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石油精製・元売産業の収益環境と目指すべき姿
2016.11
産業調査部
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資料3
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Section
1 石油精製・元売産業の収益環境
2 石油精製・元売産業の目指すべき姿
目次
Appendix
海外の事例
1 石油精製・元売産業の収益環境
2
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規模の拮抗する競合が多く、海外展開も進まず
石油精製・元売産業は上位への集約が進んでいるものの、プレーヤー規模が拮抗しており競争環境は厳しい
精製事業は輸出が限定的かつ海外生産が進んでいないため、石油元売の海外売上高比率が低い
素材産業の上位シェア(FY2013)
34%
15%
43% 46%36% 30%
38%
18%
15%
28% 28%
24%20%
14%
16%
12%
7%18%
19%
16% 8%
14%
12%
4% 7%
13%
4%
11%
10%
2%4%
7%
8%
37%
16%8% 10% 15%
37%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
ガソリン
エチレン
粗鋼
板ガラス
セメント
印刷紙
アルミ
その他
5位
4位
3位
2位
1位
出所:日経、各社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
素材産業の海外売上比率(FY2014)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
0 2 4 6 8 10 12
(売上高:兆円)
(海外売上高比率)非鉄
鉄鋼
石油
化学
紙パルプ
ガラス土石
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原油コスト90%
自家燃費,5%
労務費,1%
償却費,1%修繕費,1% その他
2%
日本の精製マージンはボラティリティが高い
日本の石油精製コストの9割は原油調達コスト(輸送費含む) 加えて、精製マージンは国内の競争が厳しいことから海外と比較してボラティリティが高い
世界の石油精製マージン
出所:各社公表資料、BP統計よりみずほ銀行産業調査部作成
注:日本と海外で定義異なる、1ドル=100円で換算 4
(米欧アジアはBP統計、日本は石油元売5社ベース)
-10
-5
0
5
10
15
FY00
FY01
FY02
FY03
FY04
FY05
FY06
FY07
FY08
FY09
FY10
FY11
FY12
FY13
FY14
FY15
(ドル/bbl)
米国
欧州
アジア
日本
石油製品の精製コスト構成(FY2012)
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0.6 0.6 0.6 0.5 0.5 0.5 0.5 0.6 0.8 0.8 0.8 0.9 0.8 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.4 0.6 0.8
0.9 0.9 0.8 0.8 0.6 0.3 0.3 0.4 0.4 0.3 0.3 0.4 0.5
0.5 0.5 0.6 0.6 0.6
1.3 1.0 1.0 1.1 1.5 2.1
2.3
3.0 1.8 2.3
2.7 2.8 3.1 0.9 1.1 1.0 1.1
1.0
1.3 1.4
1.8
1.3 1.4
1.5 1.4 1.4
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
6.0
7.0
FY01
FY02
FY03
FY04
FY05
FY06
FY07
FY08
FY09
FY10
FY11
FY12
FY13
(円/L)
その他
自家燃費
修繕費
減価償却費
労務費
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
FY01
FY02
FY03
FY04
FY05
FY06
FY07
FY08
FY09
FY10
FY11
FY12
FY13
FY14
FY15
(億円)
2,030
899
1,901
2,099
540
1,080
-1,078
1,915
-2,668
3,364
1,776 1,217
-1,176
1,286
2,770
5
消えてしまったコスト削減効果
石油元売は2000年から現在までに累計5000億円以上のコスト削減を実施したにも関わらず精製部門の実質営業利益は横ばいで推移
精製マージンの低迷に加えて、自家燃のコスト増加の影響が大きく、単位当たり精製コストは3.5円から6.5円程度まで上昇(業界全体で2億KLの販売量×3円のコストアップ=6000億円の収益悪化要因)
大手元売5社のコスト削減と営業利益 単位当たり石油精製コスト
精製部門の実質営業利益
グロスのコスト削減額(累計)
出所:各社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
