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「中国子会社との海外送金処理の整理」
2015年4月12日
中国子会社との海外送金処理の整理1-1. 外貨管理の趣旨について
国境を超える資金移動は外貨管理規制の規制がかけられている
中国でビジネスをする際には資金繰り管理が重要
日本資金移動(円建支払)
日中間資金移動(元⇔円取引)
中国内資金移動(元建支払)
国境を超える資金移動厳しく制限
中国国内取引
資本取引(元本取引)
経常取引(一般取引)
貿易取引(モノ)
非貿易取引(モノ以外)
通関の有り1
2
3通関の無し登記の有無
企業資金取引
キャピタルフライト
アジア通貨危機
マネーロンダリング
不動産高騰
【資金取引の分類】
海外との取引
一度中国国内に入ってしまうと、そこまで厳しくない(元建取引)
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中国子会社との海外送金処理の整理1-2. 資金調達手段まとめ
資金調達手段には、増資と借入がある。各種手法には一長一短があり、目的(期間等)に沿った方法を検討する。
類型 方法 参照 コメント 必要期間 調達金額
資本取引
増資(円) P5 • 減資は困難なため、資金が長期拘束される 最短1.5ヶ月 大
借入_親子ローン(円) P6 • 短期とするか、長期とするか 最短1.5ヶ月 中
借入_関係会社(元) P7 • CMS型取引 即日 大
借入_銀行(元) P8 • 利率高い、親会社の保証or担保が必要 - 中
一般取引
取引擬制による方法 P11 • 税金を支払 請求書手続 小
支払サイトの延長 - • モノによっては大変 交渉による -
ハンドキャリー P13 • 金額多額は様々なリスクを伴う 即日 小
前提説明外貨_貿易取引 P9 • モノの輸出入を伴う取引 - -
外貨_非貿易取引 P10 • モノの輸出入を伴わない取引 - -
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中国子会社との海外送金処理の整理1-3-1. 資本取引
増資資金が使用できるまで最短1.5ヶ月かかる
投注差300
資本金700
投資総額
①借入金(外貨)
②資本金(外貨)
短期
長期
投資総額に制限かける
外商投資企業の設立は自由ではない業種/金額により、市/省/国等の許可を受ける場所が異なる
(単位:百万米ドル)
投資総額 最低資本金比率 金額ベース
300以下 70%
300超~1,000以下 50%ただし最低210
1,000超~3,000以下 40%ただし最低500
3,000超 33.33%ただし最低1,200
枠は減らない
枠は減る
【資金を増加させる外貨投資取引の種類】
タイトル コメント
投資総額の検討• 事業計画(feasibility study)での3年間の収支PL及び業種/経営範囲により必要投資総額を決定する。ただし、投注差は資本金金額から逆算して求める。
資本と借入• 投注差には枠制限がある。短期借入で、1年以内にロールすれば、枠は減少しない。
• 短期融資とするか、長期融資とするかは、投資の種類によって区分する。
定款/批准証書/外貨登記書
投注差は資本金から逆算
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中国子会社との海外送金処理の整理1-3-2. 増資による方法
減資手続は難しい
増資資金を入れるには最低1.5ヶ月かかる(ただし地域により異なる)
元転に制限
資本金700
投資総額
投注差300
中国元口座
外貨口座(日本円)(米ドル)
追加借入枠
使い切った証拠(発票/記録)細かく調べられることも・・・
①5万ドル/回②10万ドル/月
留意点 コメント
増資には験資手続が必要• 験資手続とは、資本金が入金されたことを会計士事務所がチェックすること。
• 債権者保護手続きの一環で、中国らしいと言えば中国らしい手続
減資手続は困難• 手続上、減資は認められているが、実際はできない。清算するにも「実務上」1.5年以上かかることが多いため、必要以上の増資は日本からすると資金が拘束される。
為替変動の影響• 資本金口座に振り込まれた外貨資本金は、直ちに全額元転することはできない。基本的に元を使い切ってから変換が基本。為替レートの影響を受ける。
【資本金と換算通貨】
5
中国子会社との海外送金処理の整理1-3-3. 借入による資金調達(親子ローン)
外貨管理局による規制があり、1.5~2.5ヶ月を要する
中国現地法人
外貨管理局
Step1:申請
契約書/申請書などなど
Step2:許可
銀行(中国)
Step3:借入金専用口座作成
1ヶ月後
Step4:入金
0.5ヶ月
日本親会社
留意点 コメント
すぐには使用できない• 外貨による借入は使用までに1.5か月を要する
• 人民元支払の場合はさらに1ヶ月を要する
【全体フロー図】
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中国子会社との海外送金処理の整理1-3-4. 借入による資金調達(国内)
関係会社の国内人民元での借入は2つの方法がある
関係会社からの借入(直接借入パターン)は一度年度末までに返済することが必要(監査指摘を受けるリスク)
中国現地法人 中国現地法人
留意点 コメント
直接仮勘定で行うパターン• 中国では事業範囲に制約があることから、関係会社間の資金融通は自由にはできない。関係会社間の仮勘定(未払/未収など)で処理を行う。利息は付せない。
グループ間金融• グループの余剰資金を銀行の口座にプールすることで、グループ内での資金融通をするパターン(銀行は手数料のみを取る)
【直接借入パターン】
【グループ間金融パターン】
中国現地法人 中国国内金融機関 中国現地法人
7
中国子会社との海外送金処理の整理1-3-5. 海外現地での銀行借入
親会社からの保証を受ける場合には留意が必要
国内での借入資金調達は金利が高い(また、親会社の担保/保証が求められることが多い)
中国現地法人
外貨管理局
Step1:借入申請
Step3:貸付実行
Step2:保証
日本親会社
【全体フロー図】
中国国内金融機関
担保/保証金差入
Step5:保証料の支払
留意点 コメント
投注差に含まれるか否か• 中国の元建借入になるため、投注差には含まれない。しかし、親会社からの保証を受けた場合には投注差に含まれる
保証契約 • 保証契約をダマでやると日本親会社において税務リスクが発生
人民元建のため金利高い • 中国国内借入であるため、金利が高い
Step4:外債登記
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留意点 コメント
債権債務枠に限度額• 前年度取引額の30%までなど未決済金額には枠が設定されている。貿易取引には資金繰り管理は必須!
