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第50回全国体育指導委員研究協議会 シンポジウム
生涯スポーツ環境を体育指導委員は、
どのようにコーディネートするのか
子どもの体力低下の現状と課題
ー 健やかなこころとからだの育みを ー
中村 和彦 (山梨大学教育人間科学部)第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
からだの危機
体力低下
動作の未発達
運動量の減少
生活習慣病の増大アレルギー・体温異常の出現
ケガの増加
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
幼尐児の運動実施状況の二極化
活動的な子ども
非活動的な子ども
身体活動量の格差
基本動作習得の格差
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
「活動的な身体活動」週2回以上実施者の国際比較(11歳)
8983
7480
37
8374
65
54
27
0
20
40
60
80
100
オーストリア ドイツ アメリカ フランス 日本
男子 女子(%)
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
活動的な子どもは問題がないか?
・・・・・もう一つの二局化
複数の運動遊びやスポーツをしている子ども
単一スポーツしかしていない子ども
基本動作習得の格差
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
年代別にみた子どもの遊びベスト5
男 子
小学生(低~高学年) 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代
①テレビゲーム ①野球 ①野球 ①メンコ ①メンコ ①メンコ
②サッカー ②缶けり ②メンコ ②ビー玉 ②ビー玉 ②野球
③野球 ③メンコ ③ソフトボール ③野球 ③野球 ③かくれんぼ
④自転車 ④サッカー ④缶けり ④ソフトボール ④戦争ごっこ ④ビー玉
⑤カード遊び ⑤かくれんぼ ⑤かくれんぼ ⑤チャンバラ ⑤かくれんぼ ⑤陣取り
女 子
小学生(低~高学年) 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代
①テレビゲーム ①かくれんぼ ①ゴム跳び ①缶けり ①お手玉 ①お手玉
②一輪車 ②缶けり ②かくれんぼ ①かくれんぼ ②なわとび ②なわとび
③お絵かき ②ゴム跳び ③缶けり ①なわとび ③かくれんぼ ③かくれんぼ
④バレーボール ④ままごと ④なわとび ④おはじき ④石蹴り ④まりつき
⑤なわとび ⑤なわとび ⑤鬼ごっこ ④ゴム跳び ⑤鬼ごっこ ⑤おはじき
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
親指導者
おとなのスポーツ文化の即導入
単一スポーツ種目のみの活動
勝利至上主義・精神主義
長時間にわたる練習試合数の増大
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
焼き切れ現象・早熟化傾向
スポーツ障害心理的な損傷
スポーツ嫌いな子どもの発生
生涯スポーツの基礎づくりの失敗
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
孤食・欠食・個食・固食の時代
①食のニワトリ症候群(孤独な食事・食の欠如・1個の主食・固定した食事)
②インスタント食品・冷凍食品・レトルト食品が食卓を飾る
③ファーストフードストアとファミリーレストランにたむろす子どもや親子
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
夜更かし・メディアが子どもの眠りを奪う
①子どもとの対話は、バーチャルなテレビ・ビデオとゲームで
②子どもといっしょに観れる深夜番組の増加
③遅寝・遅起きと寝不足のこども達
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
諸外国の子どもスポーツに学ぶ・・・・・
○アメリカ・小学生以下の全国大会・ブロック大会の全面禁止
・子どものスポーツクラブは、3種目以上
○イギリス・UKスポーツ:多種目の運動遊び・スポーツの実施
・トレーニング・練習をせず、スポーツを楽しむ
○ドイツ・スポーツ・ユーゲント:地域スポーツでの青尐年育成
・プレイ・リーダーの養成と実践
○オーストラリア・低体力・運動嫌いな子どもへの取組
・コーディネーター/プレイ・デリバラーの養成と実践
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
求められる子どもスポーツのあり方
• 競技志向を無くす。 → 本来の子どもスポーツの復活。
• 複数の運動遊び・スポーツが体験できる場の提供。
• 低体力・低運動能力の子どもへの運動遊び・スポーツの提供。
• 運動嫌いな子どもが、遊びやスポーツにのめり込む取り組みの推進。
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
現行の「スポーツ振興基本計画」における政策目標
政策目標2:生涯スポーツ社会の実現
政策目標3:国際競技力の向上
政策目標1:子どもの体力の向上
子どもの体力について、スポーツの振興を通じ、その低下傾向に歯止めをかけ、上昇傾向に転ずることを目指す。【18年9月の改定で追加】
生涯スポーツ社会の実現のため、できるかぎり早期に、成人の週1回以上のスポーツ実施率が50%となることを目指す。【平成12年度:37.2%→平成18年度44.4%】
オリンピックにおけるメダル獲得率が、夏季・冬季合わせて3.5%となることを目指す。【アトランタ+リレハンメル:1.85%→アテネ+トリノ:3.22%】
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
子どものからだ・運動に着目した取り組み<行政>・文部科学省○中教育審議会健やかな体を育む教育のあり方に関する専門部会
(2004.10)
○中央教育審議会スポーツ青尐年分科会スポーツ振興に関する特別部会(2007.4)
○学習指導要領・幼稚園教育要領改訂についての審議(2007.2)
○学校施設整備指針策定に関する調査研究(2008.5)○小学生の体力向上実践事業(2004.6)
○幼児の体力の基礎を培う実践事業(2007.6)
○元気アップ親子セミナー(2006.8)○全国一斉体力・運動能力調査の実施(2008.6)
○子どもの体力向上フォーラム(2008.1)
・厚生労働省○子どもに対するメタボリックシンドローム対策(2006.4)
・経済産業省/スポーツ健康産業団体連合会○子どものスポーツのあり方に関する調査・研究(2007.11)
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
子どものからだ・運動に着目した取り組み<学術>・日本学術会議 子どもの身体活動に関するガイドラインの策定(2008.5)
・科学技術振興機構 科学的アプローチによる身体活動の在り方の研究(2008.7)
<団体>・日本体育協会○スポーツ尐年団における子どもの運動・スポーツの提供(1962.)
