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2015.08.20 ドイツと米国が仕掛ける製造業のルール変更、 日本の製造業はインダストリー4.0にどう対処すべきか ~ドイツ、米国の戦略を比較分析し、 日本の動向と取り組みを見定める~ 株式会社フロンティアワン 鍋野敬一郎 [email protected]

株式会社フロンティアワン 鍋野敬一郎 - Hitachi …...20 15.08.20 ドイツと米国が仕掛ける製造業のルール変更、 日本の製造業はインダストリー

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2015.08.20

ドイツと米国が仕掛ける製造業のルール変更、 日本の製造業はインダストリー4.0にどう対処すべきか ~ドイツ、米国の戦略を比較分析し、 日本の動向と取り組みを見定める~

株式会社フロンティアワン 鍋野敬一郎 [email protected]

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KEYWORDs : 皆様のテーマ

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インダストリー4.0にどう取り組むべきなのか?(現状把握) ▷ドイツ、米国の動向、戦略、ポイントを知りたい。 ▷他社動向(事例、アクション)を知りたい。 ▶トレンドを把握して戦略策定の参考にしたい。

何を何処から手を付けるべきなのか?(方向性検討) ▷何を見定めれば良いのか、何を決めなければならないのか。 ▷何を決めて、何を強みにするのか、何を変えるべき/変えてはいけないのか。 ▶イメージを掴みたい。何を何処から始めれば良いのか知りたい。

IoT企業への取組みを考える(計画策定) 例えば、工場・製造ライン全ての機器類をネットワークで繋いで、リアルタイムにデータを入手、関係者全に共有する仕組みを作ることになりました。さて? ▷IT系は、ビッグデータ、データ保管手段、分析ツールなど手段を提案 ▷現場系は、製品のQCDを良くするためのデータやその対象から検討 ▶計画策定、目標・ゴールを具体化したい。(短期的:拙速、中長期的:巧遅)

IoTはビジネス環境の変化「あわてない」「真似しやすい・真似しにくい」を見極める ・新しいビジネスモデルは創造できるか?(グローバルで通用するのか、しないのか) ・真似できるコトは見習う、真似できない(真似しにくい)コトは突き詰める!

取組みのポイント

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Agenda:

ドイツの戦略 :独インダストリー4.0の戦略

米国の戦略 :米インダストリアル・インターネットの戦略

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市場の動向 :Internet of Things トレンド・アップデート 1

日本の選択 :日本のものづくりが勝ち残る選択肢とは 4

“Whenever you see a successful business, Someone once made a courageous Decision.” by Peter F. Drucker

ドイツの戦略 :独インダストリー4.0の戦略

米国の戦略 :米インダストリアル・インターネットの戦略

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市場の動向 :Internet of Things トレンド・アップデート 1

日本の選択 :日本のものづくりが勝ち残る選択肢とは 4

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 4

IoT (Internet of Things) : モノのインターネット

IoT(Internet of Things)とは、モノのインターネットと呼ばれる新しい考え方。 最近よく使われるようになってきた言葉で、これから大きな市場やビジネスチャンスが期待されている領域です。IoTとは、私達の身の回りにあるモノ(機械、機器、車両、工場など)にセンサーや制御機器を組み込んで、これをインターネットに繋いでネットワーク化することです。

例えば、自動車に搭載されたセンサーは、位置情報で現在位置を把握するだけではなく速度や進行方向、エンジンの回転数や温度、燃費など様々なデータをモニターしています。 工場の工作機械や治具に組み込まれているセンサーからは、稼働時間や消耗品の減り具合、故障した部品や故障の予兆などの情報を集めることができます。 モノをネットにつなぐことで、様々なデータを収集することが出来ます。膨大なデータを利用することで、モノを省力かつ効率的に利用したり、故障を予め予測したり、遠隔制御、自動制御してヒトの作業を補完することが可能となります。IoTは新しいサービスや、ビジネスモデルを生み出す可能性を持っています。 ネットにつながる機械やデバイスの数は2015年で150億台、2020年には500億台を超えると言われ、その経済価値は1.9兆ドル(約250兆円)へ急成長すると予測されています。

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IoT 「モノのインターネット」とは : モノとヒト、モノとモノがネットでつながる

出所:BDM(ビッグデータマガジン)ホームページより

http://bdm.change-jp.com/?p=1677

「IoT」とは、「Internet of Things」の略です。一般に“モノのインターネット”と言われます。“モノがインターネットプロトコル(インターネット言語)でネットワーク化されている”という意味です。これまでは、ヒトがモノを操作してインターネットにデータが発信されていましたが、IoTではモノが自らデータをインターネットに発信しています。2014年5月1日に米国ホワイトハウスが公表した「BIG DATA: SEIZING OPPORTUNITIES, PRESERVING VALUES」レポートでは、IoTを「有線および無線ネットワークを介してリンクされた組み込みセンサーを使用して、デバイス同士が互いにデータ通信する機能」と表現しています。

