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調査目的と実施要領等 1 調査結果 ゆるやかな起業家の属性 3 事業の状況 6 起業に対する評価 12 まとめ 16 2019 2 4 日本政策金融公庫 <問い合わせ先> 日本政策金融公庫 総合研究所 小企業研究第一グループ TEL 03-3270-1687 担当 桑本、青山 ゆるやかな起業 の実態と課題 ~「起業と起業意識に関する調査(特別調査)」結果から~ (※)「ゆるやかな起業家」の定義はp.1を参照 (※)

ゆるやかな起業 の実態と課題Ⅰ 調査目的と実施要領等 1 Ⅱ 調査結果 1 ゆるやかな起業家の属性 3 2 事業の状況 6 3 起業に対する評価 12

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Ⅰ 調査目的と実施要領等 1

Ⅱ 調査結果

1 ゆるやかな起業家の属性 3

2 事業の状況 6

3 起業に対する評価 12

Ⅲ まとめ 16

2019 年 2 月 4 日日本政策金融公庫総 合 研 究 所

 <問い合わせ先>   日本政策金融公庫 総合研究所   小企業研究第一グループ   TEL 03-3270-1687   担当 桑本、青山

ゆるやかな起業 の実態と課題

~「起業と起業意識に関する調査(特別調査)」結果から~

(※)「ゆるやかな起業家」の定義はp.1を参照

(※)

Ⅰ 調査目的と実施要領等

1 調査目的

2 実施要領

(1)調査時点 2018年9月

(2)調査対象 全国の18歳から69歳までの男女

(3)調査方法 インターネットによるアンケート(事前調査と詳細調査の2段階)インターネット調査会社から登録モニターに電子メールで依頼し、ウェブサイト上の調査画面に回答者自身が回答を入力。

① 事前調査 … 本調査の調査対象に該当するかどうか等を判別するための簡易なアンケート

② 詳細調査 … 調査対象の該当者に対して行う詳細なアンケート

<調査対象の選別方法> <「ゆるやかな起業家」の定義> <回収数>(単位:人)

合 計

A 群

B 群

(注)1 事前調査(A群)の調査対象は、性別、年齢階層(10歳きざみ)、地域ブロックの割合が人口構成に準拠するように、回収数を設定した。

   2 事前調査(B群)は、「起業家」のサンプル数を確保するために、その出現率が高いと思われる属性をもつ人に対して行ったものである。

   3 ゆるやかな起業家の定義の選択肢は、「大いにこだわる」と「多少こだわる」を合算して「こだわる」、「こだわらない」と「あまりこだわらない」を合算して「こだわらない」、

     「最も重視する」と「ある程度重視する」を合算して「重視する」、「重視しない」と「あまり重視しない」を合算して「重視しない」とした。

   4 比較対象の「起業家」には、分析対象の「ゆるやかな起業家」を含まない。「勤務者」にはパート・アルバイトを含み、現在も勤務している起業家は含まない。

重視する 重視しない分析対象 比較対象

①比較対象

  起業家

 ゆるやかな

  起業家を除く

 ※ゆるやかな

 起業家

  バイトを含む

 ※パー

ト・アル

 勤務者

0

18,206

事業経営経験の有無

現在事業を経営している

    

したか

  

自分が開業

自分が開業した事業である

開業年

2012年以前

②仕事の目的として、「自分の好  きなことを自分でやること」を  重視するか

勤務者」

ある(パート・アルバイトと しての収入を含む)

事前調査

詳細調査

2013~18年

1,494

14,243 96 335 1,494

295 691

3,963 199 356

少ないにこだわるか

①仕事の収入の多い

こだわる

自分が開業した事業ではない

事業を経営したことはあるが、廃業や退任等によりすでにその事業に関わっていない

事業を経営したことはない

    

あるか

  

勤務収入が

ないこだわらない

フリーランスや勤務しながらの開業など起業のかたちの多様化に伴い、開業の目的として、収入の増加や家計の維持よりも、自己実現を

図ること自体を重視する起業も増えることが予想される。そこで、本調査では①仕事の収入の多い少ないにこだわらず、②仕事の目的とし

て「自分の好きなことを自分でやること」を重視する開業者を「ゆるやかな起業家」と呼び、その他の起業家および勤務者(起業家を除

く)と比較・分析し、今後の起業動向を把握するとともに、起業支援のあり方を考えるうえでの材料にしたい。

ゆるやかな 起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

1

3 回答者の概要

(1)性 別 (2)調査時点の年齢

① ゆるやかな起業家 ① ゆるやかな起業家

② 起業家(ゆるやかな起業家を除く) ② 起業家(ゆるやかな起業家を除く)

