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陳内 千弘
1. はじめに
1-1. 研究の背景(表 1)
近年、様々な分野において専門的な知識を持った
人々が、子どもや一般市民を対象としてワークショッ
プ※ 1 などを実施し活動している事例が多くみられる。
また、建築の分野でも同様の活動が日本各地の多くの
団体や個人によって実施されている。以下、表 1 に実
施している主な団体・組織を挙げる。
表 1 の 1. 日本建築学会子ども教育事業委員会では、
子どもたちに住宅や建築・都市・環境のことを身近に
知ってもらうために「親と子の都市と建築講座」を実
施している。この講座では、全国各地の同様の活動を
している団体と協力し、これまでに 100 以上の活動プ
ログラムが実施されている。2. 子ども環境学会では、
子どもを取り巻く環境を「子ども環境」とし、これに
関する問題に研究者と実務者が共同して取り組む団体
である。また、3. 日本建築家協会(以下 :JIA)では
次世代教育として建築家志望の学生や若い建築家への
育成事業を行うとともに、世界建築家連合による“人
工環境ガイドライン※ 2”を基に、 各地で子どもの教育
支援活動を展開している。
1-2. 研究の目的
本研究では、子どもを対象とした、建築やまちづく
り、そしてデザインに関する活動、すなわち子どもを
対象とした建築系ワークショップ(以下 : 子ども WS)
に着目し、活動を実施している団体の組織形態や運営
手法を比較分析することによって、子ども WS の手法
ごとの傾向や特徴、課題について明らかにすることを
目的とする。
2. 研究概要
2-1. 研究対象
今回の調査対象として、建築家のみで活動している
団体及び建築家と他団体が連携し、活動している団体
における、子ども WS を対象に調査を行う。子どもを
対象とした専門性を持った活動は、様々な形で実施さ
れている。その中で、本研究では、第一線で働く建築
家が携わる事例を扱う。理由として、建築家のノウ
ハウが、どのように子ども WS に生かされているかを
知ることが挙げられる。そこで、全国の JIA の各支部
とその関連団体 6 団体と、建築家主宰の団体として調
査依頼をした 1 団体、計 7 団体の活動事例の中から、
183 件を研究対象とする。なお、本研究における“子
ども”の定義を小学 1 年生から中学 3 年生までとする。
2-2. 研究方法
各団体の活動組織の基礎情報を収集するために事前
にアンケート調査を行い、その後ヒアリング調査を実
施した。また、各団体のこれまでの活動報告書や写真
データ、ホームページなどの文献資料を基に調査・分
析を行った。
3. 各団体の組織形態と活動概要について(表 2、図 3)
本研究の調査対象の 7 団体を A から G と表記し、各
団体の組織形態及び活動概要について表 2 に示す。
3-1. 組織構成について
各団体は、7 団体中 A・C・G の 3 団体は NPO として
組織されている。また、G を除く 6 団体に JIA 会員が
含まれ、そのうち D と E は JIA 支部の地域会として活
動している。A 〜 C・F は、他建築団体やデザイン関
連団体、デザイン専門家または地域のボランティア団
体等と建築家が連携して組織されている。B が組織さ
れたのは活動開始の前年であるが、開催までの1年以
上に渡り、B の実行委員会によって議論を重ねる等の
準備期間とした。また、B は年度毎の企画内容の提案・
運営を大学生が中心となって実施しており、社会人ス
タッフは彼らのサポートを行い、活動している。また
子どもを対象とした建築系ワークショップ事例に関する研究
ー組織形態と運営手法に着目してー
表1. 建築教育を実施している主な団体・組織
国立科学博物館との共催や、地方自治体や活動団体などの協力を得ながら、いろいろな専門分野を活かし、会員が子どもたちに住宅や建築・都市・環境のことを、身近に知ってもらうための講座、「親と子の都市と建築講座」を 1991 年より実施している。これまでに、100 以上の学習プログラムがすでに実施されている。(*1)