米調査会社Gartnerは2020年における IoTの経済価値を1兆9,000億ドルと予測

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国内IoT(Internet of Things)市場予測2014 : IDCジャパン

IDCジャパンは、国内IoT(Internet of Things)市場予測を発表しました。 IDCではIoTを「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイス(モノ)からなるネットワークのネットワーク」と定義しています。 ①インテリジェントシステム/エッジデバイス(以下IoTデバイス)」、「②通信モジュール、通信回線、通信機器」、「③IoTプラットフォームソフトウェア」、「④アナリティクスソフトウェア」、「⑤IoTインフラストラクチャ」、「⑥垂直市場ソリューション/専門サービス」、「⑦セキュリティサービス」という7つのテクノロジー要素に分類して市場予測しています。 2014年の国内IoT市場におけるIoTデバイスの普及台数は5億5,700万台、売上規模は9兆3,645億円であったとみており、2019年には同市場のIoTデバイスの普及台数は9億5,600万台、売上規模は16兆4,221億円に達すると予測しています。予測期間内(2014年~2019年)の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はそれぞれ11.4%および11.9%という非常に早いスピードで成長することが見込まれます。

出所:IDCジャパンホームページ プレスリリースより

http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20150205Apr.html

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国内IoT(Internet of Things)産業分野別投資動向予測2014 : IDCジャパン

IDCジャパンは、国内IoT(Internet of Things)産業分野別投資予測を発表しました。 2014年の国内IoT市場の売上額9兆3,645億円を産業分野(大分類)別の投資額割合でみた場合、最も大きいのは「製造/資源」セクターで、市場全体の40%を超える規模でした。また「流通/サービス」セクターと「公共/インフラ」セクターはそれぞれ市場の25%程度でした。国内IoT市場は2014年~2019年の期間、年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)にして11.9%で成長し、2019年には16兆4,221億円に達するとIDCでは予測しています。

出所:IDCジャパンホームページ プレスリリースより

http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20150319Apr.html

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 8

Agenda:

ドイツの戦略 :独インダストリー4.0の戦略

米国の戦略 :米インダストリアル・インターネットの戦略

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市場の動向 :Internet of Things トレンド・アップデート 1

日本の選択 :日本のものづくりが勝ち残る選択肢とは 4

“Whenever you see a successful business, Someone once made a courageous Decision.” by Peter F. Drucker

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IoTとインダストリー4.0の位置関係 : インダストリー4.0は製造業のIoT

ERP 基幹システム

MES 製造実行システム

SCADA 生産監視制御システム

PLCシーケンサ 機器制御装置

I/O入出力 FA, センサーなど

インダストリー4.0 (製造業中心の取組み)

IoT(モノのインターネット)は、製造業、エネルギー、流通業、サービス業、公共、インフラなど幅広い領域に適用できます。独インダストリー4.0は、製造業を中心としたIoTの取組みです。産官学の国家プロジェクト。

ドイツ工学アカデミー

インダストリアル・インターネット・コンソーシアム:IIC (米GEなど5社が創設した企業連合、製造・エネルギー・ 運輸、医療、インフラなど幅広い領域を対象としている)

IoT

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IoTの考え方 : これまでの製造業とIoT企業の違い

IoT企業は、 製造+サービスを提供することでデータを媒介とした持続的な収益を得ることができる。

モノ コト

サービス 企業

サービス システム

データ

データ 収益

収益 役務 収益 製品

生産の現場

消費の現場

製品 データ

これまでの 製造業

「4分の1インチ・ドリルが100万個売れたが、これは人びとが4分の1インチ・ドリルを 欲したからでなく、4分の1インチの穴を欲したからである」 by セオドア・レビット著「マーケティング発想法」1968年(絶版)より

出所:日本経済新聞2015年7月10日25面 法政大学 西岡靖之教授寄稿より

IoT企業(製造+サービス)

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これまでの工場のイメージ : タテ・ヨコが分断、それぞれ連携、逐次処理

製品設計 生産設計

生産管理・在庫管理 (Fulfillment/S&OP/IBP) 実行系/計画系/統合計画

保守:保全 アフターサービス

ERP 基幹システム

MES 製造実行システム

SCADA 生産監視制御システム

PLCシーケンサ 機器制御装置

I/O入出力 FA機器、センサーなど

販売管理

PLM (プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)

SCM (サプライ・チェーン・マネジメント)

製販管理(生販在調整・在庫可視化) (トータリー・インテグレイティッド・オートメーション)

水平連携

垂直連携

データを逐次受け渡す バケツリレー型データ連携 (タイムラグ)

