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学位論文 高校生の携帯メール嗜癖の現状とその背景要因 一自己愛と依存の観点から一 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科・ 学校教育専攻 教育臨床心理コース MO2090J京彰彦

学位論文 - 兵庫教育大学|Hyogo University of …repository.hyogo-u.ac.jp/dspace/bitstream/10132/1613/1/...Gabbard(1989)のいう「過敏型jの特徴を裏付けており,携帯メール嗜癖はこの過敏性と関

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         学位論文

高校生の携帯メール嗜癖の現状とその背景要因

     一自己愛と依存の観点から一

兵庫教育大学大学院 学校教育研究科・

学校教育専攻 教育臨床心理コース

    MO2090J京彰彦

目次

問題と目的.9........._....9_。.9.........9_g.._.............................。..............._。........................1

 問題の背景9..99_9.._..99__....._。_曹_9_,9_._。......_。_。_。_。9._9.._._.9_._。._。..__,_,_。1

 携帯電話利用の先行研究_。_。_。._..__,_...._,._。_.__,_。._,_。_...._。..._.._。.。._,..._2

 自己愛について...._9_9....._。...._。..._9_。9_。_。99_9._9._。..._。.._。_.__.9_,9.._。.._.._。....2

 依存性について__...._9...._,_。._,_._。._。_9......_曾_9_。_。..._._。..._._。_D_._.._9._。D3

 対象者の個人特性による分類_。.._。.._....。.........__。_。_。_.._。_....._...._。.._。_。_。_。3

 本研究の目的.D_....__。._9.99_。_9_。_。_,......._DD.._9_9_9..._。__。_。.._..D...__9.99._99995

方法_..........................._...._........9....9_......._..................9.._.9...._..................9........5

結果および考察._..9..9....9.....9_........................._......._...9....................._....9...............6

 携帯電話と携帯メールの利用状況_。_..._。._。...。....._.._._。_。_。.._._。......._。.._。..._。_。6

 携帯の嗜癖に関する質問事項の分析_.._._。.......__。.._。_。._。_。.._。.........._,_。.._._7

 自己愛尺度について_9_。._._._。_。............_9....._。_。_。..._._9_._。._。._._........,.._7

 依存尺度について..__._....__..._.._。_.........._。._。._.._。_。..._。._...._...D......_。_。_9

 自己愛尺度と依存尺度の相関分析_..._。.........._._。._._。_._._。......._._。...._。_._,._11

携帯メール嗜癖への自己愛と依存欲求の影響_..........._............................_........_..12

 1)重回帰分析結果.._._9.._._,_D_..._,_9....._.._。............._9._。....._......._9.....__._12

 2)パス解析図99999._99.9_9.._9....._..999_。._。99_一_。........._9..._。99_。_。.._。_。9_9_。_。...15

 3)パス解析結果.._9..._9....._.._._._..._9._9......DD...D.._._9..._。.._。_.._。..._..._...._。.15

 4)パス解析結果の考察._。_。.._..._。_。._........_。_。_。_。....__。._..._..。。.._.._じ_。....16

自己愛尺度と依存尺度に基づいた調査対象者の分類と特徴_.._。_.........................._.17

 1)自己愛下位尺度の2次因子分析...。….…・.…・…・.…・…・…・……...…・.…・…・.…....…・.…・。......・..18

 2)クラスター分析結果._。.._。....._.._。._...。。......._。_..__._。_。.._。_9._..。....._.._り...。18

 3)各自己愛尺度におけるクラスター間の差.._。._.._...._._.._,......._。_。_。.._,_........19

 4)各依存尺度におけるクラスター間の差....._。......._。._。..._。.__..._。......._。._._...20

 5)各クラスターと頻繁使用因子・強迫不安因子・メール回数における分散分析結果.._。.20

 6)各クラスターと性別・利用状況・利用料金負担者について比の差の検定_._.._.…・....21

 7)クラスターの特徴と携帯メール嗜好に関する考察。......__..。....._._。._。._。.._......._22

まとめと今後の展望.9._._....._...._...................._.._.._.......................................。..25

謝辞.....。......_....9......._...._。......._.........................._._。9............。................................26

引用文献......9.........._........._............9._..............6.9................9。......._...........................27

