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CERAの腎性貧血に対する 費用対効果
援腎会すずきクリニック 鈴木一裕
第40回東北腎不全研究会
目的
• 当院では、 透析時間延長(4.5〜5時間透析) 血流量増加(平均血流300ml/min以上) オンラインHDF
を“しっかり透析”として行い、患者の生命予後改善を目指している。
• 現在、当院では半減期の異なる3種類のESA製剤であるエポエチンαBS(以下BS)、ダルボポエチン(以下DA)及びCERA
を使用している。
• 過去6ヵ月間でCERAの比率を10%程度から50%まで上げていった。
• しっかり透析を行いCERAの使用量を増加させたことで、包括されているESA製剤の使用量及び薬価がどのように変化したか報告する。
第40回東北腎不全研究会
方法
• 当院で現在通院透析中の70名中、除外基準を満たし転院後12ヶ月以上経過した55名について検討した
検討項目
1. ESA製剤使用割合の変化
2. ESA製剤使用量の変化とHbの変化
3. ESA製剤コストの変化
4. 高容量使用者の変化
5. 鉄剤使用量の変化
6. Hbサイクリングの変化
(Hb cyclingはEbbenらの6分類を使用した)
第40回東北腎不全研究会
除外基準
• 腎性貧血、鉄欠乏性貧血以外の貧血をきたす合併症のある症例
• rHuEPO、DA、鉄剤にアレルキー゙のあるもの
• 観察期間中1週間以上の入院を要するような合併症のみられたもの
• 何らかの手術を必要としたもの
• 輸血を行う必要のあったもの
• 消化管出血その他の大量出血をおこしたもの.
第40回東北腎不全研究会
対象患者(55名)
性別 男 40 : 女 15
年齢 65.2±9.1 歳
DM:nonDM 31 : 24
透析方法 on-line:49名 HDF:1名 HD:5名
透析歴 65.3±50.7 ヶ月
透析時間 4.7±0.3 時間
血液流量 355.3±57.2 mL/min
Kt/V 2.08±0.35
第40回東北腎不全研究会
※2013年6月時点
【ESA製剤使用割合の変化】
第40回東北腎不全研究会
※2012年6月から12ヵ月間
9% 9% 5% 5% 7%
11% 11% 9% 9% 9% 11% 16%
73% 73% 78% 80% 76% 71% 69%
58%
49% 47%
35% 20%
2% 5%
7% 4% 4% 5% 7%
4%
5% 5%
11%
13%
16% 13%
9% 11% 13% 13% 13%
29% 36% 38%
44% 51%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
無使用 BS DA CERA
【ESA製剤使用量の変化とHbの変化】
第40回東北腎不全研究会
※2012年6月から12ヵ月間
9.0
9.5
10.0
10.5
11.0
0
50000
100000
150000
200000
250000
CERA
DA
BS
Hb
55名の週当たりESA使用量
(単位)
3509単位
/週/人
2218単位
/週/人
【ESA製剤コストの変化】
第40回東北腎不全研究会
※2012年6月から12ヵ月間
12,479
12,805 12,830
10,919
11,581 11,742
12,082
11,065
10,744
9,585
10,130
10,954
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
ESA製剤コスト(円/月/人) (円/月/人)
0.0%
1.0%
2.0%
3.0%
4.0%
5.0%
6.0%
7.0%
8.0%
9.0%
10.0%
【高容量投与患者の変化】
第40回東北腎不全研究会
※2012年6月から12ヵ月間
BS ≧9000U
DA ≧40μg CERA ≧150μg
【鉄剤使用量の変化】
第40回東北腎不全研究会
※2012年6月から12ヵ月間
20.7
29.3 27.8
31.1 29.3 30.0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
40.0
45.0
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
120.0
140.0
160.0
180.0
鉄剤[mg/週/人]
鉄剤の使用量
鉄剤
Fe
feritin
TSAT
【Hbサイクリングの変化】
第40回東北腎不全研究会
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
HA LAH LAL target High Low
2012年7月〜12月 2013年1月〜6月
考察
• 十分な透析を行いながら、CERAの使用量を10%程度から50%まで増加させたところ、Hbは変わらずにESA製剤全体の使用量を減らすことが出来た。
• それに伴いESA製剤全体のコストも低下した。
• 全体的な鉄の使用量の変化は無かったが、高容量投与患者の割合が少なくなっており、このことが、ESA製剤使用量の減少に寄与していると考えられた。
• CERA使用量を増加させたところ、Hbサイクリングは、予後不良と言われているLowとHAが11%から5%へ減少した。
Targetが減少したのは、CERA投与直前の採血でTargetより若干低いHb
値となる場合が有ったためと考えている。
• 今後は、長期的にHbサイクリングの経過を追っていきたい。
第40回東北腎不全研究会
結語
• しっかり透析を行いながら、ESA製剤としてCERAを使用することは、ESA製剤を減量する為に有用な方法であると思われた。
第40回東北腎不全研究会