40
環境影響評価制度について 20161027日(木) 環境省総合環境政策局 環境影響評価課 安陪 達哉

環境影響評価制度についてtohoku.env.go.jp/【環境省環境影響評価課】HP...環境影響評価制度について 2016年10月27日(木) 環境省総合環境政策局

  • Upload
    others

  • View
    6

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

環境影響評価制度について

2016年10月27日(木)

環境省総合環境政策局

環境影響評価課

安陪 達哉

環境アセスメントとは

1

環境アセスメント(環境影響評価)とは?

2

• 英語でEnvironmental Impact Assessment

• 環境アセスメントを噛み砕いて言うと、「ある行為が環境へ与える影響がどのくらいか見積もること」

環境影響評価(単に、環境アセス、アセスとも言う)

Assessment:査定、評価等

環境アセスメント(環境影響評価)とは?

① 大規模な開発事業に先立って、

② 事業が環境に与える影響について、事業者自らが調査・予測・評価を行い、

③ その結果を公表し、一般の方々や地方公共団体、主務大臣などから意見を聴き、

④ それを踏まえてよりよい事業計画を作る制度。

3

環境アセスメント(環境影響評価)の実施例①

4

○これまでの環境アセスメントの実施例においては、環境アセスメント手続を通じ、事業者が実行可能な範囲でよりよい環境への配慮がなされている。

事例A

・総出力30,000kW(2,000又は3,000kW×最大12基)の風力発電所を新設

・対象事業実施区域及びその周辺には、オジロワシ(国内希少野生動植物種)等の多くの重要な動植物の生息・生育が確認

【環境大臣意見・経産大臣勧告】・オジロワシ等への重大な影響が懸念されるこ

とから、調査を実施すること。・その結果を踏まえ、鳥類の生息等について重大な影響が予測される場合には、事業計画そのものの見直しを行うこと。

【事業者の対応】・希少猛禽類について調査。・現地調査の結果等を踏まえ、総出力を変えず3,000kW×10基に変更。改変面積が大幅縮小。

【(参考)地元知事意見】・オジロワシの営巣が確認されることから、調査

を実施し、その結果を踏まえ、営巣中心域及び高利用域を中心に環境保全措置を検討し、これらの種の繁殖に対する影響を可能な限り回避、低減すること。

オジロワシ

・絶滅危惧Ⅱ類に指定(第4次レッドリスト)

・国内希少野生動植物種(種の保存法)に指定

・営巣期における国内繁殖個体数は100羽前後もしくはそれ以下

・工作物への衝突等により、自然状態での安定的な存続が危ぶまれる状況

・平成17年度に保護増殖事業計画(関係4省)を策定

環境アセスメント(環境影響評価)の実施例②

5

○これまでの環境アセスメントの実施例においては、環境アセスメント手続を通じ、事業者が実行可能な範囲でよりよい環境への配慮がなされている。

事例B

・総出力23,000 kW(2,300kW×最大10基)の風力発電所を新設

・レクリエーション施設が隣接(約320m)・対象事業実施区域の一部は自然公園に指定さ

れており、クマタカ等重要な動植物が確認

【環境大臣意見・経産大臣勧告】・クマタカについて必要な調査を実施し、風力発電設備の配置や構造の変更を、適切に実施すること。

・自然公園においては、土地の改変の回避に努めるとともに、山頂利用の確保、眺望への配慮等を含めた環境保全措置を講ずること。

【事業者の対応】・専門家の助言を踏まえ、2,300kW×8基に変更。自然公園内の改変面積が減少。

【(参考)地元知事意見】・生態系の上位性の注目種であるクマタカについ

て、調査が不十分であると考えられ、この調査に基づく予測・評価は不確実性が大きいことが懸念されることから、クマタカへの影響の環境保全措置を検討すること。

クマタカ

・絶滅危惧ⅠB類に指定(第4次レッドリスト)

・国内希少野生動植物種(種の保存法)に指定

・国内における最小推定個体数は約1,800羽

・近年巣立ち雛の数が極端に減少しており、将来における種の存続が危惧される状況

環境アセスメント(環境影響評価)の意義①

6

対策費用(チッソにおける公害防止投資額の1年あたりの平均額) 1億2,300万円/年

被害額(以下の合計) 126億3,100万円/年健康被害(補償協定に基づき、患者に支払われた補償給付額等の1年あたりの額)

76億7,100万円/年

環境汚染被害(水俣湾浚渫事業の平均的な1年あたりの支出額) 42億7,100万円/年

漁業被害(漁業補償を元利均等償還した場合の1年あたりの償還額) 6億8,900万円/年

水俣湾周辺地域の水俣病での損害額と汚染防止対策費用の比較

出典:地球環境経済研究会編著:日本の公害経験、平成3(1991)年

被害額は公害防止投資費用の100倍以上と推定高度経済成長は我が国にめざましい発展をもたらしたが、同時に、公害や自然環境の破壊を進行させた。これに対する対策は多大な費用と時間を要し、また、その被害を完全に回復することは困難長期的に考えて事業実施前に環境影響評価を行い、適切な配慮を行うことが重要!