バッチ処理

データ変換して バッチファイル連携

データ変換して バッチファイル連携

データ変換して バッチファイル連携

コンピュータ レベル

コントローラ レベル

デバイス レベル

センサー レベル

生産方式:日本(トヨタ生産方式)、アメリカ(リーン生産方式)製造業の工程ごとに部分最適が進む。 各工程、各階層ごとに情報が分断されていて、連携するのが難しい。(仕様、フォーマットが異なる)

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 12

インダストリー4.0「スマートファクトリー(つながる工場)」 :“十字”連携モデル

製品設計 生産設計

生産管理・在庫管理 (Fulfillment/S&OP/IBP) 実行系/計画系/統合計画

保守:保全 アフターサービス

ERP 基幹システム

MES 製造実行システム

SCADA 生産監視制御システム

PLCシーケンサ 機器制御装置

I/O入出力 FA機器、センサーなど

販売管理

PLM (プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)

SCM (サプライ・チェーン・マネジメント)

TIA (トータリー・インテグレイティッド・オートメーション)

水平連携

垂直連携

リアルタイム処理

インダストリー4.0は、ダイナミックセル生産方式を実現するスマートファクトリーが要。これを軸とした 情報の“十字”連携モデルで世界標準を狙う。(シーメンス社:MES/PLM, SAP社:ERP/SCM)

リアルタイム、ネットワーク化で スマートファクトリー(つながる 工場)を実現して世界標準を狙う

ダイナミックセル生産方式

標準データで API連携

標準データで API連携

標準データで API連携

コンピュータ レベル

コントローラ レベル

デバイス レベル

センサー レベル

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ドイツ「インダストリー4.0」 : 第4次産業革命 ネットで“つながる工場”の実現

出所:日本経済新聞オンライン記事 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2302G_T20C14A1000000/

現在、ドイツ政府は「Industry4.0(インダストリー4.0)」(ドイツ語でIndustrie4.0)と称する高度技術戦略を掲げ、産官学一体のプロジェクトを推進している。そのコンセプトを一言で表すと、「つながる工場」である。インターネットなどの通信ネットワークを介して工場内外のモノやサービスと連携することで、今までにない価値を生み出したり、新しいビジネスモデルを構築したりできる。

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 14

ドイツ「インダストリー4.0 」 : “Smart Factory”とは?

4.0という名称には、人類の長い歴史における「第4次産業革命」という意味が込められています。(図1)第1次は、18世紀から19世紀にかけて起きた水力や蒸気機関による工場の機械化。第2次は、19世紀後半に進んだ電力の活用。第3次は、20世紀後半に生まれた「プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)」(工場などで自動制御に使われる装置)による生産工程の自動化です。Industrie4.0は、これらに比肩する技術革新として位置付けています。第3次産業革命の自動化は、あくまで生産工程だけを対象としたITの活用でした。Industrie4.0では、その対象を大幅に広げる。このようにして進化した工場を、WGは最終報告で「Smart Factory」(スマートファクトリー)と呼んでいます。

出所:日本経済新聞オンライン記事 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2302G_T20C14A1000000/

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ドイツ「インダストリー4.0」 : 4つの領域のデファクトを狙うシーメンス

シーメンス社は「インダストリー4.0」を実現化するため①製造プロセス(工程管理)、②装置・機器(製造装置)、③エンジニアリング、④ソフトウェアの4つのデファクト・スタンダードを狙っています。シーメンス社が強みを持つPLM/MESと、これに繋がるERP/SCM(SAP社)をFA:ファクトリーオートメーションの標準規格(ISA-95)のイニシアティブを欧州勢:ドイツが握る戦略。

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ドイツ「インダストリー4.0」 : 生産プロセスを支えるシステム

出所:経済産業省、日本の「稼ぐ力」創出研究会(第8回)資料より http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kaseguchikara/008_haifu.html

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ドイツ「インダストリー4.0」 : 新しい生産方式「ダイナミックセル生産」

出所:経済産業省、日本の「稼ぐ力」創出研究会(第8回)資料より http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kaseguchikara/008_haifu.html

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ドイツ「インダストリー4.0」 : ゴールは「ダイナミックセル生産」の実現

出所:MONOistオンライン記事より http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1404/04/news014_2.html

「インダストリー4.0」の生産現場であるスマートファクトリーを実現するための製造手法および管理手法を「ダイナミックセル生産」という名称で説明しています。これはTPS(トヨタ生産方式)やリーン生産をベースに新しいドイツ流ものづくりについて考えられたものです。 これを実現するためには、設計から生産に至るまでの一貫した生産工程を工程ごとに標準化を行い、工程ごとに組み替えができるようにする必要があります。これによって、求められる仕様に合わせて機能やコンポーネントを工程ごとに組み替えて、柔軟で高度に統合された自律的な生産管理を実現するというものです。

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シーメンス社のIoT戦略 : 製造、ヘルスケア、運輸、エネルギーなど領域

