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第3章 食中毒
3.4 自然毒食中毒
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3.4 自然毒食中毒
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自然毒(総数)
植物性自然毒
動物性自然毒
発生機序
A:間違えて摂食する
B:有毒期の状態のものを無毒のものとして摂食する。
C:特定の臓器の除去が不十分なまま摂食する
厚生労働省
• 自然毒のリスクプロファイル
• http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poi
son/#higher
• 動植物の中には体内に毒成分(自然毒)を持つものが数多く知られている。毒成分は一般的には常成分であるが、成育のある特定の時期にのみ毒を産生する場合や、食物連鎖を通じて餌から毒を蓄積する場合もある。これら自然毒を含む動植物による食中毒は、細菌性食中毒と比べると件数、患者数はそれほど多くないが、フグ毒やキノコ毒のように致命率の高いものがあるので食品衛生上きわめて重要である。
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(1) 植物性自然毒 毒キノコ中毒と誤食
事件数 患者数 死者 致死率
2002年 60 282 0 0%
2003年 51 189 1 0.5%
2004年 81 238 0 0%
2005年 44 134 3 2.2%
2006年 44 144 2 1.4%
2007年 60 199 2 1.0%
2008年 64 189 0 0%
2009年 40 126 0 0%
2010年 91 263 0 0%
2011年 37 98 0 0%
中毒事故のほとんどは個人の知識不足や誤りによる。
言い伝えには化学的根拠はない。
→p.48-49 ちょっとメモ
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毒キノコ
①胃腸症状(嘔吐・下痢・腹痛) 30m~3hr後に兆候
ツキヨタケ・クサウラベニタケ・イッポンシメなど
②コレラ様の激しい胃腸症状・肝/腎臓機能障害 (猛毒性) 10hr後に兆候
コレラタケ・ドクツルタケ・タマゴテングタケなど
③脳・神経作用(中枢神経障害) 20m~2hr後に兆候
(流涎、発汗、異常興奮、狂騒、幻覚、昏睡、錯乱) ワライタケ・シビレタケ・テングタケなど
④悪酔い・発汗症状(自律神経障害) 20m~2hr後に兆候
ヒトヨタケ・ホテイシメジなど
⑤手足が赤く腫れ激痛が1ヶ月 発症5日
ドクササコ 6
①胃腸刺激ー胃腸障害
ツキヨタケ p.48
クサウラベニタケ p.48
ホンシメジ
毒成分:イルジンS
毒成分:コリン
ムスカリン
ムスカリジン
日本でキノコ中毒の過半数を占める
ツキヨタケについで日本で中毒が多い
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イッポンシメジ クサウラベニタケ p.48
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②激しい下痢・腹痛・肝、腎臓機能障害
ドクアジロカサタケ(コレラタケ)
ドクツルタケ p.48
毒成分:アマニチン、
ファロイジン
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タマシロオニタケ
タマゴタケモドキ
フクロツルタケ
シャグマアミガサタケ 10
③幻覚・精神錯乱状態
ベニテングタケ p.48
テングタケ 毒成分:ムスカリンなど
オオワライタケ
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ヒカゲシビレタケ p.48
センボンサイギョウカサ
ワライタケ
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④悪酔い症状・発汗症状
ヒトヨタケ
ホテイシメジ
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⑤手足の先が赤く腫れ、激痛が一ヶ月
ドクササコ
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(2)ハシリドコロとチョウセンアサガオによる中毒
ハシリドコロ ナス科
ふきやタラの芽と間違えて摂取する
根茎と葉にアルカロイド(ヒヨスチアミン・アトロピン) この草を食べるとむやみに走り回るから「ハシリドコロ」
チョウセンアサガオ
種子をゴマ、根をゴボウ、つぼみをオクラと誤認
ドクゼリ
若芽を食用セリと間違える
(3)トリカブト中毒
野草のニリンソウ(ヤマソバ)と誤る
有毒成分:アコニチン
15 チョウセンアサガオ
ハシリドコロ
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トリカブト
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(4)バレイショ中毒
ジャガイモ: 発芽部、緑色部にソラニン
210℃でも60%残存
(5)オゴノリによる中毒
オゴノリはテングサと同様、寒天の原料
褐色だが加熱すると緑色
刺身のつまとして食用にも
原因物質:プロスタグランジンE2
(6)シアン関連化合物を含む食品による中毒
青ウメやアンズの種子にシアン配糖体
(アミグダリン)
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(2) 動物性自然毒食中毒
フグ中毒 事件数 患者数 死者 致死率
2003年 38 50 3 6%
2004年 44 61 2 3%
2005年 40 49 2 4%
2006年 25 32 1 3%
2007年 29 44 3 7%
2008年 40 56 3 5%
2009年 24 50 0 0%
2010年 27 34 0 0%
1972~1993年(22年間) 1258名患者 279名死亡(致死率22%) 平均患者 57名/年 平均死者13名/年
・家庭で、素人料理が原因 → 専門店以外で食べない!