環境アセスメント(環境影響評価)の意義②

7

事業の構想

総合的に判断

よりよい事業計画

安全性必要性

採算性

事業の許認可・事業の実施

環境保全の配慮

環境アセスメント

意思決定の中で環境のプライオリティを

向上

環境アセスメント(環境影響評価)の意義⑥

8

• 規制とは・・・

• 環境アセスメントは規制ではありません!!

• 環境影響評価法は、どのような事業に適用するのか、どういうやり方・手順で環境アセスメントをやるのかが定められているだけ。 →手続的手法

OR

環境アセスメント(環境影響評価)の意義③

9

ベスト追求型

・複数案の比較検討がなされているか

・実行可能なより良い対策をとっているか

実行可能な範囲で環境への負荷をできる限り低減させる

目標クリア型

環境基準・目標が最低限達成されるかどうか

環境をより良くしようというインセンティブが働かない

法令などに定められた基準さえ満たしていればOK

どこまで環境に配慮するかは事業者の自発的努力次第

環境アセスメント(環境影響評価)の意義④

10

住民

都道府県知事市町村長

許認可権者

事業

事業者がより良い環境配慮を行うための情報交流の手続

環境アセスメント(環境影響評価)の意義⑤

11

科学技術との関わり・科学に基づく影響の調査・予測・評価・技術に基づく影響の緩和(対策)

社会との関わり・関係者(住民、自治体

等)からの意見提出

行政との関わり・アセス結果の許認可等へ

の反映

アセス法は規制法ではなく、手続き法。より環境に配慮した選択をするためのツール。

社会的な受容・理解を形成していくためのツール。

環境アセスメント制度の概要

12

13

道路

空港

第一種事業 第二種事業 その他

アセス必要 アセス不要

判定(スクリーニング)

ダム

・・

規模大 小

アセス必要 アセス不要

計13種類の事業

これらのうち、①許認可が必要な事業、②補助金・給付金が交付される事業、③独立行政法人が行う事業、④国が行う事業、が対象

事業種要件

法的関与要件

環境影響評価法の対象事業の考え方

事業種 第1種規模要件(以上) 第2種規模要件(以上)

1. 道路 高速国道:全て、一般国道:4車線・10km 等 一般国道:同・7.5km 等

2. 河川 ダム: 湛水面積100ha 等 ダム:同75ha 等

3. 鉄道 新幹線:全て、鉄道:10km 等 鉄道:7.5km 等

4. 飛行場 滑走路長2,500m 同1,875m

5. 発電所 水:3万kW、火:15万、地熱・風:1万、原:全て 火力:11.25万、地熱・風力0.75万 等

6. 廃棄物最終処分場 面積30ha 同25ha

7. 埋立・干拓 面積50ha 同40ha

8. 土地区画整理事業 面積100ha 同75ha

9. 新住宅市街地開発事業 面積100ha 同75ha

10. 工業団地造成事業 面積100ha 同75ha

11. 新都市基盤整備事業 面積100ha 同75ha

12. 流通業務団地整備事業 面積100ha 同75ha

13. 宅地の造成の事業(*1) 面積100ha 同75ha

○港湾計画(*2) 埋立等面積合計300ha

*1:「宅地」には工場用地等が含まれる。 *2:港湾は「港湾計画アセス」の対象 14

環境影響評価法の対象事業

環境アセスメント(環境影響評価)の評価項目

15

影響要因の区分 工事 存在・供用

環境要素の区分細区分

細区分

環境の自然的構成要素の良好な状態の保持

大気環境

大気質

騒音・低周波音

振 動悪 臭

その他

水環境

水 質

底 質地下水

その他

土壌環境・その他の環境

地形・地質

地 盤

土 壌

その他

生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全

植物

動物

生態系

人と自然との豊かな触れ合い景観

触れ合い活動の場

環境への負荷廃棄物等

温室効果ガス等

一般環境中の放射性物質 放射線の量

環境保全措置の考え方

16

影響

高い

低い

優先順位

予測できない影響

回 避

低 減

アセスの時点で予測される影響の全体

代 償

事 後 調 査

環境保全措置

残る影響

図-2 回避・低減・代償の優先順位

出典:田中章「ランドスケープ研究61(5)」(1998)を参考に作成

アセス方法の決定

調査・予測・評価、環境保全措置の検討

アセス結果の事業への反映

アセスの結果について意見を聴く手続

法によるアセス不要(条例の対象へ)

