139
空き地対策の必要性と課題 空き地等の新たな活用に関する検討会とりまとめ概要 ① 空き地等がもたらす影響 空き地等を取り巻く状況 ◎地方圏や大都市郊外部を中心に空き地等が増加 (世帯の所有する空き地も10年で1.4倍。その多くが、将来の活用のあてがないまま相続された土地) ◎個々の所有者の意向等により散発的・離散的に発生 (遠方居住をはじめ、管理することが困難な所有者が増加) ◎所有者の高齢化、所有・利用意欲の減退、活用ノウハウの不足 (土地の放棄の問題が表面化) ◎既存の都市インフラが整備済みの場合が ある ◎空き地等を地域資源として活用し、地方 創生につなげる先進的な取組も存在 空き地活用の可能性 本格的な人口減少等に伴う変化 所有者だけでなく、民間、行政及び地域コミュニティによる空き地等の適正管理・利用を促す方策の整備が必要 ◎雑草繁茂など管理水準が低下した空き地が増大 ゴミ等の不法投棄や害虫の発生など周辺に悪影響 ◎個人に委ねるだけでは以下のような市場の失敗が生じることから、行政や地域社会の関わりが必要 ① 個人にとっては空き地にしておくことが合理的であっても、地域社会全体で見ると機会費用が発生 貸与する際の契約に対する不安や借り主の信用力などの情報の非対称がもたらす障碍が存在 ◎自治体は多くの場合、この問題に取り組みあぐねている状況 一部の自治体では、生活環境保全に資する目的としての条例等が整備済み 利活用等に向けての体制・予算が十分でなく、実態把握も進んでいない ◎管理が長期間放置された空き地 所有者の所在の把握が難しい土地等の 放棄宅地になり、国土の荒廃につながる ◎地域内に空き地が多く存在 地域イメージや地域の活力が低下 新栄テラス(福井市) 増加する 766 62.7% ほとんど変わらない 345 28.3% 減少する 33 2.7% 無回答 77 6.3% 現在と比較した今後10 年間の「管理水準が低下した空き地」の面積の変化 874 548 361 186 57 0 200 400 600 800 1,000 地域イメージの低下 地域の活力(賑わいや経済)の低下 治安の悪化 地価(資産価値)の下落 その他 (回答数) 地域・地区内に空き地等が複数存在することによる、 地域・地区全体への影響(複数回答) 526 519 398 215 空き地等の場所、件数、 面積等の発生状況が不明 体制・予算が不十分 空き地等の土地所有者 の意識や理解が不十分 担当部局が決まらない 自治体における空き地等の管理・ 利活用促進の取組上の課題(複数回答) アンケートの出典は全て「空き地等に関する自治体アンケート」(国土交通省、n=1,221(回答率70.1%))

空き地等の新たな活用に関する検討会とりまとめ概要① · 空き地等を地域資源として活用し、地方 創生につなげる先進的な取組も存在

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空き地対策の必要性と課題

空き地等の新たな活用に関する検討会とりまとめ概要 ①

空き地等がもたらす影響

空き地等を取り巻く状況

◎地方圏や大都市郊外部を中心に空き地等が増加(世帯の所有する空き地も10年で1.4倍。その多くが、将来の活用のあてがないまま相続された土地)

◎個々の所有者の意向等により散発的・離散的に発生(遠方居住をはじめ、管理することが困難な所有者が増加)

◎所有者の高齢化、所有・利用意欲の減退、活用ノウハウの不足(土地の放棄の問題が表面化)

◎既存の都市インフラが整備済みの場合がある

◎空き地等を地域資源として活用し、地方創生につなげる先進的な取組も存在

空き地活用の可能性本格的な人口減少等に伴う変化

1所有者だけでなく、民間、行政及び地域コミュニティによる空き地等の適正管理・利用を促す方策の整備が必要

◎雑草繁茂など管理水準が低下した空き地が増大⇒ゴミ等の不法投棄や害虫の発生など周辺に悪影響

◎個人に委ねるだけでは以下のような市場の失敗が生じることから、行政や地域社会の関わりが必要① 個人にとっては空き地にしておくことが合理的であっても、地域社会全体で見ると機会費用が発生② 貸与する際の契約に対する不安や借り主の信用力などの情報の非対称がもたらす障碍が存在

◎自治体は多くの場合、この問題に取り組みあぐねている状況① 一部の自治体では、生活環境保全に資する目的としての条例等が整備済み② 利活用等に向けての体制・予算が十分でなく、実態把握も進んでいない

◎管理が長期間放置された空き地⇒所有者の所在の把握が難しい土地等の放棄宅地になり、国土の荒廃につながる

◎地域内に空き地が多く存在⇒地域イメージや地域の活力が低下

新栄テラス(福井市)

増加する766

62.7%

ほとんど変わらない345

28.3%

減少する33

2.7%

無回答77

6.3%

現在と比較した今後10 年間の「管理水準が低下した空き地」の面積の変化

874 548

361 186

57

0 200 400 600 800 1,000

地域イメージの低下地域の活力(賑わいや経済)の低下

治安の悪化地価(資産価値)の下落

その他

(回答数)

地域・地区内に空き地等が複数存在することによる、

地域・地区全体への影響(複数回答)

526

519

398

215

空き地等の場所、件数、

面積等の発生状況が不明

体制・予算が不十分

空き地等の土地所有者

の意識や理解が不十分

担当部局が決まらない

自治体における空き地等の管理・

利活用促進の取組上の課題(複数回答)

※ アンケートの出典は全て「空き地等に関する自治体アンケート」(国土交通省、n=1,221(回答率70.1%))

空き地対策の展開

空き地等の新たな活用に関する検討会とりまとめ概要②

空き地対策の基本的な考え方

◎空き地等を有効に利用することによって、地域の不動産価値や住環境の維持・向上を実現し、併せて経済を活性化させる地方創生のチャンスが生じており、積極的な取組みの推進が必要

◎空き地等の情報を集約し、「見える化」する等、取引の障碍を除去することが重要

◎地域コミュニティ等により管理・活用されるようにすることが重要(担い手の多様化と育成)

◎暫定利用や土地の集約化等により、新たな土地需要を創出

◎所有者の責務を基本とし、所有者自身による管理が困難な場合には、これを支援するとともに所有者が適切に管理を行わず、放置 した結果、社会的害悪が生じる場合には、これを除去することも必要

空き地の適正な管理空き地の有効利用

◎モデル的な先進事例を積み上げ、他地域へ横展開を実施

◎空き地の実態把握を推進するとともに、自治体内外部での行政情報の活用方策を検討

◎管理水準が低下した空き地所有者への是正措置の円滑化や支援の方策を検討

◎空き地等の新たな活用を促進するための枠組み①空き地の管理・活用に関するビジョンの策定と官民一体となったプラットフォームづくり

②地域住民等が生活環境の維持等に役立てるための「地域のコモンズ」としての多様な管理・活用を推進

③情報を活かして、空き地所有者、地域コミュニティ、空き地の利用者等の間をコーディネートする機能を地域に見合った役割分担(民間・行政・地域コミュニティ)の下で推進

④地域コミュニティ等による空き地等の暫定利用と集約化の取組みを支援する方策を検討

◎土地所有者に対する土地の適正利用や管理の責務の明確化について検討

◎利用されない土地への対応①土地の放棄の可否等に関する整理が必要

②相当期間努力しても利活用されない土地の管理方法や費用負担(行政・地域・個人)を検討

③所有者不明土地の課題については別途検討

中長期的な課題当面の対策

空き地等の新たな活用に関する検討会

とりまとめ

平成 29 年6月

空き地等の新たな活用に関する検討会

1

空き地等の新たな活用に関する検討会 委員名簿

◎:委員長、○:委員長代理

委 員 ○ 浅 見 泰 司 東京大学大学院工学系研究科教授

大 橋 弘 東京大学大学院経済学研究科教授

亀 島 祝 子 東急不動産株式会社鑑定企画室参与

小 林 秀 人 大和リース株式会社新規事業推進室室長

齊 藤 広 子 横浜市立大学国際総合科学部教授

高 村 学 人 立命館大学政策科学部教授

中 川 雅 之 日本大学経済学部教授

藤 原 岳 史 一般社団法人ノオト理事

藤 原 徹 明海大学不動産学部教授

母 袋 創 一 長野県上田市長

〃 ◎ 山野目 章 夫 早稲田大学大学院法務研究科教授

亘 理 格 中央大学法学部教授

臨 時 委 員

秋 田 典 子 千葉大学大学院園芸学研究科准教授

小 泉 秀 樹 東京大学大学院工学系研究科教授

2

空き地等の新たな活用に関する検討会 関係者名簿

オブザーバー 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官 千 葉 信 義

〃 総務省自治行政局地域力創造グループ地域振興室長 飯 塚 秋 成

〃 法務省民事局参事官 大 谷 太

〃 農林水産省経営局農地政策課経営調査官 福 永 信 明

〃 林野庁森林整備部計画課首席森林計画官 宇 野 聡 夫

〃 国土交通省住宅局住宅政策課長 和 田 康 紀

〃 国土交通省都市局都市政策課長 井 﨑 信 也

〃 国土交通省国土政策局総合計画課国土管理企画室長 藤 原 啓 志

〃 国土交通省土地・建設産業局総務課長 永 森 栄次郎

〃 国土交通省土地・建設産業局不動産業課長 中 田 裕 人

幹 部 国土交通省土地・建設産業局長 谷 脇 暁

〃 国土交通省大臣官房建設流通政策審議官 海 堀 安 喜

〃 国土交通省政策統括官 舘 逸 志

〃 国土交通省土地・建設産業局次長 鳩 山 正 仁

事 務 局 国土交通省土地・建設産業局企画課長 佐 竹 健 次

〃 国土交通省土地・建設産業局企画課企画専門官 寺 前 大

〃 国土交通省土地・建設産業局企画課企画専門官 北 田 透

3

空き地等の新たな活用に関する検討会の開催経緯

第1回検討会 1月23日(月)

・国土審議会土地政策分科会企画部会「土地政策の新たな方向性 2016」説明

・空き地等の現状と課題、各部局の関連施策

・委員よりプレゼンテーション①(長野県上田市の取組)

・委員よりプレゼンテーション②(大和リース株式会社の取組)

第2回検討会 3月2日(木)

・空き地等の実態把握

(空き地等所有者への Web アンケート、自治体への空き地等アンケート結果報告)

・委員、事例発表者よりプレゼンテーション① (米国におけるランドバンクの取組)

・委員よりプレゼンテーション②(地域のコモンズとしての管理の取組)

第3回検討会 4月19日(水)

・空き家所有者情報の外部提供に関するガイドライン(試案)報告

・所有者の所在の把握が難しい土地の検討状況報告

・委員よりプレゼンテーション(一般社団法人ノオトの取組)

・空き地等の新たな活用に関する検討会とりまとめ(案)概要提示

第4回検討会 5月17日(水)

・有識者よりプレゼンテーション(NPO 法人タウンサポート鎌倉今泉台の取組)

・空き地等の新たな活用に関する検討会とりまとめ(案)提示

第5回検討会 6月14日(水)

・空き地等の新たな活用に関する検討会とりまとめ

4

目次

1.空き地等を取り巻く状況 .................................................... 5

2.空き地等の特性と対策の必要性 .............................................. 6

(1)空き地等の特性 ...................................................... 6

(2)空き地等の課題 ...................................................... 6

(3)空き地対策の必要性 .................................................. 8

3.空き地等の課題に対する適正な管理・活用施策についての基本的な考え方 ....... 10

3-1.空き地等対策の基本的な考え方 ....................................... 10

3-2.空き地等対策の今後の方向性 ......................................... 12

(1)空き地等のタイプによる市場と政策の関係 ............................. 12

(2)情報の取扱い ....................................................... 13

(3)地域「資源」の経営とオープンなプラットフォームの設置 ............... 13

(4)地域における土地管理・活用の担い手の多様化と育成 ................... 14

(5)暫定利用の促進 ..................................................... 15

(6)集約化 ............................................................. 15

(7)都市計画やまちづくりとの連携 ....................................... 16

4.空き地等の課題に対する具体的な適正な管理・活用施策 ....................... 18

4-1.当面の対策 ......................................................... 18

(1)考え方 ............................................................. 18

(2)空き地等の実態把握とその活用 ....................................... 18

(3)管理が困難な所有者への支援と管理水準が低下した空き地等への対応 ..... 19

(4)空き地等の新たな活用を促進するための枠組み ......................... 19

(5)暫定利用と集約化の方策の検討 ....................................... 22

(6)その他 ............................................................. 23

4-2.中長期的に検討をしていくべき課題 ................................... 25

(1)土地所有者の責務の明確化 ........................................... 25

(2)利用されない土地についての検討 ..................................... 25

(3)その他 ............................................................. 26

参考資料

5

1.空き地等1を取り巻く状況

① 人口減少社会2を迎え、地方都市や郊外を中心に空き家3だけでなく、空き地につい

て、特に世帯が所有する空き地がここ 10 年で、1.4 倍に増加4している。

② 土地所有者の利用意欲が減退している中で、登記簿上で所在確認ができない土地

が、地籍調査における調査で見ると、農山漁村に限らず、宅地地帯でも約 13%もあ

り5、いわゆる所有者の所在の把握が難しい土地6や自治体に対する土地の寄附の申し

出が増えている7など、土地の管理放棄の問題が表面化してきている。

③ この状況を放置すれば、今後は、地方都市の中心市街地(商業地)や都市郊外の

二ュータウン(住宅地)などの都市部の宅地でも、地域の活力や住環境を損なうも

のとして、空き地等の増大が大きな社会現象となることから、その増加をいかに防

止していくかについての検討が必要である。

④ 一方、地域創生等の観点から、空き地等を地域の「資源」として活用する先進的

な取組みも見られており、こうした取組みを後押ししていくことはもとより、優良

事例を収集・分析・普及しながら、空き地等を増やさない方策を検討していくこと

が必要である。

1 図1

(定義)

空き地 :現状に着目して建物等の定着物がない宅地(日常的な利用がされているものを除く)

空き地等:空き地、空き家(近い将来、除却が見込まれるものに限る)の敷地 2 図2~図4 3 図5~図6 4 図7~図17 5 図18 6 図19~図21 7 図22

6

2.空き地等の特性と対策の必要性

(1)空き地等の特性

① 本来、空き地等は土地利用の変化に伴い、発生と解消に時間的なずれが生じ

るため、一定程度は存在する。また、土地需要が旺盛な都心部における空き地

のように計画具体化までの間、一定期間低未利用にしている土地や、都市計画

の必要性から防災空地のように長期間そのままにしている場合もあり、空き地

等のあり方は多様である。

② 事業活動のため機動的に土地を取得・保有すると考えられる法人所有の空き

地は増加していない8ものの、世帯所有の空き地は、相続を契機とした取得など

必ずしも土地の利用を想定せずに取得したことで、そのままとされている場合

が多く9、また利用意向があっても将来の土地利用の見込みがない場合も多いこ

とから、近年、増加が著しい。

③ このため、空き地等は、個々の所有者の意向によって散発的・離散的に発生

しており、多くの場合、小規模な空き地が、まとまりなく存在10している。ま

た、小規模な空き地ごとに所有者もばらばらで、そのままでは社会的に有効に

使いづらい状況にある。

④ 他方、市街地整備された宅地は、原野などとは異なり、区画も整い、上下水

道など都市インフラを有している場合が多く、特に、空き家除却後の空き地に

ついては、直近まで、都市インフラを使用していたことから、宅地ストックと

しての価値は高いと考えられる。

(2)空き地等の課題

① 空き地等の中には、一時的な留保状態にあり、将来の利用見込みがある空き

地等のように、いずれは解消され、大きな問題とならないものもある。

② しかし、長期的に土地資産額が下落11している中では、土地の所有・利用意欲

8 図23 9 図24 10 図25~図26 11 図27~図30

7

が減退12し、土地の管理に問題を抱える所有者が多くなっている13ことから、草刈

りなど必要な管理行為が行われず、雑草が繁茂するなど、管理水準が低下した空

き地が増加14している。

管理水準が低下した空き地は、ゴミ等の投棄や害虫の発生など、周辺に直接

的な害悪を及ぼす15が、これに加えて、地域内に複数の空き地が存在すること

は、管理水準に拘わらず、地域イメージや地域の活力の低下を招き、ひいて

は、周辺地価の低下や資産税収の減少等を招くおそれがある16。

また、空き地の放置による周辺地価の低下は、すなわち現状利用されている

土地の経済的価値をも衰退させることであることでもあり、結果的に空き地が

さらに空き地を発生させるという負のスパイラルを生じさせることになる。

さらに、管理水準の低下が長期にわたり、管理が放置された状態が続けば、

相続を契機に所有者の所在の把握が困難な土地となるなど将来的に放棄宅地と

なり、国土の荒廃にもつながる17。

このように、一度荒廃し、経済的価値を失った地域を再度活性化することは

容易ではないことから、どこかの時点で歯止めを掛けないと、相当のエネルギ

ーと費用が必要となる。

③ 空き地は将来の利用を留保した結果生じるもので、将来の利用の見込みのな

い空き地には機会費用はほとんどないとする考え方もあるが、空き地のままに

しておくことは、個人にとっては合理的な行動であったとしても、社会全体で

見れば、地域の賑わい創出や豊かな住環境の形成のために活用する機会を逸す

ることになっており、市場の失敗による機会費用が生じていると考えられる。

空き地が活用されることでもたらされる正の外部性が発揮されず、社会的に

望ましい土地の利用に対して、過少利用となっている。

④ また、地域のまちづくりのために、所有権を留保しつつ土地を貸付けてもよ

いとする所有者も見受けられる18が、所有者からは、契約時の不安感や借り主の

信用力の問題があり19、他方、利用する側からは活用可能な空き地の賦存状況や

所有者の貸出し意向が分からない等、所有者と利用者の情報の非対称が生じて

12 図31 13 図32 14 図33~図34 15 図35 16 図35 17 図36 18 図37~図38 19 図39

8

いる。一般に、所有者が期待する地価及び収益と利用者が想定する費用の間に

は乖離があるが、これらに加えて、空き地等の売却・貸付けのための情報提供

に関し、広く一般に提供してよいとする所有者は限られており20、提供した情報

が公開されることや提供先の情報管理に不安を感じる意見も見受けられ、所有

者と利用者間のコミュニケーションが難しくなっている。利活用等を考える際

には、情報の提供先における信頼性の確保も重要である。

⑤ さらに、空き地等の所有者に所有の意思はあっても、活用の意欲やノウハウ

を有していない状況が見受けられる。こうした所有者が活用する意欲を有した

としても、市場が十分に機能しない場合、相談すべき相手が明確ではないだけ

でなく、仮に活用する意欲のある者が現れたとしても、その橋渡しが上手く行

かないことによる取引費用が発生している可能性もある。

(3)空き地対策の必要性

① このように、空き地等は、管理の態様によっては外部不経済や国土の荒廃に

つながる問題を発生させる一方で、有意義な利用が行われれば、利用に応じた

便益が生み出され、地域の価値が高まることが期待される。この場合の便益に

ついては、必ずしも金銭的なものだけとは限らず、例えば、空き地が「地域の

コモンズ21」として利用されれば、そこに人が集い、賑わいが生まれるととも

に、住環境が保全され、波及効果を空き地周辺に及ぼすことも期待される。こ

のため、上記(2)の課題の解決に向けて、将来にわたり、空き地等の適正な

管理及び利活用を推進することが重要である。

② 空き地等の利用は、第一義的には、土地所有者が考えるべきものであるが、

特に個人の所有者には将来の利用の見込みが見出し難い中で、とりあえず、低

未利用のまま(投資をしないまま)保有することが、個別の所有者の立場から

すれば合理的な場合もあり、また、遠隔地に土地を所有する土地所有者も多く

なっている現状からすれば、土地所有者のみに利用を図るよう求めても、現状

を改善することは難しい。

③ 他方、空き地等の管理については、積極的な活用が行われない場合でも、社

会的害悪の発生等により周辺地域に迷惑をかけないという最低限の義務は所有

者にあり、これが果たせない場合には、所有者自らがその義務を果たすことが

20 図40~図41 21 図42

(定義)

