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( 1 ) 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182号) 2012.10.11 退宿化学グランプリ受賞者のふたり 高橋君(左),副島君(右) 国際化学オリンピック開会式でのスピーチ

立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182 …...( 1 ) 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182号) 2012.10.11ホルトノキ 立教池袋の科学の力

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Page 1: 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182 …...( 1 ) 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182号) 2012.10.11ホルトノキ 立教池袋の科学の力

( 1 ) 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182号) 2012.10.11ホ ル ト ノ キ

立教池袋の科学の力

 

二〇一二年夏、立教池袋

の科学の力が花開く。

●国際化学オリンピック

 

金メダル 

副島智大

●化学グランプリ

 

大賞 

副島智大

 

金賞 

高橋優輔

●生物学オリンピック

 

金賞 

副島智大

●物理チャレンジ

 

銀賞 

高橋優輔

 

まずは彼らの体験記から

紹介します。

夏の成果

 

今年の夏、私は国際化学

オリンピック、化学グラン

プリ、日本生物学オリン

ピックの三つの科学系のイ

ベントに参加した。ここで

はそれらの感想について書

いていきたい。

 

まず、夏休みが始まって

日も経たないうちに、七月

二一日から三〇日にかけ

て、アメリカのワシントン

D.C.で開かれた国際化学

オリンピックに参加した。

これは、世界中の高校生が

集まって行う化学の国際大

会であり、今年で四四回目

の開催となる。私は去年に

引き続き、四名の日本代表

チームの一員として大会に

参加した。大会期間中は、

それぞれ五時間かかる筆記

試験と実験試験に加え、多

くのエクスカーションが用

意されており、退屈しな

かった。去年は他国の生徒

と満足に交流が出来なかっ

たという反省があったた

め、今年は積極的に交流を

行い、多くの友人を作るこ

とが出来た。肝心の試験で

も、去年と同じく金メダル

(上位十パーセント)を受

賞することができ、満足し

て大会を終了できた。

 

続いて、八月九日と十日

には慶応大学日吉キャンパ

スで化学グランプリ二次試

全国大会出場―

中高水泳部

 

今夏、厳しい予選会を経

て、中学生は溝上・山野・

田中・藤井(以上中三)・

芝本(中二)の五名が、リ

レー二種目、個人三種目で

全国大会(栃木)に出場し、

高校生は上野(高三)が

二〇〇mバタフライで全国

高等学校選手権(新潟イン

ターハイ)に出場しました。

(顧問 

酒井)

 

僕はスイミングスクール

に通ったことがなく、部活

で先生とコーチの指導のも

と練習をしています.入学

した頃の僕はやる気もな

く、練習も休みがちでし

た。しかし、二年生の時に

出た大会で良い記録を出す

ことができ、水泳の楽しさ

を知ることができました。

そして、その頃から全国大

会を目指すようになり、仲

間達と一緒に厳しい練習を

積み重ねて全国大会に出場

することができました。

 

全国大会は、今まで僕が

経験したことのない緊張感

に包まれていて、本番では

納得いく結果を残すことが

出来ませんでした。そんな

僕に、仲間達は金メダルを

作り、プレゼントしてく

れ、励ましてくれました。

 

僕はこの三年間で様々な

経験をして多くのことを学

びました。このような経験

をさせてくれ、僕をここま

で成長させてくれた顧問の

先生、コーチ、水泳部の仲

間達に心から感謝していま

す。その感謝の気持ちを胸

に高校でも水泳を頑張ろう

と思います。

(中三 

田中 

光)

  

入学以来、インターハイ

出場を目標に、毎日練習に

取り組んできました。幼少

の頃からスイミングスクー

ルで練習していたので、入

学してからも、練習は部活

験が開催された。こちらは

化学オリンピックの国内予

選とでも言うべきもので、

一次試験を突破した八〇名

の高校生が実験試験の成績

を競う。私は二次試験では

少し失敗してしまったが、

一次試験の成績が良かった

おかげで、去年に続き大賞

(上位五名)を受賞するこ

とが出来た。

 

最後に、八月十七日から

二〇日にかけて、日本生物

学オリンピックがつくばで

開催された。これは国際生

物学オリンピックの国内予

選を兼ねた大会であり、や

はり一次試験を突破した

八〇名程度の中高生が参加

する。化学グランプリと異

なり四日間という長丁場で

あり、実験試験も四種類も

課されたが、何とか乗り

切って、ここでは金賞(上

位十一名)を受賞すること

が出来た。

 

