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科目「商品開発」 ケーススタディ事例集 平成 28 年3月 山口県立西京高等学校 出水 一弘 事例1 山口県を感じさせる菓子 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

科目「商品開発」 ケーススタディ事例集 · 科目「商品開発」において、商品開発における基本的な知識・技術を習得させた後、商品を企画するケースス

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科目「商品開発」 ケーススタディ事例集

平成 28年3月

山口県立西京高等学校 出水 一弘

事例1 山口県を感じさせる菓子

事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

Page 2: 科目「商品開発」 ケーススタディ事例集 · 科目「商品開発」において、商品開発における基本的な知識・技術を習得させた後、商品を企画するケースス

目次

科目「商品開発」におけるケーススタディについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

事例1 山口県を感じさせる菓子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

事例2 無農薬で栽培された花を使った商品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

事例3 レノファ山口FCの応援グッズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

ケース教材

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- 1 -

科目「商品開発」におけるケーススタディについて

1 はじめに

はじめに、科目「商品開発」でケーススタディの実践を提案することになった経緯について説明する。

商業高校の多くは、科目「課題研究」において、様々な商品の開発に取り組んできた。本校においても、平

成 24 年度から「山口市食と地域のブランド形成事業補助金」の制度を利用して、オリジナル商品の開発を行

っている。

科目「課題研究」における商品開発の指導を通して感じたことは、活動の目標が、生徒たちにとって商品の

完成になってしまいがちということであった。また、企業に頼ることが多かったため、消費者のニーズを分析

したり、開発した商品を改良したりする活動を行わせる時間が少なくなってしまい、生徒の顧客満足を実現す

る意識や、課題を解決しながら現実的な商品を企画していく力を高められていないことに課題を感じていた。

この課題を解決する方法として考えたのが、商業科の新設科目「商品開発」におけるケーススタディである。

科目「商品開発」において、商品開発における基本的な知識・技術を習得させた後、商品を企画するケースス

タディを実践することで、科目「課題研究」における商品開発の活動を、より現実的なものにすることができ

るのではないかと考え、実践した。

ケーススタディは、山口県内の企業と連携・協働して作成したケース教材を用いて行った。ケース教材は、

実際の企業が抱える課題を盛り込み、企業の商品開発担当者に何度も監修していただきながら作成しており、

生徒がより実践的な商品開発の現場を意識できるものに仕上がった。

最後に、今回提案するケーススタディは、多くの商業高校で実際に活用してもらうことを前提に作成してい

るが、学校の実情に合わせて、活動内容やケース教材を修正して活用していただいて差し支えない。

2 ケーススタディの目的

今回提案するケーススタディにおける生徒の目標は、顧客満足の実現を意識した現実的な商品の企画である。

このケーススタディを繰り返し行うことで、生徒の顧客満足を実現する意識と、現実的な商品を企画する問題

解決力を高めることをケーススタディの目的とする。

3 ケーススタディで使用する教材

ケーススタディは、企業と連携・協働して作成したケース教材を用いて行う。ケース教材で中心的役割を担

うのは、「開発する商品のテーマ」と「資料」である。

「開発する商品のテーマ」は、生徒に活動内容をイメージさせるとともに、活動意欲を高めるために用いる。

また、企業の状況や社員の考え、企業が抱える課題などを示した「資料」は、生徒に企業の社員としての使命

感をもたせながら、主体的に活動に取り組ませるために用いる。この他にも、消費者のニーズや企業が抱える

課題を整理し、チームで意見を共有したり、組み合わせたりしながら商品のコンセプトや優位性を考えるため

に用いる「ワークシート」、消費者の動向やニーズを探る実態調査の代わりに用いる「動画・写真」でケース

教材を構成した。

4 ケーススタディの流れ

ケーススタディは、現実的な商品の企画を行わせるために、企業と連携・協働して作成したケース教材を用

いて、「分析する活動」2時間、「創造する活動」1時間、「決定する活動」1時間の計4時間の流れで行う

(表1)。なお、各チームの商品企画の内容を共有したり、自チームの商品企画を検証・改善したりするため

に、「創造する活動」と「決定する活動」に1回ずつ商品発表会を設定している。

「分析する活動」では、ケース教材の「開発する商品のテーマ」と「資料」を基に、個人で消費者のニーズ

や企業が抱える課題を探り、チームで意見交換する活動を行う。この活動で重要となるのは、チームの話合い

において多様な意見に触れさせることである。そうすることで、生徒の思考を広げ、チームの話合いを活性化

させる。

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- 2 -

「創造する活動」では、分析する活動で得られた情報を基に、ケース教材の「ワークシート」を用いて、商

品のアイディアやコンセプトをチームメイトで共有しながら、商品の企画について考える活動を行う。その後、

第1回商品発表会において、自チームの商品を他チームに紹介したり、他チームの商品についての情報を収集

したりする。第1回商品発表会後、チームメイトで意見交換しながら、自チームの商品の改善点について考え

させることで、生徒の顧客満足を実現する意識を高める。

「決定する活動」では、第1回商品発表会で得られた情報を基に、自チームの商品とコンセプトを再検討し、

商品企画書を作成する活動を行う。その後、第2回商品発表会において、自チームの商品のプレゼンテーショ

ンを行う。商品企画書の作成において、消費者が商品を使用する姿を具体的にイメージさせながら、商品のコ

ンセプトについて考えさせることで、生徒の現実的な商品を企画する力を高める。

表1 ケーススタディの流れ

段階 区分 主な活動 使用する主なケース教材

一 分析する活動 (2時間)

・課題と解決方法の発見 ・消費者のニーズや動向の分析

・開発する商品のテーマ ・資料 ・動画や写真

二 創造する活動 (1時間)

・商品コンセプトの考案 ・第 1回商品発表会

・ワークシート

三 決定する活動 (1時間)

・商品企画書の作成 ・第 2回商品発表会

・ワークシート

5 ケーススタディを行う上での留意点

(1) 少人数のチームによる活動

ケーススタディは、4~5人の少人数のチームで活動に取り組ませると効果的である。チームは、多様な

意見が出やすいように、生徒が在籍するクラスや部活動等の情報を参考にしながら男女混合で編成し、全て

の活動において全員が参加できるように、生徒一人ひとりに役割をもたせるとよい。

(2) 活動しやすい教室環境の整備

ケーススタディは、ホワイトボードやイーゼルといった道具を使用するとよい。チームの話合いにおいて、

A2版程度のホワイトボードを用いることで、多様な意見を整理しやすくなる。また、イーゼルなどを利用

してホワイトボードを立て、チームの意見を俯瞰させることで、今まで気付かなかった新たな考え方に気付

きやすくなる(図1)。

(3) 肯定的に受け止めるというルールの設定

チームの話合いにおいて、否定的な発言が繰り返されると、活動が活性化しなくなる傾向が強まることか

ら、相手の意見は肯定的に受け止めるというルールを設定するとよい。

(4) 教師からの指示や説明は短く

生徒の活動時間を確保するために、教師の指示や説明は短くする。ICT等を活用して行うと効果的であ

る。

図1 チームの活動の環境(例)

