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(有) ハーレー 牧場 、1998 年 月井美好氏 (代表取締役) 法人化 した 酪農経営体 である 、2003 年大規模化以前社長妻月 井千枝子氏一人飼養管理担当できる零細経営だった。2003 年160 頭牛舎・8 のスイングパーラー新築。2004 年 4 月 使用開始、同時長女のさとみ長女友人小川玲子氏から入社があったこと から 2名社員として採用した。同年7月にはサ ラリーマンと兼業していた社長早期退職農業 専業となり、4名体制経営をリニューアルさせ 現在規模、田 5 ha、畑 20 ha、直売所 3 ㎡、 畜 舎 6 , 000 ㎡、 経 産 牛 180 頭、 育 成 牛 70 頭 、2012 年 第二牧場 取得 しているその 間、2008 年 4 月長男、2010 年 4 月高卒 男性、2011 年 4 月47 歳男性をいずれも 社員として採用しており、現在従事者数7名 (女性3名)となっている。役員数3名、千 枝子氏取締役牧場長、2006 年 4 月ブランド商品販売会社である (有) ハーレー ファームを分社化した、千枝子氏代表取締 兼任、長女のさとみ取締役就任して いるハーレーファームでは消費者ニーズをえた品開発企画、駅構内売店観光地でノンホモ ジナイズ牛乳、ヨーグルト 2 種、バター(有塩・ 無塩)、チーズゴーダカチョカバロ販売 自給飼料生産っている2015 年 7 月 期 売上 1億5,200万円 2013 年 7 月 期 1 億 2 , 810 万 円よりも 売上 ばしている有限会社ハーレー牧場 代表者名 月井 美好 資本金 30 百万円 設立年 1998 年 11 月 9 日 売上高 152 百万円(2015 年 7 月期) 事業内容 生産(酪農)、消費者直売 (駅構内売店等) 経営規模 田5ha、畑 20ha、直売所 3㎡、 畜舎 6,000㎡、経産牛 180 頭、 育成牛 70 頭飼養 従事者数 7 人(うち女性 3 人。女性内訳:役員 2 人、一般職 1 人) 女性活躍 支援 [女性に配慮して取組んだ環境整備] 施設設備関係(休憩室・屋内トイレ・シャワーの設置)、重労働等の 業務改善、技術・知識の習得支援 牧場経営の重要部門を女性が担う! 登記時の法人名は「有限会社 ハーレイ牧場」。 栃木県 那須塩原市 ※ 2016 年 3 月現在 20 経営概況

牧場経営の重要部門を女性が担う! 有限会社ハーレー牧場 hare.pdf1.経営者の意識改革 1965年に乳牛2頭で酪農経営を始めたが、美 好氏が兼業だったため、妻の千枝子氏が人工授精

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Page 1: 牧場経営の重要部門を女性が担う! 有限会社ハーレー牧場 hare.pdf1.経営者の意識改革 1965年に乳牛2頭で酪農経営を始めたが、美 好氏が兼業だったため、妻の千枝子氏が人工授精

(有)ハーレー牧場は、1998年に月井美好氏

(代表取締役)が法人化した酪農経営体である

が、2003年に大規模化を図る以前は社長の妻月

井千枝子氏が一人で飼養管理を担当できる程の、

零細な経営だった。2003年に160頭の牛舎・8

頭のスイング式パーラー舎を新築。2004年4月

に使用を開始し、同時に長女のさとみ氏と長女の

友人の小川玲子氏から入社の申し出があったこと

から2名を社員として採用した。同年7月にはサ

ラリーマンと兼業していた社長も早期退職し農業

専業となり、4名体制で経営をリニューアルさせ

た。

現在の規模は、田5ha、畑20ha、直売所3㎡、

畜舎6,000㎡、経産牛180頭、育成牛70頭

で、2012年に第二牧場を取得している。その

間、2008年4月に長男を、2010年4月に高卒

男性を、2011年4月に47歳の男性をいずれも

社員として採用しており、現在の従事者数は7名

(女性3名)となっている。役員数は3名で、千

枝子氏が取締役牧場長を務め、2006年4月に自

社ブランド商品の販売会社である(有)ハーレー

ファームを分社化した際に、千枝子氏が代表取締

役を兼任し、長女のさとみ氏も取締役に就任して

いる。

ハーレーファームでは消費者ニーズを捉えた商

品開発を企画し、駅構内売店や観光地でノンホモ

ジナイズ牛乳、ヨーグルト2種、バター(有塩・

無塩)、チーズ(ゴーダ・カチョカバロ)の販売

や自給飼料の生産を行っている。

2015年7月期の売上は1億5,200万円で、

2013年7月期の1億2,810万円よりも売上を

伸ばしている。

有限会社ハーレー牧場

代表者名 月井 美好 資本金 30 百万円

設立年 1998 年 11 月 9 日 売上高 152 百万円(2015 年 7 月期)