③ 勤務者(パート・アルバイトを含む) ③ 勤務者(パート・アルバイトを含む)

(注)1 構成比は小数第2位を四捨五入して表記しているため、その合計が100%にならない場合がある(以下同じ)。

   2 事前調査(A群)の調査対象は、性別、年齢階層(10歳きざみ)、地域ブロックの割合が人口構成に準拠するように、回収数を設定した。

4 ウエートの設定(詳細調査のサンプル)

72.9

65.0

27.1

35.0

詳細調査

(n=295)

事前調査(A群)

(n=103)

(単位:%)

女性 男性

詳細調査におけるゆるやかな起業家、その他の起業家、勤務者の性別・年齢別構成比は、実際の人口構成を反映している事前調査(A

群)と比べて偏りが生じている。そこで、詳細調査の集計にあたっては、事前調査(A群)の性別・年齢別構成比に近似させるために、17

ページに記載のとおりウエート値を設定した。以下では、詳細調査の結果にウエート値による重みづけを行った集計を示す。ただし、n値

(回答数)は原数値を示す。

77.1

72.3

22.9

27.7

詳細調査

(n=691)

事前調査(A群)

(n=382)

(単位:%)

女性 男性

56.5

52.9

43.5

47.1

詳細調査

(n=1,494)

事前調査(A群)

(n=16,259)

(単位:%)

女性 男性

7.1

17.5

15.9

20.4

20.3

13.6

25.8

19.4

30.8

29.1

詳細調査

(n=295)

事前調査(A群)

(n=103)

(単位:%)

30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 29歳以下

12.9

27.5

21.9

25.7

30.8

23.3

22.1

12.6

12.3

11.0

詳細調査

(n=691)

事前調査(A群)

(n=382)

(単位:%)

30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 29歳以下

24.7

20.3

26.9

20.1

26.4

25.3

14.5

19.5

7.4

14.8

詳細調査

(n=1,494)

事前調査(A群)

(n=16,259)

(単位:%)

30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 29歳以下

2

Ⅱ 調査結果1 ゆるやかな起業家の属性 ~女性やシニアの割合が相対的に高い~

図-1 性 別 図-3 起業直前の職業

① 起業直前の職業(起業家・ゆるやかな起業家)

(注)比較対象の「起業家」には、「ゆるやかな起業家」を含まない(以下同じ)。

図-2 年 齢

② 現在の職業(勤務者)

(注)1 「非正社員」は「パート・アルバイト」「派遣社員・契約社員」。「その

     他」には「家族従業員」「無職」を含む。

   2 勤務者には、「現在も勤務している」起業家は含まない。

 ○ ゆるやかな起業家のうち「女性」の割合は、35.0%と勤務者(47.1%)を下回るが、その他の起業家(以下、起業家という。27.7%)  と比べると高くなっている(図-1)。 ○ 「50歳代」以上の割合が相対的に高い(図-2)。特に、「60歳代」の割合は、29.1%と起業家(11.0%)や勤務者(14.8%)を大き  く上回る。 ○ 3割以上が「現在も勤務している」が、その割合は起業家(44.1%)に比べて低い(図-3)。現在は勤務していない人のうち、起業  直前の職業として最も多いのは「正社員・正職員」で、次いで「非正社員」「会社や団体の常勤役員」の順となっている。

52.9

65.0

72.3

47.1

35.0

27.7

勤務者

(n=1,494)

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

男性 女性

分析対象

20.3

17.5

27.5

20.1

20.4

25.7

25.3

13.6

23.3

19.5

19.4

12.6

14.8

29.1

11.0

勤務者

(n=1,494)

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 29歳以下

7.1

6.3

30.3

28.4

18.3

14.2

5.1

3.6

5.8

3.5

33.4

44.1

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

正社員・正職員 その他 会社や団体の常勤役員

学生、専業主婦・主夫、 年金生活者

非正社員 現在も勤務している

7.8 50.2 31.6 8.6 勤務者

(n=1,493)

(単位:%)