高校最後の夏に、三つの

科学系のイベントに参加

し、それぞれで貴重な体験

をできたことを非常に嬉し

く思っている。

(高三 

副島智大)

全国の「科学好き」と

の交流

 

今夏、八月五日から八日

に岡山県閑谷学校で行われ

た全国物理チャレンジ

2012と八月九日から十

日に慶応大学日吉キャンパ

スで行われた全国高校化学

グランプリ2012に参加

し、物理チャレンジでは銀

賞を、化学グランプリでは

金賞を受賞することができ

ました。

 

四、五時間の実験・理論

試験を含む密度の濃いプロ

グラムで、研究所見学など

も含め最先端の科学技術に

触れることができました。

また、どちらの大会も全国

各地から科学への深い関心

を持った高校生が集まって

おり、毎日夜を徹して普段

の生活から将来の目標まで

にわたり語り合い友情を深

めました。今回得た友人と

は今でも交流を続けていま

す。

 

全国大会への準備のた

め、先生方や部活の仲間を

はじめ多くの人に助けられ

てきました。この支えがな

ければ、このような素晴ら

しい経験をすることはでき

なかったと思っています。

今回の経験と感謝を糧に、

これからも夢に向けて一歩

ずつ精進していきたいと

思っています。

(高二 

高橋優輔)

 「化学グランプリ」、「生

物学オリンピック」、「物理

チャレンジ」はともに国際

科学オリンピックを構成す

る「国際化学オリンピッ

ク」、「国際生物学オリン

ピック」、「国際物理オ

リンピック」の国内予

選を兼ねており、彼ら

の戦績はどれも全国で

上位二〇名以内です。

また、「国際化学オリ

ンピック」の金メダル

は、二〇一二年では

七八の国や地域から集

まった二八三名が参加

する中で、上位十パー

セントに入ると受賞し

ます。

 

物・化・生・地の理

科四分野のうち、三分

野の全国大会において

これだけの成績を修め

たのは日本中でも数え

るほどしかありませ

ん。当然のことながら、

これらの結果は彼らの

才能と努力の結晶であ

ることは間違いありま

せん。それと同時に、

本校科学部には彼らの

ような人材が力をつ

け、発揮する環境が

整っているとも言える

でしょう。

 

これらの学術コン

クールの一つである

「化学グランプリ」に

は中学一年生から受験

することにより経験を積ん

だり、自分の研究を学会等

で発表することにより表現

力や発信力を養ったり、合

宿等での様々な施設の見学

を通して科学的素養を深め

たりすることに継続的に取

り組んでいます。

 

特筆すべきは、自分のや

りたい研究を自由に発想

し、実施できる環境がある

ことでしょう。さまざまな

大会で結果を残す彼らが、

その場で出会った友人と話

すときに言われるのは、「こ

れだけ自由に実験させても

らえるのはうらやましい」

ということです。

 

彼らの戦績を称えると共

に、科学部で学ぶ後輩にも

続いてほしいと願っており

ます。(

科学部顧問 

後藤)

化学グランプリ受賞者のふたり高橋君(左),副島君(右)国際化学オリンピック開会式でのスピーチ

ではなくスイミングスクー

ル中心でした。そのため、

自分の中の水泳部員として

の意識は薄く、部活は高校

の大会に出場するための場

所くらいの意識しかなかっ

たように思います。

 

インターハイの会場は新

潟。「

部活にあまり参加し

てない自分の応援にみんな

がきてくれるはずがない」

そう思っていました。しか

し実際には、先生や後輩、

同期やOBの方など、たく

さんの人が、東京から三百

㎞以上も離れた場所に、自

分のたった二分ほどのレー

スのために駆けつけてくれ

たのでした。

 

大きな応援を受けながら

も、残念ながら自己ベスト

を更新することはできませ

んでしたが、この大会を通

して、水泳は決して個人競

技ではないことを強く実感

することができました。水

泳部の一員であることを誇

りに思うことができた最高

の夏でした。

(高三 

上野浩暉)

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( 2 ) 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182号) 2012.10.11ホ ル ト ノ キ

全国大会(緑の甲子園)出場

―ゴルフ部

 

今夏の成果は、高校夏の

全国大会初出場(高三

橋)、中学全国大会団体の

部四位入賞(中三 

森川、

中二

青木・塚本・樋口・

笹井)、個人の部十二位(中

塚本岳)が挙げられます。

 

今年の全国大会も昨年同

様、中高ともに三重県で開

催され、八月六日から八日

が団体の部、九日から十一

日が個人の部と、厳しい日

程の大会となりました。

 

以下は出場した選手の感

想です。

(顧問 

永田)