判定意見

事業の概要 免許等権者等

アセス必要

準備書の作成

都道府県知事市町村長 国国 民 事業者

意見

方法書の作成

環境大臣意見

免許等権者等意見

評価書の確定

配慮書の作成

意見意見

環境大臣意見

主務大臣意見

(対象事業に係る計画策定)

縦覧1ヶ月意見提出+2週間

※意見聴取は努力義務規定

(第2種事業のみの手続)

(第2種事業は任意)計画段階配慮

意見

意見意見

対象事業の決定

(項目・手法の決定)

評価書の作成

免許等での審査

報告書の作成

評価書の公表

環境大臣意見

免許等権者等意見

環境保全措置・事後調査の実施

事業の実施

環境影響評価法手続の流れ①

縦覧1ヶ月意見提出+2週間

17

環境アセスメント(環境影響評価)手続の流れ②

18

配慮書

• 計画の立案段階で事業に係る環境保全のために配慮すべき事項について検討を行いその結果をまとめたもの

方法書

• どのような項目について、どのような方法で環境アセスメントを実施していくのかという計画を示したもの

準備書

• 調査・予測・評価を実施した結果を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめたもの

評価書

• 準備書に対する環境保全の見地からの意見を有する者、都道府県知事等からの意見の内容について検討し、必要に応じて準備書の内容を修正したもの

報告書

• 工事中に実施した事後調査やそれにより判明した環境状況に応じて講ずる環境保全対策、重要な環境に対して行う効果の不確実な環境保全対策の状況

環境アセスメント(環境影響評価)手続の流れ③

19

配慮書手続

事業の計画の立案の段階において、事業者が、事業の位置、規模等の複数案を設定して、重大な環境影響に着目して環境の保全のために配慮すべき事項について検討する手続。

事業者の役割

• 事業計画に環境配慮を効果的に盛り込むためにも、地域の環境を良く知っている地域住民やNPO をはじめ、一般の方々や専門家などから意見聴取することが重要。

• そのためには、配慮書手続に関する周知を十分に行うとともに、配慮書において、環境要素の中から、複数案ごとに配慮すべき項目を選定した上で、環境影響の内容や程度をわかりやすく比較整理して示すなど、環境情報の提供を容易にする工夫を行うことが重要。

• 最初の手続であることを踏まえ、手続全体の大まかなスケジュールを示すなど、今後行われる手続に対する理解を深める工夫が必要。

国民・地域住民等• 制度の趣旨を踏まえ、地域の環境保全の観点から意見を述べる。

• 配慮書手続における検討は、既存資料調査を基本として行われるため、事業者が把握できていない環境情報を、一般の方々や専門家が事業計画の早期段階から提供することは、大変重要。

環境アセスメント(環境影響評価)手続の流れ④

20

方法書手続

これから行う環境影響評価の項目及び手法を、一般の方々や地方公共団体などの意見を聴きながら決める手続。

事業者の役割

• 方法書説明会にあっては、一般の方々の理解を得るべく、明確かつ平易な説明を行うことが重要。

• 環境影響評価手続を円滑に進めていく上で、方法書説明会において手続全体における方法書段階の位置づけを明確に示すことが重要。

• 配慮書を踏まえた検討の経緯や、配慮書段階で得られた意見に対する見解について、明確かつ平易に説明することが重要。特に、計画の立案段階以降の事業内容の具体化の過程における環境保全の配慮に係る検討経緯(方法書の時点までにどのような事業計画案が選択されたか、及び、その検討プロセス)や、その過程でどのように意見を反映したかについて丁寧に記述。

国民・地域住民等• 事業者が示した環境影響評価の項目や手法について意見を述べる。

• より環境に配慮した事業計画を策定するために追加的に必要な検討項目は何か、より簡易な検討でよいものとより詳細に検討を行うべきものなどについて、理由を付して意見を述べる必要。

