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金属素材産業の現状と課題への対応 平成27年5月21日 経済産業省製造産業局 鉄鋼課・非鉄金属課 1 資料2

平成27年5月21日 経済産業省製造産業局 鉄鋼課・非鉄 … · 金属素材産業の現状と課題への対応 平成27年5月21日 経済産業省製造産業局

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金属素材産業の現状と課題への対応

平成27年5月21日

経済産業省製造産業局

鉄鋼課・非鉄金属課

1

資料2

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1.金属素材産業の現況2.技術開発の促進3.国内製造基盤の強化4.グローバル展開のあり方の検討(参考)各業界の概要

2

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1.金属素材産業の現況(1)位置付け等

(2)直面する課題(3)戦略の策定に向けて

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金属素材は、その精錬方法が発明されて以来、人類の発展を支え続け、歴史を作り出してきた基盤素材である。

今なお、様々な金属素材が開発・実用化され、新たな産業・社会の創出に貢献している。

銅6000年前

▼▼ ▼▼

4000年前

▼▼

1886年~ 1948年~

アルミ チタン

2140万トン(電気銅)

16.5億トン(粗鋼)

4760万トン(地金)

21万トン(スポンジチタン)

▼▼

1.1億トン147万トン 4.2万トン3千トン(現在は国内での生産はなし)

出典:鉱物資源マテリアルフロー2014(JOGMEC)

金属素材の歴史と発展➀

4

2013年の全世界生産量

2013年の日本の生産量

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たたら製鉄(5世紀には国内でたたら製鉄が開始された形跡あり)

アルミ製飲料容器(1971年、わが国初のアルミ製ビール缶が実用化)

レアアースを用いた高効率モーター(1982年、住友特殊金属(現・日立金属)の佐川眞人博士がネオジム磁石の開発に成功)

~18世紀 19世紀

東大寺盧舎那仏像(752年に開眼供養式。銅製)

21世紀20世紀

南部鉄器(奥州市では12世紀初期、盛岡市では17世紀初期より発展)

鉄道の開通(1825年、英国で世界初の商用鉄道開始。わが国では、1872年に新橋-横浜間で鉄道開通)

電線の普及(1832年にわが国初の銅線製作に成功)

光ファイバー(1970年にコーニング社が製造開始。わが国では1977年にNTTが純国産の光ファイバー量産に成功)

チタン製人工関節( 2002年、京セラメディカルが開発したバナジウムフリーチタン合金が医療用チタン合金としてJIS認定)

金属素材の歴史と発展②

(東北の伝統的工芸品HP) (宮尾しげを監修「新選東京名所図会」睦書房、1969)

(和鋼博物館HP)

(国土交通省鉄道主要年表)

(チタン協会)

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計 88兆2,839億円 計 約740.3万人

産業規模製造品出荷額の業種別内訳(2013年) 製造業の付加価値額 業種別内訳(2013年) 製造業の従業員数の業種別内訳(2013年)

計 292兆921億円

【出典】平成25年工業統計調査

業種 出荷額(兆円) 付加価値額(兆円) 出荷量 従事者数(万人)【鉄鋼業】 17.9 6.43 1.1億トン 21.6【電線】 1.5 0.25 68万トン 2.4【光ファイバー産業】 0.2 0.04 3841万Kmコア 0.4【アルミ圧延業】 0.8 0.18 148万トン 1.6【伸銅品業】 0.8 0.14 76万トン 1.0【シリコンウェハ】 0.6 不明 265万㎡ 不明【めっき業】 0.5 0.26 不明 3.3【ファインセラミックス業】 2.5 不明 不明 不明

【その他】レアアース、ニッケル、チタン、化合物半導体、LED基板等

出典:平成25年度工業統計調査、平成25年度国民経済計算めっき・ファインセラミックス業については業界調べ

※金属製品とは、鉄骨製造、めっき、製缶、熱処理等の二次金属加工業を示す。

【出典】平成25年工業統計調査

鉄鋼

6% 非鉄金属

3%

金属製品

4%

輸送用機械

20%

化学

9%食料品

9%石油・石炭

6%

電気機械

5%

生産用機械

5%

電子部品

4%

プラスチック

4%

はん用機械

4%

飲料・たばこ

3%

情報通信機

3%

窯業・土石

2%

パルプ・紙

2%

業務用機械

2%

印刷

2%

その他

5%鉄鋼

3%非鉄金属

2%

金属製品

8%

輸送用機械

13%

化学

5%

食料品

15%

石油・石炭

0%

電気

機械

6%生産用機械

7%

電子部品

5%

プラスチック

6%

はん用機械

4%

飲料・たばこ

1%

情報通信機

2%

窯業・土石

3%

パルプ・紙

2%

業務用機械

3%

印刷

4%

その他

10%

【出典】平成25年度国民経済計算(内閣府)

鉄鋼7.3%

非鉄金属1.8%

金属製品5.3%

食料品14.6%

繊維0.6%

パルプ・紙2.4%

化学8.3%

石油・石炭製品5.7%

窯業・土石製品3.0%

一般機械13.1%

電気機械12.6%

輸送用機械13.6%

その他の

製造業11.8%

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<輸出総額に占める割合の変化>

日本の基幹輸出品目

我が国企業の世界シェアが低下した分野(例:電気機器)であっても、それを構成する部素材においては我が国企業が依然中核的な位置を占めていること等を背景に、我が国輸出額に占める金属素材の比率は年々高まっている。

7

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近年、日本の素材メーカーから様々な新素材が誕生。

また、既存の素材においても、プロセス技術の進化により、従来よりも高機能化が図られている。

複数の素材を組み合わせることにより、より高機能な複合素材も誕生している。

炭素繊維 カーボンナノチューブ分散複合材 ファインセラミックスセルロースナノファイバー 有機EL

<新素材の例>

<既存の素材の高機能化の例> <複合素材の例>(炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、セラミックス複合材(CMC))

ファンケース(CFRP)

HPT 1段シュラウド(CMC)

ファンブレード(CFRP)

図:http://www.cfmaeroengines.com/files/brochures/LEAP-Brochure-2013.pdf

高張力鋼板 伸銅(日経テクノロジーonline)

高機能な素材の開発・提供

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<自動車>グローバル市場におけるパワートレイン別の見通し

(第1回グローバルWG資料より引用)(IHS Global Inc.の予測を元に住商アビーム自動車総合研究所作成)

※各種施策の効果を加味してないシミュレーション

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2033

ジェット旅客機の運航機材構成予測

100-119席

400席以上

120-169席

170-229席

230-309席

310-399席

機数

実 績 予 測

19,208

27,733

14,716

残存機

需要

328JET,ERJ135/145,CRJ200

737-600, A318 CS100

ERJ170/190, CRJ700/900/1000

737-

A319/A320

737-900

767

A340777

727-200,737-300/400A320,MD80/MD90

DC8,707

747

DC10,MD11L1011

767

717,727-100,737-100/200/500,TRIDENT,DC9SBAC111,F28/F70/F100,DC9

A321A330

A350

A310A300

787-8/9

757A330

A321

ARJ21,SSJ100, MRJ60-99席

20-59席

36,769A380747

CS300

787-10

11,110

2009‐2011 2015‐2017地域別市場の内訳

WesternEuropeAsia & Pacific

NAFTA

CIS

Eastern Europe

Rest ofAmericasAfrica & MiddleEast

<民間航空機>

<鉄道>

145,809169,930

[EUR m]

今後5年間をロボット革命集中実行期間と位置付け

官民で、総額1000億円のロボット関連プロジェクトへ投資。

ロボットの市場規模を2.4兆円(年間)へ拡大。(現状6000億円)

人口減少下でも生産性向上により10兆円規模の経済効果。

福島に新たなロボット実証フィールドを設置。(飛行ロボットや災害ロボット等の実証区域を創設。イノベーションコースト構想へ繋げる。)

<ロボット>「ロボット新戦略」(平成27年2月10日 日本経済再生本部決定)

出典:unife

(出典)JADC

世界的に成長が見込まれる 終製品分野

輸送機器(自動車、航空機、鉄道)分野は今後世界的に需要が拡大していくことが見込まれている。また、我が国においては生産性の向上や人口減少社会に対応すべく、ロボット産業の市場が拡大すると考えられている。

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部品・素材産業は、サプライチェーンを通じて世界の 終製品産業と密接に連携。

日本の強みは、部品・素材産業。

エレクトロニクス自動車 産業機械航空機用エンジン

素材

中間部素材

終製品

シリコンウェハ 人工水晶

エチレン

特殊ゴム(EPDM)

自動車用部品

過酸化水素水

極薄電解銅箔

リチウムイオン電池

高品質チタン合金

タービンブレード

高品質スポンジチタン

黒鉛(電池負極材材料)

ITOターゲット材(透明電極母材)

半導体

世界の 終製品分野を支える日本の部素材産業

電磁鋼板

熱延鋼板

亜鉛めっき鋼板

モーター・変圧器

10

液晶パネル

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素材置換

車重に占める重量比率部位

車体部品関連 内装 系

外板・外装 系

フレーム系

足周り関連

パワートレイン関連

電装品・その他

20%

13%

11%

25%

22%

9%

鉄からの素材置き換え方向性

樹脂アルミ チタンハイテン マグネシウム CFRP

インマニ、燃料タン

パネル(外板)

バンパー・バックドアモジュール

ドアトリム・インバネなど

(ハイエンド

車種中心)各種フレーム部材

(ハイエンド

車種中心)

サスペンション中心サスペンション中心

各種エンジン部品 マフラー、コンロッドトランスミッションケース

シリンダブロック

シート部品

(ハイエンド

車種中心)

(ハイエンド

車種中心)

プロペラシャフト

ハーネス

鉄における

徹底改善 非鉄金属化 樹脂化 新素材化

パワートレイン周辺など、機能部品への採用中心

特に車体部品での採用が中心

車体部品、パワートレイン向けを中心としたアルミ化が中心

(一部にマグネ化などの萌芽的な動きも存在)

量産車向けはプロペラシャフト等一

部機能品

12 3 4

ユーザーニーズの高度化と多様化①(素材の徹底改善と置き換え)

(出所)平成25年度経済産業省委託調査(ADL)を基に作成 11

ユーザー企業(例:自動車)の素材利用の方向性には、①鉄における徹底改善に加えて、素材置き換え(②非鉄金属化、③樹脂化、④新素材化)の大きく4つの方向性が存在

インマニ、燃料タンク

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自動車用鋼板(ホットスタンプ材)

ホットスタンプ工程(新日鐵住金HPより)

ホットスタンプ材の 近の動き

中国における自動車販売台数推移

■韓国ポスコのホットスタンプが、ルノーのコンセプトカー「イオラブ」に採用。 (鉄鋼新聞2015年2月5日)

■「新日鐵住金はマツダ(株)、アイシン高丘(株)と共 同で、2011年、世界 高強度の引張強さ1800 メガパスカル級ホットスタンプ用鋼板を

使用したバンパービームを開発し、マツダのクロスオーバーSUV「CX―5」に世界で初めて採用され、「アテンザ」、「アクセラ」、「デミオ」などにも採用が拡大しています。」 (季刊新日鉄住金 Vol8)

■「ハイテン材を積極的に取り入れてきたトヨタ自動車でも、ホットスタンプの採用を拡大しようという動きが出始めている。15 年度に生産を開始

する次期「プリウス」に照準を合わせ、系列の部品メーカーがホットスタンプ材の供給に向けて準備を開始した。」 (2014年自動車年鑑)

(出所)戦略研レポート 2014.8.12(三井物産戦略研究所) 12

日本の鉄鋼メーカーが冷間加工用の高張力鋼板(ハイテン)に強みを有する一方、欧米自動車メーカーは、超高強度の鋼板に熱間加工用のホットスタンプ材を用いる傾向。

日本の自動車メーカーの間でも、ホットスタンプ材の使用を拡大する動きが出つつある。

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<(例)欧州車の素材構成の変化> <自動車のマルチマテリアル化>

出典:国際自動車工業連合会(OICA) 「Steel Perspectives for The Automotive Industry」

<各素材の比較(例:鉄、炭素繊維、セルロースナノファイバー)>

出典:新構造材料技術研究組合

鉄鉄鉄 炭素繊維炭素繊維炭素繊維 セルロースナノファバー

セルロースナノファバーセルロースナノファバー

重さ 強度 コスト

鉄の1/4

鉄の1/5鉄の10倍

鉄の5倍

鉄の10倍以上

素材間競争の激化

13

様々な素材が誕生することにより、川下メーカーで使用する素材の選択肢が増え、 終製品における素材構成にも変化が生じつつある。新素材が抱える製造コストや技術面での課題が解決されていくにつれ、今後さらにマルチマテリアル化が進展し、素材間競争が激化すると考えられる。

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ユーザーニーズの高度化と多様化②(素材間協調による価値創造)

素材組み合わせ毎の接合方法と難易度

一般鋼材

ハイテン材

アルミ

樹脂

CFRP

一般鋼材 ハイテン材アルミ 樹脂 CFRP

•溶接

-

-

-

-

•溶接

•溶接

-

•溶接(困難)•リベットなど

•溶接(困難)•リベットなど

•溶接(やや困難)

•接着(困難)

•接着(困難)

•接着(困難)

•接着 •接着

•接着

-

-

-

- -

•接着(困難)

•接着(困難)

•接着(困難)

• 異種材料間の接合は、とても難しい

–繋いで、きちんと強度を持たせることが特に難しい

–そのため、機構として独立しているフタ物(ボンネット、トランクリッジ)やサスのアームは、アルミ/CFRP化が比較的しやすい

• アルミは熱伝導率が高いため、スポット溶接のように熱をかける溶接は難しい

(自動車部品メーカー)

凡例

困難

容易

テーラードブランク工法

板厚や材質の異なる複数の鋼板をプレス成形前に溶接し,. 1 枚のブランクとするテーラードブランクは軽量化に向けた一つのソリューションだが、鉄とアルミなど、異なる素材を一枚のブランクとする技術等も開発されている

(出所)平成25年度経済産業省委託調査(ADL)、大阪府立産業技術総合研究所HP等より作成

素材の高度化ニーズ(軽量化等)を受けた素材間競争の激化に加えて、異なる素材を組み合わせて新しい価値を追求する素材間の垣根を越えた動きも進む。

素材ごとに組み合わせの難易度は異なるが、例えば鉄とアルミのテーラードブランク工法等の技術開発が進む過程で、プレス加工メーカー等からのニーズも変化していく可能性がある。

14

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【自動車メーカーからの声】

【鉄道車両メーカーからの声】

(1)素材間の協調への期待

・鉄だけでもアルミだけでもダメで、組み合わせによる相乗効果が重要。鉄・非鉄の素材メーカーがそれぞれ協調して研究開発を行うことができれば、もっと良いものを作れる。垣根を越えた連携を期待(マルチマテリアル・異種材接合等)。各素材(Fe, Al, Mg, Ti)の良い点を 適配置することは考えられないか。

・企業間の連携によって開発スピードを加速して頂きたい。大学とも共同研究を基盤強化という点ではもちろん重要であるが、企業間連携によってこれまでにない相乗効果や開発のスピードアップを期待したい。

(2)素材加工技術としてのAM(Additive Manufacturing)・今後のAdditive Manufacturingの展開に着目しており、金属素材も板材だけではなく、粉としての提供に期待。傾斜機能等に

よる高付加価値化へ。樹脂に金属微粒子を混ぜると剛性が増す報告もあるので、化学メーカーと金属材料メーカーが共同で素材を開発するようにならないか(金属関係者と化学関係者の協働は海外では活発に行われている)。

・自動車の場合、短納期・大量生産可能な素材でないと適用不可と思われているかも知れないが、適材適所での使い方を考えている。AMはスループットが遅いと言われるが、それを上回る魅力的な機能(例えば制震性能など)が付加されるのであれば、費用対効果を考えた上で、装置を多く並べて量産することも考えうる。