地域住民が地域の空き地等を管理・活用し、地域の生活環境や資産価値の維持・向上に役立て

る取組み及びその対象となる土地等。

9

できるような手助けを考える必要がある。

④ このような中、自治体において、住民からの苦情を受け、一部で、生活環境

の保全のための条例の制定等が行われている22が、土地という個人の財産に関わ

る問題であることから、行政として果たすべき役割とその程度が明確になって

いないため、利活用等に向けての体制が十分でなく、実態把握も進まず23、多く

の場合この問題に取り組みあぐねている状況にある。

⑤ 他方、民間においても、空き地の活用が空き地周辺に及ぼす波及効果を享受

できる地域の事業者の中には、地域の価値が上がることが自らの事業に良好な

影響を及ぼすといったインセンティブがあることから、持続的な事業展開の中

で、特定の地域全体を視野に入れた取組みを行う者も現れている。

⑥ このため、各地域において、

ア.所有者による適正管理の支援及び管理水準が低下し社会的害悪が発生して

いる空き地等への対策

イ.立地・土地条件からみて工夫次第で活用が可能な空き地等について、空き

地等をむしろ地域の資源として活用していくための対策

ウ.安心な取引と効率的な取引ができるように行政と民間が連携をして、情報

の非対称や取引費用の問題の解消に向けた方策

に取り組むことが重要であり、国としても、こうした行政、地域、民間による

取組みを促すための施策の枠組みを整えていくことが必要である。

⑦ これに加え、活用が困難な土地(即ち、機会費用がほとんどない土地)につ

いては、放置宅地の発生を防ぎ、国土の荒廃を予防していくという国土管理の

観点から、人口減少社会における土地制度のあり方も含めた中長期的な視点で

の検討が必要である。

22 図42~図47 23 図48

10

3.空き地等の課題に対する適正な管理・活用施策についての基本的な考え方

3-1.空き地等対策の基本的な考え方

① 空き地等は、できる限り有効利用を図ってその解消を図ることが基本であ

る。また、空き地等を有効に利用することによって、人口減少社会においても

地域の不動産価値や住環境の維持・向上を実現し、併せて経済を活性化させる

地方創生のチャンスが生じているとも考えられることから、各地での積極的な

取組みを推進することが必要である。

② 空き地等の有効利用に向けては、市場での取引によることが第一である。空

き地等の特性から、全てが一度に現われ、また有効活用できるわけではないた

め、将来の土地利用に関する計画の見直しへの障壁とならないこと及び将来に

向けての期間の途上においても土地利用の整序化に留意しつつ、可能なところ

から着実に活用に着手することが地域価値の維持・向上につながることを念頭

に、その促進を図っていく必要がある。また、空き地等の中でも活用しないこ

とによる影響が大きい空き地等とそうでない空き地等があることから、優先度

を定めて対策を行う必要がある。

この場合、2.(2)で見た機会費用や情報の非対称等の問題を打破するこ

とで利用が進むことから、地域におけるそのための取組みを支援することが重

要である。

具体的には、地域における課題やニーズの把握に努め、地域にとって最適な

空き地等の利活用に結び付けられるようにすることが重要24であり、まずは、個

人情報の取扱いに十分留意しつつ、市町村及び各地域コミュニティによって情

報を統合し、空き地等の状況を「見える化」し、適切な方法・限度で民間の事

業体とも共有する等により取引の障碍を除去することで、民間の取引を促進す

るとともに、市場でのニーズが当面見込まれない場合には、地域のコモンズと

して受益する地域住民等により管理・活用されるようにすることが重要であ

る。

この際、当面活用の見込みがない場合でも、恒久的利用先が現れるまでの間

を活かして、比較的短い期間のいわゆる暫定利用を重ねていくことが管理面か

ら見ても極めて重要であり、一定の条件を満たせば貸付けを行う意向がある土

地所有者が多いことを踏まえ、安心して短期の賃貸借を行えるようにして、新

24 図49

11

たな形での土地利用へつなげることが必要である。

また、従来の小規模な区画のままでは、新たな活用に結び付けることが困難

な場合も多いと考えられることから、地域の空き地等を適切に組み合わせ、よ

り大きな区画としての利用を図るための集約化も、各地域における新たなニー

ズを見据えつつ進めていく必要がある。

③ 空き地等の適正な管理については、人口減少等に伴いニーズが減る局面で直

ちに利用が見込まれない場合には、新たな活用に結び付くまでの間、空き地等

が適正に管理されることが必要である。この場合、所有者の責務を基本とし、

所有者自身による管理が困難な場合にはこれを支援することが重要である。ま

た、所有者が適切に管理を行わず、放置した結果、社会的害悪が生じる場合に

は、これを除去することも必要である。

④ 空き地等の発生・管理状況について一番精通しているのは、空き地等が所在

する 地域コミュニティの住民である。地域住民の有する共通の風土や文化に

根ざしたまとまりや土地への愛着は、今後人口減少が進む中でますますかけが

えのないものとなっていくと考えられるとともに、こうした地域としてのまと

まりと土地への愛着は、地方創生として空き地等の管理や活用を持続させてい

く上で、極めて重要である。このため、地方部をはじめとして、地域住民が主

体的に取り組む土地の管理・活用を、これまで以上に進めていく必要がある。

なお、低未利用地や空き地でも、そのままの状態で維持することが地域のコ

ミュニティの維持・発展のためになり、地域の価値が高まる場合には、適正な

管理をして維持することも考えられる。

その際、市町村には、都市計画やまちづくり等とも連携しつつ、市町村内の

地域コミュニティ単位のさまざまな小さな公共性間の連携を図り相互のネット

ワークを形成するという役割を果たすことが期待される。

12

3-2.空き地等対策の今後の方向性

(1)空き地等のタイプによる市場と政策の関係

① 将来の利用の見込みがある空き地等(将来の活用の計画がある空き地等を含

む)や、立地、土地条件(規模、宅地整備状況、自治体等のまちづくりのプラ

ン等)から見て、市場価値があり、市場を通じた利用が可能な空き地等につい

ては、現在、空き地等の状態であったとしても、一時的な留保であるため、空

き地状態はいずれ解消されることから、特別な場合(防災空地、地価高騰地区

等)を除き、空き地等の利活用に当たっては、民間の取引を推進する必要があ

る。

② 他方、将来の利用の見込みがなく、または、所有者に利用の意欲はあって

も、長期間空き地等のままで、利用の実現の見込みがない空き地等のうち、立

地、土地条件から見て、工夫次第で市場価値の再生やコモンズ等として地域に

おける利用が可能となる土地については、市場に委ねるままでは、将来におい

ても活用されず放置され、周辺環境に悪影響を与えるとともに、国土の荒廃に

つながることになりかねない。こうした空き地等については、民間だけでな

く、地元自治体等の行政や地域コミュニティによる政策的取組みが必要であ

る。

③ なお、将来の利用の見込みがなく、または、利用の意欲があっても、長期間

空き地等のままで、利用の実現の見込みがない空き地等のうち、地域における

相当期間の利用への取組みにも拘わらず、活用が困難な土地については、将来

的に国土の荒廃につながるおそれがあり、放置された土地の最終的な帰属の問

題や管理のための費用負担等の課題について、中長期的な検討が必要である。

④ 空き地等対策における民間、行政及び地域コミュニティの役割分担について

は上記①から③のとおりであるが、対策の対象とする具体的な空き地等の選定

に当たっては、上記①から③の区分が、市場の価値によって決まる部分がある

から、民間ならではの目利きが重要であることに留意するとともに、地域にお

ける空き地等の発生状況や土地所有者の意向など地元自治体や地域コミュニテ

ィにおいてはじめて把握可能な部分もあることに留意する必要がある。なお、

管理水準が低下し社会的害悪を発生させている空き地等については、上記の区

分に拘わらず自治体等による対応が必要である。

13

(2)情報の取扱い

① 各地域において、空き地等の発生状況やニーズを「見える化」していくことで、

地域における新たな活用方策を見出すことが可能となる。このため、空き地等の

利活用に向けて、土地所有者の意向と活用する者に関する情報をマッチングさせ

ることが必要であるが、行政でしか知り得ない情報もあることから、行政の守秘

義務や信用力を活かし、行政と民間が適切な形で連携することが重要25である。

② その場合、個人情報の保護との関係に留意しつつ、どのような情報をどのよう

な限度で地域内部または外部者と共有していくことが望ましいかという考え方

を自治体等に示していく必要がある。特に、空き地等の所有者の意向は、土地の

売却のみならず、将来の自ら利用を想定しての期限及び条件付きの貸付け、これ

らの対価水準など非常に多様であり、こうした細かな情報を蓄積していくことも

重要であるが、所有者は地域社会等におけるプライバシーの問題から、こうした

情報をそのまま外部に提供することについては極めて消極的であり、情報提供に

は慎重さと工夫を要する。

(3)地域「資源」の経営とオープンなプラットフォームの設置26

① 空き地等は、個々の土地所有者では、利活用のノウハウがなく、空き地等のま

ま存置することが所有者にとっては望ましいと感じられる場合であっても、地域

全体にとって有意義な利活用につながっていない可能性がある。

他方、土地が実際に活用されるかどうかは、土地の市場価値だけでなく、必

要な時に利用できるかというタイミングの問題もある。活用したいユーザーが

現れてから対応を考えるのではタイミングを失うこともある。

② 住民が生活する一定のまとまりのある地域コミュニティによってこそ、空き地

等の発生状況や経緯、潜在的な利活用の萌芽等が熟知されている。散発的・離散

的に発生する空き地等を積極的に資源の意味をもつものと捉えて、地域全体にと

って有益な利活用に結び付けていくためには、地域の主役である住民が主体にな

って、地域の課題やニーズを整理し、土地所有者の意向等の情報も活用しながら、

地域コミュニティの今後を展望し、空き地等の利活用の方向や管理のあり方等に

ついて合意形成を行い、合意された内容に沿って具体の利活用の実現に努めてい

く必要がある。なお、空き地等の利活用に向けて、土地の集約化を具体化する場

合には、地域住民、当該土地の所有者等権利者の合意を得ていく必要がある。

25 図50 26 図51

14

③ 地域コミュニティにおける合意形成のために、まずは、市町村等が各地域にお

けるニーズや課題を踏まえて、空き地等の管理・活用に関する市町村のビジョン

を策定し、各地域コミュニティによる理解を得ておく必要がある。

④ 地域コミュニティや市町村が、各々、空き地等の管理・活用について合意形成

・ビジョン作成を行い、実行していくためには、エリアマネジメントを手がけて

きた実績のある事業体や地域に関わる宅地建物取引業者をはじめとする広汎な

関係者の協力を得ることで、専門的な知見やニーズの動向などをつかむことが期

待されることから、市町村はこうした関係者が対等な立場で参加できるプラット

フォーム(協議会)を設け、定期的に開催し、空き地利用の促進に役立てること

が有益である。

⑤ 地域コミュニティ側が様々な情報を得ていくためには、自らの地域をどうした

いか、どのような特性があるか等を「見える化」して発信することにより、地域

を越えた潜在的ユーザーを惹きつけることも重要である。

(4)地域における土地管理・活用の担い手の多様化と育成

① 土地所有者による土地の管理だけでは、全ての土地が適正に管理されることは

困難な状況になりつつあることから、所有者による管理が困難な土地を地域コミ

ュニティでどのように管理していくかを考える必要がある。

② 例えば、所有者が空き地を管理することが困難な場合に、雑草除去等の具体的

な管理行為をはじめとして、所有者からの依頼を受けてこれを管理する方策や所

有者が空き地を放置し、社会的害悪が生じている場合に、所有者に替わってこれ

を除去し、その費用を所有者に求める方策が考えられる。

③ また、空き地等の利用のあり方の一つであるコモンズとしての利用について

も、地域において活動する NPO 等の担い手の確保がその鍵となる。同時に、散

発的・離散的に発生する空き地等の管理・活用はある意味で息の長い活動が必要

であり、これを長く続けていくためには、できる限り民間事業者が自らの経済活

動の一環として関わることや地域に在住する民間の事業や行政の経験者等の活

動が重要である。

地域コミュニティに活動の主体となる組織体等が見当たらない状況では、市

町村が主導して新たな NPO 等を立ち上げ、こうした地域の潜在的担い手に活躍

の場を拓くことも考えられるべきである。

④ なお、相当の努力にも拘わらず利用者を見つけることが困難な土地の管理につ

15

いては、土地所有者、地域、行政の役割分担を再整理していくことが必要である。

(5)暫定利用の促進27

① これまでは暫定利用について、将来の事業着手のつなぎという意味での暫定

的な低利用(駐車場等)が注目され、全く利用しないよりはいくらかでも利用

する方が望ましいという消極的な位置づけのものが多かった。

② しかし、人口減少時代においては、当面、土地利用が見込めない土地につい

て、空き地の新たな利用、特に恒久的な利用の道が見えてくるまでの間におい

て、例えば建物の設置等と比べ低コストでの利用が可能で、利用後の原状回復

も容易という利点を活かし、例えば、コミュニティガーデン、広場などコモン

ズとしての利用をはじめ地域コミュニティ全体でその価値を享受できる暫定的

な管理・活用を積極的に位置づけ、推進していくことが重要である。

暫定利用には、コモンズだけにとどまらず、地域のニーズに合わせ多様な利

用の形が想定され得るので、各地域において十分な利用が図られるよう、産官

学等の広い連携も重要である。

いずれにしても、暫定利用を通じ、地域の価値を高めることを通して、恒久

的な利用への道を広げていくことが重要である。

③ 暫定利用の中には、ごく短期間のものから5年、10年という中長期のもの

まで、地域の実情に応じて多様な存続期間が考えられる。

貸付け先への信用不安の払拭等ができれば、貸付けを行う意向を持つ土地所

有者は多い。暫定利用について、土地所有者が安心して土地を貸し付けること

ができる仕組みを使い、借地による利用を積極的に進めていく必要がある。こ

の際、暫定利用に取り組む者の保護とのバランスにも留意する必要がある。

(6)集約化

① 現在、多くの空き地が、小規模でまとまりなく存在しており、新たな活用に

結び付けにくい状況にあることから、一つ一つの空き地の利用だけ考えるので

は足らず、今後の地域コミュニティづくりに向け、どのように土地利用を図る

かといった観点から、活用されていない空き地を利用しやすくするよう、暫定

利用と並行しつつ、集約化も一歩ずつ進めていく必要がある。

② これまで、土地利用のうち農地については、それぞれの地域・集落において

27 図52~図54

16

農地利用に関する話合いを行い、その話合いの結果に基づいて、担い手(法人

経営、大規模家族経営等)への農地利用の集積・集約化を進める取組を行って

きた。他方、宅地については、これまで地域コミュニティにおいて、どのよう

に組み合わせて集約化するかについて検討されるという機会は限られてきたと

思われる。

③ このため、空き地等については、農地のように一気に大規模な集約化を行お

うと飛躍せず、地域の実情に応じ、まずは手近な隣地取得28や(5)の借地によ

る暫定利用も活用して、集約化の実例を積み上げ、地域住民の中に理解を得て

いくことが重要である。

ただし、民間の事業者は、適時適切な土地の取得が必要となることから、民

間による新たな需要を捉えるためには、あらかじめ地域において、可能な限り

土地の集約化に向けた準備を進めておく必要があるという面も忘れられるべき

ではない。

④ 集約化には、個別の土地所有者が自発的に取り組むことは期待しにくく、ま

た、利用できる情報も限られるので、市町村や広汎な関係者が参加する(3)

のプラットフォームを活用して、空き地等へのニーズの動向を共有するなどに

より、支援していく必要がある。また、農地と宅地の特性の違いに十分に留意

しつつ、農地利用の集積・集約化のための制度、宅地での土地区画整理事業に

よる換地制度等も参考にしながら、空き地等の集約化を促進する方策も検討す

べきである。

⑤ さらに、物理的集約に限らず、所有者の同意に基づき、所有者情報や管理・活

用の意向等を集約、利用者の情報とマッチングさせる場合に多様な方策も考え

られる(賃貸借、売買、現物出資等)。

(7)都市計画やまちづくりとの連携

現在、都市計画サイドでは、都市のコンパクト化29を進めているが、都市内に

空き家・空き地といった使われない空間が増えているといった都市のスポンジ

化への対応が課題となっている30。一方、民間主体が空き地を有効に活用して地

域の賑わいの場となる緑地・広場の創出を促進する市民緑地認定制度31も新たに

28 図55~図58 29 図59~図61 30 図62 31 図63~図64

17

設けられた。これらに加えて、地域の市町村で空き地の管理・活用ビジョンを

考える場合、現在検討が進められている都市計画上の対応等とともに、空き家

や空き店舗の活用と合わせて考えるなどの地域のまちづくりの視点との連携も

重要である。

18

4.空き地等の課題に対する具体的な適正な管理・活用施策

4-1.当面の対策

(1)考え方

空き地等の問題は、地域によって状況は多様であることから、一斉に対策を

講じることは困難であるが、まずは、対策に取り組むニーズがあり、これが可

能な地域から現行の制度32も活用しながら、施策を動かしていくことが必要であ

る。その際、先進的な空き地等の適正な管理・活用の事例を収集し、分析・類

型化、自治体、土地所有者、利用者等に広く情報提供するとともに、モデル的

な地域の具体事例から現場の課題等を学び、優れた取組みの他地域への横展開

につなげることが必要である。

なお、空き地等の増加が地域の活力の低下や地域の荒廃につながることか

ら、市町村や地域コミュニティが空き地等の問題を地域の最重要課題の一つと

して捉え、積極的に取り組むことにより、民間の多様な取組みの呼び水として

いくことが重要である。

(2)空き地等の実態把握とその活用

① 空き地等の適正な管理・活用を進めるためには、まずは、住民に最も身近な

自治体であり、地域内の種々の情報を統合しうる市町村が、地域内での空き地

等の実態について十分把握することが必要であるが、現状では、人員を含めた

体制、予算等が十分でない状況にある。空き家については、空家等対策の推進

に関する特別措置法(以下、空家法という。)33の施行を契機として、市町村に

よる空き家の実態把握が進む環境が整ったが、空き地等については、未だ、空

家法第10条の規定による固定資産税情報の内部利用のような措置もないこと

から、市町村長が空き地等に関する情報収集を行うための方策を設けることが

必要である。

② 特に、収集した情報を実際の空き地等の管理・活用につなげていくには、行

政内部で利用する台帳を例としたデータベースの整備に努める必要がある。ま

た、土地利用を考える上で、地域内の情報活用のあり方や民間の土地利用者や

あっせん・仲介する宅地建物取引業者など外部への情報提供についても、空き

32 図65~図71 33 図72~図79

19

家所有者情報の外部提供に関するガイドライン34も参考にして、考え方をとりま

とめ、自治体に示して推進していく必要が考えられる。

③ なお、地図情報等のオープンデータ化について、別途検討が進められている

ところ、個人情報の保護との関係に留意しつつ、市町村における空き地等に関

する情報の整理、蓄積に活用できる部分は、積極的に取り込んでいくべきであ

る。

(3)管理が困難な所有者への支援と管理水準が低下した空き地等への対応

① 土地の利用見込みがないものの、高齢化や遠方居住等により、空き地等を管

理することが困難な土地所有者を助けるために、市町村に相談窓口を設け、必

要に応じて、地元の管理会社等へあっせんを行う方策を設ける。

② 管理水準の低下した空き地は、程度の差こそあれ、空き家同様に外部不経済

を発生させるおそれがある。空き家に対しては、空家法により、勧告、命令、

市町村による代執行などの是正措置が講じられているが、現状では、空き地に

は、法律上の措置はなく、市町村独自の条例により講じられているにとどま

る。

しかし、条例に関する現状では、空き地所有者の協力を前提に、空き地の管

理が不十分であることに対して、指導・助言にとどまっている場合が多く、所

有者の協力が得られない事例の対応が問題となりうる。

③ 空き地の場合には、空き家と異なり、是正措置の内容は、建物の除却ではな

く、草刈りなどの比較的軽微なものが想定されるという違いを踏まえ、そのま

ま放置すれば倒木等、著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛

生上有害となるおそれのある場合には、是正措置が円滑に進むような方策を設

けて行くことが考えられる。

この場合、放置する所有者は行政により代替して是正措置が行われることに

より、土地の管理コストの負担を免れ、受け皿となる行政の負担に転嫁してし

まう、いわゆるモラルハザードが生じないよう、所有者に対する費用償還請求

を確実に行うことができるようにする必要がある。

(4)空き地等の新たな活用を促進するための枠組み

① 空き地等の管理・活用に関するビジョンの策定と官民一体となった体制づくり

34 図80~図82

20

空き地等の問題は、地域によって状況は多様であることから、住民に最も身

近な基礎的自治体である市町村において、各地域で増加する空き地等の問題を

どのように捉え、どのように取り組んでいくかという方針を明らかにし、地域

コミュニティ等と連携しながら取組みを進める必要がある。

このため、まずは、市町村において管内の空き地等の管理・活用の方向を示

すビジョンを策定し、地域コミュニティと住民に周知していく必要がある。

また、このビジョンに沿って、空き地等の管理・活用の取組みを進めるため

には、地域で活動する宅地建物取引業者、まちづくり団体等の幅広い関係者か

らなる官民一体のプラットフォーム(協議会)を設け、情報・ノウハウの共

有、市町村ビジョンを策定・見直しする際の協議、空き地等の活用のためのル

ール(ガイドライン)の策定、空き地等の利活用ニーズの動向に関する情報の

提供等の支援を行う体制を整備していくことが重要である。

なお、プラットフォームやビジョンについては、既存の協議会などとの連携

等を図っていくべきである。

② 地域コミュニティレベル

人口減少社会の中では、全ての空き地等の所有者が自ら適正な管理・利活用

を行うためには限界があるが、直ちには、取引されるニーズがない場合でも、

地域単位で見れば活用するニーズを認識することができる場合がある。

このため、地域の住民が、地域としてのまとまりを活かして、空き地等の発

生状況、所有者の意向、利用の可能性等の情報を収集して、「見える化」した

上で、地域での話合いにより、地域における空き地等の管理・活用の方針と管

理ルールや費用負担を含む空き地等の具体的な管理・活用に関する合意形成を

行い、その下で、個別具体の土地について、土地所有者と管理・活用の担い手

のマッチング、これに即した集約化等を進めて、空き地等の持続的な管理・活

用を確保することが必要である。

この場合、地域の状況に応じて、直ちに商業的利用等を想定するだけでな

く、暫定利用の一つとして、地域の生活環境や資産価値の維持・向上のため、

空き地等をコモンズとして、地域コミュニティ自ら、また NPO 等による利用に

供していくことも、具体的な管理・活用のあり方の一つとして考えられるべき

である。また、あらかじめ、将来の市場での取引や公共的利用等の恒久利用へ

の活用も見越して、暫定利用と集約化の準備を進めるという視点も重要であ

る。

こうした取組みには、行政情報や地域資源の活用に関する専門的・職業的知

見も重要であることから、地域コミュニティでの取組みを上述のプラットフォ

ーム等による行政・民間の連携により支援し、また、地域コミュニティの方か

21

らも積極的に情報発信し、持続可能なものとすることが重要である。

③ 市町村レベル

空き地等は管理・活用に関しては市町村レベルで求められる広範囲な業務を

統括し、市町村における政策推進の中心となる拠点が必要である。こうしたセ

ンター的拠点の運営には、地域における課題やニーズに通じ、最適な空き地等

の利活用に結び付けられる能力が求められることから、市町村でのプラットフ

ォーム(協議会)などの、官民一体となった体制で連携等を図ることが重要で

ある。

空き地等は、所有者の意向等によって散発・離散的に発生することから、現

場での空き地等の発生状況や所有者の意向を把握していくことが空き地等の活

用を促進していく上で重要である。地域コミュニティと並び、行政である市町

村ならでは得られる所有者等に関する情報を適切に収集・管理することによっ

て、情報を提供する土地所有者側に対して安心をもたらしつつ、情報を一元的

に蓄積し、適切な形で「見える化」することが必要と考えられる。これらの情

報を活かして、個人情報の保護の観点に十分留意し、適切な方法・限度で、民

間事業者と協力して、市町村の保有する所有者等に関する情報と民間の持つ空

き地等の利用ニーズに関する情報をマッチングし、また、空き地等の管理を委

託したい土地所有者と空き地等を管理・活用したい者に必要な助言・あっせん

を行うこと等を進め、これらを通じて得られる情報を活用していくことも必要

である。

④ 地域と空き地等の特性に応じた民間・行政及び地域コミュニティの役割分担の

あり方

空き地等に関する様々な情報等を活かして、空き地等の所有者、地域コミュ

ニティ、空き地等を活用したい者との間をコーディネートする機能が極めて重

要であるが、地域ごとの、また、地域内に所在する空き地ごとの特性を踏ま

え、大きく次の三つの役割分担のあり方が想定される。ただし、実際には、地

域の実情に応じてこれら三つのあり方を適宜組み合わせて、地域に合った役割

分担を行っていくことが重要である。

ア.地域で古民家の再生などエリアマネジメントを手がけてきた実績を有する特

定の事業体が、市町村の策定した空き地等の管理・活用ビジョンの下に、空き

地等の所有者等と実際に管理・活用を行う主体への橋渡し役として、または、

22

事業体自らが管理・活用する主体として、機能することが考えられる35。

ただし、事業体が民間事業者である場合には、事業体の経営方針等により、

事業対象となる土地の性格や規模が限定され、利益相反が生じる可能性もあ

る。特に一つの事業体に限る場合には、独占の弊害も生じ得る。事業体の活動

は直接に民主的コントロールを受けないことから、市町村によるチェックが求

められる。また、事業体が NPO 等の非営利組織の場合には、事業の継続性等

の課題について必要に応じ、市町村が支援していくことも必要である。

イ.一方、利用見込みのない空き地等が多く、ア.のような事業体が地域に存在

しない場合には、市町村自らが、プラットフォームを通じて地域の宅地建物取

引業者等と連携しながら、コーディネート機能の中心的役割を担うことが考え

られる36。この場合、市町村職員に経営的視点やエリアマネジメントを行うノ

ウハウが足りないという限界があるのみならず、そもそも市町村に空き地等を

有効に活用しようとする経済的なインセンティブがなく、人材、資金などの確

保も難しいといった面があることに留意する必要がある。

ウ.アとイの中間として、または、これらいずれもの基礎をなすものとして、地

域に根ざした NPO、自治会、団地管理組合等を含む地域コミュニティが中心と

なると考えることもできる37。空き地等の現場を抱え、最も切実にその管理・

活用の必要を感じる住民が主体となって、②で述べた合意形成に則り、時には

アの事業体を活用し、時には市町村に適切な機能発揮を求め、総体としての地

域コミュニティをあるべき姿に持って行くためのコーディネート活動に自ら中

心的な役割を果たすものである。この場合、外部ニーズや専門的知見を取り込

むべく、市町村のプラットフォームに積極的に参加して、情報発信を行ってい

くことが重要である。

(5)暫定利用と集約化の方策の検討38

① 空き地の暫定利用と集約化はともに、新しい利用、特に恒久的な利用の道が

見定まるまでの間、地域における空き地の利用及びこれに伴う適正管理を図る

ための手法の一つである。

地域コミュニティについて見ると、農地については、一筆ごとの土地の権利

移動が規制された下で集約化して利用に結び付け、それを一定期間ごとに見直

35 図83~図88 36 図89 37 図90~図91 38 図92

23

しつつ、持続的に取組みを深めていくという仕組みが設けられている39が、宅地

については、このような仕組みは設けられていない。

このため、農地と比べ、宅地については、所有者等において様々な利活用の

意向が想定されることから、空き地が所在する各地域において、空き地の集約

化を進めることが空き地等の新たな管理・活用のためには避けては通れない道

であるという認識が住民に理解され、市町村のビジョン等とも整合を図った上

で、自分たちの地域コミュニティをあるべき姿に導くためには、どのような集

約化を行うか、また、暫定利用をどう活かしていくかといった方針について合

意形成し、これを規約のような形でまとめて、主体的・持続的に実現する目標

を明らかにしながら進めていくことが考えられる。

② この場合、地域コミュニティの規約は、個別具体の空き地等についての入替

え、借地等の話合いが整ったところから、実行に移されていくことになるが、

そのためには、プラットフォーム等を通じて、土地の利用ニーズにマッチング

するとともに、土地所有者等の間の権利関係の調整(経済面を含む)や土地の

利用者の権利の保護など様々な調整が行われる必要がある。一度、個別具体の

空き地の集約化に関する権利関係等の調整が行われたとしても、それで終わり

ではなく、その調整の実行を地域コミュニティでモニターするなどし、状況に

応じて適宜調整しながら持続的な実行を確保していくことが重要である。

③ 農地利用の集積・集約化に向け、地域(集落)における合意形成をベース

に、市町村が個別具体の農地について、賃貸借等による利用権の設定と所有権

の移転を一括した計画を作成し、公告することにより、これらの権利の設定等

が行われる仕組みが設けられている。

地域コミュニティにおける空き地の集約化についても、農地利用の集積・集

約化の仕組みも参考にしつつ、ただし、農地と宅地の特性の違いに十分気をつ

けて、地域コミュニティが一体となって空き地等の集約化を進めるのを支援す

る方策について検討を深めるべきである。

(6)その他

① 今回の検討会では、空き地等の新たな管理・活用に向けて、国の政策とし

て、どのように問題を捉え、どのように対応していくのが適当であるかという

大きな方向について議論をしてきたところであり、様々な方策の具体的あり方

まで検討したものではない。しかし、空き地等の新たな管理・活用に向けて、

39 図93~図95

24

どのような具体的仕組みを考えるにしても、その実効を確保していくために

は、関係する府省間の緊密な連携が望まれる。

今後、関係府省の担当部局において、様々な方策の具体化に向けた検討が進

められる際には、この点に十分留意することを求めたい。

② 空き地等に関してこれまでにない多様な管理・活用のあり方が展望される中

で、不動産鑑定士が、市場における不動産の最有効使用を前提として把握され

る経済価値の判定結果として価額を表示するこれまでの鑑定評価に加え、公平

・中立な立場を活かして、空き地等の有するコモンズとしての利用等の社会的

な価値の表示や多様な活用事例の紹介など、空き地等の利用に関しどのような

積極的な役割を果たし得るか、現在、不動産鑑定評価制度懇談会40において検討

が進められている不動産鑑定評価制度の見直しとも連携させつつ、研究が進め

られるべきである。

40 図96

25

4-2.中長期的に検討をしていくべき課題

(1)土地所有者の責務の明確化

① 土地基本法41においては、土地の適正利用や、公共の福祉への優先が定められ

ているほか、国及び地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力することが

国民の責務として定められている。

② 一方で、土地所有者による適正な管理や利用の責務が必ずしも明確になってお

らず、土地所有者が空き地等を放置したとしても、その責任があいまいになって

いる状況もある。

③ このため、今後、人口減少社会が進展し、土地利用に対する国民の意識が変化

し、土地に関する国民の関心が減少していく中で、憲法の財産権の保障との関係

に留意しつつ、土地所有者に対する土地の適正利用や管理の責務を明らかにして

いくかどうかを検討していく必要がある。

(2)利用されない土地についての検討

① 民法第 239 条によれば、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する」とされ

ている。仮に、土地の「放棄」が認められた場合には、その土地は国庫に帰属

することになるが、現行では、土地の放棄の手続に関する規定はなく、学説で

も諸説があるものの、事実上、土地の放棄は認められていない。

② 他方、地方都市においては、森林や農地に限らず、宅地においても、地方公

共団体に対し、不動産の寄付を申し出る土地所有者が現れており、また、相続

を契機に、不在地主を中心に、所有者の所在の把握が難しい土地も増加してき

ており、土地が実質的に放棄されるとも呼ぶべき事例が現実のものとなってき

ている。

③ 現在、閣議決定に基づき、国は行政目的で使用する予定のない土地等の寄付42

については、受け入れることはできないとされており、市町村も同様の傾向に

あるが、今後、こうした事例が多く発生し、土地の放置の結果生じる国土の荒

廃が顕在化していくことを考えれば、土地が所有者から顧みられなくなった場

合の当該土地の帰属についても改めて検討していくべきである。

41 図97 42 図98~図99

26

④ その場合、地域において相当期間努力しても利用されない土地の管理主体

(行政・地域・個人)や費用負担に関しても検討が必要である。管理が放棄さ

れる土地を全て国の帰属とするのではなく、地方公共団体への帰属や新たな形

での地域の自主的な管理を選択肢とすることも考えられるが、今後、最終的な

土地の帰属、管理主体、所有者を含めた費用負担のあり方等を統合して行政内

部だけでなく、関係する学会や民間レベルも含め、十分な議論を積み重ねてい

くべきである。

⑤ なお、空き地等のうち、所有者の所在が不明の土地については、今回まとめ

る空き地等の有効利用・適正管理の施策の実施により新たな発生を予防するこ

ととなり、また、地域での具体的な取扱いのための有効な基礎が築かれること

になると考えられるが、現在進められている別途の検討43に委ねることとする。

さらに、相続などを機に所有者が多数化し、このことが、空き地等の利活用に

向けた意思決定を困難にしている側面があり、意思決定の円滑化に向けた取組

みを促すことも重要である。

(3)その他

① 新たな活用のうち地域住民によるコモンズとしての利用としては、コミュニ

ティガーデンなどの緑地や広場がよく引用されるが、必ずしもこれらに限定さ

れる訳ではなく、市場と政府による管理・活用の間を行くものとして、今後、

そのあり方が多様化し深化していくことが期待される。今後の様々なコモンズ

の展開に応じて、空き地等の管理・活用に関しても、さらに検討を深めていく

べきである。

② 米国のいくつかの州において、主に郡(County)レベルで、固定資産税滞納

物件を取得し、これに付着する様々な権利関係をクリーニングし、新たな活用

者に譲り渡す等により税収の維持や地域活性化を図るランドバンク44という仕組

みが設けられている。我が国においても、空き地等の増加により税収などに影

響を受ける自治体の財政を維持するため、我が国の制度体系の中で同様の方策

を設けることが可能か研究されるべきである。

43 図100~図102 44 図103

空き地等の活用に関する検討会とりまとめ 参考資料

2

(参考)本資料に掲載する各アンケート調査の諸元について

1

<各調査における「空き地等」の定義について>① 「空き地等に関する所有者アンケート」における空き地等とは、空き地のほか、

駐車場、畑・菜園、物置・倉庫による利用を含む② 「空き地等に関する自治体アンケート」における空き地等とは、「現状が空き地

及び駐車場、資材置き場として利用している土地」をさす

①空き地等に関する所有者アンケート

目的 :空き地等の所有者の管理や利活用の実態及び意向を把握するため

調査対象:Web調査サイト登録者の中で空き地等の所有者

標本数 :5000

調査期間:平成29年2月3日~7日

②空き地等に関する自治体アンケート

目的 :全国市区町村の空き地等の管理・利活用の実態及び

意向を把握するため

調査対象:全国市区町村(1741市区町村)

標本数 :1221(回収率70.1%)

調査期間:平成28年12月27日~平成29年2月20日

(参考)土地政策の変遷と役割

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4年

平成

5年

平成

6年

平成

7年

平成

8年

平成

9年

平成

10年

平成

11年

平成

12年

平成

13年

平成

14年

平成

15年

平成

16年

平成

17年

平成

18年

平成

19年

平成

20年

平成

21年

平成

22年

平成

23年

平成

24年

平成

25年

平成

26年

平成

27年

土地取引件数 全国住宅地 全国商業地 名目GDP

(背景)バブル経済を背景とした地価高騰

都市・産業機能等の分散、土地取引規制、住宅・宅

地の供給促進等の総合的な施策をとりまとめ

土地の有効利用や土地取引の活性化の促進等の総合

的施策をとりまとめ

(背景)地価の下げ止まり傾向を踏まえた

資産デフレ対策からの脱却、

成長期の量的課題対策からの脱却

○土地政策の再構築(H17)

国土審議会土地政策分科会企画部会

○土地基本法の制定(H元)

(出典)国土交通省「地価公示」、内閣府「国民経済計算」、法務省「法務統計月報」

(昭和50年を100とした場合の指数) (万件)

バブル期地価高騰

地価下落傾向

リーマンショック人口(全国)ピーク国土形成計画策定

地価下落傾向

土地についての公共の福祉優先、適正な土地利用等

の基本理念、国・地方公共団体、事業者及び国民の

責務等を法定

(背景)投機的取引防止や土地神話の打破

○総合土地政策推進要綱(H3閣決)

