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鉄道車両工業 476 号 2015.10 ずいひつ / 会員会社紹介 48 1. 会社の沿革 当社は住友金属工業 ( 株 )( 現新日鐵住金 ( 株 )) の航空器事業部を継承して、住友金 属の鉄鋼専業化の方針に基づき 1961( 昭和 36) 年に分離・独立し、「住友精密工業」が 発足しました。 会社発足当時の主力製品はプロペラや関連 部品及びアルミろう付け熱交換器でしたが、 現在では航空宇宙機器、熱交換器、油圧機器、 オゾナイザ、半導体製造装置、モーションセ ンサーなど幅広い分野に事業展開していま す。 熱交換器部門は 1954( 昭和 29) 年、独自 に実用化したアルミ浸漬ろう付け法によって 航空機用熱交換器を開発して以来、産業、社 会の様々なエネルギー分野に、小型・軽量・ 高性能な熱交換器を納入してきました。 また 1983( 昭和 58) 年には、真空ろう付 け技術によるプレートフィン型熱交換器の開 発に成功し、世界のトップメーカーとして高 い信頼と実績を獲得してきました。その間、 産業機器をはじめ、鉄道、電力設備などの分 野に各種熱交換器を納入しています。 会員会社紹介 会員会社紹介 2. 会社の概要 (2015 年 3 月末現在 ) 住友精密工業株式会社 1961( 昭和 36) 年 1 月 兵庫県尼崎市扶桑町 1 番 10 号 三木伸一 103 億 900 万円 連結売上高 471 億円 連結従業員 1,709 人 ホームページ http://www.spp.co.jp 3. 鉄道車両用製品の紹介 1961 年 ( 昭 和 36) 年、 当 時 の 日 本 国 有 鉄道における初の純国産ディーゼル機関車 DD13 形のラジエーターやオイルクーラーに アルミ製熱交換器が採用されて以来、特急車 両、新幹線電車の変圧器用オイルクーラーや 主回路装置用冷却器等を製作しており、JR 様、鉄鋼メーカー様、海外向けに数多く採用 されています。 以下に、代表的な製品をご紹介します。 3.1 ディーゼル機関車用熱交換器 日本の軌道条件からの制約により、軽量で 小型の熱交換器が要求されますが、DD13 形 の設計時、アルミ製各種冷却器の特徴を高く ご評価いただき、ラジエーター、潤滑油クー ラー、変速機油クーラー、過給空気インタクー ラーなど全面的に採用され、その後製作され たすべての機関車にも採用されました。 また、JR 貨物様の DF200 形用ラジエー ターにも弊社製アルミ熱交換器をご採用いた だきました。 3.2 電車、電気機関車用熱交換器 交流電源の変圧器や VVVF 変換装置にも、 会社本館と工場