(3)LCA(Life Cycle Assessment)の重要性・LCAの概念が非常に重要。製造段階のLCAは金属素材を作る時のLCAも考える必要があり、自動車メーカーだけでは評価が難。素材メーカーが材料を提供する際には、製品の省エネに寄与できるかという視点も必要。・欧州ではホットスタンプだが、加熱工程が入らないハイテンの方がLCAで考えると有利なのは明らか。日本のメーカーはホットスタンプ並の強度をもったハイテンも開発してくれるはず。日本の鉄鋼メーカーの技術力は非常に優れている。

(4)マテリアルズ・インフォマティクス

・マテリアルズ・インフォマティクスは自動車メーカーが思いも付かないものを生み出すことを期待。これまでの暗黙知を広げるようなヒントが生まれれば。新機能の提案などを期待。

・高速車両は軽量化、在来線車両は低コスト化の方向性であり、素材メーカーにはその方向性に沿った研究開発を期待。・アルミ車両構体の場合、幅広・薄肉でかつ短納期の製品提供を期待。日本には幅550mm程度以上の押出が無い。外国には700mm以上の幅の中空形材を押し出せる設備もある。コスト低減のために700mm以上を押し出せる装置が国内にあると良い。・異種材接合の技術が確立することは重要であり,設計の自由度が上がるため重要。・き裂進展や疲労強度、溶接部のデータ収集について車両メーカーだけでは難。

ユーザーニーズの高度化と多様化③(ユーザー業界からの声)

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【発電プラントメーカーからの声】

【医療機器メーカーからの声】

・医療分野で素材に求める物性は、特に生体適合性、耐薬品性、耐食性であり、金属素材では現状使用できる素材は限られ

ている。これらの分野で使用可能な素材は、特に樹脂については外国製品が強い印象がある。

・ 近の製品は大量生産では無いため、必要な部品も多品種で少量になる。これらの社会要請に対応するための生産(小ロッ

ト)に対応して欲しい。

・コスト、強度、軽量等の要求を兼ね備えた次世代材料には期待する。

【建設メーカーからの声】

ユーザーニーズの高度化と多様化③(ユーザー業界からの声)

・鉄鋼材への要求として、より高く、スパンもより長い構造とし、鉄の利点を活かすことが挙げられる。その際に、強度のみなら

ず剛性が高いことが重要。圧延技術を工夫し結晶配向等の制御により、現行の剛性よりも2、3割でも高くなればインパクトは

大きい。

・新材料・新素材に大きな期待を抱いている。例えば、金属・樹脂系のAM(Additive Manufacturing)やレジンコンクリートなど

が構造物に使えるようになれば、長超高層ビルや大スパン構造物、浮体構造物等の形体も大きく変わる可能性がある。

・建設分野はどうしても明日、明後日の延長で話をする文化有り。これに対し、素材メーカー側から将来の素材の可能性を基

に、もう少し先のスパンの話を提供してもらえると、建設メーカーと素材メーカーの双方向の協働が進むのでは。

・蒸気タービン用ローター(Ni基耐熱合金等)の大型部材について、国内の素材メーカーに加工(成形)をやってもらえない例有

り(納期及び価格で折り合わないため)。一方で外国(EU)の企業は、試行錯誤しながらも作製してくる。これらの技術のノウハ

ウがEUに蓄積されている現状はもったいないと考えている。

・次世代高温高圧タービンや水素燃焼タービン、耐水素性に優れた材料に興味あり。ただ、それに関連する条件でのデータ等

が無い。可能な限り材料メーカーには開示をお願いしたい。また、ユーザー側で国の支援を得られるならデータを収集し公開し

てもよい。マテリアルズ・インフォマティクスをするにもデータの収集は重要。

・プラスチックと鉄の融合等、機械屋が 初から無理と思っているような材料を作ってくれれば設計の幅も広がる。

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鉄鋼産業においては、韓国ポスコの研究開発費が増加傾向。中国メーカーによる追い上げも加速。

非鉄産業(銅製錬)においては、日系製錬企業が省エネや資源回収技術などの効率化投資を進めている。他方、リサイクルでは欧州銅製錬企業Aurubisが世界 大であり一歩先を行く状況。

非鉄産業(アルミ圧延)においては、日系を含めたグローバルトップメーカーが自動車軽量化需要獲得に向けた研究開発等を積極化している。

海外勢のキャッチアップ①(研究開発費動向)

【韓国鉄鋼メーカーの研究開発費増額】ポスコは、「鉄鋼本源競争力の強化」を目標に掲げて、2014年のR&D投資額を前年比20%以上増額した。 (鉄鋼新聞15年2月5日)

【中国鉄鋼メーカーの技術力追い上げ】

ポスコのキム・ジェヨル・マーケティング戦略室長は「 近自動車用鋼板分野で韓国と中国の技術格差が3年から1年に縮小した。中国の追撃が予想よりも早い」と

話した。価格競争力で優位に立つ中国が技術力でも韓国に迫り、ポスコは危機感を高めている。 (朝鮮日報14年2月3日)

「日本の技術は中国に徹底的に研究され、模倣され、そして分野によっては超えられつつあるというのが現実である」。宗岡正二・新日鉄住金会長は、3日に経団連会館で開催された日本鉄鋼協会創立100周年記念式典で記念講演を行い、中国鉄鋼業の技術キャッチアップに対して危機意識を強く持つべきだと提言した。(日刊産業新聞15年2月5日)

研究開発費2011

単体/連結

2012単体/連結

2013単体/連結

2014単体/連結

新日鐵住金(年度) 319/481 331/601 244/644 NAJFEHD(年度) NA/319 NA/337 NA/312 NA神戸製鋼所(年度) 221/314 213/308 NA/285 NA日新製鋼(年度) NA/44 NA/45 NA/37 NAポスコ(年) 370/438 364/438 NA/522 NA/698宝山鋼鉄(年) NA/625 NA/481 NA/540 NA河北鋼鉄(年) NA/300 NA/268 NA/282 NA武漢鋼鉄(年) NA/27 NA/28 NA/100 NAアルセロール・ミタル(年) NA/244 NA/227 NA/264 NA/274

鉄鋼各社の研究開発費

※ ブルームバーグから引用※ 宝山鋼鉄に関しては、平成26年度製造基盤技術実態等調査事業(アジア

主要鉄鋼企業の市場戦略調査)から引用

(単位:億円)

研究開発費2011

単体/連結

2012単体/連結

2013単体/連結

2014単体/連結

三菱マテリアル(年度) 70/117 70/114 66/110 NA住友金属鉱山(年度) 55/51 63/50 73/66 NADOWAHD(年度) 10/46 10/46 11/47 NAUACJ(年度) 12/28 14/29 23/37 NA日軽金HD(年度) 26/49 NA/51 NA/50 NA大阪チタニウム(年度) 5/NA 7/NA 8/NA NA東邦チタニウム(年度) 16/16 15/15 12/12 NACodelco(年) 454 525 537 577Aurubis(9月決算) 9 10 14 NAAlcoa(年) 147 157 187 231NorskHydro(年) 35 34 36 47

非鉄各社の研究開発費 (単位:億円)

※ 各社決算資料より作成※ 住友金属鉱山の単体研究開発費は、連結同数値に含まれない基礎研究

費を含む

【日系非鉄製錬メーカーの研究開発動向】

・神戸製鋼(鉄鋼・アルミ圧延): 「(自動車の)軽量化ニーズはビジネスチャンスだ、技術面では関係部署の人材を集めて『マルチマテリアル化』を目指した研究開発を進めている」(日経産業新聞13年12月6日)・DOWAHD(銅製錬): 「各工場に分散していた研究要員を製錬技術研究所に統

合して、研究開発の効率化及びスピードをアップを図りました。経済産業省の技術開発事業に応募し、『省エネルギー製錬技術の開発』と『難処理原料からレアメタル回収技術の開発』に採用されました」(2013年度有価証券報告書)【特徴的なグローバル非鉄製錬メーカーによる研究開発強化】世界 大の銅リサイクル製錬企業であるAurubisは、「Targeted, efficient and effective R&D is a key element for continued growth and long‐term business success」としてR&D部門を拡大、リサイクルを積極化(Annual report13/14)

17

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海外勢のキャッチアップ②(付加価値商品の生産能力増強)

BNA第4CGL増強(2015年央)

神戸鋼・鞍鋼JVの冷延ハイテン工場(2016年初稼働)

JFE・広州薄板JVのGJSS(第2GCLを導入済)

鞍鋼の亜鉛めっき鋼板工場(2016年稼働)

宝鋼の湛江製鉄所(2015年9月高炉稼働、2016年CGL稼働)

武鋼の防城港製鉄所(2015年冷延工場稼働)

voestalpine・寧夏共享集団JVの特殊鋼工場(2017年末完成予定)

ArcelorMittal・華菱鋼鉄JVの自動車用鋼板工場(2014年稼働済)

POSCO・重慶鋼鉄JVの高炉・自動車用鋼板工場(計画段階)

中国における自動車用鋼材工場の新増設計画

日系欧州・韓国系

中資系

(出所)日刊産業新聞、日本経済新聞より作成

日系が得意としてきた「高級」金属素材分野において、欧州勢に加えて、中国・韓国勢による能力増強が進んでいる

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海外勢のキャッチアップ③(輸入圧力)

○日本の鉄鋼製品の見掛け消費量に対する輸入比率

(出所)経済産業省、日本鉄鋼連盟(生産)、財務省(輸出、輸入)

【鉄鋼製品】 生産量(千トン) 輸入量(千トン) 輸出量(千トン) 国内消費(千トン) 輸入比率(%)

形鋼 6,702  106  867  5,941  1.79%

棒鋼 10,025  43  299  9,768  0.44%

線材 1,939  479  711  1,706  28.06%

厚中板 10,571  947  2,818  8,700  10.88%

熱延帯鋼 17,530  1,722  11,368  7,885  21.84%

冷延鋼板類 6,397  1,005  2,837  4,564  22.01%※日本の線材・厚中板の輸入量には、中国からの合金鋼輸入を含む。

鉄鋼製品は、韓国・中国等による生産能力増強、海外メーカーによる販売網構築、日系自動車メーカーによる外国製素材の導入促進により、鋼板類を中心に輸入比率が高い。

伸銅品は、比較的汎用度の高い黄銅分野での輸入比率が高い。 アルミ圧延品は、輸入比率が低い。

○日本の非鉄製品(伸銅品・アルミ圧延品)の見掛け消費量に対する輸入比率

【伸銅品】生産

(千トン)輸入量(千トン)

輸出量(千トン)

国内消費(千トン)

輸入比率(%)

銅板条 267 9 58 218 4.3%

銅管 117 19 16 120 16.1%

銅棒線 36 4 7 33 11.7%

黄銅板条 113 15 18 110 13.7%

黄銅管 9 2 1 9 18.3%

黄銅棒 187 3 27 163 2.0%

黄銅線 33 4 7 30 12.6%

【アルミ圧延品】生産

(千トン)輸入量(千トン)

輸出量(千トン)

国内消費(千トン)

輸入比率(%)

板 1,224 62 227 1,060 5.8%

押出 820  26 37 809 3.2%

(出所)経済産業省、財務省(輸出、輸入)

(出所)日本アルミニウム協会、財務省(輸出、輸入)

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国内外の制約条件①(エネルギーコスト)

東日本大震災以降、化石燃料電源比率の増加等を背景に、工場等の産業用の電気料金(電力料金)は約3割上昇しており、 製造プロセスで、大量の電気を消費する業界等の経営に影響を与えている。

固定価格買取制度における賦課金単価も上昇。

20

12

13

14

15

16

17

18

電力

17.53

15.73

14.59

13.65

産業部門における電気料金の推移

28.4%up

出典:電力需要実績確報(電気事業連合会)、各電力会社決算資料等を基に作成

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度

賦課金単価(円/kWh)

収支の当初見込み(賦課金総額)

1306億円 3289億円 6520億円1兆3222億

賦課金単価(標準家庭月額)

0.22円/kWh

(66円/月)

0.35円/kWh

(105円/月)

0.75円/kWh

(225円/月)

1.58円/kWh

(474円/月)

(注)旧制度(余剰太陽光買取制度)の賦課金を含んでいない。

固定価格買取制度における賦課金単価等の推移について

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国内外の制約条件②(地球温暖化対応)

我が国鉄鋼業は産業部門の約4割を占め、同部門中 大の二酸化炭素排出業種。

鉄鋼業は、1990年代より、省エネルギー投資等を通じて二酸化炭素排出削減に取組んできているところ。しかし、東日本大震災の影響等により排出量及び排出原単位は増加傾向にある。

21

出典:国立研究開発法人国立環境研究所HP「温室効果ガス排出量・吸収量データベース」を基に作成。

業種重複修正3.1% 農林水産鉱建設業 3.9%

化学工業 17%

鉄鋼業42.7.%

機械製造業9%

2013年度産業部門

429,497 kt-CO2

非鉄金属業 1.8%

窯業・土石業10.5%

金属製品業1.6%

製造業 96.1%

非製造業3.9%パルプ・紙・紙加工業

5.5%

その他11.1%

鉄鋼業のエネルギー起源CO2排出量(毎年度のクレジット反映後の電力係数を反映)

鉄鋼業のCO2原単位(1990年度基点)(毎年度のクレジット反映後の電力係数を反映)

出典:一般社団法人日本鉄鋼連盟作成出典:一般社団法人日本鉄鋼連盟作成

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○新日鐵住金・君津製鉄所

稼働時期: 2016年12月投資額: 290億円

・鹿島製鉄所稼働時期: 2016年8月投資額: 180億円

○JFEスチール・東日本製鉄所(千葉地区)・西日本製鉄所(倉敷地区)

※稼働時期・投資額は非公表

実施中のコークス炉改修 稼働後50年経過するコークス炉数の分布

22

高度成長期に建設された設備が老朽化。各地のコークス炉のほとんどが、今後10年以内に50年を経過し改修時期を迎えるため、大規模投資が必要となる見込み。

中期経営計画の概要

新日鐵住金 JFEスチール

国内設備投資 約13,500億円/3ヶ年 約6,500億円/3ヶ年

採用者数 約1,300人/年 約1,000人/年

(出所)各社の中期経営計画(2015~2017年)

約10年後の2024年までに、32/39基が50年を経過

国内外の制約条件③(設備の老朽化)

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中国によるレアアース等の輸出規制については、2012年6月、米国・欧州とともにWTOに提訴。2014年8月、WTO紛争解決機関会合において中国の措置がWTO協定違反であることが確定。中国は当該決定を踏まえ、2015年1月に輸出枠を撤廃するとともに、同年5月輸出税を撤廃。

レアアースに限らず、例えば、インドネシアの鉱業法改正による事実上の鉱石輸出禁止措置のように、資源ナショナリズムの先鋭化が、我が国企業の事業活動に大きな影響を及ぼす。

(出典)公表情報等を元に、METI作成

ザンビア

12年以降、銅とコバルトに加え、ニッケルや亜鉛等の鉱石に対しも、10%の輸出税を賦課。

12年に、付加価値税の還付を廃止。

南アフリカ共和国

国会で、高付加価値化(Beneficiation)義務 や、黒人企業(BEE)への26%の資本譲渡義

務を内容とする改正鉱業法が上院下院を通過。具体的な内容を定める政省令は検討中。

ジンバブエ

ジンバブエ企業等への51%の資

本譲渡義務などを盛り込んだ現地化経済権限拡大法の改正案を検討中。

メキシコ

採掘・抽出を行う企業等に対して新たに鉱業特別税を賦課するなど、鉱業に対して大幅増税。

中国

90年頃から原材料の輸出数量を規制。05年に付加価値税の還付を廃止。06年以降、原材料を中心に 輸出税を賦課。

フィリピン

鉱石の輸出禁止を含む法案(議員立法)が国会提出。

インドネシア共和国

09年に鉱業法を改正。尼企業等への51%の資本譲渡を義務付け。加えて、高付加価値化義務により、14年以降、事実上の鉱石等の輸出禁止。錫の輸出について、インドネシア商品取引所(ICDX)を介しない取引を禁止。輸出入制限を可能とする新貿易法が14年2月に国会で承認。