(背景)不良債権がらみの低・未利用地発生、

地価抑制から土地の有効利用へ転換

○新総合土地政策推進要綱(H9閣決)

適正な土地利用の推進や透明で効率的な土地市場の

形成等施策の方向性をとりまとめ

新たな国土形成計画・社会資本整備重点計画の策定(H27)

本格的な人口減少社会において、適正かつ計画

的な土地利用を促しつつ経済成長を支える土地

政策のあり方を検討

地価下げ止まり傾向

地価下げ止まり傾向

(背景)少子高齢化、グローバル化等の状況

の変化、地価の下落傾向

不動産の利用価値を高めるための政策の方向性をと

りまとめ

○土地政策の中長期ビジョン(H21)

国土審議会土地政策分科会企画部会

2

(参考)国土審議会土地政策分科会企画部会とりまとめの概要「土地政策の新たな方向性2016」~土地・不動産の活用と管理の再構築を目指して~ 平成28年8月4日とりまとめ

土地政策の新たな方向性

新たな方向性を踏まえた施策展開

(施策の例) ITを活用した「空き家・空き地バンク」の標準化・一元化などを通じた効果的なマッチングの実現 行政の保有する土地・不動産情報のオープン化(データの種類・提供方法の拡充)を促進

(施策の例)

所有者の所在の把握が難しい土地の実態把握

活用が困難な土地の管理・帰属のあり方等や、相続登記の更なる促進方策等について本格的に議論

土地政策を取り巻く状況

◎最適活用成長分野の需要に的確に対応し、時期を逸することなく、 必要な調整を経

て資金や土地・不動産を供給

4.放棄宅地化の抑制

(施策の例)

社会資本のストック効果を高める土地活用等を進めるための関係者の調整が円滑に開始できる場づくり

リートによる成長分野の不動産への投資促進のための支援措置の継続・拡充

◎創造的活用活用の選択肢を増やし、隠れた需要を顕在化

◎放棄宅地化の抑制周辺の土地利用への阻害要因等とならないよう、活用が難しい土地を継続的に管理

◎空き家・空き地等の増加(世帯の所有する空き地も10年で1.4倍)

◎宅地の所有・利用意欲の減退(宅地も放棄される時代に)

◎観光、物流、ヘルスケア等新しい成長分野の土地需要の拡大

◎生産性や社会コストを意識した戦略づくり(コンパクト+ネットワーク、「賢く投資

・賢く使う」インフラマネジメント戦略)

◎リート市場の拡大(2020年頃までに資産規模を倍増)

◎ビックデータ、クラウド等を活用した不動産ビジネスの進展

生産性向上や経済成長につながる動き

1.最適活用の実現

3.(面的な規制・誘導だけでなく) 個々の土地に着目した最適な活用・管理(宅地ストックマネジメント)を実現

(施策の例) 行政、住民、宅建業者等の協議会等を通じ、空き

家・空き地を寄付等により地域全体や市場で活用する取組を支援

広く豊かな土地利用の推進(マッチングの仕組みの検討、除却すべき空き家の除却の促進等)

2.創造的活用の実現

・市場での取引・収益性・住宅や宅地の利用 等

・農や緑、空地等広く豊かな土地利用・住宅以外の多様な用途での利用 等

本格的な人口減少に伴う動き

3.最適活用・創造的活用を支える情報基盤の充実

1.国土利用や社会資本整備の戦略に沿って、成長分野の土地需要を確実にとらえ、経済成長を支える土地利用を実現

2.これまでに蓄積された宅地ストックをうまく使い、国民生活の質の向上に資するような豊かな土地利用を実現

3

① オープンデータ化等を通じた不動産関連サービスの充実

• 行政の保有する土地・不動産情報のオープン化(データの種類・提供方法の拡充)を促進

② ITを活用した「空き家・空き地バンク」の標準化・一元化

③ 効果的・効率的な地籍整備の推進

• 整備効果の高い地籍調査の推進

• ITを活用した効率的な地籍調査の推進

④ 土地・不動産活用のための鑑定評価の充実

• ホテル等の不動産について、不動産と一体となった動産も考慮した評価を充実

• 農地等の評価を充実

⑤ 災害リスク情報の充実・提供

(参考)新たな方向性を踏まえた施策展開

① 新たな管理システムのあり方の検討

• 所有者の所在の把握が難しい土地の実態把握

• 活用が困難な土地の管理・帰属のあり方、災害リスクの高い地域等の土地利用のあり方について本格的な議論を進める

② 所有者情報の確実な把握のための環境整備

• 相続登記の更なる促進方策の検討等、所有者情報の確実な把握のための環境整備に向けて本格的な議論を進める

① 成長分野の土地需要を踏まえた土地・不動産活用の円滑化の重点的支援

• 地方公共団体の方針づくり、適地のリストアップ、官民対話等の支援、関係者の調整が円滑に開始できる場づくり

② 不動産投資市場の更なる成長に向けた環境整備

• リートによる投資促進のための支援措置の継続・拡充、不動産特定共同事業の充実

• 自治体情報の一元的提供と専門家派遣等によるPREの民間活用促進 等

③ 不動産流通の活性化・不動産市場の国際化への対応

• 投資や円滑な買換を通じた不動産ストックのフロー化

• 外国人との取引応対マニュアル整備 等

① 空き家・空き地等の新たな流通・活用スキームの構築

• 行政、住民、宅建業者等の協議会等を通じ、空き家・空き地等を寄付等に

より地域全体や市場で活用する取組を促進

• 空き家・空き地バンク登録物件を集約化し、全国に情報発信可能なシステ

ムの整備を検討

• 市町村が空き地等の活用を主体的・計画的に促進するため、空き地

等の活用等に当たって所有者と行政・民間事業者等の間に介在する

組織等の制度的枠組みの検討

② 志ある資金等の活用による空き家・ 空き店舗の再生・活用

• 地方の小規模事業での不動産特定共同事業の活用が推進される枠組みの整備

• クラウドファンディングを通じて「志ある資金」等を活用し、空き家・空き店舗を再生・活用する取組の推進

③ 広く豊かな土地利用の推進

• 所有者と第三者をマッチングさせる新たな仕組みの検討

• 除却すべき空き家の除却の促進

1.最適活用の実現

4.放棄宅地化の抑制

2.創造的活用の実現

3.最適活用・創造的活用を支える情報基盤の充実

4

(図1)空き地の概念について (※農林地は対象外)

恒久度合

日常的な利用実態あり→

利用形跡なし→ 空き地

管理放置 現状維持 活用

所有者不明土地

管理度合

(出典)日本建築学会 空地デザイン小委員会「人口減少時代における空地デザインの展望」を参考に国土交通省作成

・資材置き場

・コンテナハウス・緑地

・維持管理の行動なし・空き地に無関心・租税滞納・費用負担一切なし

・空地の維持が主目的・消極的な維持管理・最小限のルーチン作業のみ・納税・債務の適正履行・空地への追加投資なし

・空地の活用が主目的・積極的な維持管理と活用促進・ルーチン作業、補修等の徹底・納税・債務の適正履行・空地への追加投資あり

空き地 : 現状に着目して建物等の定着物がない宅地(日常的な利用がされているものを除く)空き地等 : 空き地、空き家(近い将来、除却が見込まれるものに限る)の敷地

・防災空地

・屋台村

日常的な利用実態のある土地(建築的利用の需要あり)

・広場

・駐車場

5

高い

低い

定 義

未利用地

低利用地

※ 第2回で提出した空き地に関するアンケートでは、空き地等に駐車場等を含む

(図2)本格的な人口減少社会の到来

○ 国立社会保障・人口問題研究所の中位推計(出生率1.35程度で推移)では、 総人口は、2050年では1億人、2100年には5,000万人を割り込むまで減少。日本の総人口は、今後100年間でおよそ100年前の水準に戻っていく。

○ 今後20年程度で人口置換水準(2.07)まで出生率が回復した場合には、人口減少のペースは緩やかになり、総人口は2110年頃から9,500万人程度で安定的に推移する。

(出典)2010年以前は、総務省「国税調査」、総務省「平成22年国税調査人口等基本集計」、国土庁「日本における人口分布の長期時系列分析」(1974年)、2015年以降は、国土交通省「日本の将来推計人口」(国立社会保障・人口問題研究所・平成24年1月推計)

6

(図3)世帯数の将来推計

増加

減少

(出典)平成17年~平成22年推移:総務省「国勢調査」平成22年~平成37年推移:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」(平成26年4月推計)

○ 世帯数は、全国では平成27年頃にピークを迎える見込み。○ 三大都市圏では、平成27年頃に半数程度の県で世帯数がピークを迎えるが、東京都等の一部の都府県ではそれ

以降も増加を続ける見込み。

平成17年

平成22年

平成22年

平成27年

平成32年

平成37年

平成27年

平成32年

7

0 50 100

人口(%)

30万人~ 10~30万人 5~10万人 1~5万人 ~1万人

8

(図4) 2050年の我が国の国土の姿

-15%

-21%-25%

-28%

-37%

-48%-50%

-40%

-30%

-20%

-10%

0%

市区町村の人口規模別の人口減少率

19% 44% 35% 2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

人口増減割合別の地点割合

増加

【2010年を100とした場合の2050年の人口増減状況】

6割以上(63%)の地点で現在の半分以下に人口が減少

0%以上50%未満減少

凡例:2010年比での割合

増加

50%以上減少(無居住化含む)

50%以上減少

0%以上50%未満減少

人口規模別面積・人口割合

人口減少率

全国平均の減少率約24%

居住地域の2割が無居住化

無居住化

○ 2050年の我が国全体の姿を≪1km2毎の地点≫に区切ってみると、人口が半分以下になる地点が現在の居住地域の6割以上に(※現在の居住地域は国土の約5割)。

○ 人口規模が小さい市区町村ほど、人口減少率が高くなる傾向。特に、現在人口1万人未満の市区町村では人口がおよそ半分に減少。

市区町村の人口規模

(出典)総務省「国勢調査報告」、国土交通省国土政策局推計値を基に作成

(図5)空き家ストックの増加

○ 空き家数は大幅に増加し約820万戸。特に、別荘、賃貸用・売却用住宅等を除いた「その他の住宅」の空き家が急増。○ 「その他の住宅(約320万戸)」のうち利活用が有望なストック数は、耐震性、腐朽・破損、立地の状況を踏まえて推計

をしたところ、全国で約48万戸(社会資本整備審議会住宅宅地分科会)。○ 利活用が望めない残りの約272万戸の空き家が除却された場合、空き地化する可能性が高く、有効活用や適正な管

理が課題。

藤井氏記入

利活用が有望でない空き家の増加による空き地化の懸念

(出典)第42回社会資本整備審議会住宅宅地分科会資料3を基に事務局作成

[空き家の種類]二次的住宅:別荘及びその他(たまに寝泊まりする人がいる住宅)賃貸用又は売却用の住宅:新築・中古を問わず,賃貸又は売却のために空き家になっている住宅その他の住宅:上記の他に人が住んでいない住宅で,例えば,転勤・入院などのため居住世帯が

長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など

種類別空き家数の推移

(出典)総務省「住宅・土地統計調査」

総数約820万戸

その他の住宅約320万戸

9

(図6)空き家の将来予測

○ 民間シンクタンクは新設住宅着工戸数が減少しても、それを上回るスピードで世帯数が減少することを予測している。○ 民間シンクタンクは既存住宅の除却や、住宅用途以外への有効活用が進まなければ、2033年の総住宅数は約7,100

万戸へと増大し、空き家数は約2,150万戸、空き家率は30.2%に上昇すると予測。

2,679 3,302 3,940 4,476 5,764 6,593 7,568 8,196

10,759

13,940

17,573

21,466

35,451

38,607

42,007

45,879

50,246

53,891

57,586

60,629

63,653 66,370

68,844 71,067

7.6%8.6%

9.4% 9.8%

11.5%12.2%

13.1% 13.5%

16.9%

21.0%

25.5%

30.2%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

1978年 1983年 1988年 1993年 1998年 2003年 2008年 2013年 2018年 2023年 2028年 2033年

空き家率

総住宅数・空き家数(千戸)

空き家数(千戸、左目盛) 総住宅数(千戸、左目盛) 空き家率(右目盛)

→ 野村総研による予測値

(出典)実績値は総務省「住宅・土地統計調査」予測値は株式会社 野村総合研究所

10

(図7)法人・世帯が所有する低・未利用地の推移

(屋外駐車場)

(資材置場)

(空き地)

(利活用が有望でない

空き家の敷地)

(H15)

世帯

法人

125㎢

87㎢

279㎢

629㎢151㎢

507㎢681㎢

(屋外駐車場)

(資材置場)

(空き地)

(H25)

193㎢ 135㎢

317㎢

573㎢

830㎢

981㎢

116㎢

(出典)国土交通省「土地基本調査」(注1) 本調査における「空き地」には原野、荒れ地、池沼などを含む(注2)「戸建ての平均敷地面積」と「空き家のうち利活用が有望でないその他の住宅(※3)の戸数」の積(注3) 空き家のうち「その他住宅」と「駅から1km以内で、簡易な手入れにより活用可能なその他住宅」の戸数の差。ただし、H15年度は

後者の戸数を算出していないため、後者の数値について「H25の数値」を「その他住宅(H15)/ その他住宅(H25)」で按分して算出

521

54

844

15

件数(万件) 平均土地面積(㎡)

11

771

2,237

7

641

5,174

106

180

309

12

66

477

20

960

15

799

6

2,289

151

648

13

4,405

272

305

(利活用が有望でない

空き家の敷地)

:面積が減少した区分

:面積が増加した区分

○ 世帯が所有する低・未利用地については、増加の傾向にあり、特に「空き地」と「利活用が有望でない空き家の敷地」の増加が著しい。

○ 一方、法人の所有する低・未利用地については、「屋外駐車場」を除き、減少傾向にある。

11

注1

注2

注1

注2

(図8)世帯が所有する空き地の増加について

◯ 世帯の所有する空き地は10年間で300k㎡増加。空き地の評価額は3兆円。◯ 世帯の所有する空き地について、平成15年と平成25年の状況を比較すると、相続・贈与で取得した空き地

が大きく増加しており、平成3年以降に取得された空き地の増加が主な増加要因となっている。

279 317

87 116

681

981

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

平成15年 平成25年

屋外駐車場 資材置き場 利用していない(空き地、原野など)

世帯の所有する土地利用の変化

(参考) 世帯の所有する宅地の推移

(k㎡)

(k㎡)

世帯の所有する空き地の評価額は3兆950億円

低・未利用地の割合低・未利用地の割合

10,112 11,370

681 981

6.7% 8.6%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

H15 H25

宅地などの面積 空き地の面積 空き地の割合

世帯の所有する空き地の取得方法

世帯の所有する空き地の取得時期

(k㎡)

平成25年平成15年

取得方法平成15年時面積

平成25年時面積

増加率

国・都道府県・市区町村から購入

25 22 -12%

会社・都市再生機構・公社などの法人から購入

69 48 -31%

個人から購入 160 172 8%

相続・贈与で取得 394 701 78%

その他 24 29 20%

不詳 9 10 1%

総数 681 981 44%

土地取得時期平成15年時面積

平成25年時面積

面積の増減

昭和25年以前 127 133 6

昭和26~45年 110 100 -11

昭和46~55年 121 136 14

昭和56~平成2年 137 139 2

平成3~12年184※

154182

平成13~22年 211

平成23~25年 0 97 97

不詳 1 10 9

総数 681 981 300

(※)土地取得時期は「平成3~15年」(出典)国土交通省 「土地基本調査」(注1)本調査における「空き地」には原野、荒れ地、池沼などを含む 12

空き地

(k㎡)

137.7

68.7

100.0

94.2

277.2

0

50

100

150

200

250

300

平成5年 平成10年 平成15年 平成20年 平成25年

総数 40歳未満 40~64歳 65歳以上

(平成5年=100)

175

298 280 294

486

537 506

398 338

492

24.6

37.1

41.1

46.5

49.5

10

20

30

40

50

200

400

600

800

1,000

1,200

平成5年

(55.8歳)

平成10年

(59.4歳)

平成15年

(61.7歳)

平成20年

(63.7歳)

平成25年

(64.2歳)

65歳以上 65歳未満 年齢不詳 65歳以上の割合

(%)(㎢)

712

804

681632

981

平均

年齢

・右目盛り:空き地の所有面積

・左目盛り:65歳以上の割合

○ 世帯が所有する空き地面積を年齢別にみると、65歳以上の割合が年々増加し、平成5年は25%だったが、平成25年で50%と約半数を占める(図1)

○ これに伴い、空き地を所有する世帯の平均年齢も年々上昇し、平成5年は55.8歳だったが、平成25年では64.2歳(図1)○ また、平成5年の空き地の所有面積を100とすると、65歳以上の面積が急速に増加(2.8倍に増加)(図2)○ このように、年齢別のいずれの側面からみても、空き地を所有する世帯の高齢化が進んでいることを示唆

(図9)世帯の空き地面積の推移①~年齢別

(出典)土地基本調査(注1)年齢は、家計を主に支える者の年齢(注2)平均年齢は、所有面積当たりの年齢

(出典)土地基本調査(注1)数値は、平成5年の年齢別所有面積を100とした場合の

指数

図2 世帯の年齢別空き地の所有面積の推移(指数)図1 世帯の年齢別空き地の所有面積の推移、平均年齢

13

137.7

100.0

231.4

197.3

183.3

113.8

56.0

0

50

100

150

200

250 総数

1人

2人

3人

4人

5人以上

(平成5年=100)

137.7

202.8

100.0

333.0

243.4

157.7

109.8

93.1

71.8

0

50

100

150

200

250

300

350 総数

200万円未満

200~300

300~400

400~500

500~700

700~1,000

1,000万円以上

(平成5年=100)

137.7

94.0

122.2

100.0

332.7

0

50

100

150

200

250

300

350総数

自営業主

雇用者

無職

(平成5年=100)

(図10)世帯の空き地面積の推移②~世帯人員、年間収入、従業別

(出典)土地基本調査(注1)数値は、平成5年の年齢別所有面積を100とした場合の指数(注2)従業別は、家計を主に支える者の従業上の地位

図3 世帯の世帯人員別空き地の所有面積 図4 世帯の年間収入別空き地の所有面積 図5 世帯の従業別空き地の所有面積の推移(指数) の推移(指数) の推移(指数)

○ 平成5年の空き地の所有面積を100とした指数について各属性をみると、世帯人員(図3)や年間収入が少なく(図4)、無職世帯(図5)において、空き地所有面積の増加が著しい傾向

○ このように、増加が顕著な空き地所有世帯の属性的特徴は、高齢化、低世帯人員、低収入、無職

14

(図11)世帯が所有する空き地等面積割合の推移~地域別

(出典) 土地基本調査(注 1) 空き地には、原野も含む。(注 2) 各面積(空き地・駐車場・資材置場)割合は、世帯が所有する宅地面積に占める割合(注 3) 三大都市圏(都市) : 東京23区、名古屋市、大阪市

三大都市圏(郊外) : 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、京都府、奈良県、兵庫県内の市町(三大都市圏(都市)は除く)

地方 : 三大都市圏(都市)、三大都市圏(郊外)、仙台市、広島市、福岡市以外の市町※ 北海道内の市町は、原野の面積が大きいことが想定されるため除外している。

図1 世帯の都市区分別空き地の所有面積割合の推移

図2 世帯の都市区分別駐車場の所有面積割合の推移

図3 世帯の都市区分別資材置場の所有面積割合の推移

1.6% 1.4%

4.3%

5.8%

3.7%4.0%

7.7%

10.2%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

H15 H25

三大都市圏(都市) 三大都市圏(郊外) 仙台市、広島市、福岡市 地方

1.6% 1.4%

4.3%

5.8%

3.7%4.0%

7.1%

9.4%

0%

1%

2%

3%

4%

5%

6%

7%

8%

9%

10%

H15 H25

4.1% 4.1%

3.8% 3.7%

2.8%

2.2%2.2%

2.4%

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

3.5%

4.0%

4.5%

H15 H25

0.16%0.13%

0.63%

0.86%

0.49%0.53%

0.99%

1.10%

0.0%

0.2%

0.4%

0.6%

0.8%

1.0%

1.2%

H15 H25

○ 世帯が所有する空き地の所有面積割合を地域別にみると、都市圏に比べて地方圏が高い傾向○ また、平成15年から推移をみると、三大都市圏(都市)では空き地面積の割合が低下している一方で、

それ以外の地域では上昇傾向

15

○ 大都市圏は地方圏に比べて「その他の住宅」の空き家率は低いが、 「その他の住宅」の空き家戸数が多い。○ 世帯が所有する空き地率は大都市に比べて地方圏の方が高い。

世帯の所有する宅地等に占める空き地面積の割合(平成25年)

15%以上

10~15%

5~10%

5%未満

(出典)国土交通省「土地基本調査」(注1)本調査における「空き地」には原野、荒れ地、池沼などを含む

(図12)都道府県別に見た空き家・空き地の状況

その他の空き家の割合

その他の空き家数

10万戸

(出典)総務省「住宅・土地統計調査」(注1) 「その他の住宅」の空き家率= 「その他の住宅」の空き家戸数 / 持家ストック(注2)持家ストック=居住世帯あり持家+売却用空き家+二次的空き家

+ 「その他の住宅」の空き家

「その他の住宅」の空き家率の割合(平成25年)

16

(図13)空き地の状況(世帯)

世帯の所有する宅地等に占める空き地面積の割合(平成25年) 世帯の所有する宅地等に占める空き地面積の割合の変化(平成15年→25年)

○ 大都市圏に比べ、地方圏の世帯の所有する宅地等に占める空き地の割合が高く、増加傾向。規模としては100~300㎡が最多。

2%10%

36%31%

8%3% 1% 0% 0%

9%

0%10%20%30%40%

30

㎡未満

30

~10

0

㎡未満

10

0

~30

0

㎡未満

30

0

~1

,00

0㎡未

1,0

00

3,0

00

㎡未

3,0

00

10

,00

0

未満

10

,00

0

30

,00

0

未満

30

,00

0

10

0,0

00

未満

10

0,0

00

以上

不詳

空き地の規模分布(全国)

0% 5% 10% 15% 20%

全国

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

-4% -2% 0% 2% 4% 6% 8%

全国

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

(出典)国土交通省「土地基本調査」(注1)本調査における「空き地」には

原野、荒れ地、池沼などを含む

17

(図14)空き地の状況(世帯・都心から50km圏内)

○ 世帯の所有する宅地(現住居の敷地以外に限る)に占める空き地の件数の割合は、都心から50km圏内でも郊外部で高くなっている。

市町村別の世帯の所有する宅地に占める空き地件数率(単位:%)(世帯)(平成25年)

単位:%、()は分布数

~ 5 (87)

5 ~ 9 (57)

10 ~ 14 (46)

15 ~ 19 (32)

20 ~ 24 (30)

25 ~ 29 (28)

30 ~ 34 (23)

35 ~ 39 (13)

40 ~ 44 (19)

45 ~ 49 (3)

50 ~ 54 (7)

55 ~ 59 (1)

60 ~ 64 (3)

65 ~ 69 (1)

70 ~ 74 (0)

75 ~ 79 (0)

80 ~ 84 (1)

85 ~ 89 (0)

90 ~ 94 (0)

95 ~ (4) (出典)国土交通省「土地基本調査」(注1)本調査における「空き地」には原野、荒れ地、池沼などを含む

18

(図15)地方都市の中心市街地における空き地の発生状況

地区の概要

・北関東の地方都市中心部から500m程離れた地区であり、

住宅を主体とする市街地に工場・倉庫等が混在

・地区の大部分で土地区画整理事業がなされている

・用途地域は、第一種住居地域(200%/60%)

・いわゆる企業城下町であるが、産業の衰退に伴い、市全体

で人口・世帯が減少

(出典)国土交通政策研究所「空地等の発生消滅の要因把握と新たな利活用方策に関する調査研究」

平成4年 平成14年 平成24年

空き地屋外駐車場公園・広場空き家

空き地屋外駐車場その他空地公園・広場空き家

空き地屋外駐車場その他空地公園・広場空き家

○ 当地区の平成4年のネットの空地率(公園・広場を除く)は10.5%だったが、平成24年には18.2%となり、この20年間で空き地が7.7 ポイント増加。

○ 当地区では、工場・倉庫等の撤退により大規模な空き地が発生しているが、同時に戸建て住宅から駐車場や空き地への変化も多く見られる。

20年間における空き地等の分布の変化

過去20 年間(平成4年~平成24 年)における

宅地と空地等の変化(宅地のままは除く)

ネット空地率10.5% ネット空地率18.2%

19

(図16)空き地の発生の現状

増加している457

37.4%

ほとんど変わらな

い553

45.3%

減少している108

8.8%

無回答103

8.4%

最近10 年間における空き地等の変化

増加する680

55.7%

ほとんど変わらな

い391

32.0%

減少する74

6.1%

無回答76

6.2%

現在と比較した今後10 年間の空き地等の変化

発生のみが進んで

いる56

4.6%発生が多く、解消が

少ない438

35.9%

発生と解消が同程

度で進んでいる 289

23.7%

発生が少なく、解消

が多い98

8.0%

解消のみが進んで

いる13

1.1%

発生も解消も見られ

ない210

17.2%

無回答117

9.6%

最近10 年間の空き地等が多い場所における

発生・解消の進み方

小規模(住宅宅地の区

画程度)402

47.5%

中規模(小規模と大規

模の中間程度の規模)90 10.6%

大規模(大規模工場・商

業施設の跡地等)5

0.6%

特定の規模が多いとい

うことはない232

27.4%

その他・無回答 118

13.9%

発生が多い空き地等の規模

○ 最近10年間で4割近くの自治体が「空き地等が増加している」と回答している。一方、今後10年間では半数以上の自治体が現在よりも「空き地等が増加する」と 回答している。

○ 空き地等が多い場所での発生や解消の進み方については、 36%の自治体が「発生が多く、解消が少ない」と回答している。また、空き地等の規模については、約半数の自治体が小規模(住宅宅地の区画程度)のものが多いと回答している。

出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点) 20

(図17)人口減少と空き地面積割合の増加との相関関係

○ 人口減少と空き地面積割合の増加には一定程度の相関関係がみられる。

(出典)国土交通省「土地基本調査」、総務省「人口推計」より国土交通省作成(注1)土地基本調査における「空き地」には原野、荒れ地、池沼などを含む

平成15年から25年にかけての総人口の増減率(%)

平成15年から25年にかけての世帯の所有する宅地等に占める空き地面積割合の増加率(%)

北海道

青森県

岩手県

宮城県秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県和歌山県 鳥取県

島根県

岡山県広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

R² = 0.2079

-6%

-4%

-2%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

-12% -10% -8% -6% -4% -2% 0% 2% 4% 6% 8% 10%大阪府

21

22

(図18)所有者の所在の把握が難しい土地の存在

○不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない又は判明しても連絡がつかない土地をいう。(例えば登記名義人が死亡しており、その相続人の特定を直ちに行うことが出来ない土地や所有者を特定できても、転居先が追えないなどの理由によりその所在が不明である土地など)

○所有者の所在の把握が難しい土地は、私有地の約2割(筆単位)が該当すると考えられ、相続登記等が行われないと、今後も増加する見込み。

最後に所有権に関する登記がされた原因年別の登記簿の割合

全体 都市部 宅地 農地 林地

登記簿上で所在確認 84.6 93.1 86.9 84.2 80.3

登記簿上で所在が確認できない(a・b合計) 15.4 6.9 13.0 15.8 19.6

(a 追跡調査で所在確認) 15.1 6.7 13.0 15.6 19.0

(b 追跡調査によっても所在不明) 0.31 0.13 0.03 0.14 0.63

出典:国土審議会土地政策分科会企画部会資料(調査対象筆数625,735筆、平成28年3月末調べ)注)1調査地区には、様々な地帯(DID、宅地、農地、林地)が含まれるため、地区内で最も割合の多い地帯で区分

地籍調査における土地所有者等に関する調査

注)国・都道府県・市町村名義の土地の除外、同一所有者の筆数の制限など一定の条件の下、集落毎に田・畑5~6割、山林・原野・雑種地3~4割、宅地1割程度の割合で、100サンプルずつ(4集落分)の登記簿を取得し分析

出典:平成26年度所有者不明化による国土の利用困難化に関する基礎的調査報告書(平成27年3月国土交通省国土政策局)を改変

(%)