環境アセスメント(環境影響評価)手続の流れ⑤

21

準備書・評価書手続

準備書手続では、調査・予測・評価・環境保全措置の検討結果を準備書に示し、環境の保全に関する事業者の考えに対して意見を聴取。準備書に対する意見を踏まえ、見直しを加え、評価書を作成。

事業者の役割

• 準備書は専門的であるため、「環境影響の総合的な評価」をわかりやすく示すなど、工夫が必要。

• 配慮書、方法書段階での意見書数が多い場合には、意見内容の内訳や傾向を記載することが望まれる。

• 準備書説明会では、環境影響の程度だけでなく、より環境に配慮した事業計画とするために事業者として何を実行するのかについて、明確かつ平易に説明。

• 準備書の段階においても、配慮書以降の検討の経緯について丁寧に説明することが重要。

• 配慮書及び方法書段階での意見に対する見解についても説明する必要。

国民・地域住民等

• 配慮書及び方法書手続での検討過程を踏まえ、環境保全措置の内容や事後調査で求められる留意点などについて、意見を述べる。

環境アセスメント(環境影響評価)手続の流れ⑥

22

報告書手続

工事中に実施した事後調査やそれにより判明した環境の状況に応じて講ずる環境保全措置、効果の不確実な環境保全措置の状況について、工事終了後に図書にまとめ、事業の免許等を行う者等に報告するとともに、インターネット等を活用して公表。

事業者の役割

• 環境影響評価手続の一連の流れがわかるように、報告書だけでなく環境影響評価図書は一括して事業者のウェブサイトに掲載するなどの工夫が求められる。

• 報告書の公表期間については、30 日間を目安とし、適切な期間を確保することが必要。

日本の自治体におけるアセス制度

23

• 概況: 全ての都道府県で、アセス条例が制定。市レベルでも、大都市(政令指定都市)を中心に、アセス条例を持つ自治体あり。

• 対象事業: 地域のニーズに応じ様々。法対象事業種のうち、法対象規模より小さいものを対象としている例、法対象以外の事業種を対象としている例など(高層ビル、廃棄物焼却施設など)。

• 意見提出手続: ほぼ法並びのものが多い。ただし、国が意見を述べる機会はない。

• 計画段階手続: 法改正前から6都県で導入されていた。その後、改正法施行に合わせ、条例改正を実施したり、改正を検討中の自治体も多い。ただし、計画段階手続を導入する予定のない自治体もある。

• 事後報告手続: 全ての都道府県で導入。工事中だけでなく供用段階も対象としている自治体も多数。

最近の環境アセスメント制度

24

事業種別の環境大臣意見提出数の推移

25

○平成27年度の大臣意見の提出件数は過去最高となった。○平成28年度も、火力発電所や風力発電所を始めとして、審査件数の増加傾向が続く見込み。

3

1

3

2

3

4

3

1

1

1

1

1

1

2

1

1

1

1

3

3

5

11

9

13

12

6

34

41

55

1

2

1

1

11

2

3

1

3

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

H22

H23

H24

H25

H26

H27

H28(見込み)

道路 河川 鉄道 飛行場 火力 風力 地熱 水力 廃棄物処分場 埋立、干拓 土地区画整理事業

4件

50件

20件

20件

5件

59件

81件

風力発電事業に係る環境大臣意見の例

26

事業特性・地域特性に応じて、意見を述べる項目や内容は異なる。

項目 配慮書 準備書

騒音風力発電設備等の構造・配置又は位置・規模の検討に当たっては、風力発電設備を住居等から隔離すること等により、住居等への影響を回避、低減すること。

風力発電設備の配置の再検討や、低騒音型の風力発電設備の採用等の保全措置を講ずること。

風車の影風力発電設備等の配置等の検討に当たっては、風力発電設備を住居等から隔離すること等により、住居等への影響を回避、低減すること。

風力発電設備の配置の再検討や、稼働時間の調整等の保全措置を講ずること。

動物

重要な鳥類に関する調査及び予測を行い、専門家等からの助言を踏まえ影響を回避、低減すること。重要な水生生物への影響を回避、低減すること。

事後調査を実施し、重大な影響が認められた場合は、専門家等の助言を踏まえて、配置の変更、稼働停止等の保全措置を講ずること。

植物

重要な植物に関する調査及び予測を行い、専門家等からの助言を踏まえ影響を回避、低減すること。

自然度の高い植生の区域を除外、まとまりのある森林の分断を回避すること。

移植方法及び移植先の選定に当たっては、専門家等からの助言を踏まえて、慎重に実施すること。

景観専門家等からの助言を踏まえ、景観に関する調査、予測及び評価を行い、影響を回避、低減すること。

重要な眺望点からの主要な眺望対象の景観への影響を回避・低減するため、環境保全措置を講じること。

その他事業者間での情報共有等に努め、累積的な影響を予測、評価すること。

必要に応じて事後調査を行い、累積的な影響を把握すること。

風力発電事業に係る環境アセスメントの迅速化-取組の概要-

27

○平成24年11月、環境省と経済産業省は「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議 中間報告」を公表。※平成25年6月の規制改革実施計画にも位置づけ。

