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発電用火力設備に係る動向について 平成31年 2月15日 経済産業省 産業保安グループ 電力安全課 平成30年度中国地区ボイラー・タービン主任技術者会議

発電用火力設備に係る動向について · 応力の強化及び復旧迅速化のための取組みを促すとともに、法令に基づく電気工作物の技 術基準(安全基準)の改定を進める。

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発電用火力設備に係る動向について

平成31年 2月15日

経済産業省 産業保安グループ 電力安全課

平成30年度中国地区ボイラー・タービン主任技術者会議

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火力発電設備の安全規制の概要

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電気保安行政の概要

1.電気設備の安全確保電気事業法に基づき、電気工作物の技術基準を定め、電気工作物を設置する者の工事計画や自主検査体制を審査するなど、電気工作物の工事、維持及び運用面で規制を行うことにより、公共の安全確保に努める。

2.電気工事の安全確保電気工事の欠陥による災害の発生を防ぐため、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定めたり、電気工事業を営む者の登録業務等を行う。

3.防災対策の強化地震や津波等の自然災害で長期の停電となることを防ぐため、事業者の自然災害への対応力の強化及び復旧迅速化のための取組みを促すとともに、法令に基づく電気工作物の技術基準(安全基準)の改定を進める。

4.発電所の環境影響評価の審査発電所を設置する者は、電気事業法及び環境影響評価法に基づき、発電所設置による環境への影響を事前に評価し、国がその評価結果について審査を行うことにより、環境の保全について適正な配慮がなされることを確保する。

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電気事業法の概要

電気工作物は技術基準に適合するよう維持・管理・運用 公共の安全の確保上、重要な事業用電気工作物に対し、工事計画の事前認可・届出や使用前・定期の設備検査の義務(ハード規制)

事業用電気工作物の保守管理を適切に行うための保安規程の届出・主任技術者の選任(ソフト規制)

電気関係事故の報告 その他(環境影響評価や一般用電気工作物の調査)

電気工作物の保安確保のための設置者に対する規制 法目的は、公共安全の確保、環境の保全

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電気保安規制の変遷

多発する電気事故等を背景に、国による直接的な関与の仕組みを整備 事故件数の減少から、設置者の自己責任原則を重視した安全規制 安全水準維持向上と事前規制合理化から、国は設置者の自主検査体制を審査 時代の要請を踏まえ、規制緩和と高度保安の環境を整備

昭和39年(法施行)

平成7年(法改正)

平成11年(法改正)

近年(法省令等改正)

・ 工事計画認可の原則廃止、届出化・ 国による直接検査の原則廃止・法定自主検査化など

設置者の自主検査化

国の関与の縮小

国の直接関与

時代の要請する規制

・ 国による工事計画審査、使用前検査等の対象設備を大幅に縮小 など

・ 国による工事計画審査(認可)・ 国(又は指定検査機関)による使用前検査等の実施 など

・ 自然災害対策の強化(風力発電設備の雷対策)・ 溶接安全管理審査廃止 など

平成9年(省令等改正)

技術基準の性能規定化

・ 技術基準省令の性能規定化・ 詳細な仕様規定を技術基準省令から解釈・内規に移管 など

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火力発電設備の安全規制体系

事業者 国

保安規程の作成・届出・遵守主任技術者の選任・届出(電気、BT)

工事計画の届出

事故報告等

技術基準への適合維持義務

保安規程に基づく自主保安

使用前自主検査

溶接事業者検査

定期事業者検査

計画段階

工事段階

運用段階

安全管理検査

保安規程変更命令

工事計画変更命令(技術基準への適合)

