30
1 金属微粒子を使った フルカラーコーティング 九州大学 先導物質化学研究所 教授 玉田

金属微粒子を使った フルカラーコーティング - JST...Single AgNP M. Toma et al, Phys.Chem. Chem. Phys. 2011,13, 7459. 粒子間距離による共鳴波長の制御(計算)

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1

金属微粒子を使った フルカラーコーティング

九州大学 先導物質化学研究所

教授 玉田 薫

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九州大学、2012

2

曲率のある材料でも均一にコーティング可能.5nmの微粒子層でメタリックフルカラーが得られる(特許出願済み)

本発明の概要

金属微粒子によるフルカラーコーティング

我々の研究チームでは、透明淡黄色の銀ナノ微粒子二次元結晶シートを金基板上に積層すると、積層数に応じてオレンジ〜赤〜ピンク〜紫〜青に鮮やかに呈色するという新しい光学現象を発見しました.この手法を使えば、曲率のある基板も容易に美しくフルカラーナノコーティングすることができます.

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九州大学、2012

3

金属表面にある条件下で光を入射した時、金属表面の自由電子の振動電場と光とが共鳴し、光のエネルギーが金属表面に移動する現象。金属をナノサイズにすると、この現象が可視光領域で生じるため、金属ナノ微粒子は強く可視光を吸収します。

・ ステンドカラーの赤と黄色は金属微粒子のプラズモン共鳴による呈色

背景:表面プラズモン共鳴

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4

背景:プラズモンカップリング

複数の金属ナノ微粒子がナノメートルの距離まで近づくと、さらに強いプラズモン共鳴電場が微粒子間に励起されます(プラズモンカップリング)。我々の金属ナノ微粒子二次元結晶シートは、二次元面内にナノ微粒子が高密度に集積した特有の構造を持つため、均一で非常に強いプラズモン電場をシート内に励起できます。この特徴を活かすことで、今回報告の不思議な呈色が発現しました。

ホットスポット

電磁波解析シミュレーション シート内で均一に励起された局在プラズモン電場(ホットスポットが基板全面に形成された状態)

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5

熱分解法による粒径の揃った銀ナノ微粒子の大量合成

置換反応により表面の有機分子を自在に変えられる

C H 3 C O O A g + C H 3 ( C H 2 ) 1 2 C O O H 2 5 0

o C

N 2

S i l v e r n a n o p a r t i c l e s ( A g M y ) S i l v e r a c e t a t e M y r i s t i c a c i d

S i l v e r n a n o p a r t i c l e s ( A g M y )

A l k a n e t h i o l S i l v e r n a n o p a r t i c l e s ( A g S - C 4 , 6 , 8 , 1 0 , 1 6 ) S o l v e n t / R T

銀微粒子の製造方法、玉田他、特許4415083(2009.12.4)

銀ナノ微粒子の合成法

1.9nm 4.8 nm

CH3

(CH2)12

COO-Ag+

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気液界面での自己組織化

A B C

1mm 1mm 1mm

0

5

10

15

20

25

30

35

Surf

ace

Pre

ssu

re /

mN

m-1

Area per particle / nm220 40 60

C

B

A

疎水基板上に 転写可能

水面上で自己組織化(疎水性相互作用)により二次元結晶化させる これを圧縮バーで集め、単層膜として疎水基板に転写する

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7

粒子間距離はキャッピング剤である有機分子の鎖長により決まる

4.8 nm 1.9 nm

“Interdigited”

AgMy AgMy

2次元シートの特性(実験)

2次元結晶化シートでは、微粒子の局在プラズモン吸収ピークは、単独粒子に比べて大きく長波長シフトするとともに、精鋭化する

lmax= 426 nmlmax= 477 nm

30 mN/m

15 mN/m

0 mN/m

Wavelength / nm

200 300 400 500 600 700 800

Ab

sorb

ance

(a.

u.)

In solution(toluene)

λ λ

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8

粒子間距離による共鳴波長の制御(実験)

粒子間距離が近づく ほど共鳴波長が 長波長シフトする

チオール置換により粒子間距離を変えることで吸収波長域を制御できる (プラズモンナノアンテナ)

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粒子間距離による共鳴波長の制御(解析)

一次元の系は傾きが大きく、粒子間距離に敏感に共鳴波長(呈色)が変わる =>「診断薬」として有望

二次元の系は傾きが小さく、粒子間距離が変わっても共鳴状態は大きく変化しない =>「プラズモン励起基板」として有望

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Finite-difference time-domain (FDTD) 電磁気計算

Ag pair (1D)

d

Interparticle

Distance (ID)

Ag sheet (2D)

Interparticle distance (ID)

d

2D化により面内に均一な協同的プラズモン励起が生じると共に、粒子間相互作用距離が大幅に延び、さらなる電場増強が生じることを確認

AgNP sheet

AgNP sheet

AgNP pair

AgNP pair

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

10 -2

10 -1

10 0

Dl

/l0

Interparticle distance / diameter

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 2

3

4

5

6

7

8

Interparticle distance / diameter

E/E

0

Single AgNP

M. Toma et al, Phys.Chem. Chem. Phys. 2011,13, 7459.

粒子間距離による共鳴波長の制御(計算)

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プラズモン電場の空間的広がりの比較

Gap 1 nm Gap 2 nm Gap 4 nm

1粒子

2粒子

2D

シート

粒子ペアの場合、 粒子間距離が粒径ほど 離れると電場の重なりは ほとんどなくなる

二次元シートの場合、 粒子間距離が粒径以上に 離れても十分に電場の 重なりが生じる =>相互作用距離が長い

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銀微粒子でのFDTD計算結果 (2D系)

何個の会合数で飽和値に達するか?

