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河川整備基金助成事業 「黒部川扇状地における自噴井戸の利用持 続可能性の評価」 助成番号:241212003 富山県立大学工学部 講師 手計 太一 平成 24 年度

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河川整備基金助成事業

「黒部川扇状地における自噴井戸の利用持

続可能性の評価」

助成番号:24‐1212‐003

富山県立大学工学部 講師 手計 太一

平成 24 年度

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様式6・2 1.調査・試験・研究 [:概要版報告書]

助成番号 助成事業名 所属・助成事業者氏名

24‐1212‐003 黒部川扇状地における自噴井戸の利用持続可能性

の評価 富山県立大学 手計太一

〔目 的〕 本事業の目的は,黒部川扇状地における自噴井戸を将来にわたる持続的利用可能性について評価するこ

とである.黒部川扇状地は歴史的に豊富で良質な地下水が存在していることは良く知られている.自噴す

る井戸は多数存在し,その水のほとんどは垂れ流しになっている.数年前から富山県は自噴井戸に蛇口を

付ける事業を進めていたが,住民に広く理解が進んでいないのが実情である.また,最近の飲料水事業の

拡大にともなって,対象地域にも工場が建設,採水が始まっている.そして,今後も増える可能性が高い

ため,地下水保全に懸念が生じている. 本事業によって,自噴水の水量や水質の長期,季節変化を明らかにし,将来予測につなげることができ

る.さらに,住民へのアンケート調査によって,現在の地下水障害の実態を明らかにすることができる.

〔内 容〕 本事業では,自噴井戸の定期的,長期的な調査,さらに住民へのアンケート調査を実施した.それぞれ

について,概要を示す. 自噴井戸の調査は,助成事業者が2011年3月より毎月実施しており,本事業においても継続的に実施

した.対象地域内の井戸15箇所と河川水1箇所の合計16箇所で,水量と水質の調査を実施した.水質に

ついては,現場での簡易測定とともに採水して実験室で詳細に試験している.水質分析の測定項目は,水

温,pH,電気伝導率(EC),重炭酸イオン,溶性ケイ酸,溶存イオン成分(Na+, NH4+, K+, Mg2+, Ca2+, Cl-, NO3

-, SO4

2-),酸素水素同位体比である.重炭酸イオンは,pH 4.8のアルカリ度滴定法により得られた炭酸イオ

ン濃度から算出を行った.溶性ケイ酸は,モリブデン黄吸光光度法を用いた.溶存イオン成分はイオンク

ロマト(IC)分析法により濃度を求めた. 高志野中学校の自噴井戸では,自噴水量の定期観測とともに,自動観測装置を設置し連続的に自噴量,

さらに水温を計測している. 最後に,民家の自噴井戸の実態についてのアンケート調査を実施した.個別訪問し自噴井戸の水量や噴

出孔の調査,不在宅には郵送用のアンケートをポスティングした. 〔結 果〕 本事業の結果,黒部川扇状地全体の自噴井戸の水量,水質の季節変化を初めて捉えることができた.ま

た,長期的に自噴水量,水質ともにほとんど変化が認められないことがわかった.しかしながら,一部の

沿岸部に位置する井戸は塩水化の進行している. アンケート調査の結果,井戸数はわずかながら増加している.一方で,大きな危機感を訴える住民も多

くいるため,将来,持続的に地下水を利用していくためには,様々な議論が必要である.アンケート結果

にもあるように,消雪用水のための大量揚水によって,多くの民家の井戸に障害が発生している.自治体

への苦情数は年に数件にもかかわらず,このような意見が多いということは,潜在的に障害数は非常に多

いと考えられる.今後も政府や自治体の規制やルールがなくても,持続的に地下水を利用できるように,

長期的な視点でのその利用方法を考えなければならない. 本事業グループでは,今後も引き続き継続的な観察を実施する.定期的な自噴水量と水質の調査,住民

からの聞き取りをさらに広げる.