使用前安全管理審査

定期安全管理審査

報告徴収

立入検査技術基準適合命令

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火力発電設備の規制概要発電方式 出力等条件 保安規程

主任技術者選任工事計画届出

電気 ボイラー・タービン

汽力- 要 要 要 要

発電出力300kW未満等※2 要 要 不要 不要

ガスタービン

10,000kW以上 要 要 要(発電所) 要

1,000kW以上~10,000kW未満 要 要 要(統括事業場) 要

1,000kW未満 要 要 要(統括事業場) 不要告示のもの※1 要 要 不要 不要

内燃力

10,000kW以上 要 要 不要 要

10kW以上~10,000kW未満 要 要 不要 不要

10kW未満 不要 不要 不要 不要

汽力、ガスタービン、内燃力以外 - 要 要 要 要2種類以上の原動力の組合せ - 要 要 要 要

※1①電気出力が300kW未満のもの②最高使用圧力が1,000kPa未満のもの③最高使用温度が1,400℃未満のもの④発電機と一体のものとして一の筐体に収められているものその他の一体のものとして設置されるもの⑤ガスタービンの損壊その他の事故が発生した場合においても、当該事故に伴って生じた破片が当該設備の外部に飛散しない構造を有するもの

※2①電気出力が300kW未満のもの②最高使用圧力が2MPa未満のもの③最高使用温度が250℃未満のもの④蒸気タービン本体が発電機と一体のものとして一の筐体に収められているもの又は施錠その他の通行制限のための措置が講じられた部屋に収められているもの⑤蒸気タービン本体の損壊その他の事故が発生した場合においても、当該事故に伴って生じた破片が当該蒸気タービン本体の車室又はこれが収められている筐体の外部に飛散しない構造を有するもの⑥同一の火力発電所の構内に設置された労働安全衛生法の適用を受けるボイラーから蒸気の供給を受け、当該蒸気の汽力を直接その原動力とするもの又は同一の火力発電所の構内以外から蒸気の供給を受け、当該蒸気の汽力を直接その原動力とするもの 等 6

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民間自主保安への過渡的制度としての安全管理検査制度 現行制度は、「国による直接検査」から「(国が介在しない)民間自主保安」に移行する上での過渡的な制度として措置されたもの

事故が減少しているものについては、更なる民間自主保安への移行⇒ 審査の一部廃止⇒ 登録安全管理審査機関(以下「登録機関」という)の審査範囲拡大

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事業者検査+登録機関の検査体制審査等

民間企業による第三者チェックを活用した民間自主保安の実現

将来像平成11年以前

使用前定 期

現 状

電力安全問題検討合同小委員会報告書(平成11年1月)「将来的には、設置者等が自らの責

任により民間の第三者を活用し、技術基準適合性の確認や品質管理状況の評価を受けたり、自主保安の状況について、迅速かつ効果的に、設置者等が自ら説明・報告を行うといった状況になってきた場合には、それに応じて、安全管理調査を、縮小・廃止していくこととすべきである。」

平成11年当時想定されていた

使用前定 期

溶 接

使用前使用前

火力

そ以れ外定 期(風力)

【溶接事業者検査は使用前定期で確認か報告】

定 期

溶接実施状況

事業者検査+国の検査体制審査等

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安全管理検査制度の概要(火力)

安全管理検査制度は、(設置者による自主的な保安の仕組)「適切な検査を実施できる者」が検査を行うことを担保する仕組

設置者が検査義務を負い(設置者責任)、その検査品質を国又は登録機関が担保 安全管理審査は、国又は登録機関が設置者の検査実施体制を審査する仕組

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登録機関は設置者等の品質管理状況を審査(技術基準適合性維持・確認の実施状況等)

自主検査の実施と記録保存を法律で義務づけ(法定自主検査)

使用前安全管理審査 (以下、「使用前審査」という) [1]

定期安全管理審査(以下、「定期審査」という) [1]

事業者検査安全管理検査制度

安全管理審査溶接事業者検査(以下、「溶接検査」という)

使用前自主検査

定期事業者検査

製造者と設置者による

設置者による

国が審査結果に基づき最終的に評定

使用前審査の評定 [2]

定期審査の評定[2]

評 定

溶接実施状況

[1]使用前自主検査(定期事業者検査)対象設備がある場合には、使用前(定期)安全管理審査の中で実施状況及びその結果の確認を受けることで足りる。[2]保守管理に関する取組を実施している組織の審査では、使用前(定期)安全管理審査の評定に加えて、定期事業者検査の実施時期を定める。

溶接事業者検査年報 [1]

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火力発電設備に関する最近の制度改正

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①火力発電設備の安全管理検査制度の見直し

溶接安全管理審査を廃止 全ての使用前・定期安全管理審査を登録機関に委任 震災特例による実績を踏まえ、適切な保守管理を行う場合には、最大6年まで定期事業者検査時期を延伸可能な制度に改正。

平成29年4月施行の電気事業法第3弾改正において、事業者の保安力向上を目的として火力発電設備の安全管理検査制度の見直しを実施

・日常的な保守・点検・設備安全性安全尤度IoT等による常時監視・予兆把握技術の導入etc.

