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当院における エコー下穿刺の現状
池田バスキュラーアクセス・透析・内科クリニック 飯田輝昭、岩下廉史、川原田貴士、吉田朋子、上野庸介
谷口英治、秋穂寿嗣、安田透、池田潔
【背景】
透析業務における穿刺は、患者・スタッフともに神経を使いストレスのか
かる事柄である。
当院では、①穿刺困難症例 ②穿刺部位の開拓 ③透析中の針先調整
などに、超音波診断装置(以下、エコー)を活用し、穿刺トラブルの軽減に
努めている。
また、エコー下による穿刺は有効な手段として多用されるようになった。
【目的】
穿刺の集計データを基に、再穿刺におけるエコー下
穿刺の有用性と当院の穿刺の現状を報告する。
【対象】
•集計期間:2013年1月~2013年12月(12ヶ月)
•延べ穿刺対象患者:15572名
•平均年齢=63.7±11.5歳
•男女比=67%:33%
• VA比=AVF(85%):AVG(13%):動脈表在化(2%)
97.68%
2.26% 0.06%
臨床工学技士 看護師 医師
『業種別穿刺割合』
① 穿刺難易度評価を行い、A群(初級)・B群(中級)・C群(上級)に分類
【内容・方法】
<イメージ図>
・難易度評価は、臨床工学技士7名の評価平均を基に分類。 ・各技士が「1・2・3点」で採点し、平均点によって穿刺難易度を決定する。 ・平均点が半端な場合は、穿刺上級者による審査に よって穿刺難易度を決定する。 ・基本的な評価基準としては、「新人・穿刺初心者が 穿刺する」ということを重要視する。 ・「血管径や血管の深さ、内膜肥厚、再穿刺・エコー 下穿刺の頻度など」も考慮する。 ・穿刺難易度評価は年1回見直し・更新する。
【内容・方法】
① 穿刺難易度評価を行い、A群(初級)・B群(中級)・C群(上級)に分類
※難易度評価は、臨床工学技士7名の評価平均を基に分類。
(難易度評価は年1回見直し・更新)
② 年間再穿刺率を算出
・総穿刺回数=(延べ穿刺対象患者×2)+総再穿刺回数
・年間再穿刺率=(総再穿刺回数÷総穿刺回数)×100
③ 再穿刺率をエコー下と非エコー下に分けて算出し、t検定を用いて有意差を求めた
<使用装置>
BIRD社製
『SITE RITE5』
・5~10MHzプローブ
・12.1インチ画面
<エコー下穿刺>
手元(穿刺部位)とエコー画面を確認しながら穿刺を行う。
・利き手で穿刺 ・逆の手でプローブ
【結果①】 『穿刺難易度割合』
A群(初級) 46%
B群(中級) 32%
C群(上級) 22%
AVF:83%
AVG: 17% AVF:84%
AVG:16%
AVF:91%
AVG:1% 表在化:8%
<個人別集計>
2013年12月31日付
【結果②】
•総穿刺回数=(延べ穿刺対象患者×2)+総再穿刺回数
•年間再穿刺率=(総再穿刺回数÷総穿刺回数)×100
『難易度別再穿刺率』
0.4% 1.4% 2.1% 全体
【結果③】 『非エコー下とエコー下における再穿刺率の比較』
NS
P<0.01 P<0.05 P<0.01
【結果③】 『非エコー下とエコー下における年間再穿刺率の比較』
P<0.001
【考察】 #1 穿刺難易度と再穿刺率は正比例関係にあった。
#2 エコー下穿刺の実施により再穿刺が減少したことは、スタッフ・患者ともに穿刺へ
の負担軽減につながった。
#3 穿刺者を限定していた患者がエコー下穿刺により改善できたが、エコー下穿刺へ
の依存傾向も生じた。
#4 エコー下での再穿刺を「0」にするには、ある程度の経験によりエコー下穿刺を
習得する必要がある。
#5 エコー下穿刺は、 ひとつのツールとして再穿刺軽減に有用であることが示せた。
【まとめ】
#1 穿刺難易度評価は、穿刺教育・指導に活用できうるものとなった。
#2 エコー下穿刺教育・指導の強化し、新人や看護師のエコー下穿刺
習得が更なる再穿刺軽減への課題と考える。
#3 透析室における血管エコーの活用は、 VA管理および穿刺トラブル
軽減に有用であった。