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黒須正明
利用時品質とその評価
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IPA-SEC ソフトウェア高信頼化推進委員会利用時品質検討WG準備会資料2016.07.05 15:00-18:00文京グリーンコートセンターオフィス13F-C
第1回利用時品質検討WG 参考資料1(16-qius-1)
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1. HCD
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• HCD
– すべての人間が含まれてしまうことに注意• 設計者、企画担当者、営業担当者など
– 人間性に関わるような場合
– e.g. IoTを悪用した全体主義的監視社会
• UCD
– ユーザとして関係する場合
HCDとUCD
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ユーザは多様であるユーザの種類 例
直接ユーザ
システムと相互作用する人
一次ユーザ
一次的な目標達成のためにシステムと相互作用する人
能動的一次ユーザ
MRIの検査技師
教室でPPTをプロジェクタで投影する教
師
業務システムを利用して業務を行う社員(direct
user)(primary
user)受動的一次ユーザ
患者 - -
二次ユーザ
システムへのサポートを提供する人
MRIのメンテナンス担当者や医局の管理者
プロジェクタ機器を管理している担当者や、機器導入の決済者
情報部門担当者と業務のマネージャ
(secondary user)
間接ユーザ
システムとの相互作用は行わないが、その出力を受け取る人
検査技師から結果を受け取る医師
授業を受けている学生
(同社の製品やサービスを受ける人々)
(indirect
user) 4
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2. 開発プロセスと設計プロセス
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HCDプロセス
利用状況の理解と明確化
ユーザの要求事項の明確化
ユーザの要求事項に適合するようにデザインによる
解決案を作成
デザインを要求事項に照らして評価
人間中心設計プロセスの計画
デザインによる解決案は要求事項に
適合
適切な段階への反復
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似たようなもの
http://www.belient.com/concept/PDCA/PDCA.htm
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似たようなもの
http://www.blendmylearning.com/2014/05/28/using-design-thinking-to-develop-personalized-learning-pilots/
Stanford大学d-schoolのDesign Thinkingのプロセス図
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開発プロセスと利用プロセス
企画
設計
製造 販売
期待 購入 実利用 廃棄
利用実態調査
UX評価
消費者 ユーザ
利用状況理解
要求明確化
デザイン
評価
ユーザビリティ評価
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3. UX
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• 1993 Norman, D.A.がApple ComputerのUser Experience Architectに就任
• 2010 ISO9241-210– 製品やシステムやサービスを利用した時,および/または、その利用を予測した時に生じる人々の知覚や反応のこと
• 2011 UX White Paper
• ユーザ体験vsユーザ経験– 体験という言葉は一時的な意味合いがあり不適当
• ユーザの総合的な経験– UXは「売り」につながる→UXの流行語化
UXの概念
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• UXD
– 経験デザイン
• ユーザーなどが製品やサービスを利用する過程や、そこで価値を感じる出来事をデザインする行為(Wikipedia)
• 未来の出来事をデザインできるのか
• D4UX
– 謙虚に行きたい
UXDという考え方
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4. 品質特性とUX
設計品質 利用品質
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設計品質と利用品質
ユーザビリティ
満足
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客観的/主観的品質特性
客観的品質特性
主観的品質特性
ユーザビリティ
満足
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四つの品質特性群
客観的設計品質 客観的利用品質
主観的設計品質 主観的利用品質
満足
ユーザビリティ
ユーザビリティ(使いやすさ)
機能性
性能
信頼性
安全性
互換性
維持性
費用
-新規性-希少性
-認知しやすさ-記憶しやすさ-学習しやすさ-発見しやすさ-操作しやすさ-エラーの防止
-アクセシビリティ
魅力-感性訴求性-ニーズ訴求性
UI
リスク回避性
有効さ効率生産性
ユーザ特性への適合性利用状況への適合性
満足(意味性)-楽しさ-喜ばしさ-うれしさ-美しさ
-可愛らしさ-好ましさ
-反復利用への意欲
-達成感-安心感
ユーザ特性 利用状況
UX
主観的設計品質 (内的測定)
客観的設計品質 (外的測定) 客観的利用品質 (外的測定)
主観的利用品質 (内的測定)
利用品質設計品質
直接影響
知覚
直接影響
Ver.150914 (©Kurosu 2014,2015)