シーメンス社のIoT戦略は、デジタル化による産業の変革を狙う。 (IoT 、クラウド技術、3Dプリンター技術、ナレッジオートメーション、ロボット)

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 20

ドイツ「インダストリー4.0」 : シーメンスのMES/PLMについて

出所:経済産業省、日本の「稼ぐ力」創出研究会(第8回)資料より http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kaseguchikara/008_haifu.html

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 21

ドイツ「インダストリー4.0」 : シーメンスのソリューション

出所:SAPPHIRE NOW 2015 シーメンス社発表資料より http://events.sap.com/sapphirenow/en/home

シーメンス社は、自社の強みであるMES/PLMをSAP社が提供する超高速データベース技術を利用したクラウド基盤上で実用化しようとしている。

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SAP IoT ソリューション : アーキテクチャの構成イメージ(システム基盤を狙う)

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 23

Agenda:

ドイツの戦略 :独インダストリー4.0の戦略

米国の戦略 :米インダストリアル・インターネットの戦略

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市場の動向 :Internet of Things トレンド・アップデート 1

日本の選択 :日本のものづくりが勝ち残る選択肢とは 4

“Whenever you see a successful business, Someone once made a courageous Decision.” by Peter F. Drucker

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 24

米国「Industrial Internet」 : インダストリアル・インターネットについて

出所:経済産業省、産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済小委員会 (第1回)資料より http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shojo/johokeizai/001_haifu.html

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 25

GE社 : インダストリアル・インターネット戦略の

GEのインダストリアル・インターネット戦略は4つの領域にフォーカス (IoT 、インテリジェントマシン、ビッグデータ、分析技術)

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General Electric社の狙い : インダストリアル・ソフトウェア・プラットフォーム

出所:GE Japanホームページより http://www.ge.com/jp/news/reports/industrial_internet_nov26_12.html ホワイトペーパー(日本語版) http://www.ge.com/jp/docs/1377481198526_Industrial_Internet_Japan_WhitePaper_0517_2s.pdf

インダストリアル・インターネットによって、働く人には必要な情報への迅速なアクセス、新しい洞察を創出する分析機能、そして、情報の共有と配信の方法を変革するモバイル・コラボレーション・ツールが提供されます。

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GE社 : インダストリアル・インターネットの風力発電への展開例

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GE社の戦略 : 基本ソフトウェア「Predix(プレディクス)」開発・提供

出所:経済産業省、日本の「稼ぐ力」創出研究会(第8回)資料より http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kaseguchikara/008_haifu.html

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Predix(プレディクス) : 戦略の要となるGE社が提供するシステム基盤

GE社は、Predix(とPivotal社のストレージ:Data Lake)をインダストリアル・インターネットのプラットフォームとしてこれをIIC(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム)に提供、GE中心のエコ・システム構築を狙っている。

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GE社の優位性 : 基本ソフトウェア「Predix」によるサービス提供

出所:米投資情報サイト、GE社アナリストレポート掲載記事より http://seekingalpha.com/article/2564615-general-electric-services-revenue-should-continue-to-increase

米機関投資家は、GE社のサービス提供による売上が今後飛躍的に増えると予想。 サービス提供を支えているのは「Predix(プレディクス)」と呼ばれるシステムプラットフォームとその上に構築された様々なアプリケーション群によるもの。このビジネスモデルは、さらに拡大して行く。(日本ではソフトバンクグループが提供)

航空

鉄道

天然ガス

風力発電

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 31

Agenda:

ドイツの戦略 :独インダストリー4.0の戦略

米国の戦略 :米インダストリアル・インターネットの戦略

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市場の動向 :Internet of Things トレンド・アップデート 1

日本の選択 :日本のものづくりが勝ち残る選択肢とは 4

“Whenever you see a successful business, Someone once made a courageous Decision.” by Peter F. Drucker

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 32

サイバーフィジカルシステム : CPS(Cyber Physical System)

出所:経済産業省、産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済省委員会(第4回配布資料より) http://www.meti.go.jp/committee/gizi_1/32.html

サイバーフィジカルシステム(CPS)とは、サイバー空間:コンピュータの仮想空間が、フィジカル:現実世界と融合して1つの仕組みを形成するというコンセプト。

コンセプトは分かるが、 欧米の真似では、 日本企業が主導しない 競争優位にはならない

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 33

サイバーフィジカルシステム : ドイツ・米国の動向、その課題と可能性

出所:経済産業省、産業構造審議会 商務流通情報分科会 情報経済省委員会(第4回配布資料より) http://www.meti.go.jp/committee/gizi_1/32.html

サイバーフィジカルシステム(CPS)への取組みは、ドイツ「インダストリー4.0」、 米国「インダストリアル・インターネット」が先行している。

簡単ではない

かなり難しい

欧米に遅れる こと5年!

