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No.2 1 / 7 改訂生物基礎 1編1章2節 No.2(教 p.18p.252節 生物の共通性としての細胞 A 生物の基本単位 〔1 細胞 〕… 生物の体をつくる基本単位である。すべての〔1 細胞 〕は, 〔2 細胞膜 〕に包まれた構造をもつ。 *〔1 細胞 〕の構造は,1つの細胞からなる〔3 単細胞生物 〕でも,多数の 細胞からなる〔4 多細胞生物 〕でも,共通してみられる特徴である。 * 多くの生物では,〔1 細胞 〕の大きさが 1100 μm (マイクロメートル)であ る。1μm11000 mm1 nm(ナノメートル)=11000μmp.18 7B 細胞の多様性 〔5 真核細胞 〕… 〔6 〕をもつ細胞。 〔6 〕,〔7 ミトコンドリア 〕,〔8 葉緑体 などの膜でつくられた複雑な構造をもつ。 例)動物細胞,植物細胞,菌類の細胞など 〔9 原核細胞 〕… 核をもたない細胞。 例)〔10 細菌 〕の細胞 11 真核生物 〕… 〔5 真核細胞 〕からなる生物。 12 原核生物 〕… 〔9 原核細胞 〕からなる生物。

改訂生物基礎 1編1章2節 No...No.2 6 / 7 ! 1章2節のポイント 〔2 細胞膜 〕の構造 〔2 細胞膜 〕… 〔1 細胞 〕の内部と外部を隔てる重要なはたらきをもつ。

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改訂生物基礎 1編1章2節 No.2(教 p.18~p.25)

2節 生物の共通性としての細胞

A 生物の基本単位

〔1 細胞 〕… 生物の体をつくる基本単位である。すべての〔1 細胞 〕は,

〔2 細胞膜 〕に包まれた構造をもつ。

*〔1 細胞 〕の構造は,1つの細胞からなる〔3 単細胞生物 〕でも,多数の

細胞からなる〔4 多細胞生物 〕でも,共通してみられる特徴である。

* 多くの生物では,〔1 細胞 〕の大きさが 1~100 µm(マイクロメートル)であ

る。1µm=1/1000 mm,1 nm(ナノメートル)=1/1000µm(p.18 図 7)

B 細胞の多様性

〔5 真核細胞 〕… 〔6 核 〕をもつ細胞。

〔6 核 〕,〔7 ミトコンドリア 〕,〔8 葉緑体 〕

などの膜でつくられた複雑な構造をもつ。

例)動物細胞,植物細胞,菌類の細胞など

〔9 原核細胞 〕… 核をもたない細胞。

例)〔10 細菌 〕の細胞

〔11 真核生物 〕… 〔5 真核細胞 〕からなる生物。

〔12 原核生物 〕… 〔9 原核細胞 〕からなる生物。

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コラム 単細胞生物と多細胞生物(p.19 図 a)

〔3 単細胞生物 〕… 1つの〔1 細胞 〕からなり,その〔1 細胞 〕

内ですべての生命活動を行う生物。

例)ゾウリムシ,クラミドモナスなど

〔4 多細胞生物 〕… さまざまな形や機能に分化した複数の〔1 細胞 〕

からなる生物。 類似した〔1 細胞 〕が集まって

〔13 組織 〕をつくり,いくつかの〔13 組織 〕

が集まって特定のはたらきをする〔14 器官 〕を形

成する。

例)動物,植物など

*〔15 細胞群体 〕(細胞分裂によって増えたクラミドモナス型の細胞がばら

ばらにならずにつくる構造)をつくる生物もいる。例)ボルボックスなど

コラム 身近な原核生物

大腸菌やシアノバクテリアなどを含む〔10 細菌 〕は,原核生物である。細

菌は,生態系のなかで,動物の遺体や排出物,植物の枯死体のような有機物を分

解するなどの重要なはたらきをしている。また,私たちは古くから食品加工など

に〔10 細菌 〕を利用してきた。

(1) 〔10 細菌 〕の例

① 大腸菌 … 病原性をもつ大腸菌はほんの一部である。病原性をもたない

多くの種類の大腸菌が,腸内環境の維持に役立っている。ま

た,生物学の研究にも大きく貢献している。

② 乳酸菌 … ヨーグルトやチーズの製造に用いる。

③ 淡水生シアノバクテリア … 水前寺海苔の原料。

(2) 群体などをつくっている原核生物は,肉眼で見ることができる。

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Ⅽ 細胞の共通性

〔5 真核細胞 〕と〔9 原核細胞 〕の構造の比較

〔5 真核細胞 〕と〔9 原核細胞 〕では,〔1 細胞 〕の大きさや〔1 細胞 〕

内部の構造が異なるが,〔2 細胞膜 〕で包まれ,〔1 細胞 〕内部に遺伝子の本

体である〔16 DNA(デオキシリボ核酸) 〕という物質をもつという共通した特徴

をもつ。(p.22 図 11)

