18
地震波形の解析について 東北地方太平洋沖地震の地表面地震波形の再現解析 以下の手順により、仙台・塩釜及び広野の特防区域における東北地方太平洋沖地震の再現波形を作成する。 資料1-5-2 ①特防区域直近及び対象地 区の地盤構成、速度構成、 物理特性、動的変形特性 ②特防区域直近及び対象地 区の地盤のモデル化 (解析モデル) 工学的基盤における 入力地震動 ④対象地区の 地盤の地震応答解析 【工学的基盤→地表】 全応力逐次非線形解析 有効応力逐次非線形解析 ⑤対象地区の 解析結果のとりまとめ (加速度応答スペクトル、速 度応答スペクトル、最大応答 値深度分布) ③特防区域直近の地盤の地震 応答解析 【地表→工学的基盤】 等価線形解析 特防区域直近の地表面 観測波形 K-NET、港湾研) フィードバック 特防区域直近の工学的 基盤観測波形 (港湾研) 比較・検証 (詳細は 1.4 節に記載) (詳細は 1.5 節に記載) - 1 -

資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

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Page 1: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

地震波形の解析について

1 東北地方太平洋沖地震の地表面地震波形の再現解析

以下の手順により、仙台・塩釜及び広野の特防区域における東北地方太平洋沖地震の再現波形を作成する。

資料1-5-2

①特防区域直近及び対象地

区の地盤構成、速度構成、

物理特性、動的変形特性

②特防区域直近及び対象地

区の地盤のモデル化

(解析モデル)

工学的基盤における

入力地震動

④対象地区の

地盤の地震応答解析

【工学的基盤→地表】

全応力逐次非線形解析

有効応力逐次非線形解析

⑤対象地区の

解析結果のとりまとめ

(加速度応答スペクトル、速

度応答スペクトル、最大応答

値深度分布)

③特防区域直近の地盤の地震

応答解析

【地表→工学的基盤】

等価線形解析

特防区域直近の地表面

観測波形

(K-NET、港湾研)

フィードバック

特防区域直近の工学的

基盤観測波形

(港湾研)

比較・検証

(詳細は 1.4節に記載)

(詳細は 1.5節に記載)

- 1 -

Page 2: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

1.1 地盤構成、速度構成、物理特性及び動的変形特性の検討

地震応答解析を考えた場合、地盤構成、物理特性及び動的変形特性等を適切に考慮して設定することが重

要である。特に、本調査では、有効応力逐次非線形解析を行うため、等価線形解析法と異なり、多くの定数

(パラメータ)の設定が必要となる(表1.1-1参照)。したがって、本調査では、提供データ(地盤調査

資料等)を詳細に吟味するとともに、既往調査や各種文献などのデータも参考にしながら定数を設定する。

表1.1-1 有効応力逐次非線形解析に必要な定数

1.2 地盤のモデル化(解析モデル)