正社員・正職員

その他 会社や団体の常勤役員 学生、専業主婦・主夫、 年金生活者

非正社員

1.9

3

~主たる家計維持者である割合は、起業家に比べて低い~

図-4 主たる家計維持者か 図-6 事業からの経営者本人の収入

① 世帯の収入に占める割合

図-5 世帯年収② 経営者本人の定期的な収入に占める割合

(注)「わからない」「答えたくない」と回答した人を除いて集計した。

 ○ 主たる家計維持者である割合は、65.1%と勤務者(59.5%)に比べて高いが、起業家(73.3%)を下回る(図-4)。 ○ 世帯年収は、「500万~1,000万円未満」の割合が39.8%と最も高い(図-5)。500万円未満の割合は、44.1%と起業家(40.1%)や勤  務者(40.6%)に比べて高い。 ○ 事業からの経営者本人の収入が世帯収入に占める割合は、「5%未満」が29.1%と、起業家(14.0%)に比べて高い(図-6①)。 ○ 同じく経営者本人の定期的な収入に占める割合が「5%未満」の割合は、17.7%と起業家(9.7%)に比べて高い(図-6②)。「50%  未満」である割合は、44.7%と約半数を占める。

59.5

65.1

73.3

40.5

34.9

26.7

勤務者

(n=1,494)

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

該当 該当しない

14.7

18.4

15.9

25.9

25.6

24.1

45.7

39.8

35.4

13.7

16.1

24.5

勤務者

(n=1,290)

ゆるやかな起業家

(n=249)

起業家

(n=571)

(単位:%)

300万~ 500万円未満

500万~ 1,000万円未満 1,000万円以上

300万円 未満

500万円未満:40.1

44.1

17.7

9.7

13.0

18.2

14.1

12.2

12.9

12.5

18.6

20.1

23.8

27.3

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

5% 未満 75~100%未満 5~25%未満

25~50%未満 50~75%未満

50%未満:40.1

44.7

100% (他の収入 はない)

40.6

29.1

14.0

18.9

23.3

18.2

18.4

12.9

12.3

9.2

14.2

11.8

17.8

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

5% 未満

75~ 100%未満 5~25%未満

25~ 50%未満

50~75%未満

50%未満:55.7

66.1

100% (他の収入 はない)

(単位:%)

(単位:%)

4

~「自由に仕事がしたかったから」起業した人が多い~

図-7 起業動機(三つまでの複数回答)

 ○ 起業動機は、「自由に仕事がしたかったから」が55.7%と最も多く、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかったから」が32.6%と  続いている(図-7)。 ○ 起業家と比べると、「収入を増やしたかったから」(15.9%)や「自分が自由に使える収入が欲しかったから」(8.9%)など、収入  に関する項目の回答割合が低い。一方で、「趣味や特技を生かしたかったから」(22.2%)や「社会の役に立つ仕事がしたかったから」  (17.1%)などの割合が、相対的に高くなっている。

42.2

21.4

56.6

11.2 13.9

23.3

10.1

0.9

6.6 4.2 5.5

12.2

7.2 5.2 4.4 3.9 1.8 5.1

2.4 3.4

15.9

8.9

55.7

10.2

16.4

32.6

22.2

1.6

17.1

8.9 6.5

15.7

11.1

4.5 7.9 7.2

1.1

6.3 2.8 3.5

0

10

20

30

40

50

60

収入を増やしたかったから

自分が自由に使える収入が欲しかったから

自由に仕事がしたかったから

事業経営という仕事に興味があったから

自分の技術やアイデアを試したかったから

生かしたかったから

仕事の経験・知識や資格を

趣味や特技を生かしたかったから

増やしたかったから

同じ趣味や経験をもつ仲間を

社会の役に立つ仕事がしたかったから

人や社会と関わりをもちたかったから

仕事がしたかったから

年齢や性別に関係なく

時間や気持ちにゆとりが欲しかったから

個人の生活を優先したかったから

仕事がしたかったから

家事(育児・介護を含む)と両立できる

自分や家族の健康上の問題から

空いている時間を活用したかったから

転勤がないから

適当な勤め先がなかったから

その他

特にない

(%)

起業家

(n=691)

ゆるやかな起業家

(n=295)

5

2 事業の状況 ~従業者規模は相対的に小さい~

表 業種構成 図-8 現在の従業者規模(単位:%)

図-9 平均月商

(注)1 事業の内容に最も近いと思う業種を尋ねている。

   2 網掛けは、起業家と比べて構成比が高い業種。 (注)図-5(注)に同じ。

 ○ 業種は、「消費者向けサービス業」(17.5%)、「事業所向けサービス業」(16.4%)、「小売業」(11.8%)の順に多い(表)。  そのうち、「事業所向けサービス業」「小売業」の割合は、起業家と比べて高い。 ○ 現在の従業者数は、「1人(本人のみ)」が74.8%と最も多く、その割合は起業家(63.3%)に比べて高い(図-8)。 ○ 平均月商が「20万円未満」である割合は、52.3%と起業家(29.0%)を大きく上回る(図-9)。