○ジュニアスポーツ指導員養成事業(2005.10)
○医科学委員会・スポーツ科学研究所「幼尐期に身につけるべき基礎的な動き」研究プロジェクト(2005.6)
・JOC日本オリンピック委員会○一貫性指導システム・競技者育成プロジェクト(2005.4)
・日本トップリーグ連携機構 「ボールであそぼう」プロジェクト(2007.5.)
・日本レクリエーション協会 子どもの体力向上事業(2004.4)
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
子どものからだ・運動に着目した取り組み
<団体>・NHK日本放送協会 「からだであそぼ」放送(2004.4)
・日本サッカー協会Jリーグアカデミー 遊びプログラム開発 (2005.4)
・Jリーグ技術委員会 習得すべき動作の研究開発(2008.4.)
<民間企業>・スポーツ・エンジェル & ルネサンス 基本動作の習得に着目
した運動プログラムの研究開発(2004.8)
・ボーネルンド 基本動作の習得に着目した遊具・施設の開発(2004.8)
・コトブキ 基本動作の習得に着目した遊具の開発(2006.8)
・イオン ショッピングセンター内に基本動作を促す遊具の設置(2009.3)
・学習研究社 学校体育に導入する基本動作の指導法・評価の開発(2008.4)
・ベネッセ 子どもの体力低下・運動の在り方に関する調査研究(2008.8)
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
新しい学校体育の考え方
発達の段階のまとまりを考慮する
<キーワード1>
小学校 中学校 高等学校
1年~4年 5、6年 1、2年 3年 1年~3年
様々な基本的な動きを身に付ける時期
多くの領域の運動を体験する時期
尐なくとも一つの運動を選び継続することができるようにする時期
・目標・内容について、中学1,2年と3年を分ける
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
新しい小学校の体育
体つくり運動の重視と、運動遊びの導入
<キーワード2>
1,2年 3,4年 5,6年体つくり運動
器械・器具を使っての
運動遊び器械運動
走・跳の運動遊び 走・跳の運動 陸上運動水遊び 浮く・泳ぐ運動 水泳
ゲーム ボール運動表現リズム遊び 表 現 運 動
保 健
運動領域を6領域で構成
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
小学校の体育での体つくり
<体つくり運動>
低学年から体つくり運動を規定
低学年 中学年 高学年
体 つ く り 運 動
体ほぐしの運動
多様な動きをつくる運動遊び
多様な動きをつくる運動
体力を高める運動
スムーズに動ける体つくり(生涯にわたって・・・)第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
■自分にあうスポーツ
との出会いと選択
■成長にあったスポー
ツとの接し方
■健康的な生活を送る
ために必要な運動・
スポーツの習慣化
発達段階に合った遊び・スポーツ体験
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
子ども自身が興味・関心を抱きながら楽しく運動するとは・・・・・
• 子どもがその運動(遊び)に夢中になること
• 子どもがその運動(遊び)にのめり込むこと
子どもの声・子どもの気持ち
「やめたくない」 「もっとやりたい」 「またやりたい」
「今度こそ・・・」 「この次は・・・」
「そうか・なるほど」 「ああやれば・・・」
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
子どもが夢中になるには・・・・・のめり込むには・・・・・
• 競い合う。(その場で勝ち負けがはっきりする。)
• 上手になったことを実感する。(はじめは下手。)
• 技のコツをつかむ。(ねらい目がわかる。)
• 友達と同調(シンクロ)する。
• 普段と違った感覚がある。
逆さ感覚・回転感覚・抗重力感覚・・・・・
• もともと持っていたステレオタイプが壊れる。
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
指導者がおもしろくなければ、絶対に子どもはおもしろくならない
• 指導者がプログラムの準備に夢中になること• 指導者が教材研究にのめり込むこと• わくわく・ドキドキ・・・眠れない・早くやってみたい
●ネタを見つける。●子どもの反応を予想する。●教材を共有する。●評価しあって、よりよい授業をつくりだす。
→ 研究会・学習会・実技研修会の大切さ第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
運動遊びスポーツ
身体運動の発達
情緒・社会性の発達認知的な発達
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
健やかなからだとこころを育むために
子どもは、園や学校・家庭・地域という3つの場で生きています。
子どもの育ちや生活の問題点を関連づけて、生活全体をトータルに捉えていくことが大切です。
園学校
家庭 地域
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
大人の問題でもあることに気づき、理解することが大切です。大人も一緒に取り組んでいきましょう。
また、今の子ども達の問題は・・・
お父さんも、お母さんも、帰ってこないなあ・・・
健やかな育みのための今日的課題
• 基本的な動作の習得と、運動量の増大を目指した身体活動の取り組みを!
• 食事・睡眠を中心としたライフスタイル(生活習慣)の改善を!
• 子どもの体力つくりに対するおとな(教師・指導者・保護者)の意識向上を!
→ おとなが子どもの望ましい生活経験の必要性を理解・認識するために、勇気を持って
カッサンドラ となる!第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)
子どもの健やかな育みのために私たちが高めるべき力量とは…..
○プランニング(想いを込めて企画する力)
○コーディネーション(関わり大切にする力)
○プレゼンテーション(わかりやすく伝える力)
第50回全国体育指導委員研究協議会シンポジウム資料2(中村和彦)