勝機と言うより 生き残れるのか?

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製造業におけるIoT活用の事例 : 2015年版ものづくり白書より

出所:経済産業省、2015年版ものづくり白書より 平成26年度ものづくり基盤技術の振興施策(概要)28頁より http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2015/honbun_pdf/index.html

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 35

IoTによる日本の製造業の方向性 : 2015年版ものづくり白書より

出所:経済産業省、2015年版ものづくり白書より 平成26年度ものづくり基盤技術の振興施策(概要)31頁より http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2015/honbun_pdf/index.html

Page 36: 株式会社フロンティアワン 鍋野敬一郎 - Hitachi …...20 15.08.20 ドイツと米国が仕掛ける製造業のルール変更、 日本の製造業はインダストリー

FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 36

IoTに対する各国の取組み : ドイツ、米国、そして日本の状況

インダストリー4.0 インダストリアル・ インターネット

未確定 日本版インダストリー4.0(?)

国 ドイツ 米国 日本

組織 産官学共同(政府主導) ドイツ工学アカデミー

企業連合(企業主導) インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)

官民(各個対応) 省庁, 業界, 企業ごとに異なる (総務省 vs 経産省)

企業 中小企業にフォーカス, 大企業も全面支援

主に大企業 先行する企業は主に大企業, 今後は中堅中小企業へも取組みを促す

システム SAP社:ERP/SCMなど シーメンス社:MES/PLM など

GE Software:Predix(OS) Pivotal:Data Lake(Storage) Intel:Edison, Curie Cisco:Cisco Iox

コマツ:KOMTRAX, KomConnect(独自) 三菱電機:e-F@ctory(独自), Edison(米) DMG森精機:CELOS(独自) ソフトバンク:Predix(米)ロボット(Pepper), 人工知能(クラウドAI)

コンセプト

Factory Centric 工場中心の発想 Smart Factory(考える工場, つながる工場)を実現する 標準化と柔軟性をICT技術で実現(製造業にフォーカス) 標準化でイニシアチブ握る

Machine Centric 機械(モノ)中心の発想 Software Define Machin(ハードウェアとソフトウェアの融合、サーバーとフィジカルの連携)徹底したデジタル化

Hardware, Data Centric (As-is)ハードと情報(データ)に偏る 通信・IT:ビッグデータ, 近視眼的(?) 製造業:技術と品質で先行するが世界展開は難しい. CPSへの取組みが遅れている (To-be)「監視・保守・制御」の追求, ハードとソフトの融合, 日本流デジタル化の取組み

狙いと ビジネスモデル

ドイツ流ものづくりを世界標準にする「ダイナミックセル生産方式」 標準化によってグローバル・スタンダードを目指す(ISA-95, ISO22400など) ドイツ工学アカデミーが主導する産官学プロジェクト

稼働している機械をリアルタイムに管理して最適化する IIC:GE社基本ソフト“Predix”を幅広く提供し誰でもアプリケーションとサービスを開発・利用できるグローバル・スタンダードの確立を狙う. (アップルのビジネスモデルを踏襲)

IoT競争で生き残る, 日本の製品・サービスの競争力を強化する 選択肢は3つ 1)独・米の傘下に入る 2)自前主義を貫く 3)日本版インダストリー4.0を待つ(?) 現時点では企業ごとに異なる戦略, 国・業界としての方針は未確定

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IoTに対する各国の取組み : 日本版インダストリー4.0の方向性?

インダストリー4.0 インダストリアル・ インターネット

未確定 日本版インダストリー4.0(?)

国 ドイツ 米国 日本

組織 産官学共同(政府主導) ドイツ工学アカデミー

企業連合(企業主導) インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)

?業界団体 (これまで官主導, 学主導の取り組みが成功した例が見当たらない)

企業 中小企業にフォーカス, 大企業も全面支援

大企業が主導(GE社, Intel社, CISCO社など)

?大手企業や業界団体が主導 大企業と中堅中小企業にそれぞれ役割を割り振る(ベンチャーや個人は?)

戦略のポイント

標準化の主導権を握る ISOやIECなど国際規格でイニシアティブをとる戦略(ISA-95, ISO22400, IEC TC65など)

オープン・イノベーションとデジタル化(CPS:サーバー・フィジカル・システム)で主導権を握る デジタル化とコンソーシアムでイニシアティブをとる戦略

?未確定(ロボット, AI, モデル) ・ロボット革命イニシアティブ協議会 RRI(http://www.jmfrri.gr.jp/) ・インダストリアルバリューチェーンイニシアチブ(IVI)西岡靖之教授 (http://www.iv-i.org/)

コンセプト

Factory Centric 工場中心の発想 Smart Factory(考える工場, つながる工場)を実現する

Machine Centric 機械(モノ)中心の発想 Software Define Machine(ハードウェアとソフトウェアの融合、サーバーとフィジカルの連携)