ベトナム

11年に鉱業法で高付加価値化を義務付け。

国内外の制約条件④(原材料アクセス)

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【アジアの主な製鉄所建設・拡張プロジェクト】

国内外の制約条件⑤(鉄鋼の過剰能力構造と通商摩擦)

鉄鋼需要は新興国を中心に増加。しかし、需要を上回る粗鋼生産能力の増加により、世界の鉄鋼市場は過剰供給構造となっている。

中国の鋼材見掛消費量が2014年に減少に転じた一方、アジア各国では依然として大規模製鉄所の新設・拡張プロジェクトが多数存在。

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(出所)日本鉄鋼連盟資料より経産省作成

2015年3月現在

国内外の制約条件⑤(続き)

中国では、生産能力の増強、内需の減少、増値税の輸出時還付措置により、2014年に鋼材輸出量が急増。韓国でも、能力増強、内需減少等により、鋼材輸出量が2008年比で約1.6倍に増加。

その影響により、鋼材市況が低迷して鉄鋼メーカーの収益を圧迫するとともに、世界各地において通商摩擦(アンチ・ダンピング(AD)措置、セーフガード(SG)措置等)が発生。

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金属素材競争力強化検討会の設置の背景

環境変化(需要側)

市場成長が見込まれ、かつ、環境・エネルギー制約の大きな産業(例:自動車、航空機)等において、

・素材の一段の高機能化・特性に応じた、素材の置き換え・素材間の垣根を越えた組合せ

ニーズの変化

環境変化(供給側)

高い技術力を背景に、世界の成長産業に高機能素材を供給

・海外勢の追い上げ・国内外の様々な制約要因

競争の変化

金属素材産業に求められる対応

素材間競争による切磋琢磨

ユーザー目線で素材トータルのベストソリューションを提案する素材

間の協調的取組の促進

“競争”と”協調”の深化のために

・本検討会では、鉄・非鉄を合わせた金属素材につき、その特性や可能性を極めるための方策を議論。2030年以降を見据えた中長期的視野で:

①国策として素材間の垣根を越えた技術開発の共通基盤を整備する②国内の製造基盤を強化する③グローバル展開のあり方を検討する

※本検討会の結果を踏まえて、マルチマテリアル化の観点から、化学、炭素繊維も含め、「素材」全体の方向性を議論することも検討

本検討会の目的

26

マルチマテリアル化

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本検討会での議論を踏まえた「金属素材競争力強化プラン」の策定

金属素材競争力強化プラン

技術開発小委員会(6/3, 6/9)

資源有効活用小委員会(5/26)

鉄鋼・非鉄産業を併せた金属素材産業が将来に亘り国際競争力を維持・強化していくための方策を「金属素材競争力強化プラン」として策定するための検討会。

特に「技術開発戦略」、「デジタルデータ(国内製造基盤強化戦略の内訳)」、「資源有効活用(グローバル戦略の内訳)」の3テーマについて、金属素材産業としての協業・連携を含む今後の取組のあり方を議論。

ユーザー企業の意見も踏まえつつ策定。

・素材開発、製造プロセス技術の高度化、エネルギー多消費産業構造の転換のための省資源・省エネ技術開発を加速すべく、基盤となる協調領域の整備・深化を検討。

・デジタル化が及ぼす変革に適切に対応し競争力強化が図られるよう、企業間や官民での対応の方向性を整理し、施策推進のための枠組を検討。

・低品位原料の利用拡大への技術開発や鉄・非鉄スクラックのリサイクル促進の方策について検討。

金属素材競争力強化検討会

検討会体制

金属素材競争力強化検討会(5/21, 6/11)

デジタルデータ小委員会(6/2)

検討会テーマ

①技術開発戦略・対象領域の特定・技術開発プロジェクトの立案

②国内製造基盤強化戦略・デジタルデータの活用・産業事故の防止・事業再編等・省エネ・地球環境問題への対応・サプライチェーン強靱化

③グローバル戦略・経済連携、通商摩擦への対応・技術流出への対応・資源の有効活用 等

参加企業

・高炉・特殊鋼電炉・普通鋼電炉・非鉄金属

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2.技術開発の促進

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素材 特性・技術開発トレンド 主な用途

代表的な汎用金属であり、金属製品の90%以上に鉄が使用されている。近年では、高張力鋼板等、ユーザー企業のニーズに合った高付加価値製品の開発がすすめられている。

建材、自動車、産業機械、船舶等

アルミ鉄鋼に次ぐ汎用基礎素材として、自動車用部品や建築資材、新幹線の構体等、多岐多様な分野において利用されている。重量は鉄の約3分の1。

缶材、建材、自動車用部品、コンデンサ用アルミ箔等

銅高い加工性と銀に次ぐ高い電気伝導性を有する。近年では、抗菌性を有する点が注目されている。

エアコン用銅管、電線、半導体用リードフレーム等

マグネシウム

工業用途で使用される実用金属中 も軽い(アルミニウムの約3分の2)。現在のマグネシウム需要の約5割はアルミニウム合金の添加剤としての利用だが、将来的には展伸材としての需要が期待される。

アルミニウム合金の添加剤、自動車用部品、生活用品等

チタン

鉄に比べて軽量(鉄の約60%)だが約2倍の強度を有する。また、耐熱性と耐食性にも優れる。用途としては航空機産業や宇宙産業向けを中心に堅調に需要が増加すると考えられていると同時に、メガネや時計等の身の回り品や、医療用材料などの機能材料としても利用が進む。

海水淡水化プラント、プレート式熱交換器、航空・宇宙産業、医療用材料、屋根瓦等

コンデンサ用アルミ箔 半導体リードフレーム(銅) ジェットエンジン(チタン)マグネシウム製車いす自動車用構造鋼材

各金属素材の特性・用途と技術開発トレンド①(ベースメタル)

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自動車用排ガス触媒触媒材料 触媒 触媒コンバーター 自動車

レアアース炭酸セリウム

ネオジム磁石

レアアース金属ジスプロシウム金属ネオジウム金属サマリウム

磁石材料磁石合金 ネオジム磁石 モーター

自動車

HDD

ハードディスク基板研磨剤 ガラス基板 ハードディスク

レアアース酸化セリウム

パソコン

光学ガラスガラス材料 光学レンズ

レアアース酸化ランタン

デジタルカメラ

家電

各金属素材の特性・用途と技術開発トレンド②(レアメタル・レアアース)

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2012(FY24) 2020(FY32)

次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発(FY26 30億円)レアアースフリーでありながら従来より強力な磁性体の開発、高効率な次世代自動車向けモーターの実現

革新的新構造材料等技術開発(FY26 48億円)輸送機器の軽量化を軸としたチタン合金、マグネシウム合金等の高性能材料、異種材料の接合技術等の開発

希少金属代替材料開発プロジェクト(FY26 5.2億円)供給リスクの高い鉱種について、代替材料開発・リサイクルに資する

基盤技術の開発、実用化の支援

レアアース等利用産業等設備導入事業(FY22補正 420億円)

使用量低減・リサイクルに資する国内設備投資の支援

レアアース・レアメタル使用量削減・利用部品代替支援事業(FY23補正 85億円)

主にジスプロシウムについて、短期的に使用量低減・リサイクルを実現する技術開発の支援

金属素材産業の競争力強化

レアメタル・レアアース対策

レアアース供給リスクの高まり

成長分野における需要拡大

時代に即した原料供給リスクの低減に取り組む

成長分野の下支え

リスクの低減

FY19~

FY24~

未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発(FY26 20.6億円)熱損失を低減し有効利用するための断熱技術、蓄熱技術、熱回収技術、熱マネジメント技術の開発

レアメタル・レアアース等の代替材料・高純度化技術開発(FY24補正 3億円)

レアメタル・レアアースの代替材料技術開発や低品位鉱石の高純度化技術開発の支援。

FY25~

現行の金属素材に関する技術開発政策

31

成長分野において潜在需要の高い金属素材を見極め、性能面・価格面で徹底的にこだわった技術開発を行うとともに、レアメタル・レアアース等の原料供給リスクの低減に取り組んでいる。

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(参考)⾰新的新構造材料等技術開発平成27年度予算額 42.6億円

事業の内容

条件(対象者、対象⾏為、補助率等)

国⺠間企業研究機関⼤学 等

交付⾦

事業イメージ

事業⽬的・概要本事業では、エネルギー使⽤量及びCO2排出量削減を図るため、その効果が⼤きい輸送機器(⾃動⾞、⾞両等)の抜本的な軽量化に繋がる技術開発等を⾏います。

具体的には、

①アルミニウム材、マグネシウム材、チタン材、⾰新鋼板、炭素繊維複合材料等について、強度、加⼯性、耐⾷性等の複数の機能とコスト競争⼒を同時に向上させた材料開発を⾏います。

②これらの材料を適材適所に使うために必要な接着技術等の接合技術の開発等を⾏います。

③材料特性を最⼤限活かす、最適設計⼿法、評価⼿法等の開発。

成果⽬標平成26年度から34年度までの9年間の事業であり、本事業を通じて現在使⽤されている輸送機器の原材料を⾰新的新構造材料に置き換えることで、それらの抜本的な軽量化(⾃動⾞の場合50%軽量化)を⽬指します。

委託NEDO

材料開発の⽅向性

難接合材の同種接合技術や、異種材料接合技術の⾰新により、⾰新材料の実⽤化を促進

⼆律背反する強度と加⼯性を同時に向上させた材料の開発

【微細組織制御による加⼯性の向上】

【固相摩擦撹拌接合技術】接合技術開発の例

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(参考) 次世代⾃動⾞向け⾼効率モーター⽤磁性材料技術開発平成27年度予算額25.0億円

事業の内容

条件(対象者、対象⾏為、補助率等)

国技術研究組合、⺠間企業

事業イメージ事業⽬的・概要現在、電⼒消費の50%以上がモーターにより消費されています。また、モーター⽤の⾼性能磁⽯の原材料となるレアアースについては特定国に偏在しており、供給リスクがあります。

本事業では部素材・製品メーカー、⼤学等が連携することにより、 ジスプロシウム等のレアアースを使⽤せずに従来以上に強⼒な磁性体を開発するとともに、新たな軟磁性材料を開発し、⾼効率な⾼性能モーターを開発します。

⾼性能モーターを次世代⾃動⾞や家電、産業機器へ活⽤することにより、エネルギー損失を25%削減し、省エネ化を推進します。また、同時に資源リスクの低減を図ります。

成果⽬標 24年から33年までの10年間の事業であり、レアアースを使⽤せずに従来以上に強⼒な磁性体等を開発し、省エネ化及び資源リスクの低減を⽬指します。

NEDO

交付金 委託

新規磁⽯・軟磁性材料の性能を最⼤限に⽣かしたモーターの設計および評価を⾏います。

Ⅰ.⾼性能新規磁⽯粉末の開発 結晶磁気異⽅性が⾼く⾼保磁⼒を持つFe-(M)-N磁⽯粉末を開発し、従来に⽐べ⾼い最⼤エネルギー積を持つナノコンポジット磁⽯粉末、DyフリーNd-Fe-B磁⽯粉末を開発します。従来磁⽯とは全く異なる組成および製造プロセスのため、⾶躍的な性能向上が期待でき、省エネルギーおよび市場への波及効果が⾒込まれます。

Ⅱ.新規磁⽯粉末製造技術の開発

⾼性能新規磁⽯粉末を効率的に製造する技術を確⽴します。

Ⅲ.⾼密度焼結技術の開発 低温で⾼密度かつ⾼効率に粉末を焼結する技術を確⽴、バルク体の密度を向上し、磁⽯特性の向上を実現します。

Ⅳ.低損失軟磁性材料の開発

モーターを駆動するための電気に対してエネルギーロスを少なくし、磁場に変換できる材料開発と製造技術の確⽴します。

Ⅴ.新規磁⽯・軟磁性材料によるモーター設計と評価

磁石

軟磁性材料 モーター

次世代自動車

家電産業機器

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(参考) 希少⾦属代替省エネ材料開発プロジェクト平成27年度予算額 4.4億円

事業の内容

条件(対象者、対象⾏為、補助率等)

事業イメージ

事業⽬的・概要希少⾦属(レアアース等)は、ハイブリッド⾞等のモーター、LEDの蛍光体、IT製品の透明電極などに利⽤されており、我が国が強みとする多くの省エネハイテク製品にとって必要不可⽋です。

しかし、希少⾦属は偏在性が⾼く特定国からの輸⼊に依存すること、製品によっては将来急激な需要の伸びが⾒込まれることから、供給リスクが懸念されます。

本事業では、希少⾦属の需要と供給や技術開発動向等の調査を実施するとともに、⺠間企業の⽣産現場における希少⾦属の代替・低減技術の⽀援を⾏うことで、省エネおよびCO2排出量削減に寄与することを⽬的とします。

成果⽬標平成26年度から27年度までの2年間の事業であり、希少⾦属使⽤量低減技術の実⽤化及び省エネ等に資する技術開発を⽬指します。

NEDO

交付金

⺠間企業等

委託・補助(2/3)

Ⅰ.代替・使⽤量低減技術開発

Ⅱ.希少⾦属代替・低減技術実⽤化助成

⺠間企業の⽣産現場における希少⾦属の代替・低減技術に対し、実⽤化を⽀援します。

希少⾦属等に関する国内外のリスクや低減・代替技術開発の動向・実現可能性の調査を実施します。

例:レアアースを低減した蛍光体の開発

従来の蛍光体に使⽤されているレアアース(Eu、Tb、Y)の使⽤量を低減させた蛍光体を開発する。

レアアースを低減した蛍光体

の開発開発した蛍光体を各種製品へ応⽤

省エネ社会への貢献

蛍光灯への応⽤ → 効率向上(3波⻑型)

LEDランプの⾼付加価値化、→ LED化加速低コスト化への貢献 による省エネ

太陽電池⽤波⻑変換 → 変換効率向上材料への応⽤展開

34

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各産業分野の産業戦略に基づき、その社会的要請(ニーズ)を洗い出した「出口指向マップ(Blue map) 」と、新素材(シーズ)を一覧で示した「素材指向マップ(Red map)」をマッチングし、今後の新素材開発の重点分野を絞り込んでいくことが重要。

出口指向マップ(Blue map)

出口(製品・主部品)

燃料電池 太陽電池 パワー半導体熱電変換 ・・・

社会要請 新エネルギー 省エネルギー 環境保全 環境浄化環境負荷低減 ・・・

要求・律速技術

素材指向マップ(Red map)

素材候補

高効率 軽量 高強度コンパクト ・・・

ステンレス鋼 アモルファス合金 ジルコニア系セラミックスフッ素系高分子材 ・・・

・・・

超ハイテン鋼セルロースナノファイバー ・・・

高強度 導電性軟磁性 ・・・

関係者技術動向 学術競争力※用途・出口 ・・・

アクアマテリアル

構造材料 機能性材料(化学的機能) 機能性材料(熱的機能)

新素材

発現機能

技術課題

新素材(大分類)

耐食性 発光性 耐熱性 生体適合性

機能性材料(生体機能)