ゆるやかな起業家(n=276)

起業家(n=665)

6.1

7.0 8.9

事業所向けサービス業 11.2 16.4

7.3

医療・福祉

飲食店・宿泊業

小売業

卸売業

運輸業

製造業

建設業 5.1

6.2 5.7

教育・学習支援業 7.9 5.8

消費者向けサービス業 19.2 17.5

8.5 7.4

2.6 3.9

3.8 2.3

9.7 11.8

6.2

情報通信業

不動産業、物品賃貸業 9.3 6.7

その他 1.3 2.4

74.8

63.3

11.5

11.1

7.0

10.2

2.7

6.4

2.8

3.4

5.7

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

1人(本人のみ) 2人 3~4人 5~9人

10~19人 20人 以上

1.1

52.3

29.0

19.6

24.9

10.0

13.4

7.2

16.1

1.7

5.2

4.3

7.9

5.0

3.5

ゆるやかな起業家

(n=254)

起業家

(n=603)

(単位:%)

20万円未満 20万~

50万円未満

50万~100万円未満 100万~300万円未満

300万~500万円未満 500万~1,000万円未満

1,000万円以上

6

~低コストで起業した人が多い~

図-10 起業費用

図-11 起業費用に占める自己資金割合 図-12 起業時の金融機関借入の有無

(注)1 金融機関借入とは、民間金融機関(地方自治体の制度融資を含む)および

(注)起業費用がかかったと回答した人を集計した。      日本政策金融公庫・沖縄振興開発金融公庫からの借入である

   2 図-11(注)に同じ。

 ○ 起業費用は、「かからなかった」割合が28.1%と最も高い(図-10)。「100万円未満」の割合は、42.3%と起業家(34.5%)に比  べて高く、少額で起業した人が多い。 ○ 起業費用に占める自己資金の割合は、「100%(自己資金のみ)」が73.0%と起業家(62.4%)を上回る(図-11)。自己資金割合  が低くなるほど、回答割合も低くなっている。 ○ 起業時に金融機関から借入をした割合は、8.7%と起業家(19.8%)の半分以下となっている(図-12)。

28.1

20.4

13.9

10.7

19.0

16.7

9.4

7.2

18.4

22.3

5.4

11.8

5.3

8.6

0.5

2.3

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

10万円未満 500万~

1,000万円未満 1,000万~

5,000万円未満

5,000万円 以上 費用はかからなかった 100万~500万円未満 10万~50万円未満

50万~ 100万円未満

100万円未満:34.5

42.3

73.0

62.4

8.1

8.7

7.5

12.6

5.9

2.2

5.5

14.0

ゆるやかな起業家

(n=214)

起業家

(n=550)

(単位:%)

100%(自己資金のみ) 0%

0%超~10%未満 50~100%未満 10~50%未満

8.7

19.8

91.3

80.2

ゆるやかな起業家

(n=214)

起業家

(n=550)

(単位:%)

借入あり 借入なし

7

~起業前と比べて労働時間は短縮~

図-13 主な事業所までの通勤時間(片道) 図-15 起業前と比べた労働時間

図-14 1週間当たりの労働時間 図-16 仕事や作業を行う時間帯の裁量

 ○ 主な事業所が「自宅の一室」である、または「自宅に併設」している割合は、75.5%と起業家(59.1%)に比べて高い(図-13)。 ○ 事業に係る1週間当たりの労働時間は、「5時間未満」が17.1%と最も多い(図-14)。「30時間未満」の割合が約6割を占め、労働  時間は起業家に比べて短い。 ○ 起業前と比べて労働時間が「減少した」割合は、43.7%と起業家(30.0%)と比べて高い(図-15)。 ○ 7割以上が、仕事や作業を行う時間帯を「通常は自分の意向で決められる」と回答している(図-16)。一方で、「通常は発注者の  意向に従う」とする割合は、11.1%と起業家(18.7%)に比べて低く、比較的裁量が大きいといえる。

22.7

39.5

33.5

30.4

43.7

30.0

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

増加した 変わらない 減少した

72.1

68.9

11.1

18.7

16.8

12.5

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

通常は自分の意向で決められる 通常は発注者の意向に従う 発注者や仕事の内容によって異なる

68.5

47.9

7.0

11.2

10.7

16.2

4.8

11.5

6.2

9.5

2.7

3.7

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

自宅の一室 自宅に併設

1~15分未満

15~30分未満 30分~1時間未満 1分未満

59.1

75.5

17.1

9.7

13.6

16.6

13.0

10.1

14.1

8.3

13.6

18.1

16.5

17.4

12.2

19.7

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

5時間 未満

10~20 時間未満

20~30時間未満

50時間以上 30~40 時間未満

5~10時間未満 40~50 時間未満

30時間未満:44.7

57.7

1時間以上

(単位:%)