椅子 椅子

椅子 椅子

ボー

ワーク

シート

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ケース教材事例集 事例1 山口県を感じさせる菓子

3

事例1 山口県を感じさせる菓子

1 単元名 山口県を感じさせる菓子の企画

2 単元の目標

生徒に企業の社員としての意識をもたせ、チームで消費者のニーズを発見させたり、他チームや既存の商品

の優位性や改善点について考えさせたりすることで、顧客満足を実現する意識と現実的な商品を企画する力を

高める。

3 単元の評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解

・商品を企画する活動に関心をもち、自分の考えを意欲的に伝えたり、他人の意見を受け入れようとしたりする態度を身に付けている。

・企業が抱える課題について思考を深め、チームによる意見交換を基に、課題の解決方法について適切に判断し、導き出した考えを表現している。

・自チームの商品をより良いものにするための情報を収集し、得られた情報のもつ意味を読み取り、整理している。

・商品を企画するための基礎的・基本的な知識を身に付け、顧客満足を実現するために必要となる要素について理解している。

4 単元の概要

ここでは、和菓子・洋菓子の製造・販売を手掛ける、株式会社あさひ製菓と連携・協働して作成したケース

教材を用いて、顧客満足の実現を意識した、現実的な商品を企画するケーススタディを行う。

ケース教材である「開発する商品のテーマ」は、「山口県を感じさせる菓子」である。果物の販売から会社

をスタートさせた先代社長は、商品の原材料はできる限り山口県産のものを使用すること、自分たちが美味し

いと思う商品だけを販売すること、商品の企画は若手にさせることといった、こだわりを大切にして事業を拡

大してきた。その先代社長から出された新商品に関する課題を解決するために、ケース教材である「資料」

「ワークシート」「写真」を用いて、消費者に山口県を感じさせる菓子を企画する活動を行う。

5 単元の指導計画(全4時間)

次 時 区分 主な学習活動 使用するケース教材

1 分析する 活動

課題の把握と消費者のニーズの分析 開発する商品のテーマ、 資料、写真 ワークシートⅠ 2 原材料の分析と開発する商品の企画

二 3 創造する 活動

開発する商品の企画と第1回商品発表会の実施 ワークシートⅡ(商品企画書)

三 4 決定する 活動

商品企画書の作成と第2回商品発表会の実施 ワークシートⅡ(商品企画書)

6 ケース教材に関する補足説明

ケース教材の「ワークシート」は、ワークシートⅠとワークシートⅡ(商品企画書)の2種類である。ワー

クシートⅠは、消費者のニーズや、原材料の特徴、山口県のイメージについてチームで意見交換するために

使用する。ワークシートⅡは商品企画書であり、商品のコンセプトや特徴について具体的に記述し、第2回

商品発表会のプレゼンテーションで使用する。

ケース教材の「写真」は、あさひ製菓や他の企業が製造した菓子の画像や情報を示した商品の一覧表である。

商品一覧表はデジタルカメラで撮影した菓子の画像を、パソコンで編集して作成する。なお、実物を用意で

きるのであれば、実物の菓子を生徒に提示してもよい。

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ケース教材事例集 事例1 山口県を感じさせる菓子

4

7 学習指導案

第一次第1時(分析する活動)

【主眼】活動における課題とその解決方法を考え、既存の商品から消費者のニーズを発見することができる。

【準備】ケース教材「開発する商品のテーマ」「資料」「ワークシートⅠ」、付箋、ホワイトボード(チーム数分)

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・ケース教材の「開発する商品のテーマ」から、企画する商

品を確認する。

・ケーススタディの流れと活動内容について確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

・ケース教材の「開発する商品のテーマ」の発表後、生徒か

ら頻繁に質問が出てくる場合は、活動内容やあさひ製菓株

式会社に関する情報を補足する。

2.課題と解決方法の発見(20分)

・ケース教材の「資料」を読み、活動における課題と、その

解決方法について考える。

・ホワイトボードの左側に課題を、右側にその解決方法を記

述し、チームで考えを共有する。

・ケース教材の「資料」の社員の考えを中心に、課題と解決

方法について考えるよう促す。

・活動を活性化させるために、チームメイトの意見は否定し

ないことを確認する。

・メンバー全員が意見を発表し終えた頃に、「チームメイト

の意見を聞いて、新たに気付いた課題や解決方法はない

か」といった、生徒の思考を深める発問を行う。

3.消費者のニーズの分析(20分)

・ケース教材の「写真」に示した商品の一覧から、消費者が

菓子に何を求めているのかについて考え、付箋に意見を記

述し、ワークシートⅠに貼り付ける。

・意見の重複を気にせず、気付いた意見は全て付箋に記述す

るよう指示する。

・意見は文字だけでなく、イメージ図で付箋に記述してよい

ことを伝える。

4.活動の振り返り(5分)

・本時の活動について、チームで感想を述べる。

・次回の活動に対する目標を設定する。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 活動における課題とその解決方法を考え、既存の商品から消費者のニーズを発見することができたか。(言動観察、ホ

ワイトボード、ワークシートⅠ)

第一次第2時(分析する活動)

【主眼】原材料についての情報を収集し、消費者のニーズと組み合わせながら、企画する商品について考えることができる。

【準備】ケース教材「ワークシートⅠ」、付箋

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・本時の活動内容について確認する。

・ワークシートⅠを基に、前時の活動をチームで確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

2.原材料の分析(20分)

・山口県産の果物とその保存方法について、インターネット

や書籍を利用して情報を収集し、付箋に記述する。

・ワークシートⅠに情報を記述した付箋を貼り付け、収集し

た情報をチームで共有する。

・果物の種類だけでなく、生産量や生産される時期について

も調べることを確認する。

・原材料を保存することによって、味や香りは変化するの

か、また保存のしやすさ等について、具体的に調べるよう

指示する。

・活動場所で、インターネットに接続することができない場

合は、生徒の活動状況を見ながら、教室を移動させる。

3.山口県のイメージの分析(10分)

・山口県のイメージを付箋に意見を記述し、ワークシートⅠ

に貼り付け、チームで意見を共有する。

・意見の重複を気にせず、気付いた意見は全て付箋に記述す

るよう指示する。

・意見は文字だけでなく、イメージ図で付箋に記述してよい

ことを伝える。

4.商品の企画(10分)

・原材料の分析結果から、商品の原材料に使用する果物を決

定し、ワークシートⅠに記述する。

・意見の重複を気にせず、気付いた意見は全て付箋に記述す

るよう指示する。

※ホワイトボードの活用例

発見した課題

の記述

課題に対する

解決方法の記述

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ケース教材事例集 事例1 山口県を感じさせる菓子

5

・ワークシートⅠに貼られている、消費者のニーズが記述さ

れた付箋と、山口県のイメージが記述された付箋を組み合

わせながら、企画する商品を考える。

・企画した商品と、原材料に使用する果物を組み合わせ、商

品のコンセプトについて意見交換する。

・意見は文字だけでなく、イメージ図で付箋に記述してよい

ことを伝える。

・ワークシートⅠに、線や言葉などを書き込んだり、貼り付

けた付箋等を動かしたりして、チームで意見を整理してい

くよう指示する。

5.活動の振り返り(5分)

・本時の活動について、チームで感想を述べる。

・次回の活動に対する目標を設定する。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 原材料についての情報を収集し、消費者のニーズと組み合わせながら、企画する商品について考えることができたか。

(言動観察、ワークシートⅠ)

第二次第3時(創造する活動)

【主眼】商品を企画し、第1回商品発表会で紹介することができる。

【準備】ケース教材「ワークシートⅠ」「ワークシートⅡ(商品企画書)」

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・本時の活動内容について確認する。

・ワークシートⅠを基に、前時の活動をチームで確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

2.商品企画書の作成(20分)

