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依存から自立- 一恋愛依存症からの回復を目指して- 2003HPO O7 長谷川 千紗 目的 本研究では恋愛依存症を「自分のことが疎かになったり、精神的に断続的な苦痛を味わうなど といった不利益を被る程に恋愛や相手に依存しすぎてしまっている状態のこと」と定義し、筆者 の恋愛依存症からの回復という自己成長を目的としている。 方法 1、文献を使って、アディクション(依存)について知る 2、過去の日記を使って、アディクションの悪影響について検討する 3、変化を測定するためにチェック項目、友人からのフィードバックを使ったo 成果 1、文献から、恋愛依存症者には「過度の時間や評価を相手に与える」ことや「常に無条件で確 実な愛を期待する」ことや「誰かがきっと救い出してくれるという幻想をもっている」ことなど の様々な特徴があることを学んだ。恋愛依存症者と魅かれあうことが多いのは"回避依存症者" であるo 回避依存症者とは「対人関係での激しい感情を避ける」ことや「相手に知られることを 避ける」ことや「健全な境界線の代わりに壁を築く」などの特徴を持った人のことを示す。恋愛 依存症者は相手とその関係に集中し、回避依存症者はつながりを避けようとする。そのため、苦 痛が生じる。恋愛依存症者は抜け出せない決まった感情サイクルを味わうということを知った。 2、そして過去の日記から、依存している状態の辛かった気持ちや精神的な不安定を振り返り悪 影響について再確認ができた。 3、恋愛依存症のチェック項目を研究前と研究後で実施した。研究前と後では、明らかな差がで ており、恋愛依存症の特徴が減っていることがわかったoまた研究前と後の特徴や変化について、 友人からの印象を調査した。 "辛そうに見える"、 "幸せそうに見える"、 "ネガティブだと感じる" の3項目を前後で5段階評価してもらった。 "辛そうに見える"、 "ネガティブだと感じる"の度 合いは減ったが"幸せそうに見える"においては変化はなく「好きな人といれて幸せそうだった。」 と前の方が幸せそうだったと答えた人も数人いた。 考察 「依存」とは、振り回されるし悩むことも多いので悪いことでしかないと今までは考えていた。 けれど"幸せ"とか"楽しい"とか良い面もあるということを知った。確かに幸いこともあった けれど、すごく幸せだと感じることも多くあった。依存とは人をいきいきとさせるものでもある のだ。研究を終えて、 "依存"とは「好きなこと、もの、人に対して愛着することだが、程度が過 ぎると執着になり悪影響をもたらしてしまうもの」と捉えている。

依存から自立- 一恋愛依存症からの回復を目指して- 目的 方法 成 … · 1、文献から、恋愛依存症者には「過度の時間や評価を相手に与える」ことや「常に無条件で確

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Page 1: 依存から自立- 一恋愛依存症からの回復を目指して- 目的 方法 成 … · 1、文献から、恋愛依存症者には「過度の時間や評価を相手に与える」ことや「常に無条件で確

依存から自立-一恋愛依存症からの回復を目指して-

2003HPO O7 長谷川 千紗

目的

本研究では恋愛依存症を「自分のことが疎かになったり、精神的に断続的な苦痛を味わうなど

といった不利益を被る程に恋愛や相手に依存しすぎてしまっている状態のこと」と定義し、筆者

の恋愛依存症からの回復という自己成長を目的としている。

方法

1、文献を使って、アディクション(依存)について知る

2、過去の日記を使って、アディクションの悪影響について検討する

3、変化を測定するためにチェック項目、友人からのフィードバックを使ったo

成果

1、文献から、恋愛依存症者には「過度の時間や評価を相手に与える」ことや「常に無条件で確

実な愛を期待する」ことや「誰かがきっと救い出してくれるという幻想をもっている」ことなど

の様々な特徴があることを学んだ。恋愛依存症者と魅かれあうことが多いのは"回避依存症者"

であるo 回避依存症者とは「対人関係での激しい感情を避ける」ことや「相手に知られることを

避ける」ことや「健全な境界線の代わりに壁を築く」などの特徴を持った人のことを示す。恋愛

依存症者は相手とその関係に集中し、回避依存症者はつながりを避けようとする。そのため、苦

痛が生じる。恋愛依存症者は抜け出せない決まった感情サイクルを味わうということを知った。

2、そして過去の日記から、依存している状態の辛かった気持ちや精神的な不安定を振り返り悪

影響について再確認ができた。

3、恋愛依存症のチェック項目を研究前と研究後で実施した。研究前と後では、明らかな差がで

ており、恋愛依存症の特徴が減っていることがわかったoまた研究前と後の特徴や変化について、

友人からの印象を調査した。 "辛そうに見える"、 "幸せそうに見える"、 "ネガティブだと感じる"

