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Invitrogen™ Applied Biosystems ® Gibco ® Molecular Probes ® Novex ® Ambion ® Ion Torrent™ ライフテクノロジーズ情報誌 NEXT 2 月号 2013 / February / No.17 DNA研究の60 DNA Anniversary Anniversary Interview 榊佳之 氏(国立大学法人 豊橋技術科学大学学長) P. 04 Ion PGM™ Template OT2 400 Kit Ion PGM™ Sequencing 400 Kit P. 05 Ion AmpliSeq™ Communityパネル Ion AmpliSeq™ RNAパネル P. 06 Total Exosome Isolation シリーズ P. 10 QuantStudio™ 3D デジタル PCR システム P. 11 人工遺伝子合成サービス P. 12 SensiCell™ 培地 P. 13 Essential 8™ 培地&ビトロネクチン(VTN-NP. 14 EVOS ® セルイメージングシステムシリーズ P. 15 リコンビナントプロテイン Qdot ® ナノクリスタルテクノロジー Trend Interview miRNA研究の新展開: 細胞間コミュニケーションを担う エクソソームから疾患研究へ 落谷孝広 (国立がん研究センタ-研究所 分子細胞治療研究分野 分野長)

DNA DNA Anniversary · 人工ヌクレアーゼによるゲノム編 集がNature のMethod of the Year 2011に選出 ベンチトップ型次世代シーケンサ 「Ion PGM™ システム」発売

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Page 1: DNA DNA Anniversary · 人工ヌクレアーゼによるゲノム編 集がNature のMethod of the Year 2011に選出 ベンチトップ型次世代シーケンサ 「Ion PGM™ システム」発売

Invitrogen™ Applied Biosystems® Gibco® Molecular Probes® Novex® Ambion® Ion Torrent™

ライフテクノロジーズ情報誌 NEXT 2月号2013 / February / No.17

DNA研究の60年

DNA AnniversaryAnniversary Interview

榊佳之 氏(国立大学法人 豊橋技術科学大学学長)

P. 04 Ion PGM™ Template OT2 400 Kit Ion PGM™ Sequencing 400 KitP. 05 Ion AmpliSeq™ Communityパネル Ion AmpliSeq™ RNAパネルP. 06 Total Exosome Isolation シリーズP. 10 QuantStudio™ 3D デジタル PCR システムP. 11 人工遺伝子合成サービスP. 12 SensiCell™ 培地P. 13 Essential 8™ 培地&ビトロネクチン(VTN-N)P. 14 EVOS®セルイメージングシステムシリーズP. 15 リコンビナントプロテイン Qdot®ナノクリスタルテクノロジー

Trend Interview

miRNA研究の新展開:細胞間コミュニケーションを担うエクソソームから疾患研究へ落谷孝広 氏

(国立がん研究センタ-研究所 分子細胞治療研究分野 分野長)

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Life Technologies

30億の化学文字。それらは私たちヒトを作り上げる、個性的で、ユニークで、周りの誰とも異なる文字列。生命の美しさと神秘を記す手紙です。1953年、ジェームスD.ワトソンとフランシス・クリックによる二重らせん構造の発見を機に、分子生物学が誕生。新しいツールボックスを手にしたことで、多くの研究者が華やかな研究成果を次々と上げてきました。そして2 0 1 3年。今年は、D N A構造発見から6 0年、PCR法発明から30年、ヒトゲノム解読終了から10年の記念の年。ライフテクノロジーズは、世界中の研究者とともに偉大なDNA研究という科学のマイルストーンをお祝いします。今日から始まる未来も、科学はとどまることなく進み続けるはずです。そして次のマイルストーンは、あなたによってもたらされるかもしれません。

DNA Anniversaryの詳しい情報は、特設サイトをご覧ください。www.lifetechnologies.com/dna60jp

DNA研究の60年科学のマイルストーンをともに祝いましょう!

DNA Anniversary

1953Francis CrickとJames WatsonがDNAの二重らせん構造を発見

1981Applied Biosystems Inc.設立

1986世界初の1レーンで4色蛍光を検出する自動DNA シーケンサ「ABI

370A」(ゲル板タイプ)発売

1987Invitrogen Corp. 設立

遺伝子単離とクローンの作製キット「The Librarian」発売

1989最初の組換えTa q酵素、A m p l i

Taq® DNA Polymerase発売

1991「Dye Primer/Dye Terminator

Cycle Sequencing Kit」発売

PCR産物のクローンを簡単に作成する「TA Cloning® Kit」発売

1995「ABI PRISM® 310ジェネティックアナライザ」( 1本キャピラリー)発売

PCR法によるDNAフィンガープリントがO.J.シンプソン事件で法廷証拠として採用

1972最初の組換えDNA研究がスタンフォード大学のPaul Bergらによって実現

1980Walter Gilbertと Frederick

SangerがDNA塩基配列決定の手法を開発した功績によりノーベル化学賞を共同受賞

1983Kary B. MullisがPCR法を発明

1990ヒトゲノムの全塩基配列を解読する「ヒトゲノムプロジェクト」が米国エネルギー省と米国立衛生研究所によって開始。

「DNA Thermal Cycler 480」(0.5mL, 48ウェルタイプ)発売

1993Kary B. MullisがPCR法考案の功績により、ノーベル化学賞を受賞

DNA History

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Life Technologies

1996世 界 初 のリア ルタイム

PCRシステム「ABI PRISM®

7700 Sequence Detection

System」発売

1998自動高速キャピラリーDNAシーケンサ「ABI PRISM ® 3700

DNAアナライザ」を発売、ヒトゲノムプロジェクト加速に貢献

「Big Dye® Terminator」発売

1999「Gateway® クローニング」発売。ベクター間でのDNA配列の組換えをin vitroで行う技術として遺伝子機能解析を加速

2007I n v i t r o g e nとA p p l i e d

Biosystemsの合併でLife

Technologies誕生

20121,000ドルゲノム時代到来!

「Ion Proton™システム」発売

効率的ゲノム編集技術「GeneArt® Precision TALs」発売

2013「QuantStudio™ 3D

デジタルPCR」発売

1997クローン羊“Dolly”誕生

データの公開に関するバミューダ原則が確立

2003ヒトゲノムプロジェクトの完了宣言

2004イネゲノム解読完了

2008世界中の1000人以上のヒトゲノムを解読する「1000人ゲノムプロジェクト」スタート

2011人工ヌクレアーゼによるゲノム編集がNatureのMethod of the

Year 2011に選出

ベンチトップ型次世代シーケンサ「Ion PGM™ システム」発売

FUTURE▶

到来!

