10 ,毎年末%

万円の利息が付く。毎年末に20万円支払えば,10年 に支払うこと以外は後の末には返済でき その返済総額200万円となる 決めていないので,, 。● 200万円返済するのであれば, 10年後の末にまと 毎年末の支払額,支めて200万円返済してもよいのではないか。 払い期間などについ●毎年末に 10万円ずつ返済し, 10年後の末に 110万 ては自由に決めて総円支払えばよいのではないか。 額を予想させる。

( 3 ) 解 決 方 法 (方法の確認 )この予想が正しいことを調べるた ・予想することによの確認 めには どのようなことを調べればよいだろうか って,関心・興味を, 。

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一層強くさせ,確認しようとする意欲を

●利息の計算はどのようにするのか。 喚起する。●利息は元金に繰り入れるのか。 ・利息を計算する方

法を把握することが必要であることに気

○ローンの返済総額を考えるには,利息を計算する 付かせる。3.第 1時のま 方法を知る必要がある。とめ

4.第2時の導 ○前時にまとめた利息はどのように計算するのか,入 考えてみよう。

5.展開( 1 ) 利 息 を 計 (課題) 万円を借りたときの利息と元利合計 ・元金と利息を合わ100算する。 を考えよう。金利は %として次の問いに答 せ て 元 利 合 計 と い10

えなさい。 う。必要であればこ( )1年後の元利合計はいくらになりますか。 のことを説明する。1(2)2年後の元利合計はいくらになりますか。

ワークシート1

●(1)利息は 万円の %の10万円だから,元 ・ 1 年 後 の 利 息 は100 10 「利合計は 万円になる。 元金に繰り入れるの110●( 2 ( 1)と同様に毎年の利息は10万円だから, ではないか」という)2年後の元利合計は120万円になる。 疑問が出ない場合に●1年後の利息10万円は元金に繰り入れると2年目の は,貸す側の立場か元金は110万円になるのではないか。 らどのようにするの●1年後の元利合計が110万円だから,2年後の利息 が有利かを考えさせは110万円の10%の11万円。したがって,2年後の元 る。利合計は121万円になる。 注)⑤指導上の配慮

事項ウ参照( 2 ) 二 つ の 利息の計算方法 ・この段階では,利を図で示す。 息を元金に繰り入れ

ない方法と繰り入れる方法とを比較し,元金の部分の違いに

。 ,1年後 着目させる 単利法複利法という用語はここでは出さない。

2年後

( 3 ) 単 利 法 と ○元金を毎年 万円とする利息の計算法を ・複利法の方が貸す100 単利法複利法の意味 とよんでいる。 側にとっては有利で

これに対して, 年目の元金を 万円とし,翌年 あ る こ と に 気 付 か1 100から利息を元金に繰り入れて元金とする利息の計算 せ,ローンでは複利法を とよんでいる。 法によることを述べ複利法

る。

( 4 ) 単 利 法 , ○元利合計を式で表すと次のようになります。複利法を式で示す。 1年後 + = (万円)100 10 110

2年後 ・2年後の利息は110単利法では + × = (万円) × 0 . 1万 円 で あるか100 10 2 120複利法では + + =121(万円) ら 元利合計は 1 0 0×100 10 11

1.1× 1.1と計算して( 5 ) 単 利 法 ・ ○ 3年後の元利合計は次の式で表されることを確か もよい。複利法で計算 めなさい。

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する。 単利法では100× (1+ 0.1× 3)3複利法では100× (1+ 0.1)

○ 年後の元利合計を単利法,複利法でそれぞれ求5めなさい。

( 6 ) 単 利 法 ・ (課題)100万円を年利 10 , 1年ごとの複利で%複利法により 借りた場合と,同じ利率の単利で借りた場合の 注)⑤指導上の配慮元利合計をグ 利息の合計をグラフで表してみましょう。 事項エ参照ラフで表す。

・ 単 利 法 は 一 次 関数,複利法は指数関数で表される。グラフをかくには電卓を活用させる。

知識・理解(ワークシート)単利法・複利法の意味や仕組みなどを理解しているか。

ワークシート2

注)⑤指導上の配慮事項オ参照

6.第2時のま ○ローンの場合は,複利法で計算するので,元利合とめ 計は急激に増加する。

他に半年ごとの複利や月ごとの複利もある。

○次回も具体的にいろいろなローン返済計画を立てて調べていく。ローンに関する広告などの資料は次回も用意してくることを連絡する。

④「十分満足できると判断される」状況( )と評価する具体例aア ローンの仕組みに関心をもち,解決の方向が分かりやすい形で課題を考えようとする。また,考えた課題を基に積極的に考察しようとする。例えば「200万円の自動車を頭金50万円でローンを組んで購入し,毎年末に20万円ずつ返済すると何年で返済は終わるだろうか」などの課題を考えようとした。また,その後の授業展開の中で,自分で考えた課題を基に積極的に考察しようとした。イ 単利法,複利法の仕組みについて他者に分かるように説明することができる。ワークシート全体から,単利法,複利法の計算の仕方が理解できている。また,2.まとめの記述から,単利法と複利法についてその違いが自分の言葉で正しく記述されている。例えば 「単利法は,借りた額,に対して毎年一定の利息がかかるもの。これに対して複利法は,借りた額に利息がかかり,翌年はこの借りた額と利息の合計額にまた利息がかかるもの」など。