8

~仕事の受注には、自身のネットワークを生かしている~

図-17 受注経路(複数回答)

 ○ 仕事の受注経路は、「友人・知人の紹介」が37.4%と最も高く、次いで「取引先の紹介」(35.0%)、「自身のSNSやブログを通じ  て」(30.5%)の順となっている(図-17)。 ○ 起業家と比べると、「訪問や電話などによる直接の営業活動」(21.3%)や「ホームページの作成やチラシ等の配布などの宣伝広告  活動」(30.0%)などの割合が低い。一方で、「家族・親戚の紹介」(17.7%)や「友人・知人の紹介」などの割合は高くなっている。

32.5 34.4 32.0 33.5

23.8

32.5

10.8 12.7

5.6 6.7

2.9 3.4 1.1

21.3

30.0 30.5

35.0

23.8

37.4

17.7

9.2

3.2

6.7 2.3

6.2

1.8

0

10

20

30

40

50

訪問や電話などによる直接の営業活動

宣伝広告活動

ホームページの作成やチラシ等の配布などの

自身のSNSやブログを通じて

取引先の紹介

前職の知り合いの紹介

友人・知人の紹介

家族・親戚の紹介

仲介会社を通じて

クラウドソーシング業者を通じて

求人サイト等の募集広告に応募して

公開されている求人誌、求人欄、ネット上の

コンペや入札に応募して

その他

特にない

(%)

起業家

(n=691)

ゆるやかな起業家

(n=295)

9

~業況は「良くも悪くもない」が半数以上~

図-18 現在の売上状況 図-20 起業前と比べた収入

図-19 現在の採算状況 図-21 現在の業況

(注)「良い」「やや良い」を合算して「良い」、「悪い」「やや悪い」を合算して

   「悪い」と表示した。

 ○ 現在の売上状況については、「横ばい」との回答割合が59.6%と大半を占める(図-18)。「増加傾向」は24.4%と、起業家  (39.4%)に比べて低い。 ○ 現在の採算状況が「黒字基調」の割合は、64.7%と起業家(74.7%)に比べて低い(図-19)。 ○ 起業前と比べて収入が「増加した」割合は、27.5%と起業家(47.1%)を下回り、40.1%が「減少した」と回答している(図-20)。 ○ 現在の業況については、半数以上が「良くも悪くもない」と回答している(図-21)。「良い」との割合は26.7%と起業家(43.5%)  を下回るが、「悪い」(18.4%)は起業家(17.9%)と同程度にとどまる。

27.5

47.1

32.4

27.0

40.1

25.9

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

増加した 変わらない 減少した

26.7

43.5

54.9

38.6

18.4

17.9

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

良い 良くも悪くもない 悪い

24.4

39.4

59.6

47.4

16.0

13.1

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

増加傾向 横ばい 減少傾向

64.7

74.7

35.3

25.3

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

黒字基調 赤字基調

10

~拡大志向は弱いが、自分で続けられる間は事業を継続したいと考える人が大半~

図-22 今後の売上高 図-24 事業がうまくいかなくなった場合にどう感じるか

図-23 今後の従業員数 図-25 事業の継続

 ○ 今後の売上高を「増やす」と回答した割合は、51.1%と起業家(77.6%)を20%ポイント以上下回る(図-22)。「どちらでも構わ  ない」とする人が45.6%を占めている。 ○ 今後の従業員数の増減についても、86.4%が「どちらでも構わない」と回答しており、「増やす」は11.8%にとどまる(図-23)。 ○ 事業がうまくいかなくなった場合に「困る」と考える人は、54.7%と起業家(83.0%)に比べて大幅に少ない(図-24)。 ○ 事業の継続については、「自分で続けられる間は続けたい」との回答割合が63.9%と最も高い(図-25)。「承継したい」割合は  は、12.8%と起業家(27.1%)に比べて低い。

24.5

42.7

30.2

40.3

29.9

12.8

15.3

4.2

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

非常に困る 多少は困る あまり困らない

全く困らない

困る:83.0

54.7

7.5

14.4

5.3

12.7

63.9

56.1

23.2

16.8

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%) 家族以外に承継を希望する人が いれば、いずれ引き継ぎたい