調査対象水系・河川 黒部川

データベースに登録

するキーワード

部門 大分類 中分類 小分類

調査部門 水資源 水循環 地下水

※データベースに登録するキーワードは、本冊子P.44の表から代表的なものを一つ記入して下さい。

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様式6・3 1.調査・試験・研究 [:自己評価シート]

助成番号 助成事業名 所属・助成事業者氏名

24‐1212‐003 黒部川扇状地における自噴井戸の利用持続可能性

の評価 富山県立大学 手計太一

〔計画の妥当性〕 研究テーマのニーズは,これまでの事業担当者の研究によって把握しており,自治体のみならず日ごろ

市民からうかがっているご意見を反映したものである.それを基にテーマを設定した.特に黒部市は地下

水の規制ルールを持っていないため,今後の持続的な利用について検討したいというニーズもあった. 研究体制の規模等については,専門的には本事業者の研究室を主体として,水質分析は富山県環境科学

センターと分担しており問題なかった.また,アンケート調査についても,人数や自噴井戸地帯を選択し

て実施したため,スムーズに実施された. 〔当初目標の達成度〕 当初目標設定は一年間でできる内容になっており,その妥当性に問題なかった. 既往研究とは全く新しく,現状の自噴井戸の水質,水量の季節変化特性を明らかにすることができた.

さらに,アンケート調査を実施することで,自噴井戸の長期的な変化データを作成することができた.ま

た,住民の自噴井戸のあり方への問題意識の高さ,低さなどを把握することができた. 一方,アンケート調査結果の精度については今後の課題である.明らかに自噴井戸があるにもかかわら

ず,アンケート調査に協力してもらえなかった箇所も多数あった.これは,井戸の規制につながるという

自治体への不信感からであることがわかり,きちんとした説明をしていくことが必要である. 〔事業の効果〕 下記の論文発表,学会発表を行った.

1. Tebakari, T., Mizoguchi, T., Motoyoshi, Y. and Zhang, J. (2013): Discharge and water quality characteristics of flowing artesian wells in the Kurobe River alluvial fan, Japan, Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. B1 (Hydraulic Engineering), Vol.69, No.4, pp. I_589-I_594, 2013.

2. Tebkari, T. 2013: Seasonal change characteristics in water discharge and quality of flowing wells in the Kurobe River alluvial fan, Japan, R428, HS8.2.2/IG13, EGU General Assembly 2013 in Vienna, European Geophysical Union.

3. 手計太一,元由友佳(2013):黒部川扇状地における透水係数の逆推定,土木学会第67回年次学術講

演会概要集,(発表予定). 4. 元由友佳,手計太一,溝口俊明,松本卓大(2013):黒部川扇状地における非定常地下水モデルの構

築と精度検証,第40回土木学会関東支部技術研究発表会,II-46. 5. 元由友佳,手計太一,溝口俊明,張勁(2012):黒部川扇状域の湧水調査,日本地下水学会秋季講演

会講演要旨,pp.52-55. 平成25年度末に刊行される黒部市・入善町合同の黒部川扇状地の地下水調査報告書に,本事業の結果

が掲載される. 〔河川管理者等との連携状況〕 ・ 黒部市役所市民生活部生活環境課から調査についてご協力いただいた.また,今年度の調査で「生地

の清水」の1箇所で塩水化が推察されることから,次年度に向けて調査を強化することになった.こ

の情報やデータについては,定期的に相互に交換している. ・ 水博物館(新川広域圏事務組合)と協働で地下水の調査,データ交換を実施しており,水博物館の水

質調査の精度向上に向けて協力している.

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1.はじめに

富山県は三方を急峻な山岳地域に囲まれ,また年平均降水量が約 2500 mm と非常に多い

ため,多くの急流河川を持ち,活発な侵食作用による広大な扇状地を形成している.扇状

地は一般に粗粒堆積物で構成されており,とても良好な地下水貯留タンクとなっている.

このような自然環境の特徴を活かし,富山県では古くから盛んに地下水が利用されてき

た.しかし,昭和 56 年の豪雪以降,消雪用水施設が急激に普及し,冬期における顕著な地

下水位低下がみられるようになった 1).特に,高岡市能町,射水市寺塚原,富山市奥田北,

富山市下飯野,黒部市三日市等の市街地において,冬期間における消雪用水の地下水採取

による顕著な地下水位の低下が観測されている 2).

また,黒部川扇状地に位置する黒部市生地地区における自噴井の減少が懸念されている.

自噴井は一旦設置すると間断なく地下水が湧き出し続けるため,実際の使用量は自噴量の

1%程度だと推定されている.

このように,地下水量に関するいくつかの問題が顕在化しており,統計的有意性は不明

ながら全県規模で地下水位の漸減が認められる 3).