事業者の保安力評価(安全管理審査)

→保安力に応じ検査時期を延伸

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使用前

定 期

溶 接

法定審査6項目インセンティブ関連項目

法定審査6項目インセンティブ関連項目

法定審査6項目

インセンティブ関連項目

継続的な検査実施体制

継続的な検査実施体制

継続的な検査実施体制

旧制度:審査項目等

共通審査事項

共通審査事項

共通審査事項

使用前

定 期

法定審査6項目インセンティブ関連項目

法定審査6項目

インセンティブ関連項目

継続的な検査実施体制

継続的な検査実施体制

新制度:審査項目等共通審査事項

共通審査事項

共通確認事項溶接検査項目

共通確認事項溶接検査項目

保守管理

高度な運転管理

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設置者主体による自律的な委託先管理

新制度における審査の範囲

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溶接審査の審査方法及び確認項目

検査の実施組織 検査の方法

工程管理

協力事業者の管理

検査記録の管理 検査に係る教育訓練

旧制度

システム審査

個別審査

溶接検査の実施に係る体制について確認するとともに、継続的な品質保証の確保がなされているか否かを確認する方法

溶接検査の実施に係る体制について確認する方法

審査方法

省令

省令

溶接検査の方法

検査記録の保存

新制度

内規

溶接事業者検査年報の届出及び立入検査等で確認

総括資料(及び関連記録)を基に実施状況を確認

省令

溶接検査の実施状況に係る確認の考え方について

使用前・定期審査において、使用前・定期検査の実施体制の確認方法に、新制度では、溶接検査の実施状況を確認することを明確化

確認項目は、重点項目である、①溶接検査の方法、②検査記録の保存に限定

確認方法

審査方法 確認方法

ただし、安全管理審査の中で溶接事業者検査の実施状況及びその結果の確認を受けることで足りるものとする。

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定期安全管理検査制度のあり方について

安全管理審査において、日常的な保守・点検や設備安全性[※]といった「事業者の保安力」を評価し、これに応じて検査時期を延伸する仕組みを構築

震災特例に伴う実績により、適切な保守管理を行えば、6年間まで検査時期を延伸しても、計画外停止等の件数に優位な差は無いことを確認

3年分の審査一括化

特例措置:

安全管理審査で評定された検査時期を更に延伸(国が個別承認)【当面の間適用しない】

2年上限に追加延伸

旧制度の定期安全管理検査制度レベル1:個別

個別の定期検査を適切に実施

レベル2:B

定期検査を適切に実施できる体制を継続的に構築

レベル3:A、S

定期検査を含めた保守管理を高度に実施できる「保安力」を構築6年上限に検査時期延伸

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新たな定期安全管理検査制度 国の承認による延伸制度も上乗せとして維持

3年分の審査一括化

[※]IoT・所内専用監視設備等による常時監視・予兆把握などを想定。

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定期安全管理検査制度における組織区分及び検査・審査時期の見直し

震災特例による継続運転の実績を踏まえると、適切な保守管理等を行えば、「ボイラー等」及び「蒸気タービン」に限っては、最大6年まで定期検査時期の延伸が可能

新制度では、インセンティブを付与しているシステムの組織区分を「事業者の保安力」に応じて3つに細分化し、6年を最長として、設置者が自ら定期検査時期・受審時期を選定が可能

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組織区分 分類定期検査時期

受審時期ボイラー 蒸気タービン

システムS 6年 評定で承認した検査期間満了後

3ヶ月を超えない時期A 4年4年B

2年評定から3年3ヶ月を超えない時期

個別 検査を実施する時期

・システムS:ボイラー等・蒸気タービンの定期検査時期を最大6年に延伸し、受審時期も定期検査時期に合わせて延伸

・システムA:ボイラー等の定期検査時期を4年に延伸し、受審時期も定期検査時期に合わせて延伸

・システムB:定期検査時期及び受審時期は不変(旧制度のシステム審査)

