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電子工学 演習問題テキスト 桐蔭横浜大学 臨床工学科

演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

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電子工学

演習問題テキスト

桐蔭横浜大学

臨床工学科

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電子工学 前期 授業計画

講座の目標:ME・国試合格をめざした電子工学の各項目トレーニング

・記憶を超えて定着から反射へ、そして記憶領域はその他の知識のために空ける。

講義日 講義内容 備考

1 月 日 1講.直流回路と交流回路実力試験

2 月 日 2講.フィルタ回路

3 月 日 3講.ダイオード回路(ダイオードと整流回路)

4 月 日 4講.ダイオード回路(クランプ・リミッタ・クリップ回路)

5 月 日 5講.オペアンプ(反転、非反転増幅回路)

6 月 日 6講.オペアンプ(差動増幅、微積分回路)

7 月 日 7講.増幅器1(db 計算)

8 月 日 8講.増幅器2(db 計算)

9 月 日 9講.ディジタルの基礎

10 月 日 10 講.論理回路

11 月 日 11 講.AD/DA 変換回路

12 月 日 12 講.カウンタ回路とパルス発振回路

13 月 日 13 講.電子回路部品・半導体センサ

14 月 日 14 講.トランジスタと FET

15 月 日 定期試験

16 月 日 (試験期間中)追試等を含む

評価基準

1) 出席点は 2欠回までは合格,3回からは特別な理由を除き原則不合格とし,遅刻 2回で 1欠扱いとする。

2) 定期テストは 100 点満点換算で 80 点(80%)以上を合格とする。(それ以下は追試で再評価)

3) 1 枚のプリントを 10 分以内でほぼ完全に解答できるように、次回までに復習をする習慣を付ける。 1~2枚のプリントをいつも持ち歩き、復習や見直しをしたらカレンダー等にチェックするとよい。 (休み時間や通学時、帰宅後などでよい。時間は段階的に 20→10→数分程度の時間、集中して行う)

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はじめに

ME 技術実力試験や国家試験の合格をめざすみなさんが、どのように ME や国家試

験を突破する力をつければいいのか、そのポイントについて解説します。これらの

試験は定期試験のように一夜漬けなどの勉強方法でやろうとしたら範囲が広くて時

間が足りません。ですから、計画的な受験勉強形の学習方法が必要です。つまり、

合格テクニックとして、少々計算が面倒な電気・電子分野の知識は、早い段階で記

憶を超えて体に定着させることが得策です。そうすれば、試験が近づくにつれて、

存分に医療系の問題に力を注ぐことができるからです。

これらの試験は医療の職場で共に働く人材の最低条件として、学習姿勢やある課

題に対してまじめに継続的な取り組みができるかどうかが問われていると考えてく

ださい。

それでは、電気・電子系の問題に取り組む前に、問題の特徴を把握してみましょ

う。電気・電子系の問題は、

・ まず、問題の一つひとつは決して難しい問題ではない。

・ 解答するために計算や考え方が必要なため、1対 1の暗記のようにできない。

・ 範囲が広いので短時間での詰め込みが難しい、または敬遠される。

ということです。

この3点をしっかり理解して、これらをクリアする方法を身に付け、継続的な努

力を続ければ、この分野は多くの人が8割(80点)はできるようになります。

その対策方法としては、

・ 解法を理解したら、習慣的に短い時間で繰り返す。(スポーツの基礎トレーニン

グのように)

・ 電気・電子系の科目は時間の余裕のある間に記憶を超えて定着させておく。

つまり、日常的に演習問題を見たり、解くことを習慣として行えるようにするこ

とがポイントで、合格への近道です。体が慣れるまで、最初は大変でも決まったサ

イクルで頑張って繰り返すことです。数週間もすれば習慣化できるので、自然と解

法や考え方が体に定着し、電気系問題がスラスラできるようになります。これは、

スポーツの基礎トレーニングと全く同じです。日々のトレーニングで、“記憶を超え

て定着から反射へと変えていきます”。このようにすることで、記憶容量に余裕が生

まれ、その余った力で十分に医療系問題に力を注ぐことができるようになります。

日々の小さな努力の継続が最も大切です。飛躍を期待しています。

平成30年4月10日

森下 武志

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電子工学 第2回講義 フィルタ回路と周波数特性

(1)フィルタ回路とは

フィルタ(ろ過)とは、ある特定の必要な周波数成分だけを通して,不要なも

のは通さない回路をいいます。従って、電子回路の分野のフィルタという場合、

周波数を基本としたフィルタを考えます。

つまり周波数によって状態が変化するので周波数特性(グラフ)を把握するこ

とが大切です。周波数特性は下記のように横軸に周波数を,縦軸に利得(ゲイ

ンといい、入力と出力の比率です)をとったグラフを書きます.

また周波数特性と共に位相特性も必要になります.これは横軸に周波数を縦

軸に位相をとったグラフになります。RとCの回路ですから当然位相はズレます。

また、フィルタ回路を大別すると、ローパスフィルタとハイパスフィルタに

分けられます。ローパスフィルタは低い(ロー)周波数だけを通す(パス)フィル

タであり、ハイパスフィルタ高い周波数だけを通すファイタ回路です。

ローパスフィルタ

(積分回路や平滑回路もこれと同じ回路の形)

ハイパスフィルタ

(微分回路はこれと同じ回路の形)

・低周波数だけが Vinから Voutへ通過

周波数が高くなると(点線部)、C が

導通状態(ただの線)になり、電位が

GND(0V)レベルに落ちてしまう。

(Vout端子が下の線と直結状態)

・高周波数だけが Vinから Voutへ通過

周波数が低くなると(点線部)、C が絶

縁状態になって、電気が通れない。

同じ働き(等価回路)のローパスフィルタ

同じ働き(等価回路)のハイパスフィルタ

GND (0V)

抵抗の位置が逆になって、コンデンサとコイルが逆になっている(逆逆の関係)。

L

L

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フィルター回路の周波数特性(グラフで理解する)

ローパスフィルタ ハイパスフィルタ

上図のように“通す、通さない範囲”の特定状態(この場合 1/√2)に至るまで

の時間は、Rと Cの積で表せれ、T = CR [s] で求められ、時定数という。

また、 f= [Hz]を遮断周波数という。(∵ω= (重要パラメータ))

例えば、R-C 直列回路で、R=1MΩ、C=0.1μF のとき、時定数を求めよ。とあ

ったら、T = CR = 1×106×0.1×10-6 = 0.1 [s] となります。

(2)整流回路と平滑回路(詳細は次回の講義で)

交流から直流に変換する整流回路では、交流の脈動を減らすために、コンデ

ンサの充放電の特性を生かした平滑回路を用います。これは、一種の“ローパ

スフィルタや積分回路(太らせる)”と見ることもできます。

整流ダイオード D のすぐ後ろにコンデンサ C を並列に接続し、コンデンサの

充放電電流によって平滑作用を行わせるこの回路を平滑回路と呼んでいます。

コンデンサ C の静電容量が大きいほど直流に近づきますが、充電時の突入電流

が大きくなるため、ダイオードなど部品の耐圧が課題となります。

周波数ω( f )

振幅比(

利得)

db

0.707

ω0

1

遮断周波数 周波数ω( f )

振幅比(

利得)

db

0.707

ω0

1

通す範囲 通さない範囲

通す範囲 通さない範囲

縦軸の 1 は、入力が、そのまま出力されるということ

充電

放電

Vi Vs Vo

ωt ωt ωt

C の効果

Vs Vo Vi

2 1

( の点)

2 1

( の点)

2πCR

CR

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パルス回路(第2回講義(3))

パルス波とは、継続時間が極めて短く、一定の周期で繰り返される電圧や電

流波をいいます。パルス波には、電圧や電流の成分が正の正パルスと成分が負

の負パルスがあり、また波形の形状が尖鋭なパルスをピーク波、あるいはスパ

イク波と呼んでいます。

(1)微分回路 下図の C-R 直列回路にパルス幅の異なる 3 種類のパルス波の入力を別々に加え

ると、抵抗 R の両端の電圧波形は、時定数 T=CR とパルス幅τの関係で右下の

ような波形になります。“RC = T <<τのとき、微分回路”となります。

(2)積分回路

→ t 0

RC >>τ

→ t 0

0 → t

RC <<τ

(低周波数のとき微分波形)

(高周波数のときはそのまま)

0

→ t

0 → t

τ

0 → t

→ t 0 ~ C

R

RC <<τ

Vr

Vr

Vr

C

R VrVi

Vi Vr

RC >>τ

(高周波数のときは積分)

0 → t

Vr

→ t 0

Vr

0 → t

(低周波数のときそのまま)Vr

周波数を一定で、R や C の値で T を変えても当然関係は同じ

Vi

Vi

Vi

0 → t

τ

Vi

Vi

0 → t

Vi

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電子工学 第2回講義

交流回路(フィルタ回路)

- 6 -

【問題 21-30 類似】 端子 ab 間のインピーダンスの大きさ( Z )を縦軸に、周波数(f )を横軸にとって、

それぞれの回路特性グラフを描きなさい。

【問題24-24】 図に示す回路のインピーダンスの大きさの周波数特性はどれか。ただし、横軸は周波数、

縦軸はインピーダンスの大きさ|Z|とする。

【問題25-29】 図の回路と同様なフィルタ

特性を示す回路はどれか。

周波数f

インピーダンス

周波数f

インピーダンス

周波数f

インピーダンス

周波数f

インピーダンス

周波数f

インピーダンス

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電子工学 第2回講義

交流回路(フィルタ回路)

- 7 -

【問題23-28】 図の回路について誤っているものはどれか。

1) 時定数は CR である。

2) 遮断周波数はCR2

1である。

3) 積分回路としても使用できる。

4) 入出力間に周波数に依存した位相ずれを生ずる。

5) 遮断周波数より低い周波数を減衰させる。

【問題28-24】 図 a の周期信号(周期 1ms)を図 b のフィルタに入力した。出力電圧 v (t)に最も近い波形

はどれか。

【問題25-40】 図のように電力パルス波がある。このパルスのエネルギーは何 J か。

1) 2.5

2) 5

3) 25

4) 500

5) 2000

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電子工学 第2回講義

交流回路(フィルタ回路)

- 8 -

【問題 21-30 類似】 端子 ab 間のインピーダンスの大きさ( Z )を縦軸に、周波数(f )を横軸にとって、

それぞれの回路特性グラフを描きなさい。

【問題24-24】 図に示す回路のインピーダンスの大きさの周波数特性はどれか。ただし、横軸は周波数、

縦軸はインピーダンスの大きさ|Z|とする。

【問題25-29】 図の回路と同様なフィルタ特性を示す回路はどれか。

4)

周波数f

インピーダンス

周波数f

インピーダンス

周波数f

インピーダンス

周波数f

インピーダンス

周波数f

インピーダンス

5)

解答

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電子工学 第2回講義

交流回路(フィルタ回路)

- 9 -

【問題23-28】 図の回路について誤っているものはどれか。

1) 時定数は CR である。

2) 遮断周波数はCR2

1である。

3) 積分回路としても使用できる。

4) 入出力間に周波数に依存した位相ずれを生ずる。

5) 遮断周波数より低い周波数を減衰させる。

【問題28-24】 図 a の周期信号(周期 1ms)を図 b のフィルタに入力した。出力電圧 v (t)に最も近い波形

はどれか。

【問題25-40】 図のように電力パルス波がある。このパルスのエネルギーは何 J か。

1) 2.5

2) 5

3) 25

4) 500

5) 2000

5)

1)

4)