⑤指導上の配慮事項ア 具体的な事象から各自の課題を設定し,ローンの仕組みに関心が持てるようにする。イ 返済総額を予想することにより,興味や関心をもたせ,意欲的に取り組ませるようにする。ウ 身近な事象なので,生徒から金利の考え方を引き出し,納得できる方法を導くようにする。特に複利法の考え方は,生徒自身による疑問を解決する中で納得できるようにする。エ ワークシートにより,単利法,複利法を,式や図,表,グラフを利用して考察するとともに,後の課題解決のための数理的な考察のきっかけとなるようにする。オ 発展的内容として,等比数列の和の考え方に触れることも考えられる。

元利合計(万円)

年数x

y

O 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

50

100

150

200

250

300

350

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第1時

「預貯金とローン」について考える

( )組( )番 氏名( )

1. 集めた資料をもとに,これから調べたいことを書き出しなさい。

2. ローンに関する課題を作りなさい。

, , 。3. 2.で作った課題について 返済の期間を決めて 返済総額がどれくらいになるかを予想しなさい

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第2時

利息の計算

( )組( )番 氏名( )

1. 利息,元利合計の計算課題 年利 %で, 万円を借りたときの利息と元利合計を考えよう。10 100

(1) 1年後の元利合計はいくらになりますか。

(2) 2年後の元利合計はいくらになりますか。

(3) 各年ごとの利息を図や式,グラフなどで表現してみよう。①図で表してみよう。元金の部分を赤の斜線で示しなさい。

②元利合計を式で表してみよう。・単利法では ・複利法では1年後 1年後

2年後 2年後

3年後 3年後

4年後 4年後

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③年数と元利合計の関係を表にし,それを基にグラフで表してみよう。

2. まとめ(1)単利法と複利法の違いを整理しなさい。

(2)利息の計算法は,ローンに関する課題の解決に役立ちそうですか。役立つと考えられることをいくつか述べなさい。

x

y

O 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

50

100

150

200

250

300

350

元利合計

(万円)

年数

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◆ 第3時~第4時の指導年利 %,毎年末に 回,返済をするローンの計画を立て,それぞれの計画について返済期間,返10 1

済総額を比較し,数理的に考察させる。例えば次のようなものが考えられる。

例1 毎年末に一定額を返済する方法で,返済額の違いによる返済総額を考察する。

例2 年利10 ,100万円のローンの返済において,20万円の返済を4回,15万円の返済も4回行なった%後の返済残高を考える。初めの4回の返済額を20万円,次の4回の返済額を15万円にする計画と,初めの4回の返済額を15

万円,次の4回の返済額を20万円にする計画について考察する (このとき,8回返済したときの返。済残高の差は10万円以上となってくる )。

◆ 第5時~第6時の指導まとめ数学が利用されている部分はどこだったか,数学を学んでよかったと思うこと,気付いたこと,数学

の考えが有効に活用されているところなどをあげる。最終的には,生徒からいくつかの意見を出させておきレポートによって評価する。例 数学を学んでよかったと思うこと

・10%という利率はそれほど高いとは思わなかったが,実際,利息を計算してみると返済総額が思ったより多いことが分かったこと など

・返済方法の違いから,その返済総額などを比較するとき,式や図,表,グラフを利用して分かり易くできた など

数学の考えが有効に活用されているところ・利率から利息や元利合計を求めるとき,その仕組みを知っていても1回ずつ計算していくととても大変であった。数学の考えを利用して式を作って計算をすると,効率よく求められた

など発展と補充

生徒の希望によってグループ分けをする。発展グループでは,コンピュータなどを利用し,ローンの仕組みの考察をより深めたり,様々なロ

ーンの返済方法を探らせたりする。生徒の実態によっては等比数列の和の公式等に触れることも考えられる。

, , , 。補充グループでは ローンの仕組みを数理的に考察するために 式や図 表などを用いて指導するまた,必要があればコンピュータなども活用する。その際,分かりやすい具体的な例を取り上げる。

次ページにレポートの例をあげておく。

4 観点別評価の進め方5 観点別評価の総括観点別評価の進め方 観点別評価の総括 数学 4 観点別評価の進め方 5および については,Ⅱ Ⅰ

と考え方は同じであるので,そちらを参照されたい。観点別評価の総括

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数-19

私の課題

で購入するとき,返済方法によって がどのようになるのかを調べる。ローンの返済総額の違い

( )組( )番 氏名( )1.ローンの返済総額の違いを比較する例の紹介【返済計画の例】①返済方法

返済方法

α

β

γ

②返済計画α

1 2 3n年末の残高 1100000n返済額

返済後の残高(10円未満は切り上げ)

β1 2 3n

年末の残高 1100000n返済額

返済後の残高(10円未満は切り上げ)