テム」

術on TALs」

榊 佳之 氏(国立大学法人 豊橋技術科学大学学長)

1990年に開始されたヒトゲノム計画は、2001年2月の概要版発表を経て、2003年4月に解読終了。その時、6カ国の首脳と研究代表者は協同で解読完了を宣言しました。榊佳之氏は、日本代表として国際プロジェクトに参画し、21番染色体の解読を始め、ヒトゲノム計画に大きく貢献しました。DNA Anniversary記念インタビュー第一弾は、ライフサイエンス分野で初めてのプロジェクト型研究を推進した榊氏に、お話を伺いました。

研究者になったきかっけは何でしょうか?

父が研究者だったことや、熱心な高校の化学教師の影響で東京大学理科一類に進学しました。大学では生化学者の江上不二夫先生と出会い、研究への興味を抱きました。先生との出会いは大切ですね。決定的だったのは、大学時代に書籍部で何気なく手にした、ジャコブの「大腸菌の性と遺伝」(岩波文庫)という本。実験を重ね、データを丁寧に検討し、オペロン説を打ち立ててい

く、不屈の研究者の姿に魅了されたんです。そして遺伝子こそ生命の本質、その研究こそが私の進むべき道と確信しました。

研究人生のマイルストーンをあげるとすれば何でしょうか?

アメリカ留学で分子生物学、分子遺伝学を学び、帰国して数年後の1977年に九州大学の医学部へ異動したことが大きな転機でした。私は理学部の出身で、科学へ好奇心も強かったのですが、医学部で臨床応用を見据えた遺伝子の研究に取り組んだことで、病気と向き合い、人のために研究するという強い使命感が生まれました。それがヒトゲノム解読プロジェクトへの参画にもつながったと思っています。ヒトゲノム解読完了宣言も、マイルストーンの一つですね。

10年前の研究者としての思い出を教えてください。

もちろんヒトゲノム解読完了です。日本の研究者は、ヒトゲノム解読の重要性を早くから提唱していましたが、なかなか進まずにいました。それでも国際協力の体制を整え、バミューダー会議で情報公開の原則を確認し、国と交渉して大型予算や解読コアセンターを設置する等、多くの関係者と協力して様々な困難を乗り越えました。ヒトゲノム解読は、ライフサイエンス分野で初めてのプロジェクト型研究であり、それを経験できたことは本当に幸運でした。

科学や技術の進展を踏まえて、数十年後の未来をどう予測しますか?

DNAの二重らせん構造発見から60年、PCR法開発から30年ですよね。この数十年の変遷を体験した身として、未来予測はとても難しい。これから食糧・エネルギー・環境は避けて通れない問題となってくるでしょう。ただ一つ言えることは、科学における技術開発の重要性は、さらに増していくということです。振り返ると、1986年のアプライドバイオシステムズの自動DNAシーケンサの開発や、それに続く1998年の日立の技術を採用したハイスループットシーケンサの開発は、ヒトゲノム解読を計画通りに終了できた要因の一つでした。これからも技術開発と科学の進歩が、同調する時代が続きそうです。精緻な技術で細胞一個から発生や分化の分子機構を解明したり、合成生物学の手法で有用な微生物を創出するなど。時代が抱える問題を解決できる、科学と技術がさらに強く求められていくと思います。

榊 佳之(さかき よしゆき): 1942年愛知県生まれ。1971年東京大学大学院理学研究科博士課程修了(理学博士)。1985年九州大学教授、1992年東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長、2004年理化学研究所ゲノム科学総合研究センター長等を経て、2008年より現職。2002~2005年まで、HUGO(国際ヒトゲノム機構)会長。2005~2011年まで日本学術会議会員、2003年紫綬褒章受賞等。

参考資料"The DNA sequence of human chromosome 21" Nature

405, 311-319, (2000) Hattori M,et al.

ジャコブとウォルマン「細菌の性と遺伝」岩波書店 富沢純一・小関治男訳(1963)

Anniversary Interview: No.1

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Ion Torrent™

いよいよリード長 400bp へ!

ロングリードで広がるアプリケーション■ Ion PGM™ Template OT2 400 Kit

■ Ion PGM™ Sequencing 400 Kit

Ion PGM™ シーケンサで、リード長400bpのロングリードを可能にするキットです。微生物ゲノムの de novoシーケンスや16S rRNAのシーケンス、ヒトゲノムのHLAシーケンスやRNAシーケンスなど、1ランで得られる情報量が大幅アップ。新たな発見へと導きます。

▶ 大腸菌(DH10B)のゲノムアセンブリでN50、コンディグ数、コンディグ長を向上

シーケンサ サンプル名 リード長 カバレッジ N50(bp) コンティグ数 最大コンティグ長 シーケンス時間***

Ion PGM™ C19-543* 1 x 400 bp 54.48 98,521 158 323,010 9 hours

Ion PGM™ KER-1060* 1 x 400 bp 55.92 98,558 137 344,827 9 hours

Other None** 2 x 250 bp 57.59 95,592 173 292,598 37 hours

製品名 サイズ 製品番号 価格 Ion PGM™ Template OT2 400 Kit 8反応 4479878 ¥150,000

Ion PGM™ Sequencing 400 Kit 8反応 4482002 ¥96,000

Ion PGM™ Control Kit V2 3反応 4482010 ¥90,000

● de novo シーケンスde novoシーケンスにおけるN50、コンティグ数、コンティグ長が大幅に向上

● ターゲットリシーケンス16S rRNAやHLAなど、タイピングに不可欠なリード長を確保

● RNAシーケンスアイソフォームや新規転写産物の探索など検出範囲を拡大

▶ 400bpロングリード 対応アプリケーション ▶ 400bpロングリード とスルプット向上を実現

Ion PGM™ Sequencing 400bp KitとIon 318™ chipによる大腸菌DH10Bゲノムのシーケンス結果

* Ion Communityでデータ公開中 ** EdgeBiosystems社の公開データを利用し、Ion PGM™と同様のパイプラインで解析 *** ライブラリ完成後シーケンス終了までの時間

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NEW!

