11
2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査, 開始直前の去年 5月に実施した第 2 回調査に続 いて行ったものである 2) (それぞれの調査の概 要については表1参照)。 ここでは,裁判員制度開始前と開始後で 国民の意識がどのように変化したのか,裁判 員制度を国民が現在どう受け止めているのか を軸として,調査結果の報告を行うこととし たい。 1. 「知っている」「必要」が増加 まず,裁判員制度を知っているという人がど のように変化してきたのかを見てみることにし たい。 図1は,制度をどの程度知っているかとい う質問について,これまで 3 回の調査の推移を みたものである。制度開始後の第 3 回調査では 「知っている(詳しく+ある程度,以下同)」が 53%と半数を超え,「知らない(あまり+まった く)」が 47%となった。これを制度開始前と比 はじめに 一般の人が刑事裁判に参加する「裁判員制 度」がスタートして,今年の5月21日で1年が 経過した。最高裁判所のまとめによれば,5月 末までで,一般市民 3,369人が裁判員に選任さ れ,582人が裁判員裁判によって判決を受けて いる 1) NHKでは,裁判員制度に対する国民の意識 を探ることを目的として,5月14日から16日の 3 日間,「裁判員制度に関する世論調査(第 3回)」 開始 1 年・裁判員制度に対する国民の意識 ~「裁判員制度に関する世論調査(第 3 回)」から~ メディア研究部(メディア史) 加藤元宣 表1 「 裁判員制度に関する世論調査 (第1~3回)」 概要 第1回 2008 年 11 月 第2回 2009 年 5 月 第3回 2010 年 5 月 調査時期 11 月 14 日~ 16 日 5 月 8 日~ 10 日 5 月 14 日~ 16 日 調査相手 全国 20 歳以上 2,723 人 全国 20 歳以上 2,872 人 全国 20 歳以上 2,715 人 調査方法 電話法(RDD 追跡法) 調査回答数 1,653 人 1,736 人 1,652 人 調査回答率 60.7% 60.4% 60.8%

開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

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Page 1: 開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

2  SEPTEMBER 2010

を実施した。この調査は,裁判員制度開始半年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に続いて行ったものである2)(それぞれの調査の概要については表1参照)。

ここでは,裁判員制度開始前と開始後で国民の意識がどのように変化したのか,裁判員制度を国民が現在どう受け止めているのかを軸として,調査結果の報告を行うこととしたい。

1.「知っている」「必要」が増加

まず,裁判員制度を知っているという人がどのように変化してきたのかを見てみることにしたい。図1は,制度をどの程度知っているかとい

う質問について,これまで3回の調査の推移をみたものである。制度開始後の第3回調査では

「知っている(詳しく+ある程度,以下同)」が53%と半数を超え,「知らない(あまり+まったく)」が47%となった。これを制度開始前と比

はじめに 一般の人が刑事裁判に参加する「裁判員制

度」がスタートして,今年の5月21日で1年が経過した。最高裁判所のまとめによれば,5月末までで,一般市民3,369人が裁判員に選任され,582人が裁判員裁判によって判決を受けている1)。

NHKでは,裁判員制度に対する国民の意識を探ることを目的として,5月14日から16日の3日間,「裁判員制度に関する世論調査(第3回)」

開始 1年・裁判員制度に対する国民の意識~「裁判員制度に関する世論調査(第 3回)」から~

メディア研究部(メディア史)加藤元宣

表1 「裁判員制度に関する世論調査  (第1~3回)」概要

第1回2008 年 11 月

第2回2009 年 5 月

第3回2010 年 5 月

調査時期 11 月 14 日~16 日

5 月 8 日~10 日

5 月 14 日~16 日

調査相手 全国 20 歳以上2,723 人

全国 20 歳以上2,872 人

全国 20 歳以上2,715 人

調査方法 電話法(RDD 追跡法)

調査回答数 1,653 人 1,736 人 1,652 人

調査回答率 60.7% 60.4% 60.8%

Page 2: 開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

3SEPTEMBER 2010

性年層別にみたものである。女性に比べて男性で「知っている」という人が多くなっているが,男女とも年層による違いは少ない。また,どの性年層でみても,「詳しく知っている」という人はそれほど多くはない。

次に,裁判員制度に対する必要性の認識についてみる。図3は,裁判員制度は必要だと思うかという

質問に対する3回の調査の推移をみたものである。開始後の第3回調査では,「必要(必要+どちらかといえば必要,以下同)」が57%と半数を超え,「必要ない(必要ない+どちらかといえば必要ない,以下同)」が37%となっている。開始半年前の第1回調査と開始直前の第2回調査では,「必要」が42%から34%に減少し,「必要ない」が50%から58%に増加している。ところが,第3回調査では,第2回調査に比べて「必要」が増加し「必要ない」が減少している。制度開始からのこの1年間で,裁判員制度を「必要」だという人が増えている。