γ1 2 3n

年末の残高 1100000n返済額

返済後の残高(10円未満は切り上げ)

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③返済期間と返済総額

返済期間 返済総額

α

β

γ

2. 返済方法の違いによるローンの返済総額の違いを式や図でも比較しよう。

3.1,2のローンについての数理的な考察を通して,気付いたことをまとめなさい。(1)ローンにかかわることがらで,数学的な見方や考え方が有効に活用できるところは,どのようなところか。

(2 (1)で取り上げた数学的な見方や考え方にはどのようなよさがあるか。)

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Ⅱ Ⅰ数学ここでは(2)二次関数 の小単元 イ 二次関数の値の変化(14時間)を事例として紹介する。

単元名 (2)二次関数 (24時間)

単元について数量の変化を調べるためにグラフを利用することは,地歴科,公民科の授業や,日常的な統計資料をよ

み取る場面にも見られる。ここでは具体的な課題を通して関数の値の変化に注目し,式やグラフを活用することの有用性を確認できるようにする。関数の最大値や最小値を求めることや関数のグラフを方程式や不等式の解法に応用することは関数の中

心的な学習内容である。また,二次関数の値の変化を考察することは三次関数,四次関数への発展はもちろん,広く一般的な関数の変化を考察し応用していく土台となる。これらのことを踏まえ,関数の値の変化を考察することを通して二次関数の最大値・最小値を求めることや,二次不等式の解を求めることができるようにする。

指導の工夫・改善の視点高等学校では,講義調の授業が残っていると言われることがある。数学の授業でも基本的事項の説明の

後,例題の解説,問いによる確認,問題による練習という繰り返しで授業が進められることが多い。しかし,このような授業で,生徒が数学への興味や関心をもつことは期待しにくい。授業改善の方策として,

, , 。特に関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方を評価の観点として取り上げ 工夫することが大切であるそのため,授業においてそれらを評価できる数学的な活動場面を用意する必要がある。この小単元では次の点に工夫をした。

・身近な事象から,具体的な数学的課題を設定し,その課題を解決することを通して内容を理解させるとともにその内容を学ぶ意義を感じ取らせる。・課題の解決に当たっては,予想し,検証し,まとめるという問題解決的な学習を行う。・生徒同士,生徒と教員との対話が活発になるようにする。

1 単元の目標二次関数について理解し,関数を用いて数量の変化を表現することの有用性を認識するとともに,そ

れを具体的な事象の考察や二次不等式を解くことなどに活用できる。

2 【 2)二次関数」の評価規準】「(ここでは,内容のまとまりと単元を同じものと考えた。したがって,次の内容のまとまりごとの評価

規準が同時に単元の評価規準である。

関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解二次関数とそのグラフや 関数的な見方や考え方を 関数を用いて数量の変化 二次関数とそのグラフ及値の変化に関心をもつと 身に付け,具体的な事象 を表現し,関数の値の変 び関数の値の変化におけともに,関数を用いて数 について関数を用いて考 化を調べることができる る基本的な概念,原理・。量の変化を表現すること 察することができる。 法則,用語・記号などをの有用性を認識し,二次 理解し,基礎的な知識を関数を活用しようとする 身に付けている。。

学習活動における具体の評価規準

関心・意欲・態度 数学的な見方や考え方 表現・処理 知識・理解】【二次関数とそのグラフ

・具体的な事象の中にあ ・二つの数量の関係を表 ・いろいろな事象を表す ・いろいろな事象を表す,る二つの数量の関係に関 式,グラフなどを用いて 関数について,いくつか 関数や二次関数について心をもつ。 考察することができる。 の点をとってグラフに表 理解し,基礎的な知識を

すことができる。 身に付けている。

y=ax +bx+c・二次関数とそのグラフ ・二次関数2

について関心をもち,調 のグラフと のグラy=ax2

べようとする。 フの位置関係を調べることができる。

【 】二次関数の値の変化・二次関数の値の変化に ・二次関数の値の変化の ・二次関数のグラフや式 ・二次関数の最大値・最関心をもち,具体的な事 様子について,グラフを を用いて,二次関数の最 小値とその求め方につい象の考察に二次関数の最 用いて考察することがで 大値・最小値を求めるこ て理解し,基礎的な知識

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大・最小を活用しようと きる。 とができる。 を身に付けている。する。

・二次不等式の解に関心 ・二次不等式の解を二次 ・二次関数のグラフを活 ・二次不等式の解の意味をもち,二次関数のグラ 関数のグラフを用いて考 用して二次不等式の解を を二次関数のグラフとのフを活用して二次不等式 察することができる。 求めることができる。 関係から理解している。の解を求めようとする。

3 指導と評価の計画

(1)評価に関する基本的な考え方数学Ⅰでは,引き続き数学を履修する生徒に対する高等学校数学としての系統性と,この科目で数学

の履修を終える生徒に対する数学としての完結性の両面を配慮しなければならない。このようなことから,数学Ⅰの指導においては,基本的な知識の習得と技能の習熟を図り,それらを活用する能力を伸ばすとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識できるようにすることを目標としている。ここでは,二次関数の最大値・最小値や不等式などを取り上げる。これらは中学校における関数