 

全国高等学校ゴルフ選手

権は、地方の大会を勝ち進

んだ約一四〇名が出場でき

る大会です。

 

私にとって、この大会に

は特別な思いがありまし

た。なぜなら、春夏すべて

の全国大会出場を目標にし

ていたにもかかわらず、高

一、高二と、夏の全国大会

には進出できずにいたから

です。毎年とても悔しい思

いをしましたが、自分には

何が足りないのかを考え、

練習メニュー・トレーニン

グメニューを練って、全て

の力を出し切れるよう努力

し、最後にようやく出場す

ることができました。顧問

の先生方、ゴルフ部の仲間

達、両親、応援して下さっ

た皆様に心から感謝してい

ます。後輩には私たちの代

で成し遂げられなかった全

国大会団体の部出場の夢

を、ぜひ叶えてほしいです。

(高三 

高橋晋伸輔)

 

今年の全国大会は去年と

同じ三重白山ゴルフコース

で行われました。去年は納

得のいく結果が残せず、と

ても悔しい思いをしました

が、今年の自分達はそれ以

上の結果を出せると信じ、

三重に入りました。会場と

なったコースはかなりの

アップダウンがあり、さら

に最高気温が三六度前後の

中、三日間キャディーバッ

クを担ぐので、体力消耗の

激しい大会となりました。

 

初日はショットの調子が

悪く四回もOBも打ってし

まいましたが、他のメンバー

に助けられ、四位で終える

ことができました。今回も

チームはとても雰囲気が良

く、明日は巻き返そうと全

員で気合いを入れました。

 

最終日、トップ四校での

組み合わせで、緊張感のあ

るラウンドでした。前半を

終えて、優勝を狙える位置

にいたのですが、後半、自

分達の体力の無さから、ス

コアを崩してしまい、最終

的には四位入賞という結果

になりました。もっといい

スコアを出せたという気も

しますが、素直に嬉しいと

も感じました。しかし、こ

れで満足することなく全員

でレベルアップしていきた

いです。(

中三 

森川治門)

日々の練習、

そして団結力

―吹奏楽部

 

終業礼拝後の二〇一二年

七月二四日、立教小学校へ

「引越し」をすることから

吹奏楽部の夏は始まった。

中高校舎が工事のため、例

年とは異なる環境の中で始

まった練習。しかし時が経

つごとに見えてきた日々の

練習の成果と同時に、コン

クールで「勝つ」という部

員それぞれの意志と団結力

も徐々に強くなっていくの

を感じた。コンクールに向

けた一つの曲を何ヶ月もの

間継続的に練習すること

は、簡単なことではない。

今年度の中学生は例年に比

べ非常に少ない十五人のメ

ンバーで“Of Pride U

nfurled

を見事に演奏した。少人数

でしか出すことのできな

い、サウンドのまとまりを

感じさせる本番となり、完

成までの時間がかかった

分、曲を最後まで演奏し

きった喜びも大きかっただ

ろう。結果は銀賞だったも

のの、彼らは努力が実るこ

との素晴らしさをこの夏、

知ったのだ。

 

一方、高校生が演奏した

は“Weekend In N

ew

York

”。作曲者がニュー

ヨークを訪れた際に感じ

た、ジャズクラブでの興奮

や、街中の雑踏を描いたオ

トナな曲だ。ニューヨーク

のガイドブックやマンハッ

タンの動画から得たリアル

な世界観を、曲の中でどう

表現していくかが、部員一

人一人に求められ、練習を

重ねるごとに曲に「色」が

ついていくのを感じた。そ

してコンクール本番。

一二〇%の力を出した僕ら

に待っていたのは「ゴール

ド金賞」であった。東日本

大会にはあと一歩届かな

かったものの、何ヶ月もの

努力の結晶が一つの達成感

になっていくのをはっきり

と感じることができた。

 

この夏、中学生も高校生

も簡単には手に入れること

のできないモノを手にした。

それは「一つのことに本気

で取り組み、やり遂げるこ

との大切さ」だ。そして同

時に得た達成後の喜びを今

後の部活に、そして人生に

生かしていければ、と思う。

(高二 

森内彩樹)

ス型のスピードを、ラスト

の勝負どころで効率よく活

かすように修正をしていく

ことが求められた。まさに

集大成となるレースに臨む

仕上げの工程であった。

 