粒子の列数が30程度(ドメインサイズ約200nm)でシート扱いが可能に! そこまでは粒子会合数に応じて局在プラズモンの広がり方が変わる

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13

100 200 300 400 500-200

-100

0

100

200

100 200 300 400 500-200

-100

0

100

200

350 mn 400 mn

100 200 300 400 500-200

-100

0

100

200

420 mn

100 200 300 400 500

-400

-200

0

200

400440 mn

100 200 300 400 500-400

-200

0

200

400480 mn

500 mn 540 mn 600 mn

100 200 300 400 500-400

-200

0

200

400

100 200 300 400 500

-400

-200

0

200

100 200 300 400 500

-400

-200

0

200

400

x (nm)

Ex

(mV

/m)

x (nm) x (nm) x (nm)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

x (nm)

Ex

(mV

/m)

x (nm) x (nm) x (nm)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

100 200 300 400 500-200

-100

0

100

200

100 200 300 400 500-200

-100

0

100

200

350 mn 400 mn

100 200 300 400 500-200

-100

0

100

200

420 mn

100 200 300 400 500

-400

-200

0

200

400440 mn

100 200 300 400 500-400

-200

0

200

400480 mn

500 mn 540 mn 600 mn

100 200 300 400 500-400

-200

0

200

400

100 200 300 400 500

-400

-200

0

200

100 200 300 400 500

-400

-200

0

200

400

x (nm)

Ex

(mV

/m)

x (nm) x (nm) x (nm)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

x (nm)

Ex

(mV

/m)

x (nm) x (nm) x (nm)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

点光源で励起

40 nmy

xz

E-field V/m-10 10

z

xy

pulse

pulse

~ 500nm

(a)

100 200 300 400 500-200

-100

0

100

200

100 200 300 400 500-200

-100

0

100

200

350 mn 400 mn

100 200 300 400 500-200

-100

0

100

200

420 mn

100 200 300 400 500

-400

-200

0

200

400440 mn

100 200 300 400 500-400

-200

0

200

400480 mn

500 mn 540 mn 600 mn

100 200 300 400 500-400

-200

0

200

400

100 200 300 400 500

-400

-200

0

200

100 200 300 400 500

-400

-200

0

200

400

x (nm)

Ex

(mV

/m)

x (nm) x (nm) x (nm)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

x (nm)

Ex

(mV

/m)

x (nm) x (nm) x (nm)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

Ex

(mV

/m)

局在モード(高周波数)と伝搬モード(低周波数)の 2種類のプラズモンモードが励起される

Half wavelength

~200nm

ドメインサイズ200nmの意味

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金基板上多層膜における呈色 金属基板上でのみ微粒子シート層数に応じて吸収スペクトルが非線形的に変化する

Quartz

Ag nanosheet

0ML 1ML 2ML 3ML 4ML 5ML

BK7

200 nm Au film

Ag nanosheet

0

0.5

1

1.5

2

400 500 600 700 800 A

bso

rban

ce

Wavelength [nm]

5 AgMy layers

4 AgMy layers

3 AgMy layers

2 AgMy layers

1 AgMy layer

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15

BK7

200 nm Au or Au film

Au nanosheet

200 400 600 800 10000

0.5

1

Wavelength / nm

Ab

sorb

ance

Au NST 1L Au NST 2L Au NST 3L Au NST 4L Au NST 5L

0 L 5 L

Oleylamine-capped Au nanoparticles (AuOA NPs, a ~ 12.3 nm)

金基板上の金粒子シート

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他の金属の組み合わせ 金属種が変わると色調が変わるが同様の現象が確認できる

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メタリックフルカラーが特徴

下地金属基板との相互作用で鮮明なメタリックカラーになる 微粒子溶液の色と基板の色の単純な足し算ではない

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Quartz or Ag

XY plane

XZ plane

理論計算による検証 (FDTD計算)

石英上銀微粒子シート

非線形

銀基板上銀微粒子シート

電磁気計算により 実験結果が再現できた =>計算による色調の デザインが可能

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Near Field 効果 入射光と金属基板からの反射光で微粒子の 局在プラズモンが2度励起される効果(左)

Far Field 効果 界面のナノ層構造による光閉じ込め効果(右)

両者の複合効果によりナノ厚みでありながら 大きな光学効果(メタマテリアル的(*)性質) が得られる

(*)光を含む電磁波に対して、自然界の物質にはない振る 舞いをする人工物質のこと

詳細説明(FDTD計算)

Plasmonics, in press (2012).