や第1節の二次関数のグラフなどの学習を基に,関数を用いて数量の変化を表現すること

の有用性や関数のグラフと不等式を統合的にとらえることのよさを認識させ,二次関数を広範に活用することができるようにする。評価は指導に活かすことを中心にすえ,目標に準拠し,継続的,診断的,客観的に生徒の数学的活動

を評価しなければならない。それぞれの観点については,評価規準の具体例をもとに次のように計画する。・関心・意欲・態度については,二次関数の最大値・最小値を求めることや二次不等式の解を求めることに関心をもち,それらを活用しようとするかを,授業中の活動状況やワークシート,活用できる場面を探究し調べたレポートなどによって評価する。

・数学的な見方や考え方については,二次関数の値の変化や二次不等式の解を二次関数のグラフを用いて考察することができるかを,授業中の発言内容やワークシート,総括的なテストなどによって評価する。

・表現・処理については,二次関数の最大値・最小値や二次不等式の解を二次関数のグラフを用いて求めることができるかを,授業中のワークシート,小テスト(記述式 ,総括的なテストなどによって評)価する。

・知識・理解については,二次関数の最大値・最小値の求め方や二次不等式の解の意味を理解しているかを,小テスト(客観 ,総括的なテストなどによって評価する。)(2)指導と評価の計画(全24時間)ア 二次関数とそのグラフ 10時間イ 二次関数の値の変化 14時間

イ 二次関数の値の変化 時間の指導と評価の計画を以下に述べる。ア 二次関数とそのグラフ に14ついても同様である。

授業内容 学習活動における具体の評価規準 評価方法

二次関数の値の最大・最小第1時・具体的な課題提示 ・二次関数の値の変化に関心をもち,具体的な事象 ワークシート

の考察に二次関数の最大・最小を活用しようとする。 (関心・意欲・態度)

・課題の数学的な解決 ・二次関数の値の変化の様子について,グラフを用 観察( )いて考察することができる。 ワークシート

(数学的な見方や考え方)

二次関数の値域と最大・第2時・二次関数の値の変化の様子について,グラフを用 ワークシート最小

・最大値と最小値の求め いて考察することができる。方を考える (数学的な見方や考え方)

第3時 ・最大値と最小値を求め ・二次関数のグラフや式を用いて,二次関数の最大 小テストる 値・最小値を求めることができる。

(表現・処理)

2a xy =

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最大・最小の活用第4時・二次関数の最大値・最 ・二次関数の値の変化に関心をもち,具体的な事象 レポート小値を活用できる問題 の考察に二次関数の最大・最小を活用しようとす

。 ( )を作る る 関心・意欲・態度・まとめ ・二次関数の最大値・最小値とその求め方について 小テスト

理解し,基礎的な知識を身に付けている。(知識・理解)

二次関数と二次不等式第5時・二次不等式の意味と二 ・二次不等式の解に関心をもち,二次関数のグラフ 観察次関数 を活用して二次不等式の解を求めようとする。

・具体的な課題提示 (関心・意欲・態度)・課題の数学化

二次不等式の解き方第6時・ 軸と異なるふたつの ・二次不等式の解を二次関数のグラフを用いて考察 小テスト

x第8時 共有点をもつ場合 することができる。

・ 軸と接する場合 (数学的な見方や考え方)x・ 軸と共有点をもたなxい場合

二次不等式の応用第9時・二次不等式の活用 ・二次関数のグラフを活用して二次不等式の解を求 ワークシート

第10時 めることができる。 小テスト(表現・処理)

第11時 ・二次不等式を利用して ・二次不等式の解に関心をもち,二次関数のグラフ レポート解決できる問題を作る を活用して二次不等式の解を求めようとする。

。第12時 (関心・意欲・態度)

・二次不等式の解と二次 ・二次不等式の解の意味を二次関数のグラフとの関 小テスト関数のグラフとx軸の 係から理解している。関係の整理 (知識・理解)

発展と補充第13時発展の例

第14時 ・最大値・最小値を求めるのに,軸や定義域の場合分けを行う。 ワークシート・絶対値を含む関数の値の変化を考える。 レポート・直線と放物線の位置関係を考える。・条件にあった解をもつような二次方程式の係数を考察する。など

補充に当たっては次の点に留意する。・二次関数のグラフで考えることに注意する。 ワークシート・式が与えられたとき適切な変形をしてグラフがかけるか,グラフの意 小テスト味が分かっているかに注意する。・具体的な値を代入して確認したり,コンピュータを用いて視覚的とらえることで理解を援けたりする。

*評価規準については,上記の評価規準のうち扱う内容と関連するものを用いる。

(3)授業展開例第1時

① 本時の目標具体的な事象の中にある二つの数量の関係とその値の変化に関心をもち,変化の様子をグラフを用い

て考察する。また,関数を用いて数量の変化を考察することの有用性を認識できるようにする。

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② 本時の評価規準, 。ア 二次関数の値の変化に関心をもち 具体的な事象の考察に二次関数の最大・最小を活用しようとする

