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ホワイト ペーパー Cisco Public Cisco Visual Networking Index全世界のモバイルトラフィックに 関する最新予測、2017 2022 2019 2 Cisco® Visual Networking IndexVNI):全世界のモバイル データ トラフィックの予測アップデート」は、ビジュアル ネッ トワーキング アプリケーションが世界中のネットワークに及ぼ す影響を追跡、予測することを目的とし、継続的な「Cisco VNI Forecast」の一環として実施されました。このレポートでは、 世界の主要なモバイル データに関する予測と、そのトラフィッ クの増加の傾向について説明します。 概要 2017 年のモバイル ネットワーク 2017 年に全世界のモバイル トラフィックは 71% 増加しました。全世界のモバイル トラフィックは、2016 年末の 1 ヵ月あたり 6.7 エクサバイトから増加し、2017 年末には 1 ヵ月あたり 11.5 エクサバイトに達しました。(1 クサバイトは、10 億ギガバイト、および 1000 ペタバイトに相当します)。 モバイル トラフィックは、過去 5 年間で 17 倍に増加しました。2012 年には、1 ヵ月あたり 686 ペタバイトがモ バイル ネットワークで伝送されました。 2017 年には、第 4 世代(4G)トラフィックがモバイル トラフィックの 72% を占めていました。2017 年の 4G 続は、モバイル接続に占める割合はわずか 35% でしたが、モバイル トラフィックに占める割合としてはすでに 72% に達していました。一方、3G 接続の割合は、モバイル接続では 30%、モバイル トラフィックでは 21% でし た。同年には、4G 接続では 3G 接続と比べて平均 3 倍のトラフィックが生成されました。 2017 年にモバイル オフロードがセルラー トラフィックを大きく上回りました。同年には、モバイル データの総ト ラフィックの 44% が、Wi-Fi またはフェムトセルで固定ネットワークにオフロードされました。固定ネットワーク にオフロードされたモバイル データトラフィックは、全体で毎月 13.4 エクサバイトに上ります。 2017 年には、約 6.5 億のモバイル デバイスと接続が増加しました。2016 年に 79 億だった全世界のモバイル デバ イスとモバイル接続の数は、2017 年には 86 億へと増加しました。 スマート デバイスは 2017 年の全世界のモバイル デバイスとモバイル接続の 53% を占め、モバイル トラフィック 92% はスマート デバイスによるものでした。(この調査の目的上、「スマート デバイス」とは、3G 以降の接 続機能を持ち、高度なマルチメディア機能とコンピューティング機能を搭載したモバイル接続を指します)。 2017 年にスマート デバイスが生成した 1 台あたりの平均トラフィック量は、スマート デバイス以外のデバイス 1 台あたりの 10 倍に相当します。 © 2019 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved.

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Cisco Visual Networking Index:全世界のモバイルトラフィックに 関する最新予測、2017~2022年

2019 年 2 月 「Cisco® Visual Networking Index(VNI):全世界のモバイル データ トラフィックの予測アップデート」は、ビジュアル ネットワーキング アプリケーションが世界中のネットワークに及ぼす影響を追跡、予測することを目的とし、継続的な「Cisco VNI Forecast」の一環として実施されました。このレポートでは、世界の主要なモバイル データに関する予測と、そのトラフィックの増加の傾向について説明します。

概要 2017 年のモバイル ネットワーク 2017 年に全世界のモバイル トラフィックは 71% 増加しました。全世界のモバイル トラフィックは、2016 年末の 1 ヵ月あたり 6.7 エクサバイトから増加し、2017 年末には 1 ヵ月あたり 11.5 エクサバイトに達しました。(1 エクサバイトは、10 億ギガバイト、および 1000 ペタバイトに相当します)。

モバイル トラフィックは、過去 5 年間で 17 倍に増加しました。2012 年には、1 ヵ月あたり 686 ペタバイトがモバイル ネットワークで伝送されました。

2017 年には、第 4 世代(4G)トラフィックがモバイル トラフィックの 72% を占めていました。2017 年の 4G 接続は、モバイル接続に占める割合はわずか 35% でしたが、モバイル トラフィックに占める割合としてはすでに 72% に達していました。一方、3G 接続の割合は、モバイル接続では 30%、モバイル トラフィックでは 21% でした。同年には、4G 接続では 3G 接続と比べて平均 3 倍のトラフィックが生成されました。

2017 年にモバイル オフロードがセルラー トラフィックを大きく上回りました。同年には、モバイル データの総トラフィックの 44% が、Wi-Fi またはフェムトセルで固定ネットワークにオフロードされました。固定ネットワークにオフロードされたモバイル データトラフィックは、全体で毎月 13.4 エクサバイトに上ります。

2017 年には、約 6.5 億のモバイル デバイスと接続が増加しました。2016 年に 79 億だった全世界のモバイル デバイスとモバイル接続の数は、2017 年には 86 億へと増加しました。

スマート デバイスは 2017 年の全世界のモバイル デバイスとモバイル接続の 53% を占め、モバイル トラフィックの 92% はスマート デバイスによるものでした。(この調査の目的上、「スマート デバイス」とは、3G 以降の接続機能を持ち、高度なマルチメディア機能とコンピューティング機能を搭載したモバイル接続を指します)。2017 年にスマート デバイスが生成した 1 台あたりの平均トラフィック量は、スマート デバイス以外のデバイス 1 台あたりの 10 倍に相当します。

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2017 年に、モバイル ネットワーク(セルラー)の接続速度は 1.3 倍以上になりました。全世界のモバイル ネットワークにおけるダウンストリームの平均速度は、2016 年の 6.8 メガビット/秒(Mbps)から、2017 年の 8.7 Mbps へと向上しました。

2017 年には、モバイル ビデオ トラフィックがモバイル トラフィック全体の 59% を占めていました。モバイル ビデオ トラフィックは現在、モバイル データトラフィック全体の過半数を占めています。

モバイル データ ユーザの上位 1% が生成するモバイル トラフィックは、2010 年の 52% から減少し、6% になりました。モバイル ユーザの上位 20% が、62% のモバイル トラフィックを生成しています。

2017 年、スマートフォンで利用される平均トラフィックは 49% 増加しました。スマートフォン 1 台あたりの平均トラフィック量は、2016 年には 1 ヵ月あたり 1.6 ギガバイト(GB) でしたが、2017 年には 1 ヵ月あたり 2.3 GB に増加しました。

2017 年、スマートフォン(ファブレットを含む)は、モバイル デバイスと接続の総数の 51% を占めるに過ぎませんでしたが、モバイル トラフィック全体に占める割合は 88% でした。2017 年には、基本的な機能を持つ一般的な携帯電話がわずか 50 MB/月のモバイル トラフィックを生成したのに対して、一般的なスマートフォンは 47 倍となる 2.3 GB/月のトラフィックを生成しました。

2017 年の世界中のウェアラブル デバイス(Machine-to-Machine(M2M)カテゴリのサブセグメント)の数は 5.26 億台でした。そのうち 19 万台のウェアラブル デバイスにセルラー接続機能が組み込まれていました。

iOS モバイル デバイス(スマートフォンやタブレット)のユーザあたりのデータ利用量は、Android モバイル デバイスのユーザあたりのデータ利用量を上回りました。北米では 2018 年 8 月末までに、iOS が 1 ヵ月あたり 9.1 GB、Android が 1 ヵ月あたり 8.6 GB になり、iOS が Android を超えました。

2017 年の時点で、モバイル デバイスの 47% が IPv6 に対応可能であったと推定されます。この推測は、ネットワーク接続速度と OS の機能に基づくものです。

2017 年には、モバイル接続タブレットの数が 14% 増加して 1.76 億台になり、モバイル接続 PC の数は 1% 増加して 1.35 億台になりました。2017 年の PC/タブレット 1 台あたりのモバイル トラフィックの平均は 3.3 GB/月で、スマートフォン 1 台あたりでは 2.3 GB/月でした。

スマートフォン以外の携帯電話の平均利用量は、2016 年の 34 メガバイト(MB)/月から、2017 年には 50 MB/月へと増加しました。しかし依然として、基本的なハンドセットがネットワーク上で全体の 40% を占めています。

目次 エグゼクティブ サマリー

2017 年の総括

2017 ~ 2022 年における全世界のモバイル トラフィック

世界のモバイル ネットワーキングの主なトレンド

トレンド 1:よりスマートなモバイルデバイスへの進化

トレンド 2:高度化するセル ネットワークの定義 — 2G、3G、4G、5G に関する予測

トレンド 3:モバイル IoT の導入 評価 — M2M およびウェアラブル

トレンド 4:拡大する役割と Wi-Fi のカバレッジを分析する

トレンド 5:新しいモバイル アプリケーションと要件の特定

トレンド 6:モバイル ネットワークの速度向上率の比較

トレンド 7:段階的価格設定の 見直 し:無制限データ プランと 共有プラン

まとめ 関連情報

別表 A:Cisco VNI 全世界の モバイルト ラフィックの予測

別表 B:全世界の 4G ネットワークと接続

別表 C:IPv6 対応デバイス、2022 ~ 2017 年

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2022 年までのモバイル ネットワーク モバイル データトラフィックは今後 5 年間に以下のようなマイルストーンを達成する見込みです。 • 2022 年までに、全世界のモバイル データの月間トラフィックが77 エクサバイトになり、年間トラフィックはほぼ 1 ゼタバイト に達します。