Hardware Centric, Data Centric ハードとデータ中心の発想 ・通信・IT:ビッグデータ ・製造業:技術と品質で先行 !「監視・保守・制御」の追求が理想

現状と課題

ドイツの製造業を世界標準にすること ICT技術は標準化とスマートファクトリー(つながる工場)の実現化手段 ドイツ以外の国が賛同していない. 欧州経済の低迷, 中国経済の減速, 米国の動き)

米国の製造業などをデジタル化(CPS)とオープン・イノベーション(IIC)で再生進化させること ICT技術を武器(Predixとクラウド技術)として世界標準を狙う 製造業だけにとらわれない幅広い産業対象としている(製造業, ヘルスケア, 運輸物流, インフラ, エネルギーなど)

先行する大企業は独自技術で技術と実績を持っているが, クローズド:非公開のためガラパゴス化のリスクがある ICT技術は通信とITに偏ってたデータ利用(ビッグデータ)を指向 ノウハウ継承や熟練技術者の育成が日本の強みでもありリスクでもある(後継者不足, 時間と経験)

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日本版インダストリー4.0への取り組み : IVI総会設立

日本機械学会 インダストリー・バリューチェーン・イニシアティブ 2015年6月18日設立(会員数:52社)

司会:日比野浩典(東京理科大学)

西垣淳子 (経済産業省 製造産業局 ものづくり政策審議室 室長)

久保智彰 (ロボット革命イニシアティブ協議会)

理事長:西岡靖之 (法政大学デザイン工学 教授)

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つながる工場 : IVIの取り組み(日本版インダストリー4.0への取り組み)

インダストリー・バリューチェーン・イニシアティブ (トヨタ、日産、三菱重工、川崎重工、IHI、日立、三菱電機など、 フロンティアワンも賛助会員)

理事長:西岡靖之 法政大学デザイン工学 教授

出所:MONOist ホームページ記事より

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1506/19/news074.html

IVIが目指しているのは、日本のモノづくりに最適な“リファレンスモデル(参考となる活動の形)”の創出です。 「IVIは、現実的に日本の製造業にとってメリットのある“ゆるやかな標準”を生み出していきたい」

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日本版インダストリー4.0 :IVI 「つながる!ものづくり」の“十字”統合モデル

製品設計 生産設計

生産管理・在庫管理 (Fulfillment/S&OP/IBP) 実行系/計画系/統合計画

保守:保全 アフターサービス

ERP 基幹システム

MES 製造実行システム

SCADA 生産監視制御システム

PLCシーケンサ 機器制御装置

I/O入出力 ロボットFA, AIなど

販売管理

PLM (プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)

SCM (サプライ・チェーン・マネジメント)

統合型製販一体管理 (ロボット技術、人工知能技術、ビッグデータ)

水平統合

リアルタイム処理

日本版インダストリー4.0では、アナログのノウハウとデジタル化の“摺り合わせ”(日本流デジタル化) ロボット、AI技術で構築した日本版スマートファクトリーを軸とした情報の“十字”統合で巻き返しを狙う

熟練技術者のアナログノウハウを デジタル化する“摺り合わせ”、 ロボット、AI技術を駆使して 自働化/省力化で巻き返しを狙う

標準データで API連携

標準データで API連携

<経営資源の最適化> ヒト・モノ・カネ <無形資源の制御> 時間、経験、サービス

標準データで API連携

コンピュータ レベル

コントローラ レベル

デバイス レベル

センサー レベル

垂直統合

ゆるやかな標準

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 41

「インダストリー4.0」Before/After : 工場・ヒト・システムの何が変わるのか?

Before インダストリー4.0 After インダストリー4.0

工場:生産能力 柔軟性・ 汎用性が低い(ヒトが左右) 計画に従って生産. トラブルや部品供給に問題が発生するとラインを止める. 生産能力を超える場合には, 増員や残業で対応する, それでも対応できない場合には納期が遅れる. 規格品の製造

拡張性・汎用性が高い(仕組みで対応) トラブルが生じた場合, 状況に合わせて即時に計画変更できる, 予防保全で生産ラインの停止を極力回避する. ロボットやシステムが自律的に対処. 生産能力を超える場合には, 他の工場へオーバー分を委託生産する. テーラーメイドに対応可能

工場:設備保全 計画に従った定期保全, 最近は稼働データを収集して予防保全を行うケースもあるが常に監視しているわけではない. ヒトが点検(アナログ中心)

計画に従った定期保全と, 設備稼働データにもとづいた予防保全を組合せてダウンタイムを最小化. モニタリング(常時監視)して異常や故障を未然に防ぐ. 機械学習やロボット(デジタル活用)

生産できる製品 生産できる製品が決まっている(製造する製品を追加変更するためには改修が必要)

