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省力作業を提供する イチゴの移動栽培ベンチ
農業・食品産業技術総合研究機構
生物系特定産業技術研究支援センター
主任研究員 林茂彦
作付面積 (ha)
収穫量(t) 産出額 (億
円) 施設面積割合
(%) 輸入量(t) *
輸入量割合(%) *
トマト 12,400 717,600 1,987 60.8 2,971 0.41
イチゴ 6,360 184,700 1,570 72.8 3,259 1.76
キュウリ 12,400 620,200 1,318 33.3 23 0.004
ナス 10,400 349,100 776 12.3 78 0.02
ピーマン 3,400 142,700 427 32.6 587 0.41
温州ミカン 46,100 786,000 1,292 - 10,908 1.39
平成21年度産 *平成22年度産生鮮野菜のみ
従来技術:果菜類の生産状況
※低温寡日照期に草勢管理が難しい 1)着果負担 2)休眠
※ 夏秋どり不可
※ 一戸あたりの栽培面積:24.7a ※ 栽植本数:7000~8000本/10a ※ 労働時間:2092h/10a ※ 収量:3~4t/10a
促成栽培(日本の一般的な作型)
従来技術:日本のイチゴ生産
育苗, 10%
耕うん・施肥, 2%
は種・定植, 4%
除草・防除, 4%
かん排水・保温換気, 3%
栽培管理, 25%
収穫, 23%
選別パック詰め, 27%
管理・間接労働, 1%
従来の高設栽培
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従来技術とその問題点
イチゴ栽培で実用化されている方法に、培養液を点滴供給する高設栽培という技術があるが、 作業台車を押しながらの作業であるため 作業者用の通路(90cm)が必要 等の問題があり、より省力的な作業体系が求められている。
横移送
縦移送
初期位置
初期位置
新技術:循環式移動栽培装置
栽培管理作業スペース
縦移送ユニット
横移送ユニット
防除ユニット
横移送ユニット
養液供給ユニット
栽培ベンチ
制御ユニット
養液供給ユニット
新技術:循環式移動栽培装置
不織布製給水芯
培養液
South North
4000 mm
2400 mm
4200 mm
車輪
排水用樋
シャワーノズル
主フレーム (φ22.2)
樋
新技術:栽培ベンチ
(資料:宮城県農園総研)
新技術:縦移送ユニット
レール
レール
回転用モーター
起立、倒伏 引き込み棒
引き込み用モーター
前後移動
速度可変 0.16~0.35m/s
タイミングベルトコンベア 機長:8050mm ベルト幅:50mm
(2列)
新技術:横移送ユニット
タイミングベルト
ストッパ
新技術:実証試験
栽植密度:16,000本/10a (慣行のおよそ2倍)
新技術:かん水ユニットと防除ユニット
地上部:1日2回 (120mL/株) 培養液の濃度:EC 0.8dS/m
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
章姫 もういっこ とちおとめ
収量
(kg/
a)
品種
移動栽培 慣行高設栽培
新技術:果実収量
(資料:宮城県農園総研)
0.0
2.0
4.0
6.0
8.0
10.0
12.0
14.0
章姫 もういっこ とちおとめ
糖度
(Brix%
)
品種
移動栽培 慣行高設栽培
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
章姫 もういっこ とちおとめ 酸
度(%
) 品種
移動栽培 慣行高設栽培
新技術:果実品質
(資料:宮城県農園総研)
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新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術の問題点であった、高設栽培におけ
る巡回作業を改善することに成功した。 • 従来は固定ベンチのため、収穫などの作業は
巡回作業に限られていたが、栽培ベンチを循環させることにより、定置作業が可能となった。
• 本技術の適用により、定位置での自動灌水や無人防除を行うことができ、面積あたりの収量が2倍程度まで増加することが期待される。
果実搬送装置
生育情報センシング
移動栽培装置
栽培管理ロボット
想定される用途:イチゴ植物工場
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想定される用途 • 本技術の特徴を生かすためには、環境制御
や人工光栽培と組み合わせることで密植移動栽培をベースとした完全制御型植物工場が構築できる。
• 上記以外に、生育モニタリングやメカトロ技術と融合させたICT生産技術も期待される。
• また、達成された植物工場生産に着目すると、店産店消や耕作不適地生産といった分野や用途に展開することも可能と思われる。
実用化に向けた課題:設置事例
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実用化に向けた課題 • 現在、移動栽培について技術提供・実施許諾
が可能なところまで開発済み。しかし、生育や収量を安定させる栽培技術の確立が課題である。
• 今後、収量・品質について実験データを蓄積し、品種や気象環境の異なる地域に適用していく場合の条件を明らかにする。
• 実用化に向けて、園芸施設(環境制御)と一体的に開発する必要がある。
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企業への期待
• 生育センシング技術やメカトロ技術を持つ、企業との共同研究を希望。
• また、施設園芸分野で栽培システム開発・販売を行っている企業、植物工場分野への展開を考えている企業には、本技術の導入を検討して欲しい。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :移動栽培装置 • 出願番号 :特願2008-228475 • 出願人 :(独)農研機構、宮城県 (株)誠和 • 発明者 :林茂彦、吉田啓孝、山本聡史、 岩崎泰永、漆山喜信、 奈古屋隆人、加納賢三
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産学連携の経歴
• 2006年-2008年 農水省「実用技術開発事業」に採択 宮城県、誠和、大阪府大、東北農研 と共同研究 • 2011年 東海物産と実施契約 • 2011年 三重県農業研究所と共同研究 • 2011年-2013年 ヤンマーGS社と共同研究 • 2012年-2014年 農水省「先端技術実証事業」に採択 宮城県亘理町山元町の復興支援