産業競争力※ 市場規模※

階層化

階層化

階層化

階層化

階層化

階層化

素材候補として新素材を適用した場合の効果を評価

社会的要請(出口・製品)から要求技術とそれを満たす新素材候補を抽出

耐久性 断熱性 防音性

炭素繊維 水駆動プラスチック

社会的要請とのマッチングによる重点的新素材開発

35

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市場分野

素材開発 (例1)マテリアルズ・イン

フォマティクス

(例2)異種材接合

(例3)分析・評価鉄鋼 アルミ マグネ チタン 銅

シリコン

希少元素

ファインセラミックス

FRP 樹脂

自動車

車体 ◎ ○ ○ × - - - - ◎ - △ △ ×

モーター ◎ - - - ◎ - ◎ - - - △ - ×

部品 ◎ ◎ ◎ × ◎ - - ◎ ◎ ◎ △ △ ×

鉄道 構体 ◎ ◎ ○ - - - - - - - △ △ ×

航空機

構体 - ◎ △ ○ - - - - ◎ - △ △ △

エンジン ◎ - - ○ - - - △ △ - △ △ △

発電分野

タービン ◎ - - ◎ - - - ○ △ - × × ×

モーター ◎ - - - ◎ - ◎ - - - × × ×

燃料電池 ◎ △ △ ◎ ◎ - ◎ ○ - - × × ×

触媒 ◎ - - - - - ◎ ◎ - - × × △

社会インフラ

ビル ◎ ○ - ○ - - - - - - × × ×

橋梁 ◎ ○ - - - - - - ◎ - × × ×

住宅用資材 ◎ ◎ - ◎ ◎ - - - - ◎ × × ×

海洋資源開発 ◎ - - - - - ◎ - - - × × ×

情報通信機器 ◎ ◎ ◎ - - ◎ - ◎ ◎ ◎ × × ×

医療分野 ◎ - ○ ◎ - - - ○ ◎ ◎ × × ×

各項目の技術開発フェーズ 【◎:実用化,○:開発,△:基礎研究,×:未着手,-:不要】

Blue map, Red mapを基に、出口(市場)を見据えた上で金属素材の技術開発フェーズを整理。個別領域の技術課題の抽出へ。

市場を問わず垣根を越えた協調領域としての技術開発を整理。 技術開発は知財戦略/標準化戦略も含めた一体的な産業政策としての展開へ。

36

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①素材開発・高効率プロセス技術に基づく高品質・低コスト化による国際競争力強化②エネルギー多消費産業の構造転換(資源の有効活用,省エネ製造プロセス等)

③素材横断的に上記を支える協調すべき基盤の整備・深化

(3)【分析・評価】 広範囲・高分解能/迅速・コンパクト(希少元素抽出,表面・内部検査,製品出荷用途)

(1)【設計・開発】 企業が活用し易いマテリアルズ・インフォマティクス(設計・開発期間の大幅短縮)

(2)【プロセス】 省エネ製造プロセス(資源・エネルギ有効活用,マルチマテリアル化/異種材接合)

・従来鋼,DP鋼・TRIP鋼,TWIP鋼・ハイテン鋼,工具鋼・耐熱鋼,特殊鋼・電磁鋼板,磁性材料・高強度高靱性アルミ合金

・複層アルミ合金・難燃性マグネシウム・耐熱チタン合金・銅,シリコン,セラミックス・生体親和材

・良質コークス製造・高品質焼結鉱製造・純酸素利用高炉開発・高炉スラグ,製鋼スラグ

熱回収システム・省エネ型アルミパネル製造・アルミ材低温精錬技術・マグネシウム低コスト化・チタン材一貫製造技術・微細加工技術

市場個別領域

・高強度,靱性・硬度性・耐摩耗性・加工切削性・易成形性,弾性・耐食性,耐熱衝撃性・耐熱性,難燃性・焼結性・軟磁性,硬磁性・導電性,熱電特性・生体適合性

・自動車・鉄道車両・航空機・発電分野

(タービン,モーター等)・社会インフラ

(ビル,橋梁等)・住宅用資材・建材・内装・化成品製造プラント・燃料電池,太陽電池・海洋資源開発・情報通信機器・素子・医療分野(ステント等)

粒径制御,結晶成長,組織制御,配合技術 等

反応制御(熱,酸化・還元)

表面・界面制御, 等軽量化,低コスト,複合機能 等

= × ×

方向性

キーワード

(5)【人材育成】 産学連携・分野間横断交流 (材料科学・物理学・化学・情報科学・統計学等)協調領域

機能 素材開発 製造プロセス

(4)【予防保全】 デジタルデータ活用による寿命予測・設備保全(※デジタルデータ小委員会との連動)

37

技術開発小委員会における主な論点(案)

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A社

共有可能データ

B社 C社

非共有データ

材料データベースとして蓄積

第一原理計算【計算科学】

非共有データ非共有データ

データマイニング(統計的手法,AI等)

プラットフォーム提供(材料データベースとの接続)

新たな組織制御等を推測

同左

同左

同左

同左

同左

同左

マルチスケール解析・シミュレーション 【計算科学】

各種実験【実験科学】

物質の高効率探索,特性発現の原理解明,材料設計へ

制限付データ

企業が活用しやすいマテリアルズ・インフォマティクス(案)

計算機性能の飛躍的向上と材料開発競争の激化を受け、情報科学と材料科学を融合した材料設計手法が今後さらに進展するものと推測。素材戦略(新製造プロセスの探索等)や開発期間の短縮へ期待。

ただし、企業が保有するデータはノウハウの塊であり、公開・共有は困難。データの共有/制限付が可能なマテリアルズ・インフォマティクス(インテグレーション)の基盤と、非共有でも活用が可能な基盤設計が重要。

(マテリアルズ・インテグレーション)

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3.国内製造基盤の強化(1)デジタル化が及ぼす変革への対応

(2)産業事故の防止(3)生産体制の再構築による競争力強化(4)省エネ・地球環境問題への対応(5)サプライチェーン強靱化

39

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情報通信製造

(工場)ヘルスケア

エネルギー モビリティ行政

(インフラ)

real → digital

情報収集

センサ性能の進化

digital → intelligence

情報の蓄積・データ解析メモリ、処理アルゴリ

ズム(統計的機械学習)の進化

intelligence → real

処理(制御)

プロセッサ等の性能の進化

振動発電 熱電発電

無線LANスマートフォン

現場データの収集

カメラ

センサ

スマートメーターバイタルセンサ

車載センサ

水処理分野

ウィルスセンサ

モニタリングセンサ

需要者に合わせた効率的なインフラ運営の実現

需要者に合わせた移動の実現

需要者に合わせた効率的なエネルギー供給の実現

需要者に合わせた健康・介護の実現

需要に合わせた効率的な工場生産の実現

需要者に合わせた効率的な商品提供の実現

異なる分野の機器、システムの連携

データベース データベース データベース データベース データベース データベース

モデル モデル モデル モデル モデル モデル

・・・

・・・

・・・

・・・

産業の垣根を越えた新サービスの広がり

インダストリー

4.0に代表される新たなビジネスサイクル

IoT情報の活用

ビッグデータ・AI

目的に応じた「 適な組合せ」

高度な判断サービスや自動制御の実現

40

IT技術による新たなビジネスサイクルの出現

データ活用の観点から、あらゆる分野で競争領域が変化。製造業においても、データ収集、解析、処理というサイクルへ。

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デジタルデータが生む付加価値領域の例

予防・保全 工程の見える化

暗黙知の形式知化 商品開発・マーケティング

高年齢化する工場設備のセンシングによる管理と事故予防や保守のIOT化による保守人員の削減等例:コマツ、DMG森精機、中国電力

転炉 連続鋳造

熱延 酸洗 冷延 焼鈍溶融亜鉛

めっき

スラブ

原料炭

鉄鉱石

各種元素

溶融亜鉛めっき鋼板

高炉

石灰石等

仕入・製造・販売・在庫の 適化や業務オペレーションの効率化・自動化による生産性向上例:多数の企業内システム。オムロン(外販)

Internet

高度な加工技術

設計/製造が一体となった擦り合わせ

現場力(カイゼン力)による品質向上

暗黙知ノウハウ

デジタルデータに

よる形式知化

少子高齢化時代の技術伝承を「暗黙知」を「形式知」に変換することで乗り切っていく例:ダイセル(ダイセル型生産方式)

ニーズ

刷り合わせ

素材開発

生産

評価

設計試作

データ収集→解析→活用によるカスタマイゼーションや新市場創出例:ミスミ(IT活用で納期短縮)東レ・NTTグループ(Tシャツ内蔵センサーで体調管理)

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金属素材産業における活用事例(見える化)

データの整理や形式の統一 ビッグデータの分析と活用~米社ソフト”Qlik View”の導入~ 共有による生産性向上

部門・工場別にバラバラだったデータの管理手法やデータ形式を分析可能な様式に統一

A工場

B工場

C工場

省資源

省エネ

省力

品質向上

各工場の生産条件やシステム整備等の事例とデータを収集し 適事例を他の工場にも適用

長府工場の銅圧延ラインでは、5%超の生産性向上と約5%の使用電力削減を実現

神戸製鋼所では、それまで部門や工場毎にバラバラであったデータ形式等を整理し、分析可能な様式に統一する活動を推進。

その上で、非鉄圧延ラインの速度や電力量等のデータを収集・蓄積し、米社の分析ソフトウェアを用いて分析し、品質管理、生産性向上、省エネ等を実現。

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今後の可能性の一例

鉄鋼業界における可能性

(出所)東芝三菱電機産業システム株式会社

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今後は更に進んで、例えば、リアルタイムで各種センサーから得られた情報に基づき操業条件を 適化し工程制御すること等も考えられる。

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設計・生産(ものづくり)

利用/運用・保守(サービス)

製造業のデータ取得・活用を通じて得られる付加価値を巡って、米独が綱引きの構図。 一方で、付加価値の源泉は両者ともにサービス。

徹底的な消費者データの取得

徹底的なユーザー徹底的なユーザーデータの取得

徹底的な生産工程徹底的な生産工程データの取得

ものづくりの要求仕様をリード(製造業を下請け化)

多種多様な製品の製造効率化により、ものづくりの付加価値を 大化

(BtoB)

ユーザーニーズの反映によるものづくりの高付加価値化

(インダストリアル・インターネット)

(BtoC)

(インダストリ-4.0)

<付加価値獲得競争の図>

<付加価値の源泉>

GE(アメリカ:航空宇宙、エネルギー等)航空機エンジンなど自社製品から収集したリアルタイムデータを活用し、データの情報分析サービス「インダストリ

アル・インターネット」を中核事業へ。cf) 産業部門の利益のうち、サービスが占める割合が75%へ拡大。

シーメンス(ドイツ:電機、機械装置等)2007年の米国ソフトウェア企業(UGS)の買収をはじめとし、生産工程のデジタルプラットフォーム作りに必要な企業

を次々と買収。産業分野においては、ハードウェア企業からソフトウェア企業へと転換。cf) デジタルファクトリー部門を新設し、直近期の試算において3番目に高い利益。(9部門中)

米独の動き-製造業をめぐる付加価値獲得競争の構図

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インダストリー4.0仕様の生産システムがコスト競争上優位となり、我が国企業の海外生産における競争力劣位が発生するおそれあり。

インダストリー4.0仕様の標準化が進むと、我が国のFA関連機器が海外市場において参入できなくなるおそれあり。※国際標準の場では、既に米独がせめぎ合いをベースにインダストリー4.0関連の規格作りが開始

・BMWの全車種が1本の生産ラインで製造可能な組立工場を中国に納入。

・99%以上の高稼働率や高品質の組立が可能だが、ノウハウはブラックボックス化され、現地作業員が制御できるのは各種パラメータのみ。

・ドイツは、インダストリー4.0仕様の「生産システム」を新興国に輸出することで、ドイツ企業の海外工場での生産性を効率化。

標準化の取組(例:通信規格)インダストリー4.0仕様の工場を新興国へ輸出

※IECでは、Factory of Futureに関するホワイトペーパーが15年10月、Smart Manufacturingに関する標準化分野の指針策定が16年中に結論を得るスケジュールでキックオフ済み。

ドイツのもう一つの狙い

45

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生産管理、品質管理、在庫管理などでのデータ活用は進んでいるものの、膨大なデータの本格的な分析、活用は今後の課題とする社が多い。

また、ユーザーのニーズ変化に柔軟に対応した生産プロセス改革、設備保全や労災防止への活用はこれから、という社が多い。

各社のデータ・IT活用実態(事前ヒアリングより)

(優れた取組と考えられる事例)・ スペック(組成)保証とプロセス保証による、製品の高付加価値化・ 意図せざるデータ流出の防止の観点からのシステムの内製化・ データ分析のできる数理系人材の活用、研究人材と現場人材の交流、インターンシップの活用・ 現場スタッフによる独自のデータ分析とプロセス管理への反映

(今後の課題についてのコメント例)・ センサーが安価となって膨大なデータは収集されているものの、その分析と活用については、

費用対効果がわからず、取組方針は定まっていない。・ industry4.0 によって、ユーザーのニーズに柔軟に対応した生産プロセス改革が、グローバルに

求められる可能性はあるが、対応には着手していない。・ 設備保全や労災防止について、人の動きや映像情報などのデジタルデータの活用が有効と考

えられるが、まだ着手していない。・ デジタルデータを取り扱うことのできる人材が、製造現場にも精通していることが求められるが、

そのような人材はまだまだ少ない。

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デジタルデータ小委員会における主な論点(案)

(各社に望まれる取組)・ 膨大なデータの分析と活用、プロセス管理の全体 適化への適用・ ユーザーのニーズに柔軟に対応した生産プロセス改革(industry 4.0への対応)・ 設備保全や労災防止や工場のエネルギーマネジメントへのデジタルデータの活用・ 設備導入時に、メンテナンスサービスに伴ってデータが流出することへの対応・ デジタルと製造現場の両方に精通した複合人材の育成・ 膨大なデータ分析の結果を応用するための知識の体系化・ デジタル化に対応した組織の改編

○ (業界横断的に取り組むデジタルデータ活用の第一歩として)設備保全、労災防止へデジタルデータを活用するための勉強会開催、保安行政との連携検討

○ 設備導入時における外部とのデータ連携のあり方について、官民による検討

○ 大学と連携した人材育成、社会人育成プログラムの検討

○ 鉄鋼、非鉄金属の業界を越えたベストプラクティスの共有、共同勉強会の設置 等

対応の方向性(案)

47

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(参考)自主保安の高度化(インセンティブ付与)

例えば、高圧ガス保安法において、設備の完成検査や保安検査に関して、一定の要件(※)を満たし経産大臣の認定を受けている者については、規制を緩和するインセンティブ措置を講じているが、時代の変化に応じて 新の保安技術を導入しているような、より高度な取組を実施している事業者にはインセンティブを強化する等、さらに工夫の余地があるのではないか。

高圧ガス保安法に基づく保安検査に係る現行の認定制度

施設の変更工事時及び年1回、都道府県知事等第三者による検査を受けなければならない。

第三者による検査は必要なく、事業所自らが検査を行うことができる。(検査結果を都道府県知事に届け出れば足りる)

検査の時期及び段取りは、都道府県側の都合に合わせる必要がある。

定められた周期で設備を停止して開放検査を行う必要がある。

検査の時期及び段取りを自ら決定することができる。

管理状況に応じ、開放検査の周期が柔軟に設定できる。

※認定要件(1) 高圧ガス製造開始後2年を経過していること。(2) 過去2年間に一定の高圧ガス災害、罰金以上の刑に処せられた法令違反等がないこと。(3) 本社において適切に整備された保安管理部門が認定を受ける事業所の監査等を適切に実施しているとともに、

認定を受ける事業所において適切な保安管理組織・体制、保安管理計画等が整備されていること。(4) 適切な教育訓練を実施すること。(5) 防災管理に関する規程類等及び実施体制が適切に整備されていること。(6) 保安管理状況の調査・評価・監査体制が適切に整備されていること。(7) 保安検査組織・体制が適切に整備されていること(検査者の資格、数、検査設備等が適切であること。)。

認定を受けない場合 認定を受けた場合

完成検査

保安検査

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2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

その他

危険物の流出

ガスの漏洩

爆発

火災

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13

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17

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2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015年

産業事故の実態(鉄鋼業)