注:大手元売5社はJX,出光、コスモ、東燃ゼネラル、昭和シェル石油
(連続して開示されている東燃ゼネラルのデータより試算)
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ガソリン販売価格のコスト構成
出所:資源エネルギー庁よりみずほ銀行産業調査部作成
注:小売価格は全国平均、元売平均は各社IR資料よりみずほ銀行 産業調査部算出
日本のガソリンの販売価格の約7割が原油調達コスト 単独でのコスト削減には限界があり、各社の連携、再編等によるコスト削減に向けた取組が必要
販売価格 (※税除く)
92.3円
原油価格 (+フレート)
元売平均
66円 (72%)
運賃 販売管理費
修繕費
精製費
労務費
原価償却
マージン
販売価格のコスト構成(FY2013年)
【小売価格155.8円/L(全国平均)】
※石油石炭税+ガソリン税+消費税=63.49円
自家燃費
人件費
(販管費内訳)
(精製費内訳)
マージン改善策
項目 具体的な対応策
販売価格
製品ミックスの改善(白油化)
販売地域の需給適正化
BTX/潤滑油シフト
輸出への柔軟対応
販売管理費 間接部門の見直し
製品融通強化
精製費
修繕費の見直し
エネルギー効率の改善
他製油所/石化との統合運営
競争力の低い製油所の閉鎖
原油価格 タンカーの運用効率改善
スポット/長期比率のバランス
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21 35 44 58 58 53 47 3627
26 31
47 47 46 45 4316
24 27
30 20 16
13 9
12
22
37
42 33
34 33
32
110
99
75
61
33 26
21
14
187
209 218
243
196 181
165
139
0
50
100
150
200
250
1970 1980 1990 2000 2010 2015 2020e 2030e
(100万KL)
重油
軽油
灯油
ジェット
ナフサ
ガソリン
-1500
-1000
-500
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
4000
FY10 FY11 FY12 FY13 FY14 FY15 FY20e FY25e FY30e
(FY)
(億円)
今後は販売数量減のマイナス影響大
日本の石油製品需要は2030年度までに▲25%減少すると予想(CAGR▲1.8%) 需要減少が石油元売会社に与える影響は大きく、設備能力の最適化によって需給をバランスさせたと
しても、新たな収益源の確保又は抜本的なリストラがなければ今後の収益環境は厳しいものが予想される
7
石油精製部門の長期利益見通し 国内の長期需要見通し
出所:石油連盟、各社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
【試算の前提条件】
・需要は当部見通し
・設備能力は第二次高度化法に加えてFY30までに75万b/d削減
・精製マージンはFY15水準が継続
・固定費削減は現状発表されてい
る施策のみ織り込み
・開示の都合で一部は経常利益
・在庫評価を除いた実質ベース
CAGR ▲1.8%
2 石油精製・元売産業の目指すべき姿
8
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目指すべき姿
9
国内精製
電力 潤滑油
海外精製
ガス
石油開発
機能性化学
石油化学
国内中心のキャッシュカウ事業 海外中心の成長事業
時価総額
当期利益 PER ×
市場の評価
収益性を評価 成長への期待を評価
まず投資余力を拡大させるために国内石油精製事業のキャッシュカウ化が不可欠 次に海外の成長を取り込むことが求められる
出所:みずほ銀行産業調査部作成
1
2
3
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新日鐵住金
+日新製鋼44%
JFE29%
神戸製鋼所7%
その他20%新日本製鐵
25%
NKK13%
川崎
製鉄12%
住友
金属11%
神戸製鋼所6%
日新製鋼4%
その他29%
鉄鋼産業における国内事業のキャッシュカウ化
10
国内熱延鋼板メタルスプレッド 鉄鋼産業の国内シェアの変遷
FY01 FY15
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
70,000
80,000
2000
/01
2000
/11
2001
/09
2002
/07
2003
/05
2004
/03
2005
/01
2005
/11
2006
/09
2007
/07
2008
/05
2009
/03
2010
/01
2010
/11
2011
/09
2012
/07
2013
/05
2014
/03
2015
/01
2015
/11
川鉄/NKK統合発表
JFE設立新日鐵住金設立
新日鐵/住金
統合発表
(円/トン)
Arcelormittal設立
鉄鋼産業でも15年間で主要プレーヤーの集約が進む 業界再編により国内市場のマージンが改善し、キャッシュカウ化が実現
出所:鉄鋼新聞、鉄鋼統計要覧、貿易統計よりみずほ銀行産業調査部作成 注:熱延鋼板価格=東京最安値 原料価格=鉄鉱石輸入単価×1.7+原料炭輸入単価×0.9
(国内粗鋼生産量シェア)