学問の領域を超えて、こどもを取り巻く環境=「こども環境」の問題に関心や係わりのある研究者や実践者が集い、専門領域においての学術団体であると同時に、研究から実践に至る幅広い活動を実施する人々が参加する団体。学術的な総合科学「子ども環境学」を確立し、よりよい育成環境を確立することが目的である。(*2)。JIA の活動の基本は、社会貢献活動として挙げられている “JIA の10 の活動” の 6番目「次世代育成活動」があり、JIA が若い建築家志望の学生や、若い建築家に対しての育成活動を実施するというもの。JIA 全国大会の場で、各地で子どもの建築教育活動を実施するJIA 会員により “JIA 建築と子どもたち会議” の中で報告、情報交換の場が設けられている。(*3) また、世界建築家連盟UIA 人工環境教育のガイドラインにそって教育支援活動を展開している(*4)。
組織名 概 要
一般社団法人
日本建築学会
子ども教育事業委員会
公益社団法人
こども環境学会
社団法人
日本建築家協会
1
2
3
【表中注釈】*1: 日本建築学会子ども建築事業委員会HP参照 URL:http://news-sv.aij.or.jp/kodomo/ *2: こども環境学会HP参照 URL:http://www.children-env.org/ *3: 日本建築家協会HP参照URL:http://www.jia.or.jp/activity/about.html *4:*3 中項目参照URL: http://www.jia.or.jp/service/bee_jia/index.html
31-1
G は、建築家が私塾として企画し、大学教育者や助手、
スタッフによって企画運営を行い大学生がティーチン
グアシスタントとして子どもたちのサポートを行う。
3-2. 活動資金について
D・E では、JIA からの助成金を資金に充て、D では
活動依頼者の資金を使用する場合もある。また、F は
市と商工会議所が主催する職業体験イベント※ 3 内で
の活動であり、活動依頼者の資金を使用している。A
は、助成金と依頼者の資金に加え同団体会員の会費を
活動費に充てる。同様に、G では同団体の会員協賛金
に加え、受講料を活動費としている。活動に際して受
講料を取り、活動の資金に充てているのは、7 団体で
G のみである。そして C は、同団体の自己資金※ 4 や別
事業との連携による助成金、B では協賛金を資金に充
てて活動している。
3-3. 子ども WS の活動概要について
3-3-1. 目的について
子ども WSの活動目的を、7団体中 A・C・Eの 3団体が、
“建築・まちづくり手法を利用した教育プログラムの
一環”そして D・G が“建築・まちづくりの早期教育
のため”としている。
また、A・E は共に米国で開発された教育プログラ
ム※ 5 を基にした独自のプログラムを開発し、活動を
行っている。F は、“職業体験”というイベント※ 3 自
体の目的の内で“建設ブース”を担当し活動をしてい
る。この他に、高校生を対象としたジュニアオープン
デスク事業を毎年実施しているが、小学生を対象とし
た継続的な活動は行っていない。そして、B では、現
代の子どもたちの地域に対する愛着の低下を危惧した
ことから、“生まれ故郷を自慢できる大人になっても
らうため”という目的を掲げ、活動を続けている。
3-3-2. 活動頻度と回数、固定プログラムについて
活動頻度として、年 1 回の開催を基本としている団
体が、B・C・E・F の 4 団体、その中の 3 団体が固定
プログラムを有していることが分かる。また F は毎年
同様のプログラムで実施しており、B・C においては、
活動の大枠は決まっているが、その年度毎で内容に特
徴を持たせて実施している。E では特にプログラムの
内容は指定しておらず、運営会議における話し合いに
よってその年度のテーマが決定される。なお、活動回
数と活動年数に多少差がある理由として、年度によっ
て 1 年に 1 回以上実施されたものや、活動が実施され
ていない年があったことが挙げられる。
次に、A と D では 1 年間に多数実施されており、特
に D では実施総数は 58 回※ 6、平均して年に 4 〜 5 回
程度の頻度で活動している。同団体の活動が多数実施
される理由として、資材を繰り返し使用することで
経済効率も良く、期間も 2 〜 3 時間程度で実施できる
固定プログラム※ 7(図 1、2)の開発により活動が容
易となっているためである。このプログラムは、転用
のしやすさから、近年では他団体による活動も活発に
なってきている(他団体主催 : 32/58 回中)。また、A
では、固定プログラムもあるが、依頼者の要望や活動
の必要性に応じて、実施期間を問わず継続的に活動し
31-2
団体名
活動開始年(年)
JIA 支部・地域会
連携団体等
運営資金
NPO
目的
頻度
活動回数*1(回)(主催及び共催)
固定プログラム有無*2
A B C D E F G
組織構成
活動概要
2011