迎えたインターハイでは

予選を突破し、準決勝へ進

出。この準決勝こそが、最

大の山場にして、越えなけ

ればならない壁であった。

白石のいる最終三組目、驚

くほどのスローペースにこ

の一か月が試されるかのよ

うだった。焦らず機をうか

がい、練習通りの思い切っ

たスパートで抜け出した白

石。関東大会から別人のよ

うなレースをやってのけ、

念願のインターハイ決勝へ

と駒を進めることができた。

決勝は予想を上回る高速

レースとなるも、もともと

得意なペースの流れに乗っ

た白石は後半も粘って四位

に入賞することができた。

 

これまでの白石の歩みは

本当に一歩一歩であった。一つ

ステージに上っては壁に阻ま

れ、そしてまた乗り越えて

きた。それには様々な人たち

の支えやライバルたちの存在

が大きく、一人ではここまで

成長できなかったと改めて思

う。加えて、何度ぶつかって

も常に高みを目指してきた

本人の執念があってこそここ

まで来られたのだ。

 

これからも周囲への感謝

を忘れずに、さらなる高み

を目指し続けて欲しい。

 

一方、その「高み」にた

どり着く大きな成果があっ

た。卒業生の横田真人が

八〇〇メートルでロンドン

オリンピックに出場したの

だ。日本人としては実に

四四年ぶりのことだそう

だ。横田は現在日本の第一

人者として日本や海外の

レースでも活躍しているが、

よもや教え子が日の丸を胸

にオリンピックで走る姿を

見る日が来ようとは…夢の

ような瞬間である。本戦で

は僅差で予選突破とならな

かったが、思い描いていた

レース展開で、互角に戦え

たことに対しては納得でき

たようであった。確かに、

独特の雰囲気に飲み込まれ

ることもなく、堂々として

いるように見てとれた。レー

ス後、次のリオも狙います

と話してくれた言葉には現

実的な期待が持てた。

(顧問 

岸)

る難しさも痛感したよう

だ。本人たちの感想を聞い

てみた。

 「今回、立教池袋の代表

として参加でき、このよう

な賞を頂けた事を大変嬉し

く思っております。授業の

仲間、先生方、大会を支え

てくださった全ての方へ感

謝の気持ちでいっぱいです」

(高三 

武田大輝)

 「コンテスト本番では、外

国語であるという今までに

無い緊張感や、思いもよらぬ

アクシデントに襲われました

が、最優秀賞という結果を

頂き誠に嬉しく思います」

(高三 

武田壮史)

 

授業でのドイツ語学習を

通して、受講生全員に大き

く羽ばたき続けてほしい。

(担当 

宮谷)

ピアノ全国大会出場

 

ピティナ(全日本ピアノ

指導者協会)、ピアノコン

ペティションのF級(高三

以下)において全国大会に

出場することができまし

た。このコンクールで地区

予選、地区本選を勝ち抜き

全国大会に参加するのは、

全体の二%程度だそうです。

 

全国大会では、ショパン

の英雄ポロネーズ他三曲を

弾きました。残念ながら入

賞にとどまりましたが、専

門家を目指す人達と競い、

入賞できたことは大きな自

信になりました。これから

も、ピアノを続けていきた

いと思います。

(高二 

金森 

崚)

800mインターハイ4位高3 白石 浩之(中央正面)

800mロンドンオリンピック出場横田 真人(2005年度卒業)

現役とOBの活躍

―陸上競技部

 

八月に新潟で行われたイ

ンターハイに高三の白石が

四〇〇メートルと八〇〇

メートルで出場した。昨年

に続いて二度目の出場では

あったものの、本命の

八〇〇は関東大会をぎりぎ

りの六位で通過。しかしそ

のぎりぎりが課題を浮き彫

りにもしてくれた。本番ま

での一か月、前半ハイペー

受け継がれる伝統

―高三自由選択ドイツ語

 

第十四回全国高校生ドイ

ツ語スピーチコンテスト

で、また本校の生徒が対話

部門最優秀賞に輝いた。高

三自由選択科目「ドイツ

語」では授業活動として受

講生が全員応募する。これ

まで本選に出た八回のうち

四回が最優秀賞(副賞はド

イツ研修旅行招待)、審査

員特別賞を含め、六回連続

で受賞を続けている。今回

優勝したのは演劇部の生徒

たちだ。昨年、朝礼で先輩

の優勝演技を見て「来年は

自分たちが優勝する!」と

豪語していたらしい。とは

いえ実際に練習してみて、

美しいドイツ語で芝居をす

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( 3 ) 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182号) 2012.10.11ホ ル ト ノ キ

文芸部、松山へ

―文芸部

 