会員会社紹介...DD13形のラジエーターやオイルクーラーに アルミ製熱交換器が採用されて以来、特急車 両、新幹線電車の変圧器用オイルクーラーや

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  • 鉄道車両工業 476 号 2015.10

    ずいひつ / 会員会社紹介

    48

    1. 会社の沿革 当社は住友金属工業 ( 株 )( 現新日鐵住金

    ( 株 )) の航空器事業部を継承して、住友金

    属の鉄鋼専業化の方針に基づき 1961( 昭和

    36) 年に分離・独立し、 「住友精密工業」が

    発足しました。

     会社発足当時の主力製品はプロペラや関連

    部品及びアルミろう付け熱交換器でしたが、

    現在では航空宇宙機器、熱交換器、油圧機器、

    オゾナイザ、半導体製造装置、モーションセ

    ンサーなど幅広い分野に事業展開していま

    す。

     熱交換器部門は 1954( 昭和 29) 年、独自

    に実用化したアルミ浸漬ろう付け法によって

    航空機用熱交換器を開発して以来、産業、社

    会の様々なエネルギー分野に、小型・軽量・

    高性能な熱交換器を納入してきました。

     また 1983( 昭和 58) 年には、真空ろう付

    け技術によるプレートフィン型熱交換器の開

    発に成功し、世界のトップメーカーとして高

    い信頼と実績を獲得してきました。その間、

    産業機器をはじめ、鉄道、電力設備などの分

    野に各種熱交換器を納入しています。

    会員会社紹介会員会社紹介

    2. 会社の概要 (2015 年 3 月末現在 )会 社 名 住友精密工業株式会社

    設   立  1961( 昭和 36) 年 1 月

    本   社 兵庫県尼崎市扶桑町 1 番 10 号

    代 表 者 三木伸一

    資 本 金 103 億 900 万円

    連結売上高 471 億円

    連結従業員 1,709 人

    ホームページ  http://www.spp.co.jp

    3. 鉄道車両用製品の紹介 1961 年 ( 昭和 36) 年、当時の日本国有

    鉄道における初の純国産ディーゼル機関車

    DD13 形のラジエーターやオイルクーラーに

    アルミ製熱交換器が採用されて以来、特急車

    両、新幹線電車の変圧器用オイルクーラーや

    主回路装置用冷却器等を製作しており、JR

    様、鉄鋼メーカー様、海外向けに数多く採用

    されています。

     以下に、代表的な製品をご紹介します。

    3.1 ディーゼル機関車用熱交換器 日本の軌道条件からの制約により、軽量で

    小型の熱交換器が要求されますが、DD13 形

    の設計時、アルミ製各種冷却器の特徴を高く

    ご評価いただき、ラジエーター、潤滑油クー

    ラー、変速機油クーラー、過給空気インタクー

    ラーなど全面的に採用され、その後製作され

    たすべての機関車にも採用されました。

     また、JR 貨物様の DF200 形用ラジエー

    ターにも弊社製アルミ熱交換器をご採用いた

    だきました。

    3.2 電車、電気機関車用熱交換器 交流電源の変圧器や VVVF 変換装置にも、会社本館と工場

  • 鉄道車両工業 476 号 2015.10

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    軽量・小型のアルミプレートフィン冷却器が

    採用されています。

    (1) 変圧器絶縁油冷却器

     変圧器の絶縁油を空気で冷却しますが、軽

    量・小型、かつ容易な保守性が求められます。

    弊社油冷却器は国鉄時代から各種車両に採

    用され、特に新幹線用としては 1964( 昭和

    39) 年の東海道新幹線 0 系から各 JR 様の最

    新車両までのすべての車種に採用されていま

    す。

    (2) 電源制御装置用半導体冷却器

     東北新幹線 200 系電車の整流器の冷却に

    初めて沸騰冷却方式が採用され、東海道新幹

    線 100 系、300 系に継承されました。

     1990 年代後半には産業用インバーター装

    置内素子冷却器に使用されていたヒートパイ

    プ式に対して新方式の高性能「サイフォレッ

    クス®」を開発しました。このサイフォレッ

    クス® を鉄道車輌の電源やモーター制御用の

    パワー素子半導体が GTO から IGBT へと変

    わっていく中で長野新幹線 E2 系電車以降、

    全面的に採用され、東海道新幹線 N700 系 (Z

    編成 ) や海外の大型機関車にご採用いただき

    ました。負荷の異なる多数の素子を取り付け

    ても蒸発部表面温度の均熱化を図ることがで

    き、装置の設計上の自由度が高いのが特徴で

    す。

    (3) 車両に関わる製品

     これまでの製品をベースにお客様の海外事

    業展開に合う製品の開発と多様化を進めてお

    ります。

     主変換器の素子を水で冷却する高性能コー

    ルドプレート、高性能&大型ヒートシンク、

    大型ラジエター、放熱冷却ユニットなど用途

    に合わせた熱交換器を準備しております。

    4. おわりに これまで培ってきました熱交換器メーカー

    としての実績と技術をさらに発展させ、お客

    様の事業展開に貢献できるよう品質向上に努

    めて参ります。サイフォレックス®

    水冷コールドプレート

    ユニットクーラー

    コルゲートフィ冷却水入

    素子取付

    冷却水出

    コルゲートフィ冷却水入

    素子取付

    冷却水出