の3項目を前後で5段階評価してもらった。 "辛そうに見える"、 "ネガティブだと感じる"の度

合いは減ったが"幸せそうに見える"においては変化はなく「好きな人といれて幸せそうだった。」

と前の方が幸せそうだったと答えた人も数人いた。

考察

「依存」とは、振り回されるし悩むことも多いので悪いことでしかないと今までは考えていた。

けれど"幸せ"とか"楽しい"とか良い面もあるということを知った。確かに幸いこともあった

けれど、すごく幸せだと感じることも多くあった。依存とは人をいきいきとさせるものでもある

のだ。研究を終えて、 "依存"とは「好きなこと、もの、人に対して愛着することだが、程度が過

ぎると執着になり悪影響をもたらしてしまうもの」と捉えている。

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チームのモチベーションを高める、フアシリテ一夕-としての試み

~人間関係ゼミでのプロジェクト活動を通して~

2003HPO O9   早川 明奈

目的:

ゼミに対するモチベーションが低いことに筆者は気づいた。それは、プロジェクトを行っ

ていても、仲間の顔が活き活きしていない。筆者自身は、プロジェクトに満足していたも

のの、ゼミの仲間はゼミに対する満足感が低いということがわかった。筆者は、自分だけ

が満足するようなプロジェクトではなく、ゼミの仲間が満足するようなプロジェクトを行

いたいと思った。そこで、今までのプロジェクトは自分ができるだけ重要な役割を担って

きたが、二回目の聖霊プロジェクトでは、筆者の態度を変化させて、チームに関わってい

こうと考えた、これが研究の目的である。

方法:

筆者は「個人目標の設定を試み」 「チームのフアシリテ一夕一役になり、チームの活動を促

進させる」 「ゼミをもう一度、挑戦の場にする。」という3つを試みた。筆者は、毎回『何

が話し合われたのか』・ 『筆者の行動』 ・『筆者の考察』を書き留めた。そして3つの試みの

ほかに、どのように筆者が行動すれば、チームの話し合いが促進していくのかを考えた。

結果:

結果として、ゼミのメンバーのモチベーションを上げることができた。サマーセミナー後

の仲間のゼミに対する満足度より、聖霊プロジェクトの満足度の方が満足度が上がった。

考察:

ゼミに対するモチベーションを上げることができたのは、個人目標の設定により、 「このプ

ロジェクトを通して何を得たいか」の「何」が明確になったことのように思う。また、役

割分担を個人目標に基づいて行うことにより、目標をより達成しようという動きがみられ

た。また仲間同士が、お互い助けあう姿がみられたことも、満足感が上がった要因だと感

じる。

自己成長:

筆者自身今まで、自分が目立つ位置にいることで満足感を得ていた。しかし、今回仲間の

満足感を上げようと努力し、本番に仲間が活き活きとして行っていたとき筆者自身感じた

ことのないような感動を味わった。そして、筆者自身自分が目立っていなくても、達成感

を感じられたのは、筆者自身の成長した部分であると感じた。

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トレーニンググループにおける自己成長

~グループアプローチを体験して~

2003HPO15 堀 美咲

<目的>

Tグループに参加することで人間関係のあり方がプラスに変化するが、長続きさせるこ

とが難しいと筆者自身の経験から感じていた。そこでTグループと日常をつなぐものを見

つけて、トレーニンググループでの学びを継続的に日常に活かせるようになることが本研

究の目的である。

<方法>

グループアプローチのセッションを録音したテープを聞き返し、オブザーバーの記録と

照合しながら学びの生まれたプロセスを分析する。そしてその学びを日常生活に活かすに

はどのようなことを実践すればよいのかを考え、そのプロセスや結果を記述する.これら

を体験学習サイクルの<体験><指摘><分析><仮説化><実行>にあてはめて日常に

活かす試みをする。

<結果・考察>

自分の学びは「フィードックを丁寧に返すことは大切なこと」 「自分でフィードバックを

もらいにくい雰囲気を作っていることがあることJ r自分の本心を見つめるのを怖がってい

た自分が本心に向き合おうとするようになったことJ 「素直な言葉が人や場を温かくするこ

と」 「マイナスのフィードバックがグループの成長のために必要とされていること」の5つ

であったo これらは自己成長や豊かな人間関係を築くために自己開示とフィードバックが

必要だというジョハリの窓の理論につながった。

学びを日常生活に活かしていくために本心で日記を書くことと、他者と重要なやり取り

があったときに振り返りノートをつけることを実践した。そして日記に書かれた内容をあ

まり他者に伝えられていないことに気付き、自分の自己開示性の低さに気付いた。当たり

障りのないことならいくらでも話せるのに、自分の悩みは言いにくい。さまざまな原因が

あると思うが弱い自分を自分自身が受け入れられないのが一番の原因であることに気付い

た。自分の弱さも含めてありのまま受け入れられるようになることがこれからの課題だと

思っている。

<感想>

卒論に取り組むことで自分が今何を思いながら生きているのかということがきちんと把

握できるようになり、自分にとって有意義な時間だった。自分や他人に対してのネガティ

ブな気持ちも敏感に感じられるようになったので幸いと思うこともあったが以前よりも心

が晴れている気分になった。これからは自分の本心をきちんと把握しつつ、うまく付き合

っていきたいと思っているo

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自分の姉妹関係を考える-心地よい関係づくりを目指して-

2003HPO21 稲垣 有子

本研究の目的は、私(研究者)と姉における姉妹関係を見つめなおし、よりよい関係を作るた

めの道筋を立てることであるoまた、これまで蓋をしてきた姉妹関係という問題に正面から向き

合うことで、自己成長に繋げることも目的の一つであるo

私には6歳年上の姉がいるのだが、私は昔から姉に対して違和感を抱いていた。姉のことは大

好きで尊敬しているのに、上手く接することが出来ないのである。緊張したり、嫌われないか不

安に思ったりしてしまうのであるoもっと仲良くなりたい。気兼ねなくなんでも話せるような中

になりたい。そう願いながらも、何も出来ずにいる自分がいた。

本研究では、そんな姉妹関係の問鼠点や改善点を探るために、 ①姉妹史製作、 ②アンケートを

行ったoこれにより、私の姉妹関係において重要な4つのキーワードが浮かび上がった。それは

「歳の差」、 「ロールモデル」、 「負い目」 r気にし過ぎ」であるo

私と姉は、 6つ歳が離れている。この年の差ゆえに趣味や関心事、普段の生活様式は大きく違

っていた。そしてそれが姉妹関係を希薄にさせたと考えられる。姉と上手く話すことができない

のはもともと希薄になりやすい関係であったことが原因の一つであると考えられる。

また、歳が離れているがゆえに、私は姉をお手本として見ていたようである。姉が好きなもの

を私も好きになり、姉のすることは何でも正しいと考えた。ただ、この傾向は人生における重要

な局面に対してはあまり見られない。姉に憧れつつも、自分の世界はしっかりと持っているとい

うことが分かる。

また、私は姉に対して負い目をもっている。末っ子である私は兄や姉以上に親に甘やかされて

育ってきたと自覚しているoそれが姉に対して負い目となり、壁を作っていると私は考えた.だ

が考察をすすめるうち、問題なのは負い目でなく、負い目であると感じてしまう私の「気にし過

ぎ」の性格にあると結論付けるに至ったo

これまで私と姉の間にあると思っていた問題やギャップは、性質上仕方の無いものや、私自身

に起因するものが殆どであり、それすら全く悪いものであるとはいえないことが分かった。今の

関係も受け入れつつ、二人にとってより心地よい関係を目指すことが重要である。より心地よい

関係とは互いに気を使わない対等な関係である。それを築くには、社会に出て経済的・社会的に

姉と対等な立場に立つこと、 「気にし過ぎ」の性格改善のために自己開示性を高めること、もっと

楽天的に物事を捉えられるようになることが今の私には必要である。

この研究ではこれまで問題にすることを避けていた姉との関係について真正面から向き合うこ

とで、自分中心でなく姉の立場に立った考え方が出来るようになった。また、自分の性格につい

て深く考えることが出来、自分の新たな一面に気づけたことも自己成長の一つである.

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自己実現一吹奏楽団の活動による自己成長-

2003HPO26 伊藤 博之

◎目的・ねらい

元々人見知りであった自分が、この吹奏楽団に入ったことにより、だい

ぶ人見知りは軽減されてきた。人見知りである自分を変えたいという理想

像を数年前から抱いていたので、ここでの活動が自己実現につながってい

るのだと考えた。そこで、この吹奏楽団の活動を振り返ることで、何が自

己の変化の要因となってきて、そこから、どのようにすることがよりよい

自己実現の方法となるのかを見つけ出すことを目的としているo

◎方法

自分自身を振り返り、吹奏楽団に入る前と、入ってからとを、いくつか

の出来事をとりあげながらそれやれまとめていったo また、吹奏楽団に入

ってから自分と関わってきた人50人にアンケートをとり、フィードバッ

クをもらった。そして、自分自身のまとめとフィードバックを照らし合わ

せながら成長をみていった。

◎結果・考察

吹奏楽団に入ってから、いろいろと成長・変化している点がみられた。

様々な考え方に触れることができ、自分の考え方に影響しているのだとわ

かった。また、それが自我の拡大-とつながり、自己実現-とつながって

きていることもわかった。人との関わりによって、今まで気づかなかった

新たな自分を発見し、成長につながっていくのだとわかった。人と関わっ

ていく以上、自己成長することは必要であり、その結果自己実現-とつな

がっていくのである。

◎この研究の自分にとっての意味・感想

この研究をすることにより、今まで見て見ぬふりをしてきた自己に目を

向けることができたo 自己に目を向けることにより、あまり気づけていな

かった自分を発見でき、また、自分が変わっていったプロセスにも気づけ

た。これを応用して、これからも自己実現-とつながるような生き方をし

ていこうと思った。自己成長は自然とするものもあれば、意識的に行動し

ないとできないものもあるのだと気づくことができた。

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母の病気を通しての家族とその成員の変化・成長に関する事例研究

2003HPO27 伊藤 志保

2006年の1月、母が子宮額ガンと診断された時から、著しく家庭内の環境が変化していった.

