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稲沢市学校教育ICT推進計画
令和2年度~令和5年度
令和2年3月
稲沢市教育委員会
目 次
第1章 計画の策定にあたって
1 計画策定の趣旨 ·············································································································· P1
2 計画の位置づけ ·············································································································· P1
3 計画の期間 ······················································································································ P2
4 国の動向 ·························································································································· P2
第 2 章 本市の学校のICT化の現状と課題
1 本市の学校のICT化の現状 ························································································ P3
2 本市の学校ICT化における課題 ················································································ P3
第 3 章 学校ICT推進における基本的な考え方
1 ICT推進のための基本内容 ························································································ P6
2 ICT推進のための環境整備 ························································································ P7
3 授業でのICTの積極的な取り入れ ············································································ P8
4 ICTを活用した教職員の指導力向上 ········································································ P9
第4章 情報活用能力の育成と情報モラル教育について
1 必要性について ·············································································································· P10
2 本市の情報活用能力の育成と情報モラル教育について ·············································· P11
第5章 計画の推進にあたって
1 推進体制について ··········································································································· P12
2 計画の進行管理について ······························································································· P12
1
1 計画策定の趣旨
2 計画の位置づけ
稲沢市学校教育ICT推進計画(本計画)
第1章 計画の策定にあたって
現代は急速に普及の進んだインターネットやスマートフォン等から生み出される大量の
情報が駆け巡る今までにない社会となっています。この情勢は子どもたちを取り巻く環境
も同様です。
稲沢市教育委員会では「稲沢市の義務教育と学校のあるべき姿」1において、次世代を担
う子どもたちに生きる力を身につけさせるためにはより活力ある教育活動を展開する学校
づくりを目指す必要があると位置づけています。これを実現するためには、さまざまな情報
にアクセスし、データの分析が必要となるSociety5.02時代に対応した教育活動
が求められていると考えています。
このことから、子どもたちが情報活用能力を習得していけることを目指し、学校教育の場
でICT3の利用を推進していくことを図るために、稲沢市学校教育ICT推進計画(以下
「本計画」とします。)を策定しました。
本計画は、稲沢市の最上位計画である「稲沢市ステージアッププラン(第 6 次稲沢市総合
計画)」4やICT化推進の上位計画である「稲沢市ICT化推進計画」5と整合性を図りなが
ら、現在取り組んでいる「稲沢市の義務教育と学校のあるべき姿」の目標を踏まえて策定し
たものであり、稲沢市教育委員会におけるICTの活用推進に係る基本的な計画として位
置づけるものとします。
1 平成26年5月13日稲沢市教育委員会策定。
2 内閣府が平成28年1月に策定した科学技術基本計画で定義した超スマート社会の意味で
す。
3 Information and Communication Technology(情報通信技術)の略称で、通信技術を活用し
たコミュニケーションを指します。 情報処理だけではなく、インターネットのような通信
技術を利用した産業やサービスなどの総称です。
4 平成30年1月稲沢市策定。
5 令和2年3月稲沢市策定。
稲沢市ステージアッププラン
(第6次稲沢市総合計画)
稲沢市ICT化推進計画 稲沢市の義務教育と学校のあるべき姿
2
文部科学省ホームページより
本計画の期間は、ICTを取り巻く環境及び社会の進展の速度を踏まえて、令和2年度か