資料1携帯メールと友人関係に関する調査における質問紙....._....._........_...29

資料2 クラスター間の分散分析に関する多重比較結果......................................33

  各クラスターと自己愛の尺度の多重比較結果.........…・…・..........…・…・..…・..…・.….....…・...33

  各クラスターと依存の尺度の多重比較結果_,..._._.._.._......._,......._._.._..._。.._37

                問題と目的

問題の背景

 高校生特に女子はグループにはいっていることがほとんどで一緒に行動する特定のグル

ープをクラスの中に持っている(佐藤,1995)。一人になることに恐怖に近いものを感じて

いるようで新学期になるとあせるようにグループを作り始める。昼のお弁当を食べる相手

を見つけることが大変である。これに乗り遅れるとグループに入れず,そのことは彼女ら

にとって大変なことであるらしい。グループに入れず一人で食事をしなければならないの

は,みじめなこととしてとらえられる(天野,1975)。

 毎年のように,仲間に入れず学校に来たくないと言いだしたり,体調が悪いと言って保

健室に頻繁にいく生徒が出る。「このクラスにはなじめへん」というのは新学期には本当に

よく聞くセリフである。グループの問題はひとたびその友人関係にひびが入ると教育相談

的な問題になる。なぜなら,グループには閉鎖的・排他的な側面もあり,他のグループヘの

変更は難しいものがあり,クラスの中で孤立してしまい,時には不登校の原因にもなり復

帰させるためには別のグループを用意しなければならない(佐藤,1995)。中野(1998)は同様

に女子高生の仲問はずれにされる事への恐怖を指摘している。

 従来も「お手洗いフレンド」(天野,1975)などと呼ばれる密接な指摘されてきたが,こ

の頃の高校生は頻繁にメールを交わし,授業中にもかかわらずメールを交換している様子

が見受けられるようになった。授業中のメールを注意したところ怖くて電源が切れないと

いう生徒がおり,また夜遅くまでメールを交わしている生徒もいる。このように携帯を手

放すことへの不安を覚える高校生がでてきた(主婦の友,2002)。

 NTTアド(2000)は情報欲求に関する質問事項により生活者を9つのクラスターに分類し,

「群人」という女子高生を中心とする一群を見いだしている。この群の特徴は携帯の使用

頻度や所有率が最も高いことであり,頻繁にコミュニケーションを取り合い,仲間はずれ

を最も怖れている層である。このように携帯メール嗜癖と友人関係とは密接な関係が伺え

る。

 携帯の普及に伴ってひとときも友人から離れていなくてすむ状況が生まれつつある。こ

のように学校の中だけであったひとときも離れない密接な友人関係が,携帯メールにより

生活全般にわたりひとときも離れないような結びつきができつつあるように思える。

 携帯メールは従来女生徒同士ではよく交わされていた手紙や,親の叱責の的であった長

電話の延長上にあると考えられるが,手紙のように手渡しする手間もなく,長電話のよう

に親からの叱責もない。携帯メールのやりとりは時間や場所,親の指導などの制約がなく

なり,友人間の人間関係が現れやすい。また,メールの回数やメール相手の人数を調べる

ことにより友人間の関係を数量化し,統計の手法により分析できると考えた。

1

携帯電話利用の先行研究

 携帯電話の利用についてはいくつかの研究はあるが(松田,2000;岡田,2002),高校生の

携帯メール使用の実態や,携帯メール嗜癖に陥る原因などについての実証的な研究は,ほ

とんどなされていない。

 青年期に他人に対して気遣いあうと関係を持つグループの存在は以前より指摘されてい

た(岡田,1995 小塩,1998)。また,先に示したように友人に過度に依存的になっており,何

をするにも友人と一緒という傾向も学校現場ではよく見られる。

 天野(1986)によると女子生徒がグループを形成するのは,「社会的・生理的・生理的方面

の影響から,依頼心の強い女性が,誰かに頼りたい,また一人では不安で何もできないが,

仲間がいれば安心で何でもできるという心理が働く点が大きいからであろう」と述べてい

る。

 そこで本研究では,携帯メール嗜癖を喚起する要因として,自己愛と依存欲求という性

格要因を取り上げる。後に詳しく述べるように,仲間から孤立することを恐れるあまり他

人に過敏になっている自己愛の中の過敏性と,常に友だちと何らかのっながりは持ってい

たい依存心が,携帯メールの嗜癖につながっているのではないかと考えたからである。

自己愛について

 ここで,自己愛について述べる。自己愛というと一般に小此木(2000)で言われるように

誇大自己を中心とするものが多い。DSM-IVの中でも自己愛的人格障害の諸特徴は誇大性や

自己顕示性として特徴づけられている。一方Gabbard(1989)は自己愛を誇大的,攻撃的,

自己中心的で他者の反応にあまり関心を持たない「無関心型」,抑制的で引きこもりがち,

他者からの評価や反応に敏感である「過敏型」というように対人関係のあり方によって2

種類に分類している。

 岡野(1998)は「理想自己」と「恥ずべき自己」という2っの像を考え,「理想自己」によ

り頻繁に拠点を求めるのがGabbardのいう「無関心型」であり,「恥ずべき自己」を自分の

仮のアイデンティティーにする傾向が強いのが「過敏型」であるとしている。

 最近の高校生の友人関係をみていると他人に対して敏感であり,中野(1998)に見られる

ように仲間はずれになることに特に過敏である。また,岡田(1993a)は表面的には明るく友

人関係をとりながらも他者からの評価や視線に敏感な群を見いだしている。このことは

Gabbard(1989)のいう「過敏型jの特徴を裏付けており,携帯メール嗜癖はこの過敏性と関

連があるのではないかと考えた。

 自己愛の尺度ではRaskin&Hall(1979)によって作成され小塩(1999)によって改訂された

自己愛人格目録短縮版(NPI-S)が有名であるが,以上のことより,本研究においては,過敏

性を独立した特性としてとりあげ誇大特性と過敏特性として1つにまとめた相澤(2002)の

自己愛的人格項目群(以下,自己愛尺度と呼ぶ〉を用いた。

2

依存性について

 次に,高校生の携帯メール嗜好の原因となっていると考えられるもう一つの要因として,

依存性が挙げられる。従来教育現場では「依存から自立」という成長過程が,自明のこと

として取り扱われてきた。

 これに対して最近の心理学では依存と自立を必ずしも対立概念として扱ってはおらず関

(1982)によると「成熟した人格にも,依存性は存在しており,更に言えば人間が成熟した

存在であるためには,依存は不可欠である。」と述べている。また,高橋(1969)は,依存性

を「人間に対する関心の向け方を記述する概念であり,『道具的な価値ではなく,精神的な

助力を求める要求である』依存欲求を充足するために引き起こされる依存行動のパターン

である」と定義した。その上で依存性はそれ自体発達変容するものであり,依存性の発達

変容の過程が自立性の発達過程であるという立場に立って,自立をも依存性の1つの状態

であるとしている。以上の観点に基づいて関(1982)は依存性のあり方を「統合された依存」

「依存欲求」「依存拒否」の3つに分類している。

 「統合された依存性」とは,成熟し安定し統合された人格に備わっている依存性であり,

また相互依存的な,他者との良好な関係を保ち,かっそこから得た安定感を基礎として自

立的になるために必要不可欠な依存性ともいえる。それ以上に人格適応上積極的な意味合

いを持っており,その欠如は適応上問題性を含んでいるとするものである。「依存欲求」と

は援助・慰め・是認・注意・接触などを含む,肯定的な顧慮・反応を他者に求める欲求で

あり,「依存拒否jとは顕在的には文字通り,他者への依存を拒否する形で現れるが,潜在

的に依存不安があると推測される態度である。

 そこで先に述べたとおり,携帯メール嗜癖はこの依存性によるところが大きいと考え,

関(1982)の作成した依存尺度を用いて分析した。

対象者の個人特性による分類

 次に,本研究では,単に自己愛傾向および依存性と携帯メール嗜好の間の単純な関係を

調べるだけでなく,どのような個人特性をもった高校生が携帯メール嗜好に陥りやすいの

かをさらに詳しく調べるため,自己愛傾向と依存性から対象となる高校生をいくっかのタ

イプに分類して分析することを,もう一つの目的とする。

 先行研究で自己愛を使った分類はいくつか見られる。岡野(1997)は,臨床から得た知見

をもとに,恥と自己愛の関係を考える際に「恥の感じやすさ」と「自己顕示傾向」という

2っの独立した変数を考え,“自己顕示欲の強さ”と“恥に対する敏感さ”を両軸にとり,

それによってできる4つの象限をそれぞれサブタイプに分類した(Figure l)。「過敏型」自

己愛人格障害は恥に対する敏感さと自己顕示欲が両方強い場合,「無関心型」人格障害を自

己顕示欲は強いが,恥に対して鈍感なタイプ,「純粋な」対人恐怖は自己顕示傾向が少なく

ひたすら恥に敏感なタイプと考えた。

3

自己顕示欲の強さ

曇関心型」 自己愛人格 「過敏型」 自己愛人格

? 対人恐怖

恥に対する

Figure l敏感さと自己顕示傾向との相互関係 岡野(1997)

 青年期の分類について,小塩(2002)はNPI-Sの3つの下位尺度に関して主成分分析を行

い,自己愛傾向の総合指標としての意味合いを持つ自己愛総合と,「注目・賞賛欲求」が優

位であるか「自己主張性」が優位であるかを示す注目一主張という2つの主成分を得てい

る。この自己愛総合と注目一主張という2つの指標を用いて自己愛全体が高い者を2っの

群に分類し,自己愛全体が高い者のうちr自己主張性」が優位な者が,誇大的で攻撃的な

特徴を持つr無関心型(Gabbarad)」の自己愛に相当し,r注目・賞賛欲求」が優位な者が,

抑制的で引きこもりがちな特徴を持つ「過敏型(Gabbard)」の自己愛に相当するとしてい

る。自己愛が全体に低い者については,自己愛傾向が低いことからやや自信に欠ける傾向

があり,自己愛総合が低く 「自己主張性」が優位な者は,「注目・賞賛要求」が低く 「自己

主張性」が高いことから,あまり他者の評価を気にせず,他者と社会の関係性に意識が向

かわない状態にあるとし,「注目・賞賛要求」が優位な者については積極性に欠け,他者の

評価を気にする状態にあり,そのために主体性の欠如や対人恐怖的心性を示すと考えてい

る。

 また,同じく青年期の分類について清水・海塚(2002)は対人恐怖尺度の下位因子とNPI-S

の下位因子を投入変数としてクラスター分析し4クラスターを抽出した。岡野(1998)の分

類を参考にし,“自己顕示欲の強さ”を“自己愛傾向”に“恥に対する敏感さ”を“対人恐

怖心性”に置き換えて考え,第1クラスターを対人恐怖心性が全体に高く,自己愛的人格

傾向が低いことから岡野の分類における「純粋な」対人恐怖であるとし,第2クラスター

においては対人恐怖が平均より高く自己愛傾向が高いことからr過敏型」自己愛人格であ

4

ることが考えられ,第3クラスターは対人恐怖心性が低く自己愛傾向が低いことから岡野

の分類で「(?)」の部分であることが考えられる。また,第4クラスターでは対人恐怖心

性は低く,自己愛傾向が高いことから「無関心型」自己愛人格であることが考えられると

している。

 以上の先行研究より共通することは,自己愛傾向の強い者に関しては「無関心型」と「過

敏型」におおむね分かれ,自己愛傾向の低い者の一群に対人恐怖傾向を示す者がいること

がわかる。そこで以上の先行研究と比較し,過敏特性と誇大特性とをも持つ自己愛尺度と

青年期の1つの特徴である対人依存の尺度を用い,クラスター分析により分類し,それぞ

れの特徴をメール嗜癖の質問事項を考慮に入れ,詳細に検討することにする。

本研究の目的

 以上のことをふまえ,本研究では,携帯メール使用状況の実態を明らかにしたうえで以

下の点について検討を行う。

 目的1.携帯メールヘの嗜癖性を引き起こす要因として,自己愛と依存欲求の影響を検

    討する。

 目的2.自己愛尺度と依存尺度をもとに高校生を分類し,その特徴を検討する。

                 方 法

 調査対象者:大阪府下の高校2・3年の男子195名,女子285名の計480名を対象とした。

内訳は,2年生男子109名,女子135名,3年生男子86名,女子150名であった。

 調査内容:携帯メールの嗜癖の現状を調べるため,岡田(2002)をもとに携帯に関する質

問事項を9項目作成した。また,携帯電話および携帯メールの嗜好の程度を測定するため

の質問項目を8項目作成した。また,数人の生徒との面接をもとに携帯の嗜癖に関する8

つの質問項目を作成した。これらの項目は,以下の通り。なお,詳細については,結果お

よび巻末の資料を参照のこと。

 1.性別

 2.携帯電話を現在利用しているか

 3.携帯の利用期間

 4.通話する際の1日あたりの利用頻度

 5.1日に携帯電話によるメールのやりとりをする回数

 6.携帯・メールをよくする相手の人数

 7.メールだけの友達(メル友)の有無

 8。携帯電話の月々の費用

 9,携帯の費用支払者

  (以下の質問には 5.よくある一Lほとんどない の当てはまる数字にOをする)

5

10.携帯電話を常に持っていないと不安に感じる

1L携帯電話の電源を切ると不安になる

12。受けたメールの返事をすぐ返さないと不安に感じる

13.休みの日は携帯・メールをやっている

14.電車に乗るとメールをやっている

15.夜遅くまで携帯・メールをやっている

16.授業中メールをやることがある

17.携帯・メールのやりすぎかなと思うことがある

 次に,携帯メール嗜好の要因と考えられる依存性については関(1982)の依存尺度,自

己愛傾向については相澤(2002)の自己愛尺度を用いた。これらの質問項目については,

結果のTable2およびTable3と巻末の資料を参照。

 調査手続:ホームルームの時間に担任教師による教示のもとに実施した。

 調査時期:2003年3年生は2月の下旬,2年生は3月上旬に実施した。

               結果および考察

携帯電話と携帯メールの利用状況

 岡田(2002)をもとに作成した携帯に関する質問事項について,それぞれの回答の数値ま

たは割合を以下に示した。

 1.性別    L男子(195名) 2.女子(285名)

 2.携帯電話の利用状況

  1.利用している(92.5%) 2.かつて利用していた(2.5%) 3.利用したことはない(5.0%)

 3.携帯の利用期問          平均:29.4ヶ月,SD:9.58

 4.携帯電話通話1目あたりの利用頻度  (送受信回数をあわせて) 平均12.04回

 5.携帯電話メール1目あたりの利用頻度(送受信をあわせて)平均:36.2回,SD:59.4

 6.携帯・メールをよくする相手の人数   平均:5。44人

 7。メールだけの友達(メル友)       Lいる(8.4%)  2.いない(9L6%)

 8。携帯電話の月当たりの費用       平均16470円,SD:3859

 9。携帯費用の支払者    1.保護者(46.5%) 2,自分(33.6%) 3。両方(19.9%)