自分で続けられる間は続けたい 継続には こだわらない

承継したい:27.1

12.8

51.1

77.6

45.6

20.1

3.3

2.3

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

増やす 減らす

どちらでも構わない

11.8

29.3

86.4

62.0 8.7

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

増やす 減らす どちらでも構わない

家業として承継していきたい

1.8

11

3 起業に対する評価 ~起業してよかったことは「自由に仕事ができた」が最も多い~

図-26 起業してよかったこと(複数回答)

 ○ 起業してよかったこととしては、「自由に仕事ができた」が69.9%と最も多い(図-26)。次いで「仕事の経験・知識や資格を生か  せた」(37.9%)、「自分の技術やアイデアを試せた」(36.1%)の順となっている。 ○ 「自由に仕事ができた」割合は、起業家(57.1%)と比べても高い。そのほか、「時間や気持ちにゆとりができた」(35.0%)や  「人や社会と関わりをもてた」(29.5%)などが、起業家の割合を上回っている。一方で、「収入が予想通り増えた」(8.6%)や「自  分が自由に使える収入を得られた」(23.0%)、「収入が予想以上に増えた」(8.5%)などの割合は、起業家に比べて低い。

26.9

12.6

30.2

57.1

27.4 27.7 32.0

21.2

10.0 13.3

18.7 16.9

23.7 20.7

9.7 8.9

15.6

8.6

0.5

6.5 8.6 8.5

23.0

69.9

23.8

36.1 37.9 30.4

16.8 20.7

29.5

24.1

35.0

28.8

13.7 18.4

24.2 16.6

1.6 4.3

0

10

20

30

40

50

60

70

80

収入が予想通り増えた

収入が予想以上に増えた

自分が自由に使える収入を得られた

自由に仕事ができた

事業経営を経験できた

自分の技術やアイデアを試せた

仕事の経験・知識や資格を生かせた

自分の趣味や特技を生かせた

同じ趣味や経験をもつ仲間が増えた

社会の役に立つ仕事ができた

人や社会と関わりをもてた

年齢や性別に関係なく仕事ができた

時間や気持ちにゆとりができた

個人の生活を優先できた

両立できた

家事(育児・介護を含む)と仕事を

自分や家族の健康に配慮できた

空いている時間を活用できた

転勤がない

その他

特にない

(%)

起業家

(n=691)

ゆるやかな起業家

(n=295)

12

~「売り上げの安定的な確保」や「けがや病気になった場合の対応」が課題~

図-27 事業を行ううえで問題だと感じていること(複数回答)

 ○ 事業を行ううえで問題だと感じていることは、「売り上げを安定的に確保しづらい」が53.0%と最も多く、「けがや病気になった場  合の対応が難しい」が31.9%と続く(図-27)。 ○ これらの割合は、起業家と比べても高い。そのほか、「相談相手がいない」(21.0%)などが起業家の割合を上回っている。一方  で、「業務に対する対価(代金や報酬)が低い」(28.9%)や「対価(代金や報酬)を受け取るまでに長期間かかる」(9.8%)、「納  期が短い」(3.6%)などの割合は、起業家に比べて低い。

37.4

17.2 10.3

44.1

11.0 12.0

9.6 9.3 12.5 10.1

18.2 13.3

12.5

25.7

6.6 0.8

13.3

28.9

9.8

3.6

53.0

9.3 11.1 11.1

4.4 6.5 7.6

19.8

11.9

21.0

31.9

4.0 0.3

18.0

0

10

20

30

40

50

60

70

業務に対する対価(代金や報酬)が低い

長期間かかる

対価(代金や報酬)を受け取るまでに

納期が短い

売り上げを安定的に確保しづらい

仕事の打ち切りや一方的な縮小がある

顧客と良好な人間関係を築くのが難しい

仕事の質や成果に対する評価が低い

受ける

仕事の質や成果に対して過大な要求を

就業時間が長い

資金の調達が難しい

税金や保険などの手続きが面倒である

社会保障制度が手薄である

相談相手がいない

けがや病気になった場合の対応が難しい

高めにくい

仕事に関する知識や技術、スキルを

その他

特にない

(%)

起業家

(n=691)

ゆるやかな起業家

(n=295)

13

~「税務・法律関連の相談制度の充実」を望む人が多い~

図-28 支援について(複数回答)