解答

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電子工学 第 3 回講義

ダイオード回路

- 10 -

【1】 ダイオード(Diode)の問題に取り組む前に

1) ダイオードとその性質

一つの結晶体において、左半分が p 形⇔正、右半分が n 形⇔負 の構造になって

いる半導体を“pn 結合形ダイオード”、単に“ダイオード”といいます。

p 形 ⇔ 正、〇白丸(正孔)(電子が抜けたイメージ) ←これを正のキャリアと呼ぶ。

(ポジティブ ホール)

n 形⇔負、●黒丸(自由電子)(電子(粒)のイメージ) ←負のキャリアと呼ぶ。

(ネガティブ チャージ)

この性質があるため、

p 側へ正の電圧を加えると、正と正のホール〇が反発方向へ移動 ⇒ n 側へ到達

n 側へ負の電圧を加えると、負と負の電子●(自由電子)が反発し移動 ⇒ p 側へ到達

よって、正のホール〇と負の電子が混ざりあり、移動できる⇒ 電流となる。

逆に、

p 側へ負の電圧を加えると、正のホール〇と引き合う ⇒ p 側の電極へ集中

n 側へ正の電圧を加えると、負の電子●(自由電子)と引き合う ⇒ n 側の電極へ集中

よって、電極側へキャリア(粒)が分極してしまうので、電気は流れない。

図に示すように、ダイオードはアノード A 側に+側の電圧、カソード K 側に-の

電圧を加えたとき、電流を流します。この電圧方向を「順方向電圧」といい、ここ

で流れる電流を「順方向電流」といいます。

ダイオードの図記号

A

(アノード) K

(カソード)

P 形 N 形

pn 形結合

+-

(+側) (-側)

+ -

(+側) (-側)

(正孔) (電子)

p 型側に正の電圧を加えた場合

n 型側に正の電圧を加えた場合

空乏層が広い

空乏層が狭い

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電子工学 第 3 回講義

ダイオード回路

- 11 -

ダイオードの種類によって多少異なりますが、下図のようにシリコンダイオード

の場合、0.7V を境に急激に電流を流す特徴があります。これはy軸側から見方を変

えれば、流れる電流に関係無くほぼ一定の電圧(0.7V)であることもわかります。

この作用を利用すれば、ダイオードを用いて一定の電圧(定電圧)を得ることができま

す。(抵抗値の変化などで電流が変化しても、ダイオード間の電圧は一定となる)

一方、カソード K 側が+(正)でアノード A 側が-(負)の“逆向きの電圧”を

加えたとき「逆方向電圧」といい、このとき「逆方向電流」は電流を流しません。

この様に一方方向にだけに電流を流す作用を「整流作用」といい、交流を直流に変

化する回路などに利用されます。

ただし、意図して限界を超えるような大きな逆方向の電圧を加えた場合、無理に

流せるようになる電圧のポイントがあります。この逆方向に流れ出した電圧を“降

伏電圧”または“ツェナー電圧”といいます。この特性を意図的に利用するダイオ

ードを“ツェナーダイオード”といい、これには逆向きに電圧を加えます。この回

路で電源電圧が降伏電圧(ツェナー電圧)を超えると回路に電流を流します。同時

にツェナーダイオード間の電圧は常に一定の電圧(定電圧)となります。

ツェナ―

ある決まった一定の電圧で起きる現象で、 降伏電圧(大きい逆電圧で流れ出す点)という。 この作用を利用したダイオードをツェナ―ダイオード

と言い、定電圧を発生させる際などに用います。

順方向電圧

V

順方向電流

逆方向電流

逆方向電圧

I

0.7V A K

+ -

順方向電流 A K

+ -

逆方向 逆方向側 順方向側

A K

+ -

無理やり通す (VF)

電源電圧が変化しても、電流

が変化しても D 両端の電圧は

ほぼ一定(特性より)です。

このグラフより、これ以上の電圧は、このダイオ

ードの両端に加わらないことを意味している(曲

線が上にないから)。同時に、(0.7V 以上に対

応する電流域では)電流の大きさに関わらず

電圧一定(この例は 0.7V 一定)を示している。

ツェナ―ダイオード

正(+)側に K ソードが

(逆向き)接続されている

V は一定で

変化しない

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電子工学 第 3 回講義

ダイオード回路

- 12 -

1、(理想的な)ダイオード」の基本動作を理解する

【考え方1】 ダイオードは“A(アノード)から K(カソード)に流す”

・順方向電圧に対して、抵抗 0Ω(単なる導体として見る、スイッチ ON として考える)

・逆方向電圧に対して、抵抗∞(電流は流れない絶縁体(切れた状態)、スイッチ OFF)

【考え方2】 電池等を含む場合は、“場合分け”し、

“A の電位が K より高ければ ON になる、電位差スイッチ”と考える

順方向の場合(A側が+)

A K + -

単なる導体(導通状態)

逆方向の場合(K側が+)

A K + -

×

切れた状態(消してよい)

×

A KA K

(ON 状態) (OFF 状態)

Vin (4.9V)

E (5V)

E (=5V で逆電圧)の例 “5V で場合分け”

A K A K

(場合1)Vin (電源側)が5V 以下の時

つまり、単に電池の回路になる

K 側が大きいからダイオードは OFF 状態

スイッチ ON 状態 スイッチ OFF 状態

流れる(導通状態)

(水は高い方へ)

流れない(絶縁)

5V ×

つまり、切れた状態(消してよい)

(場合2)Vin (電源側)が5V 以上の時

A 側が大きいからダイオードは ON 状態

5V Vin(5.1V)

E (5V)

E (=5V の順電圧)の例 “5V で場合分け”

E (5V)

5V Vin (4.9V)

(場合1)Vin (電源側)が5V 以下の時

5V Vin (5.1V)

A 側が大きいからダイオードは ON 状態

(ON 状態) (OFF 状態)

K 側が大きいからダイオードは OFF 状態

つまり、単に電池の回路 つまり、(消してもよい)

(場合2)Vin (電源側)が5V 以上の時

※上記の2つの例で、もし電池が逆に接続されている場合は5V を「-5V」と考えること

(水は高い方へ流れない) (低い方へは流れる)

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電子工学 第 3 回講義

ダイオード回路

- 13 -

3、整流回路と平滑回路

ダイオードの用途として、家庭用の商用交流から直流電源を得る AC アダプタなど

があります。これには、ダイオードを利用した整流回路と平滑回路を用います。

【整流回路】

ⅰ)半波整流回路

ⅱ)全波整流回路

【平滑回路:谷を埋める働き(フィルタと似ているが回路の目的が異なるので別回路)】

平滑回路は、交流の正側(プラス側)に集められた波形の山を、“一定(直流)にな

らす”回路で、この作用を「平滑」といい、この回路を「平滑回路」といいます。

この回路は下図のようにコンデンサ C を並列に接続します。図において、C が大き

いほど平滑作用は大きくなります(Cの充電量が多ければ、より谷間を埋められるから)。

つまり、より直流に近づけることができるので、電圧変動(リップル)を抑えること

ができます。C で埋めきれていない谷間部分を電圧変動(リップル)といいます。

Vo Vi

Vo

(スイッチングを 考える)

Vo

Vo

全波整流波

C 容量が大きいとより多く C 容量が小さいとき埋めも少ない

Vo

平滑回路の出力波形

Vo

半波整流波

(見方を変えると)

Vo C

平滑回路

向きが逆

これも逆逆則

逆方向は通す

ので回路的に

は同じ端子だ

から電圧無し

(マイナス時)

埋めきらなかった部分(リップル:電圧変動)

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電子工学 第 3 回講義

ダイオード回路

- 14 -

【29AM51】図の pn 接合で正しいのはどれか。

a. 多数のキャリア A は正孔である。

b. 多数のキャリア B は正極の方向へ移動する。

c. 電圧 E を高くすると電流は増加する。

d. 電圧 E を高くすると空乏層が大きくなる。

e. 電圧 E を高くすると降伏現象が生じる。

1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e

【演習問題】ドロップ電圧が 0.7V のダイオード D を図の回路に使用し、電源電圧 E を5V に設定したら回路

を流れる電流が 10 mA であった。次に、この電源電圧 E を10V に設定したら、この回路に流れる電流が

20 mA になったとき、ダイオード両端の電圧 V は、およそ何 V になるか。ただし、ダイオード D は理想ダイ

オードとする。

1) 0.7

2) 1.4

3) 4.3

4) 5.0

5) 9.3

【問題 24-26】 図のようなハンダゴテ過熱防止装置を作って、60W(100V 用)のハンダゴテを接続した。ス

イッチSをオフ状態にすると、ハンダゴテはいくらの電力を消費するか。ただし、D は整流用ダイオードで、

その抵抗は無視でき、また、ハンダゴテの抵抗は変化しないものとする。

1) 50 W

2) 42W

3) 30W

4) 21W

5) 15W

【統一模試 PM50】ツェナー電圧2V の理想的ツェナーダイオード(ZD)を含む図回路の電圧―電流特性で正

しいのはどれか。

R

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電子工学 第 3 回講義

ダイオード回路

- 15 -

【30PM53】 図のツェナーダイオード(ツェナー電圧 3V)を用いた回路で 20Ωの抵抗に流れる電流[mA] は

どれか

1. 0

2. 100

3. 150

4. 250

5. 400

【29PM52】 図 1 の回路の LED の電圧電流特性を図 2 に示す。この回路に流れる電流 I [mA] はどれか。

1. 5

2. 10

3. 15

4. 20

5. 30

【問題 31-33】図の回路で電圧 V はおよそ何 V になるか。ただし、ダイオード D は理想ダイオードとする。

1) -140

2) -100

3) 0

4) 100

5) 140

【統一模試 PM51】 交流電源電圧 Ve(実効値)が図中の値であるとき、出力電圧 Vo の最大値が約 141V と

なる全波整流回路はどれか。ただし、ダイオードは理想ダイオードとし、電源電圧 Ve の周波数は 50Hz、また、

変圧器も理想変圧器で、巻数比は一次側対二次側を1:1とする。

20Ω

5V ツェナーダイオード

図 2

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電子工学 第 3 回講義

ダイオード回路

- 16 -

【29AM51】図の pn 接合で正しいのはどれか。

1.多数のキャリア A は正孔である。

2.多数のキャリア B は正極の方向へ移動する。

3.電圧 E を高くすると電流は増加する。

4.電圧 E を高くすると空乏層が大きくなる。

5.電圧 E を高くすると降伏現象が生じる。

1.a,b,c 2.a,b,e 3.a,d,e 4.b,c,d 5.c,d,e

【演習問題】ドロップ電圧が 0.7V のダイオード D を図の回路に使用し、電源電圧 E を5V に設定したら回路

を流れる電流が10 mA であった。次に、この電源電圧 E を10V に設定したら、この回路に流れる電流が

20 mA になったとき、ダイオード両端の電圧 V は、およそ何 V になるか。ただし、ダイオード D は理想ダ

イオードとする。

1) 0.7

2) 1.4

3) 4.3

4) 5.0

5) 9.3

【問題 24-26】 図のようなハンダゴテ過熱防止装置を作って、60W(100V 用)のハンダゴテを接続した。ス

イッチSをオフ状態にすると、ハンダゴテはいくらの電力を消費するか。ただし、D は整流用ダイオードで、

その抵抗は無視でき、また、ハンダゴテの抵抗は変化しないものとする。

1) 50 W

2) 42W

3) 30W

4) 21W

5) 15W

【統一模試 PM50】ツェナー電圧2V の理想的ツェナーダイオード(ZD)を含む図回路の電圧―電流特性で正

しいのはどれか。

R

(1)