・第1回商品発表会で紹介する自チームの商品とそのコンセ

プトを決定し、ワークシートⅡ(商品企画書)を作成す

る。

・ワークシートⅡ(商品企画書)は、鉛筆で下書きした後、

ペンで清書する。

・消費者が商品を使用する姿をイメージしながら、商品コン

セプトを具体的に設定するよう指示する。

・第1回商品発表会は、ワークシートⅡ(商品企画書)を用

いて、自チームの商品について紹介することを確認する。

・ワークシートⅡ(商品企画書)は、清書されていることが

望ましいが、時間が足りなかった場合は、下書きの状態で

もよいことを伝える。

3.第1回商品発表会の実施(20分)

・自チームの商品を紹介する係と、他チームの商品を取材す

る係を決める。

・第1回商品発表会において、企画商品に関する情報の発信

と収集を行う。

・質問されたことや、収集した情報は、付箋に記述する。

・第1回商品発表会は、ポスターセッションのような形式で

行うことを確認する。

・商品を紹介する係は、ワークシートⅡ(商品企画書)を基

に、企画商品とそのコンセプトについて分かりやすく説明

するよう指示する。

・取材する係は、興味のある他チームのブースに向かい、情

報収集するように伝える。また、説明を聞いた後、知りた

い情報について質問してもよいことを確認する。

・制限時間内であれば、何回取材に行っても構わないことを

確認する。

4.企画商品の再検討(5分)

・第1回商品発表会で得られた情報を記述した付箋を基に、

チームで意見を共有する。

・自チームの商品とそのコンセプトについて再検討する。

・自チームにとって、重要と思われる情報から優先的に伝え

るように指示する。

・他チームの優れたアイディアは、自チームの商品に許可な

く採用してもよいことを伝える。

・自チームの商品の優位性やコンセプトに疑問を感じた場合

は、ゼロから企画を見直してもよいことを確認する。

・「今の方法以外で、消費者に山口県を感じさせることはで

きないのだろうか」といった、商品企画に関する新たな視

点をもたせる発問を行う。

5.活動の振り返り(5分)

・本時の活動について、チームで感想を述べる。

・次回の活動に対する目標を設定する。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 商品を企画し、第1回商品発表会で紹介することができたか。(言動観察、ワークシートⅡ)

第三次第4時(決定する活動)

【主眼】商品企画書を作成し、第2回商品発表会で自チームの商品のプレゼンテーションを行うことができる。

【準備】ケース教材「ワークシートⅡ(商品企画書)」、分析シート

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・本時の活動内容について確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

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ケース教材事例集 事例1 山口県を感じさせる菓子

6

・ワークシートⅡ(商品企画書)を基に、前時の活動をチー

ムで確認する。

2.商品企画書の完成(20分)

・第2回商品発表会で発表する自チームの商品とコンセプト

を決定し、ワークシートⅡ(商品企画書)を完成させる。

・ワークシートⅡ(商品企画書)は、A1版サイズのものを

各チームに配布し、メンバー全員で協力して作成させる。

・ワークシートⅡ(商品企画書)を用いて、第2回商品発表

会で自チームの商品のプレゼンテーションを行うことを確

認する。

・生徒に制限時間を意識させるために、ICTを活用して活

動の残り時間を示す。

3.第2回商品発表会の実施(20分)

・各チーム2分以内で、企画商品のプレゼンテーションを行

う。

・説明を聞いた後、他チームの発表された商品の優位性や改

善点について、分析シートに記述する。

・プレゼンテーションを聞いて、分かりにくいと感じたこと

は、質疑応答の時間に質問するよう指示する。

・「他チームの優位性や改善点を知ることで、自チームの商

品をより良いものにできないか」といった、商品を改良す

る意識を高める発問を行う。

4.活動の振り返り(5分)

・個で活動全般を振り返り、チームで感想を述べる。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 商品企画書を作成し、第2回商品発表会で自チームの商品のプレゼンテーションを行うことができたか。(言動観察、

ワークシートⅡ、分析シート)

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ケース教材事例集 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

7

事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

1 単元名 無農薬で栽培された花を使った商品の企画

2 単元の目標

生徒に企業の社員としての意識をもたせ、チームで消費者のニーズを発見させたり、他チームや既存の商

品の優位性や改善点について考えさせたりすることで、顧客満足を実現する意識と現実的な商品を企画する力

を高める。

3 単元の評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解

・商品を企画する活動に関心をもち、自分の考えを意欲的に伝えたり、他人の意見を受け入れようとしたりする態度を身に付けている。

・企業が抱える課題について思考を深め、チームによる意見交換を基に、課題の解決方法について適切に判断し、導き出した考えを表現している。

・自チームの商品をより良いものにするための情報を収集し、得られた情報のもつ意味を読み取り、整理している。

・商品を企画するための基礎的・基本的な知識を身に付け、顧客満足を実現するために必要となる要素について理解している。

4 単元の概要

ここでは、農作物の乾燥機の製造を手掛ける、株式会社木原製作所と連携・協働して作成したケース教材を

用いて、顧客満足の実現を意識した、現実的な商品を企画するケーススタディを行う。

ケース教材である「開発する商品のテーマ」は、「無農薬で栽培された花を使った商品」である。東日本大

震災の復興支援がきっかけとなり、社長の強い願いで始めた無農薬による花の栽培は、栽培自体が技術的に困

難なことや、製造原価が高くなってしまうこと、農薬を使用して栽培された花と見た目が変わらないため売り

にくいことなどといった、現状では解決することが難しい課題を抱えていた。そこで、ケース教材である「資

料」「ワークシート」「写真」を用いて、原材料が抱える課題を強みに変え、商品を企画する活動を行う。

5 単元の指導計画(全4時間)

次 時 区分 主な学習活動 使用するケース教材

1 分析する 活動

課題の把握と消費者のニーズの分析 開発する商品のテーマ、 資料、写真 ワークシートⅠ ワークシートⅡ 2 既存の商品の分析

二 3 創造する 活動

開発する商品の企画と第1回商品発表会の実施 ワークシートⅢ(商品企画書)

三 4 決定する 活動

商品企画書の作成と第2回商品発表会の実施 ワークシートⅢ(商品企画書)

6 ケース教材に関する補足説明

ケース教材の「ワークシート」は、ワークシートⅠ、ワークシートⅡ、ワークシートⅢ(商品企画書)の

3種類である。ワークシートⅠは、自チームの商品とそのコンセプトを考えるために使用する。ワークシート

Ⅱは、無農薬で栽培された花を使った、既存の商品のコンセプトや優位性を分析するために使用する。ワーク

シートⅢは商品企画書であり、商品のコンセプトや特徴について具体的に記述し、第2回商品発表会のプレゼ

ンテーションで使用する。

ケース教材の「写真」は、無農薬で栽培された花を使った既存の商品の画像や情報を示した商品の一覧表

である。商品一覧表はデジタルカメラで撮影した菓子の画像を、パソコンで編集して作成する。なお、実物を

用意できるのであれば、実物の商品を生徒に提示してもよい。

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ケース教材事例集 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

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7 学習指導案

第一次第1時(分析する活動)

【主眼】企業が抱える課題を発見し、解決方法を考えることができる。

【準備】ケース教材「開発する商品のテーマ」「資料」「ワークシートⅠ」、ホワイトボード、付箋

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・ケース教材の「開発する商品のテーマ」から、企画する商

品を確認する。

・ケーススタディの流れと活動内容について確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

・ケース教材の「開発する商品のテーマ」の発表後、生徒か

ら頻繁に質問が出てくる場合は、活動内容や無農薬で栽培

された花に関する情報を補足する。

2.課題と解決方法の発見(20分)

