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基礎プロジェクト演習②

演習②concrete.t.u-tokyo.ac.jp/.../Kisopro2_2018_0516.pdfの建設(コンクリート部のみ) 自己充填コンクリート 配合設計コンセプトが普通コンクリートと違う

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基礎プロジェクトⅡ

演習②

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要求性能①自己充填性②圧縮強度(≧70MPa)+温度ひび割れ抑制

コンクリート打設量: 10万m3

新東京湾横断道路第二人工島の建設 (コンクリート部のみ)

自己充填コンクリート

配合設計コンセプトが普通コンクリートと違う

過密配筋

高流動コンクリート必要

演習②

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要求性能①自己充填性②圧縮強度(≧70MPa)+温度ひび割れ抑制

コンクリート打設量: 10万m3

新東京湾横断道路第二人工島の建設 (コンクリート部のみ)

自己充填コンクリート

配合設計コンセプトが普通コンクリートと違う

過密配筋

高流動コンクリート必要

①自己充填性 (建設時)

Vロート試験(10~30秒)

コンクリート満たす 流れ落ちる時間計測

底蓋

②圧縮強度 (硬化後)コンクリートの強さの指標

H200mm×Φ100mm

70MPa = 714 kgf/cm2

演習②

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鉄道高架橋の柱梁接合部高架化工事

JR東日本,三鷹

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自己充填コンクリート開発背景

自己充填コンクリート (SCC = Self Compacting Concrete)

開発者:小澤先生、前川先生、岡村先生(東京大学コンクリート研究室で開発)

[メリット]・締固めが不要・騒音が発生しない・施工不良がない・施工に影響されない(熟練工でなくとも設計通りの品質で構造物を作れる)・締固め要員をなくすことができ、現場人身事故も削減可

[デメリット]・材料単価としては高くなる(※人件費、管理費が下がり、かつ耐久性も向上するのでトータルは安くなる)・表面水率の管理が難しい

締固めをしなくても、自重だけで型枠の隅々までいきわたるコンクリート

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締固めなしで型枠の隅々までいきわたらせるためには?

①骨材がかみ合って閉塞しないこと(骨材量)②コンクリートが変形性を持つこと③材料分離しないこと(十分な粘性があること)

垂直方向の抗力(粘性)

せん断方向への流れやすさ(変形性)

骨材量

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自己充填性を確保するために適切な骨材量

・骨材が多いと鉄筋に引っ掛ってかみ合う・骨材が少ないとコンクリートの品質が安定しない

実験・解析の結果,実積率の50%以下であればインターロックが発生する確率が急激に減ることがわかっている

骨材量は実積率(Glim)の50%が適切

Ex)実積率が0.60のものなら0.30入れる

=骨材がかみ合い、閉塞する状況

単位体積に骨材を詰まるだけ詰めた時に骨材が占める体積割合のこと

実積率

インターロック

ちょうど良い骨材量がある

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変形性、粘性の両立(1/2)変形性と粘性とは同じ物理量ではない

粘っこいが変形するものもある(例えばスライムとか)

コンクリートの水セメント比を増やすと?

変形性増、粘性減変形性減、粘性増

水とセメントのみが流れる

ペーストのみ流れる分離しないが流れもしない

目標イメージ

分離せず流れる変形性、粘性を両立させるのは水セメント比のみでは不可

水セメント比と高性能AE減水剤で調整する

コンクリートの水セメント比を減らすと?

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流動性、粘性の両立(2/2)

粘性 変形性

Vw/Vp増 減 増

SP増 あまり変化なし 増

水セメント容積比(Vw/Vp)、高性能AE減水剤(SP)の影響イメージ

おおよそ粘性と流動性を分離して操作可能。

先ず粘性をVw/Vpで調整その後高性能AE減水剤で変形性を微調整

変形性

粘性

大小

Vw/Vp

SP

目標

目標に合わせてベクトルを組み合わせて最適解を目指すイメージ。

ただし、最適解から少しでもずれると両立できないので注意!かなり繊細!