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▶ ご利用方法 最先端の研究者によりデザインされた Ion AmpliSeq™ Community パネルは Ion AmpliSeq™ Designerからご利用いただけます。

❶Ion Communityにて新規アカウントを作成 → ❷ampliseq.comからIon Communityアカウントでログイン → ❸「Panels」タブを選択し、「Community

panels」からパネルデザインを確認しご注文。より詳しくはwww.ampliseq.comをご覧ください。

がん研究のためのコミュニティーパネル 遺伝病研究のためのコミュニティーパネル

研究者コミュニティーから生まれたターゲットリシーケンスのための疾患パネル■ Ion AmpliSeq™ Communityパネル

AmpliSeq™ テクノロジーから、研究者のニーズを基に開発したコミュニティーパネルが登場。わずか10ngのDNAからマルチプレックスPCRでターゲット領域を濃縮後、次世代シーケンサで簡単に変異解析を行うことができます。各方面の最先端研究者コミュニティーから生まれた検証済パネルをどなたでもご利用いただけます。

■ Ion AmpliSeq™ Colon and Lung Cancer Panel結腸がんおよび肺がんに顕著な22遺伝子のホットスポットパネル

■ Ion AmpliSeq™ BRCA1/2 Panel遺伝性乳がん、卵巣がんに関与するがん抑制遺伝子B R CAおよびBRCA2のコード領域のパネル

■ Ion AmpliSeq™ TP53 Panel TP53遺伝子のエクソンとUTR領域の変異検出のためのパネル

■ Ion AmpliSeq™ AML Panel 急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia (AML))に顕著な21遺伝子のパネル

■ Ion AmpliSeq™ CFTR Panel嚢胞性線維症(CF症)に関わるCFTR遺伝子のエクソンおよびイントロン-エクソンジャンクション、UTR領域の変異検出のためのパネル

■ Ion AmpliSeq™ Cardio Panel心筋症、 チャネロパチー、不整脈、心臓の構造的疾患に関わる62遺伝子のエクソンとUTR領域の変異検出のためのパネル

■ Ion AmpliSeq™ RNA Cancer Panel

Ion AmpliSeq™ Cancer Hotspot Panel v2

の49遺伝子に対応するがん研究用パネル

■ Ion AmpliSeq™ RNA Apoptosis Panel

TaqMan®で検証済の270遺伝子のアポトーシス研究用パネル

■ Ion AmpliSeq™ RNA Custom Panel専用デザインページから自在に設計可能なカスタムパネル

AmpliSeq™シリーズがRNAのキャプチャーにも対応■ Ion AmpliSeq™ RNAパネル

AmpliSeq™テクノロジーに待望のRNAパネルが誕生。わずか10ngのTatal RNAからスタートし、目的の遺伝子発現をRNAで確認できます。一番手は、RNA Cancer Panel。Ion AmpliSeq™ Cancer Hotpanel v2収録遺伝子に対応します。今後、続々と新たなパネルを発売予定。ぜひご期待ください!

特長

■ 10ngのTotal RNAからスタート ■ FFPE、凍結組織からの抽出RNAに対応■ TaqMan™プローブを用いた定量PCR検出と高い相関性データより詳しくは www.lifetechnologies.com/ampliseqrna (2月中旬公開予定) をご覧ください。

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COMING

SOON!

COMING

SOON!

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「N o n - c o d i n g R N Aの一種であるmicroRNA(miRNA)は、生命現象の微調整役として多くの遺伝子やタンパク質の発現制御に関わっています。こうしたmiRNAの機能解析は細胞内が主な対象でしたが、数年前、エクソソームに内包されて細胞外に分泌されるmiRNAが報告されたことで、研究の流れが大きく変わってきました」。国立がん研究センター研究所の落谷孝広氏は、新たな局面を迎えたmiRNA研究についてこのように語ります。そして「例えば、がん患者と健常者では、エクソソームの量や分泌型miRNAのプロファイリングに大きな違いがみられ、その違いががんの新たなマーカーとして診断や治療法の開発に大きなインパクトを与えつつあります」と続け、「抗体医薬に続く、核酸医薬の時代」を予測します。エクソソームという小胞に内包されることによって、分解酵素が豊富な血中でも安定なmiRNA分子。その存在が基礎研究と臨床試験の垣根を取り払い、臨床応用を目指したmiRNAの疾患関連研究を大きく加速させています。miRNA研究に訪れた新展開を落谷氏にお聞きしました。

miRNAとエクソソームの出会いmiRNAの最初の発見は、1993年、線虫が持つlin-4でした。相補的な配列のmRNA

の翻訳を阻害する低分子miRNAの機能は、線虫に特異的な現象だと思われていました。

ところが2001年、同時に3つのグループが様々な生物種で約100種類のmiRNAを発見。それを契機に、miRNA研究は急速に進み始めます。そして細胞の分化や増殖、免疫、発癌など、多様な生命現象に関与していることが次々と報告されます。一 方 、エクソソ ー ム は 、1 9 8 3 年 にJohnstone女史が羊の網状赤血球から分泌された小胞に名付けたことが始まりです。当初は細胞内の老廃物の廃棄機構に関わると考えられていました。ところが2007年、スウェーデンのグループが、miRNAとともにmRNAやタンパク質がエクソソームに内包され、細胞外に分泌されることを報告しました。落谷氏は、「本来は壊れやすいRNAがなぜ血中に安定に存在するかを皆不思議に思っていました。我々もその論文を読んで本当に驚きました」と当時の衝撃を振り返ります。そして「エクソソーム中のmiRNAが、生体内でどのような役割を担うかを自分自身で確認したい」と研究を進めます。

細胞や個体を越えたコミュニケーションを担うmiRNA落谷氏は、2010年、研究員の小坂展慶氏(写真1)とともに、エクソソームによって細胞間を移動したmiRNAが受容側の細胞で機能すること、また母親の分泌型miRNA

が母乳を介して乳児に伝わることを報告します。落谷氏は、「母乳のm i R N Aには乳児の免疫系の成熟に関わるものが多く含まれていました。この結果から私たちは、miRNAが、細胞間、個体間のコミュニケーションを担う、とても重要な分子だということを実感しました」と当時の成果を説明します(1,2)。

核酸医薬品の開発研究へすでに海外では、miRNAを標的にしたC

型肝炎治療薬の臨床試験が順調に進み、miRNA創薬に特化した合弁会社も立ちあがっています。「これまで日本では先端研究

Invitrogen™

高収量・高純度のエクソソーム分離・回収へ■ Total Exosome Isolation シリーズ

手間や時間がかかる超遠心法と同等品質のエクソソームを短時間で抽出できます。Total Exosome Isolationは、わずか20分でエクソソームを抽出。さらにエクソソームからのタンパク質やRNA精製にはTotal RNA & Protein Isolation Kit、タンパク質解析にはExosome Immunopresipitaionがご利用いただけます。