• モバイルは、2022 年までに全 IP トラフィックの 20% を占めるようになります。 • 2022 年までに、1 人あたりのモバイル接続デバイスの数が 1.5 台に達します。 • 2022 年までに、全世界のスマートフォンの平均接続速度が 40 Mbps を超えます。 • 2022 年までに、スマートフォンの割合がモバイル トラフィックの 90% を上回ります。 • 2022 年までに、全モバイル接続の中で 4G 接続の占める割合(54%)が最も高くなります。 • 2022 年までに、4G トラフィックが全モバイル トラフィックの 7 分の 1 を超えます(71%)。 • 2022 年までに、5G トラフィックが全モバイル トラフィックの 10 分の 1 を超えます(12%)。 • 2022 年までに、トラフィックの約 5 分の 3(59%)が携帯電話ネットワークから(Wi-Fi に)オフロードされます。 • 2022 年までに、全世界のモバイル トラフィックの約 5 分の 4(79%)がビデオになります。

世界中のモバイル端末によるデータトラフィック量は、2017 年から 2022 年にかけて 7 倍に増加する見通しです。2017 年から 2022 年までのモバイル トラフィックの年平均成長率(CAGR)は 46% と予測され、2022 年までに 77.5 エクサバイト/月に達する見込みです。

2022 年までに、1 人あたりのモバイル デバイスの数は 1.5 台になる見込みです。モバイル接続デバイスの数は、同年までに 123 億台になると予想されます(M2M モジュールを含む)。この数字は、同時期の世界の推計人口(80 億人)の 1.5 倍を上回ります。

2022 年までに、モバイル ネットワークの接続速度は 3 倍以上に向上します。モバイル ネットワークの平均接続速度(2017 年には 8.7 Mbps)は、2022 年までに 28.5 Mbps に達します。

2022 年までに、4G は接続の 54%、トラフィック全体の 71% を占めるようになると予想されます。同年までに、4G 接続は 3G 接続の平均 2 倍のトラフィックを生成するようになります。

2022 年までに、5G は接続の 3.4%、トラフィック全体の 11.8% を占めるようになると予想されます。同年までに、5G 接続は平均的な 4G 接続の 2.6 倍のトラフィックを生成するようになります。

2022 年までに、モバイル ネットワークに接続されるすべてのデバイスの約 4 分の 3 が「スマート」デバイスになる見込みです。全世界のモバイル デバイスに占めるスマート デバイスの割合は、2017 年の 52.8% から増加し、2022 年までに 72.8% になります。こうしたスマート デバイスから生成されるモバイル トラフィックは、2017 年の 92% から増加し、2022 年までにモバイル トラフィックの大部分(99%)を占めるようになります。

2022 年までに、全世界のすべてのモバイル デバイスの 76% が IPv6 モバイル ネットワークに接続可能になると推定されます。同年までに、IPv6 対応デバイスは 94 億台になると予想されます。

2022 年までに、全世界のモバイル トラフィックの 5 分の 4 がビデオになります。モバイル ビデオは、2017 年から 2022 年までの間に 9 倍に増加し、この予測期間末までにモバイル トラフィック全体の 79% を占めるようになります。

2022 年までに、モバイル接続タブレットと PC が、2017 年の月間平均 3.3 GB と比べて 2 倍超の、6.8 GB/月のトラフィックを生成するようになると予想されます。PC とタブレットに関連するトラフィックの合計は現在の 3.5 倍になり、CAGR は 28% になる見込みです。

2022 年までに、平均的なスマートフォンは 1 ヵ月あたり 11 GB のトラフィックを生成するようになる見通しです。これは、2017 年の平均である 2 GB/月の 4.5 倍以上に相当します。同年までに、スマートフォンの合計トラフィックは現在の 7 倍になり、CAGR は 48% になる見込みです。

2017 年までに、モバイル接続デバイスの総トラフィックの 59%(約 111 エクサバイト)が、毎月 Wi-Fi デバイスとフェムトセルで固定ネットワークにオフロードされる見込みです。2022 年の総 IP トラフィック(固定およびモバイル)のうち、51% が Wi-Fi、29% が有線、20% がモバイルになります。

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モバイル データトラフィックの増加率が最も高い地域は中東およびアフリカで、CAGR は 56% になると見込まれます。アジア太平洋の 49% と中南米の 43% がこれに続くと予測されます。

中国のモバイル トラフィックは、2017 年末までに米国のモバイル トラフィックを上回りました。中国のモバイル トラフィックは、2017 年の年末までに 1 ヵ月あたりほぼ 2 エクサバイトに達しましたが、米国のモバイル トラフィックは 1 ヵ月あたり 1.2 エクサバイトでした。

VNI Mobile の予測の詳細なデータと予測方法については、別表 A を参照してください。

2017 年の総括 2017 年には、全世界のモバイル トラフィックが前年比およそ 71% 増加しました。増加率は各地域で大きく異なり、最も増加率が高かったのは中東およびアフリカ(92%)で、アジア太平洋(86%)、中南米(68%)、中央および東ヨーロッパ(66%)がこれに続きました。2017 年の西ヨーロッパの増加率はおよそ 60% で、北米は 23% に留まりました(図 1 を参照)。国レベルでは、中国、フランス、南アフリカの増加率がそれぞれ 178%、149%、98% となり、全世界で最高の増加率を示しました。2016 年にインドネシアおよびインドとともにトラフィック増大の上位 3 ヵ国の 1 つとなった中国では、2017 年にはトラフィックの伸びはさらに進みました。

図 1. 2017 年のモバイル データトラフィックの増加

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

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2017 ~ 2022 年の全世界のモバイル トラフィック 2022 年までに、全世界のモバイル トラフィックは、1 ヵ月あたり 77 エクサバイト(2017 年の 7 倍)まで増加すると予測されています。2017 年から 2022 年にかけて、モバイル トラフィックは、CAGR 46% のペースで増加する見込みです(図 2)。

図 2. シスコは、2022 年までにモバイル トラフィックが 1 ヵ月あたり 77 エクサバイトになると予測

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

2022 年までに、全世界のモバイル トラフィックに占めるアジア太平洋の割合は 56% になると見込まれています。これは図 3 に示すように、他の地域を大きく引き離す最大の割合となります。かつてトラフィックに占める割合が最も多かった北米は、中央および東ヨーロッパと中東およびアフリカに抜かれ、2022 年までに 4 番目になると思われます。この予測期間の CAGR が最大となる地域は中東およびアフリカで(56%)、この期間中に 9 倍に増加します。アジア太平洋は CAGR で第 2 位(49%)になり、この予測期間中に 7 倍に増加する見込みです(図 3)。

図 3. 全世界のモバイル データトラフィックの予測(地域別)

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

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世界のモバイル ネットワーキングの主なトレンド 以降のセクションでは、モバイル データ トラフィックの増加要因となる主なトレンド 7 項目について説明します。

1. よりスマートなモバイル デバイスへの進化

2. 高度化するセル ネットワークの定義 — 2G、3G、4G、5G に関する予測

3. モバイル IoT の導入評価—M2M およびウェアラブル デバイスの出現

4. Wi-Fi の役割とカバレッジの拡張に関する分析

5. 新しいモバイル アプリケーションと要件の特定

6. モバイル ネットワークの速度向上率の比較

7. 段階的価格設定の見直し — データ無制限プランと共有プラン

トレンド 1:よりスマートなモバイル デバイスへの進化 世界中のモバイル ネットワークにアクセスするワイヤレス デバイスの種類の変化と増加は、全世界のモバイル トラフィック増大の主な要因となっています。毎年、多様な形状の新しいデバイスが市場に登場し、これらは機能やインテリジェンスも強化されています。ここ数年で、ファブレットの増加がみられ、最近では多くの新しい M2M 接続が登場しています。2017 年には、6 億超(6 億 4800 万)のモバイル デバイスとモバイル接続の増加が見られました。2016 年に 79 億だった全世界のモバイル デバイスとモバイル接続の数は、2017 年には 86 億にまで増加しました。全世界のモバイル デバイスとモバイル接続は、2020 年までに 123 億に増加し、CAGR は 7.5% となる見込みです(図 4)。

2022 年までには、携帯または個人用のモバイル対応デバイスが 84 億台、M2M 接続が 39 億になります(たとえば、車載 GPS システム、輸送業界や製造業界の資産管理システム、患者記録や健康状態を管理する医療用アプリケーションがより身近になります)。地域的には、モバイル デバイスとモバイル接続の増加率が最も高いのは北米と西ヨーロッパで、2017 年から 2022 年までの CAGR はそれぞれ 16% と 12% になる見込みです。

図 4. 全世界のモバイル デバイスとモバイル接続の増加

注:カッコ内の数値は 2017 年と 2022 年のデバイスの割合を示しています。

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

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スマートフォン以外の携帯電話の市場シェアは 2017 年の 34% 超(3 億台)から急激に減少し、2022 年までに 10%(12 億台)となる見込みです。もう 1 つの大きなトレンドとしては、スマートフォン(ファブレットを含む)の増加があり、すべてのデバイスと接続に占める割合が 2017 年の 50% から、2022 年までに 50% 強(54%)に達する見込みです。最も著しい増加を示すのは M2M 接続で、タブレットがそれに続きます。M2M モバイル接続は、2022 年までにすべてのデバイスおよび接続の約 3 分の 1(31%)を占めるようになります。2017 年から 2022 年までの間に、M2M カテゴリは CAGR 32% のペースで、また、タブレットは同期間に CAGR 14% のペースで増加する見込みです。モバイル デバイスとモバイル接続の数が全体的に増加する中、デバイス種類の比率には明らかな変化が見られます。今年は、タブレットとラップトップの成長がさらに鈍化し、スマートフォン以外の携帯電話やその他のポータブル機器がさらに急速に減少しています。