・ケース教材の「資料」を読み、企業が抱える課題と、その

解決方法について考える。

・ホワイトボードの左側に課題を、右側にその解決方法を記

述し、チームで考えを共有する。

・ケース教材の「資料」の社員の考えを中心に、課題と解決

方法について考えるよう促す。

・メンバー全員が意見を発表し終えた頃に、「チームメイト

の意見を聞き、新たに気付いた課題や解決方法はないか」

といった、生徒の思考を深める発問を行う。

3.商品の企画(20分)

・無農薬で栽培された花を使った商品についての意見を付箋

に記述し、ワークシートⅠに貼り付ける。

・自チームの商品のコンセプト(ターゲット、シーン、ベネ

フィット)や優位性について、意見交換する。

・「原材料が抱える課題は、考え方によっては強みにならな

いか」といった、企業が抱える課題を強みに変える発想を

もたせる発問を行う。

・意見の重複を気にせず、気付いた意見は全て付箋に記述す

るよう指示する。

・意見は文字だけでなく、イメージ図で付箋に記述してよい

ことを伝える。

・商品コンセプトは、誰でも、どこでも、といった漠然とし

たものではなく、具体的に記述することを確認する。

4.活動の振り返り(5分)

・本時の活動について、チームで感想を述べる。

・次回の活動に対する目標を設定する。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 企業が抱える課題を発見し、解決方法を考えることができたか。(言動観察、ホワイトボード)

第一次第2時(分析する活動)

【主眼】無農薬で栽培された花を使った既存の商品の、コンセプトや優位性を見付けることができる。

【準備】ケース教材「ワークシートⅠ」「ワークシートⅡ」「写真」、付箋

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・本時の活動内容について確認する。

・ワークシートⅠを基に、前時の活動をチームで確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

2.既存の商品の分析(20分)

・ケース教材の「写真」に示した、無農薬で栽培された花を

使った既存の商品から、優位性やコンセプトについて考

え、意見を付箋に記述し、ワークシートⅡに貼り付ける。

・意見の重複を気にせず、気付いた意見は全て付箋に記述す

るよう指示する。

※活動後のホワイトボード

※活動後のワークシートⅠ

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ケース教材事例集 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

9

・ワークシートⅡに貼り付けた付箋をグルーピングし、チー

ムで意見を共有する。

・ワークシートⅡに、線や言葉などを書き込んだり、貼り付

けた付箋等を動かしたりして、チームで意見を整理してい

くよう指示する。

3.商品の企画の再検討(20分)

・ワークシートⅠとⅡを基に、自チームの商品について再検

討する。

・新たに出てきた意見を付箋に記述し、ワークシートⅠに貼

り付ける。

・「既存の商品と君たちが企画した商品の差は、どこにある

のだろうか」といった、生徒の思考を深める発問を行う。

・ワークシートⅠに、線や言葉などを書き込んだり、貼り付

けた付箋等を動かしたりして、チームで意見を整理してい

くよう指示する。

・意見は文字だけでなく、イメージ図で付箋に記述してよい

ことを伝える。

4.活動の振り返り(5分)

・本時の活動について、チームで感想を述べる。

・次回の活動に対する目標を設定する。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 無農薬で栽培された花を使った既存の商品の、コンセプトや優位性を見付けることができたか。(言動観察、ワークシ

ートⅡ)

第二次第3時(創造する活動)

【主眼】商品を企画し、第1回商品発表会で紹介することができる。

【準備】ケース教材「ワークシートⅠ」「ワークシートⅢ(商品企画書)」

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・本時の活動内容について確認する。

・ワークシートⅠを基に、前時の活動をチームで確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

2.商品企画書の作成(20分)

・第1回商品発表会で紹介する自チームの商品とそのコンセ

プトを決定し、ワークシートⅢ(商品企画書)を作成す

る。

・消費者が商品を使用する姿をイメージしながら、商品のコ

ンセプトを具体的に設定するよう指示する。

・第1回商品発表会は、ワークシートⅢ(商品企画書)を用

いて、自チームの商品について紹介することを確認する。

・ワークシートⅢ(商品企画書)は、清書されていることが

望ましいが、時間が足りなかった場合は、下書きの状態で

もよいことを伝える。

3.第1回商品発表会の実施(20分)

・自チームの商品を紹介する係と、他チームの商品を取材す

る係を決める。

・第1回商品発表会において、企画商品に関する情報の発信

と収集を行う。

・第1回商品発表会は、ポスターセッションのような形式で

行うことを確認する。

・商品を紹介する係は、ワークシートⅢ(商品企画書)を基

に、企画商品とそのコンセプトについて分かりやすく説明

するよう指示する。

・取材する係は、興味のある他チームのブースに向かい、情

報収集するように伝える。また、説明を聞いた後、知りた

い情報について質問してもよいことを確認する。

・制限時間内であれば、何回取材に行っても構わないことを

確認する。

・質問されたことや、収集した情報は、付箋に記述しておく

ことを確認する。

4.企画商品の再検討(5分)

・第1回商品発表会で得られた情報をチームで共有する。

・自チームの商品とそのコンセプトについて再検討する。

・自チームにとって、重要と思われる情報から優先的に伝え

るように指示する。

・他チームの優れたアイディアは、自チームの商品に許可な

く採用してもよいことを伝える。

※ケース教材「写真」

ワークシートⅡ (  班 )

Bさんの考え Cさんの考え付箋に記述された意見を

グルーピングする。

グループのタイトル

Aさんの考え

※ケース教材「ワークシートⅡ」

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ケース教材事例集 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

10

・自チームの商品の優位性やコンセプトに疑問を感じた場合

は、ゼロから企画を見直してもよいことを確認する。

・「企画した商品は、それ以外の使い道はないのだろうか」

といった、商品企画に関する新たな視点をもたせる発問を

行う。

5.活動の振り返り(5分)

・本時の活動について、チームで感想を述べる。

・次回の活動に対する目標を設定する。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 商品を企画し、第1回商品発表会で紹介することができたか。(言動観察、ワークシートⅢ)

第三次第4時(決定する活動)

【主眼】商品企画書を作成し、第2回商品発表会で自チームの商品のプレゼンテーションを行うことができる。

【準備】ケース教材「ワークシートⅢ(商品企画書)」、分析シート

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・教師の説明を聞き、本時の活動内容について確認する。

・ワークシートⅢ(商品企画書)を基に、前時の活動をチー

ムで確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

2.商品企画書の完成(20分)

・第2回商品発表会で発表する自チームの商品とコンセプト

を決定し、ワークシートⅢ(商品企画書)を完成させる。

・ワークシートⅢ(商品企画書)は、A1版サイズのものを

各チームに配布し、メンバー全員で協力して作成させる。

・ワークシートⅢ(商品企画書)を用いて、第2回商品発表

会で自チームの商品のプレゼンテーションを行うことを確

認する。

・生徒に制限時間を意識させるために、ICTを活用して活

動の残り時間を示す。

3.第2回商品発表会の実施(20分)

・各チーム2分以内に、企画商品のプレゼンテーションを行

う。

・説明を聞いた後、発表された商品の優位性や改善点につい

て、分析シートに記述する。

・プレゼンテーションを聞いて、分かりにくいと感じたこと

は、質疑応答の時間に質問するよう指示する。

・「他チームの優位性や改善点を知ることで、自チームの商

品をより良いものにできないか」といった、商品を改良す

る意識を高める発問を行う。

4.活動の振り返り(5分)