屋外タンク貯蔵所付近の解析地点を対象として、地盤のモデル化を行う。地盤のモデル化に際しては、対

象となる箇所が主に埋立地や沖積低地となることが想定されることから、対象地を含む周辺の地形・地質特

性や埋立履歴等を考慮してモデル化を行う。解析で重要となる表層地盤については、地盤構成、物理・力学

特性及び動的変形特性等の諸元を考慮してモデル化を行い、1次元及び2次元の解析モデルを作成する。作

成した1次元の解析モデルについては地震応答解析に、2次元の解析モデルについては地盤及び構造物の解

析に用いる。

また、解析断面の作成の際には、既存資料を踏まえて敷地全体の3次元的な構造を考慮した上でモデル化

を行う。

- 2 -

Page 3: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

1.3 観測記録の整理、活用【地表及び工学的基盤】

対象とする特防区域と地震観測記録について整理した(表1.3-1、図1.3-1~4及び図1.3-

9~10参照)。この地域周辺には、防災科学技術研究所により強震観測記録(以下「K-NET」という。)、及

び仙台・塩釜地区の直近には国土交通省港湾局により港湾地域強震観測が行われており(図1.3-5参照)、

独立行政法人港湾空港技術研究所(以下「港湾研」という。)から記録が公開されている。

特に仙台・塩釜地区では、港湾研でも東北地方太平洋沖地震の記録が観測されており、地表及び工学的基

盤の波形が得られている(図1.3-6~8参照)。今回検討対象とする仙台・塩釜地区と、観測点との距離

は、数 kmであり、震源からの距離と比べて十分小さい。よって、仙台・塩釜地区の K-NETで観測されている

地表波形から推定した工学的基盤波形と比較し、この観測記録の検証を行った上で、仙台・塩釜地区の特防

区域の東北地方太平洋沖地震の地表面地震波形の再現解析の入力波には、地表面から工学的基盤に戻した推

定波形ではなく、実際に工学的基盤で観測された記録を用いる。

広野地区では、K-NET観測地点が特防区域から数百mの位置にあり、ここでも震源からの距離の影響は無視

できると考える。また、観測地点と対象の特防区域の工学的基盤深さとが大きく違わないことから、仙台・

塩釜地区での検証結果も含めて地盤のモデル化を行う。その後、K-NETの地表波形から工学的基盤の波形を解

析し、東北地方太平洋沖地震の地表面地震波形の再現解析の入力波とする。

表1.3-1 対象区域と観測記録波形

ID 特防区域 K-NET 港湾研 備考

7 塩釜※ MYG012

(地表) 仙台-G(地

表)、GB(工学

的基盤)

仙台-G

地表 G.L. 0m

仙台-GB

地中 G.L. -10.4m 8 仙台※

MYG013

(地表)

11-2 広野 FKS010

(地表)

※ 仙台・塩釜は1地区とみなして解析を行う。

- 3 -

Page 4: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

図1.3-1 K-NET(仙台)の観測地点と土質柱状図

特防区域

- 4 -

Page 5: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

図1.3-2 K-NET(仙台)の観測波形

Acceleration

-2000

0

2000Ac

c. (c

m/s

/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)

-2000

0

2000

Acc.

(cm

/s/s

) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)

-2000

0

2000

Acc.

(cm

/s/s

)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

U-D (peak:- 290.2 cm/s/s)

Acc. Response Spectrum (h=5%)

5

10

50

100

500

1000

5000

Acce

lera

tion

Resp

onse

(cm

/s/s

)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

N-SE-WU-D

Vel. Response Spectrum (h=5%)

0.5

1

5

10

50

100

500

Velo

city

Resp

onse

(cm

/s)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

N-SE-WU-D

Velocity

-100

0

100

Vel.

(cm

/s) N-S (peak: 74.47 cm/s)

-100

0

100

Vel.

(cm

/s) E-W (peak:- 41.27 cm/s)

-100

0

100

Vel.

(cm

/s)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

U-D (peak:- 25.07 cm/s)

2011/03/11 14:46:35, Site: MYG013, JMA Intensity: 6.3

- 5 -

Page 6: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

図1.3-3 K-NET(塩釜)の観測地点と土質柱状図

特防区域

- 6 -

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図1.3-4 K-NET(塩釜)の観測波形

Acceleration

-2000

0

2000Ac

c. (c

m/s

/s) N-S (peak:- 760.5 cm/s/s)

-2000

0

2000

Acc.

(cm

/s/s

) E-W (peak: 1969.5 cm/s/s)

-2000

0

2000

Acc.

(cm

/s/s

)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

U-D (peak:- 500.8 cm/s/s)

Acc. Response Spectrum (h=5%)

5

10

50

100

500

1000

5000

Acce

lera

tion

Resp

onse

(cm

/s/s

)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

N-SE-WU-D

Vel. Response Spectrum (h=5%)

0.2

0.5

1

5

10

50

100

200

Velo

city

Resp

onse

(cm

/s)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

N-SE-WU-D

Velocity

-100

0

100

Vel.

(cm

/s) N-S (peak:- 30.39 cm/s)

-100

0

100

Vel.

(cm

/s) E-W (peak:- 62.33 cm/s)

-100

0

100

Vel.

(cm

/s)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

U-D (peak:- 18.00 cm/s)

2011/03/11 14:46:35, Site: MYG012, JMA Intensity: 6.0

- 7 -

Page 8: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

図1.3-5 港湾地域強震観測地点

- 8 -

Page 9: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

図1.3-6 港湾地域強震観測(仙台)の観測地点と土質柱状図

特防区域

- 9 -

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図1.3-7 港湾地域強震観測(仙台)の観測波形(地表)

Acceleration

-1000

0

1000

Acc.

(cm

/s/s

) EW �¬•

-1000

0

1000

Acc.