① 起業の際に役立った支援 ② 今後、事業を継続するために必要だと思う支援

 ○ 起業の際に役立った支援は、「特にない」との回答が52.2%と大半を占め、起業家(39.5%)に比べて多い(図-28①)。次いで  「税務・法律関連の相談制度の充実」が21.8%、「技術やスキルなどを向上させる機会の充実」が17.3%と続いている。 ○ 今後、事業を継続するために必要だと思う支援についても、「特にない」が43.2%と最も多く、次いで「税務・法律関連の相談制度  の充実」(24.1%)の順となっている(図-28②)。「けがや病気などで働けないときの所得補償制度の充実」が、21.5%と起業の際  (8.1%)から10%ポイント以上増加し3番目になっており、起業家の割合と比べても高くなっている。そのほか、「同業者と交流でき  るネットワーク等の整備」(16.4%)などが、起業家の割合を上回っている。

29.4

17.1

17.6

17.0

10.9

9.5

10.5

10.4

3.5

6.2

3.2

0.5

39.5

21.8

17.3

14.1

9.0

8.1

7.8

6.6

3.1

2.8

2.7

1.7

0.8

52.2

0102030405060(%)

起業家(n=691) ゆるやかな起業家(n=295)

31.2

16.1

14.5

18.5

19.2

9.6

11.8

8.7

6.0

8.6

5.4

0.5

30.3

24.1

16.3

16.4

12.2

21.5

6.7

9.0

7.4

4.2

4.5

5.0

0.9

43.2

0 10 20 30 40 50 60(%)

起業家(n=691) ゆるやかな起業家(n=295)

技 術 や ス キ ル な ど を 向 上 さ せ る 機 会 の 充 実

税 務・法 律関連の相談制度の充実

同 業 者 と 交 流 で き る ネ ッ ト ワ ー ク 等 の 整 備

健 康 診 断 ・ 人 間 ド ッ ク の 受 診 に 対 す る 補 助

け が や 病 気 な ど で 働 け な い と き の 所 得 補 償 制 度 の 充 実

事 業 資 金 の 融 資 制 度 の 充 実

事 業 資 金 の 調 達 に 対 す る 支 援

育 児 ・ 保 育 制 度 を 使 い や す く す る

シェアオフィス・コワーキングスペース な ど の 充 実

発注者や仕事の仲介会社、クラウドソーシング 業者に対するルールや規制の明確化

納 期 遅 延 や 情 報 漏 え い な ど の 賠 償 リ ス ク に 対 す る 保 険 制 度 の 創 設

そ の 他

特 に な い

14

~満足度は総じて高い~

図-29 収入に関する満足度 図-31 私生活(休暇や家族との過ごし方)に関する満足度

図-30 仕事のやりがいに関する満足度 図-32 総合的な満足度

 ○ 収入に関して「満足」している割合は、24.0%と起業家(36.7%)を下回り、勤務者(24.5%)と同程度となっている(図-29)。 ○ 仕事のやりがいに「かなり満足」と回答した割合は、30.6%と起業家(21.5%)や勤務者(5.3%)に比べて高い(図-30)。 ○ 私生活(休暇や家族との過ごし方)に関しては、「かなり満足」している割合が27.3%と、起業家(16.8%)や勤務者(9.3%)に比  べて高い水準となっている(図-31)。 ○ 総合的な満足度は、「満足」が69.3%と、起業家(56.1%)や勤務者(41.0%)に比べて高い(図-32)。

3.7

5.4

10.0

20.8

18.6

26.8

34.2

39.4

27.3

25.4

23.1

19.4

15.9

13.5

16.6

勤務者

(n=1,494)

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%) かなり満足

やや不満 やや満足 どちらともいえない かなり不満

満足:36.7

24.0

5.3

30.6

21.5

29.8

44.3

44.7

37.6

20.2

24.7

16.3

3.4

5.8

11.0

3.4

勤務者

(n=1,494)

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

かなり満足 やや不満

やや満足

どちらともいえない かなり 不満

満足:66.2

74.9

9.3

27.3

16.8

38.3

41.6

41.8

34.8

24.3

29.6

11.4

4.2

7.8

6.2

2.6

4.0

勤務者

(n=1,494)

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

(単位:%)

かなり満足 やや不満

やや満足 どちらともいえない かなり 不満

満足:58.6

68.9

4.9

17.5

11.5

36.1

51.8

44.6

36.7

24.5

28.7

16.4

4.9

10.3

5.9

5.0

勤務者

(n=1,494)

ゆるやかな起業家

(n=295)

起業家

(n=691)

かなり満足 やや 不満 やや満足 どちらともいえない

かなり 不満

満足:56.1

69.3

1.5 1.3

24.5

35.1

47.5

41.0

(単位:%) (単位:%)