・個で活動全般を振り返り、チームで感想を述べる。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 商品企画書を作成し、第2回商品発表会で自チームの商品のプレゼンテーションを行うことができたか。(言動観察、

ワークシートⅢ、分析シート)

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ケース教材事例集 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

11

事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

1 単元名 レノファ山口FCの応援グッズの企画

2 単元の目標

生徒に企業の社員としての意識をもたせ、チームで消費者のニーズを発見させたり、他チームや既存のプ

ロサッカークラブが企画した商品の優位性や改善点について考えさせたりすることで、顧客満足を実現する意

識と現実的な商品を企画する力を高める。

3 単元の評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解

・商品を企画する活動に関心をもち、自分の考えを意欲的に伝えたり、他人の意見を受け入れようとしたりする態度を身に付けている。

・企業が抱える課題について思考を深め、チームによる意見交換を基に、課題の解決方法について適切に判断し、導き出した考えを表現している。

・自チームの商品をより良いものにするための情報を収集し、得られた情報のもつ意味を読み取り、整理している。

・商品を企画するための基礎的・基本的な知識を身に付け、顧客満足を実現するために必要となる要素について理解している。

4 単元の概要

ここでは、山口県のプロサッカークラブであるレノファ山口FCと連携・協働して作成したケース教材を

用いて、顧客満足の実現を意識した、現実的な商品を企画するケーススタディを行う。

ケース教材である「開発する商品のテーマ」は、「レノファ山口FCの応援グッズ」である。J3で首位

を独走するレノファ山口FCは、成績面ではJ2昇格の条件を満たしているが、クラブの経営を黒字化しな

ければJ2ライセンスを取得できないという大きな問題を抱えていた。そこで、クラブの経営を黒字化させ

るためにケース教材である「資料」「ワークシート」「写真・動画」を用いて、レノファ山口FCのファン

を増やすための応援グッズを企画する活動を行う。

5 単元の指導計画(全4時間)

次 時 区分 主な学習活動 使用するケース教材

1 分析する 活動

消費者のニーズや動向の分析 開発する商品のテーマ、 資料、写真・動画 ワークシートⅠ 2 既存の商品の分析

二 3 創造する 活動

開発する商品の企画と第1回商品発表会の実施 ワークシートⅠ ワークシートⅡ(商品企画書)

三 4 決定する 活動

商品企画書の作成と第2回商品発表会の実施 ワークシートⅡ(商品企画書)

6 ケース教材に関する補足説明

ケース教材の「ワークシート」は、ワークシートⅠとワークシートⅡ(商品企画書)の2種類である。ワー

クシートⅠは、ファンのニーズ応援の特徴、既存の応援グッズのコンセプトや優位性についてチームで意見交

換するために使用する。ワークシートⅡは商品企画書であり、商品のコンセプトや特徴について具体的に記述

し、第2回商品発表会のプレゼンテーションで使用する。

ケース教材の「写真」は、既存の応援グッズの画像や情報を示した商品一覧表である。ケース教材の「動

画」は、プロサッカーの試合におけるファンの応援シーンである。ケース教材の「写真」「動画」は、デジタ

ルカメラやデジタルビデオカメラで撮影したデータを、パソコンで編集して作成する。なお、ケース教材の

「写真」は、実物を用意できるのであれば、実物の応援グッズを生徒に提示してもよい。

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ケース教材事例集 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

12

7 学習指導案

第一次第1時(分析する活動)

【主眼】ファンの応援シーンから、消費者のニーズや特徴的な情報を見付けることができる。

【準備】ケース教材「開発する商品のテーマ」「資料」「動画」「ワークシートⅠ」、付箋

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・ケース教材の「開発する商品のテーマ」から、企画する商

品を確認する。

・ケーススタディの流れと活動内容について確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

・ケース教材の「開発する商品のテーマ」の発表後、生徒か

ら頻繁に質問が出てくる場合は、活動内容やレノファ山口

FCに関する情報を補足する。

2.課題と解決方法の発見(10分)

・ケース教材の「資料」を読み、企業が抱える課題を発見

し、その解決方法について考える。

・指名された生徒は、自分の考えを発表する。

・生徒の反応から、財務諸表分析についての説明が必要と感

じられる場合は、適宜説明する。

3.ファンのニーズと特徴的な情報の分析(20分)

・ケース教材の「動画」から、ファンのニーズや特徴的な情

報を見付け、意見を付箋に記述する。

・ワークシートⅠに、意見を記述した付箋を貼り付ける。

・意見の重複を気にせず、気付いた意見は全て付箋に記述す

るよう指示する。

・ケース教材の「動画」の再生や停止を適宜行いながら、重

要と思われる情報を、できる限り正確に収集するよう指示

する。

・意見は文字だけでなく、イメージ図で付箋に記述してよい

ことを伝える。

・例では、タブレット型情報端末を用いているが、学校の実

情に応じて、使いやすいものを選択する。

4.意見の共有(10分)

・ワークシートⅠに貼られた付箋をグルーピングする。

・ワークシートⅠを基に、チームで意見を共有する。

・ワークシートⅠに、線や言葉などを書き込んだり、貼り付

けた付箋を動かしたりして、チームの意見を分かりやすく

整理させる。

5.活動の振り返り(5分)

・本時の活動について、チームで感想を述べる。

・次回の活動に対する目標を設定する。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 ファンの応援シーンから、消費者のニーズや特徴的な情報を見付けることができたか。(言動観察、ワークシートⅠ)

第一次第2時(分析する活動)

【主眼】プロサッカークラブの既存の応援グッズから、商品のコンセプトや優位性を見付けることができる。

【準備】ケース教材「ワークシートⅠ」「写真」、付箋

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・本時の活動内容について確認する。

・ワークシートⅠを基に、前時の活動をチームで確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

2.既存の応援グッズの分析(20分)

・ケース教材の「写真」に示した、他のプロサッカークラブ

の既存の応援グッズの一覧から、レノファ山口FCに取り

入れたい応援グッズを選び、切り取ってワークシートⅠに

貼り付ける。

・ワークシートⅠに貼り付けた応援グッズの側に、選択した

理由を記述する。

・自分が、レノファ山口FCのファンの立場になって、欲し

いと感じる応援グッズを選択するよう促す。

・意見の重複を気にせず、気付いた意見は全て付箋に記述す

るよう指示する。

3.関連付ける活動(20分)

・ワークシートⅠに貼り付けた付箋や応援グッズを関連付

け、自チームが企画する応援グッズについて意見交換す

る。(20分)

・活動を活性化させるために、チームメイトの意見は否定し

ないことを確認する。

・「既存の応援グッズを真似るだけで、レノファ山口FCの

ファンを増やすことはできるのか」といった、思考を深め

る発問を行う。

※活動のイメージ

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ケース教材事例集 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

13

・ワークシートⅠに、線や言葉などを書き込んだり、貼り付

けた付箋等を動かしたりして、チームで意見を整理してい

くよう指示する。

4.活動の振り返り(5分)

・本時の活動について、チームで感想を述べる。

・次回の活動に対する目標を設定する。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 プロサッカークラブの既存の応援グッズから、商品のコンセプトや優位性を見付けることができたか。(言動観察、ワ

ークシートⅠ)

第二次第3時(創造する活動)