富山県内の地下水研究においては特に,黒部川扇状地を対象とした地下水研究は古くか

ら多くの成果が報告されている.例えば,黒部川の河川水が地下水を涵養していることを

明らかにし,黒部川の流下に伴う失水量は一日約 121 万 m3と推定している 4).他にも様々

なアプローチによって黒部川扇状地の地下水に関する研究がされている.その多くは黒部

川扇状地における地下水の流動 5),6),7),8)や水質 9)を明らかにするものである.最近では地下

水流動解明に同位体を用いた研究がされている 10).さらに,黒部川扇状地において 1977 年

から 1990 年までの地下水位の季節変化や経年変化を捉えた研究がされている 11).しかしな

がら,特に近年の地下水の経年変化傾向や季節変化,さらにその要因を明らかにした既往

研究はない.

ここで,なぜ自噴井戸に着目しているかを詳述する.富山県による地下水位の観測は昭

和 34 年から始まり,最も新しい観測井は平成 14 年に設置されたものである.現在,33 観

測井(34 観測水位)があり,平均 32 年間のデータしかない(黒部地域には 9 観測井のみ).

一方,自噴井は超長期にわたって利用されており,過去の痕跡データなどから(例えば,

写真-1),より長期的な地下水の変化がわかる.

本研究では,自噴井戸の情報を利用して長期的な地下水環境の変化を捉え,将来的な利

用の持続可能性について評価する.

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写真-1 1970 年代と現在との自噴孔の違い(入善町神子沢).

2.黒部川流域と黒部川扇状地

以下に,本研究対象である黒部川流域と黒部川扇状地について詳述する.

2.1 黒部川流域

図-1 は本研究対象である黒部川水系と流域界である.本稿では黒部川扇状地も黒部川流

域内として流域界を描いている.黒部川は北アルプスのほぼ中央に位置する鷲羽岳を源と

し,3000 m 級の山々が連なる立山連峰と後立山連峰を流域にもつため,平均河床勾配が 1/5

~1/119 という我が国屈指の急流河川の一つである.深い峡谷を流下し,黒部ダム,仙人ダ

ム,小屋平ダムを経て宇奈月町に達する.宇奈月から下流の川幅は広くなり,大きく蛇行

しながら愛本にいたる.愛本には 1932 年に建設された合口頭首工があり,両岸に広がる扇

状地に向けて灌漑用水が取水されている.右岸に 7 用水,左岸に 6 用水を合口し,最大取

水量は 75.4 m3/s である 12).

黒部川は宇奈月町愛本で山間地から平野部に抜け,そこから黒部市,入善町にかけて黒

部川扇状地と呼ばれる美しい扇状地を形成している.この大扇状地を抜けると富山湾にい

たる.

黒部川の幹川流路延長は 85 km,そのうち 83.5 %を占める 71 km は山地を流れ,残り

14 km は平地を流下している.流域面積は 682 km2,そのうち 97.1 %は山地である.

黒部川流域は全国有数の多雨多雪地域であり,流域の年平均降水量が非常に多く,平野

部にある黒部市では約 2300 mm,中流部にあたる宇奈月では約 3500 mm,上流部にある仙

人谷観測所では約 4000 mm の降水量がある.

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図-1 黒部川水系と流域界.

2.2 黒部川扇状地

黒部川の扇状地平野は,黒部川が山地から平野に出る愛本付近を扇頂とし,その扇頂部

から海岸までは比高が 130 m,10 度程度の傾斜を持つ典型的な扇状地であり,その大部分

は扇状地性の礫から構成されている(図-2 参照)1).

扇状地は山間部から抜け出た河川が河床の傾斜が緩やかになることによって,流れも緩

やかになり,土砂が堆積して形成された地形である.黒部川の扇状地は上流の花崗岩地帯

から流出してきた透水性の良い土砂を含むため,黒部川の水が伏流水となって地下水を涵

養している.したがって,この扇状地では黒部川の伏流水を水源とした湧水がいたるとこ

ろで湧き出ている.

黒部平野の地形は,扇状地東側の愛本新から金山にかけて旧扇状地からなる砂礫台地が

分布し,その西端では崖を形成し新扇状地と接しており,この大地の東側には小川流域の

平野がある 13).一方,扇状地の南側には下立から浦山にかかる部分と前沢周辺とに砂礫か

らなる洪積台地が分布しており,その背後にはかなり開析の進んだ高位の砂礫からなる洪

積台地がある.土地利用は図-3 の通り,ほとんど水田で占められている.