Trend Interview

miRNA研究の新展開: 細胞間コミュニケーションを担うエク

(写真1) 小坂氏は、エクソソームによって運ばれるmiRNAが、受容細胞中で機能する事を世界で初めて発見したパイオニアの一人。がんの悪性化におけるエクソソームの役割とその治療戦略について研究中。

落谷孝広 氏 (国立がん研究センタ-研究所 分子細胞治療研究分野 分野長)

細胞の起源によって異なるが、エクソーム中には、100から300

種類のタンパク質、100種類前後のmRNA、そして200種類を超えるmiRNA等が内包されている。

06

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をすぐに臨床や創薬に活かすことにためらいがありましたが、今後は基礎研究の成果を安全かつ迅速に臨床へ活かすことが求められます。国立がん研究センターは、厚生労働省の『早期・探索的臨床試験拠点事業』に採択され、医薬品/がん分野のトランスレーショナルリサーチを強力に推進できる環境を整えました」と落谷氏。「この事業の一環で、治療が困難なTriple negative乳がんに対するRPN2を標的とした核酸製剤治療を臨床チームとともに進める予定です」と続けます。RPN2は、落谷氏らが2008年にがん幹細胞特異的な発現を報告した遺伝子(3)。今後RPN2に対するs iRNAの効果を核酸医薬品として臨床試験で検証していく予定です。こうしたトランスレーションナル研究を進めるにあたり、重要なのは,細胞レベルでの実験と動物個体の実験の一貫性ですが、落谷氏は自身の経験から、その異なる実験系でも高い再現性を保証するAmbion®の in vivo用siRNAシリーズの有用性についてもコメントされました。「また難治がんプロジェクトでは、これまで骨肉腫の予後はプロテオームやマイクロアレイによるmRNA解析では困難でした。しかしmiRNAで予測できる可能性があります。今後特定のmiRNAをバイオマーカーに、治療方針をサポートできるか検証していきたい」と続けます。さらに落谷氏は、特定の疾患だけでなく、幅広く疾患研究の基礎となる技術開発にも取り組み、研究員の吉

岡祐亮氏(写真2)とともにエクソソーム自体を新たなバイオマーカーとする診断技術の開発を進めています。がん細胞の分泌するエクソソームが「がんの浸潤や転移」に深く関与しているという報告が世界中で相次ぐ中、こうした独創的な研究が数々の新しい発見につながる事が期待されます。

miRNA/エクソソーム研究から広がる世界miRNAとエクソソームの関係は発見から数十年を経て明らかとなり、これまで予想だにしなかった斬新な医学研究を進める原動力なりつつあります(4-6)。標的mRNA

に対して、完全に一致した配列として合成されるs i R N Aと異なり、m i R N Aは標的側の結合部位の配列と必ずしも一致する必要はありません。ですから1:1で不可逆的にmRNAを分解するs iRNAに対して、

miRNAは複数のmRNAの「微調整」に関わっています。「生体内におけるmiRNAの微妙なバランスを、健康状態のバイオモニターとしても利用できるかもしれません。例えば唾液中のエクソソームでmiRNAの組成を調べ、その日の体調管理をするなど。診断や治療だけでなく、病気の予防や健康に役立つ研究にも力を入れていきたいですね」。落谷氏は、さらに広がるmiRNA研究の未来を見つめています。

参考資料1. microRNA as a new immune-regulatory agent in

breast milk.

Kosaka N. et al. Silence 1(1):7(2010)2. Secretory mechanisms and intercellular transfer

of microRNAs in living cells. Kosaka N. et al. J Biol

Chem. 285(23), 17442-52(2010)3. RPN2 gene confers docetaxel resistance in breast

cancer.

Honma K et al. Nat Med.14(9):939-48(2008)4. 実験医学 vol 29, no 3, 2011 ヒトの誕生,老化,疾患を運ぶエクソソーム(落谷孝広 企画)5. 遺伝子医学MOOK23 2012, 臨床・創薬利用が見えてきたmicroRNA(落谷孝広 監修)6. 細胞工学 vol 32, no 1, 2013, 疾患エクソソーム(落谷孝広 監修)

Invitrogen™

製品名 サイズ 製品番号 価格 Total Exosome Isolation (細胞培養上清) 50ml 4478359 ¥41,000

Total Exosome Isolation (血清) 6ml 4478360 ¥38,000

Total Exosome RNA & Protein Isolation Kit 40反応 4478545 ¥38,000

Exosome Immunoprecipitation (Protein A)* 1ml 10610D ¥22,000

Exosome Immunoprecipitation (Protein G)* 1ml 10612D ¥22,000

*別途、目的に応じた抗体が必要になります。

ソソームから疾患研究へ

(写真2) 吉岡氏(左)は、現在、ライフテクノロジーズのエクソソーム分離・回収キットを使用中。「超遠心法と比べても収量が比較的高く、少量の血清サンプルの場合は扱いやすいですね」とコメントします。右は共同研究者の小西由紀氏。

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Life Technologies

ターゲット解析 網羅的プロファイリング

機能解析

解析サンプル

始めませんか? microRNA研究ライフテクノロジーズがトータルソリューションで応援します。

タンパク質をコードしない、低分子のmicroRNA(miRNA)は遺伝子発現の微調整に関わり、発生や細胞増殖、分化など、様々な生物学プロセスに重要な役割を果たします。最近では、がんや代謝疾患、神経疾患、感染症など、ヒト疾病への関与も報告され、ますますホットな研究分野として注目が集まっています。ライフテクノロジーズは、多彩なmiRNA研究用製品で、新しい発見をお手伝いします。

細胞・組織

新規miRNA発見 発現解析

細胞※

FFPE切片血液 凍結切片

■ mirVana™ miRNA mimic

‘gain-of function’細胞内の目的miRNAの発現レベルを向上させます。

■ mirVana™ miRNA

inhibitor

‘loss-of function’内在性の目的miRNAに結合して阻害します。

■ Lipofectamine® RNAi MAX

miRNA mimicまたはmiRNA

inhibitorの細胞へのトランスフェクションに最適!