ダイオードの特性から、ドロップ電圧

を越えると順電流が増えてもドロッ

プ電圧が変化しない

(3) 半波整流され得られる電流(波形)は半分になるので、

得られる電力も半分になる。(∵ 電圧一定)

(3)

ZD は逆方向に接続されているので2V(降伏電圧≒ツェナー電圧)まで電流を流さない。この電圧を過ぎて流

れ出すとダイオードの性質(ON 状態=だたの線)で回路を考える。(∵ I=V/R、つまり I は電圧に比例)

解答

(1)

Page 19: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

電子工学 第 3 回講義

ダイオード回路

- 17 -

【30PM53】 図のツェナーダイオード(ツェナー電圧 3V)を用いた回路で 20Ωの抵抗に流れる電流[mA] は

どれか

1. 0

2. 100

3. 150

4. 250

5. 400

【29PM52】 図 1 の回路の LED の電圧電流特性を図 2 に示す。この回路に流れる電流 I [mA] はどれか。

1. 5

2. 10

3. 15

4. 20

5. 30

【問題 31-33】図の回路で電圧 V はおよそ何 V になるか。ただし、ダイオード D は理想ダイオードとする。

1) -140

2) -100

3) 0

4) 100

5) 140

【統一模試 PM51】 交流電源電圧 Ve(実効値)が図中の値であるとき、出力電圧 Vo の最大値が約 141V と

なる全波整流回路はどれか。ただし、ダイオードは理想ダイオードとし、電源電圧 Ve の周波数は 50Hz、また、

変圧器も理想変圧器で、巻数比は一次側対二次側を1:1とする。

変圧器比1:1より、入力電

圧=出力電圧となるので、

100V 実効値⇒141V 最大値。

また出力電圧の極性に対応

する全波整流回路は、1,2,3。(入力側が+側、-側共に負

荷側へ流れ込める D の方向)

(2)

20Ω

5V ツェナーダイオード

解答

(1)

ダイオードの向きから整流される波

形を考える。題意は実効値 100V より

最大値 140V (100√2 をとなる)

(2)

(2)

ダイオードに3V なので抵抗は2V に

分圧する。後はオームの法則。 I=(5v-3v)/20=0.1=100mA

Rd = Vd / I = 2v/10mA= 0.2K = 200Ω↑グラフより

それ以外の図 2 の組み合わせでは抵抗

間電圧と D 間電圧の和が 3V にならない

∴Rt = 100Ω+200Ω I = 3v/300Ω = 10mA

図 2

Page 20: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

- 18 -

【4】クリップ回路・リミット回路

上記のように整流回路に正弦波交流電圧を加えると、入力電圧に対してある一定

の電圧レベルで切り取る電圧が得られる。これをクリップするといい、このような

回路をクリッパと呼んでいます。クリッパには、いくつかの組み合わせがあり、

ⅰ) 波形上部だけを切り取る回路 → ピーククリッパ

ⅱ) 設定レベル電圧の下部だけを切り取る → ベースクリッパ

ⅲ) 波形の正負側をある振幅で切り取る → 振幅制限回路(リミッタ)

ⅳ) 特定のレベルで波形の上部と下部を切り取る → スライサ

などがあります。

ⅰ) ピーククリッパ ⅱ) ベースクリッパ

ⅲ) 振幅制限回路(リミッタ)

E

Vi

【Vin が E(V)以下の場合】

(何も無い回路と同等)

【Vin が E(V)以上の場合】

(電池部の回路が働く)

(そのまま出力)

【Vin が-E(V)以上の場合】 【Vin が-E(V)より低い場合】

(Vin が-E(V)より小さい時)

単に、ⅰ)とⅱ)の組み合わせ回路

それぞれ一つずつ求めて、重ね合わ

せる

【E2(V)以上の場合】

(何も無い回路と同等)

電池が逆向きだから

マイナスとして考える

【E2(V)以下の場合】

(E2の電源回路となる)

E

入力

E2

ⅳ) スライサ

(そのまま出力)

0V

-5V

Vin

Vin

Vm

E

Vm

-E

電子工学 第4回講義

ダイオード回路

E

-E E E

Page 21: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

- 19 -

この部類の問題の考え方と解き方

【ステップ1】 P18 のような回路の場合はステップ2から解く。

ダイオードは、流入口のアノード A と流出口のカソード K の電圧レベルの差が大切

であった(P12 参照)。よって、その判断をするためまず電池に近づける必要がある。

【ステップ2】電池の電圧をダイオード側にも書き、その部分を抜き出してダイオードだけの図

を書く。

【ステップ3】電池の電圧を境に、入力電圧が“以上”、“以下”で場合分けをする。

3-1 入力電圧が電池の電圧(5V)以上のとき(例:5.1V、6V、7Vなど)

入口 Kの方が高いので水は流れる

→ダイオードはただの線になる

3-2 入力電圧が電池の電圧(5V)以下のとき(例:4.9V、3V、-2V など)

入口 Kの方が低いので水は流れない

→ダイオードは断線(線が無い)になる

【ステップ4】まとめ:入力波形と電池電圧5V直線を点線で描く。次に、入力波形が5

V以上部分は5V一定を実線で直線、5V以下の部分は入力波形を実線にする。

※ 逆逆の法則:2 箇所を逆にすると等価な回路になる

位置を逆にして、向きを逆にする

逆逆の法則で

5V

5V

5V

問題に書いてあった5V

自分で書いた5V

以上

以下

P P

5V 5.1V,6V,7V など

P

5V 5V

5V

4.9V,3V,-2V など P

線だけの回路より、入出力波形は同じ

10V

5V

10V

5V

←これが答えの波形

5V 以上の部分

5V 以下の部分

Page 22: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

電子工学 第 4 回講義 クリップ・リミッタ回路 等

- 20 -

【問題24-25】 図の回路に振幅 10Vの正弦波電圧と入力したときの出力波形はどれか。ただし、Dは

理想的なダイオードとする。

【問題 24-25 類似】 図の回路に振幅 10Vの正弦波電圧と入力したときの出力波形はどれか。ただし、Dは理

想的なダイオードとする。

【29 統一模試 1AM56】 図1の回路に図2の入力波形を加えたときの出力波形の概形として正しいのはどれ

か。ただし、ダイオードは理想ダイオードとする。

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電子工学 第 4 回講義 クリップ・リミッタ回路 等

- 21 -

【29 統一模試 2PM54】 図1の回路に図2に示す電圧 E を入力したとき、ダイオード D2 に電流が流れる区

間はどれか。だたし、ダイオードは理想ダイオードとする。

1. A と B

2. A と E

3. B と D

4. C のみ

5. B と C と D

【問題 25-22】 図の回路に(A)のような方形波(1 波形のみ)を入力した。出力波形はおよそどのようにな

るか。ただし、ダイオードは理想ダイオードとし、C=10μF、R=100kΩとする。

【問題 25-32】 図の回路で入力電圧(V in)を 0V~10V に可変した場合、P点の電圧(V P)の変化で正しいものは

どれか。ただし、図中のダイオードは理想ダイオードとする。グラフは横軸が入力電圧で、縦軸がP点の電圧

である。

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電子工学 第 4 回講義 クリップ・リミッタ回路 等

- 22 -

【問題24-25】 図の回路に振幅 10Vの正弦波電圧と入力したときの出力波形はどれか。

ただし、Dは理想的なダイオードとする。

【問題 24-25 類似】 図の回路に振幅 10Vの正弦波電圧と入力したときの出力波形はどれか。ただし、Dは理

想的なダイオードとする。

【29 統一模試 1AM56】 図1の回路に図2の入力波形を加えたときの出力波形の概形として正しいのはどれ

か。ただし、ダイオードは理想ダイオードとする。

(5)

解答

ダイオードの位置を電池の近くへ移動して(等価回路で)、“5V で場合わけ”をして考える。 そこで K 側が5V 以上なら絶縁状態(OFF)で、入力信号がそのまま出力。K 側が5V 未満ならば、

導通状態(ON)なので電池の電圧が出力される。(クランプ回路の代表例)

(1)

電池が逆向きの場合は,-5V で考える。 以下、上記と同様に解く。

ダイオードが2つの回路(リミッタ回

路)の場合、回路を1つずつに分けて(単純にして)重ね合わせの理。以下、上記

と同様に考える。

(4)

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電子工学 第 4 回講義 クリップ・リミッタ回路 等

- 23 -

【29 統一模試 2PM54】 図1の回路に図2に示す電圧 E を入力したとき、ダイオード D2 に電流が流れる区

間はどれか。だたし、ダイオードは理想ダイオードとする。

1.A と B

2.A と E

3.B と D

4.C のみ

5.B と C と D

【問題 25-22】 図の回路に(A)のような方形波(1 波形のみ)を入力した。出力波形はおよそどのようにな

るか。ただし、ダイオードは理想ダイオードとし、C=10μF、R=100kΩとする。

【問題 25-32】 図の回路で入力電圧(V in)を 0V~10V に可変した場合、P点の電圧(V P)の変化で正しいものは

どれか。ただし、図中のダイオードは理想ダイオードとする。グラフは横軸が入力電圧で、縦軸がP点の電圧

である。

(4)

パルス L のとき断線(OFF)状態で、パルスが H のとき

D はだたの線、そのとき D≒0Ω、時定数 T:RC=0 [s]より T<<τより波形はその

まま見える。また入力波形は

1パルスなので、立ち下がり

後は、そのパルスで充電され

た電荷が C から放電され、

徐々に電圧は減少する

右側の5V 電源があるので、アノード側(点 P)が Vin が5V 以上でダイオードが ON 状態に。

従って、5V で場合わけする。Vin が5V 以下

は電池の開放されている状態の電圧。Vin が5

V 以上の場合の回路の点 P の電位は抵抗間の分

圧電圧(傾き 1/2 の電圧)として現れる。 (4)

解答

Vin が 5V 以下のとき Vin が5V 以上のとき

Vin-5=

上記と同様の考

え方で、その過程

を考えて解く。

(2)

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- 24 -

オペアンプ(Operational Amplifire)の問題に取り組む前に

オペアンプは集積化された半導体の一つで、「入力が2つ、出力が1つありその

2つの入力間の電圧をきわめて大きな増幅度で増幅して出力する増幅器」です。

オペアンプの回路記号は下図のような三角形で表します。2つの入力端子はそれ

ぞれ非反転入力(IN+)、反転入力(IN-)と呼び、出力端子(OUT)には、反転入力端子

と非反転入力端子の間の電圧をきわめて大きな増幅度で増幅した電圧が現れます。

(1)オペアンプの特徴

オペアンプの特徴を言葉で表現すると、「高入力インピーダンス、低出力インピ

ーダンスで、高帯域特性を持ち、高い利得を持った増幅器」といえます。問題を解

く場合は、以下に述べる理想的なオペアンプの動作特性を条件として考えます。

① 電圧増幅度 A(オープンループゲイン) → ∞ (実際は、5000~200000 倍)

② 入力インピーダンス Zin → ∞ ( 〃 数十 MΩ程度)

③ 出力インピーダンス Zout → 0 ( 〃 数十Ω程度)

④ 周波数特性(扱える周波数帯)→∞ ( 〃 直流~100KHz 程度)

その他の特性として、

⑤ 内部雑音が小さい

しかし,周波数が高くなると、抵抗による熱雑音が無視できなくなり、出力ノ

イズ VNが増加します。

VN= fRkT4 (k:ボルツマン定数、T:絶対温度、f :雑音帯域幅周波数、R 抵抗)

⑥ オフセットが小さい

実際は入力を0V にしたとき、出力に現れてしまう電圧をオフセット電圧と呼

んでいます。オペアンプは2つの入力電流のわずかな差が生じると、これによ

る増幅で出力した電圧をオフセット電圧(Voffset)と呼んでいます。また、入力側

で流れたわずかな電流をバイアス電流(IB)と呼んでいます。(Voffset=IBR2)