製造ラインとシステムに対応する製品なら生産可能(ある程度なら改修なしで生産対応できる)

ヒト 生産できる製品が決まっているため稼働に幅がある(季節変動や需要変動によって労働時間が大きく変わる) 熟練度が低いと生産能力も品質も落ちる ヒトが生産性, 品質, コストなどを左右

生産できる製品が幅広く稼働率を平準化しやすい, 標準化システムによって熟練度が低くてもシステムが補完したり自動化で対処できる(作業者の習熟度をシステムが補うことが可能) ヒトは企画・判断に注力, 生産性は仕組みで対応

システム 工場や製造設備ごとに異なるシステム 習熟するのに研修と時間が必要

ネットワークに繋がった共通システム 設備や仕様の差異はあるが習熟は容易

留意するポイント 高度な技術力や熟練を必要する製品の少量多品種生産に優れているが, 低コスト生産や生産の柔軟性には欠ける. 熟練技術者の技術継承や後継者の育成が難しく時間が掛かる(日本型ものづくり) 人手不足, 技術継承, 高コストに対処できない

工場設備への投資と共通システムを継続的に維持するコストが必要となる. システムが生産をサポートすることで習熟度の低い作業者でもある程度の生産性と品質を維持することができる. ボトムアップ効果が高いシステム デジタル化が鍵だが デジタルはコピーされやすい

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 42

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)のフォーカスポイント

IoTの3つのフォーカスポイント ・モニタリング(監視): モノ(機械、車両、工場など)を常時監視してデータを蓄積。データを利用して効率化、 コスト削減を実現する。データを利用して新しいビジネスモデルを創りだす。 ・メンテナンス(保守): データを利用した故障回避、予防保全の実施。不具合やトラブルをソフトウェア・アップデートで対処する。将来的には、新しいソフトウェアをインストールすると、性能が向上したり、機能が増えたりする。(機械がスマホと同じになる) ・コントロール(制御): モノ(機械、車両、工場など)を制御する。まずは遠隔制御(自動車、建設機械など)からはじまり、将来的にはモノが自律的に判断して自動制御することができるようになる。→人工知能:AI, コグニティブ・コンピューティング:CI(機械学習)、ロボットFA機器

IoTの普及利用による期待効果 ・STEP1:蓄積されたデータの利用(ビッグデータ) → 効率化、信頼性の向上、精度の高い予測 ・STEP2:ネットを利用した遠隔制御、自律制御で自働化 → 作業の省力化、無人化、労働力の補完 ・STEP3:新しいサービス/新しいビジネスモデルを創る → 顧客と市場の開拓、古い産業/商品の再発明(蘇らせる) (例えば、アップル社が取り組んで商品は全てこのスタイル)

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IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の勝敗ポイント

IoTのゴールは、顧客/ユーザーの利益や企業の事業活動に直接貢献する仕組みを創ること ・モニタリング(監視): ここで入手できる膨大なデータを利用した新しいサービス、新しいビジネスを創ること。 データやソフトウェアに偏らず、ハードウェアとの役割やバランスを考えること (例えば、スマホのアップル、グーグル、マイクロソフトを思い出してみると) ・メンテナンス(保守): アフターサービスは製造業の新しい領域。顧客/ユーザーの目線で新しいサービス/ビジネスを提供すること。アフターサービス領域こそ、製造業がこれまで見逃していた市場。 横並びになること無く、他の業界のサービスやビジネスモデルを取り込んで進化すること。 ・コントロール(制御): モノ(機械、車両、工場など)を簡単かつシンプルに制御する仕組みを創ること。 モノをネットでつなげて自在にコントロールすることで新しいビジネス、サービスを生む。 身近にある自動化、無人化されたモノを、別のモノに置き換えて これまで誰も考えなかったサプライズに取り組むこと。 ドイツ:モノ→工場や製造設備など主に製造業 米国 :モノ→エンジンや機械/デバイスからだが 製造業、エネルギー、医療、公共など幅広い 日本 :モノ→自動車、ハイテク、建設/工作機械など ハード(データ)に偏る、ソフトとサービスに弱い 但し、アナログ技術、ロボット、AIは優位性あり?