■ タンパク質解析(Western blottingなど)■ セルイメージング■ リアルタイムPCRシステム

■ Ion Total RNA-Seq Kit v2

10ngのトータルRNAまたは1ng

の精製済miRNAからスタート

■ 次世代シーケンサ Ion PGM™

システムわずか2時間でシーケンス完了

■ TaqMan® Array MicroRNA

Cards

384ウェル型カードにTaqManプローブとプライマーがロード済み

■ Megaplex primer Pools

3 8 4種類のm i R N Aを一本のチューブで同時に逆転写。Stem-

looped構造のプライマーを使用

■ リアルタイムPCRシステム

■ TaqMan® MicroRNA Assays

前駆型と成熟型miRNAを区別する正確な定量

■ TaqMan® MicroRNA RT Kit

専用の逆転写反応試薬

■ リアルタイムPCRシステム

■ mirVana™ miRNA Isolation Kit■Total Exosome Isolation シリーズ (細胞培養上清)

■ RecoverAll™ Total Nucleic Acid Isolation Kit

■ mirVana™ PARISTM Kit(血清・血漿)

■Total Exosome Isolation シリーズ (血清)

■ PureLink ™ miRNA Isolation Kit

リアルタイムPCRシステム タンパク質解析 セルイメージング製品詳細は、カタログとセレクションガイドをご覧下さい。

miRNA製品カタログStepOne™ システム

iBlot® ゲルトランスファーシステム

FLoid® Cell

Imaging stationViiA™ 7 システムQuantStudio™

12K Flex システムRNA精製・解析ツールセレクションガイド

抽出

次世代シーケンサで疾患バイオマーカーや病態解析用マーカー続々発見中

7桁のダイナミックレンジで個別miRNAを高感度検出

m i R B a s e情報に基づいた網羅的発現解析を、たった5時間で実施可能

ターゲットmiRNAの生体内での役割を解明

※in vivo用の製品についてはお問い合わせ下さい。

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Life Technologies

FFPE組織切片から回収したサンプルにおける網羅的miRNA解析フィールドアプリケーション・スペシャリスト 大滝真作

組織切片中の微量サンプルからの網羅的なmicroRNA (miRNA)の発現解析を試みる目的で、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片からLaser Capture Microdissection (LCM)で回収した微量サンプルを用いて、miRNAの網羅的発現解析を行った。このワークフローを使えば、出発量が1ng程度の微量なtotal RNAからでも数百種類におよぶmiRNA発現解析が可能であり、これまでアプローチできなかった断片化された微量サンプルから組織特異的なmiRNAの網羅的発現解析への応用が期待できる。

■ 微量FFPEサンプルからの網羅的miRNA解析ワークフロー

■ 実験方法

目的サンプルの回収及び total RNA の抽出ArcturusXT TM LCM Systemを用いてマウス腎臓FFPE切片(厚さ8μm)から、糸球体(直径約100μm)を約100個(Fig.1)、さらにほぼ同面積の皮質部位を回収した。次に各サンプルからAmbion® RecoverAll™ Kitを用いてtotal RNAを4.3ng回収した。このtotal RNA

は125bp 程度に断片化されたサンプルである事を確認した。

■考察

組織特異的なmiRNA発現解析は一般的にISH法で行われるが、一度に検出できるmiRNA数が限定されるため、網羅的な発現解析までは行えない。一方網羅的なmiRNA発現解析は、マイクロアレイ解析が一般的だが、通常100ng以上のtotal RNAが必要とされる。そのため組織切片から回収した断片化された微量サンプルでは、検出できない可能性が高い。今回、組織切片から目的部位を特異的に回収できるLCMシステムと、微量サンプルでも網羅的発現解析が行えるTaqMan® miRNA Arrayを組み合わせることで、糸球体特異的なmiRNAの網羅的発現解析に成功した。長

期保存したFFPE切片では、mRNAが分解するが、miRNAはサイズが小さいため、安定に保持されている可能性が高く、このワークフローを使えば、がん部位を含む組織切片から、がんと非がん部位を特異的に回収し、部位ごとのmiRNA網羅的発現解析への応用も期待できる。

Reference: 1) Podocyte-specific loss of functional microRNAs leads to rapid

glomerular and tubular injury. Ho J, Ng KH, Rosen S, Dostal A, Gregory RI,

Kreidberg JA. J Am Soc Nephrol. 2008 Nov;19(11):2069-75.

miRNA逆転写、cDNA増幅、TaqMan® miRNA Arrayを用いた検出 得られたtotal RNA をMegaplex™ Primer

Poolで逆転写後、Megaplex™ PreAmp

P r i m e rで増幅した c D N AとTa q M a n ®

Rodent miRNA Array Aを用いてViiA7リアルタイムPCRシステムで解析したところ、複数のmiRNAの増幅を確認できた (Fig.2)。

miRNAの網羅的データ解析TaqMan® Rodent miRNA Array A&Bを用いて、糸球体と皮質サンプル中の750種類のmiRNAに対する網羅的解析を行った。その結果、16種類のmiRNAが、皮質よりも糸球体で10倍以上高く発現していた(Fig.3)。特に mmu-miR-23bは、皮質よりも糸球体で55 倍も高発現していたが、その結果はin situ

hybridization(ISH)の報告(Ref.1)と一致することを確認した。

Technical Review

ArcturusXT TM LCM Systemは、回収したサンプルを位置関係を保ったまま確認できる。

Fig. 3 サンプル間のmiRNA量の比較

Fig. 1 LCMによるサンプル回収

LCM 前

FFPE切片

1.サンプル 2.回収 3.RNA抽出 4.逆転写・増幅・検出 5.測定

LCM 後 回収した糸球体

Fig. 2 miRNAの定量PCR曲線

■ Arcturus XT TM

LCM System

■ RecoverAll™ Total

Nucleic Acid Isolation

キット for FFPE

■ Megaplex™ Primer Pools & TaqMan® MicroRNA RT Kit(逆転写)■ Megaplex™ PreAmp Primers & TaqMan® PreAmp Master Mix(増幅)■ TaqMan® miRNA Array & TaqMan® Universal Master Mix II(検出)

■ ViiA™ 7 リアルタイム

PCR システム

■ 概要

▶ ▶ ▶ ▶

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第三世代の定量PCRとは?PCR 産物のゲル電気泳動を第一世代、リアルタイムPCR による定量PCR を第二世代とすると、デジタルPCR は第三世代の革新的な手法です。ピコリットルスケールのウェルにサンプルを分配し、ターゲット分子1コピーの存在をカウントして、定量します。標準曲線を必要とせず、高感度・高精度で絶対定量できます。低濃度サンプルやRare Variant 検出に、新たなアプローチとして期待されています。