○風力発電の導入促進のため、あらかじめ環境に関する地域の状況を調査し、関係者間で調整を進め、促進エリア及び保全エリアの設定等を行うゾーニング計画の策定が有効・風力発電等に係るゾーニング手法検討モデル事業(環境省)(平成28年度~)

3~4年程度 → 半減 を目指す(日本再興戦略(平成25年6月))

<国等による審査期間の短縮>

【国の取組】・審査事例の整理・公表(質問、指摘事項等)

・自治体の審査と並行して実施 等

【自治体の取組】・住民意見等が揃う前から実質審査を開始等

<事業者による調査期間の短縮>

【環境省】・事業者が活用できる猛禽類等の重要種等の情報を予め環境基礎情報データベースとして整備

(平成27年度までに24道府県、86カ所(陸上風力59地区、洋上風力25地区、地熱2地区)の情報を整備)

【経産省】・事業上のリスクが高い地域において、準備書等において活用可能なデータ整備のため、必要な調査を前倒しで実施する事業者に補助を行う

さらに新たな取り組みとして、

環境アセスメントに活用できる環境基礎情報(貴重な動植物の生息・生育状況等の情報)のデータベース化及びその提供を通じて、質が高く効率的な環境アセスメントの実施を促進する。

目 的

期待される効果 風力発電等により影響を受けやすい場所を予め明らかにすることによる環境影響の回避・低減。事業者が情報を活用することによる質の高い環境アセスメントの効率的な(=環境調査期間の短縮化)実施が可能。

⇒ 風力発電等の早期大規模導入に資する。

平成26年度予算額1,430百万円(1,000百万円)環境アセスメント基礎情報整備モデル事業のスキーム

住民、地方自治体

• 情報を閲覧し、風力発電事業等の環境影響評価手続に関与することで、情報交流が拡大

• 初期の立地調査や現況調査の省略・効率化

• 事業の円滑化(期間短縮と環境調査費用の低減効果、環境問題化するリスクを軽減)

風力発電等事業者○モデル地区の選定(環境省、地方自治体)

陸上風力 / 洋上風力 / 地熱

○文献調査、現地調査、ヒアリング調査

・渡り鳥の飛来ルート

・猛禽類の営巣状況

・動植物の生息・生育状況等

モデル地区の環境基礎情報の調査

○土地利用規制等の情報

○動植物の分布情報

○国内外の技術情報

全国の地域既存環境情報の収集

• データベースとして整備・提供

• 地図情報はWEB-GISで閲覧可能

環境アセスメント環境基礎情報データベース

閲覧・情報の活用

28

情報整備モデル地区の選定状況

29

都道府県 地区名 都道府県 地区名 都道府県 地区名 都道府県 地区名 都道府県 地区名 都道府県 地区名 都道府県 地区名

北海道 上ノ国町北海道

八雲町 北海道 稚内市沖

北海道

ニセコ町 北海道 八雲町山崎岩手県

二戸市浄法寺町

茨城県鹿島灘沖

青森県青森市 島牧村

岩手県

普代村・野田村

岩内町沖

青森県

五所川原市金木町

二戸市仁左平 千葉県九十九里浜沖

横浜町 青森県 田子町 洋野町沖 寿都町五所川原市

魔ノ岳

福島県

郡山市御霊櫃峠

高知県 梼原町

岩手県 洋野町(種市) 岩手県 洋野町(中野)

秋田県

秋田市・潟上市

寿都町沖 八戸市南郷区郡山市諏訪峠

長崎県壱岐市南部沖

秋田県由利本荘市

(岩城)

秋田県

由利本荘市(東由利)

南部沖 青森県 八戸市岩手県

奥州市郡山市・須賀川市

対馬市南部沖

山形県 小国町 大仙市 北部沖 秋田県 能代市 久慈市 京都府 伊根町 4県 5地区

福島県いわき市(雨降山)

能代市沖

福島県

いわき市(一本ぶな)

