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柏崎刈羽原発の再稼働にひた走る新潟県の動き -その環としての「技術委員会」委員の不再任問題 立石雅昭(新潟大学名誉教授) 昨年来の国・東京電力、そして県の動向 20186知事選で、容認派の花角知事誕生 3つの検証を引き継ぎ、検証総括が終えるまでは再稼働の議論は しない、と公約。 2018年暮れ、原子力規制委、東電の再稼働申請を容認 ・自民党:経済産業省資源エネ庁 長官を招いての学習会 ・柏崎市長選 再稼働を容認する桜井現市長「圧勝」 ・宮城県での女川原発再稼働,議会での議決をもとに地元同意の流 れ。新潟でもこの方式をやる方向で動き出した。 12月県議会での自民党県議による検証総括委員長への不当な攻撃 知事が検証総括委員長を呼び出し、「講演内容」にクレームを 付けるとともに、検証総括委員会の役割を矮小化。 ・技術委員会委員の不再任通告・変質をもくろむ 事故の要因の検証のまとめを急ぐとともに、大幅な委員の入れ 替えで委員会の変質を画策: 14人の体制から7人を解任 高齢を理由に4人の委員に退任を迫るとともに、事故検証で加 わった3人の委員を解任 2022年、知事選

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柏崎刈羽原発の再稼働にひた走る新潟県の動き-その環としての「技術委員会」委員の不再任問題

立石雅昭(新潟大学名誉教授)

昨年来の国・東京電力、そして県の動向・2018年 6月 知事選で、容認派の花角知事誕生3つの検証を引き継ぎ、検証総括が終えるまでは再稼働の議論はしない、と公約。

・2018年暮れ、原子力規制委、東電の再稼働申請を容認・自民党:経済産業省資源エネ庁 長官を招いての学習会・柏崎市長選 再稼働を容認する桜井現市長「圧勝」・宮城県での女川原発再稼働,議会での議決をもとに地元同意の流

れ。新潟でもこの方式をやる方向で動き出した。・12月県議会での自民党県議による検証総括委員長への不当な攻撃

知事が検証総括委員長を呼び出し、「講演内容」にクレームを付けるとともに、検証総括委員会の役割を矮小化。

・技術委員会委員の不再任通告・変質をもくろむ事故の要因の検証のまとめを急ぐとともに、大幅な委員の入れ

替えで委員会の変質を画策: 14人の体制から7人を解任高齢を理由に4人の委員に退任を迫るとともに、事故検証で加

わった3人の委員を解任・ 2022年、知事選

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新潟日報 1月17日1月20日

1月21日、記者会見で声明「再任を求める要望」発表。県知事へ提出

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2021年1月21日新潟県知事花角 英世 様

新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会委員 立石 雅昭 (新潟大学名誉教授)

声明 「技術委員会委員の再任を求める要望」

先般、新潟県原子力安全対策課から、次年度、私と鈴木元衛氏を表記技術委員会の委員に再任しない旨の通告がありました。そ

の根拠として、委員の任命/再任にあたって、平成10年に制定、昨年改訂した「新潟県附属機関等設置及び運営基準要綱ならびに同要綱制定及び運用について(通知)」を適用するというものです。私は、東京電力柏崎刈羽原発が2007年の中越沖地震によって被災したことを受け、その翌年から技術委員会委員を委嘱され、専

門的知見を生かすと言う立場からその任に当たってきました。また、元原子力開発研究機構の鈴木元衛氏はシュラウドひび割れ問題が起きた後の2003年、すなわち、技術委員会の設置時から委員を務めてこられました。私たちは2011年の福島原発事故後は、福島第1原発の現地視察を含め、事故の要因を検証する課題に真摯に対応してきました。現

在、技術委員会は柏崎刈羽原子力発電所の安全性の確認にその検証結果をいかに活かすか、さらに、柏崎刈羽原子力発電所の安全性に関わる問題としてどのような課題があるかを各委員から提出し,議論を進めているさなかです。また、検証総括委員会の報告が出るまでは、技術委員会の検証の役割は継続しているものと考えます。一方で、東京電力や経済産業省資源エネ庁が柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を急いでいます。そのさなかに技術委員会委員を交代させるということは、これまで技術委員会で積み上げてきた検証内容や審議の経過、現に進行中の議論の継続性をないがしろにするものと考えます。鈴木氏も同意見です。

県民・国民の命と暮らしを守る上できわめて重要な課題であるからこそ、技術委員会で積み上げてきた議論を活かすために、ここに、新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会委員への私と鈴木元衛氏の再任を求めます。

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技術委員会委員 鈴木元衛さんコメント(2021年1月24日)FFTV録画に向けて作成戴いたものを若干修正

・満70歳以上の委員は再任しないという基準を、県のルールであり県に委託を決める権限があるからといって、機械的に適用す

るのはこれまでの議論の実を無視するものです。県職員が技術委員に「決まりに従って再任はしません」といきなり連絡すると

いうのは、これまで一生懸命任務を果たしてきた委員に対して失礼な態度でしょう。

・なぜこの重要な時期に、委員の交替や減数をするのか、理解できません。知事は、新任される委員の新しい知見に期待する旨おっしゃいますが、それはあくまで一般論です。現委員には何年間の経験知があります。原子力というのは特に経験知が重要です。これを持つ委員をあっさり切るのは、知事としての責任ある態度ではないと思います。・新任の委員が議論を引き継ぐには、これまでの議論を勉強しなければならず、時間がかかります。新委員が単に、東電が提出

した資料を読んでその場で気がついたことを質問するのなら簡単ですが、それでは技術委員の責任を十分に果たしているとは言

えません。私や立石さん、佐藤さんの質問には、それに向けた準備としての予備調査、資料確認、計算などの多大な時間が費や

されています。

これを新任の委員が直ちに実行して、KK再稼働の是非という重要な議論に臨むのは無理というものです。これは新委員に専門

的知識や能力があるかどうかということとはまったく別の次元の問題です。

・昨年末、県の対策課職員と電話でお話しした際に「津波が1号機建屋に到着した時刻がM/Cの遮断器が開となった時刻より遅い

という私の指摘に対する東電の回答はまだですか」という質問に対して、その職員は「東電は建屋侵入時刻に関して新たな計算

を行っていて、(2021年)3月頃にできあがるそうだ」旨、おっしゃいました。

私は、では3月以降(新年度)に東電とこの件に関して技術委員会で議論できるのだろうと思っていました。しかし、来年度に

私が再任されなければこの議論はどうなるのでしょうか。東電の、東電に有利な新たな計算結果の発表をもって一方的に終わる

おそれがあります。

・私は前回技術委員会まで、KK6・7号機の安全確保に関する東電の説明に多くの質問をしています。もし今年度中に技術委員会

が開かれ、そこに東電の回答が出ても、それに対してさらに私の質問があれば、その後はどうなるのでしょうか。

・今年度にあと何回の技術委員会が開催できそうなのでしょうか。事務局からはいまだに何の連絡もありません。

以上、疑問は尽きません。知事には、私が来年度も議論を継続できるように再任していただくことを要請します。