事業内容生産(酪農)、消費者直売

(駅構内売店等)経営規模

田 5ha、畑 20ha、直売所 3㎡、畜舎 6,000㎡、経産牛 180 頭、育成牛 70 頭飼養

従事者数 7 人(うち女性 3 人。女性内訳:役員 2 人、一般職 1 人)

女性活躍支援

[女性に配慮して取組んだ環境整備]施設設備関係(休憩室・屋内トイレ・シャワーの設置)、重労働等の業務改善、技術・知識の習得支援

牧場経営の重要部門を女性が担う!

※�登記時の法人名は「有限会社ハーレイ牧場」。

栃木県 那須塩原市

※2016年3月現在

20

経営概況

Page 2: 牧場経営の重要部門を女性が担う! 有限会社ハーレー牧場 hare.pdf1.経営者の意識改革 1965年に乳牛2頭で酪農経営を始めたが、美 好氏が兼業だったため、妻の千枝子氏が人工授精

1. 経営者の意識改革

1965年に乳牛2頭で酪農経営を始めたが、美

好氏が兼業だったため、妻の千枝子氏が人工授精

師の資格を取得しながら50頭規模まで広げた経

緯がある。そのため、ハーレー牧場ではこれまで

女性が中心となって経営を成り立たせていた。

売上高にして10年前と比べ7倍となる規模拡

大した現在においても、長女で人工授精師のさと

み氏が繁殖管理と搾乳、小川玲子氏が削蹄士とし

て削蹄と疾病管理を、それぞれ担当している。2

名ともトラクターの免許を取得させており、自給

飼料の生産でも男性社員をリードしている。

2. 女性職員の役員への登用と 長く働ける職場づくり

法人化に際し、妻の千枝子氏が取締役牧場長に

就任し、ハーレーファームでも千枝子氏と長女の

さとみ氏を役員とした。中長期的なキャリアアッ

プとして、さとみ氏が将来経営者として自立でき

るように、責任ある仕事を任せるようにしてい

る。ハーレーファームの売り上げも本業売上げの

10%強を占めるようになっており、順調に推移

している。

社長の美好氏は大手企業での勤務経験を踏ま

え、従業員を社会保険・厚生年金・雇用保険・労

災保険等に加入させることで、退職後の生活不安

を取り除くとともに、福利厚生の充実により働き

甲斐・生き甲斐を見つけることを念頭に置いた。

社員が安心して働ける環境を実現したいと考え

た結果、これまでに退職者が一人も出なかったこ

とが、最大の成果だと考えている。これは社長が

サラリーマンを経験していたことで、働く人の心

情を理解していたこと、働く人のニーズを把握し

ていたことが要因ではないかと受け止めている。

3. 子育て・出産に係る制度

今のところ、女性従事者の子育て・出産に係わ

る制度の利用実績はないが、男性従事者は家庭を

持っているため、仕事と家庭が両立できるよう支

援を行っている。

4. 女性が働きやすい環境の整備

パーラー舎内に女性専用のシャワー付き浴室・

更衣室・休憩室、個人用の机、男女別の車椅子兼

用トイレなどを設置し、女性が働きやすい環境を

整備している。

また、作業予定掲示版・分娩予定表示板の設置

や、月1回の飼料メーカーとの勉強会、週1回の

スタッフミーティングを行い従事者の間で情報の

共有化に努めている。研修として、アメリカの牧

場視察研修の実施に合わせて全米ホルスタイン共

進会の視察にも参加している。

審査委員の声大手通信会社の営業所長として活躍してき

た、月井美好社長の豊富な組織運営の経験

が、ハーレー牧場の事業拡大の推進力だ。た

だし、それには3人の女性に支えられたもの

だ。社長が 55 才で同社専業になるまで飼

養・繁殖管理をほぼ一手に引き受け、中央畜

産会の全国女性ネットワークの設立にもかか

わった、妻で牧場長の千枝子さん、酪農短大

を卒業、人工授精師の資格を持つ娘さんとそ

の友人である。娘さんと友人の2人は搾乳や

削蹄、そして自給飼料生産のための農作業、

トラクター運転を中心となって担う。

「今までやめた人はいない」との自負を持

つ社長は、女性に配慮した職場環境づくりに

気を配りながら、さらなる事業拡大をにらん

でいる。

2015年度 農業の未来をつくる女性活躍経営体100選

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