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• 概念が定義されなければ測定も評価もできない
• 黒須の定義(2015)では、UXは満足感に集約される
– 客観的利用品質と主観的利用品質が利用品質であり、満足感は後者の集約的概念と位置づけられる・・・感性
概念定義と測定・評価
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5. UXの評価手法
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• 実ユーザによる実利用状況における評価でなければならない
評価の大前提
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• リアルタイム評価
– Larson & Csikszentmihalyi(1983)のESM(Experience Sampling Method)
– Karapanos et al. (2009)のDRM(Day
Reconstruction Method)
– Kurosu & Hashizume (2008)のTFD(Time
Frame Diary)など
• 生々しい評価が得られる
• 長期間の測定は非常に困難
2系統の評価手法-1/2
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• 記憶ベース評価– von Wiliamowitz-Moellendorff et al. (2006)の
CORPUS
– 安藤昌也 (2007)の利用年表共作法
– Karapanos et al. (2009)のiScale
– Kujala et al.(2011)のUX Curve
– Kurosu (2014)のUX Graph
– Kurosu (2016)のESM
• 記憶の忘却や歪曲の影響を受ける– 現時点での評価に注目するなら、忘却や歪曲もそれなりの心理的効果の結果といえる
• 長期間(数ヶ月、数年)にわたるUXを評価できる
2系統の評価手法-2/2
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6. ESM
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• Experience Sampling Method
• ユーザの携帯に電話をかけるなどして、日常生活行動をとっているユーザに、そのときの状態や気持ちを尋ねる
• まさにリアルタイムではある
• ユーザにとっては日常生活行動を妨害される
• 2週間程度が実施の限界
ESMとは
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7. TFD
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• Time Frame Diary
– Diary法の一種
• 24時間を15分ずつの時間枠に分割
• 各時間枠に、どこで何をしているかを記入
• 印刷した用紙を持ち歩き、2,3時間に一回まとめて記入
• 一週間反復し、その後インタビュー
TFDとは
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8. UX CURVE
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• 横軸に時間、縦軸に製品の魅力、使いやすさ、ユーティリティ性、それに利用頻度をとる
• 利用開始時点から調査時点までの評価をユーザに曲線で描かせ、それぞれの曲線の変曲点でのエピソードを聞き出す
UX Curveとは
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UX Curveの例
http://uxonline.pl/2012/01/
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• 実ユーザによる実利用経験を記録するという点は優れている
• 曲線の描出が基本となっており、エピソードの内容が重んじられていない
• 同じようなグラフを4回描く・・疲労
UX Curveの長所短所
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9. UX GRAPH
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• UXの集約的指標としての満足度に焦点化
• まずエピソードと満足度評価を記入
• それから座標をつないでグラフ描画
• ソフトウェアツール化(前発表)
UX Graphとは
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UX Graphの例
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• UX Curveからの改善は確認された
• カーブは誘目性は高いが、実質的には満足度による評価値でUXの内容で把握できる
• 横軸の年代については記憶のあいまいなことが多い
UX Graphの長所短所
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10. 経験想起法(ERM)
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• ESM (Experience Recollection Method)
• 曲線は描かせない
• 横軸の時間はブロック化する
– 利用開始前、利用開始時点、利用開始後しばらくの時期、利用中、最近、現時点、近未来の予測
• 満足度は+10から-10の範囲
経験想起法とは
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経験想起法の例
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まとめ
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• ユーザとユーザ中心設計(UCD)
• ビジネスプロセスとデザインプロセス
• 品質特性とUX
• リアルタイムなUX評価と回顧的なUX評価
本日のまとめ