⑦ ドリフトが小さい

電源電圧や周囲温度の変化により回路の動作点が移動し、この影響は出力に生

じることをドリフトと呼んでいます。

非反転入力(IN+)

反転入力(IN-) 出力端子

(OUT)

オペアンプの図記号

利得(Gain):入力信号の大きさに対する出力信号の大きさのこと。ゲインとか増幅度、増幅率など

とも言ったりすることがある。

同相弁別比:オペアンプは差動増幅器であるため逆相信号を増幅し、同相信号を抑制する働きがあ

ります。この逆相信号の増幅度と同相信号の増幅度の比を同相弁別比と呼び、この値が大きいほど

優れた差動増幅器となります。CMRR(Common Mode Rejection Ratio)ともいう。

+15V

-15V

回路図では省略

されることが多い

電子工学 第5回講義

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- 25 -

(2)イマジナリーショート(これも問題を解くための重要な考え方の一つ)

オペアンプは増幅度が非常に大きいため、このまま使用すると出力がすぐに飽和状

態になって増幅作用をもたせるのは不可能なので、実際の回路では下図のように負

帰還増幅器(反転入力(IN-)側に帰す)として用います。

理想的オペアンプは①より電圧増幅度は非常に大きい(∞)から、出力電圧 Vout か

ら見た入力電圧は非常に小さいと見ることができますので、入力 Vin=0V と考え

ることができます。従って端子 aは仮想的(イマジナリ)に接地(アース)している

とみなせるので、②の入力インピーダンス∞にもかかわらず、“非反転入力端子と

反転入力端子が短絡(接続)されている”と考えることができます。これを、イマジ

ナリーショートとかイマジナリーアースと呼んで、問題を解く上でも、式を簡単化

するためにも大切な考え方の一つになります。

これら理想的オペアンプの特徴をイメージ化すると下図のようになります。

定数設定による特性(⇒入力抵抗 R1と帰還抵抗 R2は、KΩ単位の抵抗値を用いる)

その理由として、

ⅰ)入力抵抗 R1 と帰還抵抗 R2が小さすぎる時(例えば、R1=1Ω、R2=9Ωの時)

出力電流の能力限界を超えるため「・振幅がとれない ・利得がとれない、

・歪率が悪化する」の不具合を生じます。

ⅱ)入力抵抗 R1 と帰還抵抗 R2が大きすぎる時(例えば、R1=1MΩ、R2=9MΩの時)

IN- 端子に流れるバイアス電流の影響が無視できなくなり、オフセットが大

きくなる、・周波数特性が狂う、・ノイズが増加する」などの問題を生じます。

飽和状態:入力信号に対応した出力信号が得られない、オペアンプの電源電圧に近い電圧で増幅が

止まってしまっている状態など、回路の増幅能力がもう一杯になっていること。

帰還増幅回路:出力端子から非反転入力(+)側に帰す接続を「正帰還回路」といい、逆に反転入力

(-)側へ接続する回路を「負帰還回路」という。オペアンプは通常、負帰還で使用する。

オペアンプのイメージ回路 イマジナリーショート

~ + -

Zin=∞

Zout=0 o

o

oA=∞

o

o

o短絡

oo

Vout

Vin=0

Vin << Voutより

Vin Vout

a R1 R2

反転入力側 (IN-)

Vin << Vout (=∞)

∴ Vin ≒ 0V

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- 26 -

(3)オペアンプの基本回路

ⅰ)反転増幅回路(符号(±)を反転させて波形を大きくする回路)

この回路は下図のように入力する信号電圧を反転入力(IN-)端子に加え、出力側

より負帰還させ、非反転入力(IN+)端子はグランドに接地します。また、負帰還回

路は反転入力端子に接続された R1(入力抵抗)と R2(帰還抵抗)により構成すします。

【反転増幅回路の信号の流れと考え方】

①反転入力端子 IN-と非反転入力端子 IN+は、

等電位(イマジナリショート)で、IN+端子は

グランドに接続されているので0Ⅴです。

IN+=IN-、IN+=0Ⅴ、と表せるので、

“ IN-も0Ⅴ”となり、“P も0Ⅴ”となります。

②一方、反転入力端子 IN-はインピーダンスが∞

だから、端子 IN-へ電流は流れません。

③従って、R1を流れる I1の電流は、そのまま R2を

流れる I2となります。つまり、I1= I2= I

同時に P=0V(グランドに直接接続されている)と

見ることができるので、Vin= I × R1となります。

Vout の電位は0V以下なので、-Vout =-(I × R2)

④よって、増幅度 Aと入出力の関係は

増幅度 A = = = -

Vout =- Vin

Vin Vout

R1 R2

どれも

同じ回路

反転増幅回路の記述パターン

P

IN-

IN+=

0V

0V

流れない (∵入力 Z は∞)

Vin

IN-

Vout

Vin

-(I × R2)

(I × R1)

R2

R1

VoutVin

R1 R2

I1 I2 (=I1) → → P

符号が反転

入出力の波形の関係

V Vo

Vi

R2

R1

0V

(~)

-Vout

Vin

× ×

I

(基準電位)

(マイナス電位)

(プラス電位)R1

R2

省略されていた線

電子工学 第5回講義

R1

R2

R1

R2

R3

R4

Ⅴout=―(1 + )Ⅴin R3

R4

入力抵抗を高める特殊な形

Page 29: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

- 27 -

ⅱ)非反転増幅回路(正相増幅器ともいわれ信号を IN+側に入力する負帰還回路)

この回路は、下図のように入力する信号電圧を非反転入力(IN+)端子に加える。

また、出力端子とグランド間を負帰還抵抗 R2 と入力抵抗 R1 で分圧し、その間の電

位を反転入力(IN-)端子に接続し負帰還回路を構成しています。

【反転増幅回路の信号の流れと考え方】

①イマジナリショートの考え方から

非反転入力端子 IN+と反転入力端子 IN-は、

IN+=IN-より IN+=0Ⅴ、と表せるので、

“ IN-=Ⅴin”となり、“P もⅤin”となります。

②一方、入力端子のインピーダンスは∞

だから、IN+、IN-へ電流は流れません。

③従って、入力の電位Ⅴin は

Ⅴin=I×R1

で表せるようにⅤin と I、R1の関係が

成り立ちます。

また、Ⅴout の電位は、IR1と IR2の和

であることがわかります。

Ⅴout = IR1+ IR2 (=Ⅴin+IR2)

④よって、増幅度 Aと入出力の関係は

増幅度 A = = = = = 1 +

Ⅴout = Ⅴin Ⅴout=1 + Ⅴin

また、式を Vout で整理すると、 Ⅴin= Ⅴout

同じ回路

R1 R2

Vin Vout~

入出力の波形の関係

V Vo

Vi

R1 R2

Vout~

P

Vinショート

R1 R2 Vout

Vin

P (Vin) I

× ×

R1

R2

Vout

(Vin) P

IR1 (=Vin)

IR2 Vout

Vin

I R1 + I R2

IR1

R1+ R2

R1

R2

R1

となり、要するに Vin は Vout の分圧の分です。

Vin + I R2

(Vin=)IR1

R1+R2

R1

R1

R1+R2

R2

R1

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第5回講義 オペアンプ(反転、非反転増幅回路)

- 28 -

【演習問題1】オペアンプが持つ優れた特性として誤っているものを選びなさい。

1)オープンループゲインが大きい。

2)入力インピーダンスが大きい。

3)出力インピーダンスが大きい。

4)ドリフトが少ない。

5)同相弁別比が大きい。

【問題 29-30】図のオペアンプ回路のi

O

V

Vはどれか。

1) 1-1

2

R

R 2)-

1

2

R

R 3) -

2

1

R

R

4) -21

1

RR

R

5) -

21

2

RR

R

【問題 31-34】図のオペアンプ回路のi

O

V

Vはどれか。

1) 1

21 )(

R

RR

2) 2

21 )(

R

RR

3) )( 21

1

RR

R

4) )( 21

2

RR

R

5) 1

2

R

R

【演習問題2】(10-29)

右図の増幅器の入力を Vi、出力を Vo としたとき、

利得(入力に対する出力の倍率)はいくらか。

Page 31: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

第5回講義 オペアンプ(反転、非反転増幅回路)

- 29 -

【演習問題 3】(14-24)

右図の増幅器の増幅度と入力抵抗を求めなさい。

ただし、オペアンプの増幅度は十分大きいものとする。(14-24)

【演習問題 4 】(19-23)

理想増幅器を用いた図の増幅器で誤っているものはどれか。

1)増幅度は(1+R2/R1)である。

2)入力抵抗は無限大である。

3)オペアンプの2つの入力端子は等電位である。

4)出力抵抗は0である。

5)入力と出力の位相差は 180 度である。

【問題 32-35】図の回路において Vi に 3V の信号を入力すると Vo は何 V になるか。

1) 1

2) 2

3) 3

4) 6

5) 12

【問題 26-24】 図のオペアンプ回路で、出力端子 Aと Bの間に 500Ωの抵抗を接続した。この 500Ωの抵抗に

は何mAの電流が流れるか。

1) 12

2) 6

3) 4

4) 3

5) 1.5

【問題 30-25】理想オペアンプで構成した図の回路で、30kΩの抵抗を流れる電流を 0.3mA としたい。R は何 k

Ωにすべきか。

1) 18

2) 9

3) 1

4) 0.3

5) 0.1

(2)

100KΩ

10KΩ

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第5回講義 オペアンプ(反転、非反転増幅回路)

- 30 -

【演習問題1】オペアンプが持つ優れた特性として誤っているものを選びなさい。

1)オープンループゲインが大きい。

2)入力インピーダンスが大きい。

3)出力インピーダンスが大きい。

4)ドリフトが少ない。

5)同相弁別比が大きい。

【問題 29-30】図のオペアンプ回路のi

O

V

Vはどれか。

1) 1-1

2

R

R 2)-

1

2

R

R 3) -

2

1

R

R

4) -21

1

RR

R

5) -

21

2

RR

R

【問題 31-34】図のオペアンプ回路のi

O

V

Vはどれか。

1) 1

21 )(

R

RR

2) 2

21 )(

R

RR

3) )( 21

1

RR

R

4) )( 21

2

RR

R

5) 1

2

R

R

【演習問題2】(10-29)

右図の増幅器の入力を Vi、出力を Vo としたとき、

利得(入力に対する出力の倍率)はいくらか。

(3)

(2)

(1)

(21倍)

解答

Page 33: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

第5回講義 オペアンプ(反転、非反転増幅回路)

- 31 -

【演習問題 3】(14-24)

右図の増幅器の増幅度と入力抵抗を求めなさい。

ただし、オペアンプの増幅度は十分大きいものとする。(14-24)

【演習問題 4 】(19-23)

理想増幅器を用いた図の増幅器で誤っているものはどれか。

1) 増幅度は(1+R2/R1)である。

2) 入力抵抗は無限大である。

3) オペアンプの2つの入力端子は等電位である。

4) 出力抵抗は0である。

5) 入力と出力の位相差は 180 度である。

【問題 32-35】図の回路において Vi に 3V の信号を入力すると Vo は何 V になるか。

1) 1

2) 2

3) 3

4) 6

5) 12

【問題 26-24】 図のオペアンプ回路で、出力端子 Aと Bの間に 500Ωの抵抗を接続した。この 500Ωの抵抗に

は何mAの電流が流れるか。

1) 12

2) 6

3) 4

4) 3

5) 1.5

【問題 30-25】理想オペアンプで構成した図の回路で、30kΩの抵抗を流れる電流を 0.3mA としたい。R は何 k

Ωにすべきか。

1) 18

2) 9

3) 1

4) 0.3

5) 0.1

100KΩ

10KΩ

解答

(―10 倍、10KΩ)

