View
187
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
ワークショップとワールドカフェ
大西弘高医学教育国際研究センター
グループワークの運営側に回ったことがありますか?
グループワーク 能動的に参加することで,学習者の動機づ
け,集中力,学習効率を高める ファシリテーションが重要:全員が積極的
に参加し貢献できたと思えるようなマネジメント
リーダーだけでなく,グループに参加している全員が互いの意見を尊重し,納得できるような討論ができることが前提
通常,互いの顔が見え,雰囲気がつかみやすいということで 5~8 名程度が好まれる
4
討論の進行と流れ
始
中
終
○ 議題の設定,目的の説明○ 議論のルールの説明○ 前提となる情報の提供
○ 意見を引き出す
○ 論点を整理する
○ 引き出し,論点整理( 再 )
○ 結論をまとめ始める
○ まとめ・結論の確認
• 参加者間で知識量に大きく 差がある課題の場合,情報共有が必要
• 順番に発言を求める• 議題やルールを再確認
して全体の積極性を上げる
• 特定の人を指名して発言を促す
• 出た意見を要約したものを一覧化して示す
• 論点の焦点を絞る
具体的な注意点 テーマ:参加者が話したい,話す意義
があると感じられるようなものを選ぶ 事前講義:参加者に議論に必要な情報
が足りない,一定していないと感じられる場合
円卓:席による不公平をなくす
ファシリテーターの役割 タイムマネジメント
時間内に目的の活動が行えるようにする 公平さ
発言機会,意見集約の両方で重視 編集力
全体の意見をまとめ,グループの意見として皆が納得できる落としどころを探る
ワークショップとは? 目的
小グループに分かれて参加・体験型の学習・対話をする場
組織の意見集約,意思決定の場としても利用される
概要 討論・創作して (work) ,発表・提案する (shop) プロダクトと呼ばれる「まとめ」が求められる ワークショップの標準的な流れ
8
グループワーク ⇒ 全体発表 ⇒ さらに討論,まとめ
ワークショップの工夫 小グループ (5~8 名程度 ) に分かれて討論 アイデアを出しまとめる (KJ 法,ブレインス
トーミング等 ) 意見を板書して整理する ロールプレイなどをやってみる ( 体験を共有 )
KJ 法とは川喜多二郎氏が考案した文化人類学的な研究に関する情報のとりまとめ方法→後に,創造的問題解決技法として有名に→3連の紙は文殊カード(中川)として知られる→最近はポストイットを各自書いていくことが多い
カードに問題点を記入し,左隣にカードを回す
回ってきたカードへさらに記入し回す
3個記入し終わったカードは中央に出し次のカードへ
学生の問題
教員の問題
資源不足
学生の問題
教員の問題
学生の問題
KJ 法 人数:1グループ 5 から 10 名程度 準備するもの
カード(あまり硬くない紙質のもの.大きさは適宜.裏に糊付きのラベルも良い)― 通常グループあたり数十枚程度
フェルトペン ― 色はばらばらでも黒のみでもOK
模造紙 ― 下に染み込む可能性があり注意 会場設営 ― 机で模造紙が乗るような場が必要
実施方法 設定されたテーマについて各自が思いつい
たことをカードに書く.簡潔に,そして分かるように
カードの記載が終わったら,意味合いを俯瞰しつつカテゴリーにまとめる.既成の概念にとらわれない方がよい
まとまったカード群に,適切に表現できるタイトルをつける.どのカテゴリーにも入らなかった「孤独な」カードは捨てずに置いておく(時に重要)
カード群を模造紙の上にまとめ,囲んでタイトルを書き込む.イラストなどを描き込むのもよい
KJ 法の進め方 記入し終わったカードを切り離し,まずは俯瞰する 内容が近いものを集めてグループ分け タイトルを付け,相互関係がわかりやすいように図式化する
タイトル
どこにも属さない意見
タイトル
タイトルタイトルタイトル
孤独な島
学生の問題
教員の問題
資源不足
ブレインストーミング 創造的思考法の一つ 4つの原則
批判しない:他人の意見を批判してはいけない.批判があると良いアイディアが出にくくなる.