【死亡者数の推移】

(出所)日本鉄鋼連盟「労働災害統計調査」

【設備災害の件数の推移】

3件

2015年5月現在

2015年5月現在

4名

49

(出所)日本鉄鋼連盟「防災事故統計」

労働災害については、長期的には減少傾向だが、死亡者数では2013年の7名が、2014年には14名と倍増するなど、憂慮すべき状況が続いている。

設備災害の件数は、一進一退の状況だが、2014年には全停電に伴う発煙(燃焼放散)、大規模火災事故の発生等、社会的影響の大きな事案が相次いで発生した。

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鉄鋼業における産業事故防止に向けた取組

2014年における労働災害の増加、社会的影響の大きな設備災害の発生を踏まえ、以下の取り組みを実施。

①3省連絡会議と連携し、鉄鋼業の「防災自主行動計画」を策定。

②過去10年程度における官民の取組状況の検証中。

①平成15年の鉄鋼、化学等の事故を受け、経産省がアンケート調査を実施。その結果をもとに、同年12月、産業事故の発生要因を分析。対応の方向として、(ア)経営トップの役割、(イ)保安技能の伝承・教育の充実、(ウ)設備のリスク管理、(エ)事故情報の共有等の4点を提示。

②平成18年7月、死亡事故の急増を受け、経産省から日本鉄鋼連盟・鉄鋼各社に対し、鉄連における安全衛生推進本部の新設、事故原因の抽出、会員各社間での情報共有等を要請。同年9月、日本鉄鋼連盟・高炉5社(当時)は、各々が取り組む事故対策や活動内容を提示。

③平成24年の死亡事故急増を受けて、同年11~12月、経産省がアンケート調査とヒアリングを実施。その結果をもとに、平成25年2月、(ア)設備老朽化、(イ)体制・基準等の不備、(ウ)従業員の知識・認識・経験不足の3点を課題として挙げ、業界が取り組むべき対策を提示。

④上記3つを含む過去10年間程度における官民の取組の効果等を検証するためのヒアリング等を実施(次スライド参照)。

①石油コンビナート等における災害防止に向けた自主行動計画

【構成】

はじめに

1.日本鉄鋼連盟のこれまでの活動状況2.事故の発生状況と課題について

3.報告書で示された業界団体が取り組むべき事項

4.当連盟の具体的な取り組み5.当業界における喫緊の課題6.喫緊の課題に対する取り組み7.本行動計画の取り扱い

産業事故防止に向けた取組の例

(平成27年2月公表)

50

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鉄鋼業における産業事故防止に向けた取組

過去10年間程度における官民の取組状況を振り返りつつ、平成27年2月から4月まで、経産省が鉄鋼各社・鉄連に対しアンケート調査とヒアリングを実施。

その結果、産業事故(労働災害及び設備災害)の防止に向け、今後、鉄鋼業に期待される望ましいと考えられる取組事例は下表のとおり。

番号 産業事故防止に向け望ましい取組事例

1 危険感度の向上・維持、基本ルール遵守を目的とした「繰り返し教育」の実施

2 現場に浸透する、実効性のある教育の実施

3 一人作業におけるリスク低減策の実施

4 異常時等における設備を「止める」活動の徹底

5 組織間、階層間等における双方向のコミュニケーションの強化

6 設備対策(本質安全化)の推進

7 安全確保に向けた体制づくりと体制強化

8 協力会社に対する安全管理の支援(直協一体の安全確保の推進)

9 安全文化の醸成とトップダウンによる取組の実施

10 事故分析、リスク分析の徹底

11 作業標準の整備とルールの徹底

12 技能伝承の着実な実施

13 第三者による評価等の実施

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生産体制の再構築による競争力強化①(高炉)

高炉各社は、価格競争力強化のため、生産拠点を集約するとともに、集約先の設備の強化を実施中。

新日鐵住金

・君津製鉄所の第3高炉を休止。他方、第2、第4高炉の出銑比の向上を予定。(2015年度末目途)

・八幡製鉄所小倉地区の第2高炉を休止。他方、同製鉄所戸畑地区の第4高炉の出銑比向上等を予定。(2018年度末目途)

<主な集約化の動き>

加古川製鉄所

(加古川市)

高炉2基生産能力:約700万トン

神戸製鉄所(神戸市)

高炉1基生産能力:約100万トン

→休止へ

神戸製鋼所

・神戸製鉄所の高炉を休止。(2017年度目途)

・他方、ブルーム連続鋳造設備の新設、溶銑予備処理設備の導入等、加古川製鉄所を強化。(総額500億円)

日新製鋼

周南製鋼所

(周南市、旧日新製鋼)衣浦製造所

(碧南市、旧日本金属工業)

製鋼工程増強 製鋼工程休止へ

呉製鉄所

・衣浦製造所の製鋼工程を休止。(2015年末予定)

・他方、転炉設備の増強、連続鋳造設備の新設等、周南製鋼所を強化。(総額270億円)

八幡製鉄所小倉地区

(旧住友金属工業)

第2高炉休止へ

八幡製鉄所戸畑地区

(旧新日本製鐵)

出銑比向上

(出所)各社HP 52

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53

生産体制の再構築による競争力強化②(非鉄金属)

【伸銅品】住友金属鉱山と日立電線による事業統合

(2013年)

伸銅品においては、住友金属鉱山と日立電線がリードフレーム製造に関し事業統合、また住友金属鉱山が日立電線の一部伸銅品事業に資本参加を実施。クロスセルや設備有効活用、伸銅品事業から一貫生産体制を強化すること等により年間10億円の効果を実現する方針。

アルミ圧延においては、UACJが国内生産拠点の集約を進め、統合効果として85億円のコスト削減効果を実現する方針。

缶材 熱交材自動車材

箔地 印刷版 厚板 その他

福井(旧古河)

250 ○ ○・LNG船用タンク材(当社のみ)・航空機材(トップシェア)

深谷(旧古河)

160 ○ ○ ○ ○ ブランク材

名古屋(旧住軽金)

338 ○ ○ ○ ○ ○ キャップ材

福井(旧古河)

250 ○・LNG船用タンク材(当社のみ)・航空機材(トップシェア)

深谷(旧古河)

160 ○ ブランク材

名古屋(旧住軽金)

338 ○ ○ ○ ○ キャップ材

UACJ 58%

社名推定

シェア生産拠点

生産能力

(千t/年)

取扱製品

UACJ 58%

生産体制集約により85億円のコスト削減効果を見込む

【アルミ圧延】UACJによる国内生産拠点の集約

(2014年)

(出所)各社HP

SHマテリアル(リードフレーム製造)

SHカッパープロダクツ(伸銅品製造)

51% 50% 50%49%

住友金属鉱山と日立電線は、リードフレーム事業の統合、ならびに住友金属鉱山が日立電線の伸銅事業(銅管および黄銅事業除く)に資本参加

各社単独で経営効率化を図ってきたが、両社の経営資源を結集させることで大きな相乗効果を実現する方向

銅条供給

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生産体制の再構築による競争力強化③(普通鋼電炉)

普通鋼電炉メーカーの中には、価格競争力強化、技術力強化、販路拡大のため、国内で事業者間連携、生産拠点集約、新業態への取組を図る事業者も。

<近年の主な動き>

新関西製鐵(大阪府)・星田工場(大阪府交野市)

の製鋼工程を休止し、同工程を堺工場(大阪府堺市)に集約。(2015年4月) 他

王子製鉄(群馬県) 東京鉄鋼(栃木県)

・拓南製鐵(沖縄県)(2008年)に続き、新関西製鐵(2013年)(大阪府)、伊藤製鐵所(茨城県)(2014年)との間で、製造委託契約を締結。清水鋼鐵(北海道)とは技術提携委員会を発足。(2013年)

東京製鉄(岡山県)・岡山工場の一部製鋼

工程等を休止し、同工程を田原工場(愛知県)に集約。(2015年4月)

中山製鋼所(大阪府)

・厚板工場の休止等、不採算製品・事業から撤退。

(2012年~)(地域経済活性化

支援機構による再生支援)

(出所)各企業HP、プレスリリース(都道府県名は工場所在地)

(業務提携)(設備譲渡)

(集約化)(撤退・再生) (新業態への取組)

・産業廃棄物の電炉での溶融処理・産業廃棄物処理・資源回収事業参入

共英製鋼(山口県、大阪府、愛知県)

東京鉄鋼(青森県) 他

JFE条鋼(岡山県)

ハード(設備) ソフト(業態)

54

拡張

縮小

大三製鋼(東京都)

中央圧延(東京都)

新北海鋼業(北海道)

・(2014年2月撤退)

・(2014年3月撤退)) ・(2014年

3月撤退)

・中央圧延(2014年3月に事業撤退した普通鋼電炉メーカー)の圧延工場(埼玉県)を譲り受け、王鉄圧延株式会社を設立。(2014年4月)

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○大同特殊鋼

・知多工場に高機能新鍛造機を導入。(2015年)

(総額12億円)

・渋川工場に真空誘導溶解炉(22㌧VIM)を導入、

特殊二次溶解炉を増強。(2014‐15年度)(総額60億円)

○日立金属

・安来工場に大型真空誘導溶解炉(20㌧VIM)を導入。

(2015年)(総額70億円)

・日立金属MMC スーパーアロイ(2014年7月に子会社化)に大型リングミルを導入。(2016年)

生産体制の再構築による競争力強化④(特殊鋼電炉)

航空機、自動車、エネルギープラント向け高級特殊鋼の需要を満たすべく、特殊鋼各社は国内での設備投資を積極的に実施。

近の設備投資事例

※大同特殊鋼HPより

2530

1000

1500

2000

2500

3000

特殊鋼生産量推移万トン

7,664

14,036

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

特殊鋼輸出額推移億円

(出所)各企業のHP 55

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平成26年4月1日より、新日鐵住金の完全子会社である日鉄住金直江津チタン(平成25年9月26日設立済)

に、新日鐵住金よりチタン素材溶解事業を吸収分割により承継させ、東邦チタニウムより出資を行う。

【支援措置】吸収分割に係る商業登記及び不動産所有権移転登記、第3者割当増資に係

る商業登記の登録免許税の減免特定事業再編投資損失準備金の適用

100%子会社

新日鐵住金㈱

日鉄住金直江津チタン㈱(統合準備会社)

吸収分割出融資

(増資:2.2億円、融資:36.3億円)

<計画開始前> <計画開始後>

※平成25年9月26日設立※出資比率は新日鐵住金66%

東邦チタニウム34%となる。

日鉄住金直江津チタン㈱(特定会社)資本金2千万円→増資後2億円

新日鐵住金㈱

チタン素材溶解事業

東邦チタニウム㈱

出資(1.4億円)

(参考) 産業競争力強化法の適用事例

平成26年7月1日より、三菱マテリアルの完全子会社であるMMCスーパーアロイに、日立金属より出資を行う。

100%子会社

三菱マテリアル㈱

MMCスーパーアロイ㈱ MMCスーパーアロイ

(株)

三菱マテリアル㈱

日立金属㈱

増資(36億円)

<計画開始前> <計画開始後>

【支援措置】◆登録免許税の軽減◆事業再編促進税制活用

56

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過剰供給構造稼働率の低水準採算性の悪化

原燃料費の変動高コスト構造

人口減少等により長期的に内需縮小

設備の老朽化と更新投資

国際競争力の低下輸入品の増加

構造的課題

電炉の存続意義

(事業再編)○設備・工程等集約化○業務提携の推進○統合・再編の検討○ 新設備への更新

(環境・リサイクルの推進)○処理困難産業廃棄物

の溶融処理推進

(輸出市場の開拓)○建設用 鉄鋼製品の

海外需要 開拓○ジャパンブランド化○GNTの推進

普通鋼電炉の今後の方向性について(案)

・地産・地消の循環構造・多品種・少量、フレキシブル対応・地域経済・雇用への貢献

経営資源の有効活用早期検討の必要

57

活性化プラン(特性を活かした生き残り策を検討)

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省エネルギー、地球温暖化問題への対応①(実施中のもの)

政府は、 ①COP21に向けた約束草案における2030年の我が国の二酸化炭素排出目標値の策定、②エネルギーミックス

の策定における2030年のエネルギー需要見通し策定のために、産業部門の対策の一つとして、鉄鋼業における対策項目を策定中。

業界団体は、鉄鋼業における2030年の二酸化炭素削減量目標値と対策項目を盛り込んだ「低炭素社会実行計画」を策定。

③鉄鋼業界における2020年以降の低炭素社会実行計画(日本鉄鋼連盟作成)による取組み事項(エコプロセス抜粋)

①我が国の約束草案要綱(案)における鉄鋼業の対策項目

対策メニュー フェーズⅡ2030年

フェーズⅠ2020年

①コークス炉効率改善 130万t-CO2程度 90万t-CO2程度

②発電設備の効率改善 160万t-CO2程度 110万t-CO2程度

③省エネ強化 150万t-CO2程度 100万t-CO2程度

④廃プラ※前提条件あり 200万t-CO2 200万t-CO2

⑤革新的技術の開発・導入※前提条件あり 260万t-CO2程度 -

合計 計900万t-CO2 計500万t-CO2

業種 省エネルギー対策名

導入実績導入・普及

見通し省エネ量

万kL 内訳

2012FY 2030FY 2030FY うち電力 うち燃料

鉄鋼業

電力需要設備効率の改善粗鋼生産量あたり電力消費2005年比

3%改善43.0 43.0 -

廃プラスチックの製鉄所での ※ケミカルリサイクル拡大

廃プラ利用量42万t

廃プラ利用量100万t 49.4 - -

次世代コークス製造技術(SCOPE21) ※の導入

1基 9基 41.6 - 36.0

発電効率の改善 ※共火:16%

自家発:14%共火:84%

自家発:82% 40.3 - -

省エネ設備の増強 ※

例低圧損TRT 82%高効率CDQ  93%低圧蒸気回収 95%

100% 80.8 - -

革新的製銑プロセス(フェロコークス)の導入

0基 5基 19.4 - 19.4

環境調和型製鉄プロセス(COURSE50)の導入 ※

0基 1基 5.4 - -

鉄鋼業 計 279.8 43.0 55.4

②我が国の鉄鋼業における2030年の省エネルギー対策

出典:平成27年4月30日中央環境審議会地球環境部会2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合(第7回会合)資料4抜粋。

出典:平成27年1月26日 産業構造審議会 産業技術環境分科会 地球環境小委員会鉄鋼WG(第1回会合)資料4-2抜粋。

出典:平成27年4月28日 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第8回会合)資料4抜粋。58

事業者による 新省エネ設備等の導入促進等のため、約410億円の予算を措置。

「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」 工場・事業場等における省エネ設備・システムへの入替や製造プロセス

の改善等の改修により省エネや電力ピーク対策を行う際に必要となる費用を補助。

平成27年度より工場間で一体となった省エネの取組を支援対象に追加。

<平成27年度予算>

(参考)現行の 新省エネ設備等の導入支援

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省エネルギー、地球温暖化問題への対応(今後の検討課題)

政府、業界団体において策定した対策項目を、実現可能なものとするために、主に以下の論点について検討。

① 新省エネ設備の導入促進(SCOPE21型コークス炉、酸素プラント、モーター等)

②複数工場間、事業者、業種の枠を越えた連携によるエネルギー使用の 適化の促進

③革新的製造プロセス技術開発の促進(環境調和型製鉄プロセス、革新的新構造材料等技術開発等)

④IoTを活用した工場のエネルギーマネジメント(使用状況の見える化、自動制御の導入)

⑤省エネ診断等を通じ、個別の事情を踏まえたきめ細やかな省エネ対策

⑥規制の見直し等による省エネ機器・設備の普及促進(トップランナー対象機器、基準の見直し、ベンチマーク制度の見直し等)

⑦世界 高水準の省エネ技術の途上国等への移転・普及

⑧ 終製品の使用段階における省エネ、CO2削減効果が高い高機能鋼材の普及

対策項目に関する今後の主な論点(案)

59

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平成26年2月:

- 消費税の円滑な転嫁のため、「鉄鋼産業取引適正化ガイドライン」を改訂。

平成26年10月:

- 原材料・エネルギーコストの増加を受け、適正な価格転嫁を要請する文書を、経済産業大臣名で発出。

- 適正な価格転嫁、年末の資金繰りへの配慮を要請する文書を、公正取引委員会との連名で発出。

平成27年4月:

- ガイドラインに関するアンケート調査(日本鉄鋼連盟と協力して実施。21団体1600社、高炉下請事業者2000社が対象。)の結果を踏まえ、ガイドラインを再改訂・公表。

- 価格転嫁の実施状況に関するアンケート調査の結果を公表。

鉄鋼業(川上)と自動車等のユーザー産業(川下)の間には、圧延、加工、鋳鍛造等の産業群(川中)が存在。 鉄鋼業とユーザー産業の競争力維持・強化には、強靭なサプライチェーン(川中産業、関係会社)が不可欠。 サプライチェーン強化のため、消費税の円滑な転嫁等を目的として、昨年2月に「鉄鋼産業取引適正化ガイドラ

イン」を改訂。本年3月には、原材料・エネルギーコストの円滑な転嫁等のため、同ガイドラインを再改訂。 鉄鋼業では1年前と比較して転嫁が進みつつあるが、着実な転嫁の実施に向けて引き続き取り組む予定。 非鉄金属業についても、平成26年12月の「自動車産業適正取引ガイドライン」改定に際し、電気めっき業で発

生していた問題のある取引事例を追加した。今後とも必要に応じて調査を行い、対応について検討する。(無理な条件での取引を受け入れたことがあるか)当省の取り組み

2014年12月~2015年2月実施アンケート結果

2014年1月実施アンケート結果

ある ない そもそも問題となる取引慣行はない

21件304件 579社

883社

(2.3%) (33.6%) (64.1%)

コスト増加分を製品価格に

反映できない

支払期間の長期化

一方的な原価低減率の

提示

発注書面の不交付

一方的な予算単価・価格の提示の要求、指値発注

11件 6件 4件 3件 3件

ある ない64件 728件

(8.1%) (91.9%)

コスト増加分を製品価格に

反映できない

支払期間の長期化

一 方 的 な 予算単価・価格の 提 示 の 要求、指値発注

発注書面の不交付

分割納品の支払に係る問

35件 24件 14件 13件 13件

1年前と比較して改善

60※2015年3月末時点で(1)素形材、(2)自動車、(3)産業機械・航空機等、(4)情報通信機器、(5)繊維、(6)情報サービス・ソフトウェア、(7)広告、(8)建設業、(9)トラック運送業、(10)建材・住宅設備産業、(11)放送コンテンツ、(12)鉄鋼、(13)化学、(14)紙・加工品、(15)印刷、(16)アニメーション制作業の16業種で策定。当省は(8)、(10)、(11)以外の13業種を所管

サプライチェーン強靭化

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4.グローバル展開のあり方の検討(1)経済連携の推進(2)通商摩擦への対応の継続・強化(3)海外拠点設立の加速(4)技術流出への対応(5)海外展開の遅れた分野への対応(6)資源の有効活用

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韓国交渉中断中

RCEP(ASEAN10カ国+日中韓印豪NZ)

交渉中

アセアン(AJCEP)

発効済(08年12月)

カナダ交渉中

コロンビア交渉中

EU交渉中

スイス発効済(09年9月)

TPP交渉中

マレーシア発効済(06年7月)

タイ発効済(07年11月)

シンガポール発効済(02年11月)

改正(07年9月)

NZ

米国

チリ発効済(07年9月)

メキシコ発効済(05年4月)改正(12年4月)

ペルー発効済(12年3月)

日中韓交渉中

インドネシア発効済(08年7月)

ブルネイ発効済(08年7月)

フィリピン発効済(08年12月)

ベトナム発効済(09年10月1日)

インド発効済(11年8月)

GCC諸国交渉延期

GCC(湾岸協力理事会):サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、オマーン

トルコ交渉中

2018年までに貿易のEPA カバー率※70%を目指す(「日本再興戦略」改訂2014(平成26年6月24日閣議決定))

※全貿易額に占めるEPA/FTA署名・発効済国との貿易額の割合。

現在、我が国のEPAカバー率は22.7%。【参考】 韓国…39.9%、中国…28.5%、米国…39.8%、EU…29.3% (域内貿易含まず) 。

我が国は13カ国・1地域との間でEPAを発効済。

2015年1月15日、日豪EPA発効。2015年2月10日、日モンゴルEPA署名。

TPP、日EU・EPA、RCEP、日中韓FTA等の経済連携交渉を推進中。

豪州2015年1月15日発効

モンゴル2015年2月10日

署名済

日本の経済連携の推進状況

62

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通商問題への各種対応の継続・強化

貿易救済措置(アンチ・ダンピング、セーフガード)への対応

貿易相手国による貿易救済措置の調査・発動に際して、我が国鉄鋼業への影響の大きい案件については、政府間協議や官民対話の場を通じて働きかけを実施。

※二国間・地域の鉄鋼対話: 中国、韓国、台湾、インドネシア、タイ、EUとそれぞれ実施。

WTO紛争解決機関の活用

政府間協議や官民対話によっても改善が図られず、その影響が特に大きい案件については、WTO紛争解決機関による調停を実施。

2012年12月、中国によるステンレスシームレスAD措置についてWTO紛争解決機関へ協議要請を行い、2013年にパネルが設置。2015年2月、我が国の主張を概ね認めるパネル報告書が配布。

中国によるレアアース等原材料3品目に関する輸出規制措置ついて、中国は、WTOの勧告に従い、本年1月に数量制限を、また同5月初より輸出税をそれぞれ廃止。

強制規格等への対応

他国の強制規格及び適合性評価手続きの策定にあたり、日本の試験機関の活用等による運用改善や、特定用途等の強制規格対象の除外の働きかけを実施。

関税減免のための取組

無税枠設定の交渉や、免税制度の改善、関税評価問題への対応を実施。

EPA交渉への対応

関税交渉における、相手国の関税削減、無税枠制度設定等の交渉のほか、原産地規則、強制規格、貿易救済措置等の各交渉項目において、貿易障壁の解消に対応。

63

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鉄鋼の過剰能力問題に関するOECD報告書(2015年2月)

OECDは、2015年2月、「Excess Capacity in the Global Steel Industry and the Implications of New Investment Projects」と題する報告書を公表。主なポイントは、以下のとおり。

鋼材消費の伸びが緩やかな一方、多くの国で投資が予定されており、産業界と政府が協調した対応をとらない限り、生産能力と需要の国際的不均衡が産業界の将来にとってのリスクとなる。(能力の拡大はアジアが 大である。)

過剰能力の背景には、補助金、貿易関連措置、政府系金融機関の活動等、政府による市場への介入がある。

ある地域の過剰能力は別の地域の生産を置き換えるため、自国産業を保護しようとする政府との間での通商摩擦の増加が顕著である。

政府の役割は、市場を適切に機能させ、人為的な生産能力維持を回避することである。政府は、新規能力の拡大を促進し、不採算企業の退出を遅らせるような市場歪曲的措置の除去等に向けて、取り組む必要がある。

5月のOECD鉄鋼委員会(中国・ロシア等のOECD非加盟国を含め、世界各国の政府・産業界から150名超が出席。)では、一部の国の政府系金融機関による海外製鉄所建設支援を懸念する意見が相次ぎ、今後、これら政府系金融機関からの聴取等が検討される予定。

64

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海外生産拠点設立の動き(鉄鋼)

高炉各社は、粗鋼生産ではなく、 終製品に近い鋼材を現地ユーザーにタイムリー、低コストで供給すること等を目的に、下工程(冷延、めっき等)を拡充。アジア中心に、下工程で外需取込み。

新日鐵住金

神戸製鋼所

・冷間圧造用鋼線製造・販売の合弁会社(メキシコ)主要製品:冷間圧造用鋼線(CHワイヤー)総投資額:43億円出資比率:神鋼商事40%、メタルワン25%、神戸製鋼所10%、

大阪精工10%、 Simec10%・O&k American5%

稼働予定:2015年末

・鞍山鋼鉄集団公司との合弁会社設立(中国)主要製品: 自動車用鋼板総投資額: 290億円出資比率: 神戸製鋼所49%、鞍鋼51%稼働予定: 2016年

・特殊鋼圧延の合弁会社設立(中国)主要製品: 自動車部品用特殊鋼総投資額: 1億2400万ドル出資比率: 日新製鋼55%、伊藤忠丸紅鉄鋼35%、

米ワージントン社10%稼働予定: 2016年半ば

・アルセロールミタル(AM)との合弁会社設立(米国)主要製品: 熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板買収総額: 15.5億ドル

出資比率: 新日鐵住金50%、AM社50%買収完了: 2014年2月

・クラカタウ(KS)との合弁会社設立(インドネシア)主要製品: 自動車用鋼板設備投資額: 3億ドル出資比率: 新日鐵住金80%、KS社20%稼働予定: 2017年半ば

JFEスチール

日新製鋼

・自動車用溶融亜鉛鍍金ラインの建設(インドネシア)主要製品: 自動車用鋼板総投資額: 3億ドル出資比率: JFEスチール100%稼働予定: 2016年3月

・大径溶接鋼管の合弁会社設立(UAE)主要製品:パイプライン用大径溶接鋼管総投資額:3億ドル出資比率:JFE27%、SENAAT51%、MISI22%稼働予定:2018年10月

(出所)各社HP 65

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【アルミニウム圧延品】<北米における自動車用パネル材需要獲得に向けた動き>

○北米において、日本の排出規制を超える排出基準が採用(CAFE規制)。欧米自動車メーカは排出基準を満たすために車体の軽量化に着手。

○車体の軽量化を実現するため、アルミニウムのパネルが注目されており、CRUの予測では、アルミ自動車用パネル材の需要は今後10年間で約250万トン増を見込んでおり、そのうち1/2以上を米国市場が占める。

○北米における自動車用パネル需要の市場獲得に向けて、(株)神戸製鋼所及び(株)UACJはそれぞれ米国への進出に向けて検討を進めている。

<各社の取組>○UACJ

・米国ケンタッキー州に欧州コンステリウム社と合弁で、自動車パネル用アルミニウム材の製造販売会社を設立。

・熱処理設備などを導入し、年産10万トン、2016年生産開始予定。投資額は約150億円。

・母材はTri‐Arrows Aluminium Inc.(UACJの連結子会社)等から供給。

○神戸製鋼

・米国アラバマ州に豊田通商と合弁で、自動車パネル用アルミニウム材の製造販売会社の設立を検討中

66

海外生産拠点設立の動き(非鉄)

【光ファイバー】<新興国における需要獲得に向けた動き>

○近年、世界的な通信トラフィック量の増大とともに世界の光ファイバーケーブル需要が高水準で推移

○中国の伸びは鈍化するものの、東南アジア、南米、中東・アフリカ、インドなどの新興国を中心として海外需要は引続き拡大が見込まれる状況

○光ファイバー国内大手は、新興国需要の取込みを積極化

<各社の取組>○古河電工

・2015年、アフリカ新拠点の設立準備、ロシア拠点増強・2013年、南米コロンビアに製造工場を建設、南米はブラジル・アルゼンチンに続く3カ所目

・2011年、ブラジル光ファイバー製造FISA社買収・2010年、中国大手ケーブルメーカー亨通社と合弁で光ファイバー母材製造会社を設立

○住友電工・2014年、中国において光ファイバー母材の量産開始(中国における2カ所目の光ファイバー母材製造拠点)

・2010年、日本企業で初めて中国において光ファイバー母材の量産を開始

・2008年、中国光ファイバーメーカー富通集団と合弁で光ファイバー製造会社を設立

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各国政府の保護主義的措置が特に多く見受けられる業界であり、「現地で生産 → 周辺国に輸出」というビジネスモデルが容易に成立しない。(通商摩擦のリスク)

投資先の国における確実な需要が見込まれるかどうかの見極めが肝要。(特に高炉については、減産が容易ではない。)

特に、大規模製鉄所の建設に当たっては、人権侵害・環境破壊を理由とした反対運動に直面も。

【ポスコのインド事業】(人権問題)

ポスコは、年産1200万トンの高炉をインド・オディシャ州に建設する事業を計画する。

しかし、2013年10月、地元住民への影響等を理由に、国連人権高等弁務官事務所専門委員会が中止を勧告。

国連の同委員会が個別企業の事業に対して勧告を行うことは、極めて珍しい。

計画は現在も進行中。

海外事業に伴うリスクへの留意

【ティッセンクルップの米州事業】(不十分な国内需要)

(稼働率の低迷)

ティッセンクルップは、鉄鉱石産地で半製品を製造、需要地近くで自動車向け高級鋼板に加工するサプライチェーンを想定して、ブラジルに高炉、米国には熱延工場(年産500万トン)等を設置。

しかし、十分な需要を開拓できず、多額の赤字を計上した結果、米国工場を2013年に売却。

【ポスコのインドネシア事業】(不十分な国内需要)(通商摩擦の発生)

ポスコは、約4000億円を投じ、インドネシアに高炉・厚板製造ライン(年産300万トン)を設置。

しかし、インドネシア国内での十分な需要がないため、周辺国へ大量に輸出。通商摩擦に発展。

同様の理由により、半製品を韓国で引き取らざるを得ない状況も発生。

(出所)報道情報、各社HP 67

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技術流出の実態①

近年、技術者の転職等、海外展開の進展、サイバー攻撃の増加等により、技術情報の流出が生じやすい環境へ。(意図せざる技術流出)

特に海外展開に際し、合弁パートナー、進出先国政府、顧客(自動車メーカー等)の要求により、安易に技術供与を行い、日本国内で守るべき重要技術情報が流出するケースも発生。(意図的な技術流出)

⇒ 流出により、その重要技術の価値は喪失。

技術者等のリストラ、退職の増加

海外企業への転職技術者の増加

我が国企業の海外展開の進展

海外企業との取引増、工場の海外移転増

技術流出がより

生じやすい環境へ

【技術流出が発生しうるケース】

技術供与【国内】日本企業

製品納入

技術開示要求

技術開示

独自技術と称して他社へ売り込み

関連会社で独自に内製化

【海外】政府合弁企業顧客

技術流出 ⇒ 価値の喪失

サイバー空間の拡大・浸透

サイバー攻撃のリスク増加

国内のみで生産

海外で生産

国内のみで

生産

企業A: ○企業B: ○

企業A: ◎企業B: ×

海外で

生産

企業A: ×企業B: ◎

企業A: △企業B: △

企業A

企業B

日本企業が強みを有する

先端技術製品に関する

「囚人のジレンマ」(?)