 上記の結果より,本研究の調査に参加した高校生は,90%以上の者が携帯電話を利用し

ていることがわかった。また,利用者は,携帯電話を電話として使うよりも,メールの送

受信に使うことが多いことが示された。これは,メールのコストの安さと,利便性(相手

の都合を考えずにいつでも送信できる,直接話さなくてすむ等)が関係していると思われ

る。また,メールだけの友達(メル友)がいると答えた者は,10%以下と少なく,90%以

6

上は,自分が目常生活で知っている友人とメールのやりとりをしていることがわかった。

携帯の嗜癖に関する質問事項の分析

 数人の生徒との面接をもとに携帯の嗜癖に関する8つの質問項目を作り,その質問への

反応に基づく因子分析(主因子法・プロマックス回転)の結果2因子を抽出した(Table1

参照;累積寄与率47.6%)。

 第1因子に高い負荷量を示す項目は携帯を頻繁に使っている質問事項なので「頻繁使用

因子」(αニ.80)と名付けた。また,第2因子に高い負荷量を示す項目は携帯を使っていない

と不安を感じることに関する質問事項なのでr強迫不安因子」(α=.73)と名付けた。

Tablel携帯の嗜癖に関する質問事項

項目 因子1因子2

Qlo携帯電話を常に持っていないと不安に感じる。 .17 67

Qll携帯電話の電源を切ると不安になる。 、08 .87

Ql2受けたメrルの返事をすぐ返さないと不安に感じる。 .oo 50

Ql3休みの日は携帯・メリレをやっている ,77 一.04

Q14電車に乗るとメーソレをやっている。 .61 ,07

Q15夜遅くまで携帯・メーソレをやっている .82 一.06

Ql6授業中メーソレをやることがある。 57 。03

Q17携帯・メーソレのやりすぎかなと思うことがある。 52 .06

自己愛尺度について

 自己愛尺度に対する反応データを基に,主因子法・プロマックス回転による因子法で分

類した。因子係数の低い尺度,および他の尺度との差が見られないものを削除し,再度因

子分析を行い,先行研究(相澤2002)と同じ7因子を抽出した(Table2参照:累積寄与率

47.4%)。

 各因子に負荷量の高い項目を見ると,相澤(2002)とほぼ一致していたので,それぞれ

の因子名は,先行研究と同様とした。すなわち,第1因子「対人過敏」(α=.86),第2因子

7

「自己誇大感」(αニ.85),第3因子「対人消極性」(α=.86),第4因子「自己萎縮感」(α=.82),

第5因子「自己愛的憤怒」(α=.77),第6因子「賞賛願望」(α=.70),第7因子「権威的操

作」(αニ.57)と名付けた。

Table2 自己愛尺度の因子分析結果

項目因子1

因子2

因子3

因子4

因子5

因子6

因子7

Q39 周りの人に自分が変な人に思われているのではない

と不安になる。

.94 一.10 一,03 一.20 一.05 一.02 .03

Q38 周りの視線が気になり落ち着かない。 .88 .04 一.04 一.07 .Ol 一.Ol .00

Q40 周囲の視線が気になって,動作がぎこちなくなる。 .75 .03 .03 一.04 .02 一.15 .02

Q37 失敗するのではないかといつも不安になる。 .57 一。04 一.03 .16 一.02 .ll .Ol

Q41 少しでも批判されたり非難されたりすると動揺する。 .57 .03 .05 .11 .13 一.03 一.19

Q27 自分が他人にどのような印象を与えているのかとて

気になる。

.54 一.03 .03 .09 .05 .16 一.16

Q60 人と対面すると,相手を意識して緊張する。 .38 .11 .13 .22 一.02 一.15 一.07

Q57 先のことをくよくよ考えすぎる。 .37 .Ol 一.02 .13 .03 .12 .10

Q23 私には持って生まれたすばらしい才能がある。 .00 。81 .02 一.09 一.ll .04 一.10

Q35 自分はきっと将来成功するのではないかと思う。 一.13 .72 .Ol 一.02 .06 .00 一.19

Q31 自分の思想や感性にはかなり自信がある。 一.06 .67 .12 一.10 .06 .02 一.03

Q28 自分にはどこか人を魅了するところがあるようだ。 一.07 .64 一.06 .07 .Ol .19 .04

Q36 自分自身では,要領も良いし,賢明さも備えていると

う。

.02 .62 .00 一.19 一.08 .Ol .11

Q58 他の人とは違って,自分はたぐいまれなる存在であ

.07 .55 .00 一.11 .06 .04 .14

Q25 自分が偉大な人間になっているような空想をする。 一.05 .44 、Ol .25 .15 .10 .00

Q24 私の意見や考えに,周りの人を従わせることができれ

,もっと物事が上手く進むのにと思う

.16 .34 一.ll .05 .15 .06 .22

Q47 人と自然に付き合えない。 一.03 一.05 .88 一.07 一.08 一.01 .16

Q49 人に近づきたい気持ちがあるにもかかわらず,人を避

てしまう。

.03 .08 .78 一.07 .02 一.04 一。07

Q48 人と心からうち解けて付き合うことができない。 一.07 一.ll .77 一.08 一.06 一.01 .20

Q45 人といても自分だけが取り残されたような気持ちに

る。

.19 .ll .62 .07 。01 .14 一。ll

8

Q44 人が大勢いると上手く会話の中に入っていけない。 .00 .06 .58 .06 .02 一.09 一.12

Q46 人といると,馬鹿にされたり軽く扱われるのではない

と不安になる。

。30 一.06 .49 一.06 .06 .05 .04

Q62 知っている人を見かけても,顔を会わさないように道

さける。

.05 .09 .34 .18 .05 一.10 .04

Q20 気が弱い。 一.Ol .06 一.ll .83 一.09 一.07 一.05

Q21 決断力がない。 .Ol 一.08 一.02 .68 .05 .06 一,14

Q19 何かにつけ他人の方が上手くやっているように感じ

.07 一.14 .05 .57 .03 .28 一.08

Q63 内気な方である。 .00 .14 .01 .53 一.06 一。44 .ll

Q54 引っ込み思案である。 .13 .12 .02 .44 一.10 一.36 .15

Q30 自分の意見が正しいと思っても強く主張できない。 .22 一.17 .03 .40 一.09 一.12 .10

Q29 自分に自信がない。 .19 一.23 .12 .39 一.04 .04 一.04

Q22 根気がなく何をするにも長続きしない。 一.05 一.22 一.02 .38 .16 .10 .08

Q51 人に侮辱されたり,さげすまれたりすると,怒りを抑

られなくなる。

.03 一.04 一.ll 一.15 .84 一。13 .08

Q50 人に軽く扱われたことが,後々腹が立って仕方がない

とがある。

一.07 一.Ol .ll .08 ,72 .Ol .07

Q43 人から不当な評価を受けることには我慢がならない。 .10 .19 一.04 一.Ol .56 一.07 一.13

Q59 対人場面でその場は何とも思わなくても,後々腹が立

ことがある。

.06 一。01 .01 .06 .51 一.08 .12

Q52 人の注目を浴びるのが好きだ。 .16 .38 一.10 .02 一.07 .56 .08

Ql8 ここぞと言うときには大胆に自己アピールをしたい。 一.04 .23 一.Ol .25 一.07 .55 .04

Q56 人前で発表したり演技をしたりするのが得意だ。 。09 .23 一.Ol 一.09 一.18 .53 .20

Q33 自分の役に立つかどうかで友人を選ぶことは,正当な

とである。

。Ol 一.02 .03 一.ll .05 .04 .54

Q64 必要ならば罪悪感を感じることなく,人を利用するこ

ができる。

一.19 .07 .13 .01 .04 .08 .40

Q55 人々を従わせられるような権威を持ちたい。 一.03 .15 .05 .07 .28 .10 .39

因子抽出法:主因子法

転法:Kaiserの正規化を伴うプロマックス法

依存尺度について

 まず,依存尺度に対する反応データを基に,因子分析を行った(Table3)。先行研究(関,

9

1982)にならって因子数3に固定し主因子法・バリマックス回転による因子分析を行い3

つの因子を抽出し,第1因子を「依存欲求」(α=0.87),第2因子を「統合された依存」(α

ニ0.88),第3因子を「依存拒否」(α=0。83)と名付けた(Table3)累積寄与率35.8%。

Tab茎e3依存に関する尺度の因子分析結果

項目 因子1 因子2 因子3Qlo3 何かするときには,誰かに気を配って,はげましてもらいたい。 .71 .17 .03

Qlo2 困っているときや悲しいときには,誰かに気持ちを分かってもらいた

.65 .28 一.07

Q99 重要な決心をするときにはいつも,人の意見が聞きたい。 .64 ,14 一.05

Q92 何か迷っているときには,誰かに「これでいいですか」と聞きたい。 .63 .05 一.02

Q70 何かにつけて,誰かに味方になってもらいたい。 .62 .05 一.10

Q81 一人で決心がつきかねるときには,誰かの意見に従いたい。 .61 .05 一.08

Q89 病気のときや,憂うつなときには,誰かに同情してもらいたい。 .61 .01 一.03

Qloo むずかしい仕事をするときには,できたら誰かと一緒にしたい。 .56 .14 .02

Q80 人からr元気ですか」などと気を配ってもらいたい。 .54 .12 一.03

Q83 できることなら,どこへ行くにも,誰かと一緒に行きたい。 .50 .14 .02

Q93 悪い知らせ悲しい知らせなどを受け取る場合に1よ誰かに一緒にいて

らいたい。

.46 .16 .02

Q74 できることならいつも,誰かと一緒にいたい。 .44 .24 一.05

Q79 うれしいこと,楽しいことは,まず誰かに報告したい。 .42 .39 一.19

Q67 自分の信頼できる人がいるので安心だ。 .03 .80 一.17

Q75 心のささえになってくれる人がいる。 .12 .77 一.12

Q66 自分を見守ってくれるように思う人がいるので,大事な場面も切りぬ

られる。

.09 .72 一.04

Qgo 思い出すだけで心が安らかになるような人がいるので,落ち着いてい

れる。

.17 .66 一.04

Q72 わたしがどんなことをしようと理解してくれる,と思う人がいる。 .09 .63 一.06

Q91 誰かのことを思い浮かべて,元気を出すことがある。 .18 .62 一.07

Q98 自分と相手の立場を尊重しつつ必要なときには上手く頼ったり頼ら

たりする方だ。

.13 .59 一.16

Q96 あの人になら少々無理を言ってもいい,と思う人がいる。 .24 .57 一.13

Q97 人は支え合って生きていくものだと感じる。 .36 .53 一.16

Q76 最後は自分で決めるにせよ,困ったときには,信頼できる人の意見も .36 .43 一.15

10

求めてみる。

Q82 人の世話になるのは,恥ずかしいと思う。 .Ol 一.06 ,65

Q85 恩返しできないなら,人に援助を求めるのは,ためらわれる。 .01 一.05 .61

Qlo4 安心して人の世話になれないほうだ。 一.07 一.14 .60

Q84 友達には,絶対に借りをつくりたくない。 一,09 一.07 .60

Q86 親しい間柄の人にでも,甘えることのない方だ。 一.19 一.14 .57

Q88 自分のことを誰かに相談するのは,何か不安である。 .07 一.21 .56

Q73 人に頼み事をするのは,どんなときでも,非常な決心がいる。 .12 .Ol 。52