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【参考】鉄鋼産業における海外展開
11
会社名 所在国 内容 JSGI インドネシア 自動車用亜鉛めっき鋼板 2016年稼働
JJP 中国 自動車用鋼管 2015年稼働
Nucor-JFE Steel Mexico 米国 建材・エネルギー用鋼管 2019年営業生産開始予定
AL GHARBIA UAE 大径溶接鋼管 2018年稼働予定
FHS ベトナム 2015年熱延ミル立ち上げ
会社名 所在国 内容 BNA 中国 第4亜鉛めっきライン 2015年稼働
ICI 米国 クランクシャフト第4ライン 2015年稼働
NSCh 中国 自動車向け線材 2015年能力増強
BRN ブルネイ 鋼管 2016年稼働予定
KOS インドネシア 2016年稼働予定
JFEスチール
出所:各社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
現中期経営計画中の海外展開例
国内事業のキャッシュカウ化により得た資金を海外へ投資
新日鐵住金:海外JVの生産能力は統合初年度:900万トン→現在1900万トン
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0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
中国
日本
インド
韓国
インドネシア
タイ
シンガポール
豪台湾
マレーシア
パキスタン
ベトナム
フィリピン
需要 設備能力
海外事業へのシフト
出所:経済産業省、BP統計よりみずほ銀行産業調査部作成
注:日本の需要は原油処理量かつFY2015の数値 12
ASEAN市場を中心に海外製油所参画の機会が残されている 石油販売や石油化学等、一貫したバリューチェーンを構築できれば収益の安定化も含め、国内で培った
安定かつ効率的な製品供給ネットワークの構築をそのまま海外で活かすことが可能に
海外製油所参画の意義
新興国需要 の捕捉
日本の需要減に対し、 拡大するアジア需要で補完
ASEAN諸国等への輸出
ASEAN市場統合を見据え 他国への輸出も視野に
緊急時における日本への輸出も
原油調達力の 強化
日本と現地国営企業の連携により バイイングパワー強化および 柔軟な最適調達が可能に
バリューチェーン 拡充
精製事業のみならず 石油販売、潤滑油、石化等も視野に
加えて、販売先の確保によって 日本の余剰玉を輸出
石油製品の需給ギャップ(CY2015年)
(万b/d)
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海外における日本企業に求められる役割期待
13
石油精製 石油販売 原油調達
産油国国営企業 豊富な資源
潤滑油・化学
日本企業・(韓国企業) 資金、高度な運営ノウハウ
アジア現地国営企業 政府支援、国内での販売力
日本企業・(韓国企業) 技術、アジアでの販売力
石油販売への参入も
ASEAN等に展開するにあたって産油国国営企業および現地における国営企業とのアライアンスが 現実的
日本企業の強みは資金、製油所の運営ノウハウ、石油化学技術等
石油バリューチェーンにおける役割期待
出所:みずほ銀行産業調査部作成
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【ご参考】出光興産の海外製油所展開
日本の石油元売が海外で製油所を主体的に運営するケース アジア環太平洋での石油製品トレーディングネットワークの構築に貢献 加えて、潤滑油事業での海外展開や国内での火力発電事業への取組みも強化
石油精製(20万b/d) パラキシレン(70万トン/年) ポリプロピレン(37万トン/年)
ベンゼン(24万トン/年)
ベトナム 石油製品市場
アジア 石油化学市場
PetroVietnam 出光興産 三井化学
Nghi Son製油所
クウェート重質原油 クウェート国際石油(KPI)
出所:出光興産IR資料よりみずほ銀行産業調査部作成
ベトナム 石油精製・石化事業
日本 国内基盤強化
シンガポール トレーディングの中心
インドシナ各国 石油製品販売
オーストラリア 石油製品販売
ベトナムニソンプロジェクト概要 出光興産の環太平洋ネットワーク
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精製と化学の垂直連携によるシナジーの発現
(出所)みずほ銀行産業調査部作成
シナジーは合算売上高の3-5%程度が見込まれる フルインテグレーションによるシナジーの更なる追求
留分の有効活用
アービトラージ
原油選択自由度向上
ガスバランス向上
用役の共有生産
設備投資の効率化
副産物・連産品の付加価値化で売上高伸長
精製と化学の間の裁定でマージン追求
より安価な原油の選択で変動費削減
副生ガスバランスの有効活用で変動費削減
ユーティリティコストダウンで変動費削減
設備投資の共同化で固定費削減
売上高の増加
営業費用の削減
営業利益の増加
+
=
シナジーは合算売上高の3-5%
経営レベルのIntegration 想定されるシナジー
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【ご参考】日本のコンビナートマップ(2016年4月時点)
(出所)石油連盟、重化学工業通信社等より みずほ銀行産業調査部作成