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図-2 黒部川扇状地の地質図.

図-3 土地利用図.

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3.自噴井戸の長中期的調査

3.1 調査方法

黒部川左岸(6)と右岸(9)の湧水地点及び黒部川 1 地点の計 16 地点(図-3,表-1 参照)に

おいて,毎月 1 回採取を行った.採取期間は,2011 年 6 月から 2013 年 3 月までの 22 か月

間である.湧水量は,自噴している左岸 2 地点と右岸 9 地点において,規定容量の容器が

満水になる時間を測定することで求めた(3 回平均値;写真-2 参照).また,これら地点と

は別に左岸の 1 地点(高志野中学校)のセンサーを設置し,10 分ごとに湧水量データを取

得している(写真-3).

水質分析の測定項目は,水温,pH,電気伝導率(EC),重炭酸イオン,溶性ケイ酸,溶存

イオン成分(Na+, NH4+, K+, Mg2+, Ca2+, Cl-, NO3

-, SO42-),酸素水素同位体比である.重炭酸イ

オンは,pH 4.8 のアルカリ度滴定法により得られた炭酸イオン濃度から算出を行った.溶

性ケイ酸は,モリブデン黄吸光光度法を用いた.溶存イオン成分はイオンクロマト(IC)分析

法により濃度を求めた.

図-3 自噴井戸調査地点.

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表-1 観測場所と観測項目.

写真-2 下立の霊水における自噴水量調査の風景.

FlowingDischarge

WaterQuality

Isotope

1 Oritate Left ○ ○ ○ April-2011

2 Ohshima(I) Left ○ ○ ○ April-2011

3 Ohshima(O) Left ○ ○ ○ April-2011

4 Hida Left ○ ○ ○ March-2011

5 Takabatake Right ○ ○ ○ March-2011

6 Hebisawa Right ○ ○ ○ March-2011

7 Gorohachi Right ○ ○ ○ March-2011

8 Shimoiino Right ○ ○ ○ March-2011

9 Goshanosha Right ○ ○ ○ March-2011

10 Takase(W) Right ○ ○ ○ March-2011

11 Takase(E) Right ○ ○ ○ March-2011

12 Ikari Right ○ ○ ○ March-2011

13 Mikosawa Right ○ ○ ○ March-2011

14 Sawasugi Right ○ ○ ○ March-2011

15 Kinu Shouzu Left ○ ○ October-2011

16 Kanda Shouzu Left ○ ○ October-2011

17 Shimizuan Shozu(R) Left ○ October-2011

18 Shimizuan Shozu(L) Left ○ ○ October-2011

19 Niikawakurobebashi ○ ○ August-2011

20 Maruyane(YKK) Left ○ May-2012

21 Maezawa Garden(YKK) Left ○ ○ May-2012

22 Kurose River Left ○ June-2012

23 Koshino Left ○ October-2011

No Well Station StartBank

Observation Items

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写真-3 高志野中学校における自動観測の風景.

3.2 観測結果

3.2.1 自噴水量

図-4 は 2011 年 3 月から 2013 年 2 月までの自噴水量の季節変化である.平均して約 30 L/min

の水量があり,最大では蛇沢井戸で約 350 L/min を記録している.非常に豊富な水量であるこ

とがうかがえる.5 月から 6 月にかけて自噴水量が上昇しているのは,代掻きによるものと考え

られる.さらに,9 月くらいまで自噴水量が上昇するのは,融雪の影響である.その後,冬季に

向けて減少し,井戸によっては 2 月,3 月には自噴しなくなる.このような季節変化を 2 年以上

の観測によって捉えることができた.これは,自噴水量の季節変化を初めて明らかにした結果で

ある.

図-5 は 2011 年 4 月から 2012 年 3 月までの自噴水量と地下水位の時系列である.自噴水量,

地下水位ともに同様の季節変化をしている.5 月,6 月の代掻き時に自噴水量,地下水位ともに

上昇し,7 月~9 月まで上昇し続け,その後,冬季にかけて減少,下降する.黒部川扇状地では

被圧地下水,不圧地下水ともに同様の季節変化特性を持っていると考えられる.