Q68 誰かに頼る立場になると,どうも落ち着かない。 一.04 一.09 .49

Qlo1 自分のことは,どんなことがあっても自分一人でしないと気がすまな

一.19 .04 .49

Q94 どんなに困ったときでも,人に頼らないほうだ。 一.26 一.22 .49

Q71 自分のために,人に何かをやってもらうのは苦手だ。 一.04 一.05 .48

因子抽出法:主因子法

転法:Kaiserの正規化を伴うバリマックス法

自己愛尺度と依存尺度の相関分析

自己愛の下位尺度と依存性の下位尺度におけるpersonの相関係数を求めた(Table4)。

              Table4personの相関係数

己誇大感

対人過敏

対人消極性

己萎縮感

己愛的憤怒

員賛願望

威的操作

膠一

された依存

依存欲求

依存拒否

自己誇大感 1.00 .oo 一.01 、22榊 .34串零 .52料 .44桝 。27榊 .10* 。08

対人過敏 .oo LOO 61串串 .64串* .38料 一.08 .09* 一.03 .46*零 .17林

対人消極性 ㌦Ol .61榊 1.oo .58*串 .38料 ~18料 .24串串 一。27料 .18料 .30率傘

自己萎縮感 、22榊 .64串* .58串* LOO 。23** 、28零率 .02 一.19榊 32料 .14**

自己愛的憤怒 .34率率 38*率 38料 。23ホ* LOO .17料 .38串串 .08 33料 .20**

.52*率 、08 一.18榊 、28榊 .17** 1.oo .25牢率 .35料 .ll串 一.04

鞭 。44榊 .09串 24** .02 .38率申 。25** 1.oo 一,08 一.03 ,24榊

統合された依存 27*率 、03 一27榊 ㌦19林 .08 .35料 、08 LOO .44韓 、29榊

醐.10零 .46耕 .18串串 .32榊 .33榊 .11 、03 .44料 1.oo 、17榊

依存拒否 ,08 .17料 。30榊 .14榊 。20緋 一.04 。24*率 一29牌 一.17榊 LOO

*:pく,05;**:p<.Ol。  N l】よ454-477Q

11

 自己誇大感と賞賛願望・権威的操作は互いに中程度の相関をもち,対人過敏・対人消極性

自己萎縮性は互いに高い相関を持つことがわかった。

 統合された依存と依存欲求は中程度の相関を持つ。統合された依存と依存拒否は弱い負

の相関を持っことがわかった。

 自己愛と依存の尺度間の相関では依存欲求と対人過敏に中程度の相関,依存欲求と自己

萎縮性・自己愛的憤怒とそれぞれに弱い相関がみられ,統合された依存と賞賛願望に弱い相

関,依存拒否と対人消極1生に弱い相関が見られた。

 このことより特に依存欲求の強さは他人に甘えたいという気持ちの表れで,そのため他

人の動向に過敏になり,また自分の考えを素直に出すと拒否されるのではないかという不

安から自己萎縮をおこし,甘えが上手くかなえられないと怒りとして現れるのではないか

と推測できる。このことは研究2でのクラスター分析で改めて考察する。

携帯メール嗜癖への自己愛と依存欲求の影響

 rメール回数」r頻繁使用因子」r強迫不安因子」において性別についてのt検定をおこ

なったところ「メール回数」はt(428)=一Ll2p=0.218,「強迫不安因子」t(441)=一1.95p=.053

で有意さはみられなかったが,「頻繁使用因子」はt(441)=一2。78 p<.Ol で女子の方が有意

に高いという結果が得られた。

 1)重回帰分析結果

 携帯メールヘの嗜癖1生を引き起こす要因として,自己愛と依存欲求の影響を調べるため

重回帰分析を行い,それぞれの要因を調べた。

 メール回数については「頻繁使用因子」「強迫不安因子」「使用期間」「メール相手数」を

独立変数にとりステップワイズ法による重回帰分析を行った(Table5)。その結果,p≦。01

で「頻繁使用因子」と「メール相手数」が主に影響を与えていることがわかった。

Table5メール回数の重回帰分析

非標準化係数 標準化係数 t 有意確率

一“

丁ル B 標準誤差 ペータ

1 (定数) 一31』79 8.85 一3.59 .00

頻繁使用因子 22.60 2.79 .37 8.10 .00

2 (定数) 一38.01 9.06 一4.19

護)0

頻繁使用因子 22.49 2.77 .37 8.13 .00

メール相手数 1.20 。44 .12 2.77 .Ol

a 従属変数:メール回数

12

 上記のことにより,「頻繁使用因子」がメール回数の主要な要因と考え,「頻度使用因子」

では「メール回数」を除き「強迫不安因子」r使用期間」「メール相手数」「自己愛・依存の

各下位尺度」を独立変数として重回帰分析を行った(Table6)。その結果,有意水準をP<.Ol

とした場合,r強迫不安因子」r利用期間」r統合された依存」が影響を与えていることがわ

かった。

Table6 頻繁使用因子の重回帰分析

非標準化係数 標準化係数 t 有意確率

モデル B 標準誤差 ベータ

茎 (定数) L94 .13 14.85 .00

強迫不安因子 。39 .04 .42 9.03 .00

2 (定数) 1.33 .18 7.35 。00

強迫不安因子 39 つ4 .41 9.20 ,00

利用期間 .02 。00 .21 4.73 .00

3 (定数) .67 24 2.74 .Ol

強迫不安因子 .36 .04 .39 8.71 .00

利用期間 ,02 .00 .19 4.40 つ0

統合された依存 ,02 ρ1 .18 4.00 .00

4 (定数) 124 .34 3.66 .00

強迫不安因子 。38 。04 。40 8.97 。00

利用期間 .02 .00 .19 424 。00

統合された依存 つ2 .01 .董5 3.16 .00

依存拒否 、Ol .01 一.l l 一241 ,02

a 従属変数:頻繁使用因子

 「強迫不安因子」が「頻繁使用因子」がメール回数の主要な要因と考え,「強迫不安因子」

では「頻繁使用因子」を除いて「使用期間」「メール相手数」「自己愛・依存の各下位尺度」

を独立変数として重回帰分析を行った(Table7)。その結果P<.Olではr依存欲求」r対人

過敏」の各因子が影響を与えていることがわかった。

13

Table7 強迫不安因子の重回帰分析

非標準化係数 標準化係数 t 有意確率

モデル B 標準誤差 ペータ

1 (定数) .93 22 4.16 』o

依存欲求 餌 .Ol .41 8.80 .00

2 (定数) .61 .24 2.57 .Ol

依存欲求 。03 。Ol .31 6.Ol .00

対人過敏 。03 .Ol .19 3.74∫)0

3 (定数) .27 26 1.02 .31

依存欲求 餌 .01 33 628 .00

対人過敏 加 .Ol .18 3.39 』o

権威的操作 価 .02 .12 2.70 .01

4 (定数) 併 四 .14 。89

依存欲求 m ,Ol 。31 595 .00

対人過敏 .03

護)1

.20 3.71 .00

権威的操作 餌 。02 .10 2.Ol ρ4

賞賛願望 m .02 .09 1.98 茄

a 従属変数:強迫不安因子

 前項の相関分析により,依存欲求・対人過敏問の相関係数(ピアソンの積率相関係数1以

下同様)が.46,統合された依存依存欲求間の相関係数が.44と,ともに中程度の相関を示

していることがわかった。

14

2)パス解析図

以上の結果をもとにパス解析を行った。その結果をFigure2に示す。

利用期間

.22

e3

e1

合された依 .18

.45

頻繁使用因子

依存欲求.30

.47

対人過敏

.42

.19

.37

強迫不安因子

メール回数

.12

メール相手数

e2

Figure2携帯利用に関するパス解析

 なお,NFI=0。998,RFI=0.995,CFI=LOO,RMSEA=0.011となり,十分にあてはまりがよいと

考えられる。

 3)パス解析結果

 メールの嗜癖に関する質問項目の因子分析の結果「頻繁使用因子」と「強迫不安因子」

という因子が得られた。「強迫不安因子」には性別による有意差はなかった。これより携帯

を手放す事に不安を覚えるということに関して性差はあまりないということがわかる。

また,「強迫不安因子」は依存尺度の下位尺度である依存欲求と自己愛尺度の下位尺度であ

る対人過敏に影響されている。このことから,友人同士のメールでの会話を楽しんでいる

というより,「孤立するのが怖い」とか「なかまはずれになるのではないか」という依存性

の不安や,「すぐメールを返さないと気を悪くする」など友人に対する過敏性に動かされて

いることを示している。これより「強迫不安因子」の質問事項にある携帯を手放せないと

いう状態は依存欲求や対人過敏による対人不安に起因すると考えられる。

「頻繁使用因子」は「強迫不安因子」の影響を強くうけており,対人不安から始終メール

をしていることを示しているが,一方で「統合された依存」の影響もうけている。r統合さ

15

れた依存」は相互依存的な他者との良好な関係を保ち,かっそこから得た安定感を基礎と

して自立的になるために必要不可欠な依存性であるので,友人との良好な関係を保つため

に必要ななものであり,その良好な関係を保っためにメールを頻繁に利用することもある

と推測される。

性別のt検定により女子の方が有意に高いことから,女子の方がまめにメールのやりとり

をしていることがうかがえる(男子の平均2.86,女子の平均3.12:1(441)二一2.78,ρ<.Ol)。

また,「利用期間」からも影響を受けており,利用期問が長くなれば利用頻度が高くなり,

メールの回数も多くなることもわかる。

「メール回数」は性別による有意差はなく,「頻繁使用因子」に大きく影響されており「強

迫不安因子」には直接影響されていないことがわかった。このことから,メールの回数が

多いことが対人関係において不安や過敏であるとは必ずしも言えないことがわかる。また,

「メール相手数」に影響されていることから友人の多さがメールの回数を増やしているこ

とがうかがえる。

 4)パス解析結果の考察

 斎藤(1997)は買い物,テレビウォッチング,テレビゲームなどの行為への没頭をポップ

アディクション(軽嗜癖)と名付けている。この分野は医学的・心理学的研究の対象と今ま

でされることなく経過してきたようである。携帯メール嗜癖の心・身・社会的な有害性も,

研究者の関心を引くほどにつよくないとかんがえられてきたからであろう。

現代の精神医学はr嗜癖」というカテゴリーを避けて窃盗癖のように行為で示されるもの

を衝動統制障害と読んでいる。一方,嗜癖治療アプローチをとるものは薬物や食物のよう

な物質を接種する「物質嗜癖」,ギャンブルや仕事など行為の過程を内容とする「プロセス

嗜癖」人間関係に関する者を「関係嗜癖」,という3つのタイプの嗜癖を考えるようになっ

ている(斎藤 1997)。

 携帯メールの回数も多い者は日に800回に及ぶ者もおり,先にいうr関係嗜癖」の一種

と考えることができるであろう。つまり,携帯メール嗜癖の要因を考えることは人間関係

に関する嗜癖の一因や引いては人間関係の不適応の要因を探る手がかりになると考える。

 霊長類研究所でサルを研究している正高(2003)によると以下のように若者の携帯メール

とサルの会話との関係を指摘している。

 「ニホンザルは仲間が自分から空間的に離れたときに,むしろ声を出し合う。

 サルは自分が声を出して反応があることで彼らは仲間と一体であるという安心感を得て

いるらしい。相手が視界から消え去ったときに,社会関係を維持するためにおしゃべりを

し合うというのは,きわめて高度な社交術である。音声そのものにはメッセージはなく,

仲間の所在を確認して反応が聞こえなくなるのを防いでいるにすぎない。このことは,と

りわけ若者が携帯でメールをやりとりしているのと,そっくりだと思う。」(正高,2003,

16

PP.66-67)