トラフィックの点から見れば、スマートフォンとファブレットが引き続きモバイルトラフィックの大部分(93%)を占める一方、2022 年までに、M2M カテゴリの割合が増加し続けると見込まれます(図 5 を参照)。

図 5. 全世界のモバイル トラフィックの増加(デバイス タイプ別)

注:カッコ内の数値は 2017 年と 2022 年のデバイスの割合を示しています。

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

予測期間を通じて、デバイスのスマート化が進み、高度なコンピューティング リソースやネットワーク接続機能を持つデバイスの数が増加します。これにより、インテリジェントな高機能ネットワークに対するニーズが拡大しつつあります。シスコは、高度なコンピューティングおよびマルチメディア機能と 3G 以降の接続機能を持つものを、スマート デバイスおよびスマート接続と定義しています。スマート デバイスとスマート接続が占める割合は、2017 年の 53% から 2022 年には 73%(全体の約 4 分の 3)となり、予測期間中に 2 倍に増加する見込みです(図 6)。

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図 6. 全世界のスマート モバイル デバイスとスマート モバイル接続の増加

注:パーセンテージはデバイスおよび接続の割合を表しています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

この分析には、Low Power Wide Are(LPWA)接続が含まれています。このワイヤレス ネットワーク接続は、低帯域幅と幅広い 地理的範囲が要求される M2M モジュールに特化したものです。このモジュールは非常に低い帯域幅の要件を持つ、高遅延 を許容する設計であるため、スマート デバイスとスマート接続のカテゴリには含めていません。北米など、LPWA の大幅な増 加が見込まれる地域では、これをカテゴリに含めると、スマート デバイスおよびスマート接続の割合に誤差が生じる可能性が あります。そのため、地域別に比較できるように、LPWA をカテゴリから除外しています。図 7 に、全世界のスマート デバイスと スマート接続に対する、非スマート デバイスと非スマート接続の割合の比較を示します(LPWA を除く)。

図 7. 全世界のスマート モバイル デバイスとスマート モバイル接続の増加(LPWA を除く)

注:パーセンテージはデバイスおよび接続の割合を表しています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

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LPWA M2M 接続を除外すると、全世界のスマート デバイスとスマート接続の割合が高くなり、2022 年までに 85% に到達する見込みです。

このデバイス タイプの比率の変化は世界的な現象ですが、変化の速度は地域によって異なります。2022 年末までに、北米ではインストール ベースで 99% がスマート デバイスとスマート接続に移行し、次いで西ヨーロッパと中央および東ヨーロッパでも 95% がスマート デバイスとスマート接続に移行すると予測されます(表 1)。

表 1. スマート デバイスとスマート接続の地域別割合(地域の合計に占める割合)

地域 2017 2022

北米 87% 99%

西ヨーロッパ 73% 95%

中央および東ヨーロッパ 63% 93%

アジア太平洋 54% 82%

中南米 53% 86%

中東およびアフリカ 27% 77%

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

図 8 は、モバイル スマート デバイスとモバイル スマート接続の増加が全世界のトラフィックに与える影響を示したものです。全世界のスマートトラフィックがモバイル トラフィック全体に占める割合は、92% から増加し、2022 年までに 99% になる見込みです。この割合は、スマート デバイスとスマート接続の割合(2022 年までに 73%)をはるかに上回っています。これは、スマート デバイスが生成する平均トラフィック量が非スマート デバイスよりはるかに多いためです。2017 年に全世界のスマート デバイスが生成したトラフィック量は、非スマート デバイスの 10 倍に相当します。また 2022 年までに、スマート デバイスが生成するトラフィック量は、約 15 倍になると見込まれます。

図 8. スマート モバイル デバイスとスマート モバイル接続の増加がトラフィックに与える影響

注:パーセンテージはトラフィックの割合を表しています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

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IPv6 複数のスマート デバイスの急激な普及が現実となる中、他のデバイスやインターネットとの通信および場所の定義に使用する固有かつ一意のアドレスが、各デバイスに必要となりつつあります。デバイスがインターネットでの通信に使用する現行のプロトコルである IPv4 アドレスは、全世界でほぼ使い果たされ、アフリカのインターネットレジストリ(AFRINIC)でごく少数が残されるのみとなっています。十分な数を超えるアドレスを提供して IPv4 アドレスの枯渇問題を解決することに加え、より新しく優れた IPv6 プロトコルに移行することにより、すべてのデバイスにインターネット上でグローバルにルーティング可能なパブリック IP アドレスが提供されるという、さらなるメリットがもたらされます。このため、340 X 10^36 のアドレスを持つ IPv6 への移行は、単なるニーズではなく必要不可欠なこととなっています。それによって、スマート デバイスと IoT が現実のものとなります。

新世代のデバイスの急増に伴い、モバイル ネットワークの利用量やデータトラフィックが増加する中、こうしたデバイスの接続と管理に役立つ IPv6 への移行が本格化しています。そのため、Cisco VNI では引き続き IPv6 に重点を置き、「Cisco VNI:モバイル トラフィックの予測、2017 ~ 2022 年」で、IPv6 対応のモバイル デバイスとモバイル接続、および IPv6 モバイル トラフィックの見込みに関する最新の情報を提供しています。

シスコは、モバイル デバイス セグメントの中でスマートフォンとタブレットの増加率が高いことに注目し、全世界で 2022 年までにスマートフォンとタブレットの 94%(66 億台)が IPv6 対応になると予測しています(2017 年の時点では、スマートフォンとタブレットの 71%(32 億台)が IPv6 対応でした。図 9 を参照)。これは、OS(主に Android と iOS)による IPv6 のサポート状況や、IPv6 に対応した高速モバイル ネットワーク(3.5G 以上)への移行が加速していることに基づく予測結果です(この予測は、IPv6 対応モバイル デバイスの台数予測を目的としたもので、実際に IPv6 接続を使用するモバイル デバイスを対象としたものではありません)。

図 9. 全世界の IPv6 対応のスマートフォンとタブレット

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

すべてのモバイル デバイスとモバイル接続について、全世界の IPv6 対応数は、2017 年の 47%(4 億)から増加して、2022 年までに 76%(94 億)に達すると予測されます(図 10 を参照)。M2M は IPv6 対応デバイス増加の主要セグメントであり、予測期間中に CAGR 31% のペースで増加し、2022 年には 23 億台に達します。IP アドレスの大幅な拡張と複雑なネットワークの管理を可能にする IPv6 は、現在そして今後の IoT のサポートに重要な役割を果たします

地域別の状況としては、アジア太平洋がこの予測期間を通して他をリードし、IPv6 対応デバイスおよび接続の数は、2020 年までに世界最高の 47 億に達する見込みです。この予測期間中の増加率が最も高いのは中東およびアフリカで、CAGR は 24% になると見込まれます(地域別の詳細については、別表 C の表 8 を参照)。

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図 10. 全世界の IPv6 対応モバイル デバイス

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

モバイル デバイスの IPv6 接続がもたらす可能性の大きさを考慮し、Cisco VNI Mobile の予測では IPv6 ネットワークに接続 される IPv6 対応デバイスの割合の段階的な増加に基づいて、IPv6 ネットワークトラフィックの予測を示しています。2022 年 については、IPv6 対応デバイスの約 60% が IPv6 ネットワークに接続されると仮定して、全世界の IPv6 トラフィックは 44.1 エクサバイト/月(モバイル トラフィック全体の 57%)となり、2017 年から 2022 年にかけて 26 倍に増加すると予測されます(図 11)。

図 11. IPv6 モバイル トラフィックの予測(2017 ~ 2022 年)

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

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今日、あらゆる企業にとってセキュリティは最大の懸案事項になっていますが、IPv6 にとっても、そのアドレス可能範囲の広さを考えると、先行する IPv4 に比べてセキュリティがいっそう重要な問題となっています。

IPSec は、あらゆる通信ネットワークで最も広範に利用されているセキュリティ用プロトコル スイートであり、現時点でもあらゆる IPv4 ネットワークに簡単に追加できます。一方、IPv6 には IPSec のネイティブ サポートが含まれています。それ自体は大きなメリットではないかもしれませんが、特に IPv6 の自己検出機能やピアツーピア特性などの機能と組み合わせて考慮した場合、IPsec の IPv6 固有のサポートは、セットアップの簡単さと安全性の両方を兼ね備えたネットワークを構築するうえで重要な役割を果たします。

IPv6 はアドレス可能範囲が膨大であり、IPv6 をサポートするデバイスは、グローバルなスケールでのアクセスがより容易になります。そのため、IPv6 はリモート モニタリングなどの用途に適しており、また IT インフラストラクチャから自動車、各種アプライアンスまでをサポートします。このような機能により、製造業では、サービス コストを削減しながら製品の寿命と機能を向上させることも可能になります。