もう随分と前のことのよ

うに思える六月十七日

(日)、羽田空港第一旅客

ターミナルビルで行われた

東京大会。籤の悪戯で同一

ブロックに入った弟分のA

チームに敗れて尻に火が付

いた高校三年生だけからな

るBチーム、遮二無二挑ん

で倒した本命の開成B。地

区代表にはなれなかったも

のの、その戦いが認めら

れ、晴れて高校文芸部が第

十五回俳句甲子園―全国高

等学校俳句選手権大会の全

国大会への出場が決まった

のが六月二六日(火)。そ

の翌日からテレビなど報道

機関からの要望、全国大会

で勝負する俳句づくり、

ディベートのための鑑賞力

を深めるなどの課題が次か

ら次に出てきた。嬉しい悲

鳴とはこういうことかとつ

くづく実感したもの。

 

決戦の地、松山に乗り込

む前の四日間、工事の影響

で校舎が使えないため、立

教大学の一隅を借りて朝か

ら夕刻まで特訓。その際

に、八月十八日(土)の戦

いの前、十七日(金)に練

習試合を組んで備えたいと

の希望が部員たちから急に

出てきた。幸い引き受けて

くれたのが、今回の大会で

全国一に輝いた、地元松山

東高校。

 

十八日の予選リーグ最終

戦は、東京大会で倒した因

縁の開成Bとの全勝対決。

審査員の旗は無常にも常に

二対一で相手方に揚がり、

リベンジされて敗退。

 

翌日の敗者復活戦でも涙

を呑み、俳句のメッカ松山

での文芸部の初めての挑

戦、熱い夏は幕を閉じた。

【出場部員の声】

小野聡之「俳句は人生その

ものと確信しました」

折茂佑樹「言葉の重みを感

じることができました」

鈴木宏高「道後温泉でボッ

チャ〜ン」

岩崎由貴則「俳句五輪に出

た夢を見たよ」

立花和大「たかが日本語、

されど日本語……」

 

なお、立花君の『キャベ

ツ食う食う食う泣いてなん

かない』の句が入選した。

(顧問 

猿子)

東京私立中学高等学校

卓球大会男子シングルス優勝

―中学卓球部

シングルス優勝 

島村 

 

七月十七日〜二二日に駒

沢屋内競技場で行われた東

京私立中学高等学校卓球大

会において、今大会は天候

も良く会場も暑く、選手に

とっては辛い環境でありま

した。昨年の同大会におい

てはシングルスベスト8と

気持ちを残した大会でもあ

りましたが、今大会で念願

のシングルス優勝を果たす

ことができました。

 

試合では一三〇〇人が競

う中、危うい場面もありま

したが八回戦まで安定した

試合運びで勝ち上がってい

きました。準々決勝(九回

戦)からの試合は翌日に持

ち越され約一〇〇〇人が見

守る中始められました。相

手は中学一年生の実力者

で、島村君も試合前から弱

気な発言もありましたが、

それも彼独自の方法でリ

ラックスしていたようにも

思えました。

 

会場の拍手とともに試合

が始まり、重圧の大きい

中、早々と二セットを取ら

れ苦しい戦いになりまし

た。しかし、攻撃力のある

ドライブとサーブで三、四

セット目を取り返すと、五

セット目は勢いそのままに

勝ち取ることができまし

た。

 

技術面だけでなく、例え

2で負けていても、「こ

こから勝てる」ということ

を知っていたこと、そして

諦めないというここ一番の

勝負強さは、昨年にも勝る

部分であったと思います。

また、試合ではレベルの高

さと卓球の面白さの溢れる

プレーに、顧問の私だけで

なく会場をも引きつけるそ

の力に、驚きの連続でした。

 

そして準決勝、決勝と3

0で優勝を掴み、他の学

校の先生からも声をかけて

もらい、優勝したという実

感もあったのではないで

しょうか。本人は「私学大

会だけではまだまだです。

もっとうまい選手はいるの

で…」と言いながらも、ど

こか安心感や達成感を浮か

べながら後にした中学三年

最後の大会でした。

(顧問 

伊藤)

榛名ワークキャンプ

 

八月の榛名ワークキャン

プに、立教池袋からは二名

が参加し、他校から参加の

生徒と共に老人ホームでの

ボランティア活動を行いま

した。ワークでは、積極的

に一歩を踏み出すことがと

ても重要で、人生の先輩で

あるご年配の方々とのふれ

あいや武勇伝は、私に人生

を生き抜くための知恵と力

をたくさん与えてくれまし

た。また、毎日のワークで

感じたことや考えたことを

みんなで話し合う「分かち

合いの時間」では、この経

験を自分の中だけで終わら

せずにみんなに広めていく

ことの大切さと、高齢化社

会を迎えた日本で、高校生

である私達にしかできな

い、ご年配の方々との心の

交流の大切さを学ぶことが

出来ました。

 