(関心・意欲・態度)イ 二次関数の値の変化の様子について,グラフを用いて考察することができる。

(数学的な見方や考え方)

「十分満足できると判断される」状況( )と評価する具体例aア 長方形 の面積の最大値を根拠をもって予想しようとしている。または,ワークシートの感想EDCF欄に他の生徒の意見に強い関心をもっていることを記述している。

イ 正しい式とグラフが得られ,それをもとに考察した筋道を的確に述べることができる。または,ワークシートに思考過程を明瞭に記述している。

「努力を要すると判断される」状況( )と評価される生徒への手だてcイは指導案の中に*で簡単に記述している。

ア 具体的な数値を用いて見当をつけるようにし,そのような方法で課題が解決できるかを考えさせる。イ 式を作るとき,三角形の相似に注目させる。式ができたら,グラフのかき方を振り返りながらグラフをかき,それを用いて の値の変化を確認させる。y

③ 指導過程指導のねらい 指導過程・学習活動 指導上の留意点・評価

○発問など ●予想される生徒の反応《導入》1. 本時の課題 課題:下図のようなスロープがあり,その下 ・具体な例を写真等での提示 に図のような直方体の倉庫を作る。できるだ 提示し,イメージを

けたくさんの物が収納できる倉庫にするには もたせる。どうすればいいだろうか。

・ワークシート配布

○この課題を解決するには何に着目すればよいだろうか。

GE EDCF● の長さは決まっているので,長方形に着目すればよい。

《展開》2 . ( 1 ) 長 方 形 問 1:長方形 の面積はどう変わるだEDCF

の変化を ろうか。いろいろな値を代入したり,図をEDCF通 し て 直 方 体 かいたりして予想してみよう。の 体 積 の 値 の ワークシート1変 化 を 調 べ ようとする。 ○予想の発表をしてみよう。

●・正方形になるとき ・予想の根拠を問う。・ が の中点のとき ・予想の根拠で良い考F BC・ の長さが最大のとき えがあったら取り上CF・辺 と の比が4 3のとき など げる。CD CF :

根拠として・表を作ってみた・表を基にグラフをかいた・図をみて・正方形がそれらしい など

問2:予想が正しいかどうかどのようにしたら確かめられるだろうか。

A

B

D

E

3m

C

F

4m

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数-25

ワークシート2

●・ と長方形 面積の関係を式で表すCF EDCF・ (または )を とおき式で表すなどCF CD x

(2)事象を式で ○ を とし長方形 の面積を m とCF m EDCFx y 2

表す して を の式で表してみる。 注)④指導上の配慮事y x項イ,ウ参照

・ の範囲に注意する。x・ の 二 次 関 数 で あ るx

(3)式で表し, ○グラフで表してみよう。 ことを確認する。値 の 変 化 を 調べる ・グラフの特徴も確認

する。

数学的な見方考え方(観察)二次関数の値の変化について,グラフから説

。明することができるか*グラフを基に の値xが大きくなるにしたがって の値はどのようyに変化するかを考えさせる。

○このグラフから予想が正しいか確認できるだろうか。●・ の値が3 2のとき,グラフの の値は ・理由を問う。x y/

最大になっている。 注)④指導上の配慮事項エを参照・面積の最大値が3 でm 2 ,そのとき体積は

最大になる。

《まとめ》 ○今日の課題を考える過程で出た考え方を整理し,それぞれの特徴やよかったところを考えて ・ワークシートの回収

関心・意欲・態度みよう。ワークシート3 (ワークシート)

具体的な事象の考察に二次関数を活用しようとしているか。

④ 指導上の配慮事項ア 導入では,具体的な事象から問題を考え,実際にいくつかの作業をすることで関数の値の変化に関心をもてるようにする。

イ 具体的な数値で面積を計算することで文字で表すことがスムーズに行なえるよう留意し,生徒自らの力で式を導けるようにする。例えば,ここでは = とするとCF x

・ 3- である。BF= x

=3 4から = =BF:EF : CD EF

=4 3から = として・ DA:DE : AD

= を導く生徒など予想されるが,いずれもCD

生徒が苦手な比例の考えが必要になるので,注意して指

( )x−334

34 x

344 x

y=x84 9-4

3x   00<x 1<3

x

y

O 1 2 3

1

2

3

A

CD

E F

4m

3m

x

3-x

4

3x

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導することが大切である。

ウ 式を導くときにどの線分の長さを とするか,その選択によって考察が深まる。例えば を とx xCDおくと,

となり, を としたときと異なる式になる。しかし,最大値は一致し,そのときの長方形 のCF EDCFx形も同じになることを確認できる。エ 最大値が の値ではなく の値であることは,生徒が混乱しやすいところなので,丁寧な指導が必x y要である。

第 時2

① 本時の目標二次関数のグラフを通して関数の値の変化を考察し,二次関数の最大値・最小値を求められるように

する。

② 本時の評価規準二次関数の値の変化の様子について,グラフを用いて考察することができる。

(数学的な見方や考え方)