ら令和5年度までの4年間とします。
国はSociety5.0時代を見据え、ICTを教育分野で効果的に活用するための方
策として、「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」を令和元年6月2
5日に策定しました。さらに、教育分野において具体的にICTを取り入れるために「教育
の情報化に関する手引」を令和元年12月に策定しています。ICTの活用は個人だけにと
どまるものではなく、学校の生活や学習においても日常的に活用することが当たり前の世
の中で、教育現場において不可欠なものとなっています。例えば、新しい時代においては、
AI6を活用したドリル教材等により、習得度に合わせて繰り返し学習を実施し、子どもた
ちが知識・技能を効果的に身につけることが可能になることや、授業での子どもの発言等に
おいても時間を置かずに収集・整理・分析することで、子どもたち同士での議論が可視化で
きるようになり、より深く学ぶことが可能であります。
6 Artificial Intelligence の略称で人工知能という意味です。
3 計画の期間
4 国の動向
3
第2章 本市の学校のICT化の現状と課題
稲沢市では、平成14年度にそれまで様々な導入状況であった市内各校のコンピュータ
等及びネットワーク環境を一元化管理のための構築を行いました。平成17年度の祖父江
町・平和町との一市二町合併後は、小学校23校・中学校9校の計32校のコンピュータ等
及びネットワークを市役所本庁舎で集約しています。各学校と本庁舎とのネットワークは、
VPN7を使用した閉域網と呼ばれる外部のインターネットから分離された状態で繋いでい
ます。
平成20年度にはパソコン教室以外の普通教室や図書室等へのコンピュータの設置も完
了しました。また、コンピュータ以外にも教材掲示装置8やプロジェクタといった授業を補
助する電子機器も普通教室に導入しています。
また、平成28年度から29年度にかけて校務支援システムを導入整備し、教職員間の情
報共有、指導要録及び出席簿の作成等において教職員の事務処理の効率化を図り、負担軽減
になるよう努めました。
情報教育にあたっては、平成12年度から稲沢市立小中学校の教職員等から構成される
稲沢市情報教育推進委員会を設置しています。稲沢市情報教育推進委員会ではコンピュー
タを利用した教育活動に関することや情報教育に関する教職員の研修等、情報教育の推進
及び情報管理を図っています。
稲沢市の課題としては、国が示している「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画
(2018~2022年度)9」における目標値及び全国平均値を下回る傾向にあることが
挙げられます。
7 Virtual Private Network(仮想ネットワーク)の略称です。通信事業者の公衆回線を経
由して構築された仮想的な組織内ネットワーク、または、そのようなネットワークを構築
できる通信サービスです。
8 資料など主に平面の被写体をビデオカメラで撮影して映像信号に変換する装置です。
9 平成29年3月に公示された新学習指導要領を見据えた、平成30年度以降の学校にお
けるICT環境整備の方針について定められたものです。
1 本市の学校ICT化の現状
2 本市の学校ICT化における課題
4
文部科学省「平成 30 年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)」及び稲沢市回
答より
5
国の示す目標値に対して、稲沢市の結果は「インターネット接続率(100Mbps以上)」
及び「普通教室の無線LAN整備率」は0%という結果となっています。これは、ネットワ
ークを外部から保護するための機器設置によりネットワーク速度が制限されること、また
既存の有線LANが使用可能な状態であり現在のネットワーク機器の配置構成を踏まえて
も無線LANの導入が必ずしも必要であるとは判断されていないためでした。
「教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数」は、愛知県平均値を上回ってはいますが、
国の示す目標値及び全国平均値と比較をすると下回っています。教育用コンピュータ1台
当たりの児童生徒数は、授業では必要なときにのみコンピュータを使用し、必ずしも一人一
台のコンピュータを必要としない運用であるためにこの数値となっていると推測されます。
また、「教員のICT活用指導力」については、全国平均値に近い値ですが、国の示す目
標値には届いてはいません。教職員のICT活用指導力は人によってまばらであり、得意と
する人とそうでない人とで差が見受けられます。
これらの結果は、稲沢市のICT化の環境整備、また運用方法が国の目標からすると不十
分であること、教職員の全員が均等にICT活用指導力を備えきれていないことが考えら
れます。
6
① ICT推進のための環境整備
② 授業でのICTの積極的な取り入れ
③ ICTを活用した教職員の指導力向上
環境整備
授業での積極的な
取り入れ
指導力
向上
第 3章 学校ICT推進における基本的な考え方
前章を踏まえて、稲沢市の学校ICT推進のためには以下の三点が必要であると考えま
す。
①から➂に掲げる項目はそれぞれが独立した内容ではなく、相互に関係し合い学校のI
CT推進の土台となっていくと考えられます。
1 ICT推進のための基本内容
7
校内ネットワークの整備
児童生徒用コンピュータ等端末整備
第一として挙げたICT化推進のための環境整備について、稲沢市では現在の整備状況
を踏まえて以下のとおりに進めていくことを計画しています。
具体的な計画案は以下のとおりです。
令和2年度に各学校の校内に配線されているLANケーブルを敷設し直し、普通教室、特
別教室、屋内運動場及び屋外運動場等に無線ネットワークが繋がるアクセスポイント10を設
置予定です。
また、児童生徒が使用するタブレット端末も併せて導入していき、令和5年度には市内各
学校の全児童生徒が一人一台のタブレット端末を学校で使用できるようにしていきます。
10 無線LAN(Wi-Fi)を構成する機器の一種で、ネットワーク内の機器間の通信を
中継し、有線ネットワークや有線接続機器へ接続するための装置です。