私が無事キャンプリー

ダーを務めさせて頂けたの

も、ご年配の方々の思いや

りのこもったコミュニケー

ションを通じて新しい発見

や出会いが出来たのも、決

して自分一人の力ではな

く、『新生会』の方々をは

じめとして陰で支えてくだ

さった先生方の力があった

からです。本当にありがと

うございました。私はこれ

からも学校は違いますが四

日間を共に過ごした仲間と

ワークキャンプでの経験を

大切にし、努力していきた

いと思います。

(高三 

中曽根亘)

立教池袋ワークキャンプ

 

第四三回ワークキャンプ

は、医療法人社団ほたか会

が経営する群馬県高山村の

「グループホーム高山の

家」で四泊五日で実施しま

した。

 

昨年まで伺っていた群馬

県川場村の施設が工事中の

ため場所を変更しました。

中高生六名とОB合わせて

約二〇名で、施設の掃除・

庭園造りや入所者との交流

を行いました。夜はミー

ティングを行い、どんな

キャンプにしていくのか議

論し、みんなで作りあげて

いきました。途中一日は、

川場村の有料老人ホームを

訪問することができ、旧交

を深めました。(

引率 

原)

保育園ボランティアに

参加して

 

保育園ボランティアに参

加するのは今年で三度目で

あり、昨年に引き続き目白

第二保育園にお世話になっ

た。今回のボランティアで

は学ぶことが多かった。着

替えの手伝いや食事のとき

など、どこまで手を出して

いいのか、どうやって声を

かけたら自分でできる、と

気づかせることが可能なの

か、悩むこともあった。ま

た、ある子どもが砂場で泥

だんごを作り、「たこ焼き

できたよ!」と見せにきた

ことがあった。昨年ならば

「うわぁ上手だね、すごい

ね!」と、その作ったとい

う事実に感想を返していた

だろうが、それに加えて「た

清里環境

ボランティアキャンプ

 

数ある宿泊企画の中で、

このキャンプは小学校から

大学までが集まって行う唯

一の学院行事であり、今年

で九年目を迎えた。私は小

学生の頃からこのキャンプ

に参加しているが、毎年同

じ質問をされる。「毎年参

加してるけど楽しいの?」

私は明確な答えを言わな

い。何故ならそのキャンプ

が終わる頃には各々答えが

わかっているからである。

 

ボランティアという名の

下に集まったメンバーは、

いつの間にかそれをはるか

に越える存在となる。不思

議なものである。だが、こ

れこそこの清里環境ボラン

ティアキャンプの最大の魅

力ではないかと私は考えて

いる。もちろん最大の目的

はボランティア活動をする

ことであるが、それよりも

大切な人間の基礎となるも

のを再認識させられる。

何よりも大切、何よりも手

に入れることが困難なもの

を得られるのである。

 

だがそれらは実際に参加

し、関らなければ得ること

すら、見つけることすらで

きないものである。「百聞

は一見に如かず」という言

葉があるように、何よりも

行動することが大切ではな

いだろうか。

 

このキャンプはこれらを

再認識させてくれる最高の

キャンプと私は考える。

(高三 

前田 

修)

こ焼き好きなの?どこで食

べるの?」などと逆に質問

することにより、相手が四

歳児でもそこから話を広げ

ていくことができると学ん

だ。喧嘩のときにはすぐに

止めるのではなく、しばら

く様子を見てから双方の意

見を聞き、その気持ちを認

めてあげることが大切だと

も分かった。喧嘩や泣いて

しまった子の対応などは保

育士さんに任せることしか

できなかったが、どのよう

に対応したらよいのか、ま

だ手探りではあるが自分な

りに理解することができ

た。子どもたちの成長に驚

かされたが、同時に自分も

成長しているのかもな、と

漠然と思った七日間であっ

た。

(高二 

東田駿太郎)

Page 4: 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182 …...( 1 ) 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182号) 2012.10.11ホルトノキ 立教池袋の科学の力

( 4 ) 立教池袋中・高校通信 2012年度 第3号 (通刊 182号) 2012.10.11ホ ル ト ノ キ

釜石ボランティアキャンプ

英国語学研修

キャンプヒューストン

キャンプスティーブンス

立教池袋中高・広報室

 

二回目となる釜石ボラン

ティアキャンプは、八月五

日から九日まで、高校生六

名・引率教員三名で実施し

た。実質三日間における主

な活動内容は仮設住宅・神

愛幼児学園への訪問と写真

洗浄であった。

 