図4は,第3回調査について,これを性別・性年層別でみたものである。「必要」だという人は男女で違いはないが,男女とも若い年層になるほど多くなっている。

較すると,「知っている」という人は開始半年前の第1回調査では43% 3),開始直前の第2回調査では44%となっており,開始後の第3回調査では「知っている」がやや増加している。裁判員制度が実際にスタートしたこの1年間で,制度を「知っている」という人が増えていることがわかる。図2は,第3回調査について,これを性別・

図1 裁判員制度に対する認知の状況(全体)

図 3 裁判員制度に対する必要性の認識(全体)図 2 裁判員制度に対する認知の状況   (第3回調査 性別・性年層別)

わからない、無回答

まったく知らない

あまり知らない

ある程度知っている

詳しく知っている

第3回

第2回

第1回

まったく知らないある程度知っている詳しく知っている

あまり知らないわからない,無回答

2

2

3

42% 44 11

1

42 45 10

1

50 40 7

0

わからない、無回答

まったく知らない

あまり知らない

ある程度知っている

詳しく知っている

第3回

第2回

第1回

まったく知らないある程度知っている詳しく知っている

あまり知らないわからない,無回答

2

2

3

42% 44 11

1

42 45 10

1

50 40 7

0

わからない、無回答

必要ない

どちらかといえば必要ない

どちらかといえば必要

必要

第3回

第2回

第1回

必要ないどちらかといえば必要必要

どちらかといえば必要ないわからない,無回答

11

9

17

31% 32 18 8

26 39 19 8

41 26 11 6

わからない、無回答

まったく知らない

あまり知らない

ある程度知っている

詳しく知っている

第3回

第2回

第1回

まったく知らないある程度知っている詳しく知っている

あまり知らないわからない,無回答

2

2

3

42% 44 11

1

42 45 10

1

50 40 7

0

まったく知らないある程度知っている詳しく知っている

あまり知らないわからない,無回答

わからない、無回答

まったく知らない

あまり知らない

ある程度知っている

詳しく知っている

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 6 58% 31

2 44 47 7

3 63 32 2

4 61 30 5

7 55 31 7

42 49 8

2 49 46 3

2 44 46 8

60

0

0

0

0

01

0

0

Page 3: 開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

4  SEPTEMBER 2010

2. 裁判員制度と刑事裁判の評価

裁判員制度開始後の第3回調査では,制度の開始によって,刑事裁判がどうなったと思うかについて尋ねている。また,制度開始直前の第2回調査では,制度の開始によって,刑事裁判がどうなると思うかについて尋ねている。図5は,2回の調査を比較してみたものであ

る。開始後の第3回調査では,「良くなった」が25%,「悪くなった」が5%,「変わらない」が52%となっている。これに対して,開始直前の

第2回調査では,「良くなる」が14%,「悪くなる」が13%,「変わらない」が59%となっている。開始前の予想では「良くなる」という人と「悪くなる」という人が同じくらいとなっていたが,実際に始まってみると「良くなった」と感じている人が「悪くなった」と感じている人を大きく上回っている。図6は,第3回調査について,これを性別・

性年層別にみたものであるが,性年層による違いはみられない。

制度開始後の第3回調査では,制度の開始によって,刑事裁判の刑の重さがどうなったと思うかについても尋ねている。また,制度開始直前の第2回調査でも,制度の開始によって,刑事裁判の刑の重さがどうなると思うかを尋ねている。図7は,2回の調査を比較してみたものであ

る。開始後の第3回調査では,「重くなった」が13%,「軽くなった」が11%,「変わらない」が58%となっている。これに対して,開始直前の

図 6 裁判員制度開始による刑事裁判の評価  (第3回調査 性別・性年層別)

図 4 裁判員制度に対する必要性の認識   (第3回調査 性別・性年層別)

必要ないどちらかといえば必要必要

どちらかといえば必要ないわからない,無回答

わからない、無回答

必要ない

どちらかといえば必要ない

どちらかといえば必要

必要

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 23% 35 24

12 45 26 710

31 36 18 313

20 41 23 511

22 32 28 513

5913 24 4

13 47 29 56

12 40 27 814

513

1

まったく知らないある程度知っている詳しく知っている

あまり知らないわからない,無回答

わからない、無回答

まったく知らない

あまり知らない

ある程度知っている

詳しく知っている

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 6 58% 31

2 44 47 7

3 63 32 2

4 61 30 5

7 55 31 7

42 49 8

2 49 46 3

2 44 46 8

60

0

0

0

0

01

0

0

わからない,無回答悪くなった良くなった

変わらない

わからない、無回答

変わらない

悪くなった

良くなった

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 27% 6 54

23 5 51 22

29 7 53 11

26 6 56 13

29 5 53 13

624 1158

24 6 49 21

24 4 49 23

13

まったく知らないある程度知っている詳しく知っている

あまり知らないわからない,無回答

わからない、無回答

まったく知らない

あまり知らない

ある程度知っている

詳しく知っている

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 6 58% 31

2 44 47 7

3 63 32 2

4 61 30 5

7 55 31 7

42 49 8

2 49 46 3

2 44 46 8

60

0

0

0

0

01

0

0

図 5 裁判員制度開始による刑事裁判の評価(全体)