23

(図19)所有者の所在の把握が難しい土地による問題

様々な分野で喫緊の課題

(個別分野だけの問題ではない)

市街地の空き地・空き店舗

の活用

0 50 100 150

コスト要因

手法要因

〇地権者要因(土地の権利関係の複雑化、土地所有者の不在・不明等)により、中心市街地空き地・空き店舗の利活用が進まない。

(出典)日本商工会議所「中心市街地における空き地・空き店舗の利活用促進に関する実態調査結果(平成27年6月)」(n=219、複数回答)

【中心市街地の空き地・空き店舗の利活用が進まない理由】

公共事業での用地取得

〇道路工事の予定地に明治時代に47人の共有地として登記された原野があり、2008年に交渉を始めたものの、相続権者が約500人に達しており、解決の目処が立たない。

(出典)日本経済新聞(平成28年4月10日朝刊)

東日本大震災の復興事業等での用地取得

〇集団移転の予定地の用地を取得しようとしても、相続登記がされていないなどにより、所有者の所在の把握が難しい土地が続出し、復興事業の壁となった。

(出典)読売新聞(平成28年3月10日朝刊)

農地集約 〇農地の集約では、所有者と賃貸借契約等を締結する必要があるが、現在の所有者が不明であると推進できない。 (出典)日本経済新聞(平成28年5月19日朝刊)

○所有者の所在の把握が難しい土地による問題は、東日本大震災の復興事業や中間管理貯蔵施設の用地取得で注目されたことが記憶に新しいが、そのほか、公共事業用地の取得、市街地の空き地・空き店舗の活用、農地・森林の活用等様々な分野で喫緊の課題となっている。

○このような既に顕在化した問題だけではなく、将来の大規模な自然災害に対応する際にも大きな課題になり得ることが懸念されるなど、国土政策上看過できない問題である。

(図20)所有者の所在の把握が難しい土地の概況

「所有者不明化」による問題発生の有無

回答のあった市町村数:888

486

253

238

134

34

25

11

0 100 200 300 400 500 600

固定資産税の徴収が難しくなった

老朽化した空き家の危険家屋化

土地が放置され、荒廃が進んだ

道路開設、災害復旧等、公共事業の実施

に支障をきたした

産業廃棄物などが不法投棄された

不法侵入・滞在など治安上の問題につな

がった

その他

「所有者不明化」による具体的な問題点所有者不明化に伴う問題があると回答した557市町村から回答

※重複回答可

○東京財団が基礎自治体に実施したアンケートによると、「所有者不明化」による問題が63%の自治体で発生しており、年間20件以上問題が発生している自治体もある。

○ 「所有者不明化」による問題は「固定資産税の徴収が難しくなった」、「老朽化した空き家の危険家屋化」、「土地が放置され、荒廃が進んだ」などが多い。

「所有者不明化」による問題発生件数(年間)

所有者不明化に伴う問題があると回答した557市町村から回答

36%

3%

61%

数件~10数件

20件以上

わからない(出典)東京財団「土地の「所有者不明化」~自治体アンケートが示す問題の実態~」(平成28年3月)

63%

33%

4%

あり

なし

無回答

24

(図21)所有者不明の空き地等の現状と対策について

○ 所有者不明の空き地等については、約3割の自治体が「存在する」と回答している。○ 所有者不明の空き地等に対し、何らかの対策を行っている自治体が、43あるが、その多くは戸籍や住民票等による

追跡調査を実施している。

はい43

12.5%

いいえ297

86.1%

無回答5

1.4%

自治体における所有者不明の空き地等に対する対策の有無

25

ある345

28.3%

ない88

7.2%

調べていないのでわからない734

60.1%

無回答

54 4.4%

自治体における所有者不明の空き地等の存在有無

出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)

(図22)土地の寄附を受入れることについての地方自治体の動向

○ 市町村は、公的利用が見込めない場合のほか、権利関係に問題のある土地や維持管理が負担となる場合については土地の寄附を受け取らない傾向がある。

土地の寄附の申し出を受けた市町村及び寄附を受けた市町村の件数別の数と割合(年間)

○土地の寄附を受け取る場合・公的利用が見込める場合(365自治体中343自治体、94%)

※ほかに、「自治体がすでに所有する土地の隣接地であり、 取得することで有利になる場合」、「更地で、除雪などで活用できる場合」、 「文化的価値又は公共性があると判断された物件」といった回答も。

○土地の寄附を受け取らない場合・公的利用が見込めない場合(266自治体、63%)・個人の都合による場合(39自治体、9%)・権利関係に問題がある場合(37自治体、9%)・維持管理が負担となる場合(34自治体、8%)・原則として寄附を受け取らない(50自治体、12%)

(出典)土地の「所有者不明化」~自治体アンケートが示す問題の実態~(東京財団)

件数 0件 1~5件 6~10件 11~20件 21件~

寄附の申し出を受けた市町村の件数別の

数と割合

38 304 86 42 25

8% 61% 17% 8% 5%

実際に寄附を受けた市町村数と件数別の

数と割合

220 125 27 14 -

56% 34% 7% 4% -

年間1~5件の申し出を受ける市町村が最も多く、全く受け取らない市町村が最も多い

26

(図23)空き地の状況(法人)

0% 5% 10% 15% 20%

全国

北海道

青 森 県

岩 手 県

宮 城 県

秋 田 県

山 形 県

福 島 県

茨 城 県

栃 木 県

群 馬 県

埼 玉 県

千 葉 県

東 京 都

神 奈 川 県

新 潟 県

富 山 県

石 川 県

福 井 県

山 梨 県

長 野 県

岐 阜 県

静 岡 県

愛 知 県

三 重 県

滋 賀 県

京 都 府

大 阪 府

兵 庫 県

奈 良 県

和 歌 山 県

鳥 取 県

島 根 県

岡 山 県

広 島 県

山 口 県

徳 島 県

香 川 県

愛 媛 県

高 知 県

福 岡 県

佐 賀 県

長 崎 県

熊 本 県

大 分 県

宮 崎 県

鹿 児 島 県

沖 縄 県

法人の所有する宅地等に占める空き地面積の割合 (平成25年)法人の所有する宅地等に占める空き地面積の割合の変化

(平成15年→25年)

○ 世帯と異なり、法人の所有する空き地は減少傾向。規模としては300~1,000㎡が最多

-20.0% -15.0% -10.0% -5.0% 0.0% 5.0%

全国

北海道

青 森 県

岩 手 県

宮 城 県

秋 田 県

山 形 県

福 島 県

茨 城 県

栃 木 県

群 馬 県

埼 玉 県

千 葉 県

東 京 都

神 奈 川 県

新 潟 県

富 山 県

石 川 県

福 井 県

山 梨 県

長 野 県

岐 阜 県

静 岡 県

愛 知 県

三 重 県

滋 賀 県

京 都 府

大 阪 府

兵 庫 県

奈 良 県

和 歌 山 県

鳥 取 県

島 根 県

岡 山 県

広 島 県

山 口 県

徳 島 県

香 川 県

愛 媛 県

高 知 県

福 岡 県

佐 賀 県

長 崎 県

熊 本 県

大 分 県

宮 崎 県

鹿 児 島 県

沖 縄 県

4%7%

23%

30%

19%

10%4% 2% 1%

0%5%

10%15%20%25%30%35%

30

㎡未満

30

~10

0

㎡未

10

0

~30

0㎡

未満

30

0

~1,0

00

㎡未満

1,0

00

3,0

00

㎡未満

3,0

00

10

,00

0

㎡未

10

,00

0

30

,00

0

㎡未

30

,00

0

10

0,0

00

㎡未

10

0,0

00

㎡以

空き地の規模分布(全国)

(出典)国土交通省「土地基本調査」(注1)本調査における「空き地」には

原野、荒れ地、池沼などを含む

27

(図24)所有する空き地等の現況及び空き地等のまま保有する理由

○ 空き地等の利用形態として、自己・賃貸とも物置、駐車場等何らかの利用をしているものは5割強を占める一方、特に利用されていないものは4割強を占める。

○ 空き地等になっている理由について、過半(5割強)が「空き地等を相続し、そのままになっている」と回答。具体的な土地の利用を想定して積極的に取得したものは、これに次いでいる(15%)。

○ 比較的小規模なものが(200㎡未満が5割強、500㎡未満が8割弱)が大半である。

空き地等を相

続し、そのまま

になっている54%

住宅等を建築するために土地を購入し

たが、まだ建築していない 15%

建っていた建物を除却し、そ

のままになっている 13%

貸しているが、借主が空き

地等のままにしている 7%

土地区画整理事業が行

われているから 5%その他

6%

空き地等のままになっている理由

出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)28

自らが物置・倉庫として利用,

12.0 , 12%

自らが駐車場として利用,

9.4 , 9%

自らが畑・菜園等とし

て利用, 12.5 , 13%

物置・倉庫として貸している,

4.3 , 4%駐車場として貸して

いる, 9.2 , 9%

畑・菜園等として貸している,

7.1 , 7%

特に利用していない, 44.0 ,

44%

その他, 1.5 , 2%

所有している空き地等の現状

100㎡未満,

26.2 , 26%

100㎡~200㎡未満,

28.4 , 28%

200㎡~500㎡未満,

24.2 , 24%

500㎡~1,000㎡未満,

10.6 , 11%

1,000㎡~2,000㎡未満,

5.7 , 6%

2,000㎡以上,

5.0 , 5%

所有する空き地等の規模

0

10000

20000

30000

40000

50000

H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

住宅地 工業用地

公共用地 レジャー施設用地

その他の都市的土地利用

ha 都市的土地利用の内訳

農林地から都市的土地利用への転換面積の推移及び転換後の用途内訳

(出典)土地白書

○ 経済活動、産業構造の変化や少子高齢化・人口減少等の社会構造の変化により、空き地は増加傾向にある。○ 空き地は個々の所有者の意向によって散発・離散的に発生し、多くの場合まとまりなく存在している。

平成5年平成25年

空き地屋外駐車場その他空地空き家

(出典)国土交通政策研究所「空地等の発生消滅の要因把握と新たな利活用方策に関する調査研究」

低・未利用地が分散化して増えている

人口減少により、新たな都市的土地利用の需要は少なくなるにも関わらず、依然として農業的土地利用から新たな都市的土地利用への転換は進んでおり、一方で、市街地において低・未利用地が増えている。

土地利用の非効率化空き地屋外駐車場公園・広場空き家

依然として1万ha以上の農林業地等が都市的土地利用に転換されている

(図25)空き地等の発生状況

1279 1253 1310 1217

1554

7.3 7.6 7.6 7.1

8.2

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

10.0

0

300

600

900

1200

1500

1800

1993 1998 2003 2008 2013

(%)(㎢)空き地面積

空き地率

全国の空き地面積と空き地率

空き地率

空き地面積

(出典)国土交通省「土地基本調査」

低・未利用地の変遷(近畿の地方都市の一般住宅地)

(注1)本調査における「空き地」には原野、荒れ地、池沼などを含む(注2)2008年の数値は過小推計となっている可能性があることに留意。

29

(図26)地域における空き地等の発生イメージ

○ 空き地等の発生する原因や、あり方は多様であり、地域によっても異なると考えられる。

(出典)国土審議会土地政策分科会企画部会第1回低・未利用地対策検討小委員会資料を基に国土交通省作成

空き地

空き家

30

(図27)土地資産額とGDPの推移

○ 我が国の土地資産額は、バブル崩壊以降長期的に下落傾向にある。○ 一方、実質GDPは、バブル崩壊以前より現在に至るまで、なだらかな上昇を続けている。

(出典)内閣府「国民経済計算」ストック編 付表「民間・公的別の資産・負債残高」(昭和55年~平成21年:2000年基準・93SNA、平成22年~26年:2005年基準・93SNA)

(年)

745 842

903 941 976 1,060

1,337

1,753

1,941

2,267

2,477

2,295

2,077 1,983

1,923 1,838

1,802

1,764 1,693

1,621 1,542

1,454 1,369

1,293 1,239

1,222 1,243

1,276

1,260 1,208

1,192

1,158 1,133

1,122 1,118

0

100

200

300

400

500

600

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26

我が国の土地資産額と実質GDP

土地資産額 実質GDP(昭和) (平成)

(兆円) (兆円)

31

(注1)内閣府「国民経済計算(平成27年度確報) 」 ※住宅、住宅以外の建物、その他の構築

物及び土地のストックの総額

(注2)事務所、店舗、工場、福利厚生施設等の法人が所有する不動産。土地基本調査に基づく

時価ベースの金額(平成25年1月1日時点)

(注3)PRUDENTIAL REAL ESTATE INVESTORS “A Bird’s eye View of Global Estate

Markets : 2012 update “ (円換算)

(注4)国土交通省 「平成28年度 不動産証券化の実態調査」

(注5)投資信託協会「統計データ」(2017年3月末)、ARES「私募リート・クォータリー」(2017年3

月末)(上場リート及び私募リートの合計)

(図28)不動産市場の規模と個人所有の不動産規模

○ 我が国の不動産市場は大きく、不動産資産は約2,520兆円、うち法人所有のものが約430兆円、収益不動産は約208兆

円となっている。

○ 家計資産のうち、多くは個人所有の宅地資産とみられるが、その規模は金融資産と比較しても大きい。

我が国の不動産資産と不動産証券化実績 家計資産における宅地資産の割合

1039

1832

492

128

金融資産額(万円)

宅地資産額(万円)

住宅資産額(万円)

耐久消費財等資産額(万

円)

1世帯当たり家計資産(二人以上の世帯)

(出典)総務省「全国消費実態調査(平成26年)」

1049

1333

218

521世帯当たり家計資産(単身世帯)

(29.8%)

(52.5%)

(14.1%)

(3.7%)

(39.6%)

(50.3%)

(8.2%)

(2.0%)

32

(図29)過去5年間における地価の推移①(平成23年比)

平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年

全国 97.5 95.7 94.6 93.7 92.9

三大都市圏 99.1 99.0 99.5 99.9 100.3

地方四市 99.0 99.4 100.7 102.4 105.0

その他 96.8 94.3 92.5 91.0 89.7

85

90

95

100

105

110

115

平成

23年

を100と

した

場合

の地

価指

住宅地

平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年

全国 96.9 94.9 93.8 93.4 93.4

三大都市圏 99.2 99.8 101.5 103.8 106.8

地方四市 98.8 100.3 102.9 106.8 114.0

その他 95.8 92.6 90.3 88.6 87.3

85

90

95

100

105

110

115

平成

23年

を100と

した

場合

の地

価指

商業地

○ 過去5年間における地価の対前年変動率は、全国的に下落傾向にあるものの、平成28年は商業地で横ばい。○ 札幌・仙台・広島・福岡では、住宅地では平成26年から、商業地では平成27年から上昇傾向にある。○ その他の地方圏では下落幅は縮小しつつあるものの依然として下落傾向。

(出典)都道府県地価調査33

0 400km商業地

105100 95 90 85

0 400km住宅地

105100 95 90 85

(図30)過去5年間における地価の推移②(都道府県別)

(出典)都道府県地価調査(注1)平成23年を100とした場合の平成28年の地価指数を基に作成

【住宅地】 【商業地】

○ 住宅地は宮城県、福島県、東京都、愛知県以外は下落している。○ 商業地は宮城県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府以外は下落している。

34

61.861.9

49.353.1

49.237.0

38.934.235.3

33.232.933.2

34.836.637.0

39.333.733.733.9

32.935.5

30.330.1

34.927.7

11.412.5

19.519.8

17.023.0

21.119.4

22.522.8

21.520.2

21.919.9

21.822.8

22.123.3

21.824.9

21.825.6

21.6

21.921.4

5.63.6

4.44.2

4.46.06.4

7.68.1

9.58.9

10.67.67.9

9.25.7

7.55.2

6.14.9

4.24.1

7.0

6.17.5

21.321.9

26.822.9

29.434.033.6

38.834.234.5

36.736.035.735.6

32.032.1

36.737.938.237.2

38.540.1

41.3

37.043.4

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

平成56789

101112131415161718192021222324252627

27(大都市圏)27(地方圏)

土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か

そう思う どちらともいえない わからない そうは思わない

(図31)国民の土地に対する意識

○ 平成18年度と比べ、利用されない土地を管理すべき責任者は「地方公共団体・国」と考える人の割合が増加している。

○ 「土地は預貯金や株式などに比べて有利な資産か」という質問に対し、「そう思う」と答えた人の割合は平成5年度調査においては6割を超えていたが、平成27年度調査においては、調査開始以来最低となる30.1%に低下。大都市圏よりも地方圏では「そうは思わない」と回答した割合が高くなっている。

(出典)国土交通省「土地問題に対する国民の意識調査」35

(図32)空き地等所有者による空き地の管理実態

○ 空き地等の具体的な維持管理の方法として、所有者の約5割が草刈りを行っているほか、約3割の所有者が見回りや掃除が行われている。一方で、管理行為をしていない所有者が4分の1を占める。管理の頻度は毎月または年数回とするものが大部分(9割)を占め、 7割近くの所有者の管理の年間コストは5万円未満と回答している。

○ 「維持管理に障害や課題はない」、「土地を利用する予定がないので管理が無駄になる」と回答する所有者がそれぞれ4割近く、2割近くを占めている。一方、 「管理の作業が大変」 、「遠方に住んでいるので管理が困難」と回答する所有者はそれぞれ約2割半、2割を占めている。

50.3

31.3

27.2

10.5

1.5

25.8

0% 20% 40% 60%

草刈り

見回り

掃除

看板・囲いの設置とその点検

その他

管理していない

(n=5000)

月に1回~数回1,453

39.2%

年に1回~数回1,865

50.3%

数年に1回393

10.6%

(n=3711)

費用はかかっていない1,713

34.3%

1万円未満617

12.3%

1万円~3万円未満629

12.6%

3万円~5万円未満487

9.7%

5万円~10万円未満409

8.2%

10万円~20万円未満240

4.8%

20万円~50万円未満130

2.6%

50万円以上56

1.1%

不明719

14.4%

(n=5000)

20.3

25.7

14.5

9.2

16.9

35.9

0% 10% 20% 30% 40%

遠方に住んでいるので管理が困難

管理の作業が大変

管理費用の負担が重い

管理を頼める人や業者がいない

土地を利用する予定がないので管理が無駄になる

障害や課題はない

(n=5000)

所有者による管理行為(複数回答)

所有者による管理の年間コスト

所有者による管理の頻度

所有者による管理上の課題

36出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)

(図33)管理水準の低下した空き地

(%)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

栃木県

三重県

千葉県

滋賀県

奈良県

茨城県

東京都

岐阜県

京都府

岡山県

長野県

埼玉県

兵庫県

山梨県

熊本県

鹿児島県

島根県

静岡県

香川県

大阪府

山口県

群馬県

宮城県

広島県

長崎県

北海道

大分県

和歌山県

福島県

福岡県

神奈川県

岩手県

佐賀県

愛媛県

秋田県

石川県

高知県

青森県

福井県

宮崎県

新潟県

愛知県

富山県

鳥取県

山形県

徳島県

沖縄県

空き地の所有者の居住状況(都道府県別)(平成25年)

所有者が空き地の所在都道府県以外の都道府県に居住 所有者が空き地の所在都道府県に居住

○ 他の都道府県に居住している空き地等の所有者は一定割合存在(管理が容易でない土地の存在を示唆)。○ 全国の市区町村の4割では管理水準の低下した空き地が10年前と比べ増加しており、地域別にみると「市街地

縁辺部」、「郊外」、「駅周辺・中心市街地の周辺市街地」 の順に多い。

2%

7%

20%

33%

26%

7%5%

41%

50%

5%4%

管理水準が低下した空き地の件数の10年前との比較(平成24年) 管理水準が低下した空き地の発生地域(平成24年)

(出典)国土交通省土地・建設産業局アンケート(注1)全国の市区町村(1,742団体)を対象に実施。回収率71%

増加している

減少している

ほとんど変わらない

その他

中山間地域

郊外

駅周辺・中心市街地無回答無回答

市街地縁辺部(市街地と郊外の間)

市街地(駅周辺・中心市街地の周辺)

(出典)国土交通省「土地基本調査」(注1)本調査における「空き地」には原野、

荒れ地、池沼などを含む

37

(図34)管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地の現状①

35

19

198

347

523

350

172

0 200 400 600

駅周辺・中心市街地

路線商業地

市街地(駅周辺・中心市街地の周辺)

市街地縁辺部(市街地と郊外の間)

郊外

中山間地域

その他

(回答数)

「管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地」

の発生が著しい地域等(複数回答)

増加する766

62.7%

ほとんど変わらない345

28.3%

減少する33

2.7%

無回答77

6.3%

現在と比較した今後10 年間の「管理水準が低下

(雑草繁茂等)した空き地」の面積の変化

1,010

796

764

448

412

367

311

253

41

0 200 400 600 800 1,0001,200

高齢化等により自ら管理・活用できないなど、空き地等の所有者の身体的理由のため

空き地等の所有者が遠方居住であるなど、迷惑土地利用状態であることが認識できな

いため

管理・活用の費用を負担できないなど、空き地等の所有者の経済的理由のため

空き地等の所有者が、管理・活用の適当な委託先や担い手を見つけることが困難なた

空き地等の所有者が、迷惑土地利用状態を是正する意識が希薄なため

空き地等の所有者が、迷惑土地利用状態とは認識していないため

空き地等が接道不良や狭小であるなど、空き地等の活用が困難なため

空き地等が複数の所有者による共有であるなど、管理・活用の意思決定が円滑に行わ

れにくいため

その他

(回答数)「管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地」の状態に至る理由(複数回答)

増加している419

34.3%

ほとんど変わらない355

29.1%

減少している36

2.9%

把握していない334

27.4%

無回答 77 6.3%

10 年前と比較した「管理水準が低下

(雑草繁茂等)した空き地」の件数の変化

○ 最近10年間で約35%の自治体が「管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地等の件数が増加している」と回答している。また、今後10年間で約62%の自治体が現在よりもその面積が「増加する」と 回答している。

○ 「管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地等」は郊外、市街地縁辺部、中山間地域等での発生が著しいとの回答が多い。

○ 「管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地等」の状態に至る理由について、身体的理由や経済的理由で所有者自身による管理不足が挙げられる一方、所有者が遠方居住である等で迷惑土地利用状態であることを認識していないことも多く挙げられている。

38出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)

(図35)管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地の現状②

924 745

663 602

498 243

225 218 205

118 116

80 56

40 34

15 7

61 62

0 200 400 600 800 1,000

景観の悪化

ごみ等の投棄

害虫の発生

落ち葉、種子等の散乱

地域のイメージの低下

地域の活力(賑わいや経済)の低下

道路等周辺の汚れ

火災

営農環境の低下

犯罪

資産価値の低下

悪臭

砂ぼこり

大型車両通過等による危険増加

土砂崩れ

土壌汚染や水質汚濁

騒音や振動

その他

特にない

(回答数)

「管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地」

が周辺に迷惑を及ぼしている現象(複数回答)

874

548

361

186

57

0 200 400 600 800 1,000

地域イメージの低下

地域の活力(賑わいや経済)の低下

治安の悪化

地価(資産価値)の下落

その他

(回答数)

地域・地区内に空き地等が複数存在することによる、

地域・地区全体への影響(複数回答)

75

690

443

0 200 400 600 800

利用希望がある

苦情がある

ない

(回答数)

空き地等に関して住民からの意見

(利用希望、苦情)の有無(複数回答)

増加している266

38.6%

ほとんど変わらない359

52.0%

減少している22

3.2%

無回答43

6.2%

過去10 年間の空き地等に関する住民からの苦情の数の変化

○ 「管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地」が周辺に迷惑を及ぼす影響として、ごみ等の投棄、害虫の発生等周辺住民に害悪を与えているだけでなく、景観の悪化、地域のイメージの低下等地域の価値を下げていることを挙げる自治体も多い。

○ 空き地等に関して住民から自治体に寄せられる意見としては、苦情が多い一方、利用希望は少ない。苦情の数は約4割の自治体において、10年前と比較して増加していると回答している。

39出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)

40

(図36)土地の放置による国土の荒廃

過疎地域等条件不利地域の集落で発生している問題(上位8項目)

(出典)国土交通省「過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査」(平成28年)を基に作成

(注1)市町村へのアンケート結果(複数回答可)(出典)国土交通省「長期的な国土の管理水準向上に資する選択的管理

に関する調査」(平成24年3月)を基に作成

長期にわたり放置した土地の状態

安全に係る問題

生産に係る問題

景観・生態系に係る問題

・耕作放棄された棚田等の植生遷移に伴う景観の悪化

・間伐未実施による林内の光環境悪化と林床植生の減少

・シカ食害による天然更新の阻害

・耕作放棄地における草本植生の繁茂が、イノシシ・サルの隠れ場となることによる周辺耕作地の農作物被害

・シカによる苗木の採食、樹皮剥ぎ

・ナラ枯れ、松食い虫被害

・間伐未実施による林内の光環境悪化やシカ食害等に起因する林床植生の減少による土壌浸食

・風倒被害

45.3

51.3

61.9

62.3

64.0

68.6

71.6

82.9

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

森林の荒廃

公共交通の利便性の低下

獣害・病虫害の発生

住宅の荒廃(老朽住宅の増加)

商店・スーパー等の閉鎖

働き口の減少

耕作放棄地の増大

空き家の増加

○ 過疎地域等条件不利地域の集落では、荒廃農地や必要な施業が行われない森林等の問題が顕在化。○ 長期にわたり土地を放置すると、①土壌浸食等による治山・治水上の問題、②農作物・林産物被害等の経済上

の問題、③景観・生態系に係る問題等多岐にわたる問題の発生が懸念。

(図37)空き地等のまちづくりの利活用のための賃貸意向

○ 空き地等を地域でのまちづくりのために利活用することに関し、貸すより売りたいとする所有者が2割を占め、半数以上の者が貸してもよいとするが、このうち、条件次第とする者がほとんどである。

○ 「条件」としては、税金相当など一定の地代が得られると回答した所有者が約5割おり、借り手が自治体など信頼でき、責任を持って管理してくれることをあげる者が約4割存在する。

○ なお、貸すことは考えられない理由として、貸すと「今後、自らの利用や今後の賃貸・売却の際に障害になると困るから」と回答した人が約4割存在する。

3.2%

7.3%

16.1%

16.5%

25.9%

42.8%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0%

その他

より高い地代が得られる先に貸したいから

地域での利活用になると地域との付き合い

上、管理状況について意見を言いにくいから

地域での利活用になると地域との付き合い

上、返却を求めにくいから

家族や親族の了解が得られないから

今後、自らの利用や賃貸、売却の際に障害に

なると困るから

(空き地等のまちづくりの利活用について)貸すことは考えられない理由

(複数回答)

0.2%

19.7%

21.1%

28.5%

40.1%

50.7%

0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 60.0%

その他

自治体や町内会等で責任をもって管理してくれるこ

今後自らが利用したり売却したりする際に遅滞なく

返してくれること

通常の商業利用等と同じ程度の地代が得られるこ

借り手が自治体等の信頼できる先であること

固定資産税が払える程度の地代が得られること

(空き地等のまちづくりの利活用について)

条件次第で貸すことも考えられるの「条件」(複数回答)

41出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)

無償で貸してもよい, 7.6%

借り手や利活用方法、賃貸条

件次第で貸すことも考える,

45.8%

貸すことは考えられない, 24.8%

貸すよりも売りたい, 20.7%

その他, 1.1%

空き地等のまちづくりのための利活用に対する賃貸意向

(図38)空き地等所有者の売却や賃貸の意向①

将来的にも売却するつもり

はない, 27.8%

現在は考えていないが、将来的に

は売却もあり得る, 39.5%

売却することを考えてもよ

い, 19.6%

売却先を探している, 8.7%

既に売却の見込みが立っている, 4.4%

所有者の空き地等の売却意向

○ 将来も売却や貸付けを行うことはないとする所有者が約3割を占める。一方、将来を含め売却や貸付けを行うことを考える者が約6割に達する(残り1割は、既に売却・貸付先を探し、または、その目処が立っている)。