センターのある釜石駅周

辺は一見平穏なように見え

るが、少し車を走らせると

景色は一変する。家の基礎

だけ残った草むらや、ぐ

にゃりと折れまがったガー

ドレール、原型をとどめな

い鉄のかたまりなど、がら

んとした不自然な市街の様

子が見て取れた。目に見え

る被害だけでなく、生活や

経済、そこに暮らす人々の

内面への影響は想像に余り

あり、それらが複雑に絡み

合っている現実をまざまざ

と認識せざるを得なかっ

 

本校から十五名、香蘭女

学校から十名の生徒が参

加、現地では新座校の生徒

も合流し、全行程十三日間

の充実したプログラムにな

りました。以下、参加生徒

の感想からです。

 

今回、このアメリカキャ

ンプに参加して英語がペラ

ペラになったとは言えない

が、英語の勉強をする姿勢

は変わったと自分では思

う。なぜ変わったのかとい

うと、ネイティブの人と会

話がスムーズにできたとき

の達成感から、もっと濃い

会話をしたいと思ったから

だ。

 

キャンプではまず、キャ

ビンで一緒に泊まるスタッ

フと挨拶し、みんなでボー

ルを使い遊んだ。初めは緊

張していたがだんだん緊張

はほぐれていき、楽しむこ

 

私は今夏、英国語学研修

に参加した。実は今回この

プログラムに参加するまで

は語学研修や海外キャンプ

などに興味がなく、また、

英語自体もあまり得意では

なかったため今まで案内の

プリントが配られてもすぐ

に捨ててしまっていた。し

かし今年の英国語学研修の

案内のプリントは偶然捨て

そびれ、それが父の目に留

まってしまい、参加を強く

勧められたので渋々参加す

ることに決めた。今まで英

語学習をサボっていた私

は、参加することを決めて

から英語の学習に力を入れ

はじめた。不安を感じなが

らも八月九日、ハロウス

クールに到着し、二週間の

イギリス生活を送った。

 

私が語学研修で感じたこ

とは、想像していたよりも

日本人と外国人では考え方

の違いが大きいということ

である。例をいくつか挙げ

ると、一つ目は時間に対す

る考え方である。私は集合

た。

 

毎晩の分かち合いでは、

目に見えない被害や傷に視

線を向け、アプローチする

生徒たちの姿があった。分

かち合いでの感想をいくつ

か紹介し、活動報告とする。

 「(前回も訪ねた仮設住宅

にて)自分のことを覚えて

もらっていた。相手の顔を

しっかりと見た支援、そし

て継続した支援が重要だと

感じた」

 「自分たちのようなボラ

ンティアはすぐに帰ってし

まう。出来ればこれからも

何度も訪れて一から関係性

をつくっていきたい」

 「保育園ではだっこやお

んぶをせがむ子どもたちが

多いように感じた。もしか

したらお父さんやお母さん

を亡くした子がいるのかも

しれない」

時間の十五分前には集合場

所に着くようにしている

が、五分前になっても日本

人しかいない。時間ちょう

どになってやっと来るので

ある。しかも必ず遅れてく

る人がいる。二つ目は道行

く人の態度である。授業で

街に行きオリンピックにつ

いてアンケートをとる、と

いうものがあったのだが、

私たちが現地の人から見て

外国人であるからなのか、

ほとんどの人が話しかけた

瞬間、露骨に嫌そうな顔を

して半分以上の人がアン

ケートに答えることを断っ

た。日本ではおそらくほと

んどの人が応じてくれるだ

ろう。これには英国人イ

コール紳士のイメージを見

事に崩された。もちろん紳

士がいないという意味では

ない。彼らにとっては時間

ちょうどに来ることもアン

ケートを断ることも普通の

ことなのであろう。

 

今回の語学研修に参加し

たことはとても良い経験に

なった。現地での驚きや感

じたことは実際に行った人

でないと分からないだろ

う。私は今まで語学研修や

海外キャンプに参加しよう

と一度も思わなかったこと

に後悔した。同時に今回参

加を勧めてくれた父親にも

感謝している。

 

もしこの文章を読んでい

て、語学研修や海外キャン

プに参加したことがないと

いう人がいたら絶対に参加

するべきである。不安は数

日でなくなるうえ、現地で

の生活は何より楽しい。行

とができた。その後、ロー

プの上を二人で協力してわ

たったり、壁を助け合いな

がら超えたり、ピザをつ

くってみたりといろんなイ

ベントをしていくうちに

あっという間にジャパン

デーをむかえた。このジャ

パンデーでは、開会式の時

に歌を歌うのだが、思った

以上に日本の歌に食いつい

て聴いてくれて嬉しかった。

その後書道で名前を当て字

で書く、ということをした。

これも、これはどういう意

味なのか、書いてみたい、

など興味を持ってくれた。

 