Applied Biosystems®

チップベース、コンパクトサイズの第三世代定量PCR

■ QuantStudio™ 3D デジタル PCR システム

拡張性に富んだチップ技術を採用した、新しいデジタルPCR システムです。コンパクトなシステムなので、どこにでも設置可能。しかもチップベースのフォーマットでシンプルなワークフローを実現! 全てのラボに第三世代のPCR 技術をお届けします。

特長

■ 拡張性が高いチップ技術 ■ 20,000データポイントで解析■ シンプルなワークフロー ■ 貴重なサンプルを無駄なく定量

製品名 サイズ 製品番号 期間限定価格 QuantStudio™ 3D デジタルPCRシステム 一式 QS3D-01LP ¥4,800,000

[発売記念 期間限定パッケージ] ~2013年3月29日(金) 弊社受注分まで●システム本体、デュアル フラットブロック GeneAmp® PCRシステム9700 ●インスタレーション試薬 ●設置・基本取扱説明 ●1年保証付

[20,000データポイントを提供するチップベースのテクノロジー]拡張性に富んだチップを採用。従来のドロップレット技術とは異なり、均一な量の反応系で精度の高いデータを提供します。

[アプリケーション例]●がん研究──体細胞変異の高感度かつ特異的な検出●ウィルスの検出 ── 低レベルの存在を定量●qPCRの検証 ── 不明瞭なリアルタイムPCRの結果を検証

▶ シンプルなワークフロー

❶サンプル調製サンプルとマスターミックスを混合。

❸PCR

チップをサーマルサイクラーにセット、PCR開始。

❷サンプルアプライ専用のツールで簡単にサンプルをロード。

❹蛍光測定1分でリード完了。

お得!

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NEW!

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[これから始めるmiRNAハンズオントレーニング] のご紹介細胞からのRNA抽出~発現解析や機能解析まで、一連の解析フローをご体験いただけます。参加者からは「初心者向けで良かった」「機械や試薬を一通り使えた」「研究室に戻り、病理サンプルで試してみたい」との感想をいただきました。年間を通して、20数種類のトレーニングを実施中です。 最新情報・お申し込みは、 www.lifetechnologies.com/seminarsjp

追加したアイコンをダブルクリック。入力画面へ必要な情報を入力します。

ベクターマップをWEBで即確認!

■ 人工遺伝子合成サービス

特長

■ その場でベクターマップを確認 ■ カスタムベクターにも対応■ 配列情報のダウンロード機能(Vector NTI形式)

[価格や納期、サービス詳細は下記URLをご参照ください。] www.lifetechnologies.com → 「製品とサービス」 → 「GeneArt® 人工遺伝子合成」

▶ ご注文までの流れ ~シンプルな操作画面~

Webポータルサイトにログインし、人工遺伝子合成配列を入力後にサブクローニングアイコンを追加。

選択ベクターへクローニングした時のベクターマップが表示されます。確認後に「保存」ボタンをクリックし、注文画面へ進みます。「サブクローニングの概要」タブから全配列情報をダウンロードできます(Vector NTI形式)。「p c D N A 3 . 3」や「p c D N A 3 . 4」等、ベクターリストに掲載されていないinvitrogenベクターへのクローニングもご注文いただけます。詳しくは当社までお問合せください。

Invitrogen™

ご好評いただいているWebポータルサイトでは、人工遺伝子合成の最適化に加え、ご希望ベクターへのクローニングも同時にご注文いただけます。しかもWebポータルサイトでベクターリストに掲載されている各ベクターは、必要情報をご入力いただければその場でベクターマップが表示されます。人工遺伝子合成サービスと便利なWeb機能を、ぜひご活用ください!

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Gibco®

Gibco® から培養が困難な細胞に最適な培地が登場!

■ SensiCell™ 培地

いくつかの細胞株では、標準的な基礎培地での培養が難しく、生細胞率と細胞密度が低下してしまうことがあります。栄養成分が豊富なSensiCell™ 培地を使用すれば、このような扱いにくい細胞でもより健常な状態で長期間培養させることができるので、機能試験が改善され、細胞の性能が向上し、コスト削減にもつながります。最初にDMEM/F12、MEMおよびRPMI 1640の3種類のSensiCell™ 培地を発売します。ぜひお試し下さい。 ※SensiCell™ DMEMは近日発売予定です。

テストサンプルをを試してみたのですが、その違いに目を疑いました。2回継代しただけで、私の細胞はコントロール培地と比べ、ずっと健康になり、より優れた形態を示しました。培養が難しい細胞株を扱っている全ての方にSensiCell™

培地を試してみることをおすすめします。

製品名 サイズ 製品番号 価格 SensiCell™ DMEM/F12 500mL A1515501 ¥3,300

SensiCell™ DMEM/F12 500mL × 10 A1515502 ¥26,800

SensiCell™ MEM 500mL A1515601 ¥2,900

SensiCell™ MEM 500mL × 10 A1515602 ¥23,800

SensiCell™ RPMI 1640 Medium 500mL A1515701 ¥3,000

SensiCell™ RPMI 1640 Medium 500mL × 10 A1515702 ¥24,800

特長

■ 扱いにくいセンシティブな細胞の成長パフォーマンスを改善  ■ GlutaMAX™ サプリメント含有

▶ より高い増殖を実現します

サンプルをテストしたEllenさんのコメント

▶ 細胞機能を増強しますSensiCell™ RPMIは、ST-486細胞のTRAILリガンド機能を高めます①同じ細胞数でS/N比が増加②基礎培地に比べて、TRAILリガンドへの感度が約3倍増加

図1: 培養が難しい3種類の細胞株について、SensiCell™ 培地(●)と通常の基礎培地(●)で培養し、生細胞密度(実線)と生細胞率(破線)を測定しました:(A)および(B)HL-60(ヒト急性前骨髄性白血病細胞株)、(C)Caco-2(結腸直腸腺がん細胞株)、(D) ST-486(バーキットリンパ腫細胞株)

図2: バーキットリンパ腫ST-486細胞を、10%FBS を添加したSensiCell™培地、もしくは標準的な培地で培養。TRAILリガンドに対するアポトーシス応答とS/N比を比較した。

通常の培地と比較して、培養が困難な細胞株においてより高い増殖を示します。

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NEW!

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Gibco®

ヒトES/iPS細胞のフィーダーフリー、ゼノフリー培養を優れたコストパフォーマンスで!