トラフグ 筋肉・皮・精巣
可食部 ショウサイフグ 筋肉・精巣
ヒガンフグ 筋肉
食べられる
部位はフグにより異なる(例)
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• 有毒成分・・・テトロドトキシン(TTX) *KCNの約1000倍毒
最低致死量 約2mg(10000MU)/人
毒力は5000~6000MU/mg
• MUとは・・・・マウスユニット
• 1MU=体重20gのマウスの腹腔内に投与して30分
で死亡させる量
• つまり、TTX 1mgで体重20gのマウスを5000~6000匹殺せる。
• 猛毒部位には1gあたり1000MU以上
(すなわちTTXが部位1gあたり0.2mg)存在。
• この部位10g摂取すれば致死量に達する。
• 水に難溶、酸や光に安定、100℃4hr加熱でも無毒化不可、アルカリ性で加熱して無毒化可
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フグの種類 卵巣 精巣 肝臓 腸管 皮膚 筋肉
クロサバフグ ------- ------- ------- ------- ------- -------
シロサバフグ ------- ------- ------- ------- ------- -------
ゴマフグ ** ------- ** ------- * -------
シマフグ ** ------- ** * ------- -------
トラフグ ** ------- ** * ------- -------
ショウサイフグ *** ------- *** * * -------
ナメフグ *** ------- *** ** ** -------
マフグ *** ------- *** ** ** -------
アカメフグ ** ------- ** * ** -------
クサフグ *** * *** *** ** *
コモンフグ *** ** *** ** ** *
***
**
*
・・・猛毒
・・・強毒
・・・弱毒
・・・無毒
------
(≧1000MU/g)
(≧100MU/g)
(≧10MU/g)
(≦10MU/g)
主なフグの臓器と毒量 産卵期(12~4月)の毒力が最も強い
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クサフグ
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• 臨床症状(中毒症状) 神経毒
食後20(30)分~3(5)時間で発症:通常1時間以内
口唇、舌端に知覚麻痺、次第に指先が麻痺
上肢・下肢の運動麻痺、発声困難
嚥下困難、呼吸麻痺、血圧降下、呼吸停止、死亡
(8時間以内)
• フグ自身がなぜTTXで中毒しないのかはよく分かっていない。
• フグ以外にもカエル、ハゼ、タコ、ヒトデ、イモリ、甲殻類、などの中にもTTXを持つものがある。
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ヒョウモンダコ
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「ソウシハギ」 <ソウシハギの特徴>
・体色は黄色で、体全体に青い斑点と青い波状の線、うちわのような大きな尾びれ。
・形が無毒のウマヅラハギによく似ている。
・南方系に生息するカワハギ類だが、近年本州への来遊が増加。
・「パリトキシン」;強力な毒を内臓に含んでいる可能性が高く、フグ毒「テトロドトキシン」の数十倍の毒性がある。
※パリトキシン中毒症状:筋肉痛、手足の痺れ、呼吸困難、死亡
パリトキシンは,元々イワスナギンチャク(イソギンチャクの一種)に含まれており,
魚介類が有する自然毒の中では最強の猛毒で,