一週間のキャンプの後は

ホームステイをした。二泊

三日という短い期間だが、

映画を見に行ったり、ハリ

ウッドで蝋人形館や手形を

見たりした。アメリカの映

画館では、終わった後は本

当にスタンディングオベー

ションをしていたので、日

本との違いに驚いた。

 

アメリカでの体験は忘れ

られないものになった。そ

れは、人との出会いや英語

で会話ができた喜びによる

ものだと思う。これからは

英語で会話することが増え

てくると思うので、この経

験を活かしていきたいと思

う。

(高一 

藤森大河)

 「英語は楽しい!」「英語

をもっとたくさん使ってみ

たい!」高校二年生になっ

て、初めてそう思えた。

 

ぼくは中学三年生から数

えて二回目のキャンプ・

ヒューストン参加となる。

行った場所も、前と同じシ

アトル。しかしそこには、

常に新しい発見があり、常

に積極的な自分がいた。こ

のキャンプに参加できて、

本当に良かった。

 

三日間のシアトル市内の

観光ののち、ぼくたちの

キャンプが始まった。二年

前の友達の懐かしい顔がち

らほら見える。初めて会う

仲間もいた。キャンプが始

まってすぐ、ぼくたちは

「ディスカバリー・グルー

プ」という十四、五人の班

に分かれた。

 

ディスカバリー・グルー

プでは野宿など、屋外活動

が中心となった。グループ

の活動を通して、お互いの

仲はどんどん深まってい

く。現地のキャンパーたち

はとてもフレンドリーで、

積極的にぼくたちに話しか

け、積極的にぼくたちの英

語を聞いてくれた。そのお

かげで、ぼくも「英語は楽

しい!」と思えるように

なった。英語を話すときの

「抵抗」のようなものも、

もうなかった。キャンプの

後、ぼくたちは二人ずつに

分かれてホームステイした

が、そこでもぼくは積極的

にホストファミリーの会話

に入ったり、自分から話し

かけたりすることができ

た。キャンプの一日一日

が、ぼくにとってすべて印

象的だった。

 「英語の楽しさ」「コミュ

ニケーションの楽しさ」

「人々のフレンドリーさ」、

そして「新たな自分」―こ

のキャンプを通してぼくに

与えられた「気づき」を、

これからも大切にしていき

たい。

(高二 

笹瀬聖人)

 「仮設住宅の談話室にて

みんなで歌をうたったが、

自分が何かをしたというよ

りは、もらったものの方が

多く感じた」

 

最後に、よき機会と出会

いを与えてくださった、聖

公会釜石被災者支援セン

ターのスタッフの方々に心

より御礼を申し上げたい。

(引率 

正村)

かずに後悔することはあっ

ても、行って後悔すること

はない。断言する。今年行

かなかった人は来年、参加

申し込み用紙を午前八時に

事務所に提出することをお

勧めする。

(高三 

竹下知輝)

今月の聖句

 

充実した中学校生活・

高校生活とはどういう

ものだろうか。この聖

書のたとえ話にある「か

らし種」と「パン種」

は有意義な示唆を与え

てくれると思う。

 

からし種、それは種

の中でも最も小さな種

のたとえである。また、

パン種の働きは直接目

に見えないが、それが

発酵して生地がふくら

んでくることは見て取

ることができる。

 

諸君の学校生活の中

にある「充実」も、そ

れがどんなに小さいも

のであっても、またそ

れに自分自身が気づか

なくとも、いつか自分

の中で大きくふくらみ、

自分を満たしてくれる。

そして、それに気づく

のは卒業してずっと

経ってからになるかも

しれない。しかし確か

に、君たち一人一人の

うちに、「充実」の種が

「その時」を待っている。

(チャプレン 

市原)

イエスは言われた。「神

の国は何に似ているか。

何にたとえようか。そ

れは、からし種に似て

いる。人がこれを取っ

て庭に蒔くと、成長し

て木になり、その枝に

は空の鳥が巣を作る。」

また言われた。「神の国

を何にたとえようか。

パン種に似ている。女

がこれを取って三サト

ンの粉に混ぜると、や

がて全体が膨れる。」

(ルカによる福音書13

章18節‒

21節)

London Eye にて