【主眼】応援グッズを企画し、第1回商品発表会で紹介することができる。

【準備】ケース教材「ワークシートⅠ」「ワークシートⅡ(商品企画書)」、付箋

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・本時の活動内容について確認する。

・ワークシートⅠを基に、前時の活動をチームで確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

2.商品の企画(10分)

・ワークシートⅠを基に、商品のコンセプトについて意見交

換しながら、商品を企画する。

・ワークシートⅠに、線や言葉などを書き込んだり、貼り付

けた付箋等を動かしたりして、チームで意見を整理してい

くよう指示する。

・意見は文字だけでなく、イメージ図で付箋に記述してよい

ことを伝える。

3.商品企画書の作成(10分)

・第1回商品発表会で紹介する自チームの商品とそのコンセ

プトを決定し、ワークシートⅡ(商品企画書)を作成す

る。

・消費者が商品を使用する姿をイメージしながら、商品のコ

ンセプトを具体的に設定するよう指示する。

・第1回商品発表会は、ワークシートⅡ(商品企画書)を用

いて、自チームの商品について紹介することを確認する。

・ワークシートⅡ(商品企画書)は、清書されていることが

望ましいが、時間が足りなかった場合は、下書きの状態で

もよいことを伝える。

※活動後のワークシートⅠ

※作成途中のワークシートⅡ(商品企画書)

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ケース教材事例集 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

14

4.第1回商品発表会の実施(15分)

・自チームの商品を紹介する係と、他チームの商品を取材す

る係を決める。

・第1回商品発表会において、企画商品に関する情報の発信

と収集を行う。

・第1回商品発表会は、ポスターセッションのような形式で

行うことを確認する。

・商品を紹介する係は、ワークシートⅡ(商品企画書)を基

に、企画商品とそのコンセプトについて分かりやすく説明

するよう指示する。

・取材する係は、興味のある他チームのブースに向かい、情

報収集するように伝える。また、説明を聞いた後、知りた

い情報について質問してもよいことを確認する。

・制限時間内であれば、何回取材に行っても構わないことを

確認する。

・質問されたことや、収集した情報は、付箋に記述しておく

ことを確認する。

5.企画商品の再検討(5分)

・第1回商品発表会で得られた情報をチームで共有する。

・自チームの商品とそのコンセプトについて再検討する。

・自チームにとって、重要と思われる情報から優先的に伝え

るように指示する。

・他チームの優れたアイディアは、自チームの商品に許可な

く採用してもよいことを伝える。

・自チームの商品の優位性やコンセプトに疑問を感じた場合

は、ゼロから企画を見直してもよいことを確認する。

・「企画した商品は、それ以外の使い道はないのだろうか」

といった、商品企画に関する新たな視点をもたせる発問を

行う。

6.活動の振り返り(5分)

・本時の活動について、チームで感想を述べる。

・次回の活動に対する目標を設定する。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 応援グッズを企画し、第1回商品発表会で紹介することができたか。(言動観察、ワークシートⅡ)

第三次第4時(決定する活動)

【主眼】商品企画書を作成し、第2回商品発表会で自チームの商品のプレゼンテーションを行うことができる。

【準備】ケース教材「ワークシートⅡ(商品企画書)」、分析シート

学習活動 教師の支援・指導上の留意点

1.活動内容の確認(5分)

・本時の活動内容について確認する。

・ワークシートⅡ(商品企画書)を基に、前時の活動をチー

ムで確認する。

・生徒の活動時間を確保するために、ICTを活用して活動

の目的と内容を効率的に説明する。

2.商品企画書の完成(20分)

・第2回商品発表会で発表する自チームの商品とコンセプト

を決定し、ワークシートⅡ(商品企画書)を完成させる。

・ワークシートⅡ(商品企画書)は、A1版サイズのものを

各チームに配布し、メンバー全員で協力して作成させる。

・ワークシートⅡ(商品企画書)を用いて、第2回商品発表

会で自チームの商品のプレゼンテーションを行うことを確

認する。

・生徒に制限時間を意識させるために、ICTを活用して活

動の残り時間を示す。

※活動後のワークシートⅡ

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ケース教材事例集 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

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3.第2回商品発表会の実施(20分)

・各チーム2分以内に、企画商品のプレゼンテーションを行

う。

・説明を聞いた後、発表された商品の優位性や改善点につい

て、分析シートに記述する。

・プレゼンテーションを聞いて、分かりにくいと感じたこと

は、質疑応答の時間に質問するよう指示する。

・「他チームの優位性や改善点を知ることで、自チームの商

品をより良いものにできないか」といった、商品を改良す

る意識を高める発問を行う。

4.活動の振り返り(5分)

・個で活動全般を振り返り、チームで感想を述べる。

・チーム内で全員が意見を述べることを確認する。

評価 商品企画書を作成し、第2回商品発表会で自チームの商品のプレゼンテーションを行うことができたか。(言動観察、

ワークシートⅡ、分析シート)

※第2回商品発表会の様子

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ケース教材

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「商品開発」ケース教材〈資料〉 事例1 山口県を感じさせる菓子

山口県を感じさせる菓子

「先代社長からの宿題、どうしますか?」

あさひ製菓の創業は1917年。初代社長である坪野氏が、闇市で季節の果物を売っていたことから始まる。

その後、駄菓子の販売を経て、「鳩子庵」という屋号で菓子の製造・販売を開始。現在は、「果子乃季」の店

名で、県内に44店舗を構える山口県を代表する企業に成長を遂げた。「果子乃季」のネーミングに、果物の

『果』と、季節の『季』が用いられているのは、初代社長が苦労して会社を始めたことを忘れないためである。

あさひ製菓の菓子作りにはこだわりがある。例えば原材料。自分たちが美味しいと思う菓子を提供したいと

いう信念から、小麦粉、卵、果物、水にいたるまで、原材料は国産のものを使用している。

また、商品開発の進め方も独特だ。経験の浅い若手社員が企画担当者として新商品を企画し、経験豊富な

製造責任者が作成した試作品を、社長を含めた三人が試食し、製品化するかどうかを決めるという流れで行

われている。

先代からの宿題。それは、モンドセレクション金賞を受賞した「鳩子の海」や、内閣総理大臣賞を受賞した

「月でひろった卵」といった、代表的な菓子と肩を並べる、新商品を開発することであった。

新商品の開発条件は二つ。

一つは、果子乃季の『果(くだもの)』を使って菓子をつくること。もう一つは、菓子を食べた人に、山口県を感

じさせることである。

社長はこの件について、定例会議で社員に意見を求めた。

社長は、社員の意見を基に自分の考えを整理し、企画担当者を呼んで指示を出した。

『 山口県産の果物を使って、山口県を感じさせる菓子を企画して欲しい 』

社員の考え

社員A

「先代からの宿題ならば、開発するしかありませんね。既存の商品を改良しますか?それとも、新商品を

企画しますか?」

社員B

「山口県産で、安定して仕入れることができる果物といえば何がありますかね。また、果物を原材料に

使用するのであれば、保存方法についても考えなければなりませんね」

社員C

「山口県を感じさせるっていうのは、抽象的で難しいですね。山口県についてのイメージをはっきりする

必要がありますし、菓子でどのように伝えるのかも考えなければなりません」

社員D

「売り方も考える必要があります。ちなみに、我が社の商品は、直営店による販売が全体の80%、ネット

による販売が10%、道の駅やスーパーでの委託販売が10%となっています」

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「商品開発」ケース教材〈写真〉 事例1 山口県を感じさせる菓子