これを餌としている魚が肝臓等に毒を蓄積。加熱しても分解されない。
主な症状は筋肉痛・呼吸困難・けいれん等であり,重篤な場合は死に至る。
食中毒事例としてはアオブダイやハコフグによるものが発生。 26
魚類:パリトキシン様毒 図1 アオブダイ
図3 ブダイ
図2 ハコフグ
図4 ウミスズメ
有毒部位 筋肉、肝臓、消化管、その他の内臓 中毒発生状況 1953年~2009年に少なくとも36件発生し、患者総数は116名、うち6
名が死亡している。 中毒症状 潜伏時間は概ね12~24時間と長い。主症状は横紋筋融解症(激し
い筋肉痛)やミオグロビン尿症で、呼吸困難、歩行困難、胸部の圧迫、麻痺、痙攣などを呈することもある。初期症状の発症から数日で血清クレアチンホスホキナーゼ(CPK)値の急激な上昇がみられ、重篤な場合には十数時間から数日で死に至る。回復には数日から数週間を要する。
毒成分 パリトキシン様毒
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/pois
on/animal_03.html
図5 ソウシハギ
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シガテラ 有毒藻類(べん毛藻類)が
シガトキシンなどを産生する
→(食物連鎖) →魚 →→ 人
症状:温度感覚異常(ドライアイスセンセーション)
ドクカマス 1953年に食用禁止
バラフエダイ
渦鞭毛藻
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貝毒 麻痺性貝毒・下痢性貝毒
(神経性貝毒・記憶喪失性貝毒)
貝の毒化 有毒渦鞭毛藻(いわゆるプランクトン)を摂取
→ 貝の中腸腺に蓄積
→ 貝が有毒化
ホタテ貝の調理上の注意
※ 3月から10月までの間は、中腸腺(通称 ウロ)の部分をとり除いて料理してください
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• 2002/04/26 高知県(須崎市 野見湾)アサリから貝毒検出
• 麻痺性貝毒規制値 4MU/gだが、4.2MUを検出
(下痢性貝毒の規制値は0.05MU/g)
• 二枚貝の採取自粛の呼びかけ
• 毒成分・・・サキシトキシン (2000~5000MU/g)TTXと同じ神経毒
• 唇の周りにしびれ、体各部位が麻痺、手足にしびれ、呼吸困難、死亡
麻痺性貝毒
• 日本で発見 1970年代 宮城県沿岸
ムラサキガイによる原因不明の食中毒
• 加熱調理した貝でも下痢、吐気、嘔吐、腹痛
• プランクトンを調査・・・ディノフィシス フォルティ
• 下痢性貝毒の毒成分・・・オカダ酸、ディノフィシストキシン
下痢性貝毒
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アサリ中毒
肝臓に毒素(ベネルーピン) 毒素は耐熱性(100℃3時間でも変化せず) 浜名湖アサリ中毒 1942(S17)年 300人患者 120人死亡
1949(S24)年 93人患者 7人死亡
貝毒
a)麻痺性貝毒(ムラサキイガイ・アサリ・ホタテガイ) 毒成分:サキシトキシン・ゴニオトキシン
b)下痢性貝毒(ムラサキイガイ・ホタテガイ・コタマガイ) 毒成分:オカダ酸、ディノフィストキシン
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その他の魚類の中毒
(a)イシナギの肝臓(1960年以降食用禁止) 食後30~12hrで発症、頭痛、発熱、吐気、皮膚の剥離
原因・・・V.A過剰症? 500000~1500000IUのV.A
イシナギのほかサメ、マグロ、ブリ、カンパチの肝臓
北極クマ、アザラシの肝臓でも
(C)バラムツによる中毒
不消化性のワックス → 下痢・腹痛・吐き気
アブラソコムツ
アブラボウズ