わからない、無回答

まったく知らない

あまり知らない

ある程度知っている

詳しく知っている

第3回

第2回

第1回

わからない,無回答悪くなる(悪くなった)良くなる(良くなった)

変わらない

2

2

3

42% 44 11

1

42 45 10

1

50 40 7

0

わからない、無回答

変わらない

悪くなる(悪くなった)

良くなる(良くなった)

第3回

第2回 14% 13 59

25 5 52 18

14

Page 4: 開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

5SEPTEMBER 2010

第2回調査では,「重くなる」が19%,「軽くなる」が15%,「変わらない」が51%となっている。開始前の予想に対して開始後の評価では,刑の重さが「変わらない」と感じている人が多くなっている。図8は,第3回調査について,これを性別・

性年層別でみたものである。男女とも若い年層になるほど「変わらない」という人が多くなっている。また,「男性40 ~ 59歳」では「重くなった」,「男性60歳以上」「女性60歳以上」の高齢層では「軽くなった」という人が他の性年層よりも多くなっている。

3. 裁判員裁判に対する評価

今回の第3回調査では,裁判員が参加した裁判について,どのように評価しているのかを尋ねている(図9参照)。「評価する(おおいに+多少は,以下同)」が67%,「評価しない(あまり+まったく,以下同)」が25%となり,「評価する」が「評価しない」を大きく上回った。国民がこれまでに行われた裁判員裁判を肯定的にとらえていることがうかがわれる。

図10は,これを性別・性年層別でみたものである。「男性60歳以上」「女性60歳以上」の高齢層では,「評価しない」という人が3割を占め,他の年層よりも多くなっている。

今回の第3回調査では,この質問に引き続いて,裁判員裁判を「評価する」という人には評価する理由を,「評価しない」という人には評価しない理由を,それぞれ尋ねている。図11は評価する理由である。「市民の意見

や感覚が反映された」32%,「裁判を身近に感じられるようになった」26%,「社会の安全や犯罪について関心を持つ人が増えた」24%が多くなっている。裁判に市民の意見が反映される

図 8 裁判員制度開始による刑事裁判の刑の重さ  (第3回調査 性別・性年層別)

図 9 裁判員裁判に対する評価(第 3 回調査 全体)

わからない,無回答軽くなった重くなった

変わらない

わからない、無回答

変わらない

軽くなった

重くなった

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 17% 12 60

10 11 57 22

16 9 67 8

20 9 62 9

15 16 58 11

614 1368

12 6 64 18

8 16 52 24

12

まったく知らないある程度知っている詳しく知っている

あまり知らないわからない,無回答

わからない、無回答

まったく知らない

あまり知らない

ある程度知っている

詳しく知っている

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 6 58% 31

2 44 47 7

3 63 32 2

4 61 30 5

7 55 31 7

42 49 8

2 49 46 3

2 44 46 8

60

0

0

0

0

01

0

0

図 7 裁判員制度開始による刑事裁判の刑の重さ(全体)

わからない、無回答

まったく知らない

あまり知らない

ある程度知っている

詳しく知っている

第3回

第2回

第1回

わからない,無回答軽くなる(軽くなった)重くなる(重くなった)

変わらない

2

2

3

42% 44 11

1

42 45 10

1

50 40 7

0

わからない、無回答

変わらない

軽くなる(軽くなった)

重くなる(重くなった)

第 3回

第 2回 19% 15 51

13 11 58 18

15

わからない、無回答

まったく評価しない

あまり評価しない

多少は評価する

おおいに評価する54

13%9

22

3

わからない,無回答多少は評価する あまり評価しないおおいに評価する

まったく評価しない

Page 5: 開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

6  SEPTEMBER 2010

ようになったこととともに,裁判・治安に対する意識の高まりという個々の裁判を越えた広がりのある影響が評価されている。図12は評価しない理由である。「裁判員の

心理的な負担が重過ぎる」が40%で最も多い。裁判員が死刑の判断をする可能性があることや,残酷な証拠と向き合わねばならない場合があることなどが影を落としている。

4.「参加したくない」が3分の2

裁判員制度では,裁判員に選ばれた場合には,裁判への参加が義務づけられている。ここでは,裁判に参加することに対する国民の意向についてみることにしたい。図13は,裁判員として裁判に参加すること

についてどう思うかという質問に対する3回の調査の推移をみたものである。制度開始後の第3回調査では,「参加したい(ぜひ+参加してもよい,以下同)」が34%,「参加したくない(で

図11 評価する理由(第 3 回調査 裁判員裁判を評価する人)

図12 評価しない理由(第 3 回調査 裁判員裁判を評価しない人)

図13 裁判員裁判に対する参加の意向(全体)

図10 裁判員裁判に対する評価(第3回調査 性別・性年層別)