前回結果で認めた延伸期間を上限に、検査の実施時期に合わせて実施。なお、審査方法等は旧制度を継続

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定期安全管理検査制度における新たな審査基準の考え方

新制度では、事業者が申請する組織区分・分類に応じて、審査項目を設定 最大6年延伸が可能なシステムSは、高度な保守管理体制が求められる、3年間インセンティブを付与された実績を審査申請の要件として設定

システムS・Aの審査で不適合事項が検出された場合、直ちに定期検査時期の見直しは、安定的な電力供給に支障を来たすおそれあり是正・再発防止対策の実施を前提に、不適合のレベルに応じた柔軟な運用

項目システム 個

別 制度の適用基準 審査・評価内容S A B

法定事業者検査 ○ ○ ○ ○・安全管理審査の審査基準実施要領添付資料1-1、1-2

<使用前・定期>・検査体制+実施状況(法定6項目)<溶接>・実施状況

日常の保守管理(運転管理・日常点検・定期点検) ○ ○ - -

・保守管理のための組織、方法、協力事業者管理、記録の管理、教育訓練

(運転管理、日常点検、定期点検)・異常、事故及び事故防止等の対応実施要領添付資料1-4

定期検査の延伸に伴う保守管理体制の評価・管理体制+実施状況

運転状況(温度/圧力超過、振動) ○ ○ - -

制限値超過時等の措置・対策状況の評価・実施状況

運転状況(事故状況) ○ ○ - -

事故・不具合等発生時の措置及び再発防止等の対策状況の評価・実施状況

高度な運転管理 ○ - - -・高度な運転管理実施要領添付資料1-6 別紙

定期検査の延伸に伴う高度な運転管理体制の評価・管理体制+実施状況

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(参考)定期安全管理検査制度のあり方について

「事業者の保安力」の審査項目について

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定検延長内規における承認要件(例:ボイラー):システムAレベル

高度な運転管理に関する追加的要件:システムSレベル+

【設備的対策】・ 前回定期検査で異常が認められた箇所に適切な措置が講じられていること

・ 累積運転時間が10万時間を超える場合には余寿命診断を行い、評価余寿命までに次回検査を行うこと

・ ボイラーの浸食対策、腐食対策がなされていること 等

【保守管理上の対応】・ 内規で定める設備部位毎に「運転管理」基準(水位・圧力・温度などの管理パラメータ)を定め、これに従い管理されること

・内規で定める設備部位毎に「日常点検」方法を定め、1日に1回以上の頻度で点検を行うこと

・ 内規で定める「保守管理」体制(組織・権限・緊急時対応・保全基準・文書管理・教育訓練など)が確立されていること

・ 定格圧力・定格温度を超えた運転時間が一定以下であること等

【異常兆候を早期に発見・把握する態勢】・ 遠隔監視用計測器から得られる運転状態値に対し、自動で警報発信する等の機器運転状態の遠隔・自動監視 <IoT等の活用>

・ これらの運転状態値等のデータを蓄積し、これを分析・評価すること等により、異常兆候を発見・把握するための取組 <BD・AI等の活用>

(具体例)・ ボイラー補給水量の管理によるチューブリークの検知・ ガスタービン空気圧縮機効率の管理による圧縮機内部異常の検知

・ 蒸気タービン主要弁振動管理による弁内部異常の検知等

【運転中検査】・ 定期検査で実施する4/4出力での負荷試験を運転中に実施し、前回定期検査時と同等の健全性を維持していることを確認。

労働安全衛生法では平成8年より活用(平成20年には最大8年まで開放検査を延伸可としている)

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定期審査は、設置者自らが構築した保安確保のための体制(ソフト面)を審査高度な運転管理に係る審査においても、設置者が使用するアプリケーション等(ハード面)の妥当性を評価するのは適切ではない