SP標準使用量は粉体重量の1.0%程度。幅もせいぜい1.0-1.5程度と考えて良い。

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締固めなしで型枠の隅々までいきわたらせるためには?

①骨材がかみ合って閉塞しないこと骨材量で調整

②コンクリートが変形性を持つこと主として高性能AE減水剤で調整

③材料が分離しないこと粘性が必要→主として水結合材容積比で調整

垂直方向の抗力(粘性)

せん断方向への流れやすさ(変形性)

単純に水を増やすと粘性小,変形性大

材料分離骨材がかみ合い、やがて閉塞

粘性が大きく、変形性が大きい場合

骨材同士の距離は保たれたまま変形が進む

骨材量

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自己充填コンクリートの配合設計

Water Cement Sand Gravel Air

①標準4-7%

②空気量を引いた

コンクリート容積に対して実積率の半分Vg=(1-Vair)*Glim/2

③モルタル容積の40%が標準

Vs=0.4*(1-Vair-Vg)④残りを水とセメントで埋める。必要強度や流動特性に応じて変化させる。

・自己充填コンクリートでは一般的にVw/Vp=80%~115%(W/C=25.3%~36.5%)・強度算定には水セメント比法則を適用。

・ただし詳細は練り上がったコンクリートの状態を見て判断。

W/Cを1%変えただけでも特性は大きく変化するので注意。SPの変化は相対的に小さい。TAがやる時はW/Cでおよその粘性を当ててから、SPを0.1%刻み程度で調整。

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温度ひび割れの抑制

演習の手引き25ページ「※配合設計において、温度ひび割れの抑制を考慮することを求める。」

温度ひび割れ:コンクリート温度変化による膨張収縮が部位により異なり、拘束されることによって生じるひび割れ

水和熱を低減するような配合設計上の提案を一つ盛り込むこと

http://www.taiheiyo-cement.co.jp/rd/tbc/download/images/CEMS-QA_41.pdf

宇部興産HPより

セメントの水和発熱

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次回以降の流れ

火曜14:50 14教室集合、点呼15:00 実験室に移動

表面仕上がり検査割裂試験(引張強度計測)水分浸透深さ計測

16:00頃 演習②試練(90分,各社3回まで)17:30頃 解散※この日で演習①終了なので、その後1週間以内にレポート提出。

水曜14:50 14教室集合、点呼、演習②説明15:00 入札開始(一社あたり20分)入札終了後、実験室で打設(持ち時間は60分、最大延長30分)打設完了後解散※1週間以内に演習②施工完了報告書提出。

金曜12:15 脱型、養生開始

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演習②レポート課題

基礎プロジェクトⅡ レポート課題演習②

1. 自社の示方配合を示し,配合設計の要点を簡潔に記述せよ.2. 自社の入札戦略とその成否および要因に関して,簡潔に述べよ.3. 自社で施工したコンクリート打設の手順を簡潔に記述せよ.工夫や気づいた点等があれば述べよ.4. 自己充填性の設計値に関して,自社の設計値と実計測値との相違について理由を考察せよ.必要に応じて,他社の結果を含めて考察を行うこと.5. 自己充填コンクリートの可能性と課題について,考えを述べよ.特に,本演習の前後で認識が変わった点があれば,記述すること.6. 感想を述べよ.本演習に関する意見があれば,あわせて述べよ.

以上

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演習②

発注者代表より挨拶

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(このPDFを見てくれた方へ)• 予定価格の決定にあたっては、演習①の時とは少し事情(世の中の経済状況など)が異なっている可能性があることを鑑みてください。厳しい経済状況かもしれません。

• 13億円払うと“オプション”でミキサーが使えます

• 参考図書「ハイパフォーマンスコンクリート」が有用です.