あさひ製菓の代表的な菓子

【月でひろった卵】

内閣総理大臣賞を受賞した、果子乃季を代

表する銘菓です。

山口県のお菓子だから、素材の産地にもこ

だわりました。とろけるクリームに、地元山

口の新鮮で美味しい牛乳を使い、まろやかで

やさしい味に仕上げています。

味と食感のアクセントとなっているのが、

中に入った栗の粒。以前は外国産のものを使

っておりましたが、今使っているのは、国産

の高級なもの。安心・安全を第一に考えまし

た。

【鳩子の海】

モンドセレクション金賞を受賞した、果子

乃季を代表する銘菓です。

山口県といえばおだやかな瀬戸内のイメ

ージをもつ方が多くいらっしゃると思いま

す。

自慢のミルク餡を、しっとりとした皮で包

みました。改良に改良を重ね皆様に喜んでい

ただける味になりました。

【萩の夏蜜柑PURO】

山口県を代表する果物である、萩の夏みか

んを使用して作りました。

瑞々しく爽やかな味と香りの夏みかんを

つぶつぶにして、フレッシュクリームと一緒

に、ふわふわブッセではさみました。

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅠ〉 事例1 山口県を感じさせる菓子

 消費者は菓子に何を求めるのか?  山口県産の果物に関する情報

ワークシートⅠ

山口県のイメージを消費者にどう伝えるのか?

使用する果物

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅠ〉 事例1 山口県を感じさせる菓子

 消費者は菓子に何を求めるのか?  山口県産の果物に関する情報

ワークシートⅠ 活用例

山口県のイメージを消費者にどう伝えるのか?

使用する果物

手順①消費者ニーズの分析

分析結果を付箋に記述し、

貼り付ける

安らぎ

の時間大きな

音高揚感大きな

音美味し

同じような意見は

グルーピング

②商品知識を深める

果物に関する情報を付箋に

記述し、貼り付ける

徳佐リンゴ

・生産量は年間9トン

・ジュースやジャムにして

保存が可能

大島みかん

・生産量は年間8700トン

・ジュースやジャムにして

保存が可能

大島みかん安らぎ

の時間

【山口県のイメージ】

穏やか

手順③原材料の決定

中心部分に原材料を

記述する【山口県のイメージ】

維新

高揚感

手順④商品とコンセプトの考察

山口県のイメージを記述した付箋と、消費者が菓子に求めるものを

記述した付箋を組み合わせ、自チームの商品のコンセプトについて

考え、ワークシートⅡに記述する

線や文字を記述し、考えを整理する

組み合わせやすそう!

付箋等を移動する

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅡ〉 事例1 山口県を感じさせる菓子

ワークシートⅡ(商品企画書)

商品名

なぜこの商品を企画しましたか?

  [思いついた場面]

  [その時の気持ち]

この商品はどのように使うのですか?

  [一人 or グループ]

  [使用方法]

この商品を誰に使って欲しいですか?

  [ 性別 ]

  [ 年齢 ]

  [ 性格 ]

この商品をどんなシーンで使って欲しいですか?

  [ 場所 ]

  [ 場面 ]

この商品を使うとどのような気持ちになりますか?

  [ 本人 ]

  [ 周囲 ]

【イメージ図】

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅡ〉 事例1 山口県を感じさせる菓子

ワークシートⅡ(商品企画書) 活用例

商品名

なぜこの商品を企画しましたか?

  [思いついた場面]

  [その時の気持ち]

この商品はどのように使うのですか?

  [一人 or グループ]

  [使用方法]

この商品を誰に使って欲しいですか?

  [ 性別 ]

  [ 年齢 ]

  [ 性格 ]

この商品をどんなシーンで使って欲しいですか?

  [ 場所 ]

  [ 場面 ]

この商品を使うとどのような気持ちになりますか?

  [ 本人 ]

  [ 周囲 ]

【イメージ図】

やまぐち みかんロール

自宅のこたつみかんの香りでリフレッシュ

一人スプーンで食べる

女性30~50代

結婚や仕事で山口県を離れており、故郷を懐かしんでいる

自宅懐かしい写真を見ながら、3時のおやつ

昔、あんなことがあったなぁ…お母さん、何を思ってるんだろう…

価格:300円

大島みかんを使ったジャム(甘さ控えめ)

山口県産の米粉と卵で作ったスポンジケーキ

大島みかんの香りが、口いっぱいに広がる

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「商品開発」ケース教材〈資料〉 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

無農薬で栽培された花を使った商品

西京園芸は、花の栽培業を営んでいる小規模の園芸店である。ビニールハウス5棟で、バラやパンジーなど

を栽培し、地元のスーパーや小売店、結婚式場を中心に、生花を販売している。

西京園芸の経営自体は順調であるが、一つだけ課題があった。それは、社長である西京太郎の願いで始め

た、「無農薬で栽培した花」についてである。

無農薬の花の栽培を始めたのは、東日本大震災が起こった直後である。西京太郎は、復興支援のために

被災地入りし、被災者の方の心に少しでも安らぎを与えられたらという思いで、会社で栽培した花を配った。

「ありがとう…食べ物も届くのかしら?」

西京太郎が配った花は、被災者の心を癒した。しかし、空腹を満たすことはできなかった。このことがきっか

けとなり、癒しだけでなく、食べても問題ない、無農薬による花の栽培を始めた。

栽培は困難を極めた。数年後、いくつもの課題を克服し、無農薬による花の栽培に成功。西京太郎は、

大々的にPR活動を行い、販売を始めた。

しかし、無農薬で栽培された花は売れなかった。このままでは、今までの努力が無駄になってしまう。この状

況を改善するために、従業員の考えを聞いてみることにした。

従業員の考え

従業員A

「無農薬で栽培された花って、農薬を使って栽培した花と見た目は同じだから、売るのが難しいです。

ただ、そんなに流通していないから、発想を転換すれば売れる商品になると思うんですけど」

従業員B

「無農薬で花を栽培するコストは、通常の花の栽培の2倍かかります。利益を加えて販売すると、通

常の花よりも、かなり高い価格になってしまうんですよ」

従業員C

「生花って、何かのイベントやお祝いの時に使われることが多いですよね。生産者からすると、いろん

な機会で花が使われるとうれしいですね」

従業員D

「販売する場所を、地元に限定する必要はないと思います。今は物流システムが発展していますから、

日本全国どこにでも届けられますよ」

状況を整理し、西京太郎は一つの考えに辿り着いた。

『無農薬で栽培された花の強みを生かした商品を開発してみよう』

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「商品開発」ケース教材〈写真〉 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

無農薬で栽培された花を使った既存の商品

お祝いやパーティー会場に彩りを

海でのロケーション撮影が人気

エディブルフラワーをあしらったスイーツ

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅠ〉 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

誰が使うのか?(ターゲット)

どの場面で使うのか?(シーン)

どのような価値が

あるのか?(ベネフィット)

優位性

ワークシートⅠ

商品

コンセプト

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅠ〉 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

誰が使うのか?(ターゲット)

どの場面で使うのか?(シーン)

どのような価値が

あるのか?(ベネフィット)

優位性

ワークシートⅠ 活用例

商品

コンセプト

クリームに

花びらが入った

20代女性

誕生日など

のイベント

参加者が

華やかな

気持ちになる

食べられる

花びらが

入ってる!