また、IPv4 では導入が困難または不可能だったと思われる、まったく新しいアプリケーションの実現も、IPv6 には期待されています。1 対多の通信を可能にする IPv6 のマルチキャスト機能は、新たな形態のゲームからソーシャル ネットワーク アプリケーションまで、さまざまな可能性をもたらします。

IPv6 ではネイティブで IPSec がサポートされているため、IPv4 では困難、さらには不可能だった、新しい用途やメリットの実現も容易になります。

しかし IPv6 がネットワーク レイヤ プロトコルであることは変わらないため、ネットワーク レイヤより上位にある OSI レイヤでの高度なセキュリティ侵害を防御することはできません。

例:

• アプリケーション レイヤ攻撃:バッファ オーバーフロー、ウイルス、悪意のあるコード、Web アプリケーション攻撃など、アプリケーション レイヤ(OSI レイヤ 7)で実行される攻撃

• 認証モジュールでのブルートフォース パスワード推定攻撃

• ネットワークに導入された未承認のデバイス

• サービス拒否攻撃

• 電子メールのスパム、フィッシングなど、ソーシャル ネットワーキング手法を利用した攻撃

最新の IPv6 の導入のトレンドに関するその他の情報については、Cisco サイト [英語] をご覧ください. Cisco 6Lab の分析には、IPv6 プレフィックスの導入、IPv6 Web コンテンツの提供状況、および IPv6 ユーザの予測に関する現在の国別の統計情報が含まれています。IPv6 デバイスの機能、コンテンツの可用性、および大規模なネットワークの導入の集約が進み、IPv6 の議論は、「仮定」や「導入時期」から IPv6 がサービス プロバイダーとエンド ユーザにもたらす「可能性の実現方法」へとシフトしています。

トレンド 2:高度化するセル ネットワークの定義 — 2G、3G、4G、5G に関する予測 モバイル デバイスおよびモバイル接続では、コンピューティング機能のスマート化が進むだけでなく、ネットワーク接続も旧世代(2G)から新世代のネットワーク接続(3G、3.5G、4G、または LTE。さらに現在では 5G も)へと進化しつつあります。いくつかの初期試験導入(範囲限定)と今後世界各国で計画されている大規模な商業的取り組みを受けて、昨年から 5G 接続のデバイスと接続が成長し始めると予想されています。デバイスの高機能化と帯域幅の拡大、そしてよりインテリジェントなネットワークという要因の組み合わせにより、高度なマルチメディア アプリケーションが幅広く普及し、採用され、結果的にモバイルおよび Wi-Fi のトラフィックが増加します。

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モバイル アプリケーションの急増と、増え続けるエンド ユーザーへのモバイル接続の範囲の拡大、そして成熟したモバイル業界を維持するために、最適化された帯域幅管理と新しいネットワーク収益化モデルの必要性が高まっています。競争の激しいモバイル市場では、世界各国で 4G 導入と初期の 5G 実装における成長が見られます。世界中のサービス プロバイダーが次々と 4G ネットワークに参入し、移動中の通信の帯域幅の拡大、セキュリティの強化、および接続の高速化に対するエンド ユーザの需要の高まりに対応しようとしています(別表 B)。多くのプロバイダーも 5G の実地試験を開始しており、新しい市場機会を捉えるために(そして場合によっては競争上の差別化を確立するために)予測期間の中間に向けて 5G 導入を展開する方向に進んでいます。

4G は他のすべての接続タイプを上回り、予測期間を通じてモバイル ネットワークの接続性が優勢になりますが、2022 年までに 5G の影響が現れ始めます。4G 接続は、2017 年(図 12)には全モバイル接続の 34.7% を占めましたが、2022 年までには 54.3% となります。全世界のモバイル 4G 接続は、2016 年の 30 億から、CAGR 18% のペースで増加し、2022 年までに 67 億に達する見込みです。5G 接続は 2019 年に登場し、2019 年から 2022 年までに、50 万から 4 億へと数千パーセントの増加を示す見込みです。昨年まで、5G 接続は厳密には初期段階にあったと言えます。しかし今年になり、5G はこの調査で初めて独自のカテゴリーとして分析対象になりました。

3G および 3.5G 対応のデバイスと接続の相対比率は、2018 年に 2G 対応のデバイスと接続を上回りました。2017 年には 2G 接続が約 34% であるのに対して 3G 接続は 30% でしたが、予測期間の終わりまでには 3G 接続は 20% となり、2G は 8% のみとなるでしょう。2022 年まででは、5G 対応デバイスと接続の割合は 3.4% に留まると見られています。

図 12. ネットワークの種類別に示す全世界のモバイル デバイスとモバイル接続

注:カッコ内の数値は、2017 年と 2022 年におけるデバイスと接続の割合をネットワークの種類別に示しています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

この分析には、Low Power Wide Are(LPWA)接続も含まれています。このタイプの超狭帯域ワイヤレス ネットワーク接続は、低帯域幅と広範なカバレッジが必要とされる M2M モジュールに特化したものです。この接続は、広い範囲をカバーしながら、電力消費量、モジュール、および接続コストを低く抑えます。そのため、携帯電話ネットワークだけでは対応できなかったと思われる、モバイル ネットワーク事業者(MNO)向けの新しい M2M の使用例が実現します。この例として、住宅の公共料金メーター、電源接続のないガスや水道のメーター、街路灯、ペットまたは個人用の資産管理などがあります。LPWA 接続(すべて M2M)の割合は、2017 年の 2% 未満(1.3 億)から、2021 年までに 14%(18 億)に増加する見込みです。

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より高度なネットワークに向けたネットワーク エボリューションが、エンド ユーザのデバイス セグメント全体と M2M 接続カテゴリ内の両方で起きています。2G から 3G または 4G、さらに現在では 5G への導入が世界的な傾向になっています。実際、西ヨーロッパ(58%)、中南米(58%)、アジア太平洋(61%)、中央および東ヨーロッパ(63%)では、2022 年までにモバイル デバイスとモバイル接続の 60% が 4G+ 対応となり、3G 対応のデバイスと接続を上回ると予測されます。2022 年までに、北米では 4G+ 接続の比率が 51% になる見込みです(別表 B)。中東とアフリカでは、2022 年までに 3G のデバイスと接続の割合が最大の 54% となるでしょう。LPWA の導入率は、2022 年までに北米が 37%、西ヨーロッパが 27% となり、この 2 地域がリードすると予想されます。2022 年までに 5G 接続の割合が最も高い地域は北米となる見込みです(9%)。5G でのデバイスと接続の割合では、2022 年までに日本(12%)、スウェーデン(11%)、米国(10%)が上位 3 ヵ国となるでしょう。

5G は、次のフェーズのモバイル テクノロジーです。4G と比較した 5G の主な改善点としては、高帯域幅(1 Gbps 超)、カバレッジの拡大、超低遅延化が挙げられます。これらの機能と、電力効率の向上、コストの最適化、高精度の測位、大規模な IoT 接続密度、コンテンツの認識、ユーザ、および場所に基づくリソースの動的割り当てを組み合わせることで、5G は柔軟性を備えた変革的なテクノロジーとなります。5G は、IoT スペクトルの下端にあるセンサーやメーターなどの IoT アプリケーションに対応できます。さらに重要なことは、IoT スペクトルの上端にある自律型自動車、仮想現実および拡張現実、ファクトリー オートメーション(ロボティクス)、スマート グリッドなどの他のタッチ インターネット駆動アプリケーションもサポートすることでしょう。しかし 5G の真の価値とは、接続性や高度なアプリケーション、あるいは大規模な IoT の実現を超えた部分にあります。強化されたネットワーク エッジ機能、データ分析、機械学習、および人工知能を 5G と組み合わせることで、顧客には高いビジネス価値が提供され、プロバイダーには新しい収益機会がもたらされます。このテクノロジーにより、頻繁に発生するライセンスおよびスペクトル管理の問題が解決されると見込まれます。現在、さまざまな標準化機関、規制当局、および業界コンソーシアムがあり、さまざまな課題解決に取り組んでいます。これらの課題には、ネットワークの標準化、スペクトルの利用可能性とオークション、新しいインフラストラクチャの移行と導入に関連する投資を正当化するための投資収益率(ROI)戦略などがあります。これらの進化するテクノロジーとビジネスのダイナミクスを考えると、現在の予測期間が終わるまで(2022 年以降)、一部の大規模な 5G の商用展開は実行されない可能性があります。多くの携帯電話会社が 5G を将来の成長と長期的な持続可能性のための必須条件として認識していることは明らかです。

トラフィックに対する 4G と 5G の影響

2017 年には、すでに全モバイル トラフィックの 72% が 4G となり、ネットワーク タイプ別のモバイル トラフィックで最も高い割合を占めました。今後も他のネットワークより速いペースで増加を続けますが、2022 年までには割合がやや低下し、全モバイルトラフィックの 71% になると見込まれます(図 13)。5G は、2022 年までにモバイル トラフィックの 12% を占める見込みです。5G 接続は、その高帯域幅(100 Mbps)と超低遅延(1 ミリ秒)により、非常に大量のトラフィックを促進すると予想されます。