ー建築家が講師を務め、スタッフと学生ボランティア(TA)によって組織される
◯
4
建築・まちづくりの早期教育のため
・受講料・協賛金(助成会員の会費、寄付金)
1年カリキュラム(前・後期各 10 回×2=20回実施)
◯
【表中注釈】*1 : 活動回数は、各団体の活動の中でも建築家及び、建築家を含む活動メンバーの活動による子どもWS事例、また、小学生から中学生を対象に実施されたものの回数を示す。*2: ◎: 繰り返し実施するプログラムで実施 ◯: 活動の大枠は同じで、その年に応じて内容に特徴を持つもの △: 活動の大枠が決まっているものと、オリジナルの内容で実施 ー : 特に指定がないもの
2008
ー
・建築士会、建築事務所協会と協力開催・市(市の事業に商工会議所からの依頼があり参加)
依頼者資金
職場体験(仕事を知ってもらうため)
4
1回/年
但しイベント内に限る
◯
2001
ー
・小学校・同父兄会・中学校・専門学校
58
建築・まちづくりの早期教育のため
・JIA 支部の活動資金・活動依頼者
年間多数
◎
◯
1998
ー
・地域のボランティア団体と連携・企画は主に学生で行う
16
1回/年
その他(生まれ故郷を自慢できる大人になってもらうため)
協賛金
◯
◯
1993
・建築士会・学校・地域
◯
63
建築・まちづくり手法を利用した教育プログラムの一環
・助成金・会員会費・依頼者の資金
年間多数
△
◯
1999
JAGDA、DSA、JCD、SDA等デザイン関連団体会員と合同開催
◯
26
1~2回/年
建築・まちづくり手法を利用した教育プログラムの一環
・主に自己資金・助成金(年度による)
◯
◯
2004
ー
場合によって、教師の参加もあり(教育委員会より)
12
1回/年
建築・まちづくり手法を利用した教育プログラムの一環
・JIA 支部の活動資金
ー
◯
表2. 各団体の組織形態及び活動概要について
図1. 子どもWS(D)中の様子開始直後 図2. 子どもWS(D)途中経過
ている。そして、G では、年間を通したプログラムを
前期・後期各 10 回ずつ、年間計 20 回に分けて実施さ
れている※ 8。基本のプログラムは決まっているが、活
動毎に独自の要素を加えることで、年間実施の特徴を
生かした体系的に学べるプログラムを実施している。
3-4. 子ども WS 活動回数の変化における傾向
7 団体における子ども WS 活動回数における経年変
化を図 3 に示す。実施回数は、2004 年までは増加傾
向であるが、近年減少傾向にあることが分かる。実施
回数に変動がみられる原因の1つとして、2002 年に
本格的に実施された、総合的な学習の時間(以下 : 総
合学習)の授業数が近年削減されていることが考えら
れる。A においては、その傾向が顕著にみられ、1998
年には総合学習に基づいた内容で実施されている活動
がみられる。しかし、2007 年以降は学校での総合学
習における活動が途絶えており、子ども WS における
減少傾向の一端となっていることが考えられる。
3-5. 小結
各団体によって、組織形態や活動概要は様々である
が、継続的な活動が実施されている場合、建築家のみ
で組織される場合もあるが、建築の分野だけではなく
他デザイン団体や地域団体等と連携、さらに学生等の
異世代間との交流が図られる傾向が見られる。また、
現在の子ども WS における活動を全体的にみると全盛
期に比べ減少傾向にあるといえる。
4. 子ども WS の手法における分析(表 3、図 4) 4-1. 子ども WS の手法における分類
7 団体がこれまでに実施した子ども WS を 6 つの手
法により分類した。1) 建築(設計)WS、2) まち歩き
WS、3) まちづくり WS、4) 空間体験 WS、5) ものづく
り WS、 6) その他の 6 つの項目とする。子ども WS の事
例を分類する上で、1) 〜 6) の手法が単独で実践され
る“単独型手法”と、複数の手法を経て実施される“複
合型手法”の 2 つの手法に分けることができる。
4-1-1. 単独型手法における分類
表 3 の①より、2) を除く 5 つの手法によって単独
で実施されていることが分かる。2) については、他
の手法と複合して実施される場合が多く対象事例中、
47 事例である。
まず、1) は、7 団体中 3 団体が実施しており、1 日
もしくは数日間で実施され、長期間で実施されている
ものはない。また、小学 3 年生以上を対象に実施され
ている。この手法では、事前に用意された何種類かの
組立式の模型に工夫を加えながら完成させるものや、
計画の段階から独自のアイデアによって設計するもの