福島県 南相馬市

兵庫県

豊岡市竹野町 鳥取県 鳥取市 ※ 環境省提案による選定

福井県 小浜市 湯沢市 古殿町 石川県 輪島市 豊岡市但東町島根県

大田市朝山

山口県 萩市(弥富上)千葉県

館山市 天栄村 静岡県 磐田市 新温泉町 大田市鳥井

鹿児島県 阿久根市 君津市南相馬市・

飯舘村愛媛県 八幡浜市 静岡県 牧之原市沖 徳島県 鳴門市

9道県 10地区山口県

阿武町・萩市 静岡県 御前崎港 高知県 室戸市 兵庫県 洲本市沖 6府県 10地区

下関市 兵庫県 神河町 福岡県 北九州市沖 島根県 出雲市沖

愛媛県砥部町・内子町

鳥取県 中部沖 長崎県 新上五島町沖 新潟県 村上市沖

長崎県 西海市沖 山口県 萩市(権現山) 鹿児島県 薩摩川内市沖 8道県 13地区

熊本県 芦北町 福岡県 北九州沖 11道県 14地区

鹿児島県 指宿市長崎県

五島市黄島沖

10道県 16地区長崎市

池島町沖

鹿児島県 串木野港

11道県 18地区

平成27年度までに24道府県、86カ所(陸上風力59カ所、洋上風力25カ所、地熱2カ所)で事業を実施

環境省選定地区(H24~H25) 自治体公募による選定地区(H25~H27)

想定事業 調査面積

陸上風力 443 km2

洋上風力 5,820 km2

地熱 4 km2

注:準備中、調査中の地区を含む

H24 H25 H25追加選定 H26 H26追加選定 H27 H27追加選定

環境アセスメント環境基礎情報データベースシステム

30

■「情報整備モデル地区環境情報(報告書)」は、81地区の情報を掲載。

https://www2.env.go.jp/eiadb/

データベースシステムの全体構成①地理情報システム(GIS)

• 風力発電所・地熱発電所情報、情報整備モデル地区環境情報、地域既存環境情報を収録。地図上に表示して閲覧

②情報整備モデル地区環境情報 報告書• 情報整備モデル地区で実施した地域文献調査、

地域ヒアリング調査、現地調査の報告書(PDF)を収録

③参考文献• 鳥類への影響(バードストライク)や騒音・低周波

音に関する文献資料情報 等を検索、閲覧

④環境影響評価事例• 都道府県等の条例に基づく風力発電事業の環

境影響評価書の検索・閲覧

リニューアル!

地域既存環境情報 [表示例]

31

調査ルート、調査地点等の現地調査内容事業の構想段階で配慮すべき環境情報をあらかじめ確認することにより環境への影響を回避・低減

クマタカの生息は?

重要野鳥生息地は?

情報を拡充!

・関係者・関係機関との調整・選定地域におけるガイドの活用と波及の促進

背景・目的

事業スキーム

地域主導で、先行利用者との調整や各種規制手続の事前調整と一体的に環境配慮の検討を進め、事業者単独で行う環境影響評価手続(方法書手続以降)や各種規制手続に係る負担を軽減させ、構想段階から着工までにかかっていた所要期間を最大3年程度短縮を可能とする適地抽出手法構築を図る。

⇒ガイドの策定

実際の地域で、上位計画における戦略的環境アセスメント(SEA)の具体化の検討を開始することで、事業の不確実性を減らし、かつ、累積影響等の環境保全上の配慮を含むゾーニング計画により、計画段階配慮手続等を円滑化させ、所要期間の最大3年程度の短縮をより確実にすることを目指す。

⇒再生可能エネルギー導入促進ゾーニング計画策定

(1)戦略的適地抽出の手法構築

適地抽出地域で、関係者・関係機関との調整、既存情報の収集を行い、質が高く効率的な適地の抽出を行う。地域主導による適地抽出により、得られた知見をもとにガイドを作成。

また、地熱発電等の新たな適地抽出地域の選定と知見の集積を実施し、より汎用性の高いガイドに改良。

(2)再生可能エネルギー導入促進ゾーニング計画の策定検討

具体的な地域において、地域の自然的・社会的条件を踏まえた再生可能エネルギーの導入のために、促進エリア及び避けるべきエリアの設定等、環境面に加え、経済・社会面を統合的に評価したゾーニング計画策定の検討を行う。

平成25年度予算○○百万円

平成27年度要求額億円風力発電等に係る地域主導型の戦略的適地抽出手法の構築事業 平成28年度予算(案)