わからない,無回答軽くなった重くなった

変わらない

わからない、無回答

まったく評価しない

あまり評価しない

多少は評価する

おおいに評価する

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 13% 54 22

13 53 22 93

8 66 16 73

4

15 57 19 63

14 48 26 74

6119 4151

215 56 17 10

11 51 27 74

8

まったく評価しない多少は評価するおおいに評価する

あまり評価しないわからない,無回答

32%

26

24

14

3

1

1わからない,無回答

その他

迅速な裁判が行われた

わかりやすい裁判が行われた

社会の安全や犯罪について関心を持つ人が増えた

裁判を身近に感じられるようになった

市民の意見や感覚が反映された

(100%=1,101 人)

40%

19

14

13

2

13わからない,無回答

その他

被告の権利が十分守られていない

市民が参加した意義が感じられない

守秘義務が厳しすぎて経験を共有できない

裁判員の心理的な負担が重過ぎる

(100%=410 人)

わからない、無回答

絶対に参加したくない

できれば参加したくない

参加してもよい

ぜひ参加したい

第3回

第2回

第1回

絶対に参加したくない参加してもよいぜひ参加したい

できれば参加したくないわからない,無回答

6

5

7

27% 44 21 3

320 45 27

27 43 21

2

Page 6: 開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

7SEPTEMBER 2010

きれば+絶対に,以下同)」が65%となった。開始半年前の第1回調査に比べ開始直前の第2回調査では「参加したい」が33%から26%に減少し,「参加したくない」が65%から72%に増加した。第3回調査では,第2回調査よりも

「参加したい」が増加,「参加したくない」が減少し,第1回調査とほぼ同じ結果となった。けれども,開始後の第3回調査でみても,裁判に

「参加したくない」という人は全体のおよそ3分の2を占めており,依然として参加に消極的な考えを持つ人が多くなっている。図14は,第3回調査について,これを性別・

性年層別にみたものである。「参加したくない」という人は男性よりも女性で多く,男女とも高年になるほど多くなっている。また,「男性20 ~39歳」では,「ぜひ参加したい」という積極的な参加の意欲を持つ人が24%を占め,目立って多くなっている。

なお,第3回調査で「参加したくない」とい

う人にその理由を尋ねたところ,「正しい判断が出来るか自信がないから」が54%と半数を超え,これに「人を裁く責任を負担に感じるから」が25%で続いている(図15参照)。裁判員として判決に加わることで他人の運命を左右することに対して自信を持てない人が多いことがうかがわれる。これに対して,「仕事や家事などで忙しいから」は11%,「裁判に興味がないから」は5%となっており,生活の事情などを

「参加したくない」理由として挙げた人は少なくなっている。

5. 死刑を扱う妥当性

現在(7月末)までのところ,裁判員裁判による死刑の判決は出されていない。けれども,近い将来において,裁判員が死刑の判断を求められる可能性がある。制度開始直前の第2回調査と開始後の第3回調査では,そのことが妥当かどうかについて尋ねている。図16をみると,開始後の第3回調査では「妥

当(妥当+どちらかといえば妥当,以下同)」が50%,「妥当でない(妥当でない+どちらかとい

図15 参加したくない理由(第 3 回調査 裁判に参加したくない人)

54%

25

11

5

5

1わからない,無回答

その他

裁判に興味がないから

仕事や家事などで忙しいから

人を裁く責任を負担に感じるから

正しい判断が出来るか自信がないから

(100%=1,069 人)

図14 裁判員裁判に対する参加の意向   (第3回調査 性別・性年層別)

絶対に参加したくない参加してもよいぜひ参加したい

できれば参加したくないわからない,無回答

わからない、無回答

絶対に参加したくない

できれば参加したくない

参加してもよい

ぜひ参加したい

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 12% 30 37

4 24 48 23

24 38 25 12

11 36 35 17

8 23 44 24

387 46 9

4 29 52 14

2 17 48 32

202

2

1

2

2

0

1

1

Page 7: 開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

8  SEPTEMBER 2010

えば妥当でない,以下同)」が42%となっており,「妥当」が「妥当でない」を上回った。開始直前の第2回調査では「妥当」が43%,「妥当でない」が47%であったので,開始後は開始直前に比べて「妥当」が増え「妥当でない」が減っている。図17は,第3回調査について,これを性別・

性年層別でみたものである。他の性年層と比べて「女性40 ~ 59歳」では「妥当」だという人が少なくなっている。

また,制度開始直前の第2回調査と開始後の第3回調査では,もし裁判員に選ばれた場合に,正しい判決を出せるかどうかについても尋ねている。図18をみると,開始後の第3回調査では「で

きる(できる+どちらかといえばできる,以下同)」が39%,「できない(できない+どちらかといえばできない,以下同)」が55%となっている。開始直前の第2回調査では「できる」が29%,「できない」が63%であったので,開始後は開始直前に比べて「できる」が増え「できない」が減っている。

図19は,第3回調査について,これを性別・性年層別でみたものである。「できる」という人は女性より男性で多く,男女とも若い年層になるほど多くなっている。図20は,第3回調査について,正しい判決

を出すことが「できる」という人と「できない」という人で,裁判員裁判で死刑を扱うことをそれぞれどうとらえているのかをみたものである。

「できる」という人の中では,死刑の判断が「妥当」だという人が65%を占めているのに対して,

「できない」という人では41%にとどまっており,大きな違いがある。

図16 裁判員裁判で死刑を扱うことの妥当性(全体)

