タイでは経営環境が

厳しい中で、利益確保

に苦労されている企業

は多い。それらの企業

では、売上の確保に向

けての営業努力、また、

合理化取り組みと共

に、経費削減、残業削

減等にも取り組まれて

いる。しかし、それだ

けでは、なかなか改善

ネタが見つからないと

いうこともある。

　

今回は、そういう中

で、経営ロスコストの

削減について述べた

い。

一番ムダなのはロスコ

スト

　

経営を進める中で、

一番ムダなのが、俗に

言うロスコストであ

る。本来、うまく仕事

をすれば必要がなかっ

たはずのコストのこと

だ。そういう意味で、

是非取り組みたいの

が、経営ロスコストの

削減である。皆さんの

会社では、経営ロスコ

ストをどのように定義

されているだろうか。

また、適切に金額で把

握され、具体的な削減

取り組みの推進ができ

ているだろうか。

　

経営ロスコストとし

て代表的なものとして

は、品質ロス、値引き

ロス、廃棄ロス、物流

ロス等がある。

　

先ず、品質ロスコス

トについては、失敗コ

スト（Failure

Cost）と言われる

が、不良品として廃棄

された材料代のみなら

ず、不良品の製造に関

する人件費をはじめと

した加工コスト、また、

選別や手直し費用、顧

客対応の市場対策費用

等、適切に把握すると

かなりの金額になる

ケースが多い。さらに、

新製品の立ち上げ段階

でのロスコストという

ことになると、設計の

手戻り、治工具の手直

し、金型修正費、版代、

試作のやり直し費用、

さらに新製品の発売遅

れにつながると販売機

会損失のロスまで加わ

ることになり、驚くほ

どのロスコストになっ

ていることがある。

コストとして捉える

　

先ずは、どのくらい

のロスコストが発生し

ているのか把握してみ

ることが大切だ。コス

トとして捉えること

で、その重要性も認識

できるからだ。そのた

めには、例えば日報で

あれば、不良関係に要

した工数が把握できる

ものになっている必要

がある。工数がわかれ

ば、それに賃率を掛け

あわせることで工数に

ついてのロスコストが

把握できる。

　

また、値引きロスは、

過剰な在庫がある場合

に、安売りしてでもさ

ばくために値引きする

ロスである。よくある

スーパーマーケットの

惣菜コーナーで、売れ

残りそうになると値引

きシールを付けて売り

さばいているが、この

ようなロスのことだ。

　

同様に廃棄ロスは、

使わなくなった部材や

売れない製品を廃棄す

ることによるロスであ

る。

　

物流ロスは、特に海

外拠点に多いのは、納

期に間に合わないため

に、緊急でエアー便を

使って送品というよう

な場合だ。飛行機で送

品すると当然コストが

余分にかかる。これは、

船便でも間に合うよう

に生産できなかったた

めに発生したロスコス

トである。

ロスコストを定義する

　

企業によっては、こ

のようなロスコストに

ついて定義をして、そ

れを金額で表し、その

削減に取り組まれてい

る企業もある。

　

例えば、在庫一つも、

基準在庫よりオーバー

した在庫について、「基

準在庫オーバーロス」

という名称で、基準を

超えた在庫金額に資本

コストを掛けあわせた

資本コストロス、保管

料ロス、棚卸工数ロス

等を加えたものと定義

して管理されている等

である。

　

要は、先ずは、これ

はムダなのだというこ

とを全員が意識しない

と削減の取り組みが始

まらないので、どんな

ロスコストが発生して

いるかを整理し、それ

を、できるレベルから

でよいので、コストと

して捉えるように定義

をして、把握できるよ

うにすることだ。

　

実際、これらのロス

コストが把握できるよ

うになると、いかに大

きな金額をロスしてい

るのか驚くことが多

い。もし、この金額が

少ないようであれば、

それはロスとしての把

握が甘いと言える。ロ

スコストが大きいとい

うことは、それだけ改

善のネタがあるという

ことなので、その削減

に向けて、全員が取り

組むことで大きく収益

体質を改善できると共

に、質の高い仕事への

変革が図れることにな

る。

　

厳しい経営環境の中

で、ムダなロスコスト

を発生させている余裕

はない。先ずは、ロス

コストを定義して、把

握できるところから把

握してみてはどうだろ

うか。

ロスコストを考える 第

58回

　

「コンサルタントの現場から」のコラムは、

コンサルタントがコンサルティング等の現場

で見聞きしたことの中から、参考になるので

はないかという四方山話を綴ったものです。

　大手家電メーカーにて、海外経営責任者などの要職を歴任後、ジェムコ日本経営に入社。2007 年執行役員、2011 年取締役、2015 年 6 月より現職。上場企業経営トップおよびボードメンバーへの顧問型経営支援をはじめ、グローバル戦略の構築から、製造現場の現場力向上、品質革新など、経営全般にわたり幅広く活躍している。実践に裏打ちされた「わかりやすい」コンサルティングが身上。「ものづくり経営入門」（日経 BP）他、雑誌や媒体への執筆、講演も多い。　主な資格は、ICMC（国際公認経営コンサルティング協会）認定コンサルタント、公益社団法人全日本能率連盟認定マネジメントコンサルタント、経済産業大臣登録中小企業診断士

＜執筆者プロフィール＞

高橋 功吉（たかはし こうきち）

㈱ジェムコ日本経営 常務理事 グローバル事業担当

一番ムダなのはロ

スコスト

コストとして捉える

ロスコストを定義する

取り

収益

と共

への

にな

の中

スト

余裕

ロス

、把

ら把

だろ

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