水島(岡山県)
周南(山口県)
大分(大分県) 四日市(三重県)
川崎(神奈川県)
トッパー エチレンプラント
東燃 258千BD 東亜 70千BD
東燃 540千トン JX 460千トン
トッパー エチレンプラント
JX 380千BD 三菱化学 493千トン
トッパー エチレンプラント
昭和 255千BD コスモ 132千BD 東ソー 527千トン
トッパー エチレンプラント
東燃 156千BD コスモ 100千BD
JX 115千BD 三井化学 500千トン
トッパー エチレンプラント
- 出光興産 689千トン
トッパー エチレンプラント
JX 136千BD 昭和電工 691千トン
千葉(千葉県)
鹿島(茨城県) 大阪(大阪府)
16
トッパー エチレンプラント
コスモ 220千BD 東燃 152千BD 出光 200千BD 富士 143千BD
丸善石化 525千トン 京葉エチレン 768千トン
三井化学 612千トン 出光興産 414千トン
トッパー エチレンプラント
JX 252千BD 三菱化学 539千トン
17
Appendix
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0
100
200
300
400
500
600
700
EM
RD Sh
ell
BP
Tota
l
Chev
ron
Sino
pec
CNPC SK
Relia
nce JX
出光
コスモ
東燃
昭シェル
(万b/d)石油製品販売 設備能力
18
欧米メジャーのショートポジション戦略
石油メジャーはショートポジションを維持し、精製専業者等からの調達によって対応
出所:各社IR資料等よりみずほ銀行産業調査部作成
注:日本は2014年3月末の設備能力と13年度の販売量比較 メジャーと中国はFY2012、SKとRelianceはFY2013データ
石油メジャー アジア 日本
ショート ポジション
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RD ShellのShrink to Grow
RD Shellは競争力の脆弱(≒規模小)製油所を売却し、1製油所当たりの平均規模を拡大 製油所売却で得た資金を基幹製油所(複雑度が高く、規模大)に集中して投資 シンガポールBukomの製油所単独では厳しいが、石化事業を強化することで全体の収益性を確保
135
155
183
0
20
40
60
80
100
120
140
160
180
200
2004 2008 2013
(千b/d) +47%
RD Shellの製油所平均規模 RD Shellの製油所(2008年)
050
100150200250300350400450500
Sing
apor
e Pu
lau
Buko
mTh
e Ne
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Paki
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East
ham
El S
alva
dor A
caju
tla
(千b/d)
2009年-2013年に売却
2008年平均
出所:会社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
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欧州で進んだ製油所統合
オランダのNerefco製油所(BPとTexacoの製油所統合)では、BP側のFCC(分解)装置とTexacoの 改質装置がそれぞれ補完関係
JVのガバナンスに関して、戦略的な意思決定については両社の合意が必要としつつも、日々の業務についてはBPが主導権を握り、スピーディな意思決定を妨げない工夫ながされた
項目 経済効果
ドイツ ドイツ イギリス イタリア オランダ タイ アメリカ
Karlsruhe Bayernoil Pembroke Sicily Nerefco RayongSan
Francisco
規模拡大
重複業務の削減 大 重複業務(間接業務)の削減
その他のコスト削減 中 電力コスト IT投資 - 原油調達コスト
装置最適化
分解・改質装置の有効利用 大 FCC(Coker、Reformer含む)
その他の装置共有 小
脱硫装置
アスファルト製造装置
石化と統合
-潤滑油製造装置
-
過剰設備の廃棄大
トッパー削減
- トッパー削減 -
トッパー削減(万b/d) 32.6⇒26.8 - 45.5⇒37.5 64.4⇒39.9 -
全体の経済効果(万ドル/年) 3,000-4,000 1,500 2,500-3,000 5,000
出所:JPEC「製油所統廃合・協業化調査報告書」より みずほ銀行産業調査部作成
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イタリアERG:精製事業の統合と再生可能エネルギーへのシフト
イタリアのERG は精製事業を縮小し、再生可能エネルギー等にシフト 2008年以降すべての製油所を他社と共同運営していたが、2010年にはさらにイタリアでの精製・販売
部門をTotal との共同事業体「TotalErg」に移管
ERGの営業利益 ERGの方針
欧州における精製事業の構造的不況
ERGは再生エネルギー事業分野等に 資源を集中