図18 正しい判決を出せるか(全体)

図17 裁判員裁判で死刑を扱うことの妥当性  (第3回調査 性別・性年層別)

わからない,無回答悪くなる(悪くなった)良くなる(良くなった)

変わらない

わからない、無回答

妥当でない

どちらかといえば妥当でない

どちらかといえば妥当

妥当第 3回

第 2回 17% 26 25

19 31 24 818

922

妥当でないどちらかといえば妥当妥当

どちらかといえば妥当でないわからない,無回答

わからない,無回答悪くなる(悪くなった)良くなる(良くなった)

変わらない

わからない、無回答

できない

どちらかといえばできない

どちらかといえばできる

できる第 3回

第 2回 25%4 35

7 32 32 723

728

できないどちらかといえばできるできる

どちらかといえばできないわからない,無回答

妥当でないどちらかといえば妥当妥当

どちらかといえば妥当でないわからない,無回答

わからない、無回答

妥当でない

どちらかといえば妥当でない

どちらかといえば妥当

妥当

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 23% 30 22

15 32 26 17 10

29 24 21 26

26 28 22 22

20 36 22 14 8

3615 32 16

13 29 33 22 3

18 34 21 15 12

19 6

0

2

1

Page 8: 開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

9SEPTEMBER 2010

おわりに

調査結果からは,裁判員制度開始から1年を経て,制度に対する国民の認知が深まり,制度を「必要」だと思う人が増えていることがわかった。また,裁判員が参加した裁判に対しては,「評価する」という人が「評価しない」という人を大きく上回った。こうしたことから,現在,裁判員制度が国民から肯定的に受け止められていることを指摘することができる。特に,若年

図19 正しい判決を出せるか(第3回調査 性別・性年層別)

図 20 裁判員裁判で死刑を扱うことは妥当か(第 3 回調査 正しい判決「できる」「できない」別)

層においては,裁判員制度を「必要」だと認識し,裁判員裁判を「評価する」という人が多くなっている。

その一方で,裁判に「参加したくない」という人が,高齢層を中心として,依然として全体の3分の2を占めていることがわかり,このことが裁判員制度の今後の課題として浮かび上がった。

(かとう もとのり※)(※調査研究実施当時は,世論調査部所属)

注:1)第 9 回「裁判員制度の運用等に関する有識者

懇談会」(平成 22 年 7 月 26 日開催)(資料 2 裁判員裁判の実施状況について)参照。

(http://www.courts.go.jp/saikosai/about/iinkai/saibanin_kondan/siryo_09/pdf/siryo_2.pdf)

2) 第 1 回調査の概要については,酒井芳文「裁判員制度 国民の意識と課題」『放送研究と調査』

(2009 年 3 月),第 2 回調査については,酒井芳文「裁判員制度 開始直前の国民の意識」『放送研究と調査』(2009 年 8 月)を参照されたい。

3)本文の数値と図中の数値を足し上げたものとでは,小数点以下の四捨五入の関係で一致しないこともある。以下同様。

わからない,無回答悪くなる(悪くなった)良くなる(良くなった)

変わらない

わからない、無回答

妥当でない

どちらかといえば妥当でない

どちらかといえば妥当

妥当できない

できる 25% 40

14 27 25 1024

10

2

23

妥当でないどちらかといえば妥当妥当

どちらかといえば妥当でないわからない,無回答

できないどちらかといえばできるできる

どちらかといえばできないわからない,無回答

わからない、無回答

できない

どちらかといえばできない

どちらかといえばできる

できる

女性60 歳以上

女性40~59 歳

女性20~39 歳

男性60 歳以上

男性40~59 歳

男性20~39 歳

女性

男性 11% 34 28

303 35 25 7

12 45 22 13 9

12 38 1923 8

11 28 35 22 4

464 29 17 4

373 39 15 7

4 23 35 33 6

20 7

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10  SEPTEMBER 2010

裁判員制度に関する世論調査単純集計表(第 1~ 3回)

※1 �選択肢,質問文が変更となっているものは,第 1回,第 2回のものを( )内などに併記した。

※2 �<は前回調査よりも有意に高い,>は前回調査よりも有意に低いことを示す。

第1問 -制度の認知度- (全員に)一般の国民が裁判官と一緒に刑事裁判を審理する「裁判員制度」が去年5月にスタートしました。あなたはこの「裁判員制度」について,どの程度,知っていますか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。(第2回)今月,始まります。 (第1回)来年5月に始まります。