■ Essential 8™ 培地 &ビトロネクチン(VTN-N)

多能性幹細胞培養に必要な8つのコンポーネントを配合し、ロット間差を低減しました。しかもリコンビナントのビトロネクチンと併用することでフィーダーフリー&ゼノフリー培養できます。日本語プロトコールはこちら → www.lifetechnologies.com/e8projp

製品名 サイズ 製品番号 価格 Essential 8™培地 500ml A14666SA ¥19,800

ビトロネクチン (VTN-N) 1ml A14701SA ¥5,000

■ フィーダーフリー培養への移行

「iPS 細胞をフィーダー培養からフィーダーフリー培養へ移行するときは、ちょっと気を使うんですよ。未分化の状態をうまく維持できるかどうか心配で…」。こう語るのは、再生医療研究室の福角氏。福角氏は室長の金村米博氏とともに、iPS細胞の安定的な培養技術の開発に取り組んでいます。「先月、Gibco®のEssential 8™ 培地とビトロネクチン(VTN-N)を試したところ、コロニーや細胞の形状も変化せず、未分化のまま培養できました(写真参照)」と続けます。以前、

れます」とフィーダーフリー培養のニーズを指摘します。そして「VTN-Nは室温でコーティングでき、価格的にも安心なので、気兼ねなく開発や検証に使用できそうです」とコメントします。

■ 今後の課題

「すでにこの条件で数回継代し、形態的に未分化状態を維持することを確認しました。今後、数十回の継代を経てもこの状態を維持できるか、遺伝子発現も確認しつつ検証できればと思います。そしてこの系をiPS 細胞の樹立にも試してみたいですね」と福角氏。iPS細胞の安定な培養技術は、臨床や創薬だけでなく、広く基礎研究の発展にも寄与します。再現性の高い iPS細胞実験に欠かせない、福角氏ら技術開発の進展に期待が高まります。

参考文献(1):1.Feeder-free generation and long-

term culture of human induced pluripotent stem

cells using Pericellular Matrix of Decidua derived

Mesenchymal cells Fukusumi, H. et.al PLoS ONE

(in press)

福角勇人 氏 (大阪医療センター臨床研究センター先進医療研究開発部)

i P S細胞のフィーダーフリー培養技術の開発に向けて-iPS細胞用完全合成培地 Essential 8™ とビトロネクチンを検証中!

User's Voice

フィーダーフリー培地への移行に苦労したこともあったので、スムーズな移行を少し意外に感じたそうです。■ フィーダーフリー培養は、なぜ必要とされるのか?

「これまでヒトES/iPS細胞の樹立/維持培養では、マウス繊維芽細胞とのフィーダー培養がもっとも安定的だとされてきました。最近、私たちはフィーダーフリー培養でも iPS細胞を安定に樹立 /維持する方法を開発しました(1)。今後、臨床応用を目指すのであれば異種動物由来成分の除去が、ドラッグスクリーニングであれば iPS以外の細胞の共存を避け、自動化することが望ま

Essential 8™ 培地とVTN-Nで培養した5継代目のヒトiPS

細胞。写真提供:福角氏

教育CSR大賞2012「イベント募集部門賞」を受賞しました!Gibco® 50周年を記念して実施した、高校生向け実験教室「幹細胞研究に挑戦しよう!」が、リバネス株式会社主催の教育CSRの賞をいただきました。昨年12月22日の授賞式には、多くの教育関係者も参加。2013年もぜひ開催してほしいとの要望をいただきました。私たちも高校生と熱い2日間を今年も過ごしたいと思っています。

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EVOSⓇ XL Core EVOSⓇ XL EVOSⓇ FLoidⓇ EVOSⓇ FL EVOSⓇ FL Auto

カメラ カラー カラー モノクロ カラー/モノクロ 選択可能 カラー&モノクロ切り替え

搭載可能レンズ 4スロット 5スロット 20倍固定 5スロット 5スロット

明視野 ○ ○ × ○ ○

位相差 ○ ○ △レリーフフェーズ ○ ○

蛍光 × × ○ ○ ○

Light cube ×落射 ×落射 3色固定 4つ(交換可能)*1 4つ(交換可能)*1

タイムラプス × ○ × ○ ◎多点

細胞カウント × ○ × ○ ○

自動スキャン・フォーカス × × × × ○

スケールバー × ○ △撮影前のみ ○ ○

画像の拡大 × ○ × ○ ○

サイズ(WXDXH cm) 31.8X40.6X55.3 35.5X47.0X57.8 40.4X35.3X53.6 35.5X47.0X57.8 34.3X47.2X32.2

重量(kg) 9.1~10 15.3 11.8 15.3 20

LCD Display(inch) 12.1 15 15 15 22

Life Technologies

"ALL-IN ONE" セルイメージングツール フルラインナップ!

明視野、位相差から暗室不要のハイスペック蛍光観察まで■ EVOS®セルイメージングシステムシリーズ

■ 明視野、位相差対応のエントリーモデル(XL&XL Core)■ 同時に3つの蛍光チャネル+明視野、位相差対応モデル(FL&FL Auto)■ 蛍光や位相差など豊富な種類から選択可能な対物レンズ■ 画像ソフトウェア内蔵で、その場で簡単に画像確認■ メンテナンスフリー、50,000時間+αのLED照明■ 培養フードおよび安全キャビネット内に設置できるコンパクトサイズ■ タイムラプス、画像オーバーレイ、細胞数計測、トランスフェクション解析も可能

暗室不要、簡単操作、迅速起動と三拍子そろったFLoid®セルイメージングステーションが、さらにラインナップを充実。培養室や安全キャビネット内にもコンパクトに設置、観察できるモニタータイプ。迅速起動で、待ち時間ストレスも感じません。

*2 FLoid® はカスタマイズ不可です。 *3 カラーはオプション

製品名 対物レンズ Light CubeメカニカルXYステージ

カメラ ファイル形式 製品番号 価格

EVOSⓇ XL Core system4XPh,10XPh,20XPh - -

カラー 24bit TIFF,PNG,JPG,BMP

AMEX-1100 ¥810,000

4XPh,10XPh,20XPh,40XPh -○

AMEX-1200 ¥985,000

EVOSⓇ XL system オプションで追加可能 - AME-3300 ¥1,145,000

EVOSⓇ FLoidⓇ station*2 20倍固定 FITC,Texas Red,DAPI - モノクロ 16bit TIFF,PNG,JPG,BMP 4471136 ¥1,980,000