341百万円(158百万円)

事業概要

・関係者・関係機関との調整・情報の収集等(モデル事業のデータを活用)

適地抽出手法の検討基本的考え方の共有 フィードバック

適地抽出手法のガイド策定

成果の活用 知見の追加

イメージ

H29

期待される効果

構想段階から着工までの所要期間を最大3年程度短縮可能とする適地抽出手法を構築し、環境配慮と両立した風力発電等の導入を加速化する。地域の自然的・社会的条件を踏まえた再生可能エネルギーの導入促進を目指す。2030年度のCO2削減量89000 tCO2/年を目指す。

H28H27

事業目的・概要等

事業計画の策定(適地の抽出)

適地抽出地域の

公募・選定

地熱発電等の新たな適地抽出地域の公募・選定

フィードバック

・地域情報、事業性情報等の収集・環境面、経済面、社会面を統合的に評価した計画の検討

成果の活用

ゾーニング検討地域の公募・選定

知見の追加

再生可能エネルギー導入の加速化

ガイドの汎用性の向上

再生可能エネルギー導入促進ゾーニング計画策定

国・公募・選定・ガイド等策定

地方公共団体・関係者等との調整・情報の収集等

適地抽出地域での事業を委託

環境配慮と両立した再生可能エネルギーの導入を加速化するために、

実施期間:平成27~29年度 実施結果の報告

32

平成28年度風力発電等に係る地域主導型の戦略的適地抽出手法の構築事業におけるモデル地域について

平成28年度予算:341百万円(158百万円)

洋野町沖合海域洋上風力(着床式)

200,000 kW(5,000 kW×40基)

<モデル地域の目的>モデル地域における実践で得られた知見をもとに地域主導による適地抽出手法に関するガイドの取りまとめ

◇長崎県五島市(H27~)

申請者(共同提案者)

北九州市若松区響灘沖洋上風力(着床式)

200,000 kW( 5,000 kW×40基)500,000 kW( 5,000 kW×100基)

◇福岡県北九州市(H27~)

◆洲本市(H28~)

洲本市五色沖洋上風力 50,000~100,000 kW

(5,000 kW×10~20基)

◆北海道足寄町(H28~)

◆北海道標津町(H28~)

足寄町クマネシリ南部地域地熱発電 規模未定

(今後の賦存量調査等により決定)

標津町武佐岳地域地熱発電 15,000 kW級

五島市崎山沖・黄島沖洋上風力(浮体式)

22,000 kW( 2,000 kW×11基)

500,000 kW( 5,000 kW×100基)

◇岩手県(H27~)(洋野町)

◇鳥取県(H27~)

東伯郡北栄町陸上風力 30,000 kW(3,000 kW×10基)

拡大地図出典:国土地理院ウェブサイト

33

再エネ導入推進と環境保全の観点から、それぞれの目的を達成するための区域(推進エリア、保全エリア等)について、関係者間協議などを踏まえながら、総合的に評価し、設定

風力発電等に係るゾーニングとは?

関係者・関係機関との調整・協議会、検討会等に関係者・関係機関が参画・個別ヒアリング、パブコメ etc

成果の活用法

・マップの公開、事業者説明会等による誘致促進 etc

扱う情報

【事業性】・風況、地形情報(標高、傾斜等)・アクセス性(道路網、送電網) etc【環境配慮事項】

・環境保全、国土保全、農業振興等に関する法規制・鳥類の営巣地、渡り等の情報・景観(観光地からの見え方等)・住宅集合地からの距離 etc

レイヤー情報の整理

重ね合わせ

関係者・関係機関協議

意見の反映・調整

ゾーニング結果

注:陸上風力の場合

作業のイメージ

風力発電等におけるゾーニング

34

35

○地方公共団体において、環境面だけでなく経済面、社会面も統合的に評価して、再生可能エネルギー導入を促進すべきエリア、環境保全を優先すべきエリア等の設定などを行うゾーニング手法について検討を開始

○実際の地域においてゾーニングを実践するモデル地域を4地域選定

質が高く効率的な環境アセスメントを推進し、環境保全と再エネ導入促進の両立を図る

陸上・洋上(県内全域及びその周辺海域)

○長崎県西海市

○申請者(共同提案者)

○鳴門市

((一社)徳島地域エネルギー、自然電力株式会社)

洋上(鳴門市沖の一部海域)

○北海道八雲町((一社)北海道再生可能エネルギー振興機構)

陸上(町内全域)