� 第1回� 第2回� 第3回�1.�詳しく知っている� 1.7� � 2.0�<� 3.2�%�2.�ある程度知っている� 41.7� � 42.3�<�49.9�3.�あまり知らない� 44.4� � 44.9�>�40.0�4.�まったく知らない� 11.3� � 9.7�>� 6.6�5.�わからない,無回答� 0.9� � 1.0�>� 0.3� �� � � �第2問 -制度の必要性- (全員に)あなたは,いまの日本に裁判員制度は必要だと思いますか。それともそうは思いませんか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� 第1回� 第2回� 第3回�1.�必要� 10.9�>� 8.8�<�16.6��%�2.�どちらかといえば必要� 31.2�>�25.5�<�40.7�3.�どちらかといえば必要ない� 32.2�<�39.0�>�25.5�4.�必要ない� 17.7� � 18.7�>�11.1�5.�わからない,無回答� 8.0� � 8.0�>� 6.1� �� � � �第3問 -参加の意向度- (全員に)もし裁判員に選ばれた場合,裁判への参加が義務づけられますが,あなたは,裁判員として裁判に参加したいと思いますか。それともそうは思いませんか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� 第1回� 第2回� 第3回�1.�ぜひ参加したい� 5.5� � 5.4� � 7.0�%�2.�参加してもよい� 27.3�>�20.4�<�26.6�3.�できれば参加したくない� 44.1� � 45.0� � 43.3�4.�絶対に参加したくない� 20.5�<�26.6�>�21.4�5.�わからない,無回答� 2.6� � 2.5� � 1.8� �� � � �第3問 SQ1 -参加したくない理由- (第3問で3,4の人にのみ)それでは,あなたが,裁判員として裁判に参加したくない主な理由はなんですか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� 第1回� � 第3回�1.�仕事や家事などで忙しいから� 10.7� � � � 10.5�%

�2.�人を裁く責任を負担に� �感じるから� 25.8� � � � 25.1�3.�正しい判断が出来るか� �自信がないから � 54.9� � � � 54.3�4.�裁判に興味がないから � 4.1� � � � 4.7�5.�その他� 2.5� � <� � 4.5�6.�わからない,無回答� 2.0� � >� � 0.9� � � 100% =1,068 人� 1,069 人

第4問 -正しい判決を出せるか- (全員に)もし裁判員に選ばれた場合,あなたは正しい判決を出すことができると思いますか。それともそうは思いませんか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � �第2回� �第3回�1.�できる�  � � 4.1�<� 6.8�%�2.�どちらかといえばできる�  � � 25.3�<�31.8�3.�どちらかといえばできない�  � � 35.3�>�32.1�4.�できない�  � � 28.0�>�22.6�5.�わからない,無回答�  � � 7.3� � 6.6� �� � � �第4問 SQ1 -正しい判決を出せない理由- (第4問で3,4の人にのみ)それでは,あなたが「出せない」と思う主な理由はなんですか。最も大きな理由を次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � �第2回� �第3回�1.�法律の知識が乏しいから� � � 28.8�<�33.6�%�2.�プロの裁判官の意見に� �誘導されてしまうから� � � 7.6� � 8.3�3.�短い(3日から5日の)期間では� �十分な議論ができないから� � � 17.7� � 16.4�4.�感情に左右されて冷静な�� �判断ができそうにないから� � � 42.3�>�36.9�5.�その他� � � 0.6�<� 1.9�6.�わからない,無回答� � � 2.8� � 3.0� 100% =1,099 人� 905 人� �� � � � �第5問 -刑事裁判の評価- (全員に)あなたは,裁判員制度が始まる前の刑事事件の裁判は適正に行われていたと思いますか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。(第1,2回)あなたは,いまの日本で,刑事事件の裁判が適正に行われていると思いますか。

� 第1回� 第2回� 第3回�1.�十分に適正であった(ある)� 4.1�>� 2.1�<� 3.4�%�2.�おおむね適正であった(ある)� 39.3�<�43.0�>�39.5�3.�やや問題があった(ある)� 36.7� � 38.5� � 39.6�4.�おおいに問題があった(ある)� 6.9� � 5.4� � 6.1�5.�わからない,無回答� 12.9� � 10.9� � 11.4� �� � � �第6問 -刑事裁判の評価は変わったか- (全員に)それでは,裁判員制度が始まったあとの刑事事件の裁判はどうなりましたか。次の3つの中から1つ選んでお答えください。(第2回)それでは,裁判員制度が始まると,その評価はどうなると思いますか。

� �� � �第2回� �第3回�1.�良くなった(なる)� � � 14.0�<�24.8�%�2.�悪くなった(なる)� � � 13.2�>� 5.0�3.�変わらない� � � 58.7�>�51.9�4.�わからない,無回答� � � 14.1�<�18.3� �� � � �

第1回2008 年 11月

第2回2009 年 5月

第3回2010 年 5月

調査時期 11月 14日~ 16日 5月 8日~ 10日 5月 14日

~ 16日

調査相手 全国 20歳以上2,723 人

全国 20歳以上2,872 人

全国 20歳以上2,715 人

調査方法 電話法(RDD追跡法)