その変化に対応していくにつれ、私個人はもちろんのこと家族間の関わり、家族の各メンバーの

内面的なこともそれぞれ変化したのではないだろうかと思われた。このように私を含めた家族が、

この生活を経験している問に感じていた、漠然とした変化を明らかにし、それを把握することで

私たち家族の、また個人のこれからの成長に繋げることがこの研究の大きな目的であるo

研究方法

父、姉、弟、義兄、母の5名対象のインタビューを実施した。母以外の4名には「この生活に

なってから今までで、自分はどう変化してきたと思うか」、 「この生活になってから今まで、家族

に対する考え方や関わり方は変化したかどうか」というテーマ、母には「自分が不在の間、私た

ち家族を見ていて、何か感じたことはあるか」というテーマ、 5名の共通テーマとして「そのこ

ろの私(志保)」について語ってもらった。

豊整

父のインタビューからは、何よりも母を一番に思い、優先する強い気持ちが窺うことができたo

姉からは、家族に対する気遣いと、自分の欲や希望との葛藤していた様子が窺われたo弟は、遊

びたい気持ちを優先してしまい、家族(特に私と姉)に申し訳ない気持ちを抱いていたことが分かっ

た。初めて同居した義兄は、家族というものが実感できるようになったと発言していた。客観的

に家族を見ていた母は、自分の病気-の恐怖と戦いながら、家族を常に心配し、家族が少しずつ

成長していることを実感していたことが分かった。私は、姉と同様自分の欲と現実の間での葛藤

と、母の病気を目の当たりにしてから死生観が変化していることに気づいた。

まとめ

インタビュー全体から、母が居ない生活に対しての考え方の重さの差に男女差があることが分

かった。それは、家族内役割の変化・増加が大きかった姉、私、母がストレスや不満を多く語っ

たためだと考えられる。また、家族共通の気づきとして、家族の粋が深まったことが挙げられるo

そして母の病気を通して特に母本人と私が「死」を「生」に内在させ、常に意識をすることで、

より前向きに「生」を求めることが出来てきたのではないだろうか。この研究を行ったことで自

分と家族というものをふりかえり、考えるきっかけができたo母の病気はただ不幸な出来事なだ

けではなく、それによって引き起こされた変化が、私たち家族と成員それぞれに成長をもたらし

たと考えられる。

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メンタルトレーニングが丘技者に及ぼす効果と援助過程

~ラクロス部での読み~

2003HPO43 宮地加奈子

目的:

私は南山大学女子ラクロス部に所属し、部活の練習や試合を通して選手やチームスタッフの気

持ちによって練習の質や試合の結果が変わってくる場面を何度か見てきた。自分がメンタルトレ

ーニングの知識をつけ、実際に部で実践することでチームの力になれたとなることを目的とした。

方法:

メンタルトレーニ

メンタルトレーニングの概念や歴史、イメージトレーニングや呼吸法などのトレーニング方法

について、文献やインターネットを使い知識を深めた。

メンタルトレーニング・ ジャーナ/

9月6日から12月2日までラクロス部においてメンタルトレーニングとしてイメージトレー

ニングと呼吸法を実践したo毎回〔計画-実践一気づき-再計画〕という循環サイクルを踏み、

メンタルトレーニングの質の向上を目指すと共に、自分自身の成長にもつなげていった。

9月29日から10月14日までの期間はフィードバック協力者として4人の部員に協力しても

らい、分析のためのデータとしてそれぞれのメンタルトレーニングでの体験を報告用紙に記入し

てもらった。

結果・考察:

私は今年のチームが目標を達成するためにメンタルトレーニングが少しでも力になればと思い、

実践してきたが、チーム成績は目標を達成することができなかった。

しかし、メンタルトレーニングを実践して、メンタルトレーニングは結果よりも結果までのプ

ロセスをよりよくするための助けだと感じたo私は最初メンタルトレーニングは勝つために行な

うもの、精神面を強くさせるためのものと考えていたが、実際にメンタルトレーニングをラクロ

ス部で実践してみて、メンタルトレーニングがチームの雰囲気やプレーヤー個人の気持ちの持ち

ようを変えてくれるものだということがわかった。

自己成長:

自分の行動に自信が持てるようになったo最初メンタルトレーニングを実施すること自体が不

安で、周りの反応が怖かったoしかし何度も実施していく中で自分がメンタルトレーニングをし

ていることに誇りと責任が持てるようになり、それが自信になった。

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ベビーサインに関する事例研究

-その習得方法と母子間のコミュニケーションに与える影響-

2003HPO60 坂川友美

本研究の目的は、まだ子育てをしたことがない人たち、子育てをしているがベビーサインを知

らない人たちにベビーサインとその魅力を伝えることである.そもそもベビーサインとは、一言

でいうと、まだ話すことの出来ない生後8ケ月から2歳頃の赤ちゃんとジェスチャーを使って会

話することが出来るというものであり、このジェスチャーのことをベビーサインというのだ。そ

して魅力を伝えるために、ベビーサインとはどんなものなのか、赤ちゃんはベビーサインをどう

やって覚えるのか、ベビーサインが母子間にどのような影響を与えるのか、ということを目的と

し、目で見てわかるベビーサイン集を作成したo

(方法)