陸上・洋上(島嶼を含む西海市全域及びその周辺海域)

○宮城県

風力発電等に係るゾーニング手法検討モデル事業

風力発電等に係るゾーニング導入可能性検討モデル事業

背景・目的

○風力発電、特に陸上風力については、立地適地を巡って事業者が集中する状況にあり、個々の事業者に対する環境影響評価手続については、累積的影響についての対応について課題が見られる。○再生可能エネルギーの導入と環境配慮を両立させるためには、地域の自然的条件・社会的条件を評価したゾーニングが重要であり、事業の不確実性を減らすよう、導入促進に向けた促進エリアや環境保全を優先するエリア等の設定といったゾーニングが必要である。

ゾーニングモデル地域での実践

(地方公共団体)

・環境情報、事業性情報等の収集等

・関係者等との調整

ゾーニングマップの策定等

イメージ

平成29年度要求額300百万円(新規)

H30H29H28

事業スキーム

実施期間 平成28~30年度

国・公募・選定・ゾーニング手法の検討

地方公共団体・関係者等との調整・情報の収集等

ゾーニングモデル地域での事業を委託

実施結果の報告

事業概要

○ゾーニングモデル地域において、地域の自然的・社会的条件を踏まえた再生可能エネルギーの導入のために、促進エリア及び環境保全を優先するエリア等の設定等、環境面に加え、経済・社会面を統合的に評価したゾーニングの検討を行う。○具体的な地域において、それぞれの地域に応じたゾーニング計画の策定検討を開始する。○環境アセスメント環境基礎情報整備モデル事業で構築したデータベースを基盤として、情報の追加や最新の知見に係る情報についての更新等や維持管理を行う。

期待される効果

○地域の自然的・社会的条件を踏まえた再生可能エネルギーの導入促進を目指す。○アセス手続を円滑化させ、環境アセスメントについて迅速化する。

国(各段階で支援、主体的に関与)

地公体向けゾーニング

マニュアル策定

調査支援環境配慮検討支援

マップ策定支援知見提供等

マニュアルの活用

知見の集約

地公体向けゾーニング

マニュアルの普及・向上

4地域選定 6地域程度追加

風力発電等に係る環境アセスメント基礎情報整備モデル事業のデータベース

更新等の維持管理

※平成28年度は風力発電等に係る戦略的適地抽出手法の構築事業の一部として検討開始36

東日本大震災での特例

37

「復興事業への迅速な着手」と「環境保全」の両立を図る

復興整備計画に位置付けられた復興整備事業のうち、環境影響評価法の対象事業となる土地区画整理事業(75ha以上)、鉄道事業及び軌道事業(7.5km以上)につ

いても、迅速な事業着手という本法の趣旨に合わせた形で環境影響評価手続の特例を適用。

復興整備計画に位置付けられた復興整備事業のうち、環境影響評価法の対象事業となる土地区画整理事業(75ha以上)、鉄道事業及び軌道事業(7.5km以上)につ

いても、迅速な事業着手という本法の趣旨に合わせた形で環境影響評価手続の特例を適用。

環境影響評価手続の特例

38

特例手続<対象事業>被災住民の生活再建に不可欠な事業で、復興整備計画に位置づけられる一定規模以上の土地区画整理事業、鉄道事業及び軌道事業

特定評価書

被災した市町村等が特例手続を実施方法書、準備書、評価書を集約国民、地方公共団体、国の関与を集約

被災した市町村等が主に既存文献等を活用し、調査・予測・評価・環境保全措置の検討を行う。

特定環境影響評価の実施

現行制度<対象事業>環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業で、道路、ダム、鉄道、空港、発電所、土地区画整理事業などの13種類の事業

対象事業を実施しようとする事業者が手続を実施方法書、準備書、評価書の3段階で実施方法書、準備書段階では国民、地方公共団体が、評価書段階では国の関与がある。

方法書

準備書

評価書

環境影響評価の実施

事業者が通年現地調査を含む十分な調査・予測・評価・環境保全対策の検討を行う。

38

特区法に基づく「特定アセス」の実施例

39

常磐線(駒ヶ嶺~浜吉田)復旧事業実施主体:JR東日本事業規模:単線、延長約14.6km

(出典)JR東日本ウェブサイト© Google map

-地表式(盛土・切土)-高架-トンネル-堀割-現行路線

2012.9. JR東、復旧計画発表2012.12. 特定アセス書案公表2013.2. 環境省・国交省意見提出→用地取得、測量、設計等

2014.春 着工予定?