EVOSⓇ FL system4XFl_Ph, 10XFl_Ph

20XFl_Ph, 40XFl_PhGFP,RFP,DAPI ○ モノクロ*3 16bit TIFF,PNG AMF-4302 ¥3,200,000

*1 明視野なしの場合

Ordering Information (組み合わせ例) 下記は一部の例です。アクセサリーパーツは多数ありますので、カスタマイズ可能です。

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Novex® / Molecular Probes®

抜群の明るさと安定性を誇る蛍光テクノロジー■ Qdot®ナノクリスタルテクノロジー

Qdot ®プローブシリーズは、非常に鮮やかで光安定性の高い蛍光標識。細胞染色やフローサイトメトリーにおける細胞表面マーカーの検出、in vivo研究など、様々な細胞解析アプリケーションの実績があります。さらに、ほとんどのQdot®プローブがVIVID®テクノロジーで従来よりも明るく改良されました。さまざまな色調の彩度の誤差が軽減し、マルチプレックスアプリケーションを簡素化します。

続々追加中!

■ リコンビナントプロテイン

続々追■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリコココココココココココココココココココココココココココココココココココン

Sino Biological社と提携し、研究にすぐに役立つ多種類のリコンビナントプロテインを取り揃えました。サイトカイン、増殖因子とその受容体、結合タンパク質、CDタンパク質、受容体型チロシンキナーゼ、インフルエンザなど、お得な価格、使いやすいサイズで提供します。

特長

■ 高純度、低エンドトキシン■ 5μg、25μg、50μg、250μgと選択幅の広い包装サイズ■ 豊富なラインナップ、研究に最適なプロテインをチョイス可能■ ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、サルなどのプロテイン■ ほとんどは哺乳類細胞で発現したプロテインです

特長

■ 単一励起波長による多重蛍光分析■ 各蛍光色素での優れた検出分離性能■ 有機蛍光色素を凌ぐ、抜群の明るさ■ 生細胞イメージング、細胞動態研究に最適な長期光安定性■ 保存標本の長期観察に最適

[Top 10 Innovations 2012] The Scientists誌の "Top 10 Innovations 2012" において、ライフテクノロジーズの Ion Proton™ システムが第2位に選ばれました! 理由は、半導体技術による1000ドルヒトゲノム解読や医学研究推進への大きな可能性です。http://p.tl/l7Qk

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お得なキャンペーンも実施中!

製品リストはこちらからwww.lifetechnologies.com/rp

お得なお試しキャンペーン 実施中! 製品リストはこちらから → www.lifetechnologies.com/Qdotjp

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INFORMATION

学会展示会・セミナー

最新情報はwww.lifetechnologies.com/eventsjp/

セミナー・ワークショップ

ライフテクノロジーズジャパンでは最新技術のご紹介や、いろいろなテーマのセミナーや技術講習会を定期的に行っています。最新情報・詳細・お申し込みはwww.lifetechnologies.com/seminarsjp/

販売店

LFT041-A1302OB

www.lifetechnologies.com※記載価格は2 0 1 3年1月現在の価格です。消費税は含まれていません。価格は予告なしに変更する場合がありますのであらかじめご了承ください。 ※本文中のオーダリングインフォメーションで マークがついている製品はアプライドバイオシステムズブランド、  マークはインビトロジェンブランドでお取り扱いしています。 販売条件はこちらをご覧ください。www.l i fetechnologies.com/TC ※研究用にのみ使用できます。診断目的及びその手続上での使用は出来ません。 ※記載の社名および製品名は弊社または各社の商標または登録商標です。The trademarks mentioned herein are the property of Life Technologies Corporation or their respective owners.

TaqMan is registered trademark of Roche Molecular Systems, Inc. Used under Permission and license.

©2013, Life Technologies Japan Ltd. All rights reserved. Printed in Japan.

ライフテクノロジーズジャパン株式会社〒108-0023 東京都港区芝浦4-2-8 住友不動産三田ツインビル東館TEL.03(6832)9300 FAX. 03(6832)9580

ウェブサイト: www.appliedbiosystems.jp www.invitrogen.jp

読者アンケートにご協力ください。2013年最初の「NEXT」はいかがでしたか? 巻頭は、DNA Anniversaryの記念インタビュー。榊佳之氏にヒトゲノム計画にまつわる想いをお聞きしました。当時、大学の近くのホテルで泊まり込みながら、夜を日に継いで交代制で解析した様子が印象的でした。また大きな注目を集めるmicroRNAやiPS研究のインタビューは、これからの進展も楽しみです。ぜひ感想をお寄せ下さい。抽選で10名様に2,000円分のQuoカードをプレゼントします。アンケートはこちらから → URL: www.surveymonkey.com/s/NEXT17

なお本誌は、PDFでもご覧いただけます。下記ページからアクセスください。バックナンバーや抜粋記事も掲載しています。 → URL: www.lifetechnologies.com/nextforum

抽選でQUOカードプレゼント!

NEXT No.17 / 2013 / February

DNA Anniversary: DNA研究が創造する10年後の未来?第35回分子生物学会年会、ライフテクノロジーズのブースにおいて700人を超える方に10年後の未来をつぶやいていただきました。今後、DNA Anniversary特設サイトで、他のユニークなつぶやきを紹介予定です。そして次回も楽しい「つぶやき」が集まることを期待しています!

ブースではライフテクノロジーズのDNAヒストリーも展示。懐かそうに写真を撮る方も見かけました。

様々な動植物のDNAがチップとして販売され、例えば鳥の翼を作る遺伝子セットのDNAチップを使用すれば自分の体内に取り込まれアクセサリーとして羽をはやすことができる。このようなDNAアクセサリーチップが販売される未来になるだろう。(popopoさん)

10年後には、臨床への応用が盛んに進んでいて、若者からお年寄りまで、スマートフォンなどの媒体を用いて、自分の病気や状態について詳細に知ることができる時代になっていると良いな。(193.5さん)

将来の化粧品業界での研究は、DNA情報を用いた研究が主流になるだろう。肌の状態をゲノム情報から読み取り、不足している部分をケアする! ちなみに私も(10

年後の自分も)その研究でキレイになってる…はず?(Deshiさん)

DNA研究を利用した犯罪に理系捜査官が立ち向かうことが当たり前となっていく社会。(tamaさん)

真剣に「つぶやき」を記入中。

[DNA Anniversary特設サイト] lifetechnologies.com/dna60jp