調査回答数 1,653 人 1,736 人 1,652 人

調査回答率 60.7% 60.4% 60.8%

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11SEPTEMBER 2010

第7問 -裁判員裁判の評価- (全員に)あなたは,これまでに行われた裁判員が参加した裁判については,どのように評価していますか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � � � �第3回�1.�おおいに評価する� � � � � 13.1�%�2.�多少は評価する� � � � � 53.5�3.�あまり評価しない� � � � � 21.7�4.�まったく評価しない� � � � � 3.1�5.�わからない,無回答� � � � � 8.5� �� � � �第7問 SQ1 -評価する理由- (第7問で1,2の人にのみ)それではあなたが,裁判員が参加した裁判を評価する理由はなんですか。次の5つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � � � �第3回�1.�迅速な裁判が行われた� � � � � 3.0�%�2.�市民の意見や感覚が反映された� � � � � 31.6�3.�わかりやすい裁判が行われた� � � � � 13.8�4.�裁判を身近に感じられるようになった�� � � 26.0�5.�社会の安全や犯罪について� �関心を持つ人が増えた� � � � � 24.3�6.�その他� � � � � 0.5�7.�わからない,無回答� � � � � 0.7� 100% =1,101 人� �� � � �第7問 SQ2 -評価しない理由- (第7問で3,4の人にのみ)それではあなたが,裁判員が参加した裁判を評価しない理由はなんですか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � � � �第3回�1.�市民が参加した意義が感じられない�� � � � 14.4�%�2.�裁判員の心理的な負担が重過ぎる� � � � � 39.5�3.�被告の権利が十分守られていない� � � � � 12.9�4.�守秘義務が厳しすぎて経験を共有できない� � � 19.0�5.�その他� � � � � 1.5�6.�わからない,無回答� � � � � 12.7� 100% =410 人� �� � � �第8問 -死刑を扱う妥当性- (全員に)裁判員制度では,裁判員が死刑の判断をすることがあります。あなたは,裁判員が死刑の判断をすることについて,妥当だと思いますか。それともそうは思いませんか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � �第2回� �第3回�1.�妥当� � � 17.4� � 18.5�%�2.�どちらかといえば妥当� � � 25.9�<�31.2�3.�どちらかといえば妥当でない� � � 25.2� � 24.4�4.�妥当でない� � � 22.2�>�17.9�5.�わからない,無回答� � � 9.3� � 8.1� �� � � �第9問 -死刑の存廃について- (全員に)あなたは,日本で死刑制度を存続させたほうがよいと思いますか。それとも廃止したほうがよいと思いますか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � �第2回� �第3回�1.�存続させたほうがよい� � � 41.9� � 40.2�%�2.�どちらかといえば� �存続させたほうがよい� � � 35.9� � 35.6�3.�どちらかといえば廃止したほうがよい�� 9.9� � 11.2�4.�廃止したほうがよい� � � 4.8� � 5.7�5.�わからない,無回答� � � 7.4� � 7.3

第9問 SQ1 -死刑存続の理由- (第9問で1,2の人にのみ)それでは,あなたが,死刑制度を存続させたほうがよいと思う主な理由はなんですか。最も大きな理由を次の3つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � �第2回� �第3回�1.�犯罪を抑える効果が期待できるから�� � 23.0�<�26.9�%�2.�凶悪な犯罪は命で償うべきだから� � � 37.5� � 34.8�3.�被害者やその関係者の心情に� �配慮するべきだから� � � 38.0� � 36.7�4.�その他� � � 0.2�<� 0.8�5.�わからない,無回答� � � 1.3� � 0.7� 100% =1,352 人� 1,252 人

第 10問 -死刑か終身刑か- (全員に)では,仮に,一生釈放を認めない「終身刑」ができた場合,死刑制度を存続させたほうがよいと思いますか。廃止したほうがよいと思いますか。それともどちらともいえませんか。

� �� � �第2回� �第3回�1.�存続させたほうがよい� � � 40.0� � 38.7�%�2.�廃止したほうがよい� � � 18.4� � 18.2�3.�どちらともいえない� � � 34.3� � 37.0�4.�わからない,無回答� � � 7.3� � 6.1� �� � � �第 11 問 -「推定無罪」原則について- (全員に)刑事裁判では,検察側が犯罪の事実を証明できない限りは被告人を「無罪」と考える「疑わしきは罰せず」という原則があります。あなたは,この原則をどの程度,知っていますか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � �第2回� �第3回�1.�詳しく知っている� � � 3.4� � 4.4�%�2.�ある程度知っている� � � 34.3� � 32.5�3.�あまり知らない� � � 42.5� � 44.4�4.�まったく知らない� � � 15.6� � 14.8�5.�わからない,無回答� � � 4.3� � 3.9� �� � � �第 12 問 -量刑の感覚- (全員に)あなたは,裁判員制度が始まる前の刑事裁判で言い渡されていた刑の重さについて,全体としてどのように思いますか。次の3つの中から1つ選んでお答えください。(第1,2回)あなたは,いまの日本の刑事裁判で言い渡される刑の重さについて,全体としてどのように思いますか。