誕生日など

のイベント誕生日など

のイベント 同じような意見をグルーピング

手順①商品の提案

商品のアイディアを付箋に記述し、貼り付ける

手順②商品のコンセプトの設定

商品のコンセプトについての意見を付箋に記述し、

貼り付ける

フラワー

ゼリー

10代女性

(中高生)10代女性

(中高生)

手順③商品の優位性の設定

商品の優位性についての意見を付箋に記述し、

貼り付ける

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅡ〉 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

ワークシートⅡ

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅡ〉 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

ワークシートⅡ 活用例

手順①既存の商品の分析

既存の商品のコンセプトや優位性を付箋に記述し、貼り付ける

結婚式 サラダ 珍しい 美味しそう 華やか

サラダ 美味しそう

コース料理 手順②意見の整理

同じような意見をグルーピングし、

タイトルを付ける

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅢ〉 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

ワークシートⅢ(商品企画書)

商品名

なぜこの商品を企画しましたか?

  [思いついた場面]

  [その時の気持ち]

この商品はどのように使うのですか?

  [一人 or グループ]

  [使用方法]

この商品を誰に使って欲しいですか?

  [ 性別 ]

  [ 年齢 ]

  [ 性格 ]

この商品をどんなシーンで使って欲しいですか?

  [ 場所 ]

  [ 場面 ]

この商品を使うとどのような気持ちになりますか?

  [ 本人 ]

  [ 周囲 ]

【イメージ図】

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅢ〉 事例2 無農薬で栽培された花を使った商品

ワークシートⅢ(商品企画書) 活用例

商品名

なぜこの商品を企画しましたか?

  [思いついた場面]

  [その時の気持ち]

この商品はどのように使うのですか?

  [一人 or グループ]

  [使用方法]

この商品を誰に使って欲しいですか?

  [ 性別 ]

  [ 年齢 ]

  [ 性格 ]

この商品をどんなシーンで使って欲しいですか?

  [ 場所 ]

  [ 場面 ]

この商品を使うとどのような気持ちになりますか?

  [ 本人 ]

  [ 周囲 ]

【イメージ図】

ぴゅあっとフラワーゼリー

自宅のこたつゼリーを食べてほっと一息

一人ふたを外して、スプーンで食べる

女性10~20代

部活動や仕事に追われ、プライベートが充実していない強がりな性格

自宅こたつに入って、何も考えない

今日、大変だったなぁ…毎日、大変そうだなぁ…

価格:200円

フラワーエキスを使ったゼリー(柔らかめの食感)

天草からつくった寒天(堅めの食感)

バラの香りが、口いっぱいに広がる

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「商品開発」ケース教材〈資料〉 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

レノファ山口 FC の応援グッズ

レノファ山口の歴史をさかのぼると、1949年に発足した山口県教員団のサッカーチームに辿り着く。選手の全

員が教員。活動に必要となる時間や費用は、自分たちでまかなってきた。サッカーを普及させたいという願いが、

選手たちの原動力だった。

1993 年、日本プロサッカーリーグの発足。J リーグの幕開けである。中国地方の各県が、次々にクラブチーム

を発足した。山口県教員団も、クラブチームの立ち上げに努力するが、資金面、施設面の問題から実現するこ

とができなかった。

2006年、「Jを目指すチーム創り検討委員会」が発足。公募されたチーム名の中から、「レノファ山口 FC」が選

ばれた。何とかチームは出来たが、選手の中心は教職員と地元大学卒業生だった。財政面、施設面の問題を

少しずつ解決し、2014 年に悲願のJ3に入会が決定した。

そして、2015 年 10 月 15 日現在、24 勝 1 分 6 敗の勝ち点 73 で、堂々のJ3首位。レノファ山口FCの運営を

任されている河村代表取締役は、チームのがんばりに心躍らせていた。このまま白星を重ねていけば、来季の

J2昇格も夢ではない。

しかし、レノファには課題があった。それは財政面である。レノファ山口がJ2に昇格するためには、ライセンス

を取得しなければならない。ライセンスの取得には、取材ブースやトイレの増設など、ホームスタジアムの改修

や、クラブの経営の黒字化といった条件がある。現在、スタジアム改修の目途は立ったが、クラブの経営は 2期

連続の赤字。3 期連続赤字は回避しなければならない。

クラブの経営を黒字化するために、どのような手を打つ必要があるのか。河村代表取締役は会議を開き、ス

タッフの意見を聞いた。

全員の意見に耳を傾けた後、河村代表取締役はスタッフにこう伝えた。

『レノファ山口のファン・サポーターを増やすために、応援グッズを企画して欲しい』

スタッフの考え

スタッフA

「我がチームは発展途上のチームのため、チームを強くしたり、施設を充実したりする費用を削減する

のは難しいです。経営を黒字化するためには、収益を増やすしかありません」

スタッフ B

「J1のチームと比べると、観客数が違います。観客数は、入場料収入やその他のグッズの売上げに

直結しますので、試合会場で応援してくださるファンを増やすことが重要です」

スタッフ C

「試合を観に来てくださる方について調査したところ、ほとんどの方が山口県中部にお住まいでした。

レノファ山口の試合は維新百年記念公園陸上競技場を中心に行われていること、県東部・西部の

サッカーファンは近隣の県のサッカーチームの応援にいっていることなどが要因と挙げられます」

スタッフ D

「最近のグッズの売れ筋は、選手のネームが入ったユニフォームです。試合会場で、選手や観客が一

体となれる感覚がうれしいって感じるのかもしれません。競技場のスタンドがオレンジ一色に染まっ

て、うねりのような応援の声が上がったときは、私も感動しました」

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「商品開発」ケース教材〈写真〉 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

レノファ山口FC 応援グッズ

Page 35: 科目「商品開発」 ケーススタディ事例集 · 科目「商品開発」において、商品開発における基本的な知識・技術を習得させた後、商品を企画するケースス

 「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅠ〉 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

 ファンの応援の特徴  既存の応援グッズの特徴

ワークシートⅠ

販売して欲しいレノファ山口FCの応援グッズ

Page 36: 科目「商品開発」 ケーススタディ事例集 · 科目「商品開発」において、商品開発における基本的な知識・技術を習得させた後、商品を企画するケースス

 「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅠ〉 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

 ファンの応援の特徴  既存の応援グッズの特徴

ワークシートⅠ 活用例

販売して欲しいレノファ山口FCの応援グッズ

一体感

がある 2個セットになっている

デザインがいい!

大きな

音ジャン

一体感

がある

同じユニフォームで、

会場をオレンジ一色

手順①ファンの応援の分析

「動画」から応援を分析し、

意見を付箋に記述して貼り付ける

大きな

音大きな

同じような意見は

グルーピング

手順③応援グッズの考案

付箋や応援グッズを移動させて組み合わせ、

レノファ山口FCの応援グッズについて考える

線や文字は

自由に書き込む

手順②既存の応援グッズの分析

「資料」から応援グッズを

切り取り、貼り付ける

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅡ〉 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

ワークシートⅡ(商品企画書)

商品名

なぜこの商品を企画しましたか?

  [思いついた場面]

  [その時の気持ち]

この商品はどのように使うのですか?

  [一人 or グループ]

  [使用方法]

この商品を誰に使って欲しいですか?

  [ 性別 ]

  [ 年齢 ]

  [ 性格 ]

この商品をどんなシーンで使って欲しいですか?

  [ 場所 ]

  [ 場面 ]

この商品を使うとどのような気持ちになりますか?

  [ 本人 ]

  [ 周囲 ]

【イメージ図】

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「商品開発」ケース教材〈ワークシートⅡ〉 事例3 レノファ山口FCの応援グッズ

ワークシートⅡ(商品企画書) 活用例