また、特に高度な運転管理においては、設置者が自らPDCAサイクルを回して、主体的に保安水準を高める仕組みが必要

そこで、当該審査では、設置者が運転管理体制の中で、日常的な保守・点検や設備安全性[※]といった力量を、自らどのように継続的に改善しているかといった取組の妥当性を評価

設置者は、現在の実施状況及び継続的改善に向けた品質管理体制の取組状況などをまとめた “総括資料”を作成。

登録機関は、定期審査の実施時に、設置者から提示された総括資料に基づき現地での聞き取り調査と当該資料(及び関連記録)の内容を確認設置者が実施する取組を審査し、設置者が実施する定期検査時期の妥当性を評価。

妥当性の評価結果を、国に通知する際には、当該審査項目の「所見」欄を設けて「良」「否」判定を行わせることとし、定期検査時期の延伸を認める判断内容の一部とする。

高度な運転管理に係る審査の考え方について

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[※]IoT・所内専用監視設備等による常時監視・予兆把握などを想定

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新制度の定期審査における保守管理記録の取扱い

旧制度の定期審査では、設置者に対して定期検査の記録を法令で定める期間(5年間)の保存義務

一方で、定期検査を繰り延べる際には、設置者に自ら保存期間を定めて記録を管理

新制度では、日常保守・点検記録を含む保守管理等の記録を用いてインセンティブ関連項目を審査・評価

当該記録の取扱いについては、事業者が主体的に自主保安水準を高める仕組みにするため、国が審査対象の記録を特定して保存期間を定めることは行わず、設置者が自らの裁量で関連記録を特定して管理

定期検査の記録は、引き続き法令に基づき5年間又は定期審査の評定通知を受けるまでの期間のうち長い方の保存義務をかける。(併せて実施する溶接検査の記録も同様。)

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②その他の個別設備に関する規制見直し

水素専焼発電設備に係る技術基準等の整備(平成28年11月30日、平成29年4月1日施行)

○ 電気事業法における水素専焼発電設備に係る実証事例の出現を踏まえ、高圧ガス保安法と同等の技術基準、工事計画等の規定を整備。

発電用火力設備の技術基準解釈の国際整合化等(平成28年11月30日、平成29年4月1日施行)

○ 液化ガス設備及びガス化炉設備の設計にあたっての安全率について、安全評価の結果を踏まえて、ボイラー等の火力設備と同様に安全率3.5を取り入れた。○ スターリングエンジンに係る技術基準について、技術基準解釈に具体的な仕様規定を整備。

大気汚染防止法改正に伴う安全規制の整備(平成30年4月1日施行)

○ 水銀に関する水俣条約を担保するため大気汚染防止法が改正され、水銀排出施設に係る届出と、水銀等を大気中に排出する者に排出基準の遵守の義務づけ等の措置がなされた。○ 電気工作物については、電気事業法において、大気汚染防止法と同等の規定を電気事業法施行規則及び電気関係報告規則等に措置。→水銀排出施設の設置、廃止等は届出が必要になりました

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電気保安のスマート化

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電気保安のスマート化のコンセプト

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○ 再エネ関係を中心に技術革新・ビジネススピードが加速

○ 一方で、硬直的な技術基準・解釈により、新技術や輸入製品の活用に遅れ

○IoT・BD・AI等のITの技術革新によるビジネスモデルの革新

技術革新・ビジネススピードの加速

○ 分散型電源の普及拡大に伴い、電気設備の保守管理経験の乏しい新規参入者が増加

○ BT/DS主任技術者の迅速な育成・確保が困難な中、小規模設備の保安確保のあり方が課題

新規事業者の参入拡大

○ 激甚化する自然災害やサイバー攻撃等の新たな外生的脅威に直面

○ 中長期的にも、設備の高経年化、電気保安人材の減少等の構造的課題が顕在化

外生的・構造的課題の顕在化

直面する環境変化・課題

電気保安のスマート化

メリハリのある規制 事業者の保安力の向上

技術支援機関TSOを含めた今後の体制整備

「事業者の保安力」に応じたインセンティブを付与することで、事業者の工夫やIoT・BD・AIの導入を促進

民間に委ねうる箇所と国が対応を強化すべき箇所の両面から、各設備の状況に応じた規制へと見直を推進

新技術や社会環境の変化に対し、PDCAを回すことができる体制を整備

電力システム改革

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現課題に対して講じた電気保安のスマート化措置 事故が増加傾向にあった風力・太陽光発電設備等については規制を強化し、事故が低水準で推移していた大型火力発電設備等については規制を合理化。あわせて、各設備において保安力に応じてインセンティブを付与する制度も構築。