 このように若者のメールは内容には意味がなく,あえて伝える価値のない内容を交信し,

仲間であることを確認しあっていると指摘している。ニホンザルも起きている間中,誰か

と繋がっていないと落ち着かないようであるとも言い,この点は携帯メール嗜癖に陥って

いる生徒と非常に状況が似通っているように思える。

 携帯メールが仲間確認の手段であるとすると,すぐに返信をしないと不安になり,その

ため携帯を手放すことのできない強迫不安因子をもたらす心理もうなずけるし,また仲間

同士の動向に敏感な対人過敏や仲間の結びつきを求める依存欲求が強迫不安因子の要因と

なるとも考えられる。

 正高はこのように仲間確認をしないと不安に陥るようになった原因を母子密着型の子育

てが,「家の中」感覚で24時間過ごすライフスタイルを助長し,発達の過程で子供に社会

化を促す力が希薄になったためとしている。

 以前は据え置き電話や手紙といった時間的空間的にも限られた通信手段しかなかったの

が携帯メールにより24時間通信できるようになり,もいつでも仲問とつながり合う関係が

保たれるようになってしまった。そのため仲間確認はどんなに離れていても24時間サルと

同じように関係が保たれるようになってしまった。そのためますます社会化できない一群

が生まれつつあるように思える。

 以上のように強迫不安因子は仲間確認による不安に関連があると考えられ,頻繁使用因

子に関しては,強迫不安因子だけでなく統合された依存からも影響を受けており,友人と

の良好な関係を保つためにメールを頻繁に利用することもあると推測される。

 このように結果および考察をふまえ,メール嗜癖には2つのタイプがあることが予想さ

れる。友人との良好な関係を保つためにメールを頻繁に利用するタイプ,それと対人関係

でr仲間はずれになりたくない」などの対人不安に駆られて携帯が手放せないタイプの2

通りのタイプがあると考えられる。実際,2人の生徒との面接をしてみた。ともに1目の

メール回数が200回を越える生徒であったが,1人の生徒は「メールの回数は多いが携帯

を持っていなくても平気だし,携帯の電源を切っても不安ではない」と話してくれたが,

もう1人の生徒は「携帯を手離すことも電源を切ることも不安でできない」と話してくれ

た。

自己愛尺度と依存尺度に基づいた調査対象者の分類と特徴

 本研究の第2の目的として,クラスター分析で分類を試み,それぞれの生徒がどのよう

な群に属すのか,またその群がどのような特徴をもつのか検討することにする。

 問題と目的でも述べたように,先行研究における対象者の分類に共通することは,自己

愛傾向の強い者に関しては「無関心型」と「過敏型」におおむね分かれ,自己愛傾向の低

17

い者の一群に対人恐怖傾向を示す者がいるということであった。そこで以上の先行研究と

比較し,過敏特性と誇大特性とをも持っ自己愛尺度と青年期の1つの特徴である対人依存

の尺度を用い,クラスター分析により分類し,それぞれの特徴をメール嗜癖の質問事項を

考慮に入れ,詳細に検討することにした。

 1)自己愛下位尺度の2次因子分析

 相澤(2002)は過敏特性と誇大特性から自己愛人格項目群を作ったが,逆の過程をたど

り自己愛人格項目群の下位尺度に2次の因子分析を行い,2つの因子を見いだした(Table8

参照,累積寄与率53.1%)。

 因子係数が同じくらいで区別の付きにくい自己愛的憤怒を除いて,対人消極1生,自己萎

縮性,対人過敏を第1因子とし,自己誇大,賞賛願望,権威的操作を第2因子とし,相澤

(2002)に基づいて第1因子を過敏特性(α=0.82),第2因子を誇大特性(α=0.66)と呼ぶこと

にした。

Table8 自己愛下位尺度の2次因子分析結果

項目 因子1 因子2

対人消極性 .79 .08

自己萎縮性 .79 一.22

対人過敏 .78 .05

自己誇大 一.08 .82

賞賛願望 一.24 .56

権威的操作 .17 。55

自己愛的憤怒 .44 .49

因子抽出法:主因子法

転法:Kaiserの正規化を伴う’fリマックス法

 2)クラスター分析結果

 この誇大特性・過敏特性に依存の3つの下位尺度を加え5つの変数とし,それぞれのクラ

スターの特徴をより捉えやすくするために,あらかじめ標準化得点に変換した。この5っ

の変数を投入変数としてクラスター分析を行い5つのクラスターを抽出した(Figure3)。

18

1.5

1

  0.5平

均  0値  一〇.5

  逮碧5

中イ

、立1

〆瓶\\.

ノ/惑ぜ㎏彰

、〆

、Ψへτ㎏

懇染

→一クラスター1

噛一クラスター2

  クラスター3

嚇一クラスター4

→←クラスター5

変数

Figure3 クラスターごとの各変数変化

クラスター1は誇大特性が高く,依存欲求・過敏特性がともに低いものであった。

クラスター2は依存拒否が高く,統合された依存・依存欲求・誇大特性が低いものであ

った。

クラスター3は統合された依存・依存欲求が高く,依存拒否・過敏特性が低いものであ

った。

クラスター4は依存欲求・過敏特性が高く,誇大特性が低いものであった。

クラスター5は依存欲求・依存拒否・過敏特性・誇大特性が高いものであった。

 3)各自己愛尺度におけるクラスター間の差

 さらに各クラスターの特徴を調べるために自己愛の下位尺度および依存の下位尺度につ

いて1要因分散分析を行った。その結果すべての投入変数について有意な主効果を示した。

 自己愛の尺度について:自己誇大感F(4,436)=34.3,p〈。Ol,対人過敏F(4,436)=53.6,pくOl,

対人消極性F(4,436)=60.7,pく01,自己萎縮性F(4,436)=57.5,p<.01,自己愛的憤怒

F(4,432)=17.0,pく。Ol,賞賛願望F(4,436)=46.6,p〈.Ol,権威的操作F(4,436)=35.6,pくOlであ

った。また,有意な主効果を示したものは多重比較(Tukey法)を行った。その結果はTable

9の通りであった。(Table9は,巻末の資料2に掲載した)

 この多重比較の結果をまとめると,以下の通りである(数字は,クラスター番号)。

   自己誇大感: 5,1>3>2,4

   対人過敏: 5,4>2>3,1

   対人消極性; 5>4  2,4>1,3

   自己萎縮性: 4〉2  5,2>1,3

19

自己愛的憤怒  5>1,2,3,4

賞賛願望: 1,5,3>4,2

権威的操作: 5,1>2,3,4

 4)各依存尺度におけるクラスター間の差

 依存の尺度について:統合された依存F(4,336)=99.1,p<.Ol,依存欲求はF(4,336)=95.0,

p<.Ol,依存拒否F(4,336)ニ60.9,p<.Olであった。

 また,有意な主効果を示したものは多重比較(Tukey法)を行った。その結果はTable lO

の通りであった。(Table lOは,巻末の資料2に掲載した)

 この多重比較の結果をまとめると,以下の通りである(数字は,クラスター番号)。

   統合された依存: 3>5>4,1>2

   依存欲求: 3>5>4,1>2

   依存拒否: 2,5>1,4>3

 5)各クラスターと頻繁使用因子・強迫不安因子・メール回数における分散分析結果

 また,携帯メールとの関連を調べるために「頻繁使用因子」「強迫不安因子」「メール回

数」について1要因分散分析をおこなった。その結果,「頻繁使用因子」「強迫不安因子」

については有意な主効果を示したが,「メールの回数」については有意な主効果はみられな

かった。(Tablell)

Tablel1 メーノレロ’

クラスター  1 2 3 4 5

 差

値偏数

均準本

平標標

34,0

35,5

81

28.8

36.0

47

51.0

77.6

87

37.4

82.9

96

32.5

41.7

82

 強迫不安因子はF(4,399)=8.35,p<。Ol,頻繁使用因子はF(4,399)=4。27,p<.01となり,多重

比較の結果はTablel3のようになった。(Table l3は,巻末の資料2に示す)

 この多重比較結果をまとめると,以下の通りである。

  強迫不安因子: 5>1,2,3,4>2

  頻繁使用因子: 3,4,5>2

また,それぞれの平均値,標準偏差は以下の通りであった(Tablel2)

20

Table l2各クラスターの強迫不安及び’度使用因子の平均得点

クラスター 1 2 3 4 5

強迫不安因子 2.72  2.35

(標準偏差)  (.99) (LO1)

 標 ’)  82   49

2.71

(LO3)

89

2.90     3.29

(,87)    (LOO)

99    85

使用頻度因子  3.04  2.58

(標準偏差)  (.97)  (.91)

 票     82   49

3.22

(.97)

89

3.03     3。18

(。94) (.87)

99    85

6)各クラスターと性別・利用状況・利用料金負担者について比の差の検定

それぞれのクラスターの特徴を探るために性別,利用状況,利用料金負担者について比

の差の検定を行った。(Tablel4)