(5)

(4)

(2)

(3)

Page 34: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

- 32 -

(1) オペアンプの基本回路

ⅲ)差動増幅回路(2入力の差分を増幅する回路)

この回路は、非反転入力端子と反転入力端子の双方に加えられ、その電位差が増幅

される回路です。入力信号は反転入力側に抵抗 R1 を介して接続し、出力は反転入力

側に R2 を介して負帰還接続されます。この R1 と R2 で分圧した電圧が帰還されてい

ます(ここは反転増幅回路と同じ)。一方の非反転入力端子側には、入力抵抗と帰還

抵抗と同じ値の抵抗(R3,R4)を用いて、このR3と R4で分圧した電圧値を入力します。

【差動増幅回路の構成と出力信号の求め方】

① Ⅴ2=0のとき、反転増幅回路と見なせるので

Vout1 =- V1

② Ⅴ1=0のとき、非反転増幅回路と見なせます。

この回路は R3 と R4 の分圧電圧 V2’が入力端子に

加わるので、

Vout2 =(1+ )V2’= V2’

= V2

= V2 = V2

③ 出力電圧Voutは以下のように、“Vout1とVout2の和” で表される。(重ね合わせの理)

Vout = Vout1 +Vout2 =- V1+ V2 = ( V2 ― V1 )

Vout = Vout1 +Vout2 =- V1 + V2

R1 R2

R3

R4

V1

V2

Vout

R2

R1

R2

R1

R1+ R2

R1

R1+ R2

R1

R4

R3+ R4

R1+ R2

R1

R2

R1+ R2

(出題回路より、R1=R3、R2=R4 の場合は) R2

R1

R1 R2

R3

R4

V1

V2=0

~ Vout1

R2

R1

R2

R1

R2

R1

R1 と R3、R2 と R4 は同じ抵抗の問題が場合が多い

R1 R2

V1=0

V2

Vout2

V2’

(分圧された電圧が入力)

R3

R4 ~

R1+ R2

R1

R4

R3+ R4

R2

R1

…………式2

R1≠R3、R2≠R4 の場合(問題 33-44 の解法)

第6回講義

(V2’は分圧の公式より)

式2

…式1

式1

R1=R3、R2=R4 の場合

Page 35: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

- 33 -

ⅳ)積分回路(オペアンプによる場合)

この回路は、方形波を三角波に変えたり(その逆も)、方形波のエッジを検出することを目的と

した回路です。回路構成は反転入力端子に入力電圧 Vin を加えると、点 Pは電位0Vで、入力イン

ピーダンス∞なので、この端子内に電流は流れ込まないため、i = Vin/R の関係で、この電流 i

は全てコンデンサ C 側へ流れ込みます。このとき流れ込んできた電荷がコンデンサ C に蓄えられ

ます(充電されます)。このときの蓄えられた電荷量は

Q = …… ① (←電流 iを、“式で蓄えた表現”という感覚です)

と表すことができます。この C の端子間の電圧は Vc は であるから、これで生じ

た“電位の負側”が出力端子 Vo の電位となります。(式②のマイナスの理由)

Vout =- …… ②

さらに解析を進め、式①を ②の Q に代入すると

Vout = - …… ③

ここで電流 i は、I=Vin/R(上記解説文中)から

Vout= - = -

と表すことができ、

① 正弦波(sinθ)を入力→余弦波(-cosθ)が出力(sin の積分値)。

② 方形波を入力→時間tで増えた面積を表す三角波が出力。

③ 一定電圧を入力→下降(反転なので)し、電源電圧で頭打ち。

(ただし、入力波形は基準電圧(右図では0V)に対して

正が負に(+と-が)変化していることに注意)

ⅴ)微分回路(オペアンプによる場合)

この回路のコンデンサの電流と電圧の関係は

この電流に抵抗器が接続されると電流と電圧は

この2つの式より、

Q C

QC

(∵Q=CV)

dti

dti

1 C

1 C dt

R

Vin 1 CR dtnVi

(∵ R は時間 tに関係ない定数)

R

C +Q -Q

Vout

Vin

i

i P

Vc Vin(=iR)

① 正弦波を入力→出力は正弦波で 90o 進み、逆位相になる (sinθ)入力→(cosθ,sin の微分値)→(-cosθ,反転回路より)

② 三角波を入力→方形波へ変換される

③ 一定の電圧入力→0V を出力(定数の微分は0)

④(方形波を入力→立上りで負、立下りで正のパルス)

積分回路の逆的な出力

①正弦波は 90o 遅れて、逆位相に

②方形波は三角波に ③正の一定値は下降(負傾き)

②三角波は方形波に

①正弦波は 90o 進み、逆位相に

③一定電圧は、0V に ④方形波入力はパルス

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- 34 -

実践的な微分回路と積分回路

ⅳ)ⅴ)で示した回路は、実践的にはノイズや高周波を強調しまう、オフセット電圧

が誤差要因になってしまうなどの注意事項があるので、実践的(実用的)には、

ⅳ-2)実践的な微分回路(ローパスフィルタ)(基本形は、反転回路の変化形を念頭に)

ⅴ-2)実践的な積分回路(ローパスフィルタ)

R Vo

Vi

C

R1 の配置が 上でも同じ

ⅳ)の微分回路

ⅴ)の積分回路

破線部が遮断回路となっていて

遮断周波数 f0 = CR12

1

f0 << CR12

1

のとき Vout=-

dtd

CR 2 Vin(t)

f0 >> CR12

1

のとき Vout=-

1

2

RR Vin(t)

Vin Vout

(←微分動作)

(単なる反転増幅)

破線部が遮断回路となっていて

遮断周波数 f0 = CR12

1

(遮断周波数以下のときは、微分回路(低周波の除去)として働く)

(遮断周波数以上のときは、単なる反転回路として働く(C はだたの線より))

ここは、より小さい、

と読み替えても OK

Vin Vout

遮断回路

遮断回路

f0 << CR12

1

のとき Vout=-

1

2

RR Vin(t)

f0 >> CR12

1

のとき Vout=- dttV

CRin )(

1

1

(単なる反転増幅)

(1)遮断周波数以下のときは、単なる反転回路として働く(C は断線より)

(2)遮断周波数以上のときは、積分回路(高周波の除去)として働く

f f0

利得

f f0

利得

(↑積分動作)

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- 35 -

書き方のバリエーション(配置を考えてよく見れば“全部同じ回路”です)

1)反転増幅回路の書き方バリエーション

2)非反転増幅回路の書き方バリエーション

ViVo

R1 R2

Vin

Vout

R1

R2

Ⅴout=―(1 + )Ⅴin (←1+に注意)

R1

R2

R3

R4

R3

R4

入力抵抗値を高める場合の特殊な形の反転増幅回路

Vin Vout

R1

R2

基本形

基本形

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第6回講義 オペアンプ(差動・加算増幅回路)

- 36 -

【問題23-27】 図の増幅器の入力1に直流 0.1V を、入力2に直流-0.2V を加えた。出力電圧は何 V か。

1) –6

2) –4

3) –2

4) 2

5) 6

【問題22-22】 図の増幅器の出力電圧 eoの大きさはいくらか。

1) 0.1V

2) 0.2V

3) 0.25V

4) -0.1V

5) -0.2V

【問題25-28】 図は理想オペアンプで構成した差動増幅器である。R がいくつのときにCMRRは最

大になるか

1) 5kΩ

2) 10kΩ

3) 20kΩ

4) 50kΩ

5) 100kΩ

【問題24-27】 図のオペアンプ回路で、入力Aに+1V、入力Bに-0.5V を入力した。出力電圧V0は何

Vか。

1) 5

2) 2.5

3) 0

4) -2.5

5) -5

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第6回講義 オペアンプ(差動・加算増幅回路)

- 37 -

【問題27-26】 図のオペアンプ回路の入力に±5V で 1kHz の方形波を入力した。出力波形はどれか。た

だし、オペアンプは理想オペアンプとする。

1) 方形波

2) 三角波

3) 正弦波

4) インパルス

5) のこぎり波

【問題33-44】 図のオペアンプ回路で、Rt はサーミスタである。抵抗 R1~R3 はすべて 10kΩである。

Rtが 10kΩのとき出力 VOはゼロであった。温度が上昇し Rtが 9kΩに変化したとすると、出力電圧 VOは何 V

になるか。ただし、オペアンプは理想的とする。

1) 10

2) 4.5

3) -0.5

4) -4.5

5) -10

【プラスワン】 電圧フォロワ(ボルテージフォロワ)(フォローする回路≒弱い信号を助け、回路分離する)

同相弁別比:オペアンプは差動増幅器であるため逆相信号を増幅し、同相信号を抑制する働きがあります。

この逆相信号の増幅度と同相信号の増幅度の比を同相弁別比と呼び、この値が大きいほど優れた

差動増幅器となります。CMRR(Common Mode Rejection Ratio)ともいう。

→ I1

P

R2

R3

Rt

R1

特徴:負帰還回路で、増幅度(倍率)が1倍、非反転増幅回路

のため入力と出力の位相は同相。

・入力インピーダンスが高い(OP アンプの基本)

・出力インピーダンスが低い(OP アンプの基本)

そのため、次のことができる。

・インピーダンス変換:センサ等の微弱な信号が扱える

・回路の分離(入力側と出力側を):電気信号を一方通行にする

断線← ∞Ω

0Ω

Vo=(1+1

2

RR

)Vi より Vo=(1+0)Vi → Vo=1×Vi

1倍となる

負帰還回路 ←

小さい電流の信号が → → 大電流の信号になれる

倍率について非反転増幅回路と見れば、

ここを境に

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第6回講義 オペアンプ(差動・加算増幅回路)

- 38 -

【問題23-27】 図の増幅器の入力1に直流 0.1V を、入力2に直流-0.2V を加えた。出力電圧は何 V か。

1)-6

2)-4

3)-2

4) 2

5) 6

【問題22-22】 図の増幅器の出力電圧 eoの大きさはいくらか。

1) 0.1V

2) 0.2V

3)0.25V

4)-0.1V

5)-0.2V

【問題25-28】 図は理想オペアンプで構成した差動増幅器である。R がいくつのときにCMRRは最

大になるか

1)5kΩ

2)10kΩ

3)20kΩ

4)50kΩ

5)100kΩ

【問題24-27】 図のオペアンプ回路で、入力Aに+1V、入力Bに-0.5V を入力した。出力電圧V0は何

Vか。

1) 5

2) 2.5

3) 0

4)-2.5

5)-5

(1)

(3)

(4)

(4)V3=- (V1 +V2)R3

R1

解答

Page 41: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

第6回講義 オペアンプ(差動・加算増幅回路)

- 39 -

【問題27-26】 図のオペアンプ回路の入力に±5V で 1kHz の方形波を入力した。出力波形はどれか。た

だし、オペアンプは理想オペアンプとする。

1)方形波

2)三角波

3)正弦波

4)インパルス

5)のこぎり波

【問題33-44】 図のオペアンプ回路で、Rt はサーミスタである。抵抗 R1~R3 はすべて 10kΩである。

Rtが 10kΩのとき出力 VOはゼロであった。温度が上昇し Rtが 9kΩに変化したとすると、出力電圧 VOは何 V

になるか。ただし、オペアンプは理想的とする。

1) 10

2) 4.5

3)-0.5

4)-4.5

5)-10

同相弁別比:オペアンプは差動増幅器であるため逆相信号を増幅し、同相信号を抑制する働きがあります。

この逆相信号の増幅度と同相信号の増幅度の比を同相弁別比と呼び、この値が大きいほど優れた

差動増幅器となります。CMRR(Common Mode Rejection Ratio)ともいう。

加算回路(差動増幅に対して)について

Vout=V1=0 + V2=0

=- ・9V + ・9V

= - 0.5V

解答

(2)