図-6 は 2011 年 3 月から 2013 年 2 月までの自噴水量と黒部川の河川水位の季節変化である.

ここで 2012 年 11 月からの黒部川の河川水位は河川工事の影響を受けているため,正確なデー

タではない.おおまかには河川水位と自噴水量の季節変化は同様の挙動を示している.河川水位

が高い時期と自噴水量の多い時期は一致しており,水田涵養のみならず,河川からの涵養量が多

いことを示唆している.

図-7 は 1969 年から 2013 年にかけての自噴水量の変化である.過去の文献値と全く同じ場所

の井戸がないため,記録データの最大値,最小値,平均値を比較する.上述したように,蛇沢井

戸は特に大量に噴出しているため,単純に比較できないが,平均値を比較すると最近 40 年で大

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幅に湧水量が減少しているとは言えない.井戸の深さ,帯水層の位置などが不明であり,井戸固

有の問題の可能性もある.

図-8 は五郎八における 1969 年と 2011 年の自噴水量の経月変化である.全く同じ井戸ではな

いが,約 20 m しか離れていない隣家の井戸である.この両者の湧水量の経月変化である.まず

水量そのものが全く異なっている.最大で 5 倍程度,最近の水量の方が多い.これは,井戸径

が異なる可能性が高く,水量については単純比較できない.一方,季節変化特性では,冬季に自

噴しないという現象は同様である.1969 年の湧水量は短期期間の変動が大きい.

図-9 は高志野中学校における自噴水量,近隣観測井戸の水位,魚津アメダスにおける気温と

降雪量の時系列である.ここでは冬季における消雪用水による自噴水量への影響を考える.魚津

アメダスでの気温が 0℃,そして降雪が観測されたとき,自噴水量が減少している.また,地下

水位も同様に低下している.地下水位は最大で 7~8 m の低下が観測されている.消雪用水によ

るポンプ揚水は周辺の地下水位,自噴水量に極めて大きな影響を及ぼしていることがわかる.

図-10 は高志野中学校における自噴水量,近隣観測井戸の水位の時系列(短期変化)である.

先の図-9 を拡大した図である.三日市観測井戸は市街地にあるため,民間の大規模商業施設の

駐車場による消雪用水の影響が大きく,図のように地下水位が大幅に低下する.自噴水量は被圧

地下水であり,不圧地下水ほど敏感ではないものの,緩やかに減少していることが認められる.

図-11 は高志野中学校における自噴水量,近隣観測井戸の水位の時系列(長期変化)である.

2012 年度の地下水位のデータは得られていない.自噴水量の一年間の変化を見ると,冬季を過

ぎると,自噴量は緩やかに回復し,8 月にピークを迎え,そして冬季に向けて減少している.

図-4 2011 年 3 月から 2013 年 2 月までの自噴水量の季節変化.

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図-5 2011 年 4 月から 2012 年 3 月までの自噴水量と地下水位の時系列.

図-6 2011 年 3 月から 2013 年 2 月までの自噴水量と黒部川の河川水位の季節変化.

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図-7 1969 年から 2013 年にかけての自噴水量の変化.

図-8 五郎八における 1969 年と 2011 年の自噴水量の経月変化.

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図-9 高志野中学校における自噴水量,近隣観測井戸の水位,魚津アメダスにおける気温と降雪

量の時系列.

図-10 高志野中学校における自噴水量,近隣観測井戸の水位の時系列(短期変化).

–15

–10

–5

90

100

110

120

0

10

8

6

4

2

0

Flo

win

g w

ate

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isch

arg

e (

L/m

in)

[Ko

shin

o]

Da

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ea

n g

rou

nd

wa

ter

leve

l

―:Flowing discharge [Koshino]

●:GwL [Kanaya]

14 18 23 28

December 2011

●:GwL [Mikkaichi]

Sn

ow

fall

(cm

/h)

Air

te

mp

era

ture

(°C

)

Uozu (AMeDAS)

(mD

L)

Date

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図-11 高志野中学校における自噴水量,近隣観測井戸の水位の時系列(長期変化).

3.2.2 自噴井の水質

図-12 は 2011 年 3 月から 2013 年 2 月までの自噴井戸の水温の変化である.橙線は気温,青色

は河川水温の時系列である.黒部川扇状地の自噴井戸の平均水温は約 12 度,日本の地下水の平

均水温(約 15℃)と比較すると,3℃程度低い.観測期間を通して季節変化がほとんどなく安定

した水温である.