自由奔放:こんなことを言ったら笑われはしないか,などと考えず,思いついた考えをどんどん言う.ジョークも歓迎
質より量:できるだけ多くのアイディアを出すと,よい考えが見えやすくなる
連想と結合:他人の意見から連想する,あるいはそれに乗っかることで,どんどん意見を研ぎ澄ませていく
マインドマップ Tony Buzan が提唱した思考・発想法 思考内容を可視化するツール 英国 ThinkBuzan社の登録商標 手書きも可能だが,コンピュータ上で容易に描くことができるソフトウェアも便利
認知心理学の意味ネットワーク(semantic network) の概念に近い
見える事例検討会の枠組み
アプリシエイティブ・インクワイヤリー(appreciative inquiry: AI) Case Western Reserve 大の
Cooperrider , Taos Institute の Diana Whitney らが 1987年に提唱
問いや探求 (inquiry) により,個人の価値や強み , 組織全体の真価を見出し認め(appreciative) ,それらの価値を最大限に活かした,最も効果的で能力を高く発揮する仕組みを生み出すプロセス
ポジティブ・アプローチ
本来の最高の価値を発見
ありうる最高の状況を展望
どうあるべきかを議論
どうなっていくかを革新
問題解決
原因分析
可能な解決方法を分析
アクション・プランニング
問題解決型アプローチ ポジティブ・アプローチ
4D プロセスDiscovery発見
個人と組織の本当の強みや価値を発見する 人や組織が潜在的にもっている真価についてのイ
ンタビューを行う 人や組織が最もよい状態の時に,何が生命を吹き込んでいるかについて探求する
Dream夢
変革に向けて、組織の最高の可能性を自由に想像する
Discovery のインタビューを通して見つけたストーリーを聞き,組織が最も活かされている未来を描く
Designデザイン
達成したい状態を共有し、記述する より良い未来や目的などに向かって可能性を最大限
に活かした組織の姿をデザインする
Destiny運命
達成に向けて、持続的に取り組む 実際のアクションプランへと導く
AI の特徴 質問を通して,強みや希望,ポジティブな習慣,
理想のストーリー,情熱や夢などを共有することで,組織の新しい文化を作り出す
自分たちの潜在的なポテンシャルを探求することで,変化に向かう肯定的なパワーを生み出す
参加者の視座が高まることで,全体性を認識できるようになる
より人々をひきつける,組織と未来への共有イメージを生み出し,全員がコミットした持続的な成長プランを作り出す
ワールドカフェの始まり Juanita Brown , David Isaacs が開始
目的:経営者たちとの創造的思考 自宅での話し合いの場において,ゲ
ストがリラックスしてオープンに生成的な話し合いを行えるように,様々な工夫を凝らした空間を用いた結果,創造性に富んだダイアローグ(対話)ができた
カフェのようなオープンで創造性に富んだ対話ができる場とプロセスを準備することで,組織やコミュニティの文化や状況の共有や,新しい知識の生成を行うファシリテーションのプロセスです
ワールドカフェの概要 メンバーを変えながら対話する. あたかも参加者全員が話し合っている
かのような効果が得られる “対話” を通じて相互理解を促進する
協調的思考能力を向上させる 無理に結論を出す必要はない
対話(ダイアローグ) ディスカッションとは違う 雑談とも違う
テーマに集中し,相互理解・協働の中から答えを創る・みつける
ワールドカフェの流れ
第1ラウンド
• 何人かずつ( 4~7 人程度)テーブルに座り,テーマに沿って話し合う
第2ラウンド
• 各テーブルに1名のホストを残し,他のメンバーは旅に出る(他のテーブルに移動)
• ホストが第1ラウンドでの内容について簡単に説明.新しいメンバーも,各自のテーブルでの対話内容を少し追加しつつ,新たな話し合いを始める
第3ラウンド
• 旅人は元のテーブルに戻ってさらに考えを深めていく• 最後に模造紙の真ん中スペースに対話テーマを記載
第 1ラウンド
第2ラウンドテーブルホストは変わらない
テーブルホストは変わらない
テーブルホストは変わらない
テーブルホストは変わらない
第3ラウンド
模造紙の使い方 会話しながら絵や図,キーワードな
どを適当に書(描)いて下さい これにより,各テーブルでの話し合
いの内容を共有できます 最初に真ん中に A3 程度の長方形を書
き,そこは空けておくことも 全員が自由に付け加えてください
カフェでのマナー テーマに意識を集中して対話しましょう 考えを積極的に出しましょう.でも話は短く,簡潔に
相手の話に耳を傾けましょう アイディアをつなぎ合わせてみましょう 傾聴して,深い洞察や問いを探しましょう 遊び心でいたずら書きしたり,絵を描いたり
しましょう
対話を楽しんでください !!
各セッションの終わり方 私が手を挙げているのを見たら,
黙って(対話を適宜やめて)手を挙げて下さい
ワークショップとワールドカフェ 後者の方が楽しいという人が多い 前者の方が何かを創り上げるにはよい
かも これらを活かすために必要なキーワー
ド アイスブレーキング 学びほぐし,アンラーン( unlearn) ファシリテーション
ワールドカフェのテーマ 保健や医療を改善するために「教
育」の関わるアプローチを,どのように活かすことができるだろうか
自分自身が注目している現場,研究,アプローチなどについて語り合おう