○ 他方、今後5年間に売却・貸付けを行いたいとする者は、合わせて約5割近くにとどまり、空き地等のままにしておく者が約3割を占める。

将来的にも貸すつもりは

ない, 27.5%

現在は考えていないが、将

来的には貸すこともあり得る,

35.2%

貸すことを考えても

よい, 26.4%

賃貸先を募集している,

4.7%既に賃貸の見込みが立っ

ている, 6.2%

所有者の空き地等の賃貸意向

出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)

賃貸する18%

売却する27%

所有者やその親族が利用す

る(資材置き場等以外に)21%

所有者やその親族以外が利用する

(資材置き場等以外に)5%

空き地のままにしておく

(資材置き場等を含む)29%

今後5年間の空き地等の利用意向

出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)

出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施) 42

43.3%

20.7%

16.7%

12.9%

7.7%

6.9%

6.3%

5.7%

2.6%

3.8%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0%

今後自分や親族等が利用する予定だから

困っていないから

先祖代々の土地だから

貸してしまうと自らの利用の際に障害になると困るから

他人に貸すのは不安だから

どうせ借りる相手が見つからないから

満足な地代を得られないから

貸すための手間をかけたくないから

どうしたら貸せるかわからないから

その他

将来的にも貸すことはない理由

(図39)空き地等所有者の売却・賃貸意向②

4.7%

10.2%

17.4%

28.9%

38.3%

0.4%

(賃貸先を募集している人に対して)賃貸の状況・見通しについて

既に賃貸の見込みが立っている

近いうちに賃貸先が見つかると思う

申出はあるが、税金等を勘案すると持

ち出しになるので成約に至らない

申出があり、税金等を勘案しても利益は出るが、

その条件では満足できず成約に至らない

募集を行っているが、なかなか見つから

ず、賃貸は厳しいと考えている

その他

○ 将来も売却や貸付けを行うことはないとする所有者のうち、「今後自分や親族等が使用する予定だから」と回答した人は半数にとどまり、次いで「資産として保有し続けたいから」、「困っていないから」、「先祖代々の土地だから」と回答している。

○ 一方、貸付けについては、一旦貸すと自己利用の支障になること、他人に貸すのは不安だからという懸念を持つ所有者が一定程度存在する。

出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)

出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)

1.4%

1.6%

4.4%

5.5%

5.8%

19.7%

23.5%

24.0%

49.5%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0%

その他

どうしたら売却できるか分からないから

満足できる価格で売却できないから

買い手がつかないだろうから

売却の手間をかけたくないから

先祖代々の土地だから

困っていないから

資産として保有し続けたいから

今後自分や親族等が利用する予定だから

将来的にも売却することはない理由

出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)43

(図40)情報公開に対する現状○空き地等の売却・貸付けのための情報提供に関し、不動産仲介業を含め広く提供してよいとする所有者は16%にとど

まる一方、一切行わないと回答する所有者も34%を占める。○所有者が情報提供を一切行わないとする理由としては、「そもそも利活用を考えていないから」と回答する所有者が約

6割を占めているが、「提供した情報が公開されることに不安があるから」、「情報の提供先が信用できないから」と回答する所有者も一定程度存在するとともに、「情報を公開することにメリットを感じないから」と回答する所有者も2割弱を占める。

広く一般に提供してもよい,

15.6%

自治体や信頼できる団体

(自治体の認定団体等)の

内部に限った利用であれば

構わない, 16.7%

自治体の内部に限った利用で

あれば構わない, 18.2%

友人・知人等の関係者に限っ

て情報を提供する, 15.1%

情報の提供は一切行わない,

34.4%

売却・賃貸のための情報提供

出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)

24

200

221

174

312

264

998

0 500 1000 1500

その他

周囲の人に売却・賃貸等を考えていること

を知られたくないため

提供した情報が公開されることに不安があ

るから

情報の提供先が信用できないから

情報を公開することにメリットを感じないか

利活用以外の面倒なことに巻き込まれたく

ないから

そもそも利活用等を考えていないから

情報提供を一切行わない理由

44出典:国土交通省「空き地等に関する所有者アンケート」(平成29年2月実施)

(図41)地域のコモンズとしての新たな空き地の管理・活用

○人口減少社会の中では、全ての空き地等の所有者が自ら適正な管理・利活用を行うには限界があるが、直ちには取引されるニーズがない場合でも、地域単位で見れば活用するニーズがある場合においては、空き地の新たな管理・活用のあり方の一つとして地域のコモンズとしての利用を支援。

地域のコモンズの例地域のコモンズ:地域住民が地域の生活環境や資産価値の維持・向上に

役立てることに、空いた共有地等を管理・活用

公園区域 分譲マンション

コミュニティガーデン

個人の土地を借り、コミュニティガ-デンとして活用し、地域住民等で管理

複数の土地をまとめて借りて、広場として活用し、地域住民等が管理

マンション住民の敷地の一部を民設公園として開設。公園の管理についても住民が行う。

<地域(集落)での合意形成と実施の流れ>

1,地域住民等が地域をどうしていきたいかというコンセプトを作成

2,地域の空き地等の情報を収集

3,収集した情報を地図に落とすなどして「見える化」し統合

4,土地所有者の意向も聞きながら、統合された情報を基に空き地等の具体的な利用・管理方法について地域で話し合い

5,地域で空き地等の利用・管理行為を行う者、費用の負担や、管理ルール等について取決めを定める

6,地域住民等で構成される主体が空き地等を地域のコモンズとしての持続的な管理を誘導

(市場での利用や公共的利用の需要が生じる場合には、恒久利用にも提供可能)

45

行政情報・専門的なノウハウ等のサポート

個別宅地①(一筆)

マンション住民の共有地

芝生広場

コンテナハウス

個別宅地②(数筆を集約)

(※1)民設公園制度都市計画公園区域内において、民間が自らの力で公園を整備し、その後

も維持管理する場合、①都市計画制限を部分的に緩和して敷地内に集合住宅の建築を許可②容積率算定の基準敷地面積に民設公園敷地を算入③公園的空間部分への固定資産税・都市計画税を減免

といったインセンティブを付与。(※2)横浜市「緑地保存地区制度」

市街化区域内の主に樹林に覆われた500㎡以上のまとまりのある緑地(原則、山林課税地)を対象に、樹林地の保存を条件として固定資産税と都市計画税の負担を軽減する制度。申請地について、10年間以上の契約を行なった場合、契約地の固定資産税と都市計画税が減免(集合住宅の管理組合等との契約の場合などは減免ではなく、奨励金の交付となる)。

(※3)世田谷区「世田谷区立身近な広場条例」区が未利用地を公園用地として使用し、区の住民の広場(公園)として開

放。身近な広場とした場合に、固定資産税と都市計画税が免除され、土地所有者の土地管理の軽減が図られている。

都市計画公園区域において分譲マンションの建築と民設公園(※1)を一体整備。一帯の敷地はマンション住民の共有とし、公園敷地部分については、事業者が地上権の設定を受ける。

公園の日常管理費用は住民負担とし、公園敷地部分の固定資産税・都市計画税は免除。公園の管理活動への参加等を契機とし、マンション住民や地域住民との交流促進にも寄与。

萩山四季の森公園(東京都東村山市)

(図42)地域の共有財産(地域のコモンズ)として自然管理

フォートンヒルズは、既存の森との共生をコンセプトに分譲されたマンション。

市街化調整区域における開発行為の許可を受ける代わりに、開発区域の半分を緑地として保全する協定を市と結ぶ(※2)。

フォートンヒルズ(神奈川県横浜市)

フォートンヒルズ外観 イベントの様子

(出典)三菱地所レジデンス株式会社

区民主体による良好な環境の形成及び参加・連携・協働のまちづくりを支援するために平成18年4月1日に発足。

民有地のみどりを保全する都市緑地法「市民緑地」の設置(14ヵ所)や財団独自制度「小さな森」の創設( 16ヵ所)、身近な広場(※3)の管理等、自然環境の保全再生の取組を促進。

自宅や空き家等を地域貢献の場として活用する取組を促進。

一般財団法人世田谷トラストまちづくり(東京都世田谷区)

小さな森の公開(オープンガーデン) 身近な広場による文化財保全と公開

(出典)一般財団法人世田谷トラストまちづくりHP 46

(出典)東京建物株式会社資料を基に国土交通省作成

(図43)自治体の空き地等の条例について①

○ 4割近くの自治体が空き地等の管理や利活用の促進のための条例等が「ある」もしくは、「制定を検討している」と回答している。その内、空き地を対象にしたものが410条例、空き家を対象としたものが169条例存在している。

○ また、条例の目的としては、「生活環境の保全(雑草の除去、騒音・振動・悪臭、害虫、砂ぼこり、ごみ等の投棄等の防止)」など空き地等の適正管理の関する目的が多い。一方、「利活用の促進」を目的をしたものも47条例ある。

ある432

35.4%

制定を検討している18

1.5%

ない735

60.2%

無回答36

2.9%

空き地等の管理や利活用の促進のための条例等の有無

410

169

62

53

44

53

0 200 400 600

空き地

空き家

資材置場

屋外駐車場

残土置場

その他

(回答数)条例の対象(複数回答)

410

302

197

191

121

105

62

47

10

12

0 100 200 300 400 500

生活環境の保全(雑草の除去)

生活環境の保全(騒音・振動・悪臭、害虫、砂ぼこり、ごみ等の投棄等の防止)

防災

防犯

景観保全

危険防止

自然環境保全

利活用の促進

農地保全

その他

(回答数)条例の目的(複数回答)

47出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)

(図44)自治体の空き地等の条例について②

○ 条例の内容として、「規制の制定がある」ものが393条例あり、その多くには、「指導・助言」、「勧告」、「措置命令」の規定制度がある。ただし、その適用実績としては、「指導・助言」は7割近くを占めるものの、その他の規定制度の適用実績は少ない。

○ 条例等による規制の課題としては、「空き地等の所有者の規範意識が低い」、「空き地等の所有者の協力を得られない」が挙げられ、次いで、「空き地等の所有者等やその所在が不明又は当方居住等のため、指導や是正等ができない」、「空き地等の所有者が規制等の存在を知らない」、「規制すべき管理レベルの線引きが困難」が挙げられている。

393

31

45

0 500

規制の制定がある

支援(助成)の規定がある

支援(助成以外)の規定がある

(回答数)条例の内容(複数回答)

回答数

規定有り 規定有りの場合:適用実績有り

1 指導・助言 355 240

2 勧告 349 91

3 措置命令 312 29

4 公表(命令に従わなかった者等の公表) 128 3

5 罰則(罰金、過料等) 79 0

6 代執行 167 7

7 その他 22 2

258

245

211

170

142

58

58

57

19

20

0 100 200 300

空き地等の所有者の規範意識が低い

空き地等の所有者の協力が得られない

空き地等の所有者等やその所在が不明又は遠方

居住等のため、指導や是正等ができない

空き地等の所有者が規制等の存在等を知らない

規制すべき管理レベルの線引きが困難

財産権を侵害せず措置可能な範囲が不明確

法律による担保が必要

規制の執行体制・ノウハウが不十分

違反が多すぎて是正しきれない

その他

(回答数)条例等による規制の課題(複数回答)

規制制定がある場合の処分等の規定の内容(複数回答)

48出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)

(図45)自治体の空き地に対する対応と取り組み①

20.6%

79.4%

空き地等に関する担当部署が決まっているか

明確に決まっている 案件に応じ対応している

※明確に決まっている自治体のうち、約8割は環境課等の 管理のみの担当部署となっている。

○ 空き地等に関する担当部署が「明確に決まっている」と回答した自治体は約2割であり、その多くは環境等のまちづくり部局以外の部局が担当になっている。

○ また、空き地等の管理・活用を促進する取組みを行っていないとする自治体は多いが、自治体の取組みとしては、「条例等による規制等」、「行政指導」が多い。

109

91

1

105

68

2

219

252

144

101

45

28

15

7

2

9

18

58

608

0 100 200 300 400 500 600 700

意識啓発の実施(イベント、広報、教育等)

相談窓口の設置

専門家等の派遣

行政等による所有者の把握。管理

監視塔のパトロールの実施

ガイドライン等の提示

行政指導

条例等による規制等

斡旋(除草業者等)

仲介(空き地情報の提供等によるマッチング等)

管理用具(草刈り機等)の貸出

助成(購入、管理費の助成等)

行政等による管理受託

行政等による購入または借上

税制措置(課税強化)

税制措置(課税減免)

除去すべき空き家の敷地を活用する支援

その他

行っていない

空き地等の管理・活用を促進する取組み

49出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)

(図46)自治体の空き地に対する対応と取り組み②

○ 自治体の管理・活用の取り組みのうち、効果への貢献度が大きいものとしたのは、「行政指導」、「条例等による規制等」に次いで、「斡旋(除草業者等)」、「行政等による所有者の把握・管理」が挙げられる。

○ また、自治体の管理・活用の取り組みを実施するにあたっての課題として、「空き地等の場所、件数、面積等の発生状況が不明」、「体制・予算が不十分」に次いで、「空き地等の土地所有者の意識や理解が不十分」が挙げられる。

170

161

87

71

65

53

53

42

25

18

11

9

4

2

2

2

0

12

0 100 200

行政指導

条例等による規制等

斡旋(除草業者等)

行政等による所有者の把握・管理

仲介(空き地情報の提供等によるマッチング等)

意識啓発の実施(イベント、広報、教育等)

相談窓口の設置

監視等のパトロールの実施

管理用具(草刈り機等)の貸出

助成(購入、管理費の助成等)

行政等による管理受託

除却すべき空き家の敷地を活用する支援

税制措置(課税減免)

ガイドライン等の提示

行政等による購入又は借上

税制措置(課税強化)

専門家等の派遣

その他

(回答数)自治体の管理・活用の取組みのうち、効果への

貢献度が大きいと考えられるもの(複数回答)

523

517

396

211

210

209

136

93

74

26

19

13

12

205

0 200 400 600

空き地等の場所、件数、面積等の発生状況が不明

体制・予算が不十分

空き地等の土地所有者の意識や理解が不十分

管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地等の場所、件数、面積

等の発生状況が不明

担当部局が決まらない

紛争には介入できない

法的措置が必要

管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地等による迷惑の程度や

範囲が限定的

空き地等の発生原因が不明

規制導入の理解が得られない

管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地等の発生原因が不明

助成実施の理解が得られない

関係部局の協力が得られない

そもそも土地の需要がない

(回答数)自治体において、空き地等の管理・利活用を促進する取組み

を実施するにあたっての課題(該当するものを3つまで選択)

50出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)

(図47)浜松市における空き地等遊休不動産の管理・活用の促進

② 施行地区(都市再生促進地区※)

※ 都市再生特別措置法による都市再生緊急整備地域と重なる地区を本条例で定めたもの

③ 条例内容

① 目的都市の中心部における建築物等又は土地の所有者又は管理者に対して、建築物等及び土地の適正な管理及び活用の

促進に関する条例を定め、市がこれに関して必要な啓発や支援、また、問題のある建築物等及び土地に対する指導・助言、勧告、命令、公表等を実施することで、都市環境の安全性の向上及び都市機能の増進を図る。

(出典)浜松市HPを基に国土交通省にて作成

「浜松市都市再生促進地区における建築物等及び土地の適正な管理及び活用の促進に関する条例(略称 浜松市都市再生促進条例)」

○浜松市では、「浜松市都市再生促進条例(平成26年4月1日)」の施行と併せて、「浜松家守構想(浜松ヒューマンパーク)」を策定。官民の遊休不動産を活用しながら、「新たな働き稼ぐ場の創造」「子供が育ち暮らす場の整備」「人々が遊び交流する場の構築」をコンセプトにして、まちづくりを進めている。

51

(図48)自治体による空き地等の実体把握の現状

281

19

29

43

46

69

752

0 200 400 600 800

都市計画基礎調査で継続的に把握している

都市計画基礎調査以外の独自の調査で継続的に把握している(空き地等の分布や量について)

都市計画基礎調査以外の独自の調査で継続的に把握している(所有者情報について)

調査を行ったことがある(単年度調査等で、空き地等の分布や量について)

調査を行ったことがある(単年度調査等で、所有者情報について)

調査を行うことを検討している

調査を行う予定はない

(回答数)自治体おける空き地等の実態(空き地等の分布や量、所有者情報)把握(複数回答)

15

58

12

29

998

38

0 500 1,000 1,500

全ての空き地等について貴自治体自らが動いてリスト化を行っている

管理水準が低下(雑草繁茂等)した空き地のみ貴自治体自らが動い

てリスト化を行っている

活用したい空き地のみ貴自治体自らが動いてリスト化を行っている

所有者等による任意のデータ登録制度を設けている

特に設けていない

その他

(回答数)

自治体内の空き地等をリスト化するような仕組みの有無(複数回答)

216

800

351

155

62

51

227

59

153

0 200 400 600 800 1,000

メリットがない

労力・予算が確保できない

制度的根拠がない

関連データが電子化されていない

自治体内の関係部局から情報が得られない

自治体外の関係団体から情報が得られない

所有者の特定ができない

その他

特に課題は感じない

(回答数)

自治体内の空き地等の実態(空き地等の分布や量、所有者

情報)を把握する仕組みに関する課題

○ 空き地等の実態把握を行う予定はない自治体は約6割を占めているが、都市計画基礎調査で継続的に把握している自治体もある(回答数の3割弱)。なお、リスト化まで行っている自治体は少ない。

○ 空き地等の実態を把握する上で、「労力・予算が確保できない」、次いで「制度的根拠がない」、「所有者が特定できない」ことを課題として挙げる自治体が多い。

52出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)

(図49)需要と供給のマッチング支援

市民団体等が手入れしている樹林地や空き地等を「カシニワ」と位置付け、創出・保全・維持に対して市がバックアップ。

カシニワの登録に際し、市内の低・未利用地を把握・分析し、作業のしやすさ、必要性等を考慮し優先順位をつけている。

人々の交流の増進、地域力の向上を図っていくことで、緑地の保全・創出、都市景観の演出、生物多様性の保全、地域コミュニティの醸成に寄与。

カシニワ制度(千葉県柏市)

低・未利用地の一覧と優先度

整備前

整備後

カシニワ制度の仕組み

過疎化・高齢化の進展により空き家が増え続けるなか、空き家を地域資源として捉え、定住促進や地域の活性化につなげる取組を実施。

行政、宅建業者・建設業者、地域コミュニティが役割分担することで空き家の活用を円滑に実施。

移住促進のための空き家活用事業(島根県江津市)

市が、空き家の利活用を望む所有者と、利用希望者の双方から情報を収集し、相談対応、ホームページに双方の登録された情報の一部を公開。

コ・ワーキングスペースやシェアハウス等空き家の多様な利活用を目指し、双方のニーズをもとにマッチングの機会を創出。公益的な活用については、「提案型空き家利活用リフォーム事業」とあわせ実現を支援。

とよなか 空き家と人の縁づくり(大阪府豊中市)

53(出典)柏市 (出典)豊中市

(出典)江津市

(図50)空き地等の情報公開の現状

477

67

135

361

77

0 200 400 600

不特定多数に対しネット(例:空き家バンク)や台帳縦覧

等による公開を行っている

申し込みに応じ、原則として公開している

業務の中で必要に応じ情報提供を行っている

原則として公開や情報提供は行っていない

その他

(回答数)空き家の情報を公開する仕組みの有無(複数回答)

128

20

109

744

51

0 500 1,000

不特定多数に対しネット(例:空き地バンク)や台帳縦覧

等による公開を行っている

申し込みに応じ、原則として公開している

業務の中で必要に応じ情報提供を行っている

原則として公開や情報提供は行っていない

その他

(回答数)空き地等の情報を公開するような仕組みの有無(複数回答)

224

705

361

220

86

187

0 200 400 600 800

メリットがない

労力・予算が確保できない

制度的根拠がない

所有者の協力が得られない

その他

特に課題は感じない

(回答数)

自治体内の空き地等の情報を

公開する仕組みに関する課題(複数回答)

○ 空き家についてはネット(空き家バンク等)や台帳で情報を公開する取組みが進んでいる一方、空き地等に関しては進んでいない現状がみられる。

○ 空き家・空き地等をネットで公開している場合においても約半数は自治体のホームページ上に、「物件情報のPDFデータのみ掲載している」状態であり、検索しづらい状況がうかがえる。

○ 自治体において空き地等を公開する上で、「労力・予算が確保できない」、次いで「制度的根拠がない」ことが課題として挙げられることが多い。

54出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点)

自治体のホームページ上

に、物件情報のPDFデータ

のみ掲載している

267 52.5%webページを作成し、物

件検索エンジンをつけて、

物件情報を掲載している

81 15.9%

webページを作成している

が、検索エンジンはつけず物

件情報のみ掲載している

145 28.5%

無回答

16 3.1%

空き地等の情報をネットで公開している場合の公開形態

(図51)空き地の管理・活用のための官民一体のプラットフォーム(イメージ図)

空き地等の管理・活用に関するビジョン

ビジョンに基づき活動協議会で合意の上、策定

連携

市町村

・空き地等の実態把握

(情報収集、データベースの整備、外部への

情報提供等)

・庁内の体制、官民一体のプラットフォームの

整備

・ビジョンを達成するための取組み

①社会的害悪の生じている空き地等への対応

(是正措置、地元の管理会社への斡旋等)

②空き地の活用に取り組む主体への情報発信

市町村に関わる幅広い関係者

・民間ならではの情報・ノウハウの共有・活用に取り組む主体に関する情報提供

官民一体のプラットフォーム<空き地等協議会(仮称)>

情報・ノウハウ提供等の支援

空き地所有者

利用・管理主体

宅地建物取引業者

設計事務所 建築会社

地域NPO まちづくり団体

司法・行政書士等

等教育機関

その他の民間企業 地元自治会

情報・ノウハウ共有

活用のためのルール(ガイドライン等)整備

○市町村において、空き地等の管理・活用の方針を明らかにしたビジョンを作成するとともに、ビジョンに基づく取組みを進めるため、市町村に所在する幅広い関係者が対等な立場で参加できるプラットフォームが必要。

55

(図52)空き地の暫定利用の促進について

利用

建物

住宅 空き地

建物

オフィス駐車場

建物

オフィス

建物

住宅 空き地 駐車場 コンテナハウス防災空地

(空いていることが安定 → 空きを活かした自由度の高い利用)

建物

住宅 空き地 駐車場 芝生広場 緑地

形状

利用

形状

利用

形状

○今後の人口減少社会における空き地等の活用においては、空き地の暫定利用を従来の「建築的利用を前提とした過渡的な状況」として消極的に捉えるのではなく、将来の適正な管理・活用につなげていくものとして暫定利用を捉え、積極的に推進していく必要がある。

○この場合、暫定利用といえど1年程度の短期的なものから5年、10年といった中期的な利用もあり、地域の事情に応じて、多様なあり方が考えられる。

従来の暫定利用の考え方

新たな暫定利用の考え方

建物

住宅

(空いていることが安定 → 空きを活かした自由度の高い利用)

(土地需要が顕在化)

(出典)日本建築学会 空地デザイン小委員会「人口減少時代における空地デザインの展望」を参考に国土交通省作成

(空き地のまま活用)

56

区画整理のため先行して取得した土地に、市所有のコンテナを設置。安価で市内外の住民に時間貸し。

イベントや打合せ用スペースとして活用され、地域の賑わいの拠点になっている。

区画整理の進行に合わせ、別の空地に短期間で移設できる。

深谷ベース(埼玉県深谷市)

地元の商工会議所青年部等のメンバーが仕掛け人となり、駐車場として使用されていた土地に水道、電気、ガスや厨房設備を整備し、平成13年から屋台村を展開。

屋台形式のまま保健所から飲食店として正式な許可を取得し、魅力的な飲食物を提供。年間3億円超の売上げを記録。

北の屋台(北海道帯広市)

(図53)土地の暫定利用による土地需要の創出

北の屋台風景 (出典)北の屋台®HP 57

旧梅田貨物駅用地(約24ha)を対象に都市再生事業を実施し、うち先行開発区域約7haを平成25年度にまちびらき。

2期区域については、本格的に開発に着手するまでの間、うめ

きたのまちづくりPRや地域の賑わいの場として暫定的な利活用を図るため、平成28年度民間事業者等を対象に無償で貸付け。

平成29年度も同様に暫定利用を実施予定。

うめきた2期区域(大阪市)

公民で構成される佐賀市街なか再生会議が、街なかの空地や駐車場を借地。

中古コンテナを使った図書館等と芝生広場を設置。社会実験を行った平成23年度の8ヶ月間で約1万5千人が来場。

社会実験後は地元Jリーグチームの市内の拠点として活用。

わいわい!!コンテナプロジェクト(佐賀県佐賀市)

コンテナと芝生 コンテナ内部(カフェと図書館)

(出典)独立行政法人都市再生機構 (出典)深谷市

(出典)佐賀市

スペースマーケットは2014年設立の、空きスペース等のシェアリングを行う企業。

イベントスペースからお寺や球場、無人島まで、利用されないスペースをオーナーが登録。

利用希望者は時間単位でスペースを借りることができる。

空きスペース等のシェア(スペースマーケット)

(図54)遊休不動産のシェアによる土地需要の創出

akippaは2009年設立の、駐車場のシェアリングを行う企業。 使っていない駐車場をオーナーがakippaに登録。駐車場を探

している人がネットを通じて15分単位から予約し、電子決済。 2017年1月現在で全国で8700箇所の駐車場が登録されてい

る。

駐車場のシェア(akippa)

akippa登録駐車場の検索画面及び周辺表示写真

(出典)akippa株式会社HP

軒先株式会社は2009年設立の、空きスペース等遊休不動産のシェアリングを行う企業。また2012年より駐車場シェアリングサービスも運営。

空き店舗、マンションの空きスペース、営業中の店舗の一角等、利用されないスペースをオーナーが登録。

利用希望者は一日単位からスペースを借りることができる。

デッドスペース等のシェア(軒先株式会社)

空きスペースの活用実例

(出典)軒先株式会社HP

株式会社マイファームは2007年設立の、都市農地の有効活用を行う企業。

耕作放棄地・遊休農地・休耕地のオーナーに、貸し農園・体験農園としての有効活用を提案。

2016年現在で全国約90カ所の農園が登録されている。

耕作放棄地の有効活用(体験農園)

(出典)株式会社マイファームHP 58(出典)スペースマーケットHP

(図55)隣地取引の概況

○隣地取引は、個人間の取引の比率が高く、101~200㎡、次いで50~100㎡の隣地を購入するものが多い。○都道府県別にみると、山形県や和歌山県では不動産取引に占める隣地取引の比率が高く、東京都や大阪府

では隣地取引件数が多い。○隣地取引のうち、約8割は建物がない状態で取引されている。

個人 民間法人 地方公共団体 国等

買主 72% 27% 1% 0%

売り主 75% 22% 2% 1%

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%

2.5%

3.0%

3.5%

0

200

400

600

800

1000

北海道

青森

岩手

宮城

秋田

山形

福島

茨城

栃木

群馬

埼玉

千葉

東京

神奈川

新潟

富山

石川

福井

山梨

長野

岐阜

静岡

愛知

三重

滋賀

京都

大阪

兵庫

奈良

和歌山

鳥取

島根

岡山

広島

山口

徳島

香川

愛媛

高知

福岡

佐賀

長崎

熊本

大分

宮崎

鹿児島

沖縄

(件数)

(㎡)

隣地取引の取引主体(平成22年1月~27年9月までの累計)

(件数)

都道府県別の隣地取引件数及び不動産取引に占める隣地取引の割合 (平成22年1月~27年9月まで累計)

隣地取引の状況(購入された土地の面積別)(平成22年1月~27年9月までの累計)

(出典)国土交通省「不動産取引状況調査」不動産取引に占める隣地取引の割合 隣地取引の件数

(割合)

795

1697

2799

1144

683

359 249 196 137 116 193 299149 108

276

70%

65%

71%

77%

81% 83%86%84%88% 89%90%

90% 94%

100%

86%

0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

隣地取引件数 更地率

建物付き 建物無し

25% 75%

隣地取引の状況(購入された土地における建物の有無)(平成22年1月~27年9月までの累計)

59

(図56)隣地取引の効果と課題

○隣地を一体的に利用することにより、実現可能な容積率の増加や敷地外への避難環境改善といった敷地条件の改善、防災性の向上といった敷地外を含めた環境改善を図ることができるが、隣地売買には需給のミスマッチが存在。