68

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【漏えい】方向性電磁鋼板の製造プロセスおよび製造設備に関する情報(設計図等)

【現状】賠償請求(約1000億円)・差止め請求(日本、米国、韓国で係争中)

元社員

元社員がポスコと共謀して漏えい

(報酬:数億円)

情報の再漏えい

社員

技術流出の実態②

電磁鋼板は日本で開発された技術水準の極めて高い製品。しかし、①韓国ポスコへの技術流出、②韓国ポスコからの中国企業への(再)技術流出により価格が大幅に下落。技術管理が重要。

情報の漏洩の実態(従業員や取引先など人材を経由したもの)

※括弧内は従業員数3001人以上の企業における割合

漏えいはない70.3%

その他16.2%

明らかに漏えい事例があった6.6%(23.7%)

おそらく情報流出があった6.9%(16.2%)

(出典) ・経済産業省『平成24年度人材を通じた技術流出に関する調査研究』アンケート調査より(回答約3000社)・帝国DB 営業秘密に関する企業の意識調査(平成26年9月11日:回答約11.000社)

技術流出の結果としての価格下落(方向性電磁鋼板)

050

100150200250300350400450

輸出単価の推移

電磁鋼板

溶融亜鉛めっき鋼板

継目無鋼管

溶鍛接鋼管

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

輸出金額の推移

電磁鋼板

溶融亜鉛めっき鋼板

継目無鋼管

溶鍛接鋼管

千円

億円

69

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技術流出への対応①(企業への支援体制の全体像)

平成27年1月28日、技術情報の保護を強化するため「技術情報等の流出防止に向けた官民戦略会議」が開催され、以下3点を柱とする行動宣言を採択するとともに、企業に対する支援体制を整備。

1.企業情報の防御(予防策の徹底)2.情報漏洩への断固とした対処(一罰百戒)3.継続的な官民連携により攻撃手法の高度化への対応

【営業秘密管理の支援体制】

企 業

営業秘密官民フォーラム

特許庁・INPIT

・ 新の手口や対策について情報共有・啓発活動、研修・セミナーの実施・情報発信(メルマガ等)

IPA

漏えい対応、管理方法等専門家(弁護士等)による相談

経済産業省相談事例

(含個別漏洩事案)

○営業秘密・知財戦略相談窓口○知財総合支援窓口(全国57カ所)

関係省庁(警察庁、公安調査庁)

経団連 I鉄連 他12団体

経産省 知財事務局警察庁(生安局、警備局)農水省 厚労省 総務省金融庁 公安調査庁INPIT IPA

企業サイドの対策に資する情報

参加団体

情報共有

(捜査)

踏み出した企業への

専門家による対応

企業への意識啓発

(巡回活動(P))

都道府県警察

「技術情報等の流出防止に向けた官民戦略会議」で設置決定(本年1月28日)

■制度の整備 不正競争防止法の改正:抑止力の向上、処罰範囲の整備 「営業秘密管理指針」の全面改定:法的保護を受けるため、企業が 低限行うべきことを明確化 「営業秘密管理マニュアル」の策定: 新技術に対応した漏洩防止対策等のグッドプラクティスをマニュアル化 「技術流出防止指針」:海外展開等の「意図せざる技術流出」を防止するため、流出事例及び対策を提示 70

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不正競争防止法改正法案の概要(平成27年3月13日閣議決定)

我が国企業の競争力や雇用の源泉である営業秘密の不正な窃取・利用に対して、刑事・民事の両面で抑止力を高め、諸外国と遜色がない水準とする。

71

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営業秘密管理指針の改訂(平成27年1月28日)

72

【改訂前】企業情報

非公知性 ×刊行物記載

有用性 ×脱税情報

秘密管理性 ×脱税情報

営業秘密

(例)設計図、ノウハウ、顧客情報 等

営業秘密管理の強化を行う企業を支援を目的に策定されたガイドライン・合理性ある秘密管理方法の提示・チェックシートなどの提示

営業秘密管理指針(平成15年)

【主な内容】「秘密管理性」を満たす要件=

客観的認識可能性(秘密と分かったはず)

アクセス制限(一部社員のみ知っていた)

※アクセス制限:施錠保管、入室制限、パスワード設定等

※客観的認識可能性:「秘」表示、守秘契約等

「人的」、「物理的」、「組織的」管理が必要

【改訂後(現在)】

(合理的手段の例)○紙媒体 : 合理的区分と「秘」表示○電子媒体 : 記録媒体へのマル秘表示の貼付○化体物(金型、デザイン): 営業秘密たる物をリスト化。○媒体外の情報 :

・転職可能性を阻害しないよう、原則、可視化。・営業秘密カテゴリーのリスト化も有効。

企業内の営業秘密管理

不要

■改訂の背景 営業秘密の保護のため、 低限必要なことが不明。

(大企業でも、改訂前の指針記載事項の半分も実現不能。)

(地裁、高裁)判例に混乱あり。一部判例は営業秘密の流出差止めに対し、「鉄壁」の管理を求めるが非現実的。(例:ファイルに「社外秘」と記載するだけでは不十分。

営業秘密の漏洩を防止できなければ、研究投資が無駄になり、イノベーションを妨げる。

企業の業態、規模等に応じた「合理的手段」で達成。従業員にとっての予測可能性確保が重要。

不正競争防止法の法的保護を受けるために必要となる 低限の水準の対策を明確化

72

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技術流出への対応②(先端技術、重要技術の管理のあり方の検討)

73

我が国が有する「①産業競争力上の重要技術」については、国際競争力確保の観点から、意図せざる流出を回避し、適切に管理することが求められる。そのため、技術の特定とともに、その管理のあり方を検討することが必要。

「②防衛秘密」に関わる技術については、2014年4月の「防衛装備移転三原則」策定により、一定の条件の下、海外への移転(国際共同開発等)が可能に。

「③安全保障上の機微技術」については、従来通り、外為法に基づく厳格な管理が必要。

守るべき先端技術、重要技術をどう特定するか その技術を、どう保護・管理(オープン/クローズ)する

高張力鋼板(ハイテン)(出所:神戸製鋼所HP)

(守るべき技術?の例)(守るべき技術?の例)

鉄道用車輪(出所:新日鐵住金HP)

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平成25年度・日本の防災鉄鋼技術の導入に向けたインドネシア側のニーズ、関連産業の成熟度等の調査

を実施。・日本の防災鉄鋼技術の現地化シーズ技術の調査を実施。カスタマイズド・リストを作成。

輸出市場の開拓

インドネシアにおいて、日本の優れた防災鉄鋼技術を普及させることにより、現地の防災事業に貢献。あわせて、日本からの鋼材輸出市場を開拓。

平成26年・専門家派遣、受入研修により、インドネシア側の政府関係者、技術者、大学関係者等に対して日本の鋼構造、防災鉄鋼技術について啓蒙。

平成27年度以降も継続し、日本方式の浸透を目指す。

平成27年度○ 海外需要開拓に向けた基礎調査(現地ニーズの把握、現地パートナーづくり、基準・規格化への

協力等)○ ODA案件採択に向けたJICA対応、現地対応等の検討○ ジャパンブランド化の推進に向けた方策の検討 等

建設用鉄鋼製品の海外需要開拓に向けた取組。

74

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東京鉄鋼(株)(東京都千代田区)

資本金:58億3,900万円従業員:463名

建設用の鉄筋である「ネジテツコン」を開発。鉄筋の表面にネジ状の節を持つ高強度の異形鉄筋。世界シェアは50%。

従来の鉄筋であれば、ガスで加熱して溶接する必要があるが、同製品は手動でネジ締めによる接合ができる。そのため、大型機械や熟練した職人が不要であり、雨天でも作業が可能になったため、建設コストの大幅な削減と品質向上に繋がった。

(株)シルド(東京都中央区)

資本金:4,000万円従業員:126名

鉄・ステンレスを塑性加工により異形断面にした「異形引抜製品」を製造。多くの機械の心臓部の部品として使用されている。海外で高いシェアを占める。

原子炉制御棒の構造用部材の製造で培われた製造技術により、核熱融合炉のトロイダイルコイルのカバープレート、発電機回転子の楔等に生かされ、その多くが輸出されている。

ブランド力の向上(GNT企業の選定①)

グローバル展開に優秀と認められる実績がある企業を「グローバルニッチトップ企業(GNT)100選」として選定。

ブランド力の向上を通して、海外販路拡大を支援。

(出所)各社HP 75

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千住金属工業(株)(東京都足立区)資本金:4億円

従業員:950名(国内)

同社の製造するはんだは、電子部品の極小化、部品実装の高密度化を支える接合材料として欠かせないもの。特に同社のはんだボール、棒はんだ、ペーストはんだの3商品はいずれも高い世界シェアを誇るGNT製品となっている。

同社の強みは一貫してこれらの製品の開発・製造・販売を行っているところにあり、特に、主たる開発拠点のある本社(東京足立区)とマザー工場(栃木県真岡市)とで緊密なマネージメントを実現することによって、高い開発力を獲得。また、世界13カ国に製造

および販売拠点を設けるグローバルビジネスを展開している。

ブランド力の向上(GNT企業の選定②)

(出所)各社HP

(株)ワイピーシステム(埼玉県所沢市)

資本金:2,000万円従業員:25名

「車両用緊急脱出機能付き二酸化炭素消火具”消棒 RESCUE”」、「低温黒色クロム処理”CBC“」を製造しており、世界市場シェア100%を有する。

「消棒 RESCUE」は、シートベルトカッター、ガラス破砕、二酸化炭素による消火の3機能を持つ世界で唯一の商品であり、日本のみならず海外の自動車メーカーで既に採用されている。

「CBC」は、低温黒色クロムメッキの防錆、

塗料の防食性能を持った高性能表面処理技術であり、特にROHS規制に対応するも

のとしては、同社製品はオンリーワンである。

CBC 処理品消棒RESCUE76

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77

コバレントマテリアル(株)(東京都品川区)資本金:140億円

従業員:927名(単独)

半導体製造装置に必要不可欠な部材を供給。特に炭化珪素部材は世界シェアは60%。

同製品の強みは、半導体製造装置用部材に求められる高純度、高強度、高耐食性といった特性を有しながら、さらに精密加工技術を取り入れている点にあり、多くの半導体製造装置に組み込むことを可能としている。

縦型炉心管、ボートセット

横型マザーボート、ボート

横型炉心管

(株)フルヤ金属(東京都豊島区)

資本金:54億4,500万万円従業員:271名

イリジウムルツボとルテニウムターゲットにおいて卓越した強みを持ち、世界のイリジウム需給全体のうち60%は同社を経由する。同様の技術を用い、ルテニウムの加工においても世界首位の座にある。

イリジウムとルテニウムは、南アフリカ鉱山に偏在し、また、公の取引市場がないため、原料調達や価格の安定性に欠ける点が課題だが、同社は、リサイクル技術の開発に取り組むことで課題解決に当たっている。

イリジウムルツボ スパッタリングターゲット

ブランド力の向上(GNT企業の選定③)

◆ 2014年12月、世界 大のエンジニアリング・セラミックメーカーであるCoorstek, Inc. (本社:米国)に買収された。

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我が国の金属素材産業においては、原料のほぼ全量を輸入に依存し、輸入先が特定地域に集中している。また、鉄鉱石、石炭については、サプライヤーが寡占化。

鉄鋼石、石炭は、中国等の需要増、高品位原料の枯渇等により、今後は品位の低下が避けられない状況。

鉄鋼原料、非鉄金属原料の制約

78

わが国の鉄鉱石輸入相手国の構成(2014年)

(出所)財務省貿易統計よりみずほ銀行産業調査部作成

(注1) 鉄鉱石: HS2601 (注2)鉱石ベースの輸入量

豪州

61%

ブラジル

27%

南アフリカ

5%

カナダ 3%その他 4%

わが国の

鉄鉱石輸入量

(2014年)

1.4億トン

わが国の原料炭輸入相手国の構成(2014年)

(出所)財務省貿易統計よりみずほ銀行産業調査部作成

(注) 原料炭: HS2701.12-010、2701.12-091、2701.12-092

豪州

50%

インド

ネシア

29%

カナダ

10%

米国

5%

ロシア

5%

その他 1%

わが国の

原料炭輸入量

(2014年)

0.7億トン

世界のチタン鉱石埋蔵量(2014年・種類別)

(出所)USGS “Mineral Commodity Summaries 2015”よりみずほ銀行産業調査部作成

(注1)経済的可採埋蔵量 (注2)酸化チタン含有量ベースの埋蔵量

イルメナイト

94%

ルチル

6%

世界の

チタン鉱石埋蔵量

(2014年)

770,000千トン

世界の石炭埋蔵量(2011年・種類別)

(出所)World Energy Council “World Energy Resources 2013 Survey“よりみずほ銀行産業調査部作成

(注) 確認可採埋蔵量ベース

瀝青炭・

無煙炭

45%

亜瀝青炭

32%

褐炭

23%

世界の

石炭埋蔵量

(2011年末)

8,915億トン

■輸入先の構成(鉄鉱石、石炭) ■品位別埋蔵量(石炭、チタン)

■サプライヤーの構成(鉄鉱石、石炭)

BHP24%

Anglo  7%

Xstrata 4%Rio Tinto 

5%

その他豪

州15%

米国 18%

カナダ11%

ロシア 8% その他10%

主要4社シェア

原料炭の海上貿易量シェア(2014年/予想)

Vale24%

Rio Tinto 21%BHP

Biliton  19%

その他35%

鉄鉱石の海上貿易量シェア(2014年/速報)

主要3社シェア65%

出所:大和証券キャピタル・マーケッツ 出所:大和証券キャピタル・マーケッツ

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QCDの問題

透明性の問題

制度の問題

動静脈分離

資源スクラップが海外に流出 短期の市場原理に翻弄される 資源価格の変動に振り回される 国際資源循環に対応できない 欧米の仕掛けに後手 等々

現象

リサイクルの観点からの競争力強化 近年、資源スクラップの海外流出や、資源価格の変動に翻弄される等の問題が顕在化。

鉄鋼産業では、スクラップに含まれる不純物が、スクラップの高機能鋼材への利用時の障害。

非鉄金属産業においては、制度の問題等も背景に、リサイクルプロセスの透明性、QCD (Quality, Cost, Delivery)に課題を抱えており、結果として、製造業(動脈)とリサイクル産業(静脈)が分離していることが問題の所在。

動静脈一体化を図る上での今後の検討課題

・規格・認証スキームの在り方 ・回収網の再構築 ・スクラップからの不純物除去技術の開発

・多種・微量に含まれる元素を高効率に抽出する技術の開発

・易リサイクル性と高機能性を両立したエコデザインの促進 等々

79

0

10

20

30

40

50

60

70

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

輸出 その他 鋳物用 電炉鋼 転炉鋼(百万トン)

(年度)

鉄スクラップの需要先

(出所)日本鉄源協会「鉄源年報」より、みずほ銀行産業調査部作成

日本のリサイクル産業の現状

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資源有効活用小委員会における主な論点と対応の方向性(案)

80

低品位原料の利用の促進

<現状認識>

・ 例えば、鉄鋼石、石炭については、中国、インド等の需要増加、良質原料の減少による調達原料の低品位化が今後より進展する見込み。

<課題>① 実用化済みの利用技術(鉄鋼石:ペレット製造技術、

石炭:SCOPE21、チタン:鉱石アップグレード技術等)の経済合理性を確保した導入

② 微粉鉱石等扱いづらい低品位原料利用のための技術開発(製造プロセス、運搬技術等)

鉄スクラップ等リサイクル原料の有効利用

<現状認識>① 国内発生の一部は中国、韓国等に輸出。② リサイクル原料中の不純物(トランプエレメント)が循

環の過程で濃縮され、再利用の制約に。③ 海外展開に伴う製品スクラップの還流不足

<課題>① 国内リサイクルシステムの構築(非鉄金属産業)② 不純物除去、解析技術の開発③ 輸出製品スクラップの回収促進

対応の方向性(案)

原料の調達については、各社の競争力に直結する要素であることから、業界横断的な取組には、限界があることに留意。

○ 実用化済みの利用技術の導入について、更なる支援の在り方を検討。○ 鉄鉱石については、資源国において品位を上げるための選鉱により、微粉化が進むことから、微粉

を取り扱う技術や運搬技術について、各社共同の勉強会を検討。○ 鉄スクラップを海外から還流させるにあたって、輸出国での政策が制約となる場合には、政府間交渉

の実施を検討。○ 非鉄産金属業における国内リサイクルシステムのあり方を、産学官で検討。

主な論点

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81

(参考)各業界の概要

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鉄鋼業界(高炉)

新日鐵住金、JFEスチール、神戸製鋼所、日新製鋼4社体制。国際的な供給過剰状況の下、特にアジアの鉄鋼メーカーとの競争が激化。主要な競争相手は、

ポスコ(韓国)、宝鋼(中国)、アルセロル・ミタル(ルクセンブルク)、ティッセンクルップ(ドイツ)。ムーディーズ格付け推移(Long-Term Rating)注)神戸製鋼・日新製鋼の格付けは行われていない。

高炉各社の売上高・営業利益率

82

※日本企業は全て年度、宝山鋼鉄、ポスコ、アルセロール・ミタル、タタスチールは年、ティッセンクルップは10/1~9/30決算に依る

※ブルームバーグより引用、日本企業は2014年度は見込み、1㌦=105.9円換算※新日鐵住金の2014年度営業利益見込みは未公表、ティッセンクルップは売上高、営業利益

率共に未公表※次スライドも同様 (出所)各社IR資料、ブルームバーグ

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電炉の生産能力と生産量(千トン) 棒鋼と鉄スクラップの価格推移(円)注)緑線は棒鋼価格、スクラップ価格の価格差