現在、4G 接続が生成するトラフィックは、3G 接続の約 3 倍となっています。4G においてデバイスあたりの使用量が多くなる理由は 2 つあります。第 1 に、現在の 4 G 接続の多くはハイエンド デバイス向けであるため、平均利用量が多くなります。第 2 に、高速であるため、大きな帯域幅を消費するアプリケーションの導入と利用が進んでいます。たとえば、4G ネットワークのスマートフォンは 3G または 3.5G ネットワークの同じモデルのスマートフォンより生成するトラフィックが著しく増大する傾向があります。2022 年までに、4G 接続は、3G 接続のほぼ 2 倍のトラフィックを生成するようになります。

2022 年までに、平均的な 5G 接続は、平均的な 4G 接続のほぼ 3 倍のトラフィックを生成するようになります。

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図 13. 全世界のモバイル トラフィック(接続タイプ別)

注:カッコ内の数値は、2017 年と 2022 年におけるモバイル トラフィックの割合をネットワークの種類別に示しています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

トレンド 3:モバイル IoT の導入評価—M2M およびウェアラブル デバイス の出現 よりスマートなエンドユーザ デバイスと M2M 接続の驚異的な増加は、IoT の成長を明確に示しています。IoT によって、人、プロセス、データ、モノがつながり、ネットワーク接続はより適切で価値あるものになります。このセクションでは、M2M 接続の継続的な増加と、ウェアラブル デバイスという新しいトレンドについて説明します。M2M とウェアラブル デバイスによって、コンピューティングと接続性は私たちの日々の生活に深く浸透し始めています。

M2M 接続(家庭およびオフィスのセキュリティと自動化、スマート メーターと公共料金、メンテナンス、ビルディング オートメーション、自動車、医療、家庭用の電子機器など)は、広範な業界とコンシューマ セグメントで活用されています。リアルタイムの情報監視は、新しいビデオ ベースのセキュリティ システムを導入する企業や、患者の病状を遠隔監視する病院や医療従事者にとって役立つもので、M2M 接続において帯域を大量に消費する利用形態の普及が加速しています。全世界の M2M 接続は、2017 年の 10 億弱から CAGR 32% のペースで増加し、2022 年までに 4 倍の 39 億になる見込みです。(図 14)。

図 14. マシン ツー マシンにおける世界規模の増加

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

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ウェアラブル デバイスは、IoT の普及を促す重要な要因であり、高い成長性を秘めたカテゴリです。ウェアラブル デバイスとは、その名が示す通り、人が身に着けることのできるデバイスです。セルラー ネットワークとの接続に対応する組み込みのセルラー接続機能によって直接、または Wi-Fi や Bluetooth、その他のテクノロジーを使って別のデバイス(主にスマートフォン)経由で、ネットワークに接続し、通信する機能を備えています。

これらのデバイスにはさまざまな形状のものがあり、スマート ウォッチ、スマート グラス、ヘッドアップ ディスプレイ(HUD)、医療およびフィットネス用トラッカー、ヘルス モニタ、ウェアラブル スキャナ、ナビゲーション デバイス、スマート クロージングなど多岐にわたります。こうしたデバイスの増加は、デバイスを着用できるレベルにまで小型・軽量化する技術の発展によって促進されてきました。ウェアラブル デバイスは、家庭用の電子機器セグメントに特徴的な個人のスタイルに合ったファッション性に加え、ネットワークの向上や、ロケーションベースのサービス、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などのアプリケーションの増加が要因となり、進化を続けています。テクノロジーの大幅な改良によって重要なデバイス カテゴリとしてウェアラブル デバイスを実現する取り組みが行われてきましたが、依然として、組み込みのセルラー接続機能の大規模な可用性には、一部のアプリケーションの克服を阻む障壁があります。たとえばテクノロジーの制約、規制の制約、健康に関する懸念事項などです。

2017 年には全世界で 5.26 億台であったウェアラブル デバイスの数は、2022 年までに 2 倍増の 11 億 台に達する見込みです(CAGR 16%)(図 15)。前述のとおり、この予測期間中には、ウェアラブル デバイスへのセルラー接続機能の組み込みは限定的なものとなります。セルラー接続機能が組み込まれたウェアラブル デバイスの割合は、2017 年の 4% から増加するものの、2022 年まではわずか 10% に留まる見通しです。現在、当社の予測では、ウェアラブルを M2M に含めています。

図 15. 接続されている全世界のウェアラブル デバイス

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

地域別に見ると、ウェアラブル デバイスの割合では北米が他をリードしますが、2017 年の 41% から、2022 年には 40% へとやや低下する見込みです(別表 B)。その他の地域では、アジア太平洋地域も、2017 年には 29% とかなりの割合を占めていますが、2022 年には 28% に低下する見込みです。

ウェアラブル デバイスのカテゴリはモバイル トラフィックに確実に影響を及ぼします。セルラー接続機能が組み込まれなくても、スマートフォンを介してモバイル ネットワークに接続できるためです。仮想現実などの高帯域幅アプリケーションが広まれば、トラフィックに対する影響はさらに大きくなります。

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トレンド 4:Wi-Fi の役割とカバレッジの拡張に関する分析 オフロード モバイル データはユーザの自宅でも活発に利用されています。自宅で固定ブロードバンドや Wi-Fi アクセス ポイントを利用するユーザ、または通信業者が所有するフェムトセル(Femtocell)やピコセル(Picocell)のサービスを受けるユーザによって、モバイル デバイスとポータブル デバイスから生成されるトラフィックのかなりの部分がモバイル ネットワークから固定ネットワークにオフロードされます。この調査では、オフロードという用語を、セルラー接続と Wi-Fi 接続の両方をサポートするデュアルモード デバイス(ラップトップを除く)から Wi-Fi やスモール セル ネットワークを介して伝送されるトラフィックに使用しています。オフロードは、ユーザまたはデバイス レベルで、セルラー接続から Wi-Fi またはスモール セル アクセスへの切り替えが行われたときに発生します。このモバイル オフロードの予測には、公共ホットスポットと家庭用 Wi-Fi ネットワーク両方からのトラフィックが含まれます。

モバイル接続されるすべてのデバイスのモバイル トラフィック全体に占めるモバイル オフロードの割合は、2017 年には 54%(1.34 エクサバイト/月)でしたが、2022 年には 59%(111.4 エクサバイト/月)に増加する見込みです(図 16)。オフロードの規模は、スマートフォンの普及率、ハンドセットにおけるデュアルモードの割合、家庭でモバイル インターネットを利用する割合、家庭で Wi-Fi を利用して固定回線でインターネットにアクセスできるデュアルモード スマートフォンの所有者の割合によって決まります。

図 16. 全世界のモバイル トラフィックの Wi-Fi へのオフロード

注:オフロードという用語は、デュアルモード デバイス(ラップトップを除く)から Wi-Fi やスモール セル ネットワークを介して伝送されるトラフィックの意味で使用されています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

2022 年までに、スマートフォンからオフロードされるトラフィック量は 59%、タブレットからオフロードされるトラフィック量は 72% になると予測されます。

4G ネットワークが導入されると、高速化と豊富な帯域幅によって Wi-Fi へのオフロードは抑制されると推測する向きもあります。ただし、4G ネットワークによって高度なスマートフォンやタブレットなど、トラフィック量の多いデバイスが増加してきたため、今では 4G プランにも 3G プランと同様のデータ上限が適用されていますが、おそらく、同様のデータ上限が 5G に対して も適用されるでしょう。

こうした理由から、シスコでは、低速のネットワークより 4G および 5G ネットワークの方が Wi-Fi へのオフロード量が多くなる と予測しています。4G からオフロードされるトラフィックの量は、2017 年末の 57% から 2022 年には 59% に増加する見込 みです(図 17)。2022 年までに、3G からオフロードされるトラフィック量は 40% に、2G からオフロードされるトラフィック量は 30% になると予測されます。5G が導入され、これまで以上のデータの容量と速度が予想される一方で、5G に対する新しいア プリケーションの需要も高まっており、4G と同様のオフロードの実施が奨励されています。5G オフロードの割合は、2022 年ま でに 71% になると推定されています。5G ネットワークが成熟していくと、オフロード率が低くなる可能性があります。

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図 17. 2022 年のモバイル トラフィックとオフロードトラフィック

注:オフロードという用語は、デュアルモード デバイス(ラップトップを除く)から Wi-Fi やスモール セル ネットワークを介して伝送されるトラフィックの意味で使用されています。

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

Wi-Fi ホットスポットの増加 全世界の公共 Wi-Fi ホットスポット(ホームスポットを含む)の総数は、2017 年から 2022 年にかけて 4 倍に増加し、2017 年の 1.24 億から、2022 年までに 5.49 億になる見込みです(図 18)。Wi-Fi ホットスポットの総数は、2017 年の 1.15 億から、2022 年までに 5.32 億に増加すると予測されます。ホームスポットまたはコミュニティ ホットスポットは、公共 Wi-Fi 戦略の重要な要素の 1 つとなっています。公共 Wi-Fi ホットスポットには、公共 Wi-Fi 商用ホットスポットとホームスポットが含まれます。

