24
線形移流方程式の厳密解 c t = 0 10 20 30

線形移流方程式の厳密解 - 立正大学es.ris.ac.jp/~yoshizaki/lecture/2013_1st/SynopticMet/S_04.pdf · 初期条件・境界条件 今回の例では、x 方向に等間隔に50格子

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Page 1: 線形移流方程式の厳密解 - 立正大学es.ris.ac.jp/~yoshizaki/lecture/2013_1st/SynopticMet/S_04.pdf · 初期条件・境界条件 今回の例では、x 方向に等間隔に50格子

線形移流方程式の厳密解

c

t = 0 10 20 30

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線形移流方程式の差分近似

時間微分については、陽解法を採用

空間微分に中心差分を用いると

fj±1/2 の補間を とすると、

t

ff

t

fn

j

n

j

1

x

ff

x

fn

j

n

j

21

21

2

1

21

n

j

n

jn

j

fff

x

ff

x

fn

j

n

j

2

11

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線形移流方程式の差分近似

線形移流方程式

を中心差分で差分近似すると、

整理すると、

0

x

fc

t

f

02

11

1

x

ffc

t

ff n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

j fx

tcff

x

tcf 11

1

22

n

n+1

j–1 j+1 j

x

t c

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初期条件・境界条件

今回の例では、x 方向に等間隔に50格子とする。Δx = 1 m、Δt = 1 s とする

初期条件

境界条件は周期境界条件とする

)13,7(0

)1310(13

)107(7

)(

xx

xx

xx

xf

051 ff

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差分解の例(中心差分)

t = 0 10 20 30 40 50

誤差が分散

c = 0.3 m/s

Δt = 1 s

Δx = 1 m

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別の差分近似

時間微分は同様に、陽解法を採用

空間微分は風上側の格子点を採用した片側差分を用いると

上記のような風上(上流)側の点のみ使う差分形式を風上(上流)差分という

t

ff

t

fn

j

n

j

1

x

ff

x

fn

j

n

j

1

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別の差分近似

線形移流方程式

を風上差分で差分近似すると、

整理すると、

0

x

fc

t

f

01

1

x

ffc

t

ff n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

j fx

tcf

x

tcf

11

1

n

n+1

j–1 j+1 j

x

t c

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差分解の例(風上差分)

t = 0 10 20 30 40 50

誤差が拡散

c = 0.3 m/s

Δt = 1 s

Δx = 1 m なぜ?

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2

2

1111

1111

11

1

1

2

2

2

22

2

1

2

1

0

0

x

fc

x

fc

x

fffc

x

ffc

x

fffc

x

ffffc

x

ffcc

x

ffcc

cforx

ffc

cforx

ffc

t

f

jjjjj

jjjjjjjj

jjjj

jj

jj

j

風上差分は、移流(中央)差分と拡散差分を含んでいる!

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離散化誤差の振る舞い

中心差分近似

打ち切り誤差の主要項は奇数次の微分係数

風上差分近似

打ち切り誤差の主要項は偶数次の微分係数

n

j

n

j

n

jf

x

x

ff

x

f

62

211

n

j

n

j

n

jf

x

x

ff

x

f

2

1

分散的

拡散的

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誤差の振舞い

同じ風上差分でも、計算条件によって計算誤差の時間発展の様子が異なっている

右の例では、c > 1

のとき誤差が増幅しているが、c ≤ 1

では増幅せず

c = 0.95 m/s

c = 1.00 m/s

c = 1.05 m/s

t = 0 10 20 30

Δt = 1 s , Δx = 1 m

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2011/10/31 12

以上が 前回までの話

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拡散方程式

拡散方程式

拡散方程式の解は、上に凸(∂2f /∂x2 < 0)のところで減少(∂f /∂t < 0)し、下に凸(∂2f /∂x2 > 0)のところで増加(∂f /∂t >

0)するので、分布を平滑化させる解となる

2

2

x

fa

t

f

a(≥ 0)は拡散係数で定数とする

f(x)

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拡散方程式の厳密解

01)0(

sin)(),(

2

2

tatH

xktHtxf

x

fa

t

f

a(≥ 0)は拡散係数で定数とする

xketxf

eHeAH

kabHkatd

Hd

tb

tbtb

sin),(

22

問題: x方向には周期的と仮定する

解:

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拡散方程式の差分近似

拡散方程式

を中心差分で差分近似すると、

整理すると、

2

2

x

fa

t

f

211

1 2

x

fffa

t

ff n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

j fx

taf

x

taf

x

taf 12212

1 21

n

n+1

j–1 j+1 j

x

t

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拡散方程式の差分解

a = 0.3 Δt = 1 s

Δx = 1 m

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安定性解析

差分近似などによる離散化によって、大気要素の時々刻々の状態を求めることができる

しかし、これまで見てきたように、時間発展の過程で数値的な不安定が発生し、計算が破綻してしまうことがある

計算条件が数値的な不安定を起こしやすいかどうかのチェック

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2011/10/31 18

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フーリエ級数

周期 2l をもつ関数 f (x) は、三角関数の和として表現できる

オイラーの公式 を用いると

波数 k = nπ/l を用いて

1 1

0 sincos2

)(n n

nnl

xnb

l

xna

axf

xixeix sincos

n

nl

xincxf

exp)(

k

k ikxcxf )exp()(

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フーリエ級数の直交性

1 1

0 sincos2

)(n n

nnl

xnb

l

xna

axf

0000

0

sincos2

coscos)(

0

1 1

0

m

m

l

ln n

nn

l

l

bnm

nma

m

ma

dxl

xnb

l

xna

a

l

xmdx

l

xmxf

nm

nmba

dxl

xnb

l

xna

a

l

xmdx

l

xmxf

m

m

l

ln n

nn

l

l

00

sincos2

sinsin)(1 1

0

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ノイマン法

変数 f (x, t) を、空間方向についてフーリエ変換すると

ノイマン(von Neumann)の安定条件: 時間発展とともにあらゆる波数 k の振幅

Ak(t) が増幅しないこと

k

k ikxtAtxf )exp()(),(

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ノイマン法

差分点(xj = jΔx, tn = nΔt)における f の値

fjn を

とおき、A = An+1 / An の大きさを求めて以下のように判別する

全ての k について安定なら、無条件安定

)exp( xikjAf nn

j

不安定1

安定 1

A

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拡散方程式の安定性

拡散方程式の差分形式

についてフーリエ変換を適用し、安定性を調べる。波数 k の振幅の式は

211

1 2

x

fffa

t

ff n

j

n

j

n

j

n

j

n

j

n

nn

Ax

xka

t

AA2

1 1)cos(2

2sin

41 2

2

1 xk

x

ta

A

AA

n

n

2

cos1

2sin2

2

2

x

fa

t

f

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拡散方程式の安定性

安定条件は |A| ≤ 1 であるから

結局、あらゆる波数 k に

ついて安定となる条件は

1

2sin

411 2

2

xk

x

ta

a

xt

2

2

a = 0.3

a = 0.5

a = 0.7

Δt = 1

(Δx)2/2a = 1.67

Δt = 1

(Δx)2/2a = 1.00

Δt = 1

(Δx)2/2a = 0.71