(3)

I3=I1 +I2

∴ V3=- (V1 +V2)

R3

R1

→ I1

→ I2

→ I3

×

V3V2

V1

R3

R1

R2

9V-4.5v

9KΩ

VR1=0.5×10K=5V

別解(+側、-側をそれぞれ 0V した和)

I1 = =0.5mA

Vout=4.5-5V= - 0.5V

10

9

19

9

1

2

点 P は R2R3 の等分圧、イマジナリーショート

より 9v/2=4.5v

→ I1

P

R2

R3

Rt

R1

二つの反転増幅回路が重なっている回路と考えると

柔軟に対応できる。入力が3つでも同様に加える。

V3= - V1 + - V2 +・・・・・

R3

R1

R3

R2

R1 =R2 の場合(入力抵抗が同じとき)

これは反転増幅回路

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第7回講義

増幅器(デシベル dB 変換問題 他)

- 40 -

【問題22-24】 図は帰還増幅器を表す。i

o

e

eはどれか。

1) A

2) A

1

3) A

4) A

5) A

A

1

【問題22-32】 電圧増幅度 10 倍の増幅器と電圧増幅度 20 倍の増幅器を直列に接続した。全体の

電圧増幅度は何 dB か。ただし、ℓog102=0.3 とする。

1) 30

2) 33

3) 40

4) 46

5) 60

【問題22-35】 雑音について誤っているものはどれか。

1) 増幅器の S/N は大きいほどよい。

2) 増幅器の雑音は周波数帯域幅を広くすると大きくなる。

3) 複数段増幅器の雑音は主として最終段増幅器の雑音である。

4) 信号源抵抗が大きくなれば熱雑音は大きくなる。

5) 生体信号に重畳するハム雑音は一般に同相である。

【問題23-22】 入力インピーダンスが図に示されるような直流増幅器に、信号源抵抗 r をもつ方

形波電圧信号を入力した。増幅器の出力波形として考えられる波形はどれか。ただし、信号源抵抗 r、

入力容量 Ciは無視できないものとする。

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第7回講義

増幅器(デシベル dB 変換問題 他)

- 41 -

【問題23-26】 電圧増幅度が 80dB の増幅器がある。入力端子を短絡して出力を測ったところ、

雑音が 10mV(実効値)であった。この増幅器に 10μV(実効値)の信号を入力したとき、出力における

S/N は何 dB か。上記以外の雑音は加わらないものとする。

1) 0

2) 20

3) 40

4) 60

5) 80

【問題25-30】 図のように電圧増幅度が 60dB で出力抵抗が 50Ωの増幅器に負荷抵抗 50Ωを接続

した。入力に実効値 10mV の交流電圧を加えた。負荷抵抗で消費される電力はいくらか。

1) 2 W

2) 1 W

3) 0.5W

4) 0.2W

5) 0.1W

【問題26-26】 実効値1Vの信号の雑音レベルがー40dB のとき、雑音の実効値は何mVか。

1) 0.1

2) 1

3) 10

4) 20

5) 25

【問題28-35】 電圧増幅度が 60dB の差動増幅器がある。2 つの入力端子を結合して、実効値 1V

の 50Hz 正弦波信号を同相信号として入力したところ、実効値 0.1V の出力が得られた。この差動増幅器

の同相弁別比は何 dB か。

1)0.1

2)10

3)40

4)60

5)80

Page 44: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

第7回講義

増幅器(デシベル dB 変換問題 他)

- 42 -

【問題22-24】 図は帰還増幅器を表す。i

o

e

eはどれか。

2) A

3) A

1

4) A

5) A

6) A

A

1

【問題22-32】 電圧増幅度 10 倍の増幅器と電圧増幅度 20 倍の増幅器を直列に接続した。全体の

電圧増幅度は何 dB か。ただし、ℓog102=0.3 とする。

2) 30

3) 33

4) 40

5) 46

6) 60

【問題22-35】 雑音について誤っているものはどれか。

1) 増幅器の S/N は大きいほどよい。

2) 増幅器の雑音は周波数帯域幅を広くすると大きくなる。

3) 複数段増幅器の雑音は主として最終段増幅器の雑音である。

4) 信号源抵抗が大きくなれば熱雑音は大きくなる。

5) 生体信号に重畳するハム雑音は一般に同相である。

【問題23-22】 入力インピーダンスが図に示されるような直流増幅器に、信号源抵抗 r をもつ方

形波電圧信号を入力した。増幅器の出力波形として考えられる波形はどれか。ただし、信号源抵抗 r、

入力容量 Ciは無視できないものとする。

eo=A(ei-βeo)

(eo+Aβeo)=Aei

eo=A ei /(1+Aβ)

(5)

全体の増幅度 Aは 10×20=200倍

増幅度 G[dB]は 20log200 で

=20log(100×2)

=20(log100+log2)

=20(2+0.3)=46 (4)

増幅度(率)A のとき、全体の増幅度(利得)

G [dB]は 20logA で表される

(3)

初段増幅器の雑音が、後段増幅器

で徐々に増幅されるので、初段を

抑えることでその性能を高める。 ハム雑音とは電源周波数に準じた低

い「ブーン」という雑音(交流雑音)

Ri=∞と仮定する。 すると、コンデンサ C に充電され

るので立ち上がりが遅れ、立下り

は C の放電作用のため、後引くよ

うな遅れた立下り波形となる。

(2)

キャパシタンスの充放電特性を

意識できるかの問題

公式 logαβ=logα+logβ

利得(Gain):入力信号の大きさに対する出力信号の大きさのこと。ゲインとか増幅度、増幅率など

とも言ったりすることがあるので、文脈から何を指しているか的確につかむこと。

解答

※ 対象が電圧や電流の場合

Page 45: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

第7回講義

増幅器(デシベル dB 変換問題 他)

- 43 -

【問題23-26】 電圧増幅度が 80dB の増幅器がある。入力端子を短絡して出力を測ったところ、

雑音が 10mV(実効値)であった。この増幅器に 10μV(実効値)の信号を入力したとき、出力における

S/N は何 dB か。上記以外の雑音は加わらないものとする。

1) 0

2) 20

3) 40

4) 60

5) 80

【問題25-30】 図のように電圧増幅度が 60dB で出力抵抗が 50Ωの増幅器に負荷抵抗 50Ωを接続

した。入力に実効値 10mV の交流電圧を加えた。負荷抵抗で消費される電力はいくらか。

1) 2 W

2) 1 W

3) 0.5W

4) 0.2W

5) 0.1W

【問題26-26】 実効値1Vの信号の雑音レベルがー40dB のとき、雑音の実効値は何mVか。

1) 0.1

2) 1

3) 10

4) 20

5) 25

【問題28-35】 電圧増幅度が 60dB の差動増幅器がある。2 つの入力端子を結合して、実効値 1V

の 50Hz 正弦波信号を同相信号として入力したところ、実効値 0.1V の出力が得られた。この差動増幅器

の同相弁別比は何 dB か。

2) 0.1

3) 10

4) 40

5) 60

6) 80

増幅度 80dB は 80=20log10x より

x=4、従って 104=10000 倍の増幅。

入力 10μV×10000=100mV 出力となり、

100mV の出力に対し雑音が 10mV。

∴S/N[dB]=20log(100/10)=20[dB]

増幅度 A のとき、全体の増幅度(利得)

G[dB]は 20logA で表される

(2)

増幅度 60dB は 60=20logA より

103倍、従って 1000 倍の増幅器。

入力 10mV×1000=10V 出力となるので、

I=10V/50+50Ω=0.1A より

R の消費電力 W=I2R=0.12×50=0.5W

(3)

標準電圧1V に対して

-40=20logA より、

∴ A=10-2 N=1/100=10mV の雑音となる。

(3)

公式 log =logα-logβ α β

同相弁別比:オペアンプは差動増幅器であるため逆相信号を増幅し、同相信号を抑制する働きがあ

ります。この逆相信号の増幅度と同相信号の増幅度の比を同相弁別比と呼び、この値が大きいほど

優れた差動増幅器となります。CMRR(Common Mode Rejection Ratio)ともいう。

(5)

差動増幅率 Ad、同相信号増幅率 Ac とすると

CMRR=20 log( ) で表される

差相増幅率は(題意より)

60dB より 60=20log10x → ∴103倍

同相増幅率は 1V→0.1V より 1/10⇒10-1倍

CMRR=20log(103/10-1)=20log104=80

解答

※ 対象が電圧や電流の場合

差動

同相 ×3

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第8回講義

増幅器2(デシベル dB、CMRR 問題 他)

- 44 -

1 電圧か電流の増幅度(利得=Gain)を求める問題のとき

2 同相弁別比(CMRR)に関連する問題のとき

対数の公式で変換しても解ける

例:20log200 を計算するとき、log2=0.3 と与えられた場合

=20log(100×2)

=20(log100+log2)

=20(2+0.3) = 20×2.3 = 46

増幅度(率)A のとき、全体の増幅度(利得)

G [dB]は 20logA で表される。

数学公式 logαβ=logα+logβ

数学公式 log =logα-logβ α β

同相弁別比:CMRR(Common Mode Rejection Ratio):

オペアンプは差動増幅器であるため逆相信号を増幅し、同相信号を抑制する働きがあ

ります。この逆相信号の増幅度と同相信号の増幅度の比を同相弁別比と呼び、

この値が大きいほど優れた差動増幅器となります。(←同相信号が小さくなるため)

同相弁別比[db] = 逆相(差動)増幅度[db]-同相増幅度[db]

(=20log 逆相増幅率[倍]-20log 同相増幅率[倍])

差動(逆相)増幅率 Ad、同相信号増幅率 Ac とすると

CMRR=20 log(Ad/Ac) = 20 log( )で表される

例:20log(103/10-1)を計算するとき

=20(log103-log10-1)

=20(3-(-1))=20×4=80

差動(逆)

同相

(ただし、設問が電力のときは 10logA で求める←20でなく10なので注意)

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第8回講義

増幅器2(デシベル dB、CMRR 問題 他)

- 45 -

【問題29-34】差動増幅器に 1 mV の心電図信号を入力したとき、1V の心電図信号が出力された。

同相入力電圧が1V のとき、出力電圧は0.1V であった。この差動増幅器のCMRR は何dB か。

1)40

2)60

3)80

4)100

5)120

【問題30-48】入力換算雑音 5μV、利得 40dB の増幅器の出力雑音は何 mV か。

1) 0.2

2) 0.5

3) 10

4) 100

5) 200

【問題30-49】10V の同相信号を差動増幅器に入力して 10mV の出力を得た。CMRR は何 dB か。

ただし、この増幅器に 1mV の信号を入力すると 1V の出力が得られるものとする。

1)40

2) 60

3) 80

4) 100

5) 120

【問題31-35】電圧利得 60dB の差動増幅器に 0.5V の同相電圧を加えたところ 50mV の出力が得ら

れた。同相弁別比は何 dB か。

1)10

2)20

3)40

4)60

5)80

【問題27-27】 CMRR が 120dB の増幅器に 1mV の差動信号を入力してところ 1V の出力を得た。

この増幅器の同相成分信号に対する増幅度は何 dB か。

1) - 20

2) - 40

3) - 60

4) - 80

5) -100

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第8回講義

増幅器2(デシベル dB、CMRR 問題 他)