図 18. グローバル Wi-Fi ホットスポット戦略と 2017 ~ 2022 年の予測

出典:Maravedis、Cisco VNI Mobile、2019 年

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商用ホットスポットには、購入するか、月額使用料または手数料を支払って設置する固定および MNO のホットスポットが含まれます。商用ホットスポットは、有料と無料両方のインターネット Wi-Fi アクセスを提供するようにセット アップできます。ホットスポットは、カフェやレストラン、小売店チェーン、ホテル、空港、飛行機、電車などで、お客様やゲストに公共 Wi-Fi を提供するために設置されます。カフェ、小売店、公共施設、オフィスなどでは通常、ゲストや訪問者に無料の Wi-Fi サービス セット識別子(SSID)が提供されます。商用ホットスポットは、公共 Wi-Fi ホットスポット全体に関する予測のわずかな部分を占める程度ですが、2017 年の 980 万から、2022 年までに 1720 万に増加する見込みです。

ホームスポットまたはコミュニティ ホットスポットは、公共 Wi-Fi において重要となる可能性がある 1 つの要素として普及してきました。このモデルでは、加入者は一時的な使用のために自身の家庭用ゲートウェイの容量の一部を開放します。ホームスポットには 2 つの SSID があり、事業者が加入者のホーム ゲートウェイにソフトウェアをダウンロードします。これにより、外部のユーザはホットスポットなどの SSID の 1 つを使用できます。このモデルは、ゲスト Wi-Fi とモバイル オフロード、およびコミュニティで Wi-Fi を使用するその他の新しいモデルを促進するために使用されています(図 19)。

図 19. 全世界の公共 Wi-Fi ホットスポット:2022 年までに、アジア太平洋が全世界のホットスポットの 45% を占めて首位となる

注:*中東およびアフリカは、2022 年までに全世界の公共 Wi-Fi ホットスポットの 1% を占めます 出典:Maravedis、Cisco VNI Mobile、2018 年

Wi-Fi アクセスは MNO によって世界中に広く行き渡り、トラフィック オフロードを目的とする補完ネットワークとして進化を遂げてきました。これにより、コストのかかる携帯電話ネットワークから、コストの低いビット単位の Wi-Fi ネットワークへのオフロードが進んでいます。データと音声を比較すると、音声でも同様の進化を予測できます。VoWi-Fi は、携帯電話の音声通話を補足するものとして進化を遂げており、屋内や、Wi-Fi ホットスポットへのより広範囲かつ最適なアクセスを確保できるエリア内で、音声通話に Wi-Fi を利用することにより、携帯電話ネットワークのカバレッジを広げています。

全体的な Wi-Fi トラフィックの増加 Wi-Fi トラフィック(Wi-Fi のみのデバイスからのトラフィックを含む)をより広い観点で見ると、Wi-Fi とモバイルの両方が固定トラフィック(イーサネットを通じてネットワークに接続されているデバイスからのトラフィック)より速いペースで増加していることがわかります。IP トラフィック全体に占める固定トラフィックの割合は、2017 年の 48% から、2022 年までに 29% へと低下する見込みです。モバイルとモバイル デバイスからのオフロードは、2022 年までに IP トラフィック全体の 48% を占めるようになりますが、これはトラフィック全体における、モバイル デバイスおよびモバイル ライフスタイルの大幅な増加と大きな影響を示すものと言えます。モバイル デバイスと Wi-Fi のみのデバイスの両方からの Wi-Fi トラフィックが IP トラフィック全体に占める割合は、2017 年の 43% から、2022 年までに半数超(51%)に増加する見込みです(図 20)。

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図 20. IP トラフィック(アクセス テクノロジー別)

注:モバイル デバイスからの固定/Wi-Fi には、モバイル デバイスからの固定/有線がわずかに含まれる場合があります。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

トレンド 5:新しいモバイル アプリケーションと要件の特定 モバイル ビデオ コンテンツのビットレートは他の種類のモバイル コンテンツよりはるかに高いため、モバイル ビデオは 2022 年までのモバイル トラフィックの増加における大きな要因となる見込みです。モバイル ビデオは、2017 年から 2022 年の間に、モバイル トラフィック全体の平均の CAGR 46% を上回る、CAGR 55% のペースで増加すると予測されています。2022 年までに、モバイル ネットワークのトラフィックは 1 ヵ月あたり 77 エクサバイトとなり、そのうちの 61 エクサバイトがビデオによるトラフィックとなる見込みです(図 21)。2012 年以降、モバイル ビデオは、全世界のモバイル データトラフィックの半分以上を占めてきました。

図 21. モバイル ビデオは 2022 年までにモバイル トラフィックの約 5 分の 4 を占める見込み

注:カッコ内の数値は 2017 年と 2022 年のトラフィックの割合を示しています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

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固定とモバイルの両方においてビデオ トラフィックが増えることで、平均トラフィックが増加し、混雑時のトラフィック状態が促進されます。ビデオは、1 日中利用される一般的な Web とは異なり、夜間の「プライム タイム」に利用される傾向があります。そのため、ビデオの利用が増えると、1 日のピーク時のトラフィックがさらに増加することになります。

仮想現実(VR)と拡張現実(AR) 仮想現実は、ユーザを入り込ませ、拡張現実は現実空間にテクノロジーを重ねます。どちらも同じように創造力を刺激しますが、それぞれ固有の用途があります。

VR と AR はどちらも、モバイル テクノロジーにおける、次世代の最大のトレンドになると見込まれています。目前に迫った 5G の展開から、効率性に優れたモバイル接続ソリューションに至るまで、エッジ コンピューティングとワイヤレス ネットワーキングの進化が、よりスマートなモバイル デバイスとウェアラブル デバイスの登場ともあいまって、AR と VR の急増と拡大を支える豊かな環境の創成に貢献しています。

図 22. あらゆる現実:VR と AR の併用と拡張

スマートフォン、タブレット、ウェアラブル デバイスの導入が加速し、AR および VR の市場の発展が大きく促進されています。2022 年までに、スマートフォンは、全世界のデバイス接続の 54.7%(CAGR は 9%)、全トラフィックの 93%(CAGR は 48%)を占めるようになります。AR および VR 市場の発展は、同じような傾向をたどると予想されます。

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出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

VR を促進している主要な用途の 1 つにゲームがありますが、AR は主に、小売、医療、教育、観光、リテール ショッピング(家具、衣服の比較など)をはじめとするさまざまな産業用途によって促進されています。現時点では、VR と比較して AR は拡大のペースが遅いように見えますが、さまざまな産業で複数の用途に利用できることから、VR よりも普及する可能性もあります。この魅力的な分野は進化が始まったばかりであり、結果がわかるのはこれからです。

AR と VR のこうした数々のイノベーションにより、ネットワークの品質とパフォーマンスに対し、新たな要求が生じます。高品質の VR および AR エクスペリエンスを実現するには、帯域幅と遅延の要件がますます厳しくなり、サービス プロバイダーは、この新たな要求への対応を求められます。全世界の仮想/拡張現実のトラフィックは、2017 年の 22 PB/月から 2022 年の 254 PB/月へと、約 12 倍に増加します。(図 23 を参照)。

図 23. AR および VR モバイル トラフィック

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

導入の促進要因 主要な阻害要因と依存関係

VR と AR • スポーツ、ゲーム、エンターテイメント業界からの投資

• 高速かつ効率的なネットワークと新たなスマート デバイスを通じたコンシューマへの容易なアクセス

• ソフトウェア コンポーネントの開発とさまざまな VR および AR プラットフォームの急増

• ゲーム業界の早期導入者による VR の導入の加速化

• さまざまな業界での AR の広範な適用性

• 上質なコンテンツの不足• 短いバッテリ寿命• 近い将来の 5G 導入への依存• IoT またはタッチ インターネットの導入への依存

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全世界のVR/ARトラフィックの増加は、サービス プロバイダーにとって、配信と GTM(市場投入)における力を発揮して VR と AR の導入をさらに促進する非常に大きなチャンスとなります。VR と AR のエコシステムはまだ形成が始まったばかりであり、サービス プロバイダーは初期段階の発展を把握して、AR および VR エコシステムの所有または開発に携わることにより、大きな利益を得ることができます。それが最終的に自社のネットワーク接続サービスの向上につながります。AR が VR を凌ぐのか、あるいは VR が AR よりも急速に拡大するのかはまだわかりませんが、こうした新たなテクノロジーの進化が多大な影響をもたらすことは間違いありません。

トレンド 6:モバイル ネットワークの速度向上率の比較 2017 年の全世界におけるモバイル ネットワークの平均接続速度は 8.7 Mbps でした。平均速度は CAGR 26.7% のペースで向上し、2020 年までに 28.5 Mbps に達する見込みです。スマートフォンの速度(一般に 3G 以上)は、2022 年までにモバイル接続全体の平均速度と同等になります。2022 年までに、スマートフォンの速度は 3 倍を超え、41.6 Mbps に達する見込みです。

速度の向上が利用量の増加につながることは、これまでの事例から明らかですが、速度が向上してから利用量が増加するまでに時間差が生じることは多く、その差は数ヵ月から数年になる場合もあります。しかし、データ利用量に明確な上限を設けている成熟した市場では、速度の向上がモバイル データの利用量の増加につながらないこともあるという事実が示されています。Cisco VNI Mobile の予測では、アプリケーションのビットレートを各国の平均速度に関連付けています。トラフィックに関しての予測結果におけるトレンドの多くは、速度の予測にも見られます。先進地域と比較した場合、発展途上国や地域での増加率が高くなっています(表 3)。

注:現在および過去の速度は、Ookla の Speedtest のデータに基づいています。今後のモバイル データ速度の予測は、2022 年までのモバイル接続における 2G、3G、3.5G、4G、5G の相対的な比率に関する第三者機関の予測に基づいたものです。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