・都心から50km圏内で、駅チカと立地条件に恵まれているが老朽化した建物が目立つ。・狭小住宅が建ち並び、建替も困難な状況。

道路

道路は建築基準法第43条第1項に基づく「ただし書き許可空地」。複数の個人が所有し、所有関係は混乱 間口2m未満

の敷地を4件が通路として活用

行き止まり路幅は4m未満

敷地面積は10坪程度

隣地売買における敷地の需要と供給のミスマッチ首都圏近郊の狭小宅地の現状の例

(出典)国土交通技術政策総合研究所「人口減少社会に対応した郊外住宅地等の再生・再編手法の開発」(平成21年2月) 60

・私鉄駅周辺で昭和30年代に開発された住宅地では、敷地の

区画が狭小(60~80㎡)のため、住宅地で空き地・空き家が生

じた場合には、地元不動産業者が先ず隣地の居住者等に働

きかけ。

・隣地取得による敷地の拡大が多数みられる。

埼玉県毛呂山町での取り組み事例

隣地を取得した例

(図57)狭小住宅地の状況

(出典)総務省「住宅・土地統計調査」(平成25年)

○敷地面積が100㎡未満の狭小戸建て住宅地が、大阪府では53%、京都府や東京都では41%を占めるなど、大都市部を中心に高い割合であるが、全国的にも一定の割合で存在。

一戸建・長屋建の住宅の敷地面積別割合(平成25年・課税対象筆べース)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

01

02

03

04

05

06

07

08

09

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

31

32

33

34

35

36

37

38

39

40

41

42

43

44

45

46

鹿

47

~ 99㎡100

~ 200㎡200

~ 499㎡500㎡

面積不詳

61

延長約470m、面積約4haの商店街をA~Gの7街区に区分し、全体の方針と各街区ごとのまちづくりの方針を合意して整備。

A街区においては、第一種市街地再開発事業(権利変換方式)を採用。

土地の所有と利用を明確に区分するため、地権者全員合意により定期借地権を設定し、第3セクターであるまちづくり会社による運営受託、証券化等のスキームが導入されている。

NPO法人つるおかランドは宅建業者、建設・建築業者、司法書士、金融機関等で構成される。

空き家の所有者の売却意向と周辺居住者の意向を合意形成し、小規模連鎖型の区画再編を行うことで土地の価値を創出。ex.道路拡幅、無接道囲繞地の解消、私道の付け替え 等

空き家・狭少な宅地・狭あい道路の解消を図っている。

(図58)地域ニーズに即した土地の権利移動・設定による土地需要の創出

ランド・バンク事業のイメージ

。NPO法人つるおかランド・バンク(山形県鶴岡市)

高松丸亀町商店街A街区第一種市街地再開発事業

市と駐車場所有者が互いの土地を交換し、利用する取組。

市有地を駐車場事業者に使用させる代わりに、市は事業者所有の駐車場をテラス化してイベント会場として整備。

10~30代の若い世代を中心に1ヶ月で5000人以上が来場(平成27年)し、にぎわい創出や地域の回遊性の向上に寄与。

新栄テラス(福井県福井市)

テラス化前の駐車場の様子 新栄テラス風景

当該団地は昭和30年代に造成され、区画の平均面積が狭小。

空き家・空き地が生じた際、地元の不動産業者がまず隣地の居住者等に購入を働きかけている。

昭和50年頃と比較し、約200件の隣地取得が見られる。

(出典)国土交通省国土技術政策総合研究所「人口減少社会に対応した郊外住宅地等の再生・再編手法の開発」(平成21年2月)

長瀬第1、第2団地(埼玉県入間郡毛呂山町)

分譲当初のままの平屋建て住宅(空き家) 隣地の取得による敷地の拡大事例

62

(出典)鶴岡市

(出典)高松市 (出典)福井市

◆区域内における居住環境の向上・公営住宅を除却し、区域内で建て替える際の除却費の補助

・住宅事業者による都市計画、景観計画の提案制度(例:低層住居専用地域への用途変更)

●立地適正化計画(市町村)・都市全体の観点から、居住機能や福祉・医療・商業等の都市機能の立地、公共交通の充実に関する包括的なマスタープランを作成

・民間の都市機能への投資や居住を効果的に誘導するための土俵づくり(多極ネットワーク型コンパクトシティ)

都市機能誘導区域生活サービスを誘導するエリアと当該エリアに誘導する施設を設定

◆都市機能(福祉・医療・商業等)の立地促進○誘導施設への税財政・金融上の支援・整備に対する補助・整備に対する民間都市開発機構の出資等・外から内(まちなか)への移転に係る買換特例

○公的不動産・低未利用地の有効活用・市町村が公的不動産を誘導施設整備に提供する場合、国が直接支援

○医療施設等の建替等のための容積率等の緩和・誘導施設について容積率等の緩和が可能

◆歩いて暮らせるまちづくり・附置義務駐車場の集約化も可能・歩行者の利便・安全確保のため、一定の駐車場の設置について、届出、市町村による働きかけ

・歩行空間の整備支援

◆区域外の都市機能立地の緩やかなコントロール・誘導したい機能の区域外での立地について、届出、市町村による働きかけ

居住誘導区域居住を誘導し人口密度を維持するエリアを設定

◆区域外の居住の緩やかなコントロール・一定規模以上の区域外での住宅開発について、届出、市町村による働きかけ

・市町村の判断で開発許可対象とすることも可能

◆公共交通を軸とするまちづくり・地域公共交通網形成計画の立地適正化計画への調和、計画策定支援(地域公共交通活性化再生法)・都市機能誘導区域へのアクセスを容易にするバス専用レーン・バス待合所や駅前広場等の公共交通施設の整備支援

◆区域外の住宅等跡地の管理・活用

・不適切な管理がなされている跡地に対する市町村による働きかけ

・都市再生推進法人等(NPO等)が跡地管理を行うための協定制度

・協定を締結した跡地の適正管理を支援

予算

予算

予算

予算

税制

※下線は法律に規定するもの

予算

予算

公共交通 維持・充実を図る公共交通網を設定

予算

・地方都市では、高齢化が進む中で、市街地が拡散して低密度な市街地を形成。大都市では、高齢者が急増。背景

法律の概要

平成26年8月1日施行

(図59)立地適正化計画制度 (概要)

63

(図60)都市再生特別措置法等の一部を改正する法律 (公布:平成28年6月7日 施行:同年9月1日)

都市の国際競争力及び防災機能を強化するとともに地域の実情に応じた市街地の整備を推進し、都市の再生を図るため、国際競争力の強化に資する都市開発事業の促進を図るための金融支援制度の拡充、非常用の電気又は熱の供給施設に関する協定制度の創設、特定用途誘導地区に関する都市計画において定めるべき事項の追加等の措置を講ずる。

背 景大都市については、我が国経済の牽引役として、グローバルな経済圏の中心となり、世界からヒト・モノ・カネ・情報を呼び込むため、一層のビジネス・生

活環境・防災機能の向上が必要。 …「日本再興戦略」改訂2015(閣議決定)に、都市再生制度見直しを速やかに行うよう位置付け地方都市については、人口減少、少子高齢化の進展、深刻な財政制約等の条件下で、コンパクトで賑わいのあるまちづくりを進め、更なる地方創生の推進が課題。高度成長期に大量に建設された住宅団地の老朽化が進んでおり、住宅団地の再生も喫緊の課題。

法案の概要

国際競争力・防災機能強化 コンパクトで賑わいのあるまちづくり

退避施設

電力線・熱導管

退避施設

空き地を活用したまちなかの賑わいの創出(イメージ)

○民間都市再生事業計画の大臣認定の申請期限の延長(→平成34年3月31日まで)

※優良な認定民間都市再生事業には各種金融支援や税制支援を実施

○金融支援※の対象に国際会議場等の整備費を追加※民間都市開発推進機構による支援

○地域内に使える既存ストックがある場合にはそれを残しつつ、地域の身の丈にあった規模の市街地整備を可能とする手法の創設

○まちなか誘導施設の整備促進を図る地区の追加など市街地再開発事業の施行要件を見直し

【大規模災害に対応する環境整備】

○災害時にエリア内のビルにエネルギーを継続して供給するためのビル所有者とエネルギー供給施設※

の所有者による協定制度の創設(承継効付き)

○空き地・空き店舗を有効に活用するための市町村・まちづくり団体と土地所有者による協定制度の創設

○賑わいの創出に寄与する施設(観光案内所、サイクルポート等)を都市公園の占用許可対象に追加

【国際ビジネス・生活環境の整備】 【まちなかへの都市機能の効率的な誘導】

【官民連携によるまちの賑わい創出】

○大臣認定処理期間の短縮

○道路上空利用の都市再生緊急整備地域への拡充○都市再生緊急整備地域指定の見直し制度の明示

(特定地域:45日→1月、緊急地域:3月→2月)

【事業のスピードアップ等のための支援の強化・重点化】

病院

庁舎発電機等

発電機等

発電機等

都市の国際競争力・防災機能の強化及びコンパクトで賑わいのあるまちづくりを図るための制度の充実化により、都市再生・地方創生を強力に推進

【住宅団地の建替えの推進】

住宅団地の再生

◇施行前 老朽化が進行

・敷地が一筆共有の場合、建替え、敷地分割等の際の合意形成が困難。

◇施行後 再生事業の円滑な推進

再開発事業の推進

○土地の共有者のみで市街地再開発事業を施行する場合に、各共有者をそれぞれ1人の組合員として扱い、2/3合意での事業推進を可能とする。

※エネルギー供給施設

発電機、ボイラ-、電力線、熱導管等から構成

身の丈にあった規模の市街地整備(イメージ)

施行前 施行後

都市公園へのサイクルポート設置(イメージ)

公益施設等

既存棟の活用 広場

64

(図61)低未利用土地利用促進協定

・人口減少等を背景として、まちなかで増加している低未利用の土地、建築物の利用促進を図るため、当該土地、建築物等の有効かつ適切な利用に資する施設の整備及び管理に関する協定制度。

・地域のまちづくりを担う市町村や都市再生推進法人等がノウハウを活かして、低未利用の土地、

建築物等の利用の促進を図ることにより、都市再生の効果を最大化。

協定の内容(市町村長が認可)

・協定の目的となる低未利用の土地、建築物・施設の整備・管理の方法に関する事項・協定の有効期間・協定に違反した場合の措置

協定の効果

・樹木保存法に基づく樹木保存義務の実施主体として、都市再生推進法人を追加→低未利用土地に存する保存樹木の適正な管理ができる

・緑地管理機構・景観整備機構の業務の特例

→緑地管理などのノウハウを有する法人が低未利用土地の管理を実施することが可能になる

関 連 予 算民間まちづくり活動促進・普及啓発事業(H29予算案:0.92億円)・都市再生推進法人が低未利用土地利用促進協定に基づき実施する施設整備への補助※広場整備、デッキの整備、樹木の整備等

・補助率:1/2以内(かつ地方公共団体の負担額以内)

都 市 再 生推進法人等

土 地・

建 築 物

所 有 者

市 町 村

広場として活用

整備・管理

協定の締結

または

所 有 者 に 代 わ り 活 用(緑地、広場、カフェ 等)

低未利用な土地

土地の提供

※イメージ:松山市の事例(みんなのひろば)

65

(図62)都市計画基本問題小委員会の設置について

○本年2月に設置、第1回を開催。4~5年程度かけて都市計画が対処すべき課題全体を射程に。○検討はテーマごとに深掘りし、全体の検討をまたず、順次、対応方策をとりまとめ必要な制度化をアウトプットとしていく。○都市の社会問題の解決にはどのような方策が必要かというアプローチで、計画制度だけでなく事業や運用改善など幅広い観点から検討。○当面は「都市のスポンジ化」をテーマに検討に着手。本年夏を目途に課題、論点、対応方策をとりまとめ、制度改正等に向けた審議を行う。

○人口減少等が進む中にあっても、住民生活を支えるサービス機能が確保された持続可能な都市構造を実現するため、誘導手法の導入・活用によりコンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを推進。

○他方、多くの都市では、空き地・空き家が時間的・空間的にランダムに発生するなど、「都市のスポンジ化」と言うべき事象が顕在化。都市の拡大を前提に開発コントロールを基調とする現行制度は、不作為への対処には限界。

○また、周辺環境と不調和な開発・建築、災害危険性の高い住宅市街地、郊外のスプロール開発の進行、長期間未着手の都市計画施設など、これまで構築してきた制度体系をもってしてもなお、解消に至っていない課題も存在。

○このため、社会資本整備審議会に「都市計画基本問題小委員会」を設置し、都市計画に関し現に生じている様々な課題を把握・整理し、対応方策の検討を行う。

背 景

進め方

①都市のスポンジ化への対応→都市のスマートな縮退に向け、都市計画の射程を開発段階から管理段階に拡大し、空間の状態をコントロールする仕組みが考えられないか。(例)契約・協定手法の導入、不作為(利用放棄)に対する行政の関与 等

②地域にふさわしい土地利用の実現→個々の地区の状況に応じ、裁量性のある土地利用コントロールをきめ細かに行うことが可能となる仕組みが考えられないか。(例)良好な街並み形成の必要が高い等一定の区域について、マスタープランや周辺環境との適合等の裁量的判断に基づき、開発・

建築行為を統合的に審査する許可制度の導入等

③多様な主体の参画→行政以外に都市空間の形成・管理を担う推進力として、住民、民間団体等が積極的に関与する枠組が考えられないか。(例)行政を補完・代替するエリアマネジメント活動の位置付け、住民参加を実質化する手続の充実(意見への応答義務等) 等

④生活圏の広域化への対応→大規模集客施設の立地等、市町村域を超えて大きな影響が見込まれる事案について、広域的調整を行う仕組みが必要ではないか。(例)都市圏内各市町村と都道府県で構成する協議会の設置、将来都市構造を具体的に明示したマスタープランの策定 等

検討課題・テーマの例

(宮崎市中心市街地の例)

都市のスポンジ化のイメージ

商業地域でのマンションの林立

戸建て住宅地の高層マンション

車が野積みされた低未利用地

68

(図63)都市緑地法等の一部を改正する法律(公布:平成29年5月12日 施行:平成29年6月15日、平成30年4月1日)

◆まちづくりに当たって、公園、広場、緑地、農地等のオープンスペースは多面的な機能を発揮- 景観(潤い)、環境(雨水貯留、生物多様性)、防災(延焼防止、避難)、体験・学習・交流、にぎわい

◆地方公共団体は、財政面、人材面の制約等から新規整備や適切な施設更新等に限界

…「経済財政運営と改革の基本方針2016」,「日本再興戦略2016」(閣議決定)において都市農地の確保、保育所の公園占用特例の一般化等を措置するよう位置付け

背景・必要性

概要

都市公園の再生・活性化

市街地に残る小規模な農地での収穫体験の様子

○生産緑地地区内で直売所、農家レストラン等の設置を可能に

○生産緑地地区の一律500㎡の面積要件を市区町村が条例で引下げ可能に(300㎡を下限)

○新たな用途地域の類型として田園住居地域を創設(地域特性に応じた建築規制、農地の開発規制)

○民間事業者による公共還元型の収益施設の設置管理制度の創設

-収益施設(カフェ、レストラン等)の

設置管理者を民間事業者から公募選定-設置管理許可期間の延伸

(10年→20年)、建蔽率の緩和等-民間事業者が広場整備等の公園リニューアルを併せて実施

○公園の活性化に関する協議会の設置

○都市公園で保育所等の設置を可能に(国家戦略特区特例の一般措置化)

○民間による市民緑地の整備を促す制度の創設

-市民緑地の設置管理計画を市区町村長が認定

○緑の担い手として民間主体を指定する制度の拡充

-緑地管理機構の指定権者を知事から市区町村長に変更、

指定対象にまちづくり会社等を追加

市民緑地(イメージ)

○市区町村が策定する「緑の基本計画」(緑のマスタープラン)の記載事項を拡充 -都市公園の管理の方針、農地を緑地として政策に組み込み

地域の公園緑地政策全体のマスタープランの充実

○公園内のPFI事業に係る設置管理許可期間の延伸(10年→30年)

【都市公園法等】 【都市緑地法】 【生産緑地法、都市計画法、建築基準法】

都市農地の保全・活用緑地・広場の創出

芝生空間とカフェテラスが一体的に整備された公園(イメージ)

(税) 固定資産税等の軽減

(予算)施設整備等に対する補助

(税)現行の税制特例を適用

(予算)広場等の整備に対する資金貸付け 【都市開発資金の貸付けに関する法律】

(予算) 広場等の整備に対する補助

【都市緑地法】

【目標・効果】

民間活力を最大限活かして、緑・オープンスペースの整備・保全を効果的に推進し、緑豊かで魅力的なまちづくりを実現

(KPI) 民間活力による公園のリニューアル 約100件(2017~2021 [2017:5件 ↗ 2021:40件])民間主体による市民緑地の整備 約 70件(2017~2021 [2017:5件 ↗ 2021:25件])

※地方公共団体等への意向把握をもとに推計

◆緑豊かなまちづくりに向けては、以下のような課題が顕在化

量的課題 - 一人当たり公園面積が少ない地域が存在- これまで宅地化を前提としてきた都市農地は、減少傾向

質的課題 - 公園ストックの老朽化の進行・魅力の低下、公園空間の有効活用の要請等⇒ 一方、使い道が失われた空き地が増加

66

(図64)市民緑地認定制度の創設

認定基準(案)

〇都市部において、良好な都市環境の形成に不可欠な緑地・オープンスペースが未だ不足している地域が存在。

〇財政面の制約等から、地方公共団体が用地取得し都市公園を整備することには限界がある一方で、都市内で使い道が失われた空き地等が増加。

○市民緑地認定制度を創設し、NPO法人や企業等の民間主体が空き地等を活用して公園と同等の空間を創出する取組を促進。

制度のフロー

概要

市民緑地認定制度の創設

○対象区域緑化地域又は緑化重点地区内

認定市民緑地のイメージ

○面積要件300m2以上

○設置管理期間5年以上

○設置管理主体民間主体(NPO法人、住民団体、企業等)

○緑化率20%以上

<概要>民有地を地域住民の利用に供する緑地として設置・管理する者が、

設置管理計画を作成し、市区町村長の認定を受けて、一定期間当該緑地を設置・管理・活用する制度を創設。

支援措置

税制)緑地保全・緑化推進法人が設置管理する認定市民緑地の敷地

に係る固定資産税・都市計画税の軽減 (無償貸付時に限る)

(3年間 原則1/3軽減(1/2~1/6で条例で規定))

※平成31年3月31日までの時限措置

予算)緑地保全・緑化推進法人が設置管理する市民緑地における

植栽、ベンチ等の施設整備に対する補助 (1/3負担)

【市民緑地等整備事業の拡充】整備後

整備前

平成29年6月15日施行

67

(図65)低・未利用地の利活用に係る主な現行法制度①

○現行法上、低・未利用地の利活用については、下記のような法制度が存在。

名称 根拠法 定義・規制等

低未利用土地 都市再生特別措置法 ・市町村又は都市再生推進法人等は、低未利用土地(利用されておらず、または、利用の程度がその周辺の地域の利用と比べ著しく劣っている土地)の所有者等と協定を締結することができる

・この場合、市町村長又は都市再生推進法人等は、所有者等に代わり、緑地、広場、集会場等の整備及び管理が可能

低未利用土地 都市緑地法 ・民間主体は、空き地等の民有地を地域住民の利用に供する緑地(市民緑地)として設置・管理するための計画を作成し、市区町村長の認定を受けて、当該緑地を設置・管理・活用することが可能(市民緑地認定制度)

跡地等 都市再生特別措置法 ・市町村等は居住誘導区域外の建築物の跡地等の適正な管理を必要とする区域と、当該区域内の跡地等の適正な管理に係る指針を定めることができる

・市町村長は指針に即した跡地等の適正な管理が行われず周辺の生活環境等が損なわれている場合に所有者等に対して勧告できる

・所有者自ら跡地等を適正に管理が困難な場合、市町村等は所有者等と管理協定を締結し、当該跡地等の管理を行うことができる

69

(図66)低・未利用地の利活用に係る主な現行法制度②

○現行法上、低・未利用地の利活用については、下記のような法制度が存在。

名称 根拠法 定義・規制等

遊休土地 国土利用計画法 ・国土利用計画法に基づく土地取引の許可又は届出がなされたもののうち、低・未利用状態の大規模でまとまった土地であって、利用を特に促進する必要がある場合、土地所有者に対し、遊休土地である旨を通知し、利用処分について必要な助言、勧告等を行い、その積極的な活用を図る制度。

遊休土地 都市計画法 ・土地が相当期間にわたり活用されていない等の場合に都市計画において、「遊休土地転換利用促進地区」を定めることができる

・市町村長は、同地区内の土地のうち、適切な利用を特に促進する必要があるなどの要件を満たす土地を「遊休土地」として指定できる

・指定された土地所有者は利用又は処分に関する計画の策定義務・計画が適切な土地利用の促進に支障がある場合、勧告を行うこと

ができ、勧告に従わない場合、市町村長等が買取協議を行う

特定空家 空家等対策の推進に関する特別措置法

・市町村長は、「空家等対策計画」を定めることができる・市町村長は、特定空家(放置することが不適当な空家等)につい

て、所有者等に対し、除却のための勧告・命令ができる

70

(図67)跡地等管理協定制度

(改正都市再生特別措置法 平成26年8月1日施行)①跡地等管理区域について

➣空き地が増加しつつある既存集落や住宅団地等において、空き地における雑草の繁茂、樹木の枯損等を防止し、良好な生活環境等を維持するため、跡地等の適正な管理を必要とする区域及び跡地等の管理に係る指針を定めることができる(居住誘導区域には定めることができない)。

②跡地等管理指針について

○指針に記載することが想定される内容

・跡地等を適正に管理する上での留意点

病害虫が発生することがないよう適切に除草等を行う旨除木の枯損が発生した場合に伐採を行う旨

・適正な管理水準

➣指針に即して跡地等の適正な管理が行われるよう、市町村は所有者等に対して指導や助言などを行う。

➣跡地等の適正な管理が行われず、生活環境等が損なわれている場合、市町村は所有者等に対して指針に即した管理を行うように勧告することができる。

③跡地等管理協定について

➣所有者自ら跡地等を適正に管理することが困難な場合、市町村又は都市再生推進法人等は、跡地等管理区域内で所有者等と管理協定を締結して、当該跡地等の管理を行うことができる。

雑草の繁茂 廃材の堆積

雑草の草刈、中低木の剪定(都市再生推進法人等が当該協定を締結するときは市町村長の認可が必要)

71

(図68)土地利用に関する制度体系(主なもの)

・地域再生法・集落地域整備法・都市再生特措法・エコまち法 等

都市・集落再編関係

・生産緑地法・土壌汚染対策法・廃棄物処理法 等

その他

・砂防法・地すべり等防止法・土砂災害防止法・津波防災地域づくり法・急傾斜地法 等

災害防止関係

・道路法・都市公園法・下水道法・河川法・港湾法 等

インフラ整備関係

・景観法・鳥獣保護管理法

・特定植物群落等の情報(生物多様性センター)

・文化財保護法

・古都保存法・都市緑地法 等

景観・自然文化保護関係

その他土地利用に関する法令等

農業地域

農用地等の確保等に関する基本指針(農水大臣決定)

農業振興地域整備基本方針【農業振興地域の指定】

農用地区域内の開発許可

農業振興地域整備計画【農用地区域の設定】

都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(※1)

【区域区分決定】(※2)

都市計画法 農振法 自然公園法

土地利用基本計画

即して

国土利用計画(都道府県計画)(※策定任意)

基本として

国土利用計画(全国計画)(閣議決定)

基本として

市町村

都市地域

開発許可(※3)

都市計画に関する基本方針

【地域地区指定(一部)】

【地域地区指定】(県が定めるもの以外)

開発許可(※3)

森林地域

地域森林計画

林地開発許可保安林内の土地形質変更の許可

市町村森林整備計画

全国森林計画

地域別の森林計画(国有林)

保安林指定

保安林指定(重要流域・国有林)

自然公園地域

公園計画(国立・国定公園)

国立公園・国定公園の指定

工作物新築等許可届出審査

県立公園の指定(条例)

工作物新築等許可届出審査

自然環境保全地域

自然環境保全基本方針【自然環境保全地域の指定】

土地の形質変更等の許可

自然環境保全地域の指定(条例)

土地の形質変更等の許可

※1:一部について政令市が決定。※2:政令市に権限あり。※3:政令市、中核市等に権限あり。

森林法 自然環境保全法

72

(図69)国土利用計画法に基づく遊休土地制度について(概要)

市街化区域 都市計画区域都市計画区

域外

規制区域 1,000㎡ 3,000㎡ 5,000㎡

監視区域 都道府県(指定都市)が規則で定める面積

その他 2,000㎡ 5,000㎡ 10,000㎡

○国土利用計画法に基づく土地取引の許可又は届出がなされたもののうち、低・未利用状態の大規模でまとまった土地であって、利用を特に促進する必要がある場合、土地所有者に対し、遊休土地である旨を通知し、利用処分について必要な助言、勧告等を行い、その積極的な活用を図る制度。

<届出がなされた土地>※売買された土地のうち、件数ベースで1%、面積ベースで3割程度。

国土利用計画法第28条第1項[1号要件]一定面積以上の土地 ※1[2号要件]取得後2年を経過[3号要件]低・未利用な状態[4号要件]周辺状況から利用を特に促進する必要性

<遊休土地に認定可能な土地>※1:1号要件

<土地>

<売買された土地>

遊休土地の申出

①遊休土地である旨の通知

②土地の利用処分計画

(6週間以内市町村長経由)

④計画に関する助言・勧告

⑤買取協議を行う旨の通知

③計画に関し勧告する

場合の意見聴取 ⑥買取協議

市町村長

都道府県知事

遊休土地の所有者

土地利用審査会 地方公共団体

このうち、市町村長の申出に基づき、都道府県知事が認定した土地の所有者に対し、遊休土地である旨を通知。その土地所有者等から当該遊休土地の利用処分の計画を提出させた上、必要な助言、勧告等を行い、その積極的な活用を図る制度である。

73

74

① 遊休土地制度による遊休土地の通知状況

(出典)土地・水資源局「遊休土地実態調査」(注1)上図の通知件数は、各年度(当年4月から翌年3月)に行われた通知の件数である。(注2)利用・処分された時点の状況を示している。ただし、未利用・未処分は、平成20年1月末時点である。

② 通知件数の推移及び通知後の利用・処分の状況

(図70) (参考)遊休土地の通知、処分状況

※国土利用計画法第28条に基づく通知状況。

通知した遊休土地

利用処分完了 未利用・未処分

件数 面積(ha) 件数 面積(ha) 件数 面積(ha)

遊休土地※ 246 220.2 186 162.1 60 58.1

0

10

20

30

40

50

60

S56 S57 S58 S59 S60 S61 S62 S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19

件数

年度

住宅 商業施設 生産施設 レクリエーション施設 駐車場 病院等その他 転売 未利用・未処分

(図71)遊休土地転換利用促進地区(平成2年制度創設)

■活用実績

※ 6地区において全て、勧告、買取協議は行われていない。

また、既に遊休土地が解消されたことより都市計画は廃止さ

れている。

地区数面積(ha)

計画年月日

通知・届出(地区数)

地区指定理由現在の

利用状況

神奈川県 川崎市 5地区 4.6(5件計)

H3.12.26 3地区

土地区画整理事業完了後も、長期間未利用地であったため。

共同住宅 等

東京都 墨田区 1地区 1.0 H4.7.13 1地区社宅跡地として長期間未利用地であったため。

共同住宅 等

所在地

■遊休土地転換利用促進地区指定後のフロー

市町村は遊休土地転換利用促進地区を都市計画決定

[告示後、2年経過後]

・1,000㎡以上の土地・住宅用途、事業用途等に供されていない・有効かつ適切な利用を特に促進することが必要 等

市町村長は土地所有者等に対して遊休土地である旨を通知

土地所有者は市町村長に対して遊休土地の利用等に関する計画を提出(6ヶ月以内)

市町村長は届出内容に支障があると認める時は、計画の変更・必要な措置を勧告

市町村長は、勧告に従わない時は、買取協議への通知(6週間以内の買取協議、土地所有者は買取協議を拒めない)

・ 相当期間にわたり住宅や事業等の用途に供されていない市街化区域内の遊休土地 (5千㎡以上)について、土地所有者の能動的な取組を求めることによって、効果的な土地利用転換を図り、周辺地域と一体となった良好な市街地の形成、都市機能の増進を図ることを目的として、都市計画に遊休土地転換利用促進地区を定める。