Ⅾ 真核細胞の構造

(1) 〔5 真核細胞 〕の構造

* 〔22 細胞小器官 〕や〔18 細胞質基質 〕には,さまざまな〔23 酵素 〕

〔5 真核細胞 〕

〔6 核 〕… 一般に,〔5 真核細胞 〕には1つある。内部には,

〔20 染色体 〕がある。

〔21 細胞質 〕… 細胞の〔6 核 〕以外の部分。〔22 細胞小器官 〕

があり,それぞれが特定の機能を分担。

〔22 細胞小器官 〕の間を〔18 細胞質基質 〕

という液状の成分が満たしている。

9 原核細胞 17 細胞壁

18 細胞質基質

5 真核細胞

7 ミトコンドリア

18 細胞質基質

17 細胞壁

8 葉緑体 19 液胞

5 真核細胞

6 核

2 細胞膜

17 細胞壁

6 核

8 葉緑体

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が含まれていて,物質の合成や分解などの化学反応が行われている。

* 植物細胞は,〔2 細胞膜 〕の外側を〔17 細胞壁 〕が取り囲む。

〔17 細胞壁 〕のおもな成分は〔24 セルロース 〕で,〔1 細胞 〕の形を決

めるはたらきや,〔1 細胞 〕どうしを結び付けるはたらきをしている。

(2) 〔5 真核細胞 〕の構造とはたらき

● 〔6 核 〕… 核の内部の〔20 染色体 〕のおもな成分は〔16 DNA 〕と

〔25 タンパク質 〕である。〔20 染色体 〕は,酢酸オル

セインや〔26 酢酸カーミン 〕などの染色液によって染まる。

● 〔21 細胞質 〕

〔7 ミトコンドリア 〕… 球形あるいは円筒形。〔27 呼吸 〕によりエネル

ギーを取り出すはたらきを行う。

〔8 葉緑体 〕… 紡錘形で植物細胞にみられる。〔28 クロロフィル 〕とい

う色素を含み,光エネルギーを吸収して〔29 光合成 〕

を行う。

〔19 液胞 〕… 成熟した植物細胞で顕著にみられる。細胞液で満たされてお

り,糖や〔30 無機塩類 〕の貯蔵,〔30 無機塩類 〕の濃

度調節などのはたらきをしている。植物細胞の種類によって

は,色素である〔31 アントシアニン 〕を含んでいること

がある。

〔18 細胞質基質 〕…〔22 細胞小器官 〕の間を満たしている液状の成分。

コラム 原核細胞と真核細胞の構成成分

〔9 原核細胞 〕と〔5 真核細胞 〕の構成成分(p.23 図 a)

水,有機物{〔25 タンパク質 〕,脂質,炭水化物,核酸(〔16 DNA 〕また

は RNA)など},無機物など

* それぞれの有機物は,

〔1 細胞 〕の生命

活動を支える物質と

しても重要なはたら

きを担う。

例)〔25 タンパク質 〕

(代謝の際の酵素),

核酸(遺伝物質)など

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電子顕微鏡で明らかになった細胞の構造(p.24 図 a)