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モバイル デバイスに出入りするデータの速度に影響を及ぼす可能性があるのは、デバイス外部のインフラストラクチャの速度性能と、デバイス内部のネットワーク機能に起因する接続速度です(図 24)。

予測における速度は、実際のモデル化されたエンド ユーザの速度であり、そのデバイス、接続、またはテクノロジーが提供できる理論上の速度ではありません。モバイル接続の性能は、さまざまな国や地域での 2G、3G、4G および現在では 5G の展開、基地局で使用されるテクノロジー、スペクトルの利用可能性、地形、信号強度、規格の承認、基地局を共有するデバイスの数など、いくつかの変数に左右されます。また、エンド ユーザが使用するアプリケーションの種類も重要な要因となります。2022 年までの速度の増加は、予想される 5G のロールアウトと商用展開のためです。

ダウンロード速度、アップロード速度、および遅延特性は、ビデオ、無線、インスタント メッセージなどのアプリケーションの種類によって大きく異なります。

図 24. デバイス別のモバイル速度

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

4G の速度は、2022 年までにモバイルの平均接続速度の約 2 倍になります。これに対し、モバイルの平均接続速度は 2022 年までに 3G の速度の 2 倍を超えると見込まれます。5G の平均速度は、2019 年から 2022 年までに 76 Mbps から 170 Mbps へと増加します。5G は 2022 年までに初期段階に入ると予想されており、全世界で、5G 接続はモバイル接続全体の 3.4% になる見込みです。(図 25)。

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図 25. テクノロジー別のモバイル速度:2G、3G、および 4G の比較

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年、Ookla Speedtest.net

5G はゆっくりと拡大することから、5G への長期的な投資戦略を立て顧客への価値を生み出すことは、5G を最初に市場に投入することよりも重要であると言えます。4G の展開から重要な教訓が得ることができます。。モバイル ブロードバンド エクスペリエンスの品質はネットワークの機能と容量に大きく依存しているため、5G の世界では、4G や 3G に比べて、ネットワーク テストとコンシューマ モバイル ブロードバンド満足度テストがさらに重要になります。5G デバイスは、導入後手頃な価格になるまでに時間がかかります。サブスクリプション契約で最も成功した LTE 事業者は、最初にネットワークを立ち上げた後すぐに 3G と同水準の価格の LTE に移行するか、または 3G へのプレミアムなしで LTE を立ち上げました。階層価格設定およびトップユーザの管理は、依然として優先事項です。

トレンド 7:段階的価格設定の見直し—データ無制限プランと

共有プラン データ無制限プランから段階的なモバイル データ パッケージに移行しつつあるサービス プロバイダーは、世界中で増加しています。シスコは、段階的な価格設定がトラフィックの増加に与える影響を推定するために、北米の Tier 1 および Tier 2 サービス プロバイダー数社のデータに基づいてケース スタディを繰り返しました。このケース スタディでは、6 年前に段階的な価格設定が導入されて以降のデータ利用量を追跡しています。調査結果は、第3機関のデータ分析企業によって提供されたデータをシスコが分析したものです。この分析企業は、ボランティアの参加者が提供する、データ利用量(GB)を含めたモバイル サービスの請求書を参照しています。このケース スタディのデータには(2010 年 1 月から 2018 年 8 月までの)デバイスの利用量が反映されています。また、長期的なトレンドを予測するために、前回のアップデート時の調査も参照しています。全体の調査期間は 7 年間に及びます。シスコでは、価格プラン、オペレーティング システム、デバイス、およびユーザのデータ使用量の分類に加え、デバイスの特性に関するサード パーティからの関連情報の収集や、探索的データ解析および統計的データ解析を組み合わせて、データを分析しました。調査結果は、北米市場における Tier 1 と Tier 2 のモバイル データ通信事業者数社の実際のデータを表したものです。新興市場やさらに多くのプロバイダーを含めた全世界の予測では、推定値が下がる可能性があります。

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2013 年 10 月から 2014 年 6 月にかけて、Tier 2 の通信事業者による無制限プラン商品が増えたことで、無制限ブランの一時的な再増加が見られました。2016 年 9 月には、データ プランの 61% が段階的プラン、39% が無制限プランになりました。2018 年 8 月までに、調査対象のプランの 66% が無制限プランになりました。段階的プランと無制限プランの両方の回線あたりのギガバイト利用量が増加しました。無制限プランの利用量の増加はより速く、2014 年 6 月の 1.1 GB から 2016 年 9 月には 2.9 GB に増加し、2018 年 8 月には 3.5 GB に増加ました。無制限プランの消費は、2014 年 6 月の 2.6 GB から 2016 年 9 月には 7.0 GB、2018 年 8 月までには 14.7 GB へと、より速いペースで増加しました。

上位 1% のモバイル データ ユーザによる平均的な 1 ヵ月あたりの利用量は、利用量全体と比べて着実に減少しています。6 年間の調査の開始当初は、トラフィックの 52% が上位 1% のユーザによって生成されていました。調査した Tier 2 の通信事業者が無制限プランの再導入とプロモーションを行ったことで、2014 年 6 月には、上位 1% が生成する月間のトラフィックは、全体の 18% となりました。2018 年 8 月までに上位 1% のユーザが生成したトラフィックは、わずか 6% でした。この割合は、2016 年以来安定しています。(図 26)。

図 26. 月間データトラフィックに占める上位 1% のユーザのトラフィックの割合が、2010 年 1 月の 52% から 2018 年 8 月には 6% に

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

調査期間中、モバイル ユーザの上位 20% がモバイル トラフィックの 62% を生成し、上位 5% のユーザがモバイル トラフィックの 27% を利用していました(図 27)。

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図 27. 上位 20% がモバイル トラフィックの約 62% を利用

出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

さまざまなモバイル データ プランと、新しい大画面のスマートフォンやタブレットの登場により、すべての上位階層で 1 ユーザの 1 ヵ月あたりのデータ利用量が増加し続けています(図 28)。

図 28. ユーザの上位 20% が 1 ヵ月あたり平均 33 ギガバイトを利用

注:調査は北米の Tier 1 および Tier 2 通信事業者に基づいています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

調査期間中、1 ヵ月に 2 ギガバイトを超えるトラフィックを生成したモバイル ユーザの割合は、2016 年 9 月の時点で 65% でした。また、1 ヵ月あたり 10 ギガバイトを超えるモバイル データを利用したユーザは、10% でした(図 29)。上位の 10% のユーザは、2018 年 8 月時点で 45 GB/月を使用しています。

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図 29. モバイル ユーザの 65% が、1 ヵ月あたり 2 GB 超のトラフィックを生成

注:調査は北米の Tier 1 および Tier 2 通信事業者に基づいています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

iOS がデータ使用量で Android をわずかに上回る 段階的な価格設定についての 7 年間のケース スタディを開始した当初、Android のデータ利用量は、他のスマートフォン プラットフォームより多くはないものの、同程度でした。ところがそれ以降、Apple ベースのデバイスが互角になり、接続利用時の 1 ヵ月あたりのトラフィック(GB)では、Android デバイスよりデータ利用量がわずかに多くなっています(図 30)。

図 30. オペレーティング システム別の月間トラフィック(GB)

注:調査は北米の Tier 1 および Tier 2 通信事業者に基づいています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

段階的プランの数は無制限プランを上回っていますが、データ利用量では無制限プランが引き続きリードしています。Tier 1 通信事業者の無制限プランの数は減少していますが、Tier 1 通信事業者のユーザが、無制限プランで 1 ヵ月に利用するデータの平均量(GB)は多くなっています(図 31)。

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図 31. 段階的プランと無制限プランの比較

注:調査は北米の Tier 1 および Tier 2 通信事業者に基づいています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

現在、通常プランと比較して、共有プランの数は過半数(76%)を占めており、共有プランの平均データ利用量は、通常プランに近づきつつあります(図 32)。

図 32. 共有データ プラン対個々のデータ プラン

注:調査は北米の Tier 1 および Tier 2 通信事業者に基づいています。 出典:Cisco VNI Mobile、2019 年

主流のモバイル デバイスに加えて、今後 5 年間で何十億もの IoT 接続が追加されます。これらの接続は、ほとんどが Wi-Fi ネットワークやセルラー ネットワークで行われます。Wi-Fi でもモバイルの場合でも、ネットワークの設計と対応状況は、ネットワークに接続する多数の IoT デバイスに大きな影響を及ぼします。モバイル データ プランは、エンド ユーザと加入者のために、多様な接続に対応できるよう進化しなければなりません。

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まとめ 多くのネットワーク ユーザにとって、モバイル接続は不可欠なものになりました。ほとんどの人がすでにモバイル音声サービスを必需品と見なし、モバイル音声、データ、およびビデオ サービスは、急速な勢いでコンシューマとビジネス ユーザの生活に欠かせない要素となりつつあります。コンシューマだけでなく企業でも幅広く利用され、先進市場と新興市場の両方で驚くべき普及を見せているモビリティは、明らかに変革をもたらしてきました。モバイル加入者の数は急激に増加しており、データおよびビデオ コンテンツ用の帯域幅の需要は拡大を続けています。モバイル M2M 接続は、シスコの予測の中でも最も急速な増加が見込まれるデバイス/接続カテゴリです。今後 5 年間はモバイル ビデオの普及の勢いは衰えないと予測されています。バックホールのキャパシティと効率性の向上によって、モバイル ブロードバンド、データ アクセス、ビデオのサービスが進化し、一般ユーザの利用傾向への効果的な対応や、モバイル インフラストラクチャのコストの抑制が可能になります。