・ 遊休土地の土地所有者等に対し、市町村長による通知、勧告、買取協議の措置を講じることにより、計画的な土地利用転換を積極的に実現。

・ 平成3年に5地区、平成4年に1地区が指定。

75

(図72)空家等対策の推進に関する特別措置法(概要)

適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要(1条)参考:現在、空家は全国約820万戸(平成25年)、431の自治体が空家条例を制定(平成27年4月)

背 景

○ 「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。(2条1項)

○ 「特定空家等」とは、① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空家等をいう。(2条2項)

定 義

施策の概要

○国土交通大臣及び総務大臣は、空家等に関する施策の基本指針を策定(5条)

○市町村は、国の基本指針に即した、空家等対策計画を策定(6条)・協議会を設置(7条)

○都道府県は、市町村に対して技術的な助言、市町村相互間の連絡調整等必要な援助(8条)※なお、空家等の一義的な管理責任は、その所有者等に存在(3条)

○市町村長は、・法律で規定する限度において、空家等への立入調査(9条)・空家等の所有者等を把握するために固定資産税情報の内部利用(10条)等が可能

○市町村は、空家等に関するデータベースの整備等を行うよう努力(11条)

空家等についての情報収集

特定空家等に対しては、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言又は指導、勧告、命令が可能。さらに要件が明確化された行政代執行の方法により強制執行が可能。(14条)

特定空家等に対する措置(※)

市町村が行う空家等対策の円滑な実施のために、国及び地方公共団体による空家等に関する施策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度の拡充を行う(15条1項)。このほか、今後必要な税制上の措置等を行う(15条2項)。

財政上の措置及び税制上の措置等

市町村による空家等及びその跡地に関する情報の提供その他これらの活用のための対策の実施(13条)

国による基本指針の策定・市町村による計画の策定等空家等及びその跡地の活用

・市町村による空家等対策計画の策定・空家等の所在や所有者の調査・固定資産税情報の内部利用等・データベースの整備等・適切な管理の促進、有効活用

空家等

・措置の実施のための立入調査・指導→勧告→命令→代執行の措置

特定空家等

公布: 平成26年11月27日施行: 平成27年2月26日(※関連の規定は5月26日)

76

(図73)空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行状況

○「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成27年5月に全面施行。○8割以上の自治体で空家等に関する実態調査の実施を予定しており、約3割の自治体で空家等対

策計画の策定を予定(時期未定を含めれば7割以上が策定を予定)。

(出典)国土交通省・総務省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況調査」

○「空家等対策計画」の策定状況

※平成27年10月1日時点

○空家等に関する実態調査の実施状況 (実態調査において対象とした地域)

※平成28年10月1日時点

77

(図74)空き家対策総合支援事業

○空家等対策計画に基づき実施する空き家の活用や除却などを地域のまちづくりの柱として実施する市

町村に対して、国が重点的・効率的な支援を行うため、社会資本整備総合交付金とは別枠で措置。

①空家対策特別措置法に基づく「空家等対策計画」を策定している

②空家対策特別措置法に基づく「協議会」を設置するなど、地域の民間事業者等との連携体制がある

など

補助対象市区町村

【上記計画に基づく事業】・空き家の活用

(例:空き家を地域活性化のための観光交流施設に活用)

・空き家の除却(例:ポケットパークとして利用するための空き家の解体)

・関連する事業(例:周辺建物の外観整備)

など

補助対象事業

市区町村 等

事業主体

事業活用イメージ

・空き家を地域活性化のため、観光交流施設に活用

1/2 等

補助率 法定の「協議会」など民間事業者等と連携

空き家の活用 空き家の除却

市区町村による「空家等対策計画」に基づく事業を支援

Befor

e

After

Befor

e

After

・居住環境の整備改善のため、空き家を除却し、ポケットパークとして利用

78

密集市街地における火災時の延焼を防止するため、老朽木造建物を除却し、その跡地を災害時の地域の防災活動の場として活用するまちなか防災空地を平成24年度より整備。

平常時は広場・ポケットパークなどのコミュニティの場として利用されている。

まちなか防災空地整備事業(兵庫県神戸市)

(図75)老朽家屋等の除却による公共空間の整備

まちなか防災空地の事例(兵庫北部地区) (出典)神戸市HP

まちなか防災空地のスキーム

所有者等からの申請に基づき、空き家等の危険度を区が調査し、除却後跡地が行政目的に利用可能か区が検討。

所有者等が自ら除却を行い、区が200万円まで費用を補助。 所有者から区が跡地を無償で借り受け(原則10年間)、防災

用地、地域コミュニティの場等の用途で活用。

空き家等対策事業(東京都文京区)

老朽危険空き家に認定されたもののうち、所有者から、建物及び土地が市に寄附されたものを除却し、公共空地として整備をおこなっている。

なお、長崎市は空き家解体費用を補助する「老朽危険空き家除却費補助金」制度も行っている。

老朽危険空き家対策事業(長崎県長崎市)

町は所有者から老朽危険空き家の寄附を受け、除却・撤去を行う。

除却後の土地利用に関し、地域住民と協力し必要な活用及び維持管理を行う。

越前町安心で潤いのあるまちづくり事業(福井県越前町)

除却前 完了後

79

(出典)越前町除却前 完了後

(出典)文京区

除却前 完了後(出典)長崎市

(図76)空家等に関する情報提供や活用に向けた具体的な取り組み状況

(出典)国土交通省・総務省「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況調査」

○空家等に関する情報提供や活用に向けた具体的な取り組みとして、約7割の自治体で空き家バンクを開設している。

※上記選択肢のいずれかに取り組んでいると回答があった市区町村のみを対象に集計

68.3%

42.8%

1.7%

37.8%

0.4%

27.1%

0.7%

7.8%

8.7%

6.0%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

空き家バンクの開設

空家等に関する相談窓口の開設

空家等の改修・活用等のための事前検査

(構造検査等)費用に関する助成制度

空家等の改修・活用に関する助成制度

空家等の改修・活用に関する税制度

空家等の除却に関する助成制度

空家等の除却に関する税制度

空家等の改修・活用・除却を行うために専門事業者と連携

空家特措法3条の所有者等の責務を全うさせるための取組

その他

N=950

※複数回答

※平成27年10月1日現在

空家等に関する情報提供や活用に向けた具体的な取り組み

80

既に取組を実施済み39.3%(685)

現在取組を準備中、

又は今後実施予定19.5%(340)

取組を実施せず、今

後も実施予定はない40.0%(697)

無回答1.1%(19)

空き地・空き家バンクの実施状況

バンクを通じた成約実績等

【空き家バンクの具体的取組内容(市町村※;H25年度)】【空き家バンクの登録件数(市町村※;H26.1現在)】

【バンクの活用実績(市町村※)】 【物件情報の提供方法(市町村※;H25年度)】 【バンクの運営に係る課題(市町村※;H25年度)】

(土地)

(建物)

(出典)地方公共団体における空家等対策に関する取組状況調査(国土交通省、総務省・平成27年)より作成

【空き家バンクの実施状況(全市町村;H27年)】

45.2 0.87.3 40.9 6.5

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

賃貸と売買 賃貸のみ 売買のみ 取扱なし 不明

90.95.9

2.4

0.5

0.3

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

賃貸と売買 賃貸のみ 売買のみ 取扱なし 不明(出典)(一社)移住・交流推進協会「空き家バンクを

活用した移住・交流促進事業自治体調査報告書」

9.9 48.7 20.6 8.8 4.0

1.6

1.9

1.6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0件 1~9件 10~19件 20~29件

30~39件 40~49件 50~59件 60~69件

70~79件 80~89件 90~99件 100件以上

不明

15.2

15.8

11.5

4.0

29.7

59.1

10.2

39.3

0 10 20 30 40 50 60 70

その他

物件そのものの情報以外の情報(生活関連

情報)を入手、整備する時間・手間がない

審査や現場調査の実施能力・スキル不足

により、登録可否の適格な判断が困難

行政以外の運営主体では、所有者に

登録を依頼する際の信頼が得られにくい

居住可能な水準の空き家が少ない

地域内に空き家はあるが、賃貸等に

応じない所有者もいて登録数が少ない

地域内の空き家の絶対数が少なく、

登録可能な物件が少ない

地域内の空き家の状況を把握していない

ため、収集活動ができず登録数が少ない

8.3

13.7

47.0

3.5

50.0

8.9

89.0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

その他

宅建業者等の民間

業者による一般公開

情報提供依頼者

への資料送付

都市部(アンテナショップ

等)での一般公開・閲覧

役所窓口での

一般公開・閲覧

紙媒体での一般公開

HP上での一般公開

8.8 17.6 15.0 5.14.8

4.5 5.1 34.5

27.7 49.7 5.41.1

14.5

14.4 34.8 16.86.1

42.4 15.5

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0件 1~9件 10~19件 20~29件30~39件 40~49件 50~59件 60~69件70~79件 80~89件 90~99件 100件以上不明

(成約件数;H24年度)

(問い合わせ件数;H24年度)

(開設からの累計成約件数)

(出典) (一社)移住・交流推進協会「空き家バンクを活用した移住・交流促進事業自治体調査報告書」

※1740市区町村が対象。()内は市区町村数。

(注1)協会の調査において「空き家バンクを現在実施している」と回答した374市町村が対象

(図77)空き地・空き家バンクをめぐる状況

81

(図78)空き家対策に関する自治体と宅建業者の連携状況

○宅地建物取引業団体と空き家対策に関する連携協定の締結状況については、都道府県や市町村ごとに差がみられる。

宅地建物取引業団体と連携協定を締結している都道府県と市町村数

(出典)国土交通省

(注1)全国宅地建物取引業協会連合会及び全日本不動産協会に対し、空き家バンクに関する自治体との協定の締結状況を調査(平成27年9月実施)。調査の結果「協定を締結している」と回答があった数(団体の重複は除いている)。

(注2)都道府県に※がついているものは、全国宅地建物取引業協会連合会もしくは全日本不動産協会から「協定を締結している」との回答があった都道府県を示す。

市町村数

0

5

10

15

20

25

30

北海

道※

青森

岩手

秋田

山形※

宮城

福島

茨城

栃木※

群馬※

埼玉

千葉

東京

神奈

新潟

長野※

山梨

富山※

石川※

福井

岐阜※

静岡※

愛知

三重

滋賀

京都

大阪

兵庫

奈良

和歌

鳥取

島根

岡山※

広島※

山口※

徳島

香川※

愛媛

高知

福岡※

佐賀

長崎

熊本

大分

宮崎

鹿児

沖縄

82

(図79)空き家・空き地等の流通の活性化の推進

移住者に売却・賃貸

起業等の場として提供

◎空き家・空き店舗の再生

◎新たな消費・投資の喚起

施策の効果

○需給のミスマッチの解消や新たな需要の創出等により、空き家・空き地等の流動性を高め、有効活用を推進。

○具体的には、全国の空き家・空き地等の検索が可能な全国版空き家・空き地バンクの構築、空き家・空き地等の流通促進のために先進的な取組を行う団体等への支援を行う。

現状

地域の空き家等の流通モデルの構築

空き家等

将来像

○不動産流通市場活性化による経済効果の発現

○空き家・空き地等の有効活用の促進

不動産業団体等による効果的なマッチング

多様なニーズに応じた物件紹介など、消費者サービスの向上を推進

全国版空き家・空き地バンクの構築

・ 自治体ごとに仕様が異なり、一覧性がない

・ 検索や比較検討がしづらい

現状

・ 物件情報の掲載項目を標準化

・ 全国の物件が掲載され、ワンストップで多数の物件が検索可能に

・ 消費者のニーズに応じた検索が可能な仕組みを導入(物件の特徴等による条件検索など)

将来像

A市バンク

B市バンク

C町バンク

消費者

全国空き家・空き地バンク

民間の不動産情報サイト

情報の連携

自治体所有者

消費者

物件情報の集約

相談窓口

民間が運営

多数の人がワンストップで検索可能

協議会

・ 空き家等の有効活用や管理には、不動産取引の専門家である宅建業者等の協力が不可欠

・ 一部の地域において、不動産業団体等による対策が進みつつある

・ 空き家等の流通モデルの構築・普及に向け、関係者が連携して空き家等の流通促進のために先進的な取組を行う不動産業団体等を支援

<取組例>・ リフォーム提案と組み合わせた物件紹介・ 空き家等の管理による不動産価値の維持・ 遠隔地居住者向けの相談会の開催

等空き家等の需給のミスマッチを解消し、新たな需要を創出

など

マッチング機能が不十分

マッチング可能性が増大

83

① 市町村による空き家の特定・所有者調査(課税情報も活用)

② 空き家所有者に外部提供の意向確認③ 空き家所有者の同意④ 所有者情報を提供⑤ 事業者と所有者の接触

○ 空き家対策については、除却のみならず、流通を中心とした利活用の促進が必要であり、そのためには、宅地建物取引業者等の民間事業者との連携が重要。

○ 一方、空家特措法により、市町村の税務部局が保有する課税情報を、空き家対策のために市町村内部で利用できることとなったが、課税情報を含む空き家所有者情報は、そのままでは、民間事業者等の外部に提供できない。

○ このため、本年3月、市町村の空き家部局が収集・保有する空き家所有者情報を外部に提供するに当たっての法制的な整理等を内容とするガイドライン(試案)を策定・公表。今後、空き家所有者情報を活用するモデル的な取組を行う市町村への支援等を通じて、更に内容の充実を図る。

3 . 市 町 村 に お け る 先 進 的 な 取 組

2 . 運用の方法及びその留意点1 . 法 制 的 整 理

・ 「空き家部局に所属する者」が、所有者本人の同意の範囲内で税務部局から得た課

税情報を外部提供しても、地方税法の処罰

の対象になることはない。

・ 所有者本人の同意を得てその同意の範囲内で外部提供する限り、個人情報保護条例に抵触することはない。

・ 所有者本人の同意の範囲内で外部提供する情報は「秘密」にあたらず、地方公務員法に抵触することはない。

地方税法(秘密漏えい)との関係

個人情報保護条例との関係

地方公務員法(秘密を守る義務)との関係

① 情報の提供先例:〇〇協会△△支部及び所属事業者

② 提供先における利用目的③ 提供される情報の内容

例:氏名、連絡先、利活用の意向、物件情報等

空き家所有者の同意

民間事業者等との連携方法

(1)同意取得の相手方 : 所有者

(3)同意取得の方法 : 書面が望ましい

○ 市町村による民間事業者の登録制度や市町村と事業者団体との協定等が考えられる(市町村が積極的に関与)

○ 苦情対応やトラブル防止に配慮した仕組みづくりが重要

・ 市町村の先進的な取組事例(京都市、松戸市、太田市)を、そのスキーム図や実際に使用している同意書の書式等とともに紹介

事業者   所有者

税務部局

空家部局

③④

空き家所有者情報の外部提供スキーム(イメージ)

(2)同意取得の内容 :

・ 空家特措法により、課税情報を行政内部で利用できるようになり、当該情報を基に空き家所有者本人への接触も可能。

・ さらに、所有者本人の同意が得られれば、課税情報を含む所有者情報を外部提供することも可能。

平成29年度予算 (空き家所有者情報提供による空き家利活用推進事業 国費:0.38 億円)

民間事業者と連携して空き家所有者情報を活用するモデル的な取組を行う市町村を支援

(図80)空き家所有者情報の外部提供に関するガイドライン(試案)

84

1.地方税法との関係 2.個人情報の保護に関する条例との関係

・ 地方税法第22条において、地方税に関する調査等に関する事務に従事している者又は従事していた者がこれらの事務に関して知り得た秘密を漏らした場合等に処罰する旨規定。・ 空き家部局に所属する者は、「地方税に関する調査等に関する事務に従事している者又は従事していた者」に当たらない。・ このため、空き家部局に所属する者が税務部局から得た課税情報を外部提供しても、地方税法第22条に抵触しない。

【地方税法(抄)】(秘密漏えいに関する罪)第22条 地方税に関する調査(不服申立てに係る

事件の審理のための調査及び地方税の犯則事件の調査を含む。)若しくは租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律 (昭和44年法律第46号)の規定に基づいて行う情報の提供のための調査に関する事務又は地方税の徴収に関する事務に従事している者又は従事していた者は、これらの事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用した場合においては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

・ 市町村は、条例により個人情報の取扱いを規定。・ 全ての市町村で、個人情報保護条例を制定し、条例で個人情報の目的外利用・外部提供を制限。・ 一般的にその例外として、本人の同意がある場合を規定。当該規定のある市町村においては、あらかじめ所有者本人の同意を得て、その同意の範囲内で外部提供する限り、個人情報保護条例に抵触しないと考えられる。

【京都市個人情報保護条例(抄)】(個人情報の利用及び提供の制限)第8条 実施機関は、個人情報取扱事務の目的を

超えて、個人情報(特定個人情報を除く。以下この条において同じ。)を当該実施機関内で利用し、又は当該実施機関以外のものに提供してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。(1) (略)(2) 本人の同意があるとき。(3)~(5) (略)

2・3 (略)

3.地方公務員法との関係

・ 地方公務員法第34条第1項において、職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない旨規定。・ 「秘密」とは、「一般的に了知されていない事実であって、それを一般に了知せしめることが一定の利益の侵害になると客観的に考えられるもの」とされているところ、あらかじめ、所有者本人の同意を得て、その同意の範囲内で所有者情報を外部提供する場合、所有者本人の権利利益を不当に損なうおそれがあるとは認められないため、「秘密」に当たらない。・ このため、所有者本人の同意の範囲内で外部提供する場合は、地方公務員法第34条第1項に抵触しないと考えられる。

【地方公務員法(抄)】(秘密を守る義務)第34条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らして

はならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

2・3 (略)

※「特定個人情報」とは、個人番号(マイナンバー)をその内容に含む個人情報

(図81)参考1:法制的整理について○ 空家等対策の推進に関する特別措置法

・ 空家特措法第10条により、市町村の税務部局が保有する固定資産税の課税情報を、法律の施行のために必要な限度において、市町村内部で利用できるようになり、当該情報を基に空き家所有者本人への接触も可能となった。

【空家等対策の推進に関する特別措置法(抄)】(空家等の所有者等に関する情報の利用等)第10条 市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、この

法律の施行のために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。2・3 (略)

85

(図82)参考2:運用の方法及びその留意点、市町村の先進的な事例

● 民間事業者等との連携方法○ 市町村が積極的に関与するとともに、苦情対応やトラブル防止に配慮しな

がら、地域の実情に応じた仕組みとしていくことが必要。

【市町村が登録した者(例:京都市の空き家相談員)に情報提供する場合】

・ 実施要領等により、制度として定め、公開

・ 個人情報取扱いや登録抹消に係る規定の明示や、登録等事業

者への研修等によるトラブル防止、相談窓口設置による苦情対応

【民間事業者団体に情報を提供する場合】

・ 市町村と民間事業者団体間で協定を締結し、公開

・ 秘密保持違反の場合の対応等によるトラブル防止、相談窓口設

置による苦情対応等について、取り決め 等

① 駅周辺など利便性が高い地域等を重点取組地区に設定

② 課税情報も活用し,重点取組地区の空き家所在地及び空き家所有者を調査し,活用を働きかけ

③ 活用意向がある場合,地域の空き家相談員(宅地建物取引士)に取り次ぎ

概要

2.活用の働きかけ

空 き 家 所 有 者

都 市 計 画 局まち再生・創造推進室

行財政局税務部

京 都 市

重点取組地区

3.利活用の意向

地域の空き家相談員( 297名 )

4.相談員取り次ぎ(所有者同意が前提)

1.空き家調査

各種情報と現地調査に基づき特定

5.報告

情報提供

・駅周辺

500m圏内

・平成28

年度は,

4ヶ所(北

大路駅,二

条駅,丹波

橋駅,桂駅

周辺)設定

課 税 情 報

消防局

空 き 家 情 報

上下水道局

水道閉栓情報相談対応

● 空き家所有者の同意(1)同意取得の相手方

○ 同意取得の相手方は、空き家の所有者

○ 共有の場合は、共有者全員から同意を得ることが原則である

が、共有者の一部から同意を得られた場合には当該者の氏名や

連絡先を外部提供することは可能。

(2)同意取得の内容

○ ①情報の提供先、②提供先における利用目的、③提供される

情報の内容を明示の上、同意を取得することが必要。

○ 情報の提供先については、必ずしも個別の事業者名を記載す

る必要はなく、「○○協会△△支部及び所属事業者」などでの記

載も可能。

○ 空き家部局が他部局等から得た空き家所有者情報には、住所

や氏名の情報はあっても、連絡先(メールアドレス)や空き家等の

状況、空き家になった時期等の情報がない場合も多いため、こう

した情報を所有者から取得し、当該情報を提供することも有益。

(3)同意取得の方法

○ 後日のトラブル防止等の観点から、口頭ではなく、書面で行うこ

とが望ましい。

運用の方法及びその留意点

京都市の例

86

情報提供等

(図83)空き地等の管理・活用に向けたコーディネート機能の担い手①(イメージ図)

エリアマネジメントを行う事業体

所有者情報等を元に、エリアマネジメントにより地域のニーズを生み出し、利活用に繋げる

(例)株式会社、一般社団・財団、

まちづくり団体、NPO

空き地等の所有者

空き地の利用・管理主体

住環境改善や地域創生に資する用途に活用

(例)コモンズ、広場、駐車場、コンテナハウス(カフェ、商店等)、ポケットパー

ク、防災空地等

所有者の意向・情報

貸付け等

※エリアマネジメントを行う事業体が活動主体として管理・活用を行うこともあり得る※所有者情報等は所有者の同意を得て、活用

貸付け等

空き地等の管理・活用ビジョン

ビジョンに基づき活動協議会で合意の上、策定

市町村 市町村内の宅地建物取引業者等

官民一体のプラットフォーム(空き地等協議会(仮称))

活用のためのルール(ガイドライン)に基づき活動

マッチング

○エリアマネジメントを行う事業者が、地域の空き地等の活用を推進するため、市町村が策定する空き地等の管理・活用ビジョンに従って、空き地等所有者から利用・管理主体への橋渡し役として、また、事業体自ら管理・活用する主体として機能。

<市町村に特定のエリアマネジメント事業体が存在する場合>

情報・ノウハウ提供等の支援

チェック

87

※1 エリアマネジメント:地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組み(出典)国土交通省土地・水資源局「エリアマネジメント推進マニュアル」(平成20年3月)

借地権を設定し民営駐車場

公営駐輪場

市が転貸を受け、まちなか広場へ

土地を市から賃貸し、民営駐車場へ

使用権の入れ替え

民営駐車場と公営駐輪場の使用権を入れ替え、市がまちなか広場(駐輪場併設)を設置。

にぎわいが創出され、周辺商店街の空き店舗数が減少。

所有者の意思が疎通しないまま、短冊状の駐車場が別々に運営されている。

一体として利用することができれば、有効活用が期待される。

空き地等の情報をいち早くキャッチし、エリアのコンセプトに合わせて再利用。

先に借り受けて、エリアのコンセプトを守る。

空き地等のエリアマネジメントがある場合①

空き地等のエリアマネジメントがある場合②空き地等のエリアマネジメントがない場合②

空き地等のエリアマネジメントがない場合①

(図84)空き地等のエリアマネジメント(※1)の必要性

駐車場A

駐車場B

コンテナを設置し賑わい創出

借地権を設定し広場へ

借地権を設定し、集会所等を建設

借家権を設定し、転貸してフードコートへ

所有者にとって空き地の利用価値は無いが、古民家再生ホテルを行う事業者にとっては駐車場としての利用価値がある。

空き地と古民家再生ホテルをマッチングすれば、効果的な利用が可能。

古民家再生ホテル空き地

駐車場としての利用価値がある

88

(図85)空き地等のエリアマネジメントによる地方創生について

<空き地等のエリアマネジメントをしない場合> <空き地等のエリアマネジメントをする場合>

空き地等が増加し、まちが荒廃

空き地等の活用により、ビジョン達成に必要なスペースを低コストで供給

土地のニーズが生まれ、にぎわいや新規のビジネスが創出

空き地等の活用によりエリアの価値が向上

市場に出回らない空き地等の情報と賃貸借の意向等を集積し、エリアの空き地等をマネジメントすることにより、エリアの空き地等のニーズを生み出し、低コストで利用可能な土地を探している者に効果的に権利等を配分することで、地方創生や豊かな住環境を実現

空き地等の管理・活用に関する基本方針(市町村が策定する地域の利用・管理のビジョン)

休業中

公営駐輪場

空き地

空き家

空き家

空き地

フットサル場

一部売却し、道路へ• 空き地等が点在。所有者が地域外に在住。• まちに活気が無く、休業中の店舗がある。• 駅前駐車場用地が短冊状で活用が困難。 etc.