2組の母子(35歳の母親と第一子である10ケ月のMちゃん、 22歳の母親と第一子で8ケ月

のRちゃん)の協力を得て、 2006年8月から10月の3ケ月間、ビデオ撮影と母親による記録用

紘-の記入を行った。ビデオ撮影は、 1回30分とし、主に赤ちゃんを中心としたが、母親とや

りとりをしているときは、そのやりとりがわかるように撮影したo また、 2組のほかに、 mixi

を用いて、ベビーサインの習得方法、メリット・デメリット、ベビーサインが母子間に与えた影

響を調査した。

(結果)

ベビーサインの習得方法は、 4つの方法があった0 -番多いものとして、周りにいる養育者が

ベビーサインを見せながら赤ちゃんに話しかけて教える方法である。他にも、赤ちゃんが周りに

いる人(大人・友達の赤ちゃん)のジェスチャーをまねるケース、赤ちゃん自ら作り出すケース

が見られた。また、ベビーサインが母子間に与える影響として、子どもと向き合うきっかけとな

ったり、会話が成立したことによって育児が楽しくなったり、赤ちゃんが考えていることが分か

ったりと、一方通行でなく、相互のコミュニケーションができるといったプラスの影響を多くの

母親は感じていた。また、私自身、この研究を通して、アクティブに動けるようになったことは、

自分の中で大きな収穫である。

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病と自己成長-パニック発作と生きる-

2003HPO65 柴山貴文

目的:本研究の目的は、病い体験が人を成長させるきっかと成りうることを、パニック障害

という自己の病い体験、また、同じ痛い体験をされた方とのインタビューより、研究するこ

とである。また、この研究から、同じ病で苦しむ人の症状の緩和や、克服の一助。筆者自身

のパニック障害(病)からの成長を目指している。

方法:体験学習という方法を使い、病が成長のきっかけになるのか、病がどのように人を成

長させるのかを考察する。

体験学習とは、学習者の体験をベースにした学習法であり、学習者の日常体験からの学びを教育方法として構

造化したものである。体験学習には4つのステップがあり、それを繰り返すことで、学習を深めることが出来る。

また、体験学習では、 「変化すること」に価値をおいており、その「変化するという」ことが、 「成長すること」

である。ここでいう変化とは、態度や行動傾向に関することで、この意味で、体験学習は個人の成長に大きく寄

与するものである。 (山口 2003)

結果:パニック障害による驚くべき変化は、死の恐怖、発作や予期不安による苦しい生活を

強いられていたのにもかかわらず、私自身を含め、インタビュイー両者共に、 「パニック障害

に罷ってよかった。」という気持ちを抱き、苦しい症状に意味づけをして、クリエイティブに

病を捉えられるようになったことだ。

パニック障害によって、生活秩序を失い、価値観の崩壊という苦しい体験をするが、しか

し、一度失い、失ったものを再編成する過程で、忘れていた大切な気持ちを思い起こすきっ

かけとなる。例えば、自分の命、体を大切にする、人生をもっと楽しむ、一日一日を大切に

生活しようと心がけるなど、人生を自分の出来る範囲で、より豊かなものにしようと心がけ

るように変化するのだ。

病に罷って体験する数多くの気づき。その気づきが学びとなり、成長に繋がってゆくので

ある。まさに、病は体験学習のフアシリテ一夕-である。

考察、及び自己成長: No pleasure without painという諺が昔からあるように、良いものを

得るにはそれなりの痛みが伴うということは周知の事実である。この研究プロジェクト「病

と自己成長-パニック発作と生きる-」を通して、病の克服、克服のプロセスを通し、何か

を得ることは自他共に起こるものであることを確認できた。病による苦しみは病の一面でし

かないのである。 「病とは人を成長させるための体からのサイン」であると記しておく0

研究プロジェクトを通しての自己成長として、 「病とは、今のままではいけないという体か

らのサイン」であると、捉えられるようになった事が挙げられる。自分の体からのサインに

気をつけながら、無理をせず、限られた時間を有効に使い、健康で充実した一日を送れるよ

うになれたと体感している。

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うそ論 ~ 「ちゃんとやってるヨ(嘘)」の心理~ 2003HPO77鈴木紀子