図-13 は 2011 年 3 月から 2013 年 2 月までの自噴井戸の EC と pH の変化である.大島 P の内

側,外側ともに EC が高い.大島 P は沿岸近くにあり,塩水が浸入していることが推察される.

図-12 から両地点の水温も他箇所よりも 5℃程度高い.このことからも塩水の影響が考えられる.

さらに,生地に位置する清水庵の清水は,経年的に EC が上昇している.他機関の調査でも同様

の傾向が捉えられており,現在,詳細なデータを取得している.以上の 3 地点以外については,

EC の特徴的な挙動は全くなく,安定した水質であることがうかがえる.pH については,いずれ

の地点ともに 7~8 の間を推移しており,季節変化,長期的変化ともに認められない.

図-14 は 2011 年 10 月のトリリニアダイアグラムである.トリリニアダイアグラムは各イオン

の当量濃度比を把握するために使用する図である.日本の一般的な循環性地下水である

Ca-HCO3 型,海水の影響がある Ca-Cl 型から鑑みると,黒部川扇状地全体の地下水は Ca-HCO3

型,大島 P や生地地区の井戸は Ca-Cl 型であることがわかる.このような傾向は過去の既往文献

とも同じであり,経年的に水質が大きく変化していないと考えられる.

図-15 は 2011 年 6 月から 2012 年 3 月のヘキサダイアグラムである.ヘキサダイアグラムは水

質データの特性と当量濃度(meq/L)を視覚的に表現するために使用する図である.複数のデータ

を同時に比較する際に便利である.いずれの地点とも通年で形状の変化がないことから,水質が

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ほとんど変化ないことが認められる.大島地点は他地点と大きくことなる形状をしていることか

ら,水質の違いは明瞭である.また,黒部川に近いほど濃度が低く,離れていくにつれて高くな

る傾向を示している.冬季の消雪用水によって,地下水位,自噴水量ともに急激に低下している

12 月~3 月にかけても水質の変化は認められない.豊富な流量によって,大量かつ急激な地下

水位や自噴水量の変化があっても,水質には大きな影響がないことが考えられる.

前述したように多くの水質項目を分析しているが,そのいずれも季節変化は全く認められなか

った.そのため,それらの代表例として図-16 に 2011 年 6 月から 2012 年 3 月の Cl の経月変化

を示す.この図のように,大きな変化はなく,安定した水質である.

図-17 は自噴井戸,黒部川河川水の酸素・水素同位体比である.黒部川と周辺地下水は左下方

に、地点 1~3(下立,大島)は右上方を示し異なる涵養源を持つことが示された.d 値は 17~

22 ‰を示しており,年間を通じて涵養されている.黒部川の同位体比も d 値は 18 ‰と中間に

あり,季節による影響を受けていない.黒部川近郊の調査地点に-12 ‰が存在することから,今

回測定をしていない季節に黒部川も-12 ‰の同位体比を持つものと考えられる.

図-18 は水質と同位体比を比較した図である.黒部川から離れるにつれて、溶存イオン濃度増

加し、酸素同位体比が重くなる.調査地点 2,15 以外は過去の既往報告と同様の結果であった.

図-12 2011 年 3 月から 2013 年 3 月までの自噴井戸の水温の変化.

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図-13 2011 年 3 月から 2013 年 3 月までの自噴井戸の EC と pH の変化.

図-14 2011 年 10 月のトリリニアダイアグラム.

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図-15 2011 年 6 月から 2012 年 3 月のヘキサダイアグラム.

図-16 2011 年 6 月から 2012 年 3 月の Cl の経月変化.

0

100

200

300

400

0

4

8

12

16

20

6月 7月 8月 9月10月11月12月1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月10月11月12月

Cl(mg/L):大島

Cl(mg/L)

下立 飛騨 高畠 蛇澤五郎八 下飯野 五社の社 高瀬西高瀬東 五十里 神子沢 沢杉絹の清水 神田の清水 丸屋根 前沢ガーデン大島(内) 大島(外)

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図-17 酸素・水素同位体比.

図-18 水質と同位体比の比較.