古民家(空き家)

P P

空き地 営業再開

交流館

交流広場

(駐輪場併設)

空き家を除却、空き地と一体整備隣のPをフットサル場利用者のPへ

古民家ホテル

リノベーション

リノベーション

古民家ホテル用Pへ

一部に残る空き家を除却し、コンテナや屋台、マルシェ、コワーキングスペース等、

土地をシェアすることにより、にぎわい創出

周辺に活気が戻り営業再開

交流館

土地所有者が個別に土地利用を考えると、土地のニーズは生まれにくい

空き家

エリアのビジョンと活動計画を策定、それに必要な空き地等のマネジメントを実施

空き地

管理が不十分で、雑草が生い茂っている

89

(図86)空き地等のエリアマネジメントによる地域価値向上の取組~ 一般社団法人ノオトによる古民家等再生の取組(兵庫県篠山市) ~

一般社団法人ノオト:概要

・本社は兵庫県篠山市、平成21年に設立・古民家等の活用を支援する中間事業者

全国から230以上の物件相談、7年間で60棟以上の古民家を再生

・地域再生推進法人(篠山市、朝来市)・ 国家戦略特区事業者(養父市、関西圏)・日本版DMO(地域連携DMO登録) など

<物件の運用・契約スキーム>

① それぞれの持主から賃貸・買取にて物件を集約② 物件単体ではなく、エリアで再計画・エリアマネジメントする③ 計画を元に、それぞれ異なる事業者をリーシング(誘致)

<事業のコンセプト>

<空き家・空き地等の活用事例>

before after

90

(図87)大都市郊外ニュータウンにおける地域住民主導によるエリアマネジメントの取組~NPO法人タウンサポート鎌倉今泉台による住環境向上の取組(神奈川県鎌倉市)~

NPO法人タウンサポート鎌倉今泉台:概要・設立経緯:

①平成23年から4年間の「長寿社会のまちづくりプロジェクト」を引き継ぎ、長期的な取り組みを行うため

②資金面での継続性を担保するため③先進的取組として、成功例、失敗例を開示するため

・活動範囲:今泉台地域を中心に鎌倉市全域・活動内容:

① 空き家バンクの運営、② 遊休駐車場の活用③ 空き家を利用したコミュニティーサロンの運営④ 空き地を利用した菜園の運営⑤ 空き家・空き地の草刈・枝払い等の整備保全活動⑥ 人材バンクの運営、⑦ 鎌倉リビング・ラボの運営等

・活動資金確保:① 会員登録費② リノベーション空き家のサブリースによる賃料収入③ 鎌倉リビング・ラボの運営 等

・他団体との連携:鎌倉市、今泉台自治会 、地元高校(ボランティア部)東京大学、横浜国立大学、民間企業((株) LIXIL) 等

○有償ボランティア等を活用した現地踏査(年1回)、遠方居住の住民への意向調査等の空き家・空き地の実態把握やマップ作成(見える化)の取組を実施。

<調査風景> <空き家・空き地マップ>

<庭の草刈> <菜園整備> <コミュニティルーム>

<鎌倉の「チベット」といわれる今泉台のまちの風景:高齢化率45.1%>

○NPO法人タウンサポート鎌倉今泉台の活動スキーム

空き家

空き地

準空き家別荘利用

菜園

コミュニティルーム

遊休駐車場の活用

持主A

持主B

持主C

賃貸・活用意向

空き地等をどのよう

に活用するか検討管理代行

NPO法人タウンサポート鎌倉今泉台

91

(図88)不動産特定共同事業法の一部を改正する法律(平成29年法律第46号)

○ 空き家・空き店舗等が全国で増加する一方で、志ある資金を活用して不動産ストックを再生し、地方創生につなげる取組が拡大しているが、不動産特定共同事業※に該当する場合には、許可要件が地方の事業者にとってはハードルが高く、見直しが必要。

※ 組合形式で出資を行い、不動産の売買や賃貸による収益を投資家に配当する事業。

○ 地方創生に資する事業での資金調達方法として、クラウドファンディングの活用が広がる中、不動産特定共同事業では書面での取引しか想定しておらず、電子化への対応が必要。

○ 観光等の成長分野を中心に質の高い不動産ストックの形成を促進するため、不動産特定共同事業制度の規制の見直しが必要。

クラウドファンディングに対応した環境整備

良質な不動産ストックの形成を推進するための規制の見直し

小規模不動産特定共同事業に係る特例の創設

○ 空き家・空き店舗等の再生・活用事業に地域の不動産事業者等が幅広く参入できるよう、出資総額等が一定規模以下の「小規模不動産特定共同事業」を創設。

○ 事業者の資本金要件を緩和するとともに、5年の登録更新制とする等、投資家保護を確保。

古民家を宿泊施設に改装して運営(明日香村おもてなしファンド)

【空き家等の再生・活用事業の例】

舟屋をカフェ・宿に改装して運営(伊根 油屋の舟屋「雅」 )

○ 投資家に交付する契約締結前の書面等について、インターネット上での手続きに関する規定を整備。

○ インターネットを通じて資金を集める仕組みを取り扱う事業者について、適切な情報提供等必要な業務管理体制に係る規定を整備。

【国内クラウドファンディングの市場規模推移】

○ プロ向け事業の規制の見直し・ プロ投資家向け事業における約款規制

の廃止。・ 機関投資家等スーパープロ投資家の

みを事業参加者とする場合の特例等の創設。

○ 特別目的会社を活用した事業における事業参加者の範囲の拡大

・ 一部のリスクの小さな事業(修繕等)における事業参加者の範囲を一般投資家まで拡大。

【特例事業の活用事例】旧耐震のホテルを建て替え、環境性能の高いホテルを開発

出典:㈱矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場に関する調査結果2016」

0

100

200

300

400

500

600

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度(見込み)

(億

円)

改正法の概要

背景・必要性

【目標・効果】地方の小規模不動産の再生により地方創生を推進するとともに、成長分野での良質な不動産ストックの形成を推進し、都市の競争力の向上を図る。

(KPI) 地方の不動産会社等の新たな参入 800社(2017~2022年)空き家・空き店舗等の再生による新たな投資 約500億円(2017~2022年)

※公布(平成29年6月2日)後半年以内施行

92

(図89)空き地等の管理・活用に向けたコーディネート機能の担い手②(イメージ図)

○空き地が多い地域で、特定のエリアマネジメント事業体が存在しない場合には、官民一体のプラットフォームによる連携を活かしつつ、市町村自らが空き地等の所有者と空き地の利用・管理主体との橋渡し等を行うセンターとして機能

情報提供あっせん依頼

空き地等の所有者

貸付け、管理委託等

空き地の利用・管理主体

情報提供等

空き地等の管理・活用ビジョン

ビジョンに基づき活動協議会で合意の上、策定

市町村 市町村内の宅地建物取引業者等

官民一体のプラットフォーム(空き地等協議会(仮称))

情報提供等 相談・情報提供等

マッチング

93

情報提供等

○空き地が多い地域で、地域の事情に最も精通する地域コミュニティが、官民一体のプラットフォームと連携しつつ、自らの合意形成(規約)に即して空き地等の所有者と空き地の利用・管理主体との橋渡しなどの中心として機能。

空き地の利用・管理主体

暫定利用・集約化への同意情報提供

空き地等の所有者

貸付け、管理委託等

地域コミュニティ空き地の管理・利用に関する方向等について合意形成( 規約を作成)個別具体の空き地について暫定利用・集約化を推進規約の実施状況をモニターし、適宜調整しつつ持続的に推進

ビジョンとの調整

空き地等の管理・活用ビジョン

ビジョンに基づき活動協議会で合意の上、策定

市町村 市町村内の宅地建物取引業者等

官民一体のプラットフォーム(空き地等協議会(仮称))

活用のためのルール(ガイドライン)に基づき活動

情報・ノウハウ提供等の支援

相談・情報提供

情報提供

マッチング

(図90)空き地等の管理・活用に向けたコーディネート機能の担い手③(イメージ図)

94

(図91)空き地等の管理・活用への橋渡し役が地域ごとに異なる場合(イメージ図)

空き地

空き家

エリアマネジメント事業体A

+空き地の利用・管理主体a~c

エリアマネジメント事業体B

(事業体自らが管理・活用主体として活動する場合)

地域コミュニティC

+空き地の利用・管理主体d,e

市町村主導による空き地の管理

■古くからの住宅地・ 高齢化~空き家・空き地化

の進行

■郊外住宅地・高齢化~空き家・空き地化の進行

■中心市街地・ 商店街で空き店舗発生・ 虫食い的な空き地発生

■中山間の農村・ 里山の管理ができない・ 高齢化~空き家・空き地化の進行

空き地等の管理・活用に関するビジョン

情報提供等

ビジョンに基づき活動協議会で合意の上、策定

市町村 市町村内の宅地建物取引業者等

官民一体のプラットフォーム(空き地等協議会(仮称))

情報・ノウハウ提供等の支援

95

個別の土地の所有者では直ちに利用に結び付けることが困難な空き地を、地域コミュニティにおいて住民が話し合い、空き地等の管理・利用の方向等について規約を策定し、市町村長の認定を受け、その下で個別具体の空き地等の暫定利用と集約化を推進し、時機を見て恒久的な利用へと展開。文字どおりの集約のみならず隣地取得にも活用。

<まちなか広場>

<空き家の活用>

空き地をまとめ、スポーツ施設や生活利便施設の敷地として利用

への提

【賑わい創出・地域の活性化

【豊かな住環境の形成

<将来>

空き家をリノベして、移住者の住居、民泊用に活用

空き地をまとめて、NPO等が広場を管理。コンテナハウスの設置等により、賑わいを創出

<スポーツ施設等>

除却

空空

空空

除却

公有地

暫定利用

短期の借地による空き地の利用

(併せて集約化)

空き家の所在する土地と空き地の権利を一括して移転することにより空き地の集約化

集約化

空 :空き地

空 :空き家

除却 :空き家除却後の空き地

(場所は入替え後)

(図92)空き地の暫定利用と集約化による活用促進について

96

(図93)基盤法に基づく農地流動化の促進(利用権設定等促進事業)

基本方針及び基本構想に従って農地利用の集積・集約化を図るため、市町村が農地の権利移動の計画(農用地利用集積計画)を作成して、公告すれば農地法の許可なしに権利が移動する事業。

1 農地法の適用除外① 権利移動許可(3条)② 賃貸借法定更新(17条)

2 所有権移転について市町村の嘱託登記 等

農業委員会による利用調整

・認定農業者・認定新規就農者

市町村による農用地利用集積計画の作成

(18条1~3項)作成を申し出(18条5項)

申し出(15条1項)

公 告(19条)

利用権設定等の効果が発生(20条)

作成を要請(15条4項)1.計画の内容が市町村基本構想に適合

すること2.利用権の設定等を受ける者の要件

① 農用地のすべてを効率的に利用して耕作すること

② 農作業に常時従事すること3.利用権を設定する土地について権利

関係者すべての同意を得ていること

農用地利用集積計画の要件

農用地利用改善団体

による調整

農業協同組合による調整

土地改良区による調整

受け手出し手

農地利用集積円滑化

団体による調整

利用権設定等促進事業の仕組み

共有農地については、共有持分の1/2超の同意で足りる。

市町村

(18条1項) 農業委員会の決定(15条4項を除く)

97(出典)農林水産省

(図94)担い手への農地集積/耕作放棄地の発生防止・解消の取り組み

(出典)農林水産省

① 地域内の分散し錯綜した農地利用を整理し担い手ごとに集約化する必要がある場合や、耕作放棄地等について、農地中間管理機構が借り受け

② 農地中間管理機構は、必要な場合には、基盤整備等の条件整備を行い、担い手(法人経営・大規模家族経営・集落営農・企業)がまとまりのある形で農地を利用できるよう配慮して、貸付け

③ 農地中間管理機構は、当該農地について農地としての管理

④ 農地中間管理機構は、その業務の一部を市町村等に委託し、農地中間管理機構を中心とする関係者の総力で農地集積・耕作放棄地解消を推進

手借受け

手貸付け

1. 農地中間管理機構の整備・活用 (法整備・予算措置・現場の話合いをセットで推進)

農地中間管理機構 (農地集積バンク)

○ 既に耕作放棄地となっている農地のほか、耕作していた所有者の死亡等により耕作放棄地となるおそれのある農地(耕作放棄地予備軍)も対策の対象とする。

○ 農業委員会は、所有者に対し、農地中間管理機構に貸す意思があるかどうかを確認することから始めることとする等、手続の大幅な改善・簡素化により、耕作放棄状態の発生防止と速やかな解消を図る。

○ 農地の相続人の所在がわからないこと等により所有者不明となっている耕作放棄地については、公告を行い、都道府県知事の裁定により農地中間管理機構に利用権を設定。

2. 耕作放棄地対策の強化

政策の展開方向

○ 今後10年間で、担い手の農地利用が全農地の8割を占める農業構造を実現(農地の集積・集約化でコスト削減)

目 標

98

(図95)農地法に基づく遊休農地に関する措置の概要

毎年1回、農地の利用状況を調査

○ 農業委員会が毎年1回、農地の利用状況を調査し、遊休農地の所有者等に対する意向調査を実施。

○ 意向どおり取組を行わない場合、農業委員会は、農地中間管理機構との協議を勧告し、最終的に都道府県知事の裁定により、同機構が農地中間管理権を取得できるよう措置。

○ 所有者が分からない遊休農地(共有地の場合は過半の持分を有する者が確知することができない場合)については、公示手続で対応。

利用意向調査

1年以上耕作されておらず、かつ、今後も耕作される見込みがない

周辺地域の農地と比較して、利用の程度が著しく劣っている

農地中間管理機構との協議の勧告

農地所有者等に対して、

① 自ら耕作するか② 農地中間管理事業を利用するか③ 誰かに貸し付けるか

等の意向を調査

遊休農地

所有者等を確知できない旨を公示

意向表明どおり

権利の設定・移転を行わない

利用の増進を図っていない

都道府県知事の裁定

耕作者不在となるおそれのある農地

耕作者の相続等を契機に適正な管理が困難となることが見込まれる

(出典)農林水産省HP99

不動産鑑定評価制度は、不動産市場の情報基盤として透明性向上に重要な役割を担っており、市場の持続的成長に適切に対応するため、更なる信頼性向上を図っていく必要がある。

また、「土地政策の新たな方向性2016」(平成28年8月 国土審議会土地政策分科会企画部会)において土地政策の新たな方向性として示された、不動産の最適活用や創造的活用といった社会のニーズに的確に対応していくためには、不動産鑑定士の質の向上及び活用促進など、不動産鑑定評価制度の一層の充実が求められる。

このため、不動産鑑定評価制度全般について改めて見直しを行い、当面講ずべき措置や中長期的な取組など、今後の不動産鑑定評価制度の課題等について幅広い検討を深めて頂くため、「不動産鑑定評価制度懇談会」を設置することとする。

趣 旨

(図96)不動産鑑定評価制度懇談会 設立趣旨

構 成 員

浅田 義久 日本大学経済学部 教授

稲野邉 俊 (公社)日本不動産鑑定士協会連合会 副会長

岡地 宏子 みずほ信託銀行(株)不動産コンサルティング部不動産鑑定室 室長

奥田 かつ枝 (株)緒方不動産鑑定事務所 取締役

杉本 茂 さくら綜合事務所 代表

田邉 信之 宮城大学事業構想学部 教授

内藤 伸浩 (一社)不動産証券化 協会 専務理事

中城 康彦 明海大学不動産学部 教授

◎山野目 章夫 早稲田大学大学院法務研究科 教授

横井 広明 (一財)日本不動産研究所 理事

横田 雅之 (株)東京証券取引所 上場推進部長

(五十音順、敬称略、◎:座長)スケジュール

第1回 平成28年8月29日第2回 平成28年10月28日第3回 平成28年12月20日第4回 平成29年2月14日第5回 平成29年3月13日

(中間骨子)第6回 平成29年5月31日第7回 平成29年7月4日

(最終とりまとめ予定)

100

(図97)土地基本法(抄) (平成元年十二月二十二日法律第八十四号)

(目的)

第一条 この法律は、土地についての基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の土地についての基本理念に係る責

務を明らかにするとともに、土地に関する施策の基本となる事項を定めることにより、適正な土地利用の確保を図りつつ正常な需

給関係と適正な地価の形成を図るための土地対策を総合的に推進し、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄

与することを目的とする。

(土地についての公共の福祉優先)

第二条 土地は、現在及び将来における国民のための限られた貴重な資源であること、国民の諸活動にとって不可欠の基盤であること、そ

の利用が他の土地の利用と密接な関係を有するものであること、その価値が主として人口及び産業の動向、土地利用の動向、社

会資本の整備状況その他の社会的経済的条件により変動するものであること等公共の利害に関係する特性を有していることにか

んがみ、土地については、公共の福祉を優先させるものとする。

(適正な利用及び計画に従った利用)

第三条 土地は、その所在する地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件に応じて適正に利用されるものとする。

2 土地は、適正かつ合理的な土地利用を図るため策定された土地利用に関する計画に従って利用されるものとする。

(国及び地方公共団体の責務)

第六条 国及び地方公共団体は、第二条から前条までに定める土地についての基本理念(以下「土地についての基本理念」という。)に

のっとり、土地に関する施策を総合的に策定し、及びこれを実施する責務を有する。

2 国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、土地についての基本理念に関する国民の理解を深めるよう適切な措置を講じなけ

ればならない。

(国民の責務)

第八条 国民は、土地の利用及び取引に当たっては、土地についての基本理念を尊重しなければならない。

2 国民は、国及び地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力するように努めなければならない。

(法制上の措置等)

第九条 政府は、土地に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。

101

(図98)不動産の寄附を受けることについての国の考え方

○ 国が国以外の方から土地等の寄附を受けることは、強制、行政措置の公正への疑惑等の弊害を伴うことがあるため、閣議決定(昭和23年1月30日)によって原則として抑制している。

○ しかし、前述の制限に反しないような寄附の申出があった場合、土地、建物については、国有財産法第14条及び同法施行令第9条の規定により、各省各庁が国の行政目的に供するために取得しようとする場合は、財務大臣と協議の上、取得手続をすることとなる。

○ 行政目的で使用する予定のない土地等の寄附を受けることには合理性がなく、これを受け入れることはできないと思われる。

(出典)財務省HP

国有財産法第14条 次に掲げる場合においては、当該国有財産を所管する各省各庁の長は、財務大臣に協議しなければな

らない。ただし、前条の規定により国会の議決を経なければならない場合又は政令で定める場合に該当するときは、この限りでない。一 行政財産とする目的で土地又は建物を取得しようとするとき

国有財産法施行令第9条 各省各庁の長は、法第十四条第一号 の規定により財務大臣に協議しようとするときは、次に掲げる事項

を記載した協議書に必要な図面その他の関係書類及び、 寄附又は交換の場合においては、願書又は承諾書を添付して、財務大臣に送付しなければならない。

参考

102

(図99)自治体の寄附の受入れと管理を行うべき主体に対する意識の違い

95.3%

2.5%

1.2%0.9% 0.1%

0.0%

空き地等の管理に関し、最終的に責任を追うべき主体

(H28年度自治体アンケート)

土地の所有者若しくはそ

の家族・親族

地方公共団体

その他

町内会や自治会、管理組

合など

NPO

4.5%0.2%

39.9%

53.8%

1.6%

自治体による寄附の受入れについて

空き地等に限らず寄附の受入制度・基準等を定めている

空き地等に限定された寄附の受入制度・基準等を定めている

特に定めはないが、寄附の申し出等に対応して都度検討している

原則として受入れは行っていない

その他

44.6%

15.4%

28.3%

0.2%4.3% 2.9%

4.4%

空き地等の管理に関し、最終的に責任を追うべき主体

(H28年度土地問題に対する国民の意識調査)

土地の所有者若しくはそ

の家族・親族国

地方公共団体

その他

町内会や自治会、管理組

合などNPO

わからない

○ 自治体の寄付の受入れについては、「原則として受入れを行っていない」が約5割を占めており、次いで、「特に定めはないが、寄付の申し出等に対応して都度検討している」が約4割を占めていた。

○ 空き地等の管理に関し、最終的に責任を負うべき主体については、自治体の大半が「土地の所有者若しくはその家族・親族」と回答する一方、土地問題に対する国民の意識調査では「土地の所有者若しくはその家族・親族」と回答する人が約4割を占めるものの、国や地方自治体といった行政を挙げるものも約4割を占めている。

103出典:国土交通省「空き地等に関する自治体アンケート」(平成29年2月20日時点) 出典:国土交通省「土地問題に対する国民の意識調査」(平成28年12月)

1 背景 ①土地の資産価値に対する強い意識 → 土地の保有・管理に対する関心の低下、負担感②伝統的な地縁・血縁社会の中での土地所有 → 先祖伝来の土地への関心の低下

2 相続登記等が行われないままの土地が存在

3 公共事業などで土地利用ニーズが生じると、問題が顕在化し、現場での対応は喫緊の課題

土地登記等の実務専門家(司法書士等)の団体、地方公共団体、法務省ほか関係府省等により、①現場の課題を丁寧に把握、②実践的な方策を検討、③施策分野横断的な、また関係機関が連携する取組を検討。

(図100)所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会(国交省政策統括官)

・特に市区町村で、探索に係るノウハウや人手の不足の問題

・地方公共団体において、財産管理制度の活用が国と比較すると低位

・認可地縁団体の登記の特例等、近年措置された制度の周知、活用が必要

・相続登記の申請、農地法に基づく届出、農協・森林組合への組合員変更の届出をはじめとした相続時申請及び各種届出の提出は十分に実施されていない

実施せず 一部実施 全て実施

農地 12.9% 76.6% 10.5%

森林 17.9% 76.0% 6.1%

【相続登記、各種届出の提出状況】

契約対抗件数注)1

不明土地による未契約件数

財産管理制度活用件数

地方公共団体注)2

73,476 363 19

国直轄 61,018 94 39

注)1 契約済み及び契約に至っていない件数注)2 平成25年度に全国9地区用地対策連絡(協議)会加盟起業者のうち、任意の

地方公共団体88団体(都道府県39、市町村等49)に実態調査を実施(国土交通省)

【H23年度に用地交渉後3年以上経過した契約対抗案件のうち、次年度までに財産管理制度を活用して契約等に至った件数】

注)居住地とは異なる市町村に農地・森林を所有している2,121名を対象に、「不動産登記簿への登記、市町村や農業委員会への所有者変更の届出、森林組合・農協への組合員変更の届出、市町村資産税部局への相続人代表指定届出」について、届出の状況についてインターネットアンケートを実施(調査期間平成23年8月~9月)森林法に基づく届出は、調査時点では施行前のため、届出の状況には含まれない

出典:平成23年度都市と農村の連係による持続可能な国土管理の推進に関する調査報告書(平成24年3月国土交通省国土政策局)

【市区町村建設担当部局において、所有者情報の把握の際に、苦労した点(上位5項目)〔複数回答〕 n=589】

注)平成27年度地域活性化に資する所有者不明の土地の活用に関する調査によるアンケート調査を一部改変〔速報値〕(国土交通省国土政策局)

1.多様な状況に応じた所有者探索や土地の利活用策に係るノウハウの横展開 2.所有者とその所在の明確化

探索にかかるノウハウがなく、手間と時間がかかった

298

所有者探索に割くことのできる人手がなかった 230

戸籍謄本等の交付等が認められなかった 101

住民票の写し等の交付が認められなかった 85

固定資産課税台帳の情報を提供してもらえなかった 65

平成27年4月「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討会」を設置。8回の検討を重ね、最終とりまとめ、ガイドラインを平成28年3月に策定・公表。その後の関係法令などの制度改正の内容等を反映し、平成29年3月にガイドラインを改訂・公表。(委員長:早稲田大学大学院山野目教授)

所有者の所在の把握が難しい土地とは:

不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても連絡がつかない土地

背景と趣旨

現状の整理と対策の方向性:

2.所有者とその所在の明確化

104

①所有者探索の円滑化 ②関連制度活用のための環境整備

ガイドラインの策定

・所有者の探索方法を事業別、土地の状況別に整理

・所有者の探索等に活用できる補助制度の紹介

現場の実務で活用されるガイドラインを目指し、事例の追加、現場での利用状況を踏まえた継続的な見直しを行う

・財産管理制度や認可地縁団体の登記の特例等、関連する既存制度の活用

・市区町村が専門家等に相談する際の相談窓口や費用

・制度活用等についての豊富な事例

円滑な探索のための環境整備

・保存期間を経過した住民票の除票、戸籍の附票の除票の活用(市区町村の判断によること、個人情報の長期間の保存となることに十分留意)

・戸籍の職務上請求の活用による事務負担の軽減

② さらに社会情勢の変化を踏まえた、新たな国土政策や土地制度についての長期的な視点からの政策論が必要

相続登記等の促進

・法務局と司法書士会が連携して、市区町村に対する、死亡届受理時等における相続登記促進のための取組についての働きかけ

・地籍調査説明会等の土地への関心が高まる各種機会を活用した働きかけ

① 上記改善策の取組状況についてフォローアップし、引き続き更なる改善を図る

1.多様な状況に応じた対応策に係るノウハウの横展開2.所有者とその所在の明確化

事例:きめ細やかな案内により届出が増加

京都府精華町では、土地所有者への死亡時の各種届出の案内を総合窓口で一元化するなど、きめ細やかな案内を行うことで届出件数が増加。

農地法に基づく届出件数の変化:

(実施前)2~3件/年

⇒(実施後)20件/年

今後に向けて

関連制度活用のためのサポート体制の構築

・弁護士会、司法書士会、土地家屋調査士会、行政書士会、不動産鑑定士協会連合会による所有者の探索や関連制度の活用に関する相談窓口の設置

・司法書士会での財産管理人の候補者リストの作成

対策

対策の方向性

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(図101)

第1章 一般的な所有者情報の調査方法1-1 登記情報の確認1-2 住民票の写し等及び戸籍の附票の写しの取得1-3 戸籍の取得1-4 聞き取り調査1-5 居住確認調査1-6 その他

第2章 個別制度の詳細2-1 不在者財産管理制度2-2 相続財産管理制度2-3 失踪宣告制度2-4 訴訟等2-5 土地収用法に基づく不明裁決制度2-6 認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例

第3章 土地の状況別の所有者情報調査の方法と土地所有者が把握できなかった場合の解決方法

3-1 所有権について時効取得を主張することができる土地3-2 相続に伴う登記手続が一代又は数代にわたりされていない土地3-3 所有権登記名義人等やその相続人が外国に在住している土地3-4 解散等をした法人が所有権登記名義人等となっている土地3-5 町内会又は部落会を所有権登記名義人等とする登記がされている

土地3-6 記名共有地3-7 共有惣代地3-8 字持地3-9 表題部のみ登記がされている土地3-10 未登記の土地

(図102)所有者の所在の把握が難しい土地に関する探索・利活用のためのガイドライン第2版目次

第4章 事業別の所有者情報の調査方法と土地所有者が把握できなかった場合の解決方法

4-1 社会資本整備4-2 農用地活用4-3 土地改良4-4 森林整備・路網整備等4-5 地籍調査4-6 地縁団体が行う共有財産管理4-7 その他の民間で行う公益性の高い事業

第5章 東日本大震災の被災地における用地取得加速化の取組5-1 地方公共団体の負担軽減のための取組5-2 財産管理制度の活用5-3 土地収用制度の活用

第6章 所有者の探索や制度活用に係る費用と相談窓口等について6-1 専門家に依頼できる業務内容について6-2 費用について6-3 補助制度について6-4 相談窓口について

第7章 所有者の所在の把握が難しい土地を増加させないための取組7-1 相続登記と所有者届出の促進7-2 情報の共有7-3 地籍調査結果の登記への反映等7-4 関連制度について(参考)

○除籍等が滅失している場合の相続登記○筆界特定制度の活用

巻末資料 事例集

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○米国では、主に人口が大幅に減少している中西部の工業地帯の地域中心都市において、ランドバンク(※1)が差押不動産、空き家・空き地対策、人口減少地区の安定化に取り組んでいる。

○ランドバンクの基本的使命の一つは多様な販売・利用ツールを用いて「未納物件を納税物件に戻すこと」である。○特に、2000年代に入ってミシガン州ジェネシー郡(中心都市はフリント市)に登場したGCLBA(Genesee County Land

Bank Authority)は、主体的かつ多角的な事業展開をし、他地域から、ランドバンクのモデルとされている。※1 「空き地、放棄地、差押不動産を利用物件に転換することに特化した行政機関」と定義。ミシガン州とオハイオ州を中心に米国に少なくとも88のラン

ドバンクが存在(2013年当初時点)。組織形態として、①行政の外郭機関、②公的な使命を担う民間非営利組織、③行政内部のプログラム等がある。

(出典)「米国ミシガン州ジェネシー郡におけるランドバンクの担う差押不動産、空き家・空き地対策の研究」(藤井、大方、小泉:都市計画学科 都市計画論文集 vol.48 No3 2013年10月)を基に、国土交通省作成

< ミシガン州ジェネシー郡におけるGCLBAの場合 >

(図103)米国におけるランドバンクの取組(概要)

・税滞納(delinquency)

・税滞納追徴(forfeiture)

・税滞納不動産差押(foreclosure)

○税滞納差押防止プログラム(講座の受講を条件に、税滞納不動産

差押を受けた所有者の継続居住)

○自治体等による競売前購入(州 → 自治体(市等) → ランドバンク

の順に実施)

○郡による税滞納差押物件の競売(2回実施)

・競売方法①:複数ロットの非一括化(単独物件での競売)

・競売方法②:複数ロットの一括化(バンドリングして競売 注1)

※売却できない場合(無償)

(注1)バンドリング物件は、GCLBAの申請に基づき、郡の競売実施部局(Treasurer)が指定する。ジェネシー郡の税滞納差押物件競売では、100を越えるロットがバドリングされることもある。

【バンドリングの対象となりうる要件】①空き地 ②建物解体を行う必要のある物件③居住者が現にいる物件 ④商業事業者が現にいる物件⑤街区の半数以上が放棄されている物件 等(バンドリング決定の理由は、①、②、③の順に多い)

1、2年度目

【税滞納~税滞納差押】

3年度目

【税滞納差押~税滞納差押物件の競売】

建物解体又は更地

建物修繕又は非修繕ラ

ンド

バンク

によ

の販

ンド

バンク

によ

の取

再開発

【物件取得~物件の販売・利用】

賃貸

建物付き販売

更地販売

空き地関連プログラム① (アドプト・ア・ロット)(adopt-a-lot、一時貸付け)

空き地関連プログラム② (空き地リース)

隣地居住者への優先譲渡(side-lot)対象:境界線の75%以上を接する税滞納の無い住宅居住者価格:敷地面積によらず25ドルを基本

概要:協定による無料の貸付け(1年更新)地域の団体によるコミュニティガーデン、都市農業への利用

概要:無料の貸付け(2~5年更新) ※①に加えて2011年に新設地域の団体等によるコミュニティガーデン、都市農業への利用

※ランドコントラクト販売(売主が買主に対してローンを用意する販売形態が2012年には件数で44.3%までに伸びている(2015年は7.2%)

※住宅困窮者向けに常時85戸の賃貸住宅経営が行われている(GCLBA創設時には想定されていなかったメニュー)

空き地関連プログラム③ (クリーン&グリーンプログラム)

ランドバンク自らの事業参画 等

概要:団体当たり3,000~4,500ドルの管理料をランドバンクから受け取り、地域

の団体等が空き地を管理運営(緑地、菜園、運動スペース等への利用)

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出典:国土交通省ホームページ

http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo02_hh_000100.html

http://www.mlit.go.jp/common/001190693.pdf

http://www.mlit.go.jp/common/001190692.pdf

http://www.mlit.go.jp/common/001190691.pdf