 性別についてはX2(4)二65。6,p<.01となり

女子が多いことがわかった。

クラスター1,2,5では男子が多く,3,4では

Tablel4性別とケースのクラスタ番号のクロス表

ケースのクラスタ番号 合計

1 2 3 4 5

性別 男子 度数 56 35 17 23 46 177

期待度数 34.9 25.3 37.7 42.5 36.5 177

女子 度数 31 28 77 83 45 264

期待度数 52.1 37.7 56.3 63.5 54.5 264

合計 度数 87 63 94 106 91 441

期待度数 87 63 94 106 91 441

 利用状況についてはκ2(4)二19.8,p<.Olでクラスター2において携帯所持が少なく,不所

持が多いことがうかがえる(Tablel5)。

Tablel5利用状況とケースのクラスタ番号のクロス表

ケースのクラスタ番号 合計

1 2 3 4 5

利用状況 携帯所持 度数 82 49 90 99 85 405

期待度数 79.9 57.9 86.3 97.3 83.6 405

携帯不所持 度数 5 14 4 7 6 36

21

期待度数7.1

5.1

7.7

8.7

7.4 36

合計 度数 87 63 94 106 91 441

期待度数 87 63 94 106 91 441

 利用料金負担者にっいてはκ2(8)=16.9,p<.05でクラスター4は保護者が負担している割

合が高く,クラスター1では本人が負担している割合が高いことがわかる(Tablel6)。

Tablel6 料金負担者とケースのクラスタ番号のクロス表

ケースのクラスタ番号 合計

1 2 3 4 5

料金負担者 保護者 度数 27 25 40 57 38 187

期待度数 38.0 22.7 41.7 45.8 38.9 187

本人 度数 38 12 30 30 25 135

期待度数 27.4 16.4 30.1 33.1 28.1 135

両方 度数 17 12 20 12 21 82

期待度数 16.69.9

18.3 20.1 17.0 82

合計 度数 82 49 90 99 84 404

期待度数 82 49 90 99 84 404

 7)クラスターの特徴と携帯メール嗜好に関する考察

 クラスター1は自己誇大・賞賛願望・権威的操作がともに高く,対人過敏・対人消極性・自

己萎縮がいずれも低い。自分に自信があり,対人的に不安を持っていないと考えられる。

つまり,このクラスターは先の先行研究の言うところの典型的な「無関心型」自己愛人格

の特徴を示している。依存欲求が低く,強迫不安因子も低いことから友人関係においては

不安感が少なく安定していると考えられる。

 小塩(1999)の研究でも自己愛傾向の強いものは交友関係が比較的広く,自己愛傾向の強

いものほど多くの友人関係を営んでいるという予想を提示しているが,頻繁使用因子の分

散分析でも中程度であることは,友人とそれなりにメールを交わしていることを示してお

り,そのことを裏付けているように思える。

 また,このクラスターは自分で利用料金を払っている割合が高く,依存欲求が低いこと

からも自分のことは自分でするという独立心が強いと言えるであろう。依存欲求が低く誇

大特性の強いこの群の生徒は,自分に自信があり独立心が強いと考えられる。

 クラスター2は依存拒否が最も高く,統合された依存,依存欲求がともに低く自己誇大

22

感も低いことから,孤独を好むあるいは距離を置いた友人関係を持つ生徒像が浮かび上が

る。自己萎縮感・対人消極性は平均程度なので友人とっきあいたいが付き合えないと言うの

ではなく,自分から一人でいるあるいは距離を置いていることがうかがえ,そのことに葛

藤を覚えてはいないようである。携帯の2つの因子からも,頻繁使用因子が最も低く友人

との関係の希薄さ,あるいは距離を置いた態度がうかがえ,一方で強迫不安因子が最も低

いことからもわかるとおり,そのことに不安や葛藤を抱いてはいない。このことは先に書

いたクラスラー2の特徴を裏付けている。独立性の検定を行った結果を見てみると携帯不

所持の生徒が,このクラスターに有意に多い。このことも上の友人との関係の希薄さ,あ

るいは距離を置いた態度を裏付けている。また,男子が多いことから一般的な男子の特徴

を表しているともいえるであろう。

 一方,久米(2001)は女子においては依存の拒否は依存不安を意味し,自己の安定性が低

いという結果も見いだしているので,このクラスターの女子に関しては一概に安定してい

るとも言い切れないと考える。

 クラスター3は統合された依存が最も高く一方で依存拒否が最も低い。このことから

 対人関係において良好な人間関係が結ばれていることがうかがえる。また,対人過敏・

対人消極性・自己萎縮も低いことから,開放的で物怖じしない友達の多い生徒像が浮かび上

がる。

 自己誇大感は中程度だが自己愛的憤怒や権威的操作は低く,友人を利用したり自分の思

い通りにいかないからといって怒ることもない健全な人間関係を結んでいる。

 携帯の因子分析の結果からも頻繁使用因子が最も多く強迫不安因子が低い。このことか

らも友達づきあいの広い安定したクラスターであるといえる。有意差はでなかったが,メ

ールの回数の平均が最も多く,このことからもこのことが裏付けられる。女子が有意に多

く,開放的な女性の特徴を表したクラスターであるともいえるであろう。

 クラスター4は対人消極性がやや高く,対人過敏が高く,自己萎縮性が最も高い。

 依存性も高く自己誇大感が最も低い。このことより,自分に自信がなく他人に依存した

い欲求が強く,そのため相手に嫌われたくないという思いが強くなり,対人過敏が増すと

考えられる。

 比の差の検定より女子の数が有意に多く,従来多く見られた”何をするにも友人と一緒

でないとできない”グループと考えられる。携帯の因子分析でも強迫不安因子が高く一人

でいることに不安を抱くグループであることがわかる。また,携帯料金の保護者負担率が

有意に高く,ここでも依存性が高い事を示している。

 クラスター5は対人過敏・対人消極性が最も高く,自己萎縮性も高い。自己誇大感・権威

的操作・賞賛願望も最も高く,自己愛的憤怒はこのクラスターのみ有意に高い値を示してい

る。このクラスターは過敏特性,誇大特性ともに高く,岡野(1998)のいう「過敏型」の自

己愛人格群と言えるであろう。依存欲求も最も高く,携帯の因子分析でも強迫不安因子が

23

最も高い。一方で依存拒否も非常に高く,依存欲求が高いことと矛盾する結果を示してい

る。このことからこのグループは,依存欲求は高いが一方でそれを拒否する気持ちも高く

アンビバレントな状態に置かれていると推測できる。

 正高(2003)によるとケータイ族は面識のない者との関係を作ることが苦手なことを実験

の結果より導きだしている。このことは依存拒否の高いことと一致している。

 また,仲間同士では携帯メールのやりとりを頻繁に行うことからも依存し合っているこ

とがうかがえる。これより,依存拒否と依存欲求が併存の形で現れることが説明できる。

つまり,仲間同士の結びっきを求めてはいるが,面識のない人には拒否的な態度をとって

いると考えられる。

 また,自己誇大感・賞賛願望・権威的操作が強く目立って賞賛され,自分の思い通りにし

たいという気持ちは非常に強いが,対人過敏で消極的なためその思いを上手く表現したり

発散したりすることができない。そのため,自己愛的憤怒が高まるのではないかと考えら

れる。また,先に示した依存欲求が高く友人に甘えたいという気持ちも強いがプライドも

高く,上手く甘えることができない状態が自己愛的憤怒の高さに繋がるとも考えられる。

このグループの自己の安定感を論議するにはデータが不十分であるが,強迫不安因子の高

さから見ると対人関係で不安をかかえる可能性が大きいのではないかと考えられる。

 先行研究と比較するとクラスター1は誇大特性が高く過敏特性が低いことから岡野,

Gabbardのいうr無関心型」の自己愛群であり,クラスター4は過敏特性が高く誇大特性が

低いことから岡野(1998)のいう「純粋な」対人恐怖群にあたり,思春期の女生徒の多くが

対人恐怖に似た心性を持っていることがわかる。岡野のいうr(?)」,清水・海塚(2002)の

第3クラスターにあたる群は自己愛が低く過敏性が低いことで特徴づけられることから,

本研究ではクラスター2か3にあたると思われる。ところがこの2つはまったく違った生

徒像を描いている。クラスター2は友人と距離をおき1人でいることを好むことで特徴づ

けられ,一方クラスター3は友人が多く開放的な生徒像を浮かび上がらせている。依存尺

度からクラスター2は依存拒否が最も高く統合された依存が最も低い,逆にクラスター3

は依存拒否が最も低く統合された依存が最も高い。このように依存性から言うと正反対の

群であることがわかる。

 クラスター5は岡野,小塩のいう「過敏型」の自己愛群に相当すると考えられる。

この群は細かく見ると自己愛的1貰怒が有意にこの群だけ高く,依存拒否と依存欲求がとも

に高い。内に秘めた怒りと依存したくてもできないというアンビバレントな感情を持つ不

安定な群と言えるであろう。

 友人関係尺度を用いた分類では岡田(1995)が「群れ関係群」「気遣い関係群」「関係回避

群」に分類している。上記のクラスター分類と比較すると「群れ関係群」がクラスター3

にあたり,「関係回避群」がクラスター2にあたると考えられる。「気遣い関係群」がクラ

スター4と5にあたるとが,今回の結果は「気遣い関係群」がさらに2っに分類できるの

24

ではないかと言うことを示唆している。両群とも過敏性は高く強迫不安因子が有意に高い

が,その内容を詳しく見てみると,クラスター4は自己萎縮性が最も高く自信のなさがそ

の中心だが,クラスター5は自己誇大感が高く,分に自信を持っている反面,対人消極性

が最も高く対人関係が苦手であると考えられる。

  NTTアドが調査分類した「群人」というのはクラスター3,4,5を併せたような特

徴を示している。これだけで女子の大半を占めるので現代の女子高生の特徴を示している

と言えないこともないかもしれないが,細かく見ているとその様相は上に示したように違

いがある。

 「携帯メール嗜癖への自己愛と依存欲求の影響」のところで考察した2人の女生徒の携

帯を手放せない1人はクラスター4か5に属し,携帯がなくてもそれほど不安に思わない

もう1人はクラスター3に属するのではないかと思われる。

              まとめと今後の展望

 携帯メールの質問項目の因子分解により2つの因子「頻繁使用因子」と「強迫不安因子」

がえられ,パス解析により携帯メール嗜癖の生徒には大きく2つのタイプがあることが推

測できた。クラスター分析の結果,単におしゃべり好きで友人が多いためにメールを頻繁

に行うタイプと,対人関係に過敏で依存的なためにメールが手放せないタイプがあること

がわかった。前者のタイプはr統合された依存」が高く成熟した人間関係ができつつあり,

過敏特性・依存拒否も低く安定した人格群(クラスター3)といえるであろう。一方後者は

依存欲求が高くその一方で依存拒否も高く矛盾を抱えた人格群(クラスター5)と言える。

過敏特性も非常に高く,常に相手の顔色をうかがっているようなところがある。この群に

関しては対人関係において不安定で,クラス替えや少しの友人関係のもつれで仲間の外に

でなければいけない状態では,不登校に陥る可能性のあるタイプではないかと考えられる。

ただ,この群の特性をこのデータだけから判断するのは無理があると思われるので今後の

研究の中で明らかにしていきたい。

 現場ではメールを頻繁にうっている生徒が多数見られる。この研究でメールの回数が多

いことが必ずしも問題であるとは言えないことが明らかになった。しかし,携帯を手放せ

ない生徒つまり強迫不安因子の高い生徒は過敏特性が高く,自信のなさ(クラスター4)や内

的な怒りや対人関係の不安定さ(クラスター5)を示すことが明らかとなった。

 このことから携帯を手放せない生徒に対する指導に際しての1つの目安ができたのでは

ないかと考える。そういう生徒はクラスター4あるいは5である可能性が高く,それをよ

く見極めた上で指導の参考にすることができるのではないかと考える。

 本研究では携帯メール嗜癖を自己愛・依存性の立場から考察し,それにより生徒を分類し

その特徴を見てきたが,それぞれのクラスターにおける学校における適応度や具体的な友

人関係の様子を論じるにはデータが不足している。今後の研究の過程でそのことも明らか

25

にしていきたい。

                  謝辞

本論文の構想・作成にあたり、古川雅文先生、浅川潔司先生から貴重な助言、ご指導を頂き

ました。ここに記して感謝致します。

26

               弓1用文献

相澤 直樹 2002 自己愛的人格における誇大特性と過敏特性

     教育心理学研究,50,215-224

  隆雄 1975 女子生徒の心理とその研究 早稲田大学出版部

  隆雄 1986  女子生徒の教育 成文堂

  朋之 2002/01特集情報 携帯電話の利用と人間関係 家計経済研究,53,36-44

  努 1993 現代青年の友人関係に関する考察 青年心理学研究,5,43-55

  努 1995 現代大学生の友人関係と自己像・友人像に関する考察

    教育心理学研究,43,354-363

岡野 憲一郎 1998 恥と自己愛の精神分析一対人恐怖から差別論まで一

      岩崎学術出版社

     心理学研究,66,100-106

小塩 真司 1998 青年の自己愛的傾向と自尊感情,友人関係のあり方との関連

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小塩 真司 2002 自己愛傾向によって青年を分類する試み一対人関係と適応