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4.自噴井戸のアンケート調査

4.1 アンケート調査方法

自噴井戸の歴史的な変化を調査するため,黒部市,入善町,朝日町の住宅を対象にアン

ケート調査を実施した.自噴井戸の前線帯は JR 北陸線沿いであることがわかっているため,

そこを挟む集落,そして現在,局所的に多くの湧出箇所のある集落を対象とした(図-19 参

照).

調査方法は,直接訪問によるヒアリングもしくは不在宅におけるアンケート投函と郵送

によるその回収である.調査内容は以下に示す通りである.実際のアンケート用紙は図-20,

図-21 である.

・ 揚水井戸と自噴井の位置(住所、緯度・経度)の地図化

・ 揚水井戸と自噴井の設置年

・ 井戸径の大きさ

・ 自噴孔の最高高さ(地表面から)

・ 自噴水量(訪問時のみ実施)

・ 自噴井戸の使用用途

・ 自噴井戸利用に関する意見

図-19 黒部川扇状地の市街地図.

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図-20 アンケート用紙(表面)

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図-21 アンケート用紙(裏面)

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4.2 アンケート調査の結果

本稿では特に自噴井戸が多く分布している黒部市生地地区から西側の地区について結果

を詳述する.対象地域では,古くは明治時代に掘った井戸を現在でも利用していることが

わかった.一方で,井戸の改修のために,つい最近新たに掘った井戸も多くあり,井戸数

は増加している.井戸の深さは,最深 200 m,浅いところでは 5 m という回答があった.

また,枯れた井戸や最大 80 cm の噴き上げ高さの減少が確認された.さらに,自噴井戸の

水で家庭内の全てを賄っている家庭も多く残っており,将来持続的に地下水を利用する可

能性が高く,その保全に大きな関心があることがうかがえる.

図-22 は黒部市石田地区周辺の自噴井戸の分布図である.極めて密に自噴井戸が設置され

ている.これは,井戸を掘るにあたって,出る可能性の高いところに集中するため,この

ように集中的に井戸が存在している.

図-22 黒部市石田地区周辺の自噴井戸分布図

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4.3 アンケート調査の結果(「井戸の利用に関する意見や困りごと」の抜粋,原文通り)