- 46 -

【問題29-34】差動増幅器に 1 mV の心電図信号を入力したとき、1V の心電図信号が出力された。

同相入力電圧が1V のとき、出力電圧は0.1V であった。この差動増幅器のCMRR は何dB か。

1) 40

2) 60

3) 80

4) 100

5) 120

【問題30-48】入力換算雑音 5μV、利得 40dB の増幅器の出力雑音は何 mV か。

1) 0.2

2) 0.5

3) 10

4) 100

5) 200

【問題30-49】10V の同相信号を差動増幅器に入力して 10mV の出力を得た。CMRR は何 dB か。

ただし、この増幅器に 1mV の信号を入力すると 1V の出力が得られるものとする。

1) 40

2) 60

3) 80

4) 100

5) 120

【問題31-35】電圧利得 60dB の差動増幅器に 0.5V の同相電圧を加えたところ 50mV の出力が得ら

れた。同相弁別比は何 dB か。

1) 10

2) 20

3) 40

4) 60

5) 80

【問題27-27】 CMRR が 120dB の増幅器に 1mV の差動信号を入力してところ 1V の出力を得た。

この増幅器の同相成分信号に対する増幅度は何 dB か。

1) - 20

2) - 40

3) - 60

4) - 80

5) -100

差(逆)相増幅率(題意は電圧増幅度)は 1mV→1V より

1000 倍より103

また、同相増幅率は 1V→0.1V より 1/10=10-1

∴ 同相弁別比[db]= 20log(103/10-1)

=20log104 = 20×4=80[db] (3)

利得 40db より

40=20logA より A=102 =100 [倍]

入力雑音 5uV はこの増幅器により 100 倍になる。

∴ 5uV×100 倍=0.5mV (2)

差(逆)相増幅率は 1mV→1V より 1000 倍=103

同相増幅率は 10V→10mV 1/1000 倍=10‐3

∴ 同相弁別比[db]= 20log(103/10‐3)

=20 log106 = 20×6 = 120[db] (5)

(5)

(3)

差動 60dB=20log10x より x=3 →103倍

同相増幅率は 0.5V→50mV より 1/10 倍

同相弁別比[db]= 20log(103/10-1) =20log104

∴ =20×4 = 80[db]

解答

CMRR=120dB だから、 題意より 120=20logA となる。 また、この差動増幅は 1mmV→1V より

1000 倍 ⇒ 103

120=20log(103/ 同相)となるので

(103/ 同相)の部分は6となるはず。

よって、同相は 10-3となればよい

従って、同相信号の増幅度は 20log10-3=-60db

CMRR=20 log(差動/同相) で表されるから

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第8回講義

増幅器2(デシベル dB、CMRR 問題 他)

- 47 -

~ メモ ~

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第9回講義 デジタル基礎

- 48 -

【29AM61】2つの 2 進数 1100 と 11 の積を 2 進数で表したのはどれか。

1.1111

2.10100

3.11100

4.100100

5.110100

【28AM61】2つの 2 進数 10.01 と 111.11 の和を 10 進数で表したのはどれか。

1.9.50

2.9.75

3.10.00

4.12.25

5.10.50

【30AM61】16 進数 B8 と9C の和を 16 進数で表したのはどれか。

1.DC

2.144

3.154

4.22F

5.340

【28AM61】集合 A,B の論理演算で図の網掛け部分を表すのはどれか。

1.AND

2.OR

3.NOT

4.XOR

5.NOR

【30PM60】論理式 ACCBBA を表すベン図はどれか。

A B

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第9回講義 デジタル基礎

- 49 -

【問題 21-35】 論理演算において「XANDY」を(X・Y),「XORY」を(X+Y),「NOTX」を( X )と表すとき

( YXYX )の結果を正しく表している図(ベン図)はどれか。

【問題 30-33】次の論理式で誤っているのはどれか。

1) CABACBA

2) ABAA

3) 1 AA

4) BABA

5) BABA

【問題 32-36】次の論理式で誤っているのはどれか。

1) ABABA

2) ABAA )(

3) BABAA

4) BABA

5) CABACBA )(

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第9回講義 デジタル基礎

- 50 -

【29AM60】2つの 2 進数 1100 と 11 の積を 2 進数で表したのはどれか。

1. 1111

2. 10100

3. 11100

4. 100100

5. 110100

【28AM61】2つの 2 進数 10.01 と 111.11 の和を 10 進数で表したのはどれか。

1.9.50

2.9.75

3.10.00

4.12.25

5.10.50

【30AM61】16 進数 B8 と 9C の和を 16 進数で表したのはどれか。

1.DC

2.144

3.154

4.22F

5.340

【28AM61】集合 A,B の論理演算で図の網掛け部分を表すのはどれか。

1.AND

2.OR

3.NOT

4.XOR

5.NOR

【30PM60】論理式 ACCBBA を表すベン図はどれか。

A B

A・B B・C C・A

+ +

(3)

(4)

X―

Y

X―

Y X―

・Y

X Y―

X X・Y―

Y―

X―

・Y+X・Y―

(3)

(3)

(4)

1 1 0 0

1 1

128 64 32 16 8 4 2 1

27 26 25 24 23 22 21 20

0 0 1 0 0 1 0 0

2 進数→

2 進数→ =・・・8+4+0+0= 12

=・・・+0+2+0+ 0+0.25= 2.25

36

1 0 0 1

1 1 1 1 1

・・・ 8 4 2 1 0.5 0.25 ・・・

23 22 21 20 2-1 2-2

1 0 1 0 0 0

=・・・+4 +2+1+0.5+0.25= 7.75

=・・・0+0+2+1= 3

36 は 32 と 4 より

10

ちなみに 2 進なら 10 は 8 と 2 より

2 進数→

2 進数→

2 進数→

2 進数→

10 進変換→ BOX

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ・・・

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F 10 ・・・ 10 進数 16 進数

0 0 B(11)× 8×

9× C(12)×

・・・ 4096 256 16 1

・・・ 163 162 161 160

1 5 4

=・・・+(11×16)+(8×1)=184 =・・・+(9×16)+(12×1)=156

340

16 進に戻すときは 340 は 256 と 16 が 5 個と4で

10 進変換→ BOX

16 進数→ 16 進数→

16 進数→

BOX ラベル→

BOX ラベル→

BOX ラベル→

10 進変換→ BOX

ここから 2 桁に

・は AND

解答

OR OR

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第9回講義 デジタル基礎

- 51 -

【問題21-35】 論理演算において「XANDY」を(X・Y),「XORY」を(X+Y),「NOTX」を( X )と表

すとき( YXYX )の結果を正しく表している図(ベン図)はどれか。

【問題 30-33】次の論理式で誤っているのはどれか。

1) CABACBA (分配則)

2) ABAA (吸収法則)

3) 1 AA (補元)

4) BABA (ドモルガンの法則) これも BABA ・ ドモルガンの法則

5) BABA 正しくは BABA (ドモルガン的に考えると)

【問題 32-36】次の論理式で誤っているのはどれか。

1) ABABA ABBA 1A)(

2) ABAA )( (吸収則)

3) BABAA これが誤り

4) BABA (ドモルガン)

5) CABACBA )( (分配則)

(3)

X―

Y

X―

Y X―

・Y

X Y―

X X・Y―

Y―

X―

・Y+X・Y―

(5)

(3)

わからないときはベン図を描いて考えれば解ける

わからないときはベン図を描いて考えれば解ける

AND は重なり部分(かつ)

OR は双方(または)

A B X

0 0

0 1

1 0

1 1

X―

・Y+X・Y―

A B X

0 0 0

0 1 1

1 0 1

1 1 0

真理値表より

XOR

ベン図へ展開

論理式へ展開

入力値:真理値表より

A

B

解答

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第10回講義 論理回路とデジタル回路

- 52 -

【問題22-36】 図に示す論理回路の出力 Z として表中で正しいものはどれか。

X 0 0 1 1 入力

Y 0 1 0 1

1) 1 0 0 0

2) 1 1 0 0

3) 0 0 1 1

4) 0 0 0 1

出力

Z

5) 0 1 1 1

【問題24-38】 図のような回路構成および動作状態を示すパルス回路はどれか。

1) 単安定マルチバイブレータ

2) 非安定マルチバイブレータ

3) 双安定マルチバイブレータ

4) 非安定ブロッキング回路

5) 単安定ブロッキング回路

【問題 29-36】NAND ( 正論理 ) ゲートと等価な回路はどれか。ただし、 は論理否定ゲート、

は論理積ゲート、 は論理和ゲートを表す。

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第10回講義 論理回路とデジタル回路

- 53 -

【問題 31-36】図の論理回路の出力 Z として、表中で正しいのはどれか。

Z X Y

1) 2) 3) 4) 5)

0 0 0 1 0 0 1

0 1 1 1 1 0 0

1 0 1 0 1 1 0

1 1 1 1 0 0 1

【29AM61】 真理値表に対応する論理演算はどれか。

1.AND 演算

2.NAND 演算

3.OR 演算

4.NOR 演算

5.EX-OR 演算

【29PM60】論理演算 YX を求める論理回路がある。

図のような X,Y を入力したときの出力は A から E のどれか。

1.A

2.B

3.C

4.D

5.E

【26PM61】 図の論理回路で常に Z=1 となる条件はどれか。

1.X = 1

2.Y = 1

3.X = Y

4.X ≠ Y

5.X, Y によらない

A B X

0 0

0 1

1 0

1 1

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第10回講義 論理回路とデジタル回路

- 54 -

【問題22-36】 図に示す論理回路の出力 Z として表中で正しいものはどれか。

X 0 0 1 1 入力

Y 0 1 0 1

1) 1 0 0 0

2) 1 1 0 0

3) 0 0 1 1

4) 0 0 0 1

出力

Z

5) 0 1 1 1

【問題24-38】 図のような回路構成および動作状態を示すパルス回路はどれか。

1) 単安定マルチバイブレータ

2) 非安定マルチバイブレータ

3) 双安定マルチバイブレータ

4) 非安定ブロッキング回路

5) 単安定ブロッキング回路

【問題 29-36】NAND ( 正論理 ) ゲートと等価な回路はどれか。ただし、 は論理否定ゲート、

は論理積ゲート、 は論理和ゲートを表す。

(3)

(3)

(4)

この問題は NAND なので

NAND は Not と AND の造語 →

NOR は Not と OR の造語 →

この○印が NOT を意味する

これにも逆逆の法則を適用できる。

AND 場合は OR に、OR 場合は AND に変え

出力側の○印は入力側へ移動する。

論理式を組み立てる(ドモルガンの法則を利用:X+Y=X・Y)

Z = X)( YX = X)( YX = XY)(X =X+XY=XY

よって、XY 双方が 1 なら出力が 1 になる (4)

別解 多少面倒である

が、この場合入力 X、Yを代入して確かめても

よい。4 回確かめればよ

いから堅実。

0

00 1

10

これを別名、フリップフロ

ップとも呼び、左図の入力

から次の入力までの動作を

行う代表的な保持回路であ

る。S,R,Q の記号もヒント。

他に JK などもある

解答

Page 57: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

第10回講義 論理回路とデジタル回路

- 55 -

0

1 0

0

0

0

【問題 31-36】図の論理回路の出力 Z として、表中で正しいのはどれか。

【29AM61】 真理値表に対応する論理演算はどれか。

1.AND 演算

2.NAND 演算

3.OR 演算

4.NOR 演算

5.EX-OR 演算

【29PM60】論理演算 YX を求める論理回路がある。

図のような X,Y を入力したときの出力は A から E のどれか。

1.A

2.B

3.C

4.D

5.E

【26PM61】 図の論理回路で常に Z=1 となる条件はどれか。

1.X = 1

2.Y = 1

3.X = Y

4.X ≠ Y

5.X, Y によらない

Z X Y

1) 2) 3) 4) 5)