モバイル ネットワークはますます進化します。市場で主要な割合を占めるのは 4G 接続または LTE 接続と予測されますが、一部の国ではすでに 5G のフィールドトライアルが実施されています。次世代モバイル ネットワークの導入には、サービスのポータビリティと相互運用性の向上が必要です。モバイル デバイスとポータブル デバイスの急増により、このようなデバイスをネットワークに透過的に接続できるようにするとともに、ネットワークで高性能コンピューティングと高度なリアルタイム ビデオおよびマルチメディアを提供できるようにすることが急務となっています。新しいネットワーク機能は、拡張現実や仮想現実といった新しい高度なモバイル サービスの普及に寄与してきました。このようにモバイル ネットワークが帯域幅、遅延、セキュリティ、オープン性の向上に向けて継続的に進化していることから、導入可能なアプリケーションとサービスの範囲が拡大し、それにより高度に拡張されたモバイル ブロードバンド エクスペリエンスの生成につながると、シスコは見ています。ワイヤレス アクセス(セルラーと Wi-Fi の双方)の拡大によって、モバイル ネットワークを利用できる一般ユーザが増加し、スケール メリットと、ビットあたりのコスト低減に対するニーズが生まれます。

新しい形のアドバタイジング、メディアとコンテンツの関係、モバイル サービス(M2M、ライブ ゲーム、拡張現実、仮想現実など)とともに多くのビジネス モデルが出現する中、サービス プロバイダーとオーバーザトップ プロバイダーの両者に有益な状況を形成することが求められています。モバイル事業者、コンテンツ プロバイダー、アプリケーション開発者などは、モバイル ネットワークのコンテンツ、サービス、通信を収益化する方策を模索しています。そのような状況では、新しいパートナーシップ、エコシステム、戦略の統合によって、ワイヤレス ネットワーク環境をさらに変革する必要があります。事業者は、5G に必要なインフラストラクチャへの設備投資をまかなえる収益性の高いビジネス ケースを開発する一方で、ビデオ トラフィックから効率的に利益を上げるという課題に取り組まなければなりません。また、俊敏性を高めて迅速な対応を可能にするとともに、革新的なサービスを提供することで、テクノロジーに精通したユーザから詳しい知識を持たないユーザまで、広範なお客様を惹きつけて保持する必要があります。ネットワークの中立性に関する規制プロセスと事業者のビジネス モデルは進展していますが、最高レベルの品質と速度を求めるコンシューマの要求はまだ満たされていません。ワイヤレス テクノロジーは、有線ネットワークとシームレスに融合し、ユビキタスな接続とエクスペリエンスを実現する方向に向けて、確実に進んでいます。今後数年間が、事業者およびサービス プロバイダーにとって重要な時期となります。この間に、将来のネットワーク導入計画を策定し、今後多様なモバイル対応デバイスやアプリケーションを導入できるような適応力の高い環境を構築する必要があります。

詳細情報 お問い合わせは [email protected] 宛てにお送りください。

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別表 A:Cisco VNI:全世界のモバイル データトラフィック予測 表 4 は、「Cisco VN:I 全世界のモバイル データトラフィックの予測」の詳細なデータをまとめたものです。この予測には、セルラーのトラフィックのみが含まれ、デュアルモード デバイスから Wi-Fi およびスモール セルにオフロードされたトラフィックは除外されています。「その他のポータブル デバイス」カテゴリには、リーダー、ポータブル ゲーム機、およびセルラー接続機能が組み込まれたその他のポータブル デバイスが含まれます。ウェアラブル デバイスは「M2M」カテゴリに含まれます。

表 4. 全世界のモバイル トラフィック(2017 ~ 2022 年)

2017 2018 2019 2020 2021 2022 CAGR 2017 ~ 2022 年

アプリケーション カテゴリ別(PB/月) ビデオ 6,821 12,051 19,279 29,149 42,734 60,889 55%

ビデオ以外 4,691 6,959 9,281 11,621 14,064 16,604 29%

デバイス別(PB/月) スマートフォン 10,132 17,172 26,122 37,548 52,560 71,975 48%

タブレットと PC 1,021 1,311 1,675 2,140 2,744 3,525 28% M2M 211 346 549 840 1,234 1,725 52% スマートフォン以外の携帯電話 147 180 214 242 260 268 13%

その他のポータブル デバイス 0.43 0.36 0.31 0.29 0.33 0.38 -3%

地域別(PB/月) アジア太平洋 5,877 10,351 15,908 22,815 31,807 43,166 49%

中東およびアフリカ 1,222 2,052 3,251 5,009 7,564 11,171 56%

中央および東ヨーロッパ 1,379 2,153 3,119 4,317 5,834 7,752 41%

北米 1,261 1,804 2,500 3,405 4,485 5,846 36%

西ヨーロッパ 1,022 1,471 2,062 2,807 3,801 5,120 38%

中南米 752 1,178 1,720 2,418 3,308 4,439 43%

合計(PB/月) モバイル トラフィックの合計 11,512 19,009 28,560 40,770 56,799 77,493 46%

出典:Cisco Mobile VNI、2019 年

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Cisco VN:I 全世界のモバイル トラフィックの予測は、Ovum、Strategy Analytics、Infonetics、Gartner、IDC、Dell’Oro、Synergy、ACG Research、Nielsen、comScore、国際電気通信連合(ITU)、CTIA、および VNI の対象となる各国の電気通信規制機関が公表したデータを一部使用しています。

Cisco VNI の予測方法では、最初に接続とデバイスの数および増加率を示し、アプリケーションの普及率を適用します。次に、アプリケーションのユーザ ベースに対して、シスコが推定した分単位の使用時間と、そのアプリケーションの 1 分あたりの KB を乗算します。この手法によって基本的要因に密接に関連した予測が可能になりました。また、シスコ固有のデータ ソースを使用し、アプリケーション、セグメント、地域、デバイスに関しても、より詳細な予測が行えるようになりました。

• 基本的要因の包含:固定 IP トラフィックの予測と同様に「、Cisco VN:I 全世界のモバイル トラフィックの予測」の各アップデートでは、主要な前提と基本的要因(利用可能な接続の速度、接続とデバイスの価格設定、コンピュータの処理能力、画面サイズと解像度、デバイスのバッテリ寿命など)の関連性が密になっています。このアップデートでは、予測モデルにおけるモバイルの接続速度と、1 分あたりの KB の前提との関係に焦点を当てています。

• デバイス中心のアプローチ:モバイル ネットワーク上で利用されるデバイスの台数と種類が増え続けているため、接続レベルではなく、デバイス レベルでトラフィックをモデル化することが不可欠になっています。この「Cisco VN:I 全世界のモバイルデータトラフィックの予測」のアップデートでは、スマートフォン、スマートフォン以外の携帯電話、ラップトップ、タブレット、ネットブック、電子ブックリーダー、デジタル スチール カメラ、デジタル ビデオ カメラ、デジタル フォト フレーム、車載エンターテイメント システム、および携帯用ゲーム機のトラフィックの詳細を示しています。

• トラフィック オフロードの影響の予測:「Cisco VNI 全世界のモバイル トラフィックの予測」モデルは、デュアルモード デバイスとフェムトセルがハンドセットのトラフィックに及ぼす影響を定量化したものです。オフロードの影響のモデル化には、USC Institute for Communication Technology Management の年次モバイル調査のデータが使用されています。

別表 B:全世界の 4G ネットワークと 4G 接続 表 5 と表 6 はそれぞれ、地域別の 2022 年における 4G および 5G 接続の増加とウェアラブル デバイスの増加を示したものです。

表 5. 2022 年までにおける地域別の 4G および 5G 接続

4G 接続の数 (100 万単位)

地域別の接続の 割合(%)

5G 接続の数 (100 万単位)

地域別の接続の 割合(%)

アジア太平洋 3,850 61% 229 4% 中央および東ヨーロッパ 579 63% 5 0.5% 中南米 559 58% 10 1% 中東およびアフリカ 419 23% 3 0.2% 北米 589 51% 102 9% 西ヨーロッパ 678 58% 74 6% グローバル 6,675 54% 422 3%

出典:Cisco Mobile VNI、2019 年

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表 6. ウェアラブル デバイスの増加(地域別)

出典: Cisco Mobile VNI、2019 年

別表 C:IPv6 対応デバイス、2017 ~ 2022 年 表 7 は、地域別の IPv6 対応状況に関する詳細な予測を示したものです。

表 7. 地域別の IPv6 対応デバイス、2017 ~ 2022 年

出典:Cisco Mobile VNI、2019 年

© 2019 Cisco and/or its affiliates. All rights reserved. Cisco および Cisco ロゴは、Cisco Systems, Inc. またはその関連会社の米国およびその他の国における登録商標または商標です。シスコの商標の一覧については、www.cisco.com/go/trademarks をご覧ください。記載されているサードパーティの商標は、それぞれの所有者に帰属します。「パートナー」または「partner」という用語の使用は Cisco と他社との間のパートナーシップ関係を意味するものではありません。(1110R) C11-738429-01 02/19