サイトの変更 • 支払サイトの変更は事前に外貨管理局にご相談を!
総額消し込み制度に • 1:1の個別対応消し込みから、総額消し込み制度へ
中国子会社との海外送金処理の整理1-4-1. 貿易取引
総額消し込み制度が採用されたが、信頼性が重要
中国現地法人 日本親会社税関
Step1:貨物輸入
Step2:通関申告書(内容/数量)記入
Step3:関税/増値税の支払
決済銀行 外貨管理局
Step4:端末に入力(オンライン)
Step5:査証(システム連動)
Step6:外貨送金
【全体フロー図】
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中国子会社との海外送金処理の整理1-4-2. 非貿易取引
1回の送金が3万ドル以下であれば、税務局を飛ばして銀行手続をすることも可能(まとめて納税)
ただし、3万ドル以下でも初回は税務局に問い合わせることをお勧めします。
税務局
Step1:登記申請
Step2:許可
銀行(中国)
商務委員会
留意点 コメント
外貨管理局の規制に留意• 3万ドル/回以下の送金は規制をくぐることはできるが、しっかり監視されているので裏ワザの使い過ぎにはご留意下さい(要注意リストに載ると翌年度からめんどくさい)。
税率の確認 • 項目によって税率は細かく設定されている。初回は税率をちゃんと確認してください。
【全体フロー図】
中国現地法人 日本親会社
技術・特許・ノウハウなどの「サービスと対価が曖昧なもの」については事前登記が必要
契約書/申請書などなど
Step3:納税
税率は細かく分類事前に納付
Step5:海外送金
外貨管理局・事務手続きのみver・細かい確認ver
Step4:送金依頼裏で銀行をコントロール
3万ドル/回以下の送金
トータル2ヶ月
10
中国子会社との海外送金処理の整理1-4-5. 立替金入金×⇒取引擬制による入金(日本→中国)
税務リスクなどがあるため、一時しのぎとしては使用できるが、長期的にはやっちゃダメ
中国現地法人
Step0:立替金の送金
日本親会社
【全体フロー図】
留意点 コメント
合理的な額に収めること• 架空売上は、やりすぎて無理な範囲(Ex.物品売上1億で5億のコンサルフィー)になると外貨規制上ひっかかるリスクが出てくる⇒資金調達のメインにはならない。
税金コストが発生 • 正しく処理しても営業税5%は発生するし、この他法人所得税も発生する・・・
税務リスク • 日本親会社/中国子会社の両方において税務リスクは残る
決済銀行
用途
Step1:書類の偽造
海外送金用途欄に「立替金」と書くと一発アウト
不動産高騰
税務局
Step2:サービスの偽造/請求書送付
Step3:営業税5%納付
Ex.コンサルフィー契約
Step5:契約書(偽造),
Step4:請求書に従い入金を受ける 日本では税務リ
スク(架空経費)
用途
Ex.コンサルフィー契約
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中国子会社との海外送金処理の整理1-4-6.立替金送金×⇒取引擬制による送金(中国→日本)
取引を擬制(偽造)した場合には、中国への入金よりも「出金」の方が厳しく問われる
中国現地法人で税務リスクをもろに食らう
中国現地法人
Step0:立替金の送金
日本親会社
【全体フロー図】
留意点 コメント
中国側で税務リスク• 架空の経費を計上しているため、税務調査が入った場合には「費用」ではないとして追徴税金を課されるリスク
あんまり多額にはできない• あんまり多額にやると(Ex.売上20万で15万のコンサル経費)詳細な説明資料が求められることもある・・・
決済銀行
Step1:書類の偽造
用途欄に「立替金」と書くと一発アウト
キャピタルフライト
用途
Ex.コンサルフィー契約
Step2:サービスの偽造/請求書送付税務局
用途
Ex.コンサルフィー契約
税務局Step3:銀行へ説明
Step4:送金
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中国子会社との海外送金処理の整理1-4-7. ハンドキャリーで持ってくるという発想
1回につき5,000ドルを超える持ち込みはできない
中国現地法人 日本親会社
税関
留意点 コメント
日常の資金繰りには向かない
• 個人で持ち込むことができる額に限度がある上に、両替することができる金額にも限度がある。
税関申請書
5,000ドル以上の現金の持ち込みはできない
Step1:税関で捕まるリスク
Step2:個人で両替できる金額には限度がある
Step3:事件があった時の責任問題・・・
マネーロンダリング?!
【全体フロー図】
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