「十分満足できると判断される」状況( )と評価する具体例aいろいろな二次関数について最大・最小について正しい考察ができ,ワークシートの問題についても思考過程を明瞭に記述している。

「努力を要すると判断される」状況( )と評価される生徒への手だてc指導案の中に*で簡単に記述している。

必要ならばコンピュータを活用していくつかの二次関数のグラフをかき,グラフのどこに着目して二次関数の最大・最小を判断するかを考えさせる。

③ 学習の過程指導のねらい 指導過程・学習活動 指導上の留意点・評価

○発問など ●予想される生徒の反応《導入》 ○前時は二次関数で表される値の変化をグラフ ・グラフの一番高い点前時の復習 を利用して考えた。最大値になるのはグラフの の 座標の値が最大y

どのような点か。 値であることを確認する。

《展開》本 時 の 課 題 の 問1:前時の二次関数は最大値を考えたが,提示 二次関数にはいつも最大値があるのだろう

か。また最小値についてはどうだろうか。

・ 二 次 関 数 の ワークシートによる作業 ワークシート1い ろ い ろ な 場 ●・いろいろな形(上に凸,下に凸)で違う。 ・ワークシート配布合 に つ い て 最 ・頂点を境に増加と減少が入れ替わる。大 や 最 小 を 考 ・前時の例で最小値はあるだろうか。 ・必ず図(グラフの概える ・定義域に制限がある場合とない場合を考え 形)を添えさせる。

る。

数学的な見方考え方(観察)二次関数の値の変化について,グラフから説

。明することができるか*コンピュータを活用し,いくつかの二次関数のグラフをかいて考えさせる。

−= xxy

433

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,・ 二 次 関 数 の ○二次関数の最大・最小について整理してみよ ・生徒の意見をまとめ最 大 ・ 最 小 に う。 整 理 す る ( 不 足 し。ついてまとめ ・定義域に制限がない場合 ている点は補う )。る 上に凸の場合,下に凸の場合

・定義域に制限がある場合 注)④指導上の配慮事項ア,イ参照

学的な見方考え方《まとめ》 問2:次の二次関数の の値が変化するとx 数・問題 の値はどうなるだろうか。また最大値・ (ワークシート)y

最値はどうなるだろうか。二次関数のグラ 二次関数のグラフをもフ用いて考えてみよう。 とに最大値・最小値を

。考えることができるか

(1)

(2) ( )

ワークシート2

○簡単に答え合わせを行なう。 ・間違えた場合はワークシートに赤で訂正させ,その原因も考えさせる。

○課題(二次関数の最大・最小を使った具体的 ・レポートは第4時に問題の作成)をレポートとして提出するよう言 活用する。

(関心・意欲・態度)う。

④ 指導上の配慮事項ア 最大値や最小値の整理をする上で,結果を覚えるのでなく,グラフで考察することが基本であることを強調する。

「 」 。イ 前の単元である 二次関数のグラフ の中で増減の特徴を扱っていればそれを踏まえて整理する理解されていなければここで増減について扱う。

⑤ ワークシートは次ページ

163 2 ++−= xxy

12 +−= xxy 32 ≦≦ x−

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第1時

二次関数の最大・最小(1)( )組 ( )番 氏名( )

1.長方形 の形をいろいろ変えて長方形の面積を計算してみよう。EDCF

2.倉庫にできるだけたくさんの物を収納するにはどうしたらよいか考えよう。

3.今日学んだいろいろな数学的な見方や考え方について,興味があったのはどんなことですか。

A

B

C A

B

C

A

B

C A

B

C

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第2時

二次関数の最大・最小(2)( )組 ( )番 氏名( )

1.二次関数で最大値・最小値がない場合があればあげてみよう。(具体的な関数をあげるか,またはグラフの概形をかいて示してもよい)

2.次の二次関数は, の値が変化すると の値はどうなるだろうか。また最大値・最小値はどうなるx yだろうか。二次関数のグラフを用いて考えてみよう。

課題①:二次関数の最大値・最小値を考える必要のある問題を作ってみよう。

、 。課題②:身の回りに二次関数で表される事象がないか調べ 最大値や最小値について考えてみよう

(1) y=-3 2x +6x+1

(2) y= 2x -x+1 0-2(x 1(3

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以下に二次関数の値の変化の小単元で,展開例に述べていないものについて を掲載しておく評価問題例ので,各学校での評価の参考にされたい。

【二次関数の値の変化】関心・意欲・態度①

二次不等式の解に関心をもち,二次関数のグラフを活用して二次不等式の解を求めようとする。・観察(評価方法)

<評価問題>

の明さんは,一次不等式 の解は一次関数 のグラフを使って考えることができる

, , 。で 二次不等式 も同じようにグラフを使って考えられるのではないか と考えた

このことを基にして, の解について考えてみよう。

② 数学的な見方や考え方

二次不等式の解を二次関数のグラフを用いて考察することができる。・観察,ペーパーテスト(評価方法)