     一友人によるイメージ評定から見た特徴一 教育心理学研究,50,261-270

久米 禎子 2001依存のあり方を通してみた青年期の友人関係一自己の安定性との関連

     から一 京都大学大学院教育学研究科紀要,47,488-499

松田 美佐 2000 若者の友人関係と携帯電話利用一関係希薄論から選択的関係論へ一

     社会情報学研究第4巻,ill-122

松尾 和美・小川 俊樹 2000青年期における「ひとりでいられる能力」について

          筑波大学心理学研究,22,,207-214

長山 恵一 1989 しがみっきの精神病理についての一考察 季刊精神療法,15,155-162

中野 博子 1998 女子高生と仲間はずれ(特集 心療内科のすべて)

       治療,80(6),85-87

          教育心理学研究,44,55-65

     神戸大学発達科学部研究紀要,3(1),11-20

関 知恵子 1982 人格適応からみた依存性の研究一自己像との関連において一

     臨床心理事例研究,9,230-249

渋谷 昌三 2001/04携帯電話にみる現代の人間関係 現代のエスプリ,VOL405,74-84

天野

天野

岡田

岡田

岡田

小此木 啓吾 1981 自己愛人間 朝目出版社

小此木 啓吾 2000 「ケータイ・ネット人間」の精神分析 飛鳥新社

木内 亜紀 1995/06独立・相互依存的自己理解尺度の作成および信頼性・妥当性の検討

NTTアド2000ネット&ケータイ人類白書NTT出版落合 良行 佐藤 有耕 1996 青年期における友達とのつきあい方の発達的変化

斎藤 学 1997買い物嗜癖 アルコール依存とアディクション,14(2),162-166

佐藤 有耕 1995 高校生女子が学校生活においてグループに所属する理由の分析

27

清水 健司

清水 健司

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海塚 俊郎 2002 青年期における対人恐怖心性と自己愛傾向の関連

教育心理学研究,50,54-64

1968 依存性の発達的研究1一大学生女子の依存性

教育心理学研究,16,7-16

28

資料1携帯メールと友人関係に関する調査における質問紙

最近,高校生のほとんどが携帯電話を持っようになりました。特に通信料金の安い携帯メ

ールが高校生の間の伝達手段として使われることが非常に多くなっていると思われます。

高校生に限らず電車に乗ってもメールをうっている人を多く見かけますし,携帯が生活の

中の一部として定着しているようです。

そのこと自体良いか悪いかは別にして,以前とは人間関係特に友達づきあいのあり方も変

わってきたように思えます。しかし,携帯の普及が急速に進んだためそのことに関しての

詳しい調査が追いつかない状況があります。そこで携帯,特に携帯メール使用の実態の調

査とそれを使う個人の関係を研究するため以下の質問を用意しました。

もちろん名前は書く必要がありませんし。この調査以外に使われることもありません。

この調査で校則が変わることもありませんので,感じたとおりに記入してください。

なお,携帯を利用していない人も重要な比較資料になりますのでよろしくご記入下さい。

L性別を教えてください。           1.男子  2.女子

2.携帯電話を現在利用していますか。

   1.現在利用している 2.かつて利用していた 3.利用したことはない

Q2で「現在利用している」と答えた方にうかがいます。その他の人はQ18へ飛んでくだ

さい。

3.携帯を利用してどのくらいになりますか。     (  )年  (  )ヶ月

4.携帯電話で通話する際の1日あたりの利用頻度は平均してどのくらいですか。

 (かける回数受ける回数をあわせて)         (   )回

5.現在,1日におよそどのくらい携帯電話によるメールのやりとり(送信・受信をあわ せ

て)をしていますか。              (

6.携帯・メールをよくする相手は何人くらいですか。

7.メールだけの友達(メル友)はいますか。 1.いる(

8.携帯電話の費用は月々およそいくらくらいかかりますか。

9.携帯の費用は誰が払っていますか。     1.保護者

 )回

  (   )人

)人  2.いない

  (   )円

2.自分  3.両方

Q10からQ17間での質問には 5.よくある  4.たまにある 3.どちらともいえない

2.あまりない 1.ほとんどない のうち当てはまる数字にOをして下さい。

10.携帯電話を常に持っていないと不安に感じる。

lL携帯電話の電源を切ると不安になる。

12.受けたメールの返事をすぐ返さないと不安に感じる。

13.休みの目は携帯・メールをやっている。

14。電車に乗るとメールをやっている。

29

15.夜遅くまで携帯・メールをやっている。

16.授業中メールをやることがある。

17.携帯・メールのやりすぎかなと思うことがある。

以下の質問には 5.そう思う 4.ややそう思う 3.どちらとも言えない

2。あまりそう思わない 1.そう思わない のうち当てはまるものの数字に○をつけてく

ださい。

18.ここぞと言うときには大胆に自己アピールをしたい。

19.何かにつけ他人の方が上手くやっているように感じる。

20.気が弱い。

21.決断力がない。

22.根気がなく何をするにも長続きしない。

23.私には持って生まれたすばらしい才能がある。

24.私の意見や考えに,周りの人を従わせることができれば,もっと物事が上手く進むの

にと思う。

25.自分が偉大な人間になっているような空想をする。

26.自分が相手の人にいやな感じを与えているのではないかと不安になる。

27.自分が他人にどのような印象を与えているのかとても気になる。

28.自分にはどこか人を魅了するところがあるようだ。

29.自分に自信がない。

30.自分の意見が正しいと思っても強く主張できない。

31.自分の思想や感性にはかなり自信がある。

32.自分の身体を人に自慢したい。

33.自分の役に立っかどうかで友人を選ぶことは,正当なことである。

34.私は今までにたぐいまれなる経験をしてきた。

35.自分はきっと将来成功するのではないかと思う。

36.自分自身では,要領も良いし,賢明さも備えていると思う。

37.失敗するのではないかといつも不安になる。

38.周りの視線が気になり落ち着かない。

39.周りの人に自分が変な人に思われているのではないかと不安になる。

40.周囲の視線が気になって,動作がぎこちなくなる。

41.少しでも批判されたり非難されたりすると動揺する。

42。人から賞賛されたいという気持ちが強い。

43。人から不当な評価を受けることには我慢がならない。

44.人が大勢いると上手く会話の中に入っていけない。

45.人といても自分だけが取り残されたような気持ちになる。

46.人といると,馬鹿にされたり軽く扱われるのではないかと不安になる。

47.人と自然に付き合えない。

30

48。人と心からうち解けて付き合うことができない。

49.人に近づきたい気持ちがあるにもかかわらず,人を避けてしまう。

50.人に軽く扱われたことが,後々腹が立って仕方がないことがある。

51.人に侮辱されたり,さげすまれたりすると,怒りを抑えられなくなる。

52.人の注目を浴びるのが好きだ。

53.人の話に耳を傾けるよりも自分のことをもっと話したい。

54.引っ込み思案である。

55.人々を従わせられるような権威を持ちたい。

56.人前で発表したり演技をしたりするのが得意だ。

57.先のことをくよくよ考えすぎる。

58.他の人とは違って,自分はたぐいまれなる存在である。

59.対人場面でその場は何とも思わなくても,後々腹が立っことがある。

60.人と対面すると,相手を意識して緊張する。

6L大勢の人の前にいると,自分が圧倒されてしまう。

62。知っている人を見かけても,顔を会わさないように道をさける。

63.内気な方である。

64.必要ならば罪悪感を感じることなく,人を利用することができる。

65.無理して人に会わせようとして,窮屈な思いをする。

66。自分を見守ってくれるように思う人がいるので,大事な場面も切りぬけられる。

67。自分の信頼できる人がいるので安心だ。

68.誰かに頼る立場になると,どうも落ち着かない。

69.好意を示されると,とまどうことが多い。

70。何かにつけて,誰かに味方になってもらいたい。

71。自分のために,人に何かをやってもらうのは苦手だ。

72。わたしがどんなことをしようと理解してくれる,と思う人がいる。

73.人に頼み事をするのは,どんなときでも,非常な決心がいる。

74.できることならいつも,誰かと一緒にいたい。

75.心のささえになってくれる人がいる。

76.最後は自分で決めるにせよ,困ったときには,信頼できる人の意見も求めてみる。

77.親切な申し出を,特に理由なく断ることがある。

78.一人ではどうにもならない時は,その時々で適当な人に相談する。

79.うれしいこと,楽しいことは,まず誰かに報告したい。

80.人からr元気ですか」などと気を配ってもらいたい。

81.一人で決心がつきかねるときには,誰かの意見に従いたい。

82.人の世話になるのは,恥ずかしいと思う。

83.できることなら,どこへ行くにも,誰かと一緒に行きたい。

84.友達には,絶対に借りをつくりたくない。

85。恩返しできないなら,人に援助を求めるのは,ためらわれる。

31

86.親しい間柄の人にでも,甘えることのない方だ。

87.直接手助けをしてもらわないが,誰かに話をすることで,自分の判断がしやすくなる

ことがある。

88。自分のことを誰かに相談するのは,何か不安である。

89.病気のときや,憂うっなときには,誰かに同情してもらいたい。

90.思い出すだけで心が安らかになるような人がいるので,落ち着いていられる。

91.誰かのことを思い浮かべて,元気を出すことがある。

92.何か迷っているときには,誰かに「これでいいですか」と聞きたい。

93.悪い知らせ悲しい知らせなどを受け取る場合には,誰かに一緒にいてもらいたい。

94.どんなに困ったときでも,人に頼らないほうだ。

95.親しい友人や家族には,いざという時には,無理な頼みもするだろう。

96.あの人になら少々無理を言ってもいい,と思う人がいる。

97.人は支え合って生きていくものだと感じる。

98.自分と相手の立場を尊重しつつ必要なときには上手く頼ったり頼られたりする方だ。

99.重要な決心をするときにはいつも,人の意見が聞きたい。

100.むずかしい仕事をするときには,できたら誰かと一緒にしたい。

101.自分のことは,どんなことがあっても自分一人でしないと気がすまない。

102.困っているときや悲しいときには,誰かに気持ちを分かってもらいたい。

103.何かするときには,誰かに気を配って,はげましてもらいたい。

104.安心して人の世話になれないほうだ。

32

資料2 クラスター間の分散分析に関する多重比較結果

 各クラスターと自己愛の尺度の多重比較結果

               Tab隻e9 自己愛の多重比較

Tukey HSD

平均値の差

・J)