・ 12~5 月にかけて自噴が止まってしまいます。モーター使用に手使用しています。

・ 水位が下がりでなくなると市の上水道にする予定です。

・ たまに砂が出ます。

・ 使用開始時は砂が混じっていたが、次第になくなり今は全く混入はない。それととも

に水質がよくなり鉄分が少なくなった。市で設置した噴出量制限バルブ使用。

・ まれに濁ることがある。

・ はじめ自噴、今はポンプアップです。

・ 冬に融雪水を上げると自噴しなくなる。ここ 5~6 年前から 11~4 月ころまで自噴せず。

・ 私たちの使っている井戸はとてもおいしい水で満足しています。

・ 水がもったいないと思う。

・ 現在は特にないが、周囲新築住宅のさく井により自噴水位が下がってきており、将来

的に使えなくなるか心配である。未普及地域への水道整備をお願いします。

・ 定期的に清掃しないと砂が溜まる。

・ 井戸水の安全性について検査が必要ですが、実施していません。安全上、考慮すべき

点を教えてください。

・ 冬に道路の融雪が始まると井戸が止まってしまう

・ 台所の食器洗浄と洗濯機、風呂への吸水の同時使用は砂上りになって網濾部の詰まり、

便所の止水止まらなくなる。

・ 冬に水位が下がるので量が減る

・ たまに砂が上がることがある。水量が減少しているように思われる。

・ 時々水ににおいを感じることがある。

・ 冬場(12 月~3 月)に水が出なくなった。(沢山の家が出来て皆様が深く掘るので冬場水

が出なくなった。非常に困っています)。

・ たれ流しがもったいないような気がする。

・ 今現在の井戸は片貝川の水路。冬場は水が出ない。

・ 過去に飲料水として使っていたが水の出が少なくなったことなどから池に入れていま

すが、水にピロリ菌がいるかどうか調査できればと思います。

・ 消雪に利用したいが、冬場に限って出ない。

・ 放射能汚染、その他飲料水、生活のすべてでつかってもよいのか、調べていただきた

いと思います。

・ 特になし。ただ、錆の発生が見られるので、トイレの器具等に時々不具合が発生する。

・ 設置年当初(25 年前)から比べ水量が約 1/5 になった。

・ 停電になると水が止まる。ポンプからの距離が長いため、夏はぬるく、冬は冷たい。

井戸水の利点が失われている。

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・ 水質調査していない為不安あり。

・ これ以上地下水をくみあげすぎると、地盤沈下等悪影響が出ると思われる。そこで行

政での規制が必要となってくる。貴大学での研究で検証してほしい。

・ 困った事はありません。水質検査も問題が無く、大変おいしく飲んでいます。

・ 冬場、融雪の為、各地で水を流し出すと、水位(水圧)が下がり、流れなくなる。

・ 地面が下がると言って、赤サビがひどかった共同井戸(約 7 世帯で使用)を廃止したが、

その後も個別に掘ったお宅もあり、できれば井戸が出るのであればまた利用したい。

・ 水の流出が少しになったようです。

・ 冬になると融雪装置が働き、自噴しなくなるので、不便です。

・ 冬期自噴しなくなります。

・ 半世紀にも及ぶ東京暮らしを経て、当地に居を移し、六年位になります。東京時代の

薬臭い水道水、当り前の如く、飲んで居りましたが、こちらの、立山連峰を源とする、

伏流水とも言われて居ります、100 年位前の自噴井戸を使うつれ、水が「うまい!」と表

現が有りますが、正にそのとおりと、又、夏冷たく、冬暖かいと感じる、この天然の

恵み。是非共、後世に残して戴くべく、貴大学始め、関係各位の皆様方の御尽力に感

謝申し上げる次第です。

・ 当初よりは、自噴の水量が減ってきた。

・ 水道を使っていますので困りません。冬場は融水装置のため井戸水は出ないので水道

に頼るしかありません。

・ 当時水質検査をしたところ、塩化ナトリウムが強かったが今はどうなのか?

・ 今の所あまり困ったことはありませんが、水の質がわかったら良いと思っています。

5.おわりに

黒部川扇状地では,豊富かつ良質な地下水を求めてわずかながらも井戸数が増加してい

ることがわかった.一方で,大きな危機感を訴える住民も多くいるため,将来,持続的に

地下水を利用していくためには,様々な議論が必要である.アンケート結果にもあるよう

に,消雪用水のための大量揚水によって,多くの民家の井戸に障害が発生している.自治

体への苦情数は年に数件にもかかわらず,このような意見が多いということは,潜在的に

障害数は非常に多いと考えられる.局所的に自噴水量が減少しているところはあるものの,

全体的な増減傾向は認められなかった.しかしながら,長期的に観察しておく必要がある

と思われる.

今後も政府や自治体の規制やルールがなくても,持続的に地下水を利用できるように,

長期的な視点でのその利用方法を考えなければならない.

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参考文献

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2) 富山県: 地下水の現況,2007.

3) 富山県: 富山県地下水指針,2006.

4) 榧根勇: 実例による新しい地下水調査法,山海堂,1991.

5) 吉田義信: 富山県3大扇状地の地下水,地理学評論,17, pp.989-1002, 1941.

6) 山本荘毅,榧根勇: 黒部川扇状地における水の循環,古今書院,1971.

7) 深井三郎: 黒部川扇状地研究,古今書院,1986.

8) 徳永朋祥,中田智浩,茂木勝郎,渡辺正晴,嶋田純,張勁,蒲生俊敬,谷口真人,浅井

和見,三枝博光: 沿岸海底から湧出する淡水性地下水の探査および陸域地下水との関連

に関する検討: 黒部川扇状地沖合での例,地下水学会誌,45(2), pp.133-144, 2003.

9) 高倉盛安: 黒部市内地下水の化学調査,富山県理化学会誌,5(1), pp.23-28, 1962.

10) 後藤純治,嶋田純,松井喜治: 黒部川扇状地の地下水流動に関する同位体水文学的研究,

地球惑星科学関連学会2002年合同大会予稿集,H055-001, 2002.

11) 島野安雄,辻村真貴,嶋田純,榧根勇,堀内清司: 黒部川扇状地における地下水の水文

学的研究,文星紀要,4, pp.17-52, 1992.

12) 富山県立大学工学部環境工学科編: 新富山の水環境,(有)TC出版プロジェクト,2009.

13) 藤井昭二: 黒部川扇状地の形成と富山湾周辺部の埋没林について,地球科学,78,

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