<評価問題>次の二次方程式,二次不等式の解を図中に示しなさい。

(二次関数 のグラフや 軸との交点の座標は与えておく )。

③ 表現・処理二次関数のグラフや式を用いて,二次関数の最大値・最小値を求めることができる。・

ペーパーテスト(評価方法)<評価問題>

次の二次関数について,最大値・最小値を求めなさい。

( )

二次関数のグラフを活用して二次不等式の解を求めることができる。・ペーパーテスト(評価方法)観察,

<評価問題>次の二次不等式を二次関数のグラフを利用して解きなさい。

知識・理解④

二次関数の最大値・最小値とその求め方について理解し,基礎的な知識を身に付けている。・観察,ペーパーテスト(評価方法)

<評価問題>次の二次関数は最大値・最小値のどちらをもつか。また,その値を求めるにはどのようにすればよい

か。

上の二次関数が,最大値・最小値をともにもつのはどのようなときか。

二次不等式の解の意味を二次関数のグラフとの関係から理解している。・観察,ペーパーテスト(評価方法)

<評価問題>

二次不等式 をグラフを利用して解くには,どのような二次関数のグラフを考え,どのよ

うに求めるか。

0222 =−− xx 0222 <−− xx 0222 >−− xx222 −−= xxy x

12 2 +−= xxy 122 +−−= xxy

232 ++−= xxy 21 ≦≦ x−

023 2 <− xx 033 2 ≧−+ xx 01162 >++ xx

0562 <+− xx

0>+ bax baxy +=

02 >++ cb xa x

( ) 413 2 −−= xy

02 >++ cb xa x

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4 観点別評価の進め方b観点別評価の進め方については 数学基礎においても同様であるので参考にされたい なお 以下では, 。 , ,

は「おおむね満足できると判断される状況 , は「十分満足できると判断される状況 , は「努力を要」 」a cすると判断される状況」を表す。

(1)観察による評価の在り方生徒の学習状況を日々の教育活動の中で把握する方法として,観察による評価は重要である。関心・

意欲・態度の評価において,観察による評価の比重は他の観点より大きくなる可能性もあるし,ワークシートやペーパーテスト,レポートなどで評価を行う場合にも,日々の観察が基になって生徒の誤りの原因を把握することができる。観察による評価においては次の点に留意したい。

① 授業の中で観察による評価を行う場合には,その場面で十分な時間をかける。また必要に応じ,複数の時間で丁寧に評価するようにする。

② と評価した場合には,他の評価方法を用いた場合と同様,その根拠を生徒に知らせ,同時に適c切な指導をする。

③ 担任や他教科の教員と評価にかかわる意見交換をより緊密に行い,同時に授業研究を中心とした研修により観察による評価がより適切なものになるよう工夫改善をする。

これらについて簡単に説明を加えておく。①は,より客観性や信頼性のある評価をするために行う。観察による評価を行う場合には,その場面

で十分に時間をかけ生徒の活動をみることが必要である。教師が一方的な説明に終始すると個々の生徒の活動がみえて来ないので,適切な評価を行うことは多くの場合困難である。それゆえ,観察による評価を適切に行うためには生徒の活動を促す授業でなければならない。また,1時間の授業で評価できなければ必要に応じて複数の時間で丁寧に評価を行うようにする。なお,観察による評価規準が多ければ,常に評価を意識して授業を行わなければならず,指導がおろそかになる可能性もある。そこで観察による評価規準を絞り,その他のものについてはワークシートやペーパーテスト,レポートなどで行うことが考えられる。ただし,ワークシートやペーパーテスト,レポートなどで評価する場合も観察を行わなくてもよいということではない。前述したようにペーパーテストなどの誤りの原因は日々に観察があるからこそ正しく把握されるのである。

②は 「努力を要すると判断される」状況にある生徒に適切な指導を行うということである。高等学校,の場合,評定が1になるとその科目の単位は不認定となるので,観察による評価においては と評価しcにくいと言われる。しかし,評価規準に述べられている資質や能力を身に付けていなければその評価規準の評価は であって,それは教師の専門性から判断すべきものである。 と評価した場合には,その根c c拠を生徒に知らせ適切な指導を行う。指導の結果,評価を改めることが適当と判断すれば評価を改めればよい。そのような指導と評価を行うことが,生徒や保護者の信頼を得ることにもつながる。

③は,①と同様に,より客観性や信頼性のある評価を行うためである。そこで,クラス担任や他教科の教師と評価に関する意見交換を密に行い,生徒についての情報を得ておくことは特に観察による評価では生きてくる。さらに授業研究を行い,教師どうしで評価規準の適切さや評価場面の適切さを検証したり,複数の教師で評価を行って評価の違いなどをもとに,より客観性や信頼性のある評価を行うためには何が必要かを検討したりすることは大切なことである。なお,観察による評価を行う場合も他の評価方法を行う場合も,評価する者がそれを確認できなければ評価できない。自分の考えや意見,思いなどを表現することも大切なことであり,その点について生徒や保護者に十分説明しておくことも必要である。

(2)ワークシートについて今回,事例においてワークシートを活用することを述べている。これは,普段の学習活動の評価で信頼

性,客観性を高めるために用いたものである。また,ここでは事例がより分かりやすいものになるよう,その記述も丁寧にしている。しかし,実際の授業で用いるワークシートはここにあげたようなものでなくても構わない。ただし,ワークシートは,利用の仕方によっては授業の流れを決めてしまい活発な議論等ができなくな