有意確率 95%信頼

①ゲスのク

スタ番号

σ)ケrスのケ

スタ番号

暇 蝦

自己誇大 1 2 .83零 .ll ℃o 53 L14

3 36亭 .10 .00 .08 郁

4 .81串 .10 』o 54 1∬7

5 、07 。10 馬 一35 21

2 1 、83申 .11 』o 一1.14 ㌦53

3 ㌦48零 .ll .00 、78 ㌦18

4 、03 .ll 1℃0 一32 。27

5 、90率 .11 』o 一1。20 、60

3 1 一36串 .10 .00 、63 、08

2 48率 .lI .00 .18 .78

4 。45申 .10 』o .19 .71

5 ㌦42串 .10 』o 、70 ㌦15

4 1 、81* .10 .00 一1∬7 、54

2 加 .11 1℃o 一.27 32

3 ㌦45率 .10 .oo 、71 、19

5 、87* .10 ρo 一1.14 、61

5 1 御 .10 % 一.21 35

2 .90事 。11 』o 石o 120

3 42零 .10 』o .15 ⑳

4 .87申 .10 』o .61 1.14

対人過敏 1 2 ㌦48串 .11 .00 、79 、18

3 、18 .10 39 、45 .10

4 、96零 .10 』o 一123 ㌦69

5 一122ホ 。10 』o 一150 、95

2 1 .48* .11 ℃o .18 四

33

3 31宰 .ll 餌 .00 。61

4 、48零 .11 .00 ㌦77 、18

5 ㌦74零 ,ll 』o 一1餌 、44

3 1 .18 .10 39 ㌦10 .45

2 一31* .ll 餌 、61 ℃o

4 、78寧 .10 ℃o 一104 一52

5 一1併堵 ,10 』o 一132 、77

4 1 。96寧 .10 .00 憩 L23

2 .48事 .11 』o .18 刀

3 .78零 .10 』o 52 1餌

5 一.26 .10 価 、53 ρo

5 1 1.22傘 .10 .00 那 150

2 .74串 .11 』o 漸 1餌

3 1。04宰 .10 ℃o 刀 132

4 26 。10 価 』o 53

対人消極性 1 2 、90* .12 .00 一123 一58

3 .14 .11 。69 ㌦15 .43

4 、83岨 .10 』o 一1.ll ㌦55

5 一L19* .11 』o 一1.48 、90

2 1 。90申 .12 .00 58 L23

3 1餌串 .12 』o 。72 136

4 併 .11 佛 一。24 38

5 一。29 .12 .10 、61 .03

3 1 、14 .11 。69 、43 。15

2 一LO4串 .12 幻o 一136 ㌦72

4 、97串 .10 £o 一125 、69

5 一133串 .11 .00 一1,62 一1僧

4 1 83申 .10 .00 55 1.11

2 ㌦α7 .ll 佛 一38 。24

3 97率 .10 .00 .69 125

5 ㌦36串 .10 』o 、64 、08

5 1 1.19* .11 』o .90 L48

2 29 .12 .10 、03 .61

3 133* .11 ℃o 1餌 1.62

34

4 36準 .10 .00 。08 .64

1 2 、81率 .ll 』o 一1.10 、53自己萎縮性

3 一22 .10 .14 、48 併

4 一1.14準 .09 βo 一1!10 ㌦89

5 一LO2零 。10 ℃o 一128 ㌦76

2 1 。8r .ll .00 53 LlO

3 59串 .10 』o 31 朋

4 一33卓 .10 .Ol 、61 、05

5 一20 .10 29 、49 砺

3 1 22 .10 .14 、(耳 調

2 、59辱 .10 』o 、88 一31

4 、92準㊥ βo 一1.17 、68

5 ㌦80* .09 ℃o 一LO5 一54

4 1 1.14率

㊥ .00 。89 1.40

2 33零 .10 .Ol .05 .61

3 。92申 .09 ℃o 衡 1.17

5 .13 ㊥ .64 、12 38

5 1 1。02亭 .10 ρo 。76 L28

2 20 .10 29 、08 の

3 .80率

㊥ .00 54 1.05

4 、B ㊥ 御 一38 .12

自己愛的憤怒 1 2 ㌦08 .14 98 ~46 30

3 、02 .13 1』o 一37 32

4 一22 .12 37 、55 .ll

5 ~89事 .B .00 一L23 、54

2 1 銘 .14 銘 一30 衡

3 ㏄ .14 99 一32 絡

4 、14 .13 。84 、51 23

5 、81掌 .14 』o 一1.18 、43

3 1 侃 .13 1no 一32 37

2 ㌦06 .14 .99 、43 32

4 一20 .12 .47 、53 .B

5 、86零 .12 』o 一121 ㌦52

4 1 盟 .12 37 ㌦11 55

35

36

5 、74ホ .12 βo 一1∬7 ㌦41

3 1 、86串 .11 ℃o 一1.17 、56

2 一20 。12 .45 、53 .13

4 、02 .ll 1℃o 一30 27

5 ㌦94* .II 』o 一124 、64

4 1 、85零 .11 βo 一1.14 、56

2 、19 .12 51 一51 .14

3 .02 .11 1』o 一27 30

5 、93ホ .ll βo .122 、64

5 1 偲 .11 .96 一23 38

2 .74零 .12 』o .41 1∬7

3 94* .11 』o 糾 124

4 。93掌 .11 ℃o 。64 122

* 平均の差は ρ5で有意

各クラスターと依存の尺度の多重比較結果

Table10依存の多重比較

TU㎏yHSD

(Dチスの

ラスタ番号

のチスの

ラスタ番号

平均値の

(1・J)

灘誤差

櫨確率

95%信頼

間下限 上限

統合された依存 1 2 1.12掌 .12 .oo .78 145

3 一L19* .ll .oo 一1.49 、89

4 、06 .ll .98 ㌦35 .23

5 、47零 .11 .oo 一。77 、17

2 1 一1。12宰 。12 .oo 一1!6 一.78

3 一231* .12 .oo 一2.63 一1.98

4 一L18象 .12 .oo 一L50 、86

5 一159ホ .12 。oo 一1。92 一126

3 1 L19“ .ll .oo ,89 1.49

2 Z31串 .12 .oo 198 2.63

37

4 Ll3宰 .10 .oo .84 L41

5 .72率 .ll .oo .42 LOl

4 1 .06 .11 .98 一。23 ,35

2 Ll8* .12 .oo 。86 L50

3 一L13掌 .10 。oo 一L41 一.84

5 一,41申 .10 .oo 一.69 一.12

5 1 .47率 .ll .oo .17 。77

2 1.59串 .12 .oo 1.26 L92

3 、72掌 .ll .oo 一1。Ol 一。42

4 。41* .10 ,oo .12 。69

1 2 .35ホ 。12 .03 .02 .68

3 一1,23串 .ll .oo 一L53 、93

4 一1.20事 .ll .oo 一L49 一.91

5 一1.39事 。11 .oo 一1。69 一1.09

2 1 、35率 .12 。03 一.68 一。02

3 一L58串 .12 .oo 一1.90 一125

4 一1.55串 .12 .oo 一1.87 一123

5 一L74零 .12 .oo 一2。07 一L41

3 1 123零 .ll .oo 。93 1.53

2 1.58串 .12 .oo 125 1.90

4 .03 .10 1.oo 、26 。31

5 ㌦17 .ll .54 、46 .13

4 1 120串 .ll .oo .91 1.49

2 1.55申 。12 .oo 123 1.87

3 、03 ,10 LOO 一.31 。26

5 ㌦19 .10 35 一.48 .09

5 1 139申 .11 .oo 1.09 L69

2 1.74率 .12 .oo 1.41 2.07

3 .17 。ll .54 一.13 。46

4 .19 ,10 35 一.09 .48

依存拒否 1 2 、70寧 .13 .oo 一LO7 ㌦34

3 .98串 .12 .oo 。65 1.31

4 銘 。12 .13 一.04 .59

5 、59串 .12 .oo 、92 ㌦26

38

2 1 。70串 .13 .oo 。34 LO7

3 1。68* .13 .oo L32 2.04

4 .98* .13 .oo ,62 L33

5 。ll 。B 。91 ~25 .48

3 1 一.98率 .12 .oo 一L31 一.65

2 一L68ホ .13 .oo 一2.04 一L32

4 、71* .ll .oo 一LO2 一.39

5 一1.57事 .12 .oo 一1.89 一1.24

4 1 一28 .12 .13 一.59 .04

2 一。98宰 .13 .oo 一L33 、62

3 .71* .ll .oo .39 LO2

5 ㌦86率 .12 .oo 一Ll8 一.55

5 1 .59事 .12 .oo .26 92

2 ㌦ll .13 。91 一.48 。25

3 L57串 .12 .oo 124 1.89

4 。86* .12 .oo .55 1.18

*平均の差はD5で有意

Table13 強迫不安因子・頻繁使用因子多重比較結果

   TUkeyHSD

平均値の

σ」)

騰差

有意確率 95%信

区間

従属変数 (1)ケースの

ラスタ番号

(」)ケースの

ラスタ番号

下限 上限

弓鎚不安因子 1

23

37

oo

.18

15

おLOO

一.11

。41

.85

41

4 、19 .15 .70 、59 21

5 、57* .15 .oo 。.98 一.16

2 1 一37 .18 23 一.85 .ll

3 一36 .17 22 一.84 .11

4 、56嘔 .17 。Ol 一LO2 一.09

5 一。94ホ .18 .oo 一1.42 一。46

3 1 ,oo .15 1.00 一.41 。41

39

2 36 .17 .22 、11 .84

4 、19 .14 .67 一.58 .20

5 、57傘 .15 .oo 一.98 一.17

4 1 .19 .15 ,70 一。21 .59

2 。56率 .17 。Ol .09 1.02

3 .19 .14 。67 一.20 .58

5 一38 .14 .06 一.78 .Ol

5 1 .57ホ .15 .oo .16 .98

2 ,94寧 .18 .oo .46 1.42

3 57* .15 .oo .17 。98

4 38 .14 .06 一.Ol .78

頻繁使用因子 1 2 ,46 ,17 。05 .oo 。92

3 一.18 .14 。72 一.57 .21

4 ,oo 。14 LOO 一.38 .38

5 一.14 .14 .86 一.54 .25

2 1 一,46 。17 。05 一.92 .oo

3 ㌦64申 。17 .oo 一1.09 一.19

4 ㌦46串 .16 .04 一.91 一.Ol

5 ㌦61串 .17 .oo 1.06 一.15

3 1 ,18 .14 。72 一。21 .57

2 .64掌 .17 .oo .19 1.09

4 。18 .14 。68 一.19 .55

5 。03 .14 LOO 一.35 。42

4 1 .oo 。14 1.00 一.38 .38

2 .46宰 .16 .04 .Ol .91

3 一.18 .14 。68 一.55 .19

5 一.15 .14 .83 一.52 .23

5 1 .14 .14 .86 .25 .54

2 。61ホ .17 .oo .15 1.06

3 ㌦03 .14 LOO 一.42 .35

4 .15 ,14 .83 一.23 .52

*平均の差は茄で有意

40