【目的】 筆者は罪悪感から,嘘をつくことを迷ってしまう。そしてそれは,筆者の弱点

であると考えている。嘘についての考えを深めることにより,真実を伝えると都合が悪い

場面において,迷わず嘘をついていけるようになることを目的としている。

【方法】 嘘を扱った文献を元に, 「嘘とは何か」 「どうして嘘がつけるのか」を中心に,

嘘をつくには嘘をどのようにとらえればよいのかを考察をする。

【結果】 嘘をつくことに関する自分の内の罪悪感を排除し,自分が嘘をつくことを許せ

るようになるには,以下の4項目が重要であると結論づけた。

①嘘をつく目的を明確に持つこと。

②嘘と真実との差異をできるだけ小さくし,ごまかしやすさや罪悪感の縮小,または

嘘と真実との差異をできるだけ大きくし,冗談として扱い,罪悪感の縮小を図ること。

③自己中心的な自由主義を持ち,嘘を信じて行動した人がそれによって遭う災難や,

嘘を重ね続けなければならないなど嘘ついた自分自身に起こる悪影響をできるだけ

小さくする・無視すること。また,嘘がばれないと信じること。

④嘘をつく相手との信頼関係(の薄さ・厚さ)を信じること。

正直(秘密を打ち明けること)に対する相手の態度の悪さを意識すること。

特に, (D嘘をつく目的を明確に持つこと。については, 「真実」の視点を変え,嘘で隠され

る内容のみを真実とするのではなく,嘘を使い目的を達成させようとする気持ちに真実の

重きを置くことを提案する。嘘をつく目的に真実を置くことによって,嘘をついていると

いう意識を軽くすることができるのである。

【自己成長】 嘘について考察することによって,嘘に対する考えが整理され 嘘をつく

つかないの判断がスムーズになり,以前よりも迷わずに嘘がつけるようになった。嘘をつ

くことを全肯定しているのでもなければ,嘘をつくことを推奨しているわけでも決してな

いが,嘘をつくべきと感じた場面で嘘をつけるようになることは,円滑な社会生活をおく

る上で大切なことであると感じている。

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卒業論文「アサ-ティブコミュニケーションにおける自己成長」

2003HPO95   山端 絵美

《目的》

自分の感情や気持ち、要望や意見などを感情的にならずに素直に率直に表現することを「アサーション」

と言う。本論の目的は、自分のアサーション能力を向上させることと、それによって自分の人とのコミュニケ

ーションの取り方を成長させることである。また、 「アサーション」の考え方のひとつである「人間尊重」の部

分をさらに広げた新たな考え方「アサ-ティブコミュニケーション」を提唱することである。

《方法》

生のコミュニケーションを見て取ることができるTグループに焦点を当てた。 2004年と2006年に受けた

二度のTグループ体験における自分のコミュニケーションの変化や成長を見る。

また、日常生活においては、 「人間関係フィールドワーク」のプロセスレコードシートを使用し、 Tグループ

での変化が日常生活ではどのように生かされているかを見た。

《結果》

表現におけるアサーションについては、音声的変化、言語的変化、論理的変化が見られた。全体的に

コミュニケーションに自信が出てきたように思う。声は大きくなり、トーンも威圧感を与えない程度に強くな

った。言語的には、短い言葉で簡潔に話すようになった。短い文で完結させることができるようになった。

さらに、相手にわかりやすいように伝えることを心がけることができるようになったことを論理的変化とした。

考え方におけるアサーションについては、主張的変化と思考的変化が見られた。相手の強い調子に圧

倒されて自分の考えを引いてしまうのではなく、主張すべきと思ったことは主張できるようになった。また、

自分のよい部分も悪い部分も認めることができるようになったことは思考的な変化として挙げている。

《自己成長》

社交性の向上。人間尊重-自分も相手も大切にする、ということを知ってから、自分に自信を持つこと

ができるようになり、人とも積極的に話すようになった。

少し伝えづらいようなことも、言い方を選び素直に伝えることができるようになってきた。

コミュニケーションに「受け止める」というキーワードを見出すことができ、自分の人生観やものの考え方に

新たな見方を加えることができた。

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おもい-の気づき

-コミュニケーションの一方法と試み-

2003HPO96 矢野由香里

目的:

本研究では、 『私がどのように相手に関っていけば、いいのか』という問題に対して、 「おもい

に気づく関り行動」を取り上げ、実際に試みることによって、それが、有効な方法であるか見直

し、さらに、 "お互いが気持ちの良いやり取り"に向けて、私自身の今後の課題を検討する。

方法:

まず、文献を用いて、既存の理論などに触れることで、私が考える「おもいに気づく関り行動」

が、 「日常の対等な人間関係の中で、カウンセリングの信頼関係作りの考えを活かし、お互いが気

持ちの良いやり取りを目指しているものjであることが分ったo また、 rおもい」にr気づく」と

いう方法が、心理療法やコミュニケーション方法に活かされ、広く活用されていることが分り、

その意義を見出すことができた。次に、私が自閉症やダウン症の子どもたちと関わる中で、学ん

だ、 「おもい」をキャッチする方法をもとに、 「おもいに気づく関り行動」を3つ取り出し、実際

に試みた。試みた関り行動は、 「①相手の名前を主語とし話し方②相手の体の動きや、表情を指摘

してみる③あいさつ、アイコンタクトなどをして、相手の存在を確認する」の3つである。

考察:

「(∋相手の名前を主語とした話し方」は、実際には不自然であり、あまり有効な方法ではない

と感じた。 「②相手の棒の動きや、表情を指摘する」ことは、相手を戸惑わせてしまうという、難

点がある。しかし、新しい視点で会話を広げることや、関るきっかけに繋がることや、私が読み

やすい方法であることから、今後工夫していきたい。 「③あいさつ、アイコンタクトなどをして、

相手の存在を確認するjことは、相手のおもいに、大きく影響を与えるのだと実感したoこれは、

私にとって、苦手に感じる行動であるため、まずは、私から発信できるよう試みて行きたい。

研究プロジェクトを通しての自己成長:

この研究を通して、授業や文献で学んだことが、大学生活の中に、きちんと活かされてきたこ

と、また、私なりの関りのスキルを着実に増やしてきたのだということが見えてきた。大学4年

になり、自分自身に対して、やりきれない思いを抱くこともあったが、自分の辿ってきた、学び

の変遷を振り返ることができ、自分に自信を持つことに繋がったo

私は、大学生活を通して、人と人とが関わりを持つということがとても資重な出来事なのだと

いうことに、気づいた。そして、 "お互いが気持ちのいいやり取り''について、意識するようにな

った。そのような中、 2年次の夏期集中講義の人間関係トレーンングを終えて、 『私がどのように

相手に関っていけば、いいのか』分らないという問題にぶつかった。その後の大学生活では、こ

の間題に取り組むことが、学びの軸であったように思う0本研究は、その学びの軸の延長線上に

位置するものである。

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ふるさと

- 「こころ」と「価値観」の原風景-

2003HPO99 吉田佐織

1,目的と動機

本研究の目的はrふるさと」という言葉を核に、筆者自身のライフスト-リ-を物語り、その再構成と見

直しを通じて筆者自身の人間性・価値観の根幹を探り、今後の人生において指標とするための価値観を再

編成することである。

2,研究手法

①ライフストーリー作成とその分析(ll マイ・ライフ・ストーリー)

②筆者がrふるさと」を想起するキーパーソンに対するアンケートとその分析(EI 私を彩るrひと」の

「ふるさと」観)