るような教室の雰囲気を作ってしまうことがある。また,教員が必要以上にワークシートに頼ってしまい単調な授業になることもあり得る。ワークシートの活用に際してはそのような授業にならないよう留意すべきである。

(3)総括的テストの作成①総括的テストには単元テストや中間テスト,期末テストなどがあるが,ここでは単元テストの作成につ

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数-32

いて述べることにする。中間テスト,期末テストなどの総括テストの作成も同様に考えられる。単元テストも四つの観点を踏まえ,評価規準をもとに作成する。総括テストを作成するに当たって新たな評価規準を設定することも考えられる。出題に当たっては,これらの評価規準に照らして適切に評価できるよう問題内容を工夫することが大切である。また,一つの問題で , , の判断ができるものと , と , に分けて判断するものがある。a b c b c a b一つの問題で , , の判断ができる場合• a b c評価規準をもとに評価を量的なものに還元できる場合記述式の設問で,キーワードの使用の有無などから評価できる場合など

, と , に分けて判断する場合• b c a b(例)評価規準:いろいろな二次関数の最大値・最小値を求めることができる。

次の二次関数の最大値または最小値を求めなさい。( )1

① ②

③ ( )

<b,cを判断する>

のとき,二次関数 ( )の最小値を求めなさい。( )2<a,bを判断する>

②評価規準と問題の対応関係を例示しておく。

関心・意欲・態度 数 学 的 な 見 方 や 考 表現・処理 知識・理解え方

1 2 3 5a b c a b c b c b c(1) (1)

a b a b(2) (2)4

b c(1)a b(2)

上図では,一つの評価規準に一つの大問が対応している (1~5の大問番号は関心・意欲・態度から。知識・理解へと便宜的に割り振っている )。例えば,評価規準は次のようなものである。

1 具体的な事象の考察に二次関数を活用しようとする。2 いろいろな事象の変化の様子を二次関数を用いて考察することができる。3 いろいろな二次関数のグラフを適切に表すことができる。4 いろいろな二次関数の最大値・最小値を求めることができる。5 二次関数とそのグラフ,二次関数の値の変化に関する基本的な概念や用語,記号などを理解し,基

礎的な知識を身に付けている。

a b c a b c b c b c a b図の は,一つの問題で , , の判断ができる場合であり, は , の判断をする,は , の判断をする場合である。a b

1162 +−= xxy 342 2 +−−= xxy

222 −−= xxy 31 ≦≦ x−

0>a 342 +−= xxy ax≦≦0

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5 観点別評価の総括については,数学基礎においても同様の考えで行われるので参考にされたい。観点別評価の総括

評価の総括については,各単元の観点ごとに評価を総括するものと,さらにそれらを5段階の評定へと総括するものがある。ここでは前者について例をあげ述べることにする。

二次関数 二次関数の評価名前 観点グラフ 値の変化 単元テスト

a a b a a A○○太郎 関心・意欲・態度

a a b b B見方や考え方b a b a a b A表現・処理

a a a a A知識・理解

ここでは,二次関数の評価を,日々の評価の累積としての評価と単元テストの評価を合わせて行っている。上記の表では,大きく二次関数と単元テストに分けられるが,二次関数での , などの評価は教a b

a b育活動における具体の評価規準一つ一つの評価であり,日々の評価である。また,単元テストでの ,などの評価は の(3)②の単元テストの評価とする。4

, 。 ,,,各学校で観点別に評価を総括する場合 その手続きを明確にしておくことが必要である ここでは a bを数値化して総括する例をあげておく。c例えば, を 点, を 点, を 点として平均点を利用する。 , , の個数が等しいときにはよa 2 b 1 c 0 a b c

い評価の方をとるとし,平均が 以上なら , 以上 未満なら , 未満なら とする。また,1.5 A 0.5 1.5 B 0.5 C単元テストでは,関心・意欲・態度と数学的な見方や考え方の評価規準は複数の評価規準にまたがり,問題も総合的なものであるとして,この二つの観点の評価は 倍することにする。2上記の場合,関心・意欲・態度では( , , , )と( , )であるから平均が1.8で ,数学的な見a a b a a a A

( , , ) ( , ) , ( , , , ) ( , )方や考え方では と であるから平均は1.4で 表現処理では とa a b b b B b a b a a bであるから平均は1.5で ,知識・理解では( , , )と( )であるから平均は2で である。A a a a a A総括を , , の個数で行うこともできる。例えば,各観点ごとで , , のうちもっとも個数の多a b c a b c

。 , ,( ,,)いものがその観点の実現状況を表していると考え総括をすることもできる ただし この場合 a b c( , , , ) , 。や などの評価を総括するとき その評価はどうするのか前もって考えておく必要があるa a c cいずれにしても生徒の実現状況をよりよく表す評価となるよう,各学校で総括の方法を工夫すること

が大切であることは強調しておきたい。