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20

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

300 400 500 600 700 800

AgMy NPAuOA NPAu : Ag = 1 : 9Au : Ag = 2 : 8Au : Ag = 3 : 7Au : Ag = 5 : 5Au : Ag = 7 : 3Au : Ag = 8 : 2Au : Ag = 9 : 1

No

rmal

ized

Ab

sorb

ance

Wavelength [nm]

water

Ag Au 2 8

金微粒子と銀微粒子を 異なる混合比で混ぜて 水面に展開するだけ

金・銀微粒子混合膜

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プラズモン構造を活かした高感度バイオセンシングや 太陽電池など光電子デバイスの高効率化への応用

On Ag-sheet

On glass

銀ナノ微粒子シートによる蛍光増強例

特定の波長の光を界面に強く閉じ込める性質から、たとえば高感度バイオセンシング法として診断医療の分野に貢献すること(ライフ・イノベーション)や、太陽電池などの光電子デバイスの高効率化を通じて低エネルギー・低環境負荷社会に貢献すること(グリーン・イノベーション)が世界的に期待できます。

今後の展開

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JSPS NEXT program

- 局在プラズモンにより、複数の色素の中から特定の波長の色素のみを選択的に増強検出する - 基板から数10nmの領域のみ数倍〜数10倍蛍光を増強できる

最先端・次世代研究開発支援プログラム 「プラズモニック結晶ナノアンテナ構造による

革新的ナノバイオ計測」

研究代表者:玉田薫(平成22年〜25年)

プラズモニクスの先端医療応用

白色光源 結晶シート 上では蛍光 強度が数倍~数1 0倍

増強される.

マイクロ流路型高感度バイオセンサー 高感度1 分子蛍光イメ ージング

自由空間での分子ダイナミクスを追跡モニターできる

ナノ 分解能増強シート

多種色素が混在した状態でも特定の蛍光のみの増強・ 検出が可能

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従来技術との比較

金属微粒子の自己組織化に関する論文は多数あるが、「共鳴吸収バンドの精鋭化」まで実現したのは、世界でも我々の研究グループだけ

=>ナノサイズ粒子の巨大二次元結晶というのが鍵

JPCB, 1998, 102, 2214. Phys.Rev.B, 2010, 81, 205405.

JPCB 2001, 105, 5599.

・ドロップ法による 自己組織化 ・ブロードな共鳴吸収 粒子会合数が少なく 協同効果がみえない

Bottom up Top down

Nano Lett. 2007, 7, 2080.

・ナノスフェア リソグラフィー ・電子線リソグラフィー 粒子サイズが大きく 協同効果がみえない

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想定される用途

特徴)•貴金属なので、光・熱などに対する安定性が高く、毒性も低い •下地金属層・金属微粒子の種類・サイズ・積層構造により 色調を無限に変えることができる(計算による色の予測が可能) •低コスト(微粒子層厚み:15nm程度)低環境負荷

オール金属によるフルカラーコーテング 携帯電話、インテリア、車など広く応用が可能

イメージ

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新技術の特徴・従来技術との比較 例

従来技術

トップダウン(アルミホールアレイ)による呈色(参考:豊田中研、NIMS研究成果)

我々の新技術

微粒子を水面上で自己組織化 により並べるという

低コスト・低環境負荷技術

EB描画により、150nm程度のホールを数10nm刻みで位置制御し加工する.カラーフィルター(光学素子)用.大面積の実用コーテングには不向き

0

5

10

15

20

25

30

35

Surf

ace

Pre

ssu

re /

mN

m-1

Area per particle / nm220 40 60

C

B

A

疎水基板上に 転写可能

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新技術の特徴・従来技術との比較 従来技術

金属微粒子の呈色そのものを塗料として使う (参考:TECHNO-COSMOS2008)

我々の新技術

淡黄色の銀微粒子の 層数制御のみでフルカラーを実現

直径~50nm

多種類の微粒子合成が必要 ナノ粒子塗料層の厚み: 50〜200nm

わずか1〜6層(1層 5nm厚) で得られる色調変化

直径 5nm

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実用化に向けた課題

理論計算により発色のメカニズムを完全解明したことで、シミュレーションによる発色の予測が可能になり、実用化へ大きく近づいた

今後、大面積化等プロセス技術について検討が必要(例:プリント転写の活用)

製品ターゲットが明確になれば、製品にあわせた成膜法、微粒子積層法などで新たな知的財産創出の可能性あり

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企業への期待

・すでに特許出願済みの「フルカラーコーティング」については、事業化・実用化について検討していただきたい

・バイオ計測については、共同研究先を

募集中です

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称:金属ナノ粒子を用いた呈色膜

および呈色方法

• 出願番号 :PCT/JP2012/073530

• 出願人 :九州大学

• 発明者 :玉田薫、今津圭介、

岡本晃一、吉田晃人、

Li Xinheng、Lin Brian

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お問い合わせ先

九州大学知的財産本部

技術移転グループ

TEL 092-642 -4361

FAX 092-642 -4365

e-mail [email protected]