(cm

/s/s

) NS �¬•

-1000

0

1000

Acc.

(cm

/s/s

)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

UD �¬•

Acc. Response Spectrum (h=5%)

2

5

10

50

100

500

1000

2000

Acce

lera

tion

Resp

onse

(cm

/s/s

)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

EW �¬•ªNS �¬•ªUD �¬•ª

Vel. Response Spectrum (h=5%)

0.1

0.5

1

5

10

50

100

Velo

city

Resp

onse

(cm

/s)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

EW �¬•ªNS �¬•ªUD �¬•ª

Velocity

-50

0

50

Vel.

(cm

/s) EW �¬•

-50

0

50

Vel.

(cm

/s) NS �¬•

-50

0

50

Vel.

(cm

/s)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

UD �¬•

0000/00/00 00:00, Site: F-2959, JMA Intensity: 5.3

- 10 -

Page 11: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

図1.3-8 港湾地域強震観測(仙台)の観測波形(工学的基盤)

Acceleration

-500

0

500Ac

c. (c

m/s

/s) EW �¬•

-500

0

500

Acc.

(cm

/s/s

) NS �¬•

-500

0

500

Acc.

(cm

/s/s

)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

UD �¬•

Acc. Response Spectrum (h=5%)

1

5

10

50

100

500

1000

Acce

lera

tion

Resp

onse

(cm

/s/s

)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

EW �¬•ªNS �¬•ªUD �¬•ª

Vel. Response Spectrum (h=5%)

0.05

0.1

0.5

1

5

10

50

Velo

city

Resp

onse

(cm

/s)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

EW �¬•ªNS �¬•ªUD �¬•ª

Velocity

-20

0

20

Vel.

(cm

/s) EW �¬•

-20

0

20

Vel.

(cm

/s) NS �¬•

-20

0

20

Vel.

(cm

/s)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

UD �¬•

0000/00/00 00:00, Site: F-2958, JMA Intensity: 5.0

- 11 -

Page 12: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

図1.3-9 K-NET(広野)の観測地点と土質柱状図

特防区域

- 12 -

Page 13: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

図1.3-10 K-NET(広野)の観測波形

Acceleration

-2000

0

2000Ac

c. (c

m/s

/s) N-S (peak: 1116.2 cm/s/s)

-2000

0

2000

Acc.

(cm

/s/s

) E-W (peak:- 881.9 cm/s/s)

-2000

0

2000

Acc.

(cm

/s/s

)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

U-D (peak: 436.3 cm/s/s)

Acc. Response Spectrum (h=5%)

10

50

100

500

1000

5000

10000

Acce

lera

tion

Resp

onse

(cm

/s/s

)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

N-SE-WU-D

Vel. Response Spectrum (h=5%)

0.2

0.5

1

5

10

50

100

200

Velo

city

Resp

onse

(cm

/s)

0.05 0.1 0.5 1 5 10 20Period (sec)

N-SE-WU-D

Velocity

-100

0

100

Vel.

(cm

/s) N-S (peak:- 44.39 cm/s)

-100

0

100

Vel.

(cm

/s) E-W (peak: 62.58 cm/s)

-100

0

100

Vel.

(cm

/s)

0 50 100 150 200 250 300Time (sec)

U-D (peak: 17.75 cm/s)

2011/03/11 14:46:42, Site: FKS010, JMA Intensity: 5.9

- 13 -

Page 14: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

1.4 地盤の地震応答解析【地表→工学的基盤】

特防区域直近の地表面観測波形から、逆解析により工学的基盤での時刻歴波形を作成する。逆解析での地

震応答解析は、周波数領域の等価線形解析法を採用し、プログラムコードとしては、『DYNEQ』(A computer

program for DYNamic response analysis of level ground by Equivalent linear method)を採用する。

これは、後述する『YUSAYUSA-2』は、逐次積分による計算であり、観測波形をそのまま入力する

ことはできないためである。(解析手法と適用範囲については図1.4-1参照。)