R2年度
•校内LANケーブルの更新及び無線ネットワークの整備
•小学校5年生~中学校1年生の児童生徒に一人一台タブレット端末の整備
R3年度
•本庁舎のネットワーク機器の再構築及びインターネット回線の検討
•中学校2年生~中学校3年生の生徒に一人一台タブレット端末の整備
R4年度•小学校3年生~小学校4年生の児童に一人一台タブレット端末の整備
R5年度•小学校1年生~小学校2年生の児童に一人一台タブレット端末の整備
2 ICT推進のための環境整備
8
文部科学省ホームページより
第二に、ICTの積極的な取り入れとして、平成29年度改定の学習指導要領で求められ
ているプログラミング教育や情報モラルを含む情報活用能力の育成のためICTを活用し
ていきます。これまでも、稲沢市では、小中学校でのコンピュータリテラシーの指導や中学
校技術科での指導、各教科での調べ学習等での活用に取り組んできました。今後は、それら
に加え児童生徒の発達の段階を考慮しつつ、各教科におけるコンピュータ等を活用した学
習活動の一層の充実やプログラミング的思考の育成が求められます。
例えば、算数の授業で正多角形の作図を行う学習に関してプログラミング11を取り扱うと
きにコンピュータやタブレット端末を使用する、体育の授業で模範の動きと自分のフォー
ムを比較する、国語の授業で児童生徒がそれぞれタブレット端末に感想を入力し、教師用の
タブレット端末にクラス全員分のタブレット画面を集約させ、大型掲示装置で映すことで
瞬時に一人一人の感想を共有できるといった活用方法が挙げられます。
これらの授業は今まででは鉛筆とノートでの実施や、特別な準備が必要でしたが、一人一
台タブレット端末を使うことで、手軽で身近にICTを活用し新しい時代に対応した学習
ができるようになります。
11 コンピュータに意図した動作を行わせるために、まとまった処理手順を作成し与えるこ
とです。
3 授業でのICTの積極的な取り入れ
9
4 ICTを活用した教職員の指導力向上
現状把握とフォロー 研修による知識の定着
ICT支援員のサポート ICT活用案の提示
教職員
第三に、教職員のICTを活用した指導力の向上については、児童生徒へどのように指
導をしていくか具体案を示し、教職員間で共有をし、得意な人だけでなく均等にICT指
導力を高めていく必要性があります。稲沢市では、これまでも情報教育推進委員会が中心
となり、研修会を開催してきました。今後も、学校内だけでなく、市全体として教職員に
対して授業でICTを活用する具体案の提案や、フォローをしていくことが求められてい
きます。
例えば、研修の実施により知識の増加及び定着、アンケート等による現状の把握、また
手厚いサポートを実施できるように、ICT支援員12を配置し、学校でICTを活用した
授業が円滑に進むように援助することが求められていると考えられます。
12 学校における教育の情報化推進の実務的な支援をする人物のことです。教職員のICT
機器操作の補助や、ICTを活用した授業の打ち合わせなどを行います
10
内閣府「平成30年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)」より
第4章 情報活用能力の育成と情報モラル教育について
現在の子どもたちは、①インターネットを早い時期から利用している傾向がある、②イ
ンターネットを過度に使用してしまうことが懸念される、③SNSの増加により、知らな
い人とやり取りしトラブルに繋がることが懸念される、④インターネットの利用時間やト
ラブル経験について認識が異なるため、インターネット上でトラブルを起こしてしまうか
もしれないという自覚がない可能性があるとされています。
1 必要性について
11
情報社会の倫理
•発信する情報や情報社会での行動に責任を持つ
•情報に関する自分や他者の権利を尊重する
法の理解と遵守
•情報社会でのルール・マナーを遵守できる
安全への知恵
•情報社会の危険から身を守るとともに、デマやフェイクニュースを鵜呑みにせず判断するなど不適
切な情報に対応できる
•情報を正しく安全に利用することに努める
•安全や健康を害するような行動を抑制できる
情報セキュリティ
•生活の中で必要となる情報セキュリティの基本を知る
•情報セキュリティ確保のために、対策・対応がとれる
公共的なネットワーク社会の構築
•情報社会の一員として、公共的な意識を持ち、適切な判断や行動ができる
そのため、国は平成29年告示の学習指導要領で「情報モラル」を「情報社会で適正な
活動を行うための基になる考え方と態度」として位置づけています。具体的には、人権や
知的財産権など自分そして他の人の権利を尊重し、情報社会での行動に責任をもつこと
や、情報を正しく安全に利用できることを定めています。
稲沢市においては、これまで文部科学省公開の「情報モラル指導モデルカリキュラム」
を参考にし、専用ソフトにより情報モラル教育に取り組んできました。
今後も、児童生徒が人権・知的財産権など自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任
を持つこと、犯罪被害を含む危険の回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピ
ュータなどの情報機器の使用による健康との関わりを理解することなどを指導していき、
児童生徒が社会の情勢に対応するために、情報を主体的批判的に受け取る力、メディアに
対する自己コントロール方法を身につけ自発的に適切・安全に情報活用ができる力などの
育成を図ります。
2 本市の情報活用能力の育成と情報モラル教育について
情報社会において身につけるべき力
12
第5章 計画の推進にあたって
稲沢市教育委員会事務局が中心となり、稲沢市教育委員会及び稲沢市情報教育推進委員
会、また必要に応じて稲沢市情報化推進委員会及び稲沢市ICT化推進計画策定委員会と
も連携を図りながら行っていきます。
施策の実施に関しては、毎年度達成度合いを確認し、課題の把握及び改善に向けて対策を
講じていきます。
1 推進体制について
2 計画の進行管理について
稲沢市学校教育ICT推進計画
発行日 令和2年3月
編 集 稲沢市教育委員会事務局
〒492-8269
稲沢市稲府町1番地
電話 0587-32-1111