15

Ⅲ まとめ 

~ゆるやかな起業家について~

○ その他の起業家に比べて女性やシニアの割合が高い(p.3)

 性別にみると、「女性」の割合が35.0%と、その他の起業家(27.7%)に比べて高くなっている(図-1)。また、年齢別にみると、「50歳代」以上の割合が相対的に高く、特に「60歳代」が約3割と高い(図-2)。

○ 従業者規模は小さく、月商も相対的に低い(p.4、6)

 従業者規模が「1人(本人のみ)」の割合は、74.8%とその他の起業家(63.3%)と比べて高い(図-8)。また、半数以上の平均月商が「20万円未満」で、その割合はその他の起業家(29.0%)を大きく上回る(図-9)。75%以上が事業以外からも収入を得ており、また、世帯収入に占める事業収入の割合も、「50%未満」が66.1%となっている(図-6)。

○ 起業前と比べて労働時間は短縮(p.8)

75%以上が、「自宅の一室」または「自宅に併設」した場所を主な事業所としており、その割合はその他の起業家(59.1%)と比べて高い(図-13)。1週間当たりの労働時間が30時間未満の割合は57.7%で、43.7%が起業前と比べて労働時間が「減少した」と回答している(図-14、15)。

○ 自身のネットワークを生かして仕事を受注(p.9)

 仕事の受注経路として最も多く挙がった回答は「友人・知人の紹介」(37.4%)で、その割合はその他の起業家(32.5%)と比べても高い(図-17)。そのほか、「家族・親戚の紹介」(17.7%)などが相対的に高い。一方で、「訪問や電話などによる直接の営業活動」(21.3%)などの割合は、相対的に低い。

○ 事業がうまくいかなくなっても困らない人のほうが多い(pp.10-11)

 現在の売上状況が「増加傾向」の割合は、24.4%とその他の起業家(39.4%)と比べて低い(図-18)。一方で、業況を「悪い」と感じている割合は18.4%と、その他の起業家(17.9%)と同程度にとどまる(図-21)。事業がうまくいかなくなった場合も「困る」とする割合は54.7%で、その他の起業家の83.0%を大きく下回る(図-24)。

○ 「売り上げの安定的な確保」や「けがや病気になった場合の対応」が課題(p.11、pp.13-14)

 事業の承継を考える人は少なく、「自分で続けられる限りは続けたい」という人が63.9%と大半を占める(図-25)。事業を行ううえでの問題としては「売り上げを安定的に確保しづらい」(53.0%)に次いで「けがや病気になった場合の対応が難しい」(31.9%)の割合が高く、事業継続のために「けがや病気などで働けないときの所得補償制度の充実」を望む人も多い(図-27、28②)。

○ 満足度は総じて高い(p.15)

   収入に関する満足度は低いが、仕事のやりがいや私生活に関する満足度はその他の起業家や勤務者に比べて高く、総合的な満足度も「満足」が69.3%と、その他の起業家(56.1%)や勤務者(41.0%)を上回る(図-29~32)。

35.1 41.0

16

(参考)ウエート値の設定について

①事前調査(A群)の回答数 (単位:人)

②詳細調査の回答数

③ウエート(①÷②)

788

1034

11323227

3837576678

382

 詳細調査におけるゆるやかな起業家、その他の起業家、勤務者の性別・年齢別構成比は、実際の人口構成を反映している事前調査(A群)

と比べて偏りが生じている。そこで、詳細調査の集計にあたっては、事前調査(A群)の性別・年齢別構成比に近似させるために、ウエート値を設定した。その算出方法は次のとおりである。

勤務者その他の起業家

女性男性女性男性

全 体60歳代50歳代40歳代30歳代18~29歳

ゆるやかな起業家

女性男性

24137

1310

67

16,2591,1581,5071,9061,5121,577

1,2421,6572,2071,7631,730

18~29歳30歳代40歳代50歳代60歳代全 体

ゆるやかな起業家 その他の起業家

48113015810064

勤務者

男性 女性 男性 女性 男性 女性

818232011

8358372710

4791

163156193

64126232246176

1,494

18~29歳30歳代40歳代50歳代

295 691

25515523

60歳代

ゆるやかな起業家 その他の起業家 勤務者

男性 女性 男性 女性 男性 女性0.7270.4000.3040.3890.7500.289

0.2240.1890.4811.000

0.4690.285

0.6601.219

1.0000.4780.5820.6271.080

0.361

8.171

11.69316.56024.63819.406

13.1519.5137.1679.830

9.692

17