解析結果については、後述する工学的基盤から地表面への非線形解析の入力波形として用いると共に、前

述した地盤のモデル化にフィードバックすることにより、解析モデルの精緻化をはかる。

なお、特防区域直近に基盤観測波形がある場合は、解析による推定波形と比較した上で、どちらを対象地

区における非線形解析の入力波形として採用するかを決める(1.3節参照)。

1.5 地盤の地震応答解析【工学的基盤→地表】

前述した工学的基盤面の加速度波形を入力として地震応答解析を行い、対象地区の地表面の加速度波形を

求める。地震応答解析は、全応力逐次非線形解析及び有効応力逐次非線形解析を採用し、プログラムコード

としては、『YUSAYUSA-2』を採用する。また、加えて地震動応答解析の実績が格段に多い等価線形

解析法による計算も行う。これら3手法による解析を比較することで、それぞれの結果の確からしさを担保

する。

図1.4.1 地盤材料の歪み依存性と解析手法との関係

[吉田望(地盤の地震応答解析,鹿島出版会,2010)]

- 14 -

Page 15: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

1.6 解析結果のとりまとめ

地震応答解析の結果については、最大応答値の深度分布を整理し、解析結果の妥当性について確認する(図

1.6-1参照)。

また、地震応答解析によって得られた地表面の時刻歴波形(図1.6-2参照)から、計測震度、地表最

大加速度、地表最大速度等の指標値について整理する。東北地方太平洋沖地震の際に観測・整理された震度

分布等と今回の結果を比較し、その妥当性について確認する。

さらに、速度応答スペクトル及び加速度応答スペクトルを計算し、それぞれについて整理する。

図1.6-1 最大応答値の深度分布の例

0 200 400 600 0

10

20

30

40

50

60

深度(m)

425.4 421.2 414.3 403.9

380.1 356.4 334.9 319.3 313.4 297.9 289.3 285.4 280.9 274.3 264.8 252.7 238.4 223.3 232.5 243.5 255.8 267.4 275.6 277.6 283.4 285.6 286.7

288.1

290.9 291.2 292.8

298.5

307.4

315.7 321.3

325.8

318.1 304.0 291.3

274.2 280.5

最大加速度

(cm/s )2

0 50 100 76.7 76.2 75.6 74.8 73.7 72.8 72.0 71.2 71.0 70.6 70.6 70.7 71.2 71.5 72.1 72.5 72.8 72.9 72.8 72.3 71.1 69.5 67.6 65.4 64.0 63.2 62.5

61.2

59.5 59.1 57.7

56.5

55.4

53.8 52.3

50.8

48.5 46.8 46.1

44.1 45.1

最大速度

(cm/s)

0 10 20 17.0 16.9 16.9 16.7 16.4 16.0 15.5 14.8 14.4 13.9 13.4 13.0 12.5 12.0 11.4 10.8 10.1 9.5 8.8 8.1 7.4 6.7 5.9 5.2 4.7 4.5 4.3

4.0

3.6 3.5 3.3

2.9

2.6

2.1 1.8

1.4

0.98 0.69 0.50

0.09 0.00

最大相対変位

(cm)

0 100 200

4.6 11.5 16.3 23.5 31.4 37.6 42.9 46.4 50.8 55.1 58.5 61.8 64.8 67.6 70.3 72.7 74.9 76.9 78.6 80.0 81.1 82.0 82.6 82.9 83.1 83.7 85.2

86.6 86.9 88.6 92.3

96.8

101.4105.2108.8

113.0

116.3118.3120.7122.7

最大せん断応力

(kN/m )2

0 0.5 1.0

0.040 0.128 0.204

0.263 0.430

0.585 0.739

0.852 0.384 0.430 0.468 0.506 0.541 0.575 0.608 0.638 0.666 0.691 0.713 0.732 0.746 0.758 0.766 0.771

0.186 0.189 0.194

0.198 0.199 0.173 0.183

0.197

0.210 0.222 0.191

0.179

0.186 0.172 0.159

0.092

最大せん断ひずみ

(%)

0 0.5 1.0

0.576 0.422 0.366

0.205 0.163 0.140 0.125 0.116

0.297 0.286 0.278 0.270 0.264 0.259 0.254 0.249 0.246 0.242 0.240 0.238 0.236 0.235 0.234 0.233 0.330 0.328 0.324

0.321 0.320 0.385 0.376

0.366

0.356 0.348 0.326

0.380

0.374 0.342 0.399 0.451

最小G/G0

 

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Page 16: 資料1-5-2...Acc. (cm/s/s) N-S (peak: 1515.3 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) E-W (peak: 977.2 cm/s/s)-2000 0 2000 Acc. (cm/s/s) 0 50 100 150 200 250 300 Time (sec) U-D (peak:-