(出所)経済産業省「生産動態統計」※生産能力は、基数・容量に、一定の係数等を乗じて算出されたもの

(出所)日本経済新聞

77.2

51.3

59.7

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

生産能力(千トン)

生産実績(千トン)

設備稼働率(%)112,000 

51,000 

61,000 68,000 

12,000 

23,500 

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

2002

年1月 7月

2003

年1月 7月

2004

年1月 7月

2005

年1月 7月

2006

年1月 7月

2007

年1月 7月

2008

年1月 7月

2009

年1月 7月

2010

年1月 7月

2011

年1月 7月

2012

年1月 7月

2013

年1月 7月

2014

年1月 7月

2015

年1月

差額

棒鋼価格(円)

スクラップ価格

鉄鋼業界(普通鋼電炉)

83

粗鋼生産に占める普通鋼電炉メーカーの割合は約2割。普通鋼電炉製品は殆どが建設資材用であり、約5割が鉄筋用の小型棒鋼(年産約850万トン)。建設需要が中長期的に減少傾向にある中、生産能力が過剰との見方も。

建設需要の減少、電気料金の値上げ、生産コストの4~6割を占める原料(鉄スクラップ)価格の上昇等の影響により、昨年2,3月に東京、埼玉、北海道の3社が事業撤退(現在は全32社)。

2014年度は、原料価格の下落、製品価格の相対的安定により、上場メーカーの多くは増収増益。

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<業界動向>

○ アルミの新地金製錬は、1970年代のオイルショックによる電力価格高騰により、国内から撤退。原料となるアルミ新地金は全量輸入。

○ 日本のアルミ企業は圧延及び加工が主体(地金価格の変動リスクを川下に転嫁する、ロールマージン(賃加工)方式)。川上を持つ欧米の垂直統合型よりも利益率が低くならざるを得ない。

○ アルミ市場での競争力強化等を目的とし、アルミ圧延で国内 大手の古河スカイと、2位の住友軽金属工業が経営統合することで合意。平成25年4月26日に合併契約を締結し、平成25年10月1日に㈱UACJが設立(産活法を通じた登録免許税の軽減措置を実施)。

世界のアルミ板材生産能力(トン/年)

アルミニウム圧延業界

84

出典:アルミニウム協会調べ

アルミニウム産業構造のイメージ

鉱山開発

二次加工

圧延加工

地金製錬

地金輸入

地金支給

二次加工

圧延加工

ロールマージン

国内需要回復の兆し

国内のアルミ需要量の推移

出典:アルミニウム協会調べ

(万トン)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

その他 鍛造品 ダイカスト 鋳造品 圧延品

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<業界動向>○ 国内の電線製造事業者は約300社(電線工業会調べ)。主要な大企業5社は、住友電工㈱、古河電工㈱、㈱フジクラ、日立金属㈱、昭和電線HD㈱。これらに続き、三菱電線工業㈱、矢崎総業などがある。(注:日立金属は、2013年7月に日立電線を吸収合併)

○ 銅電線の国内出荷量は頭打ち。1990年度のピーク(120万トン)から減少傾向。

○ 海外の大手競争企業として、イタリアのPrysmian Cable(プリズミアンケーブル)、フランスのNexans(ネクサンズ)、アメリカのGeneral Cable(ゼネラルケーブル)が挙げられ、近年では韓国のLS Cableも大きく売り上げを伸ばしている。

日本の銅電線出荷量推移(銅量ベース)(1949年度~2013年度)世界の電線メーカーの絶縁ケーブル売上順位(2012年)

電線・ケーブル業界

85

1位 Prysmian Group(イタリア) 10,230

2位 Nexans(フランス) 8,625

3位 General Cable(アメリカ) 5,520

4位 LS Cable(韓国) 5,205

5位 Sumitomo Electric(日本) 5,095

6位 Furukawa Electric(日本) 4,358

7位 Southwire(アメリカ) 2,990

8位 Hitachi Cable(日本) 2,952

9位 Fujikawa(日本) 2,806

10位 Leoni(ドイツ) 2,061出典:電線工業会調べ 出典:Integer Reserch report

単位:百万ドル

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光ファイバー業界

86

Prysmian(伊)15%

Furukawa(日)14%

Sumitomo(日)7%

Corning(米)7%

YOFC(中)6%

Futong(中)4%

Hengtong(中)4%

Fujikura(日)4%

ZTT(中)4%

FiberHome(中)

3%

others32%

光ファイバーケーブルメーカーの世界の販売数量シェア(2012)光ファイバケーブルの出荷長推移

<業界動向>

○銅電線とともに光ファイバーケーブルは電線メーカーの主要製品の1つ。国内市場はほぼ飽和状態にあるものの、新興国を中心とした海外市場でのニーズが急増しており、出荷量は右肩上がりで増加している。

○世界市場における光ファイバ-のシェアは、我が国メーカー3社(古河電工、住友電工、フジクラ)で全体の1/4程度。○国内企業は成長著しい中国市場の獲得によりシェアを確保してきたが、中国による対日光ファイバーケーブルのAD課税等の影響で現地生産化が進み、徐々に伸びが鈍化。

(出展)Integer-research.com, “Global wire and cable suply database (2013)”

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伸銅業界

<業界動向>

○銅地金を材料とする加工業であり、板条・銅管・黄銅棒等を製造。主な用途は半導体リードフレーム(板条)、エアコンの熱交換器(銅管)、配管部品(黄銅棒)等。日本は、中国、米国、ドイツに次ぐ世界第4位の伸銅品生産国。

○日本メーカーは、伸銅品の約8割分(生産量ベース)の鉱山権益を確保している。

○日本の伸銅品は近隣諸国等に比べ品質の優位さが確立されているが、汎用材については必ずしも素材の品質格差が求められないケースも見受けられ、中国・韓国の追い上げが著しい。

○リチウムイオン電池や電子回路基盤に用いられる電解銅箔については、伸銅品に比べて日本メーカーの競争力は高い。

○生産量については回復傾向にあるものの(25年度総生産量:約80万t)、リーマンショック以前の生産量(約100万t)にまで回復は出来ていない。消費増税後の生産(速報)については、先月に比べて増加(7万880t、先月比+1.3%)しており、増税による影響は見受けられなかった。

電解銅箔の世界シェア(2012年)

87

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

国内伸銅製品の生産・輸入推移

生産量

輸入量

単位:千トン

企業名売上高

(百万円)シェア

日本

三井金属工業 52150 14.2%

JX日鉱日石金属 23400 6.4%

古河電気工業 22950 6.2%

その他 27480 7.5%

小計 125980 34.3%

中国

長春 41040 11.2%

Nanya 38140 10.4%

その他 116470 31.7%

小計 195650 53.2%

韓国

ILJIN Copper Foil 25280 6.9%

その他 10090 2.7%

小計 35370 9.6%

米国その他 6000 1.6%

小計 6000 1.6%

欧州その他 4450 1.2%

小計 4450 1.2%合計 367450 100.0%

(出典)平成25年度研究開発課委託調査

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シリコンウエハ業界

<業界動向>○現在、日本企業である「信越半導体(株)」、「(株)SUMCO」の2社で世界シェア約6割を占める。○国内シリコンウエハ業界は、生産効率性の観点から2000年前後に業界再編が進展。国内は3社(上記2社+コバレントマテリアル)体制になったが、コバレントマテリアルはシリコン事業の採算悪化を理由に、2012年3月、台湾企業であるSAS(Sino‐American Silicon Products)に事業譲渡。※海外の主要企業は、シルトロニックAG(ドイツ)、LGシルトロン(韓国)、サンエジソン(米国)、シノアメリカン(台湾)。

○経済状況やIT関連産業の好不況に影響を受けやすく、受注・在庫の波が大きい。リーマンショックで売上が急激に悪化し、その後横ばいで推移。

○主要なユーザ(川下)企業であるインテル(米)、サムソン(韓)、TSMC(台)などの海外デバイスメーカーの力が強く、価格交渉においてもユーザ企業が主導権を握っている状況。また、電子機器の低価格指向により、重量あたり又はウエーハ面積あたりの価格も低下傾向にある。(2007年には1.40ドル/平方インチであったが、2014年は0.76ドル/平方インチ)

88

主要5社のシリコンウエハ売上高の推移(連結)

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マグネシウム圧延業界

<業界動向>

○我が国では、原料となるドロマイト鉱石は豊富に算出されるものの、マグネシウム製錬コストの競争力が中国に比べ劣ることから、1994年に宇部興産㈱が国内での製錬を中止し、中国からの開発輸入に転換して以来、国内でのマグネシウム製錬は姿を消し、国内におけるマグネシウム地金の生産はゼロとなった。現在、我が国はマグネシウム地金の9割を中国からの輸入に依存している。

○2015年の日本のマグネシウム総需要量(構造材、アルミ添加材、鉄鋼・チタン精錬向け)は、展伸材の成長等により、2014年の需要実績より若干増となる41,000トン程度で推移すると見通している。

89

日本のマグネシウム地金の需要推移

世界のマグネシウム地金の需要推移

国名 企業名

圧延

英国 Magnesium Elektron Limited

米国 Magnesium Elektron North America Inc.

ドイツSalzgitter Magnesium-Technologie GmbH

Magnesium Flachprodukte GmbH

韓国 POSCO

オーストラリア CSIRO

中国山西銀光華盛鎂業股份有限公司

银河镁铝合金有限公司

日本 住友電気工業、権田金属工業、日本金属

押出

カナダ Timminco Limited

英国 Magnesium Elektron Limited

ドイツ Otto Fuchs

日本 不二ライトメタル、三協マテリアル

世界の主要なマグネシウム展伸材メーカー(単位:トン)

(出典:一般社団法人日本マグネシウム協会)

分野\年 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015(予測)

構造材 11,895 9,268 6,283 8,287 7,158 8,218 7,960 7,070 7,170

添加材 32,395 31,059 24,465 28,757 29,239 28,552 26,950 31,445 31,600

防食その他 2,286 1,795 1,241 897 1,340 606 620 1,200 1,300

輸出 859 891 567 1,956 2,583 642 330 575 600

合計 47,435 43,013 32,556 39,897 40,320 38,018 35,860 40,290 40,670

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<電気めっき業>

⃝ 電気めっきとは、電解質溶液(めっき液)に浸漬した金属や非金属の表面に、金属の薄膜を析出させる技術。主な用途は、自動車部品や電子部品。

⃝ 市場規模:450,933百万円(平成25年度出荷額ベース)、事業所数:1,474所(26,024人)

<溶融亜鉛めっき業>

⃝ 溶融亜鉛めっきとは、亜鉛を溶かしためっき槽に、鉄鋼材を浸漬させ亜鉛層を形成する技術。防食性に優れ、建材や橋梁などに使用。

⃝ 出荷額:101,120百万円(平成24年度出荷額ベース)、事業所数: 171所(5,678人)

H25

375

735

236128

90

電気めっき・溶融亜鉛めっき業界

溶融亜鉛めっき工程 橋梁 駅舎

全国鍍金工業組合連合会組合数推移

ニッケルめっき(ワイパー)

工業用(硬質)クロムめっき(金型)

2719 社

1474 社

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

10年度11年度12年度13年度14年度15年度16年度17年度18年度19年度20年度21年度22年度23年度24年度25年度

電気めっき業出荷額の推移(単位:億円)

0

400

800

1,200

1,600

平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度

溶融亜鉛めっき生産量(単位:千トン)構造物計 鋼管計

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レアアース業界

<業界動向>○レアアースは、ハイテク製品(自動車、IT製品等)の製造に不可欠な素材であり、我が国の産業競争力の要。加えて、これらの資源をベースとした

部素材産業は高い技術力と高品質を背景に世界シェアの大半を占めるなど、高い国際競争力を有している。例えば、我が国自動車メーカーは、性能や安定性の観点から日本製の磁石(日立金属、信越化学、TDKの3社)を駆動用モーター用磁石として利用している。

○埋蔵量としては世界各地に存在するものの、これらの供給(生産量)は中国(一部鉱種につき、90%以上依存)に集中している。○平成22、23年度補正予算において、レアアースユーザー企業の代替材料・使用量削減技術開発、リサイクル等への支援を実施。○レアアースの研究開発が官民で進んだこと、技術トレンドの変化、景気の減速などにより、レアアース需要はピーク時の1/2となり、価格も2010年以前の水準に落ち着いている状況。

91

中国87%

米国6%

インド3%

豪州2% その他

2%

世界の生産量(2014y)

(出典)Mineral Commodity Summaries2015

中国60%フランス

15%

ベトナム12%

エストニア4%

アメリカ0%

その他9%

日本のレアアース輸入先(2014y)

(出典)財務省貿易統計(2014年)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

重希土

軽希土

(千t) 日本のレアアース需要

(出典)新金属協会

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チタン業界

<業界動向>○チタン業界は、スポンジチタン・インゴットの上流部分と、圧延・鍛造等の下流部分に分けることができる。

○日本でスポンジチタンを生産しているのは㈱大阪チタニウムテクノロジーズ、東邦チタニウム㈱の2社のみで、半分は輸出している。両社は、航空機用の厳しい認定を受けており品質は国際競争力が高いものの、海外販売先(主として米国)でスポンジチタン内製化等によりコスト競争力が低下し、厳しい事業環境にある。

○神戸製鋼所、新日本製鐵、住友金属工業は、1970~80年代に鉄鋼用圧延機を世界に先駆けて活用してチタン産業に参入し、鉄鋼製造で培った技術力を武器に、一般工業用途における世界の純チタン展伸材市場拡大を牽引してきた。

○日本で生産されたチタン展伸材の約70%が海外向けに輸出されている。しかし、その純チタン一般工業用途分野には、海外のチタン専業企業に加え、POSCOをはじめとする鉄鋼設備を活用してチタンを製造するアジア企業が多数参入してきており、熾烈な品質・コスト競争を繰り広げている。

○防需含む航空機用合金チタンは、日本国内の航空機産業が未成熟である一方で、海外の大手チタン企業であるPCC(米)、ATI(米)、RTI(米)、VSMPO(露)等は型鍛造や熱押し設備を有しており競争力が高い。

○世界のチタン展伸材・スポンジチタンの需要は、航空機需要に牽引され堅調に拡大の見込み。

出典:東邦チタニウム2013年度決算説明資料

世界の展伸材用スポンジチタン需要予測 (トン)

92

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ファインセラミックス業界

1

<産業の動向>

○平成19年度(2.4兆円)にピークを迎えたが、リーマンショックの影響により平成20年度(2.1兆円)、平成21年度(1.6兆円)と連続で大幅な減少となった。その後平成22年度(1.9兆円)からは回復傾向となっており、平成26年度はリーマンショック前と同程度まで回復するものと見込まれている。(自動車関連(スパークプラグ、酸素センサ、ハニカム触媒担体等)、電気電子関連(セラミックコンデンサ、セラミックパッケージ等)、人工水晶等)

○業界大手は、TDK㈱、TOTO㈱、㈱村田製作所、京セラ㈱、日本特殊陶業㈱、日本ガイシ㈱、㈱INAX、イビデン㈱、㈱デンソー、コバレントマテリアル㈱、住友電気工業㈱等。これら企業の生産額は、国内のファイセラミックス部材生産額の約70%を占める。

出典:平成25年産業動向調査(社団法人日本ファインセラミックス協会)

2902

5100

6950 8070

8577 8879 9989

10799 11076 11978 12420

11609 12159

13359

15530 15185 16410

15566

17697

19240

16231 16069

17761

19993 20425

22334

23963

21268

15785

19585 18634

17895

20793

22218

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

ファインセラミックス部材の生産総額推移

生産額(億円)

電磁気・光学用部

材 53.8%

化学・生体生物・

生活文化部材 9.0%

機械的部材 19.6%

熱的部材・原

子力関連部材 17.6%

汎用部材・その他 0.00005%

ファインセラミックス部材の生産比率

(平成25年)