〔6 核 〕〔7 ミトコンドリア 〕〔8 葉緑体 〕

…〔32 2枚の膜 〕でできた構造。

〔33 リボソーム 〕…〔16 DNA 〕の遺伝情報に基づいて,〔25 タンパク質 〕

が合成される場。

〔34 小胞体 〕… 表面に〔33 リボソーム 〕が付着した〔35 粗面小胞体 〕

と,付着していない〔36 滑面小胞体 〕とがあり,

〔25 タンパク質 〕の運搬,脂質の合成などに関係。

〔37 ゴルジ体 〕… 〔1 細胞 〕内でつくられた物質を小胞に取り込み,

〔1 細胞 〕外へ〔38 分泌 〕する。

〔39 リソソーム 〕… 内部には〔23 酵素 〕が含まれていて,不要な物質の分

解などを行う。

〔40 中心体 〕… おもに動物細胞の細胞分裂にかかわる。一般的に,植物細胞で

はみられない。

7 ミトコンドリア 40 中心体

6 核 35 粗面小胞体

41 核小体

36 滑面小胞体

33 リボソーム

39 リソソーム

18 細胞質基質

7 ミトコンドリア

6 核

41 核小体

37 ゴルジ体

42 リン脂質

42 リン脂質

8 葉緑体

33 リボソーム

18 細胞質基質

37 ゴルジ体

36 滑面小胞体

35 粗面小胞体

19 液胞

2 細胞膜

25 タンパク質

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! 1章2節のポイント

◎〔2 細胞膜 〕の構造

〔2 細胞膜 〕… 〔1 細胞 〕の内部と外部を隔てる重要なはたらきをもつ。

おもに〔42 リン脂質 〕と〔25 タンパク質 〕とで構成

されている。

* 水を通すが,多くの溶質を通しにくい〔43 半透性 〕と呼ばれる性質をもつ。

* 〔42 リン脂質 〕は,親水性の部分を外側に,疎水性の部分を内側にして,

二重に並んだ構造をしているため,〔2 細胞膜 〕の断面を電子顕微鏡で観

察すると,暗・明・暗の構造が観察される。

* 〔25 タンパク質 〕は,イオンや物質の輸送や,情報伝達の役割を担う。

〔44 生体膜 〕… 〔7 ミトコンドリア 〕や〔8 葉緑体 〕といった

〔22 細胞小器官 〕でもみられる,〔2 細胞膜 〕と同様

の構造の膜。

コラム 細胞の発見と顕微鏡

1665年 〔45 フック 〕(イギリス)

… 2枚のレンズを使用した顕微鏡を使って無数の中空の構造を発見。

これを〔1 細胞 〕「cell」と名付け,「ミクログラフィア」に発表。

*〔46 コルク 〕の切片を検鏡したが,実際に観察したのは〔17 細胞壁 〕

で,中の〔21 細胞質 〕は失われていた。

19世紀 〔47 シュライデン 〕(ドイツ)…植物細胞を観察。

〔48 シュワン 〕(ドイツ) …動物細胞を観察。

* すべての生物は,〔1 細胞 〕を基本単位としてできていることを主張。

1930年代 〔49 ルスカ 〕ら … 電子顕微鏡を開発。光の代わりに〔50 電子線 〕

を用いる。現在では,0.1~0.2nmの大きさのもの

まで見ることができる。

すべての細胞は,細胞膜に包まれた構造と DNAをもつ。

生物は,真核細胞からなる真核生物と,原核細胞からなる原核生

物に分けられる。真核細胞は,細胞小器官をもつ。

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MEMO

(1) 生物の基本単位

* ヒトの細胞 … 数十兆個からなる。

* 核,ミトコンドリア,葉緑体 … 二重の膜と独自の DNAをもつ。

* 核小体 … 核内にあり,タンパク質と RNAを含む。

(2) 細胞研究の歴史

1590年 ヤンセン父子(オランダ)… 初めて顕微鏡を作成。

1665年 フック(イギリス) … コルクの切片から,細胞を発見。

1674年 レーウェンフック(オランダ) … 初めて生きた細胞を観察。

1831年 ロバート・ブラウン(イギリス)… 細胞の核を発見。

1838年 シュライデン(ドイツ)植物

1839年 シュワン(ドイツ)動物

*細胞説 … 生物は,細胞を基本単位としてできているという説。

*その後,フィルヒョー(ドイツ)が「細胞は細胞から生じる」

と唱えて,現在の細胞説となる。

(3) 顕微鏡

* 分解能 … 2つの点を見分けることができる最小の距離。

肉眼 … 約 0.1mm

光学顕微鏡 … 約 0.2μm

電子顕微鏡 … 約 0.1~0.2nm

(4) 細胞の観察

① 固定液 … 酢酸,カルノア液,ホルマリン,エタノールなど

② 染色液 … 酢酸オルセイン(核),酢酸カーミン(核),ヤヌスグリーン

(ミトコンドリア),サフラニン(細胞壁),中性赤(液胞),

スダンⅢ(脂肪)など

(5) 細胞分画法

細胞を等張のスクロース液に入れて破砕し,超遠心分離機にかけ,細胞の構造

物を大きさや密度の違いで分離する方法(大きくて重いものから分離)。

核・細胞破片>葉緑体>ミトコンドリア>小胞体・リボソーム

…細胞説の提唱。