� �� 第1回� �第2回� �第3回�1.�重い� 2.3� � 2.3�<� 4.4�%�2.�軽い� 55.1�>�50.1�>�37.6�3.�適正� 28.1�<�33.4�<�39.4�4.�わからない,無回答� 14.5� � 14.3�<�18.6� �� � � �第 13 問 -量刑は変わったか- (全員に)それでは,裁判員制度が始まった後の刑事裁判の刑の重さは,全体としてどうなったと思いますか。次の3つの中から1つ選んでお答えください。(第2回)それでは,裁判員制度が始まると,刑事裁判で言い渡される刑の重さは,全体としてどうなると思いますか。

� �� � �第 2 回� �第3回�1.�重くなった(なる)� � � 19.2�>�12.8�%�2.�軽くなった(なる)� � � 14.5�>�11.2�3.�変わらない� � � 50.8�<�58.1�4.�わからない,無回答� � � 15.4� � 17.9� �� � � �

Page 11: 開始1年・裁判員制度に対する国民の意識 - NHK2 SEPTEMBER 2010 を実施した。この調査は,裁判員制度開始半 年前のおととしの11月に実施した第1回調査,開始直前の去年5月に実施した第2回調査に

12  SEPTEMBER 2010

サンプル構成

全 体性 年  層

男 性 女 性 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 無回答

第 1 回1,653 人 707 946 81 249 268 282 354 343 76100.0 % 42.8 57.2 4.9 15.1 16.2 17.1 21.4 20.8 4.6

第 2 回1,736 人 752 984 79 264 304 297 375 351 66100.0 % 43.3 56.7 4.6 15.2 17.5 17.1 21.6 20.2 3.8

第 3 回1,652 人 707 945 61 227 271 270 382 391 50100.0 % 42.8 57.2 3.7 13.7 16.4 16.3 23.1 23.7 3.0

全 体男性の年層 女性の年層

20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 無回答 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 歳以上 無回答

第 1 回1,653 人 37 99 114 134 150 140 33 44 150 154 148 204 203 43100.0% 2.2 6.0 6.9 8.1 9.1 8.5 2.0 2.7 9.1 9.3 9.0 12.3 12.3 2.6

第 2 回1,736 人 34 113 134 126 163 152 30 45 151 170 171 212 199 36100.0 % 2.0 6.5 7.7 7.3 9.4 8.8 1.7 2.6 8.7 9.8 9.9 12.2 11.5 2.1

第 3 回1,652 人 22 106 117 128 154 161 19 39 121 154 142 228 230 31100.0 % 1.3 6.4 7.1 7.7 9.3 9.7 1.2 2.4 7.3 9.3 8.6 13.8 13.9 1.9

全 体職 業

農林漁業 自営業 勤め人 主婦 無職 学生・その他・無回答

第 1 回1,653 人 45 183 537 443 354 91100.0% 2.7 11.1 32.5 26.8 21.4 5.5

第 2 回1,736 人 56 168 584 421 425 82100.0 % 3.2 9.7 33.6 24.3 24.5 4.7

第 3 回1,652 人 50 156 532 445 412 57100.0 % 3.0 9.4 32.2 26.9 24.9 3.5

全 体

都市規模 地域特別区と

人口 100 万以上の市

人口 30 万以上の市

人口 10 万以上の市

人口 5 万以上の市町

人口 5 万未満の市町

村無回答 北海道・東北 関東甲信越 東海・北陸 近畿 中国・四国・

九州沖縄

第 1 回1,653 人 349 344 353 193 226 188 165 630 230 274 354100.0% 21.1 20.8 21.4 11.7 13.7 11.4 10.0 38.1 13.9 16.6 21.4

第 2 回1,736 人 392 370 394 240 242 98 181 635 249 302 369100.0 % 22.6 21.3 22.7 13.8 13.9 5.6 10.4 36.6 14.3 17.4 21.3

第 3 回1,652 人 344 345 415 209 251 88 210 585 235 282 340100.0 % 20.8 20.9 25.1 12.7 15.2 5.3 12.7 35.4 14.2 17.1 20.6

第 14問 -守秘義務について- (全員に)裁判員には,いわゆる 「守秘義務 」があり,裁判員として知ることができた秘密を漏らしたときは刑罰が科せられることもあります。あなたは,これについて妥当だと思いますか。次の4つの中から1つ選んでお答えください。

� �� 第1回� � � �第3回�1.�妥当� 60.1� � >� � 49.6�%�2.�どちらかといえば妥当� 22.1� � <� � 29.0�3.�どちらかといえば妥当でない� 6.4� � <� � 9.9�4.�妥当でない� 5.4� � � � 4.4�5.�わからない,無回答� 6.0� � � � 7.0� �� � � �

第 14 問 SQ1 -守秘義務のどこに問題があるか- (第 14問で3,4の人にのみ)それではあなたは,守秘義務が妥当とは思わない理由はなんですか。次の3つの中から1つ選んでお答えください。

� �� � � � �第3回�1.�裁判員が感じたことが社会に伝わりにくい� � � 7.6�%�2.�守秘義務の定義があいまいで� �どこまで話していいのかわからない�� � � � 45.6�3.�刑罰まで科すのは重過ぎる� � � � � 40.1�4.�その他� � � � � 0.8�5.�わからない,無回答� � � � � 5.9� 100% =237 人