などが活動例として挙げられる。次に 3) では、2 団
体が実施しており、8.5 割が高学年を対象にして実施
されている。また、学年単位やクラス単位で実施する
ことが多く、丸 1 日の日程を全て使って実施されるこ
とが多い。また、4) では 2 団体で実施され、高学年
に実施される場合と、全校生徒を対象に実施される場
合がある。この手法で実施している団体では、“力の
流れ”や“ものの美しさ”を理解できる高学年を対象
に企画しているが、実際には幼稚園から大学生と広い
図1. 子どもWS団体毎実施数経年変化
31-3
表3. 子どもWS手法別に見る分類
① 単 独 型 手 法
② 複 合 型 手 法
子どもWSの手法
建築(設計)WS
建築(建物)の設計(デザイン)を考え模型やプレゼンテーションを行う
小学 3・4年生 : 4
小学生全学年 : 2
小学生全学年+中学生 : 1小学生全学年 : 2小学 2~6年生 : 1小学 3~6年生 : 12歳~小学 6年生 : 1
小学生全学年 : 10小学 1~5年生 : 3小学 3~5年生 : 2小学 3年・中学生 : 1幼稚園児~高校生まで : 1
中学生以上 : 1
小学 1・3~6: 1
小学 1・3~6: 1
そ の 他
実施学年開催期間
住んでいるまちなど、地域のことをしるために行うフィールドワーク
住んでいるまちなど、地域のことをしるために行うフィールドワーク
人間が入れるものを計画(デザイン)・作成
デザインを通したものづくり(※建築・まち以外のもの)
アイデア形成やまちについて考えるきっかけとなる活動
1)
1)2)+1)
6)+1)1)+2)+6)
2)+3)2)+5)+3)
4)+3)
2)+4)+3)
2)+5)
2)
3)
3
ー ー ー ー ー ー ー
ー
ー
1
ー
ー
ー
ー8
71 1ーー
ー ーーー ー
ーー 7
1 1
ー
6 5 0 0 7 0 2
5
13
16
2 11 0 4 2 12 0
2 10 1 0 0 9 0
3 10 28 2 12 15 1
3 2 0 7 0 0 0
1 2 0 2 0 4 01 0 0 2 0 0 01 0 0 2 0 0 0
1 0 16 0 0 0 01 0 0 11 0 11 0
1 48 0 0 0 25 0
1 0 2 0 0 1 1
2 7 0 5 3 6 0
3)
4)
5)
5)
6)
まち歩きWS
まちづくりWS
空間体験WS
ものづくりWS
その他
実施団体数
1日間
数日間
長期間
低学年
高学年
中学生
中学生
担当する人数
1 1
6 5
小学生全学年 : 16
小学生全学年 : 1小学 3~6年生 : 1
目的
a
bc
de
f
g
h【表 3中の言葉定義】・開催期間…数日間 :2 日~1週間未満、長期間 : 1 週間以上 ・学年…低学年 : 小学 1~3年生、高学年 : 小学 4~6年生
図3. 子どもWS活動回数の変化
‘93 ‘94 ‘95 ‘96 ‘97 ‘98 ‘99 2000 ‘01 ‘02 ‘03 ‘04 ‘08 ‘09 ‘10 ‘11 ‘12‘05 ‘06 ‘07
AB
C
DEF
G
を1人が担当し実施される傾向がみられる。例外とし
て a が 7 人となっており、これは、団体主催で実施す
る場合は、活動に適切な募集定員を設定できるが、学
校の授業と連携すると、平日の活動となり人員確保が
困難なため可能な人数で対応していると考えられる。
4-3. 小結
本章では、複合型手法において、2) は、初期段階
で実施されており、さらに、手法を複合させることで
活動内容の程度の操作を図ることが可能である。さら
に、活動を実施する際の団体側の人員における、単独・
複合型手法を実施
する際の必要な人
員からみた特徴と
して、同様の傾向
が見られることが
分かった。そして、
実施学年におい
て、手法によって
は、対象学年が設定されているものもあるが、要望が
あれば、特に学年を限定してない。また、中学生を対
象としているものは全体の 3%であり、現状としては
実施されるものが限られていることが分かる。
5. まとめ
組織形態では、建築家のみで実施されるものと、他
分野と連携し実施されるものあるが、実施の活動の際
には、地域や小学校など建築以外の分野との連携が、
子ども WS の活動を円滑に進める際に不可欠である。
また、活動中の問題点に改善策を与えることによって、
現在の各団体の活動の骨格が形成されていることが分
かった。そして、子ども WS の手法に関して、6 つの
手法と、いくつかの手法を複合させたものを団体毎に
特色を持ちながら実施しており、中でも生活の最も身