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まとめ : アナログとデジタルを融合する キーワードは“FUSION”

ポイント IoT企業としての取組み

F 柔軟性 FLEXIBLE

U ユニーク UNIQUE

S サプライズ! SURPRISE

I イノベーション INNOVATION

O オープン OPEN

N ネットワークNETWORK

ビジネス環境の変化(IoT)へ即応できる体制を整える IoT、インダストリー4.0がビジネス環境を激変する可能性は高い。一度失った市場を取り戻すのは不可能。直ちに取組みを始めるべき。IoT企業となる体制と準備を整える。

自社の強みと弱みを棚卸して“進化”の計画策定する “これでIoTに対応できる!”という確実なものは存在しない。市場ルールが変わっても、生き残れる経験やノウハウは変わらないはず。他社に真似できないモノ→コトを追求する。

製造+サービス=!を提供して持続的な収益を得る ハード+サービス、アナログとデジタルの融合。新しいビジネス環境の中で自社の強みを追求して、継続的に収益をあげる“新しいビジネスモデル”を創造する。

先行する独国、米国の仕組みを取込み(真似て超える)、モノ+サービスの強みを“つくる”

アナログとデジタルを融合(FUSION)した新しいビジネスモデルの実現

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コマツ「KOMTRAX」 : IoTの先行事例 ネットで繋がる建設機械

KOMTRAXとは、 KOMTRAXはコマツが開発した建設機械の情報を遠隔で確認するためのシステムです。 コマツでは2001年より標準装備化を進め、現在、約62,000台(2011/4現在)のKOMTRAX装備車両が国内で稼働しています。 コマツではKOMTRAXから送信される車両情報を無償でお客様に提供しています。 KOMTRAXのしくみ、 車両システムには、GPS、通信システムが装備され、車両内ネットワークから集められた情報やGPSにより取得された位置情報が通信システムにより送信されます。 サーバ側システムでは、車両から送信されたデータを蓄積し、インターネットを通しお客様やコマツ販売代理店に提供されます。 KOMTRAXの機能、 ・保守管理:メンテナンス管理、故障の予防保全 ・車両管理:稼働現場、メーター値のモニター ・稼働管理:車両ごとの稼働状況モニター ・車両位置確認:GPSによる車両の稼働場所を確認 ・省エネ運転支援:KOMTRAXデータを使って 省エネ運転を支援 ・帳票作成:KOMTRAXデータからレポートを作成

http://www.komatsu-kenki.co.jp/service/product/komtrax/

参考

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 46

コマツ「KomConnect」 : “スマートコンストラクション” の実現

KomConnect(コムコネクト)とは、 コマツは、新たにクラウドプラットフォーム「KomConnect(コムコネクト)」を開発し、 建設に関わるあらゆる情報を入力し建設現場の 全てをICTでつなげ生産性や安全性の向上を図る 「スマートコンストラクション」の実現を目指す。 KomConnectで管理する6つの領域 1.現況の高精度測量 2.施工完成図面の3次元化 3.変動要因の調査・解析 4.施工計画の作成 5.高度に知能化された施工 6.完工後の施工データ活用 「スマートコンストラクション」は、 建設現場にあるあらゆる情報をICTでつなぎ、 安全で生産性の高い現場を実現するとともに、 蓄積されたデータを社会インフラの整備や 災害復旧などに役立てていくというものです。 ビジネス+IT記事より:http://www.sbbit.jp/article/cont1/29152

日経ITPro記事より:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/013100158/?ST=cio&P=1 コマツ発表より、http://www.komatsu.co.jp/CompanyInfo/press/2015012011372914140.html

参考

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FRONTIER-ONE Inc. 2015, Keiichiro Nabeno Page 47

コマツ「KomConnect」 : “スマートコンストラクション” 「未来の現場」

コマツホームページより http://smartconstruction.komatsu.co.jp/whats.html

コムコネクトが提供する「未来の現場」とは、 ①現況の高精度測量 無人ヘリや3Dレーザースキャナー、建設機械の運転席に搭載されたステレオカメラなどを活用することで、短時間で現況を正確に把握し、現場の高精度な3次元データを生成します。 ②施工完成図面の3次元化 お客様から2次元の施工完成図面をお預かりし3次元データに変換します。3次元データの現況と施工完成形の差を視覚化することで、お客様は施工する前に、施工する範囲、形、運土量などを正確に把握することが出来ます。 ③変動要因の調査・解析 工事を進める上で大きな変動要因となりうる土質や地下の埋設物について、事前に調査し解析します。 ④施工計画の作成 お客様がコムコネクトに施工条件を入力すると、「施工計画シミュレーション機能」が条件ごとに異なる施工パターンを提案します。また、施工開始後はリアルタイムの施工状況が施工計画シミュレーションに自動的に反映されるため、お客様は常に最適な施工計画を立案出来ます。 ⑤高度に知能化された施工 プロセス②で作成した3次元データは、コムコネクトを通じてICT建機に送られます。ICT建機は作業機を自動で制御するため、経験を問わず誰もが熟練作業者のような精度で作業を行うことが可能です。 ⑥完工後の施工データ活用 ICT建機で施工した情報はコムコネクトに蓄積されます。また、蓄積されたデータは、施工後の整備・修繕や自然災害などを受けた地域の復旧作業にも役立てることが可能です。

参考

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ご静聴ありがとうございました

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「インダストリー4.0の衝撃」 洋泉社 ISBN 9784800307026