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34 11-2017
米国次期地上放送ATSC 3.0は何を目指すのか
NAB SHOW 2017ATSC 3.0にかかる期待
2017年4月25日、NAB SHOW 2017展
示初日。ラスベガスコンベンションセンター・セ
ントラル・エントランスホールには赤のフェラー
リが置かれ、傍らの大型モニターに市内ブラッ
クマウンテンから地上送信されたPBSの自然
番組4K映像が上映されていた。主催者であ
る全米放送事業者協会(NAB)が今年のメイ
ンテーマ“The M.E.T. Effect”(メディア・エン
ターテインメント・テクノロジーの収束効果)を
象徴するNEXT GEN TV HUBとして設置し
たのがATSC 3.0である〔写真1〕〔写真2〕。
ATSC:Advanced Television Systems
Committee(高度テレビジョンシステムズ委
員会)は米国の地上デジタル放送の規格策
定を行う組織である。1941年NTSC放送開
始から55年後の1996年ATSC 1.0がFCC
(連邦通信委員会)に承認され、1998年
から地上デジタル放送開始、2009年に完
全移行した(NTSC停波)。ATSC 1.0は欧
州・アジア・アフリカのDVB-T、日本・南米
のISDB-Tと並ぶ地上デジタル放送規格とし
てカナダ・メキシコ・韓国で導入されている。
2013年次世代地上放送としてATSC 3.0
規格策定作業が始まり2017年末までに確
定しFCCによる承認を受ける予定になってい
特別寄稿
る※1。本稿ではATSC 3.0の概要を紹介す
る前に、米国放送業界(地上放送局と多チャ
ンネル放送事業者)を取り巻く状況と、2000
年代以降のOTTやソーシャルメディアなどの
“Disruptive Innovation” (破壊的技術革
新)登場による視聴者動向の変化について
簡単に触れたい。
米国地上放送局の現状
米国各地の地上放送局は、デイタイム/
プライムタイム番組と全国ニュースを制作す
るネットワーク局(CBS、NBC、ABC、FOX、
CW)とシンジケーションから供給される番組
文:小原正光 株式会社NHKエンタープライズ グローバル事業本部 デジタル・映像イノベーション エグゼクティブ・プロデューサー
~背景と概要~前 編
〔写真1〕 〔写真2〕