近にある“地域”を知ることは、全ての子ども WS の
手法の過程において、重要な要素であると推測できる。
対象で実施されている。これは、製作物の規模が大き
いためグループによる協同作業が多いことが理由とし
て挙げられる。また、5) は、3 団体で実施され、これ
らの手法の中で最も多く扱われる手法であり、実施学
年においても低学年と高学年の実施数にあまり差が見
られない。実施期間は製作するものの規模によって変
わり、長期間のものでは、夏休み期間も使い約 3 ヶ月
間を実施期間に充てている例もある。
そして 6) では、子どもたちのアイデアを感化させ
る様な専門家による講義、海外の子どもたちとテレビ
会議の実施、住宅の見学等、特徴的なものがみられる。
その他に、地域に残る歴史建造物の保存活動が 10 年
近くにわたって行われている例や、中学生以上を対象
にして実施されているパソコンを使った設計シミュ
レーションが実施される例もみられた。
4-1-2. 複合型手法における分類
表 5 の②(以下 : 複合型)を分類し、a 〜 h の記号
で示す。また、この複合型を実施しているのは 7 団体
中 6 団体であり、4-1-1 で触れたが、2) は、他の 5 つ
の手法と関連性を持たせることができ、他の手法を達
成する過程として扱われると考えられる。また、開催
期間も数日間以上と一定時間を確保して実施されてい
ることが分かる。これらの関係を図 4 に表す。
2) は、複合型手法の初期段階で実施され、そこで
得た情報を報告書や壁新聞等の“もの”としてまとめ
るものが h、そして“建築づくり”での要素として取
り入れられるのが a である。そして、2) で学んだこ
とを“もの”や“空間づくり”を通してそれらの関係
性を考える“まちづくり”として実施されるのが、d・e・
g である。それに付加要素として独自の手法が実施さ
れるものが c となる。また、b と f では、2) の要素こ
そ含まれていないが、f は、g の様に 2) と複合して実
施されている例や、b の事例では c が実施される前の
段階で実施さ
れており、“地
域”を知るこ
とが、子ども
WS の 手 法 に
おいて基本と
なっていると
推測できる。
4-2. 子ども WS における団体側の人員について
手法毎に1人が担当する子どもの人数を比較する
と、3) や 4) など協同作業で実施されるものに比べ、1)
や 5)など個人作業が多いものは、1 〜 2 人の子ども
【謝辞】 本研究にあたり、アンケート調査及びヒアリング調査にご協力いただいた
皆様、ならびに活動に参加させて頂きました団体の皆様、そして、本研究にご協
力いただきましたすべての方 に々、この場を借りて感謝の意を示します。
【本文注釈】※1:「講義など一方的な知識伝達のスタイルではなく、参加者が自
ら参加・体験して協同で何かを学びあったり作り出したりする学びと想像のスタイ
ル」「ワークショップ−新しい学びと創造の場−」1. ワークショップの定義より/中
野民生著/2001年1月19日 ※2: 世界建築家連合の人工環境教育作業部会に
よる、世界各国の建築家各国で教師や生徒達との協力を成功させる事を目的とし、
① 学校における建築家 ② カリキュラムの要素 ③ 教師のトレーニング の3要
素から構成 ※3:『ミニさっぽろ』仮想の街「ミニさっぽろ市」の市民となり職業・
消費者体験を実施(2008年より) ※4:同団体が行政機関等のデザイン業務に関
する受託によって得た資金 ※5:アン・テーラー博士が建築家ジョージ・ヴラス
トス氏の協力を経て1987年に開発した総合学習プログラム。「ARCHITECTURE AND
CHILDREN(建築と子供たち)」またAでは、ドリーン・ネルソン氏により開発され
た教育方法『まちづくり教育(City Building EducationTM)』も理念として独自の
活動を展開 ※6: 対象外も含めると62回実施 ※7:まちをつくろう!空間ワーク
ショップ。地域内の小学校図工科教師とDとの共同開発。角材とジャンボ輪ゴム
のみで空間を構成するプログラム。 ※8:本研究では各期毎で1回としている。
図4. 子どもWS手法における関係図
a
bcde
fg
h
1)建築(設計)づくりWS
2) まち歩きWS3) まちづくりWS
6) その他
5) ものづくりWS
4) 空間体験WS
a : 1)+2)b : 6)+1)c : 1)+2)+6)d : 2)+3)e : 2)+3)+5)f : 4)+3)g : 2)+4)+3)h : 2)+5)
【記号について】
31-4
図5. 子どもWSの活動風景