当座対応が可能な見直しについては平成28年度に措置済み。制度を着実に運用していくことに集中しつつ、新たな課題についても適時対応していく。

事業者の保安力の向上につながる制度

大型火力保安力に応じた検査期間の延伸

風力保安力に応じた検査期間の延伸・短縮

風力定期検査の義務化

太陽光高度な保安確保に向けたインセンティブ

太陽光標準仕様の整備

+使用前自己確認の義務化

大型火力安管審制度の見直し

メリハリのある規制(リスクに応じた規制)

サイバーセキュリティ民間ガイドラインの

保安規制への取り込み

新発電方式工事計画認可対象の見直し

措置 措置 措置

措置 措置 措置 措置

検討継続

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電気保安のスマート化に向けた検討の進捗状況 平成32年度を目途に「メリハリのある規制」・「事業者の保安力の向上につながる規制」の両面から、調査・検討を実施中、またTSOの体制整備も進行中

平成29年度までに調査を終了するものについては、平成30・31年度にかけて、制度化等を実施

23

27年度 28年度 29年度

火力設備基準性能規定化電気設備基準性能規定化水力設備基準性能規定化

設備横断リスク評価(保守点検無し)

事故情報利活用ニーズ調査

NITE:事故情報活用DB構築(その他の支援機能も随時検討)

保安力高度化に資する技術等の調査 欧米での保守手法調査

(RCM活用について)

保安力高度化に資する技術の検証

必要な追加検討をしつつ制度化等

30年度31年度

継続的な電気保安スマート化

32年度以降

事故情報報告制度の見直し

背 景

技術基準は性能規定化済み。しかし、技術基準解釈の詳細な仕様規定が、最新の民間知見の取り入れを阻害する傾向。

個々で制度設計されてきた各設備について、統一的な整理が必要。

高度な保安を実施する事業者については、制度上のインセンティブを与え、推進すべき。

事故情報の有効な整理・分析ができていない。

メリハリのある規制

事業者の保安

力の向上につ

ながる制度

技術支援機関

TSOを含めた

今後の体制整備

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【出典】 MHPSニュースリリース(2017年1月10日)より作成

台湾電力の林口火力発電所

24【出典】中部電力作成資料から抜粋

【参考】電力分野での保安力の向上に係る取組例

ビッグデータの活用AIの活用

最新機器の活用

○異常予兆の把握中部電力は、自社の火力発電所に係る高度な運転保守技術と、NECが保有するデータ分析技術を組み合わせた運転支援システムを開発。大量のプラントデータから状態変化、異常等の予兆を捉え、早期対処により最適運転(高効率、高稼働)の維持および故障の未然防止を図る。

○運転の自動化と海外展開三菱日立パワーシステムズは、AIを活用した石炭焚きボイラー燃焼調整の自動化システムを開発し、ベテラン技師による石炭焚きボイラー燃焼調整の精度を実現。台湾公営の台湾電力林口火力発電所に導入され、商業運転を開始している。

○ドローン等による自動点検東京電力では、電線に沿って飛行するドローンで電力設備を自動点検するシステムの開発や、部分放電を監視するセンサを導入することで送電線の常時監視を実現している。

【出典】https://drone-aerial-corps.com/2017/02/27/matrice200/

【出典】電力安全小委員会(第15回)資料より抜粋

Page 26: 発電用火力設備に係る動向について · 応力の強化及び復旧迅速化のための取組みを促すとともに、法令に基づく電気工作物の技 術基準(安全基準)の改定を進める。

最後に

電気保安が維持されるよう、今後も皆様とコミュニケーションをとりながら、効果的かつ効率的な保安行政の検討を進めてまいります。

ご静聴ありがとうございました。

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