3,結果

(丑で物語った筆者のライフストーリーを見直してみると、 2つの特徴があることが分かった。 1つ目

は土地に対する思い入れがとても強いことだo筆者の中で「ふるさと」と土地とは密接なかかわりがある0 2

つ目は人を機に筆者の価値観や行動が変化していることだ。筆者が「ふるさと」を想起する時には、必ず人

が強い影響を及ぼしているo つまり土地をきっかけとし人との捧験や思い出を思い返すことが、筆者にと

っては「ふるさと」を思い起こすことに等しいといえる。この2つの特徴から筆者の「ふるさとj観-人であ

ると考える。特に大きな影響を与えたと感じた3人を取り上げ、その人を知ることから筆者自身の「ふるさ

と」観とr価値観」形成をより深く理解することにつながると仮定し、それぞれがどのような「ふるさと」観を

もっているのかを②のアンケートとその分析で探った。

4,考察

本研究のためにライフストーリーを丁寧に物語ったことによって、筆者は自身の「ふるさと」観が研

究以前と明らかに変化したと感じている。その変化とは、 「ふるさと」とはr土地」に根ざしたものだという

「ふるさと」観から、 「ひと」との関係性に基づくものでもあるという「ふるさとJ観になったことだ。研究以

前と同様、筆者の持つrふるさとj観とはr土地jから受ける影響も大きく、特定の場所や霧境条件がrふるさ

とlの一側面であることは本研究を通じてより確かなものとなった。しかしその上で、筆者にとってふるさ

ととは、言番・風景・慣習によってのみ作られたものではなく、これらの刺激に加えてひととのかかわり

によって出来た、筆者自身の持つ価値観や思い出のことのほうを強く意味するのである。本研究のように、

「ふるさと」をふりかえるたびごとに思い出して描くそのときの「こころ」の中、 「価値観」に影響を与えた「ひ

と」との関係のr場」こそが、亙りかえ旦豊と、という新しい「ふるさと」なのではないかと考えるo

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「自立」

~家族とともに生きる~

2003HP104 山岸 篤皮

目的

以前より親に頼りきってV、ることに不安を感じ、 「親から自立したい」と考えていた。自立を自分と親の

相互関係にある問題だと捉えたとき、私が自立できないのは家族の関係に問題があるため、という視点を

持った。そこで、本研究では自立を家族の問題と捉え、家族とともに自立について考えていくことで、家

族の持つ問題を明らかにし、その改善によって自立を目指した。

方法

自立について話し合うならば、まず家族一人一人が考える自立を明確にする必要がある。自立が「親と

の相互関係」の中にあると捉えるなら、自立を考える前にその所属する家族関係について知っているべき

であるo集団は個の集まりから成るという視点から、家族関係を知るために自分を知っている必要があるD

このように、自立について家族を考えるまでには段階がある。

本研究では、体験学習を用いたワークでこの段階を踏んだ。家族の問題が明確になって改善に繋がるこ

とを期待し、自分について知る「私マップ人家族関係を知る「家族関係マップ)を、自立を考える場とし

て、自立について考える「自立マップ」をそれぞれステップ1、 2、 3として行った。また、客観的に家

族を捉える意味で、結婚により家を出た姉-のインタヴューを行った。

結果と考察

第1ステップの分かち合いの中で、家族が互いに言い合える関係にあり、また第2ステップで作製した

「家族関係マップ」では、私以外の家族は良好な家族関係を表現した。第1ステップ「私マップ」から、

私がネガティヴな考え方をすることが分かっており、そのネガティヴな考え方で家族や自立について考え

ていることが分かった。そこで家族でなく私自身に問題があることに気付き、その気付きを持って第3ス

テップで「自立」について考えることができたo そのため「親に頼りたくない」という考えを持っていた

が、親の「サポートしたい」という考え方を受け入れ、それが私の自立のためのステップである、とポジ

テイヴな考え方に繋がった。この新しい考え方は、自立マップの前に行った姉-のインタヴューからも得

られたものであり、姉-のインタヴューは新しい自立観を持つ上での手助けになった。

3つのワークとそのふり返り、姉のインタヴューから、問題があると考えていた家族関係が良好である

ことが分かった。また私自身の考え方に問題があることが明らかになった。自立に関しては、家族で自立

観を共有した。これにより、新しい自立観を得ることができた。

自己成長

ネガティヴな面にばかり目が向いていた自分に気付くことができ、また視野が狭いことにも気付かされた。

それを問題として自覚することで、自分が家族や自立に対して抱くネガティヴな考え方を変化させること

ができた。それが新しい自立観を持つことに繋がる。自分自身の考えを変化させることで「親を受け入れ

る」という姿勢が持てたことは、本研究で一番の成長だったと考えている。

この姿勢は、自立というテーマに限らずこれからの生活でも必要となってくるだろう。その時、自分を省

み広い視野を持って物事を捉え、親の考えを受け入れることができれば、本研究のまなびは本当の意味で

生かされたことになる。この視点をいっまでも持ち続けたい。

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対人コミュニケーションにおける自己成長の試み

-Tグループによる自己の開示性の開発-

2003HP109 太田 ゆか

旦坦

本研究は、 /トソナリティの健康性という観点において考察された過去の心理学的研究から

自己開示の抑制要因を探り、自分自身の開示性を低めている要因を検討する。そして、実験的

な場であるTグループにおいて自己開示に意識的に取り組む試みをし、自分の中で実際に起こ

っている抑制要因や開示要因をさぐり、自己の開示性を高めるために意識して取り組むべき具

体的な行動目標を見つけることを目的としている。

さらには、それらの具体的な行動目標を日常で生かし、自己の開示性を高め、対人コミュニ

ケーションにおける自己成長をすることが最終目的である。

差遣"自己開示…を意識的にするための体験学習のフィールドとして、 ①南山大学「人間関係ト

レーニング(Tグループ)」 ②名古屋市立原中学校における教育実習 ③日常生活、の3つの

フィールドを設けた。それぞれのフィールドには状況的な違いがあるものを設定した。 ①は実

験的な場として設定し、そこで学んだことを現実の場②と③のフィールドで試すという、体験

学習の循環過程が二重のサイクルで行われる形をとり、研究をより自分の自己成長につながる

ものにしようと試みた。

鎧星

文献や過去の自分をふりかえったことにより、自分の中に「親密な関係に対する否定的な心

理」や「否定的な自己評価」 「共感可能性への不信」があり、それらが自己開示の抑制要因にな

っていることを知った。また、自分の本当の気持ちを知ることを自分自身が避けようとしてい

たことも、他者への自己開示を低くしていた要因だと気づいた。

開示要因としては、 「人は温かいという安心感を得られたこと」が自分にとっては大きな要素

であった。具体的な行動目標よりも、体験から得た心理的な変化が自己開示することへの恐怖

を自然と減少させてくれた。自己開示性を高めるために、 Tグループを選んだことは最善の選

択であったと思われる。 "人と関わることが自分を成長させることであるMということが、この

研究を通じて私が確信したことである。

自己成長

卒業論文の作成を終えて、初めの段階よりも文章の中に"自分の姿"が見えるようになった

と自分としては感じている。人に自分を素直に開示したいと思いこの研究を始めたわけだが、

文章にする上でもありのままの自分について書くことができた。これからももっと自分をオー

プンにし、クリアな自分で生きていけるよう人間関係を築いてhきたい。卒業論文の作成を通

して、本当の自分を真正面から見る勇気を得たと思っている。