仏TotalとTotalErg(ERG:51%,Total:49%)を 設立し、イタリアの精製・販売を抜本改革
出所:会社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
(600)
(400)
(200)
0
200
400
600
800
1,000
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
(100万ドル)
再生可能エネルギー
電力
石油精製・販売
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ExxonMobilの精製と石油化学のインテグレーション
ExxonMobilは同業他社と比較して収益性が高い。製油所やガス処理プラントと石化クラッカーや芳香族プラントが統合されており、原料が最適化されていることが一つの要因
2006年のデータによれば、ExxonMobil Chemicalは44億ドルの利益のうち石化とのインテグレーションによる貢献が7億ドル(16%相当)に上るとしている
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(年度)
Exxon Mobil
同業他社
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
Exxon Mobil 同業他社
ダウンストリーム事業の収益性(ROACE*) 製油所と化学/潤滑油事業との統合度
出所:会社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
*ROACE:平均使用資本利益率
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韓国SK Innovationの石油化学・潤滑油事業へのシフト 韓国SKの利益の過半は石油化学および潤滑油事業 競争力が低かったIncheonをパラキシレン設備等への投資によってBTX型の製油所に転換
SK Innovationの営業利益
出所:会社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
トッパー 27.5万b/d リフォーマー 3.5万b/d 脱硫装置 8万b/d
コンデンセートスプリッター10万b/d
リフォーマー 3.5万b/d パラキシレン設備 130万トン
BTXの生産能力を拡大(特にこれまで生産していなかったパラキシレンが130万トンへ拡大)
付加価値の低い重油の得率を低下稼働率を大幅に向上(2013年40%程度)
+
既存の設備 新設の設備
設備投資の効果
IncheonのBTX型製油所への転換
0
5
10
15
20
25
30
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
(億ドル)
石油開発等
化学
潤滑油
石油精製
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印Relianceの競争力の高い輸出戦略
Relianceは輸出を志向し、売上の7割は海外 高度かつ大規模な製油所は競争力が高く、高い稼働率を維持 業界平均マージンを恒常的に上回り、高い収益力
Relianceの営業利益と精製マージン Relianceの強み
高度化 (Nelson
Complexity)
高い稼働率 (2011-2013平均)
大規模な製油所 (1製油所平均)
103%
83% 79% 81%
50%
70%
90%
110%
Reliance アジア平均 日本平均 世界平均
60
12 15 12
0
20
40
60
80
Reliance アジア平均 日本平均 世界平均
(万b/d)
13
8 8 8
0
5
10
15
Reliance アジア平均 日本平均 世界平均
0
2
4
6
8
10
12
14
16
0
5
10
15
20
25
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
(ドル/bbl)(億ドル) 石油精製部門
Reliance精製マージン(右軸)シンガポール精製マージン(右軸)
出所:会社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
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タイPTTはASEANのエネルギー企業を目指す
PTTは事業ごとにASEAN展開の優先順位を明確化 PTTは2015年のASEAN経済共同体を視野に入れ域内におけるネットワークを強化
PTTのASEAN戦略
インドネシア
タイ ベトナム
カンボジア
ミャンマー
マレーシア
中国
ミャンマー、インドネシアでは 製油所への進出を模索
ベトナムで220億ドルかけ40万b/dの製油所計画
石油販売 石油精製 石油化学
タイ 維持 維持 維持
ミャンマー ★ ★ ★
インドネシア ☆ ☆
マレーシア 維持 維持
ベトナム 維持 ☆ 維持
カンボジア 維持
ラオス 維持
フィリピン 維持
ブルネイ
シンガポール
☆最優先★次に優先
ラオス
ブルネイ
フィリピン
出所:会社公表資料よりみずほ銀行産業調査部作成
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