図1.6-2 地震応答解析結果の整理の例

haneda_fault59488

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55Time [s]

0

0

0

0

0

0

-1000

-1000

-1000

-100

-100

-100

1000

1000

1000

100

100

100

ch0:NS (peak:505.84)

ch1:EW (peak:343.12)

ch2:UD (peak:50.10)

ch0:NS (peak:-51.20)

ch1:EW (peak:-46.43)

ch2:UD (peak:7.06)

Acc.[

cm/s/

s]Ac

c.[cm

/s/s]

Acc.[

cm/s/

s]Ve

l.[cm

/s]Ve

l.[cm

/s]Ve

l.[cm

/s]

0.01 0.1 1 10 50

Fourier Spec.

Freq. [Hz]

1e-3

1e-2

1e-1

1e0

1e1

1e2

1e3

Four

ier A

mp.

[cm

/s/s*

s]

h=0.05

0.05 0.1 0.2 0.5 1 2 5 101e-12e-15e-11e02e05e01e12e15e11e22e25e21e3

Sd[cm]

0.5

12

5

10

20

50

100

200

500

1000

Sa[cm/s/s]

0.20.51251020

50100200

500100020005000100002000050000100000

Response Spec.

Period [s]

pSv

[cm

/s]

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2 南海トラフ地震の地表面地震波形の解析

以下のような手順により、南海トラフ地震の想定地震波形を作成する。

2.1 地盤構成、速度構成、物理特性、動的変形特性の検討

1.1節で述べたのと同様の手法を用いて、地盤構成、物理特性、動的変形特性について検討を行い、定

数を設定する。

2.2 地盤のモデル化(解析モデル)

1.2節で述べたのと同様の手法を用いて地盤のモデル化を行い、1次元及び2次元の解析モデルを作成

する。作成した1次元の解析モデルについては地震応答解析に、2次元の解析モデルについては地盤及び構

造物の解析に用いる。

2.3 地盤の地震応答解析【工学的基盤→地表】

中央防災会議による南海トラフ地震の工学的基盤における加速度波形を入力として地震応答解析を行い、

地表面の加速度波形を求める。地震応答解析は、全応力逐次非線形解析及び有効応力逐次非線形解析を採用

し、プログラムコードとしては、『YUSAYUSA-2』を採用する。また、加えて地震動応答解析の実績

が格段に多い等価線形解析法による計算も行う。これら3手法による解析を比較することで、それぞれの結

果の確からしさを担保する。

①対象地区の地盤構成、

速度構成、物理特性、

動的変形特性

②対象地区の

地盤のモデル化

(解析モデル)

対象地区の工学的基盤

における入力地震動

(中央防災会議(2011))

④対象地区の

解析結果のとりまとめ

(加速度応答スペクトル、速

度応答スペクトル、最大応答

値深度分布)

③対象地区の

地盤の地震応答解析

【工学的基盤→地表】

全応力逐次非線形解析

有効応力逐次非線形解析

(等価線形解析)

(詳細は 2.3節に記載)

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なお、中央防災会議の公開波形は統計的グリーン関数法により検討した一つの結果であるため、統計

処理上の癖・バラつきが生じる可能性がある。震源特性や地盤特性など以外で、物理的に有意でない要

因が問題になった場合、工学的基盤面での波形を再解析することでその確からしさを担保する。

2.4 解析結果のとりまとめ

地震応答解析の結果については、最大応答値の深度分布を整理し、解析結果の妥当性について確認する。

また、地震応答解析によって得られた地表面の時刻歴波形から、計測震度、地表最大加速度、地表最大速

度等の指標値について整理する。

さらに、速度応答スペクトル及び加速度応答スペクトルを計算し、それぞれについて整理する。

中央防災会議より公表されている南海トラフ地震の震度分布(図2.4-1参照)については、南海トラ

フの巨大地震モデル検討会において、ボーリングデータや観測データとの比較により震度分布の算出に用い

た震度増分の妥当性が確認されている。このため、解析結果及び解析に用いたモデルの妥当性については、

公表されている震度分布との比較により結果の妥当性を確認する。

図2.4-1 南海トラフの巨大地震による震度分布

出典:南海トラフの巨大地震モデル検討会(第二次報告) 強震断層モデル編

-強震断層モデルと震度分布について- 平成24年8月29日

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