0 0 0 1 0 0 1

0 1 1 1 1 0 0

1 0 1 0 1 1 0

1 1 1 1 0 0 1

別解 面倒であるが、入力 X、Y を 代入して確かめてみる。でも堅実。 例えば、X=0 と Y=0 を入れると、

OR 出力は 0、AND 出力 0 AND 出力は NOT により 1 最終段の AND に 01 が入力され 最終的に 1 が出力される。 よって、回答は 1)か 3)4)。 次に X=0 と Y=1 を入力し同様に論理を追うと、 回答は 2)

論理式を組み立てる

Z = Y)(X)( YX = )YX()( YX = YXYX +

(∵ YYXX や は 0)

よって、X か Y のいずれかが 1 で他方が 0 なら 出力は 1 になる

(3)

A B X

0 0

0 1

1 0

1 1

0 (5)

(2)

(4)

AND に NOT の付いた NAND 回路 A B Z Z

0 0 0 1 1 0 1 1

0 0 0 1

1 1 1 0

この真理値

表と同じ論

理の波形を

選べば良い

この回路は EX-OR 回路、 YYYX =Z

EX-OR の真理値表から、X と Y が等しくない

ときに Z が1になる回路だから X Y Z 0 0 0 1 1 0 1 1

0 1 1 0

解答

Page 58: 演習問題テキスト - TOIN...電子工学 第2回講義 交流回路(フィルタ回路) - 6 - 【問題21-30 類似】 端子ab 間のインピーダンスの大きさ(Z

- 56 -

第11回講義

サンプリング、AD 変換、画像の問題

【サンプリング周期に関する計算問題】

①【問題 24-28】 10Hz から 500Hz までの周波数成分を含む生体信号をA/D 変換したい。理論上必要なサ

ンプリング間隔はどれか。 1) 1000ms 以上 2) 100ms 以上、1000ms 未満 3) 10ms 以上、100ms 未満 4) 1ms以上、10ms 未満 5) 1ms 未満

①の逆問題

【問題33-39】生体電気信号を 500μs間隔でサンプルした。復元できる周波数の理論的上限は何Hz未満か。 1) 100 2) 200 3) 500 4) 1000 5) 2000

①②の少し発展させた問題

【問題27-32】 サンプリング周波数40kHz、1データを8ビットでディジタル化された信号を10分間保存す

るには最低何Mバイトのメモリが必要か。

1) 24 2) 196 3) 246 4) 1960 5) 2460

【A/D変換に関する問題】

③【問題27-31】 フルスケール5Vの信号を8ビットでAD変換すると最小分解能(量子化精度)は約何mVか。

1) 5 2) 10 3) 20 4) 30 5) 45

③の類似問題

【問題32-38】0~10Vの入力信号を8ビットで量子化するAD変換器がある。分解能はおよそ何Vか。 1) 0.01 2) 0.04 3) 0.12 4) 0.25 5) 0.5

また、10ibtで量子化した場合について考えてください。

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④【画像の情報量に関する問題】

【問題26-36】 縦横256×256画素の白黒画像を濃淡16階調で量子化し、保存するのに必要なメモリは何k

バイトになるか。ただし、210 =1kとする。 1) 32 2) 64 3) 128 4) 256 5) 512

【問題 21-38】 画素数 128×128、各画素が16階調の白黒濃淡で表されるディジタル静止画像を毎秒 4 枚送

信したい。このとき必要な通信速度は何 bps(ビット/秒)か。ただし、画像は圧縮せず、制御用の信号など

は考えないものとする。また1k(キロ)は 210を表すものとする。 1) 8k 2) 64k 3) 128k 4) 256k 5) 512k

【画像の送信に関する問題(④のちょっと変化球)】

【問題23-24】 1枚が縦横64×64画素で各画素の濃淡が4ビットで表される白黒画像を、毎秒 16枚送信して

受信側で動画として見えるようにしたい。このとき必要な通信速度(bps:ビット/s)はいくらか。ただし画像デ

ータは圧縮せず、制御用信号などは考えないものとする。また、1k(キロ)は210を表すものとする。 1) 32k 2) 64k 3) 128k 4) 256k 5) 1024k

【カラー表示に関する情報量の問題】

【問題22-31】 カラーグラフィックディスプレイで、5ビットの階調で表現した赤、緑、青の3原色を組み合

わせて各画素の色を表示するとき、原理的に表示可能な色は何種類か。 1) 32 2) 256 3) 4096 4) 32768 5) 65536

【問題24-21】 カラーグラフィックディスプレイでそれぞれ4ビットの階調で表現した赤、緑、青の3原色を

組み合わせて各画素の色を表示するとき、原理的に表示可能な色は何種類か。 1) 12 2) 48 3) 512 4) 1024 5) 4096

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第11回講義 解答

サンプリング、AD 変換、画像の問題

【サンプリング周期に関する計算問題】

①【問題 24-28】 10Hz から 500Hz までの周波数成分を含む生体信号をA/D 変換したい。理論上必要なサ

ンプリング間隔はどれか。 1) 1000ms 以上 2) 100ms 以上、1000ms 未満 3) 10ms 以上、100ms 未満 4) 1ms以上、10ms 未満 5) 1ms 未満 ①の逆問題

【問題33-39】生体電気信号を 500μs間隔でサンプルした。復元できる周波数の理論的上限は何Hz未満か。 1) 100 2) 200 3) 500 4) 1000 5) 2000

①②の少し発展させた問題

【問題27-32】 サンプリング周波数40kHz、1データを8ビットでディジタル化された信号を10分間保存す

るには最低何Mバイトのメモリが必要か。

1) 24 2) 196 3) 246 4) 1960 5) 2460 【A/D変換に関する問題】

③【問題27-31】 フルスケール5Vの信号を8ビットでAD変換すると最小分解能(量子化精度)は約何mVか。 1) 5 2) 10 3) 20 4) 30 5) 45 ③の類似問題

【問題32-38】0~10Vの入力信号を8ビットで量子化するAD変換器がある。分解能はおよそ何Vか。 1) 0.01 2) 0.04 3) 0.12 4) 0.25 5) 0.5 また、10ibtで量子化した場合について考えてください。

サンプリング(データ収集)最大周波数の 2 倍以上必要

∴500×2=1000Hz T=1/f=1/1000Hz=1mS (5)

f =1/T=1/500μS=0.002MHz=2KHz

∴ 1KHz (サンプリングは最大周波数の 2 倍以上で

サンプリングしているので) (4)

T=1/f より 40KHz→0.025mS→25μS に 8bit(1Byte)保存され

る。ここで、25μSに対し 10 分は 1/25μS×60×10=24M倍

分だから、 24MByte (1)

AD 変換は最大電圧を何分割するか?(何bit 分で)ということ。

∴ 8bit は256に相当するので5V を256分割しながら取り込

むので 5V/256=0.0195V=19.5mV≒20mV (3)

AD 変換は最大電圧を何分割するか?(何bit 分で)ということ。

∴ 8bitは256に相当するので10Vを256分割しながら取り込

むので 10V/256=0.039V≒0.04mV (2)

同様に何bit(何分割)で取り込むかということなので

∴ 10bitは1024に相当するから10Vを1024分割(約1000分割)

しながら取り込むことになり、 10V/1000≒0.01mV となる

サンプリング(データ収集)最大周波数の 2 倍以上必要

周波数と周期の関係をしっかり T = 1/ f

AD 変換は最大電圧を何分割するか?(何 bit 分で)ということ。

Bit を数値(10 進)にして、割れば最小単位がわかる

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④【画像の情報量に関する問題】

【問題26-36】 縦横256×256画素の白黒画像を濃淡16階調で量子化し、保存するのに必要なメモリは何k

バイトになるか。ただし、210 =1kとする。 1) 64 2) 128 3) 256 4) 512 5) 1024 【問題 21-38】 画素数 128×128、各画素が16階調の白黒濃淡で表されるディジタル静止画像を毎秒 4 枚送

信したい。このとき必要な通信速度は何 bps(ビット/秒)か。ただし、画像は圧縮せず、制御用の信号など

は考えないものとする。また1k(キロ)は 210を表すものとする。 1) 8k 2) 64k 3) 128k 4) 256k 5) 512k 【画像の送信に関する問題(④のちょっと変化球)】

【問題23-24】 1枚が縦横64×64画素で各画素の濃淡が4ビットで表される白黒画像を、毎秒 16枚送信して

受信側で動画として見えるようにしたい。このとき必要な通信速度(bps:ビット/s)はいくらか。ただし画像デ

ータは圧縮せず、制御用信号などは考えないものとする。また、1k(キロ)は210を表すものとする。 1) 32k 2) 64k 3) 128k 4) 256k 5) 1024k 【カラー表示に関する情報量の問題】

【問題22-31】 カラーグラフィックディスプレイで、5ビットの階調で表現した赤、緑、青の3原色を組み合

わせて各画素の色を表示するとき、原理的に表示可能な色は何種類か。 1) 32 2) 256 3) 4096 4) 32768 5) 65536 【問題24-21】 カラーグラフィックディスプレイでそれぞれ4ビットの階調で表現した赤、緑、青の3原色を

組み合わせて各画素の色を表示するとき、原理的に表示可能な色は何種類か。 1) 12 2) 48 3) 512 4) 1024 5) 4096

面は、「点」が集まって「線」になり、その線を下にならべて「面」になる。

ここで、その最小単位である「点」(画素という)が、16階調(16 段階)の

濃淡の色を持っている。 16 段階をつくるには 4bit が必要なので、

4bit×横256 個×縦256 個=262144bit

8bit が 1byte なので、262144/8=32768byte→32Kbyte

面は、「点」が集まって「線」になり、その線を下にならべて「面」になる。

その最小単位である「点」が、16階調(16 段階)の濃淡の色を持っている。

16 段階→4bit、4bit×横128 個×縦128 個=65536bit で 1 面。

4 枚なので 65536bit ×4 枚=262144bit を 1 秒間に送りたい。

1k=210とするので、210=1024、∴262144bit/1024=256K (4)

同様の考え方で、

その最小単位である「点」が、4bit(16 段階)の濃淡の色を持っている。

4bit×横64 個×縦64 個=16384bit で 1 面。

16 枚なので 16384bit ×16 枚=262144bit を 1 秒間に送りたい。

1k=210とすると、210=1024、∴262144bit/1024=256K (2)

画面が点でできていることは学んだ。カラーの場合、その最小単位である

「点」のひとつひとつは、3 色の組み合わせでできている。

(これですべての色を表現できるから、すごい)つまり、5bit(32 段階の濃

淡)(≒32 色)の濃淡の色を3色(RGB)で組み合わせる。

32段階(5bit)×32段階×32段階=32768色(≒諧調)(≒組み合わせの色)

(4)

(階調)

同様に、カラー画面は、その最小単位である「点」(画素)の一つひとつは、

3 色(RGB)の組み合わせでできているので、

つまり、4bit(16段階の濃淡)(≒16色)の濃淡の色を3色を組み合わせる。

16 段階(4bit)×16 段階×16 段階=4096 色(≒諧調)(≒組み合わせの色)

(5)

画面のつくりと、bit と byte の関係を知ればできる

カラー画面のつくりを知ればできる

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桐 蔭 横 浜 大 学医 用 工 学 部 臨 床 工 学 科電子工学 演習問